JP3925141B2 - 工作機械のワーク位置決め方法およびワーク位置決め装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マシニングセンタに代表されるような工作機械のワーク位置決め方法およびワーク位置決め装置に関し、特に仕様が異なる複数種類のワークを同一工作機械にて加工するにあたり、各仕様ごとに相違する治具を手作業による段取り替えによって併用しながら各仕様のワークを共通のワークベースに位置決めクランプするようにしたワーク位置決め方法およびワーク位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
自動車用エンジンのシリンダヘッドのように外観形状がほとんど同一であっても細部の構造が微妙に相違する複数仕様のワークをマシニングセンタ等の共通のの工作機械にて加工する場合、その仕様の相違のために位置決め基準位置やクランプ位置が少しずつ異なるために、予め各仕様ごとに設定した位置決め治具を用いてワークベースにワークを位置決め固定することが有効であるとされている。特にマシニングセンタのように加工自由度が大きい工作機械とチルト回転による割り出し機能を備えたワークベースとを組み合わせて使用するような場合にはその傾向が一層顕著となる。
【0003】
しかしながら、位置決め治具には少なくともロケート機能やクランプ機能およびリフト機能が必要不可欠であることから治具全体が複雑且つ大がかりなものとならざるを得ず、このような位置決め治具を各仕様ごとに用意したのでは設備費の著しい高騰を招くだけでなく、治具交換装置が必要となり好ましくない。特に、ワークのセットを作業者の手作業にて行うことを前提とした場合には、ワークの仕様ごとに交換することになる位置決め治具もまた作業者が取り扱いやすいものであることが望ましい。
【0004】
本発明はこのような課題に着目してなされたもので、特にワークの搬出入や各仕様ごとの治具の交換(段取り替え)を作業者の手作業にて行うことを前提としつつも、ワークのクランプ機能は全ての仕様のワークに共通して使用できるようにする一方で、ワークの仕様ごとに交換することになる治具は作業者が取り扱い容易なようにきわめて簡素な構造を可能としたワーク位置決め方法とワーク位置決め装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、仕様が異なる複数種類のワークのうちいずれか一つをワークベースに位置決めクランプして共通の工作機械にて機械加工を施すにあたり、ワークベースに対する位置決め基準部がワークの仕様の違いにかかわらず共通化されていて且つワークに対する位置決め基準部がワークの仕様ごとに相違するように設定された特定の仕様のカセット治具を上記ワークベースに着脱可能に位置決め固定し、このカセット治具を基準として該当する仕様のワークを位置決めするとともに、ワークにはそのワークの仕様の違いにかかわらずクランプ部位を共通化させるためのドリフト治具を着脱可能に装着し、このドリフト治具をクランプ部位として、ワークベースに設けられたクランプ機構にてワークをワークベースにクランプすることを特徴としている。
【0006】
したがって、この請求項1に記載の発明では、ワークの仕様ごとに設定したカセット治具を併用することでワークベースに対するワークの位置決めがなされ、同時にドリフト治具を併用することでワークの仕様の違いにかかわらず共通のクランプ機構をもってワークがワークベースにクランプされる。これにより、各仕様ごとのカセット治具にクランプ機構を付帯させる必要がなくなる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1の記載のワーク位置決め方法に用いるワーク位置決め装置であることを前提として、ワークベースに隣接してワーク搬送用のコンベヤが配置されているとともに、ワークベースにはカセット治具に対してワークを昇降させるためのワークリフタが設けられている。そして、このワークリフタは、ワークベース側に設けられたリフトシリンダ等の昇降駆動手段と、カセット治具のうちワークよりも下方位置に昇降可能に案内支持されているとともに上記昇降駆動手段によって昇降駆動され、ワークベースと上記コンベヤとの間でのワークの搬出入に際してそのワーク送給路として機能するべくコンベヤ側に向かって延びているワーク用レールとを備えていて、上記ワーク用レールが上昇した状態ではその高さ位置が上記コンベヤの搬送レベルと同一高さとなるように設定されていることを特徴としている。
【0008】
したがって、この請求項2に記載の発明では、ワークベースとワーク搬送用のコンベヤとの間でのワークの搬出入に際しては、ワークリフタを上昇駆動させておくことにより少なくともコンベヤの搬送レベルとワーク用レールとは同一高さ位置となる。そして、例えばワーク搬入時には、作業者はコンベヤ上のワークをワーク用レール上にて滑らせるようにしてカセット治具上まで搬入し、その状態で上記ワークリフタを下降動作させればワークはワーク用レールとともに所定量だけ下降して、そのカセット治具に対して自律的に位置決めされることになる。また、ワーク搬出時には上記手順とは逆の手順による。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2の記載を前提として、ワークベースには、カセット治具の交換に際してワークベース上のカセット治具をコンベヤの搬送レベルと同一の高さ位置まで押し上げる治具リフタが設けられていることを特徴としている。
【0010】
ここで、ワークベースとコンベヤとの間でのワークの搬出入の場合と同様に、ワークベースとコンベヤとの間でのカセット治具の搬出入に備えてカセット治具の送給路として機能するレールをワークベース側に設けておくのが望ましい。
【0011】
したがって、この請求項3に記載の発明では、ワークの搬出入の場合と同様にしてワークベースとコンベヤとの間でカセット治具の搬出入が容易に行われる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3の記載を前提として、ワークベースは、治具フレームに対し水平な軸を回転中心として回転可能で且つ任意の回転位置に割り出し可能に支持されたチルト式のものとなっていて、上記ワークリフタの昇降駆動手段および治具リフタは治具フレーム側に配置されていることを特徴としている。
【0013】
したがって、この請求項4に記載の発明では、可動式のワークベースにはクランプシリンダ等のアクチュエータを含むクランプ機構だけが付帯していることになり、このクランプ機構をもって仕様の違いにかかわらず各仕様のワークが確実にクランプされることになる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、各仕様ごとに設定したカセット治具とともにドリフト治具を併用して、ワークの仕様の違いにかかわらずクランプ部位を共通化したことにより、各カセット治具にクランプ機構を付帯させる必要がないだけでなく、ワークベースに設けたクランプ機構を全てのワークのクランプに共通して使用することができ、各仕様ごとのカセット治具の構造を簡素化できるとともに、設備費の低減化に寄与できる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ワークリフタの昇降駆動手段を共通のワークベース側に設ける一方で、その昇降駆動手段によって昇降駆動されるワーク用レールをカセット治具側に昇降可能に案内支持させたことにより、昇降駆動手段は各仕様のワークに共通して使用されることになるので、各仕様ごとのカセット治具にその昇降駆動手段を付帯させる必要がなくなり、カセット治具の一層の簡素化を図ることができるほか、ワーク用レールがワーク送給路として機能することにより、ワークベースとコンベヤとの間でのワークの搬出入をよりスムーズに行える利点がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、カセット治具の交換に際してそのカセット治具をコンベヤの搬送レベルまで押し上げる治具リフタを設けたため、請求項2に記載の発明と同様の効果に加えて、ワークベースとコンベヤとの間でのカセット治具の搬出入も容易に行える利点がある。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ワークベースをチルト式のものとしたことにより、可動部分であるそのワークベースに付帯するのはクランプ機構だけとなるため、可動部分に多くのアクチュエータを付帯させる必要がなく、そのワークベースの構造を一段と簡素化できる利点がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1以下の図面は本発明の好ましい実施の形態を示す図であって、マシニングセンタによるシリンダヘッド(以下、これをワークと称する)の加工工程を示している。
【0019】
図1〜3に示すように、主軸2との間での自動工具交換機能を有する横型のマシニングセンタ1に隣接してチルト式のワーク位置決め治具3が配置されているとともに、そのワーク位置決め治具3の外側にワーク搬送用のローラコンベヤ4が配置されている。そして、図1のステップ5の上に作業者Mが立ち、ローラコンベヤ4とワーク位置決め治具3との間でワークWの搬出入を行うようになっている。すなわち、ローラコンベヤ4を使って前工程から送られてきたワークWをワーク位置決め治具3にセットしてマシニングセンタ1による加工に供する一方、加工を終えたワークWをそのワーク位置決め治具3からローラコンベヤ4側に取り出して次工程に送り出すことになる。
【0020】
ワーク位置決め治具3は、図4〜6に示すように、脚状の治具フレーム6にブラケット7を介して略上向きコ字状をなすワークベース8を両持ち状態で軸受支持させたものであって、サーボモータ等を主体とするチルト駆動手段9のはたらきにより水平なチルト中心Cを回転中心として360°の任意の位置まで回転させることが可能であり、同時にその任意の位置に割り出して位置決めすることができるようになっている。
【0021】
ここで、本実施の形態では、後述するようにワークベース8を仕様が異なる複数種類のワークWに共通して使用するために、各々のワークWを直接ワークベース8に位置決めすることはせずに、各ワークWの仕様に応じて予め用意されたカセット治具10を介してワークWをワークベース8に位置決めするようになっている。同時に、ワークWのクランプに際しても共通のクランパー11にて各仕様のワークWに対応するために、後述るように直接ワークWをクランプすることなく各ワークWの仕様ごとに予め用意されたドリフト治具21を介してクランプするようになっている。
【0022】
図7〜9には上記ワークベース8の詳細を示す。なお、構造の理解を容易にするためにワークベース8のみを取り出した状態を図10〜12に示す。これらの図7〜9および図10〜12に示すように、ワークベース8にはクランプ機構として左右一対のクランパー11が設けられているほか、中央部に窓部12が開口形成された基準シート面8aには各ワークWの仕様ごとのカセット治具10を位置決めするにあたってその位置決め基準部となる複数の基準ブロック13と同じく複数の偏心クランプナット14が設けられている。なお、各仕様ごとのカセット治具10の母体となる矩形状の治具プレート15はその外形状およびサイズがワークWの仕様の違いにかかわらず予め共通化されている。
【0023】
上記クランパー11は、クランプシリンダ16の伸縮作動に応じてクランプアーム17が90°程度旋回しながら基準シート面8aに対し接近離間動作すなわちクランプ,アンクランプ動作する公知の構造のものである。また、上記偏心クランプナット14は、相手側のねじの回転操作によりその偏心量に応じて相対変位して、六角形のいずれかの平坦面を当接面として上記カセット治具10を基準ブロック13に押し付けてクランプするものである。したがって、後述するようにいずれの仕様のカセット治具10であっても基準ブロック13を位置決め基準部として基準シート面8a上の同一位置に位置決めクランプされるようになっている。
【0024】
図13,14には特定の仕様のカセット治具の詳細を示す。なお、図13,14は構造の理解を容易にするために図7〜9からカセット治具10のみを取り出した状態を示している。図7〜9および図13,14に示すように、仕様の違いにかかわらず共通形状とされた矩形状の治具プレート15の中央部にはワークベース8と同様に窓部18が開口形成されているとともに、その治具プレート15にはワーク着座面となる複数のシートパッド19のほか同じく複数のロケートピン20が固定されている。これらのシートパッド19およびロケートピン20はいずれも当該カセット治具10上に位置決めされることになるワークWの位置決め基準部として機能するもので、各部の寸法L1〜L3はワークWの仕様に応じて少しずつ異なっている。つまり、仕様が異なるカセット治具10,10同士を比較した場合に、母体となる治具プレート15の形状は共通であってもシートパッド19やロケートピン20の配置はワークWの仕様に応じて個々に異なっていることになる。そして、上記シートパッド19やロケートピン20を基準としてカセット治具10上に位置決めされたワークWは、図7〜9および図10〜12に示すようにそのワークWに予め装着されるドリフト治具21を介してクランパー11によりカセット治具10とともにワークベース8にクランプされるようになっている。なお、上記ドリフト治具21については後述する。
【0025】
また、カセット治具10の治具プレート15上には左右一対のワーク用レール22が配置されている。これらのワーク用レール22は図5,6に示すようにワークベース8側からワーク搬送用のローラコンベヤ4側に向かって延びており、後述するようにそのローラコンベヤ4とワークベース8との間でのワークWの搬出入に際してワーク送給路として機能するようになっている。各ワーク用レール22は、図15に示すように治具プレート15に固定されたホルダ23にブッシュ24とガイドロッド25とを介して所定ストロークαだけ昇降可能に案内支持されていて、上記シートパッド19やロケートピン20によってワークWが位置決めされた状態ではそのワークWに接触しないように設定されている。そして、これらのワーク用レール22は後述する昇降駆動手段としてのリフトシリンダ34およびリフタテーブル31とともにワークリフタ26を形成していて、加工完了後に所定ストロークαだけリフトアップすることによりロケートピン20とワークWとの相互嵌合を解除しつつカセット治具10からワークWを浮上させることができるようになっている。
【0026】
なお、上記一対のワーク用レール22はワークWの底面に接触してこれを支えるものであるが、図7〜9に示すように治具ベース15には一対のワーク用レール22とは別にワークWの側面に接触してこれを案内する別のサイドレール27が設けられている。また、上記ワーク用レール22と平行となるようにワークベース8側にも左右一対の治具用レール28が形成されており、この治具用レール28は後述するようにカセット治具10の交換の際に使用される。
【0027】
ここで、上記カセット治具10と併用されるドリフト治具21について説明すると、図9,12に示すようにこのドリフト治具21はいずれの仕様のものも左右一対のロケートピン部59,59をバー30にて相互に連結して略コ字状もしくはU字状のものとして形成したもので、ワークWの仕様の違いにかかわらず一つのワークWについて一対のドリフト治具21が使用される。そして、このドリフト治具21は図16に示すように一対のロケートピン部59をワークW側のボルト穴等に嵌合させることで位置決めするようになっており、例えば図12に示すようにワークWの仕様に応じて各部の寸法L4,L5等が微妙に異なっていたとしても、クランプに必要な寸法LがワークWの仕様にかかわらず一定の値のものにする機能を有している。これにより、ワーク仕様ごとにそれ専用のカセット治具10およびドリフト治具21を使用することを前提として、共通のクランパー11にていずれの仕様のワークWをも確実にクランプすることができるようになっている。
【0028】
図7,8および図10に示すように、上記ワークベース8の基準シート面8aのうちカセット治具10の左右両端部に相当する位置には左右一対のプッシュロッド29が設けられている。このプッシュロッド29はワークベース8に対し上下動可能に支持されているものの、基準シート面8a上にカセット治具10が位置している状態ではその上端が基準シート面8aよりも突出しないように圧縮コイルスプリング30にて下方に付勢されている。
【0029】
一方、図4〜6および図7に示すように、上記ワークベース8を支持している治具フレーム6側には、ワークベース8および各カセット治具10の窓部12,18を通して昇降可能なリフタテーブル31と、治具リフタとして治具リフトシリンダ32が設けられている。
【0030】
リフタテーブル31は左右一対のガイドロッド33にて案内されながらリフトシリンダ34の伸縮動作に応じて昇降動作するようになっていて、先に述べたカセット治具10側の一対のワーク用レール22とともにワークリフタ26を形成している。したがって、図15に示すように、少なくともカセット治具10上のワークWがアンクランプ状態にあるとき、ワークベース8および各カセット治具10の各窓部12,18を通してリフタテーブル31を上昇させることにより、リフタテーブル31はワークWを直接リフトアップさせながら同時に左右一対のワーク用レール22をストロークαだけリフトアップせるようになっている。
【0031】
また、上記リフタテーブル31の両側に設けられた左右一対の治具リフトシリンダ32は図7,10に示したワークベース8側のプッシュロッド29の位置と一致していて、後述するように治具リフトシリンダ32にてプッシュロッド29を突き上げることによりワークベース8の基準シート面8aに対してカセット治具10が所定量だけリフトアップされるようになっている。
【0032】
次に、以上のように構成された設備におけるワーク搬出入の手順について説明する。
【0033】
最初に、ワークベース8には特定の仕様のカセット治具10が予め位置決めクランプされていて、且つ一対のクランパー11がアンクランプ状態にあるものとすると、図1,2に示したように作業者Mはローラコンベヤ4上を送られてくる該当する仕様のワークWを手作業にてカセット治具10上に搬入することになる。なお、この時にはワークベース8の基準シート面8aが水平となるような位置すなわち図4,6に示す状態となるようにワークベース8が割り出されて停止している。
【0034】
このワークWの搬入に先立って、作業者Mは図9および図10〜12に示すようにワークWの所定位置に該当する仕様の一対のドリフト治具21をセットする。同時にこの段階では、ワークリフタ26を形成しているリフタテーブル31が図4,7に示す上昇限位置Q1で停止しており、その結果として図6および図15に示すようにカセット治具10のワーク用レール22は所定ストロークαだけリフトアップされて、そのワーク用レール22はローラコンベヤ4の搬送レベルと同一高さ位置となっている。
【0035】
作業者Mはローラコンベア4上のワークWをワークベース8側に押し込み、そのワークWをカセット治具10の上に位置させる。すなわち、ワークWを図7〜9に示したサイドレール27に沿わせながらワーク送給路として機能する一対のワーク用レール22上にて滑らせるようにして押し込むことで、そのワークWはスムーズにカセット治具10上に搬入され、最終的にはワークWはリフタテーブル31と一対のワーク用レール22によって支えられることになる。
【0036】
特定仕様のワークWがカセット治具10上に搬入されたならば、リフタテーブル31を下降させる。このリフタテーブル31の下降に伴いワーク用レール22も図15の所定ストロークαだけ下降することから、ワークWはカセット治具10上のロケートピン20に自律的に嵌合しながらそのロケートピン20によって位置決めされて、最終的にはシートパッド19に着座した位置決め状態となる。この後、ワークベース8に付設されている一対のクランパー11がクランプ動作して、図9〜12に示すようにワークWに予めセットされているドリフト治具21を介してワークWをカセット治具10とともにワークベース8に堅固にクランプする。
【0037】
以上をもってワークベース8に対するワークWの位置決めクランプが完了し、ワークWはワーク位置決め治具3自体のチルト機能によって適宜姿勢を変更しながら図1〜3に示したマシニングセンタ1による切削加工に供されることになる。なお、このような動作は、ワークWの仕様が他の仕様のものであっても全く同様である。
【0038】
マシニングセンタ1による加工が終了すると、ワークベース8は再び図4,6の状態となるように割り出されて停止する。この時のワークベース8とローラコンベヤ4との相対位置関係はワーク搬入時と全く同様であり、したがってワーク搬入時とは全く逆の手順で加工済みのワークWの搬出を行う。
【0039】
このワーク搬出作業に先立って、一対のクランパー11をアンクランプ動作させた上で、リフタテーブル31を上昇限位置まで上昇動作させる。これにより、先に述べたようにリフタテーブル31はカセット治具10上の加工済みのワークWとともに一対のワーク用レール22をリフトアップさせ、そのカセット治具10上のロケートピン20とワークWとの嵌合を解除しながら、ワーク用レール22の高さをローラコンベヤ4の搬送レベルに揃えるかたちとなる。これにより、そのワーク用レール22上を滑らせるようにして加工済みのワークWをワークベース8からローラコンベヤ4側に引き出せば容易にその搬出が行える。
【0040】
ここで、次に加工すべきワークWの仕様がその前の仕様のものと異なる場合には、その次のワークWの搬入前にカセット治具10を該当する仕様のものと交換する必要がある。
【0041】
カセット治具10の交換は、上記のような加工済みワークWの搬出後に行うものとし、現在ワークベース8上に在席しているカセット治具10をクランプしている偏心クランプナット14(図8参照)をアンクランプ状態とした上で、ワークリフタ26のリフタテーブル31を上昇限位置Q1まで上昇させ、さらに図4,7に示した治具フレーム6側の治具リフトシリンダ32を伸長動作させて、その上方に位置するワークベース8側のプッシュロッド29を所定ストロークだけ突き上げる。その結果、カセット治具10は左右一対のワーク用レール22とともにワークベース8から完全に浮上した状態となり、図7,8に示すようにカセット治具10の下面とリフタテーブル31の中央部上面、およびワークベース8側の治具用レール28とがほぼ同一高さ位置となる。
【0042】
この状態で、カセット治具10を一対のワーク用レール22とともにリフタテーブル31上にて滑らせるようにして引き出しながら、左右一対の治具用レール28に乗り移らせることで、これらリフタテーブル31や治具用レール28を使ってカセット治具10をローラコンベヤ4側にスムーズに引き出すことができる。
【0043】
こうして、加工済みワークWのカセット治具10を引き出し終えたならば、上記とは全く逆の手順で次に加工すべきワークWの仕様に応じたカセット治具10(一対のワーク用レール22を含む)をワークベース8上に移載してクランプする。このカセット治具10の交換が完了した段階では、治具リフトシリンダ32の収縮動作によって一対のプッシュロッド29は下降してはいても、ワークリフタ26側のリフタテーブル31はなおも上昇限位置Q1にあり、先に述べたようにこのリフタテーブル31を有効に使って次に加工すべきワークWをカセット治具10上に搬入して位置決めクランプし、以降は上記と同様の加工サイクルを繰り返すことになる。
【0044】
このように本実施の形態によれば、マシニングセンタ1での加工対象となるワークWの搬出入を手作業にて行うにあたり、そのワークWの仕様に応じて治具の一部を交換する必要がある場合に、各仕様ごとのドリフト治具21およびカセット治具10として駆動源を持たないきわめて簡易な構造のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態として、マシニングセンタによるシリンダヘッドの加工工程の概略を示す正面説明図。
【図2】図1の平面説明図。
【図3】同じく図1の左側面説明図。
【図4】図3に示すワーク位置決め治具の要部拡大説明図。
【図5】図4の平面説明図。
【図6】図4の右側面説明図。
【図7】図4におけるワークベース部の拡大説明図。
【図8】図7の平面説明図。
【図9】図7の垂直断面説明図。
【図10】図7の構造を模式化した構成説明図。
【図11】同じく図8の構造を模式化した構成説明図。
【図12】同じく図9の構造を模式化した構成説明図。
【図13】図8に示したカセット治具のみの模式化した構成説明図。
【図14】図13の正面説明図。
【図15】図9の要部拡大説明図。
【図16】図9のB部拡大説明図。
【符号の説明】
1…マシニングセンタ(工作機械)
3…ワーク位置決め治具
4…ローラコンベヤ
6…治具フレーム
8…ワークベース
8a…基準シート面
10…カセット治具
11…クランパー(クランプ機構)
13…基準ブロック(位置決め基準部)
14…偏心クランプナット
15…治具プレート
19…シートパッド(位置決め基準部)
20…ロケートピン(位置決め基準部)
21…ドリフト治具
22…ワーク用レール
26…ワークリフタ
28…治具用レール
31…リフタテーブル
32…治具リフトシリンダ(治具リフタ)
34…リフトシリンダ(昇降駆動手段)
W…ワーク(シリンダヘッド)
Claims (4)
- 仕様が異なる複数種類のワークのうちいずれか一つをワークベースに位置決めクランプして共通の工作機械にて機械加工を施すにあたり、
ワークベースに対する位置決め基準部がワークの仕様の違いにかかわらず共通化されていて且つワークに対する位置決め基準部がワークの仕様ごとに相違するように設定された特定の仕様のカセット治具を上記ワークベースに着脱可能に位置決め固定し、
このカセット治具を基準として該当する仕様のワークを位置決めするとともに、
ワークにはそのワークの仕様の違いにかかわらずクランプ部位を共通化させるためのドリフト治具を着脱可能に装着し、
このドリフト治具をクランプ部位として、ワークベースに設けられたクランプ機構にてワークをワークベースにクランプすることを特徴とする工作機械のワーク位置決め方法。 - 請求項1に記載のワーク位置決め方法に用いる工作機械のワーク位置決め装置であって、
上記ワークベースに隣接してワーク搬送用のコンベヤが配置されているとともに、ワークベースにはカセット治具に対してワークを昇降させるためのワークリフタが設けられていて、
このワークリフタは、
ワークベース側に設けられた昇降駆動手段と、
カセット治具のうちワークよりも下方位置に昇降可能に案内支持されているとともに上記昇降駆動手段によって昇降駆動され、ワークベースと上記コンベヤとの間でのワークの搬出入に際してそのワーク送給路として機能するべくコンベヤ側に向かって延びているワーク用レールと、
を備えていて、
上記ワーク用レールが上昇した状態ではその高さ位置が上記コンベヤの搬送レベルと同一高さとなるように設定されていることを特徴とする工作機械のワーク位置決め装置。 - 上記ワークベースには、カセット治具の交換に際してワークベース上のカセット治具をコンベヤの搬送レベルと同一の高さ位置まで押し上げる治具リフタが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の工作機械のワーク位置決め装置。
- 上記ワークベースは、治具フレームに対し水平な軸を回転中心として回転可能で且つ任意の回転位置に割り出し可能に支持されたチルト式のものとなっていて、
上記ワークリフタの昇降駆動手段および治具リフタは治具フレーム側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の工作機械のワーク位置決め装置。
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