JP3810388B2 - 両頭側面フライス盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両頭側面フライス盤に関する。さらに詳しくは、ワークの表裏両面を加工するための両頭側面フライス盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面フライス盤によってワークを加工する場合、通常はワークを加工台にクランプして、カッターに対して加工台をスライドさせればよい。カッターは定位置で動かず、加工台はスライドするので、加工台がカッターの下方から離れるように移動した所で、ワークを受取るようにすれば、天井クレーンを使ったり、あるいは人力によって、ワークを加工台に置く作業は、さほど困難性はない。よって、フライス盤にワークの搬入装置を設ける例は、未だ存在していない(非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
最新機械製作 244〜246頁 機械製作法研究会 昭和60年1月10日株式会社養賢堂
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワークの表裏両面を一度に加工する両頭側面フライス盤にあっては、上記のような天井クレーン等を使った上方からのワークの搬入は困難である。その理由は両頭側面フライス盤の構造的理由に基づいている。
すなわち、両頭側面フライス盤においては、図7の(A)図に示すように、ベース上に加工台103 をスライド自在に置き、カッター104 を備えた加工ヘッド105 を基台スライド経路の左右両側に置き、加工台103 の上方には、加工台103 との間にワークを挟んで固定するクランプが配置されている。
このような基本構成により、加工台103 上に置いたワークWをクランプ機構101 で固定し、左右の加工ヘッド105 を加工位置まで前進させ、加工台103 をスライドさせると、ワークの表裏両面が一度に加工されることになる。
しかるに、上記構造では、クランプは加工台103 の上方を占位しているので、ワークを上方から加工台103 上に搬入しようとすれば、クランプ機構101 が邪魔になって、不可能である。よって、天井クレーン等を有効活用することができない。
【0005】
そこで、本出願人は、図7の(B)図に示すように、クランプ機構101 をピン102 で枢支して、クランプ機構101 を水平面内で回転できるようにし、クランプ機構101 を旋回させている間にワークを加工台103 上に搬入することを検討した。
しかし、上記の手段では、工場内の設置場所にクランプ機構101 の旋回空間を必要とするので、場所に余裕のない場所では導入し難いという問題がある。また、1個のワークの加工の度に、クランプをロックしたりアンロックするのは手間がかかり、生産性を向上させるのに限界があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、ワークの搬入搬出を容易に行え、生産性を向上させうる両頭側面フライス盤を提供することを目的とする。
また、本発明は、ワークの加工台103 上への位置決めにつき自動化を進め、生産性を向上させた両頭側面フライス盤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の両頭側面フライス盤は、ベース上に、前後方向にスライド自在に設けられた加工台と、前記ベース上に、前記加工台のスライド位置を挟んで、左右方向において、互いに接近離間自在に設けられた一対の加工ヘッドと、前記加工台上に設けられた、ワークを載せる下治具と、前記加工台の上方に設けられた、ワークを上方から下向きに押える上治具を昇降させるクランプシリンダを取付けたクランプ機構と、前記ベースにおける、前記加工台の加工開始前の準備位置における側方に設置されたワーク搬入装置とからなり、前記ワーク搬入装置は、ワークを載せる複数本の支持棒と、該複数本の支持棒の上面において前記下治具に対して平行となるように取付けられた位置決め板とを備えたフォークと、該フォークを昇降させる昇降機構と前後進させる進退機構とからなり、前記下治具は、その長手方向に分割された複数個の下治具体からなり、隣り合う下治具体の間に前記フォークの支持棒が進入する隙間が形成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の両頭側面フライス盤の概略平面図である。図2は図1に示す両頭側面フライス盤の側面図である。まず、図1および図2に基づき本実施形態の両頭側面フライス盤の基本構成を説明する。
【0009】
符号1はベースを示しており、このベース1の上面には、ベース1に対して前後(図1では上下方向)にスライド自在に加工台2が設けられている。
7は加工台2をスライドさせるネジ棒、8はネジ棒7を回転させるモータである。加工台2はレールでスライドを案内されているが、図示は省略されている。9は切粉よけに設けた伸縮式のカバーで、加工台2の前後に配置されている。
前記加工台2上には、ワークWを載せるための下治具3が設けられている。また、加工台2の上方には、クランプフレーム4が立設され、その上部フレームには複数本の上部クランプシリンダ5が取付けられている。このクランプシリンダ5は、そのロッドが鉛直下向きに配設され、このロッドの先端には上治具6が設けられている。
このため、クランプシリンダ5を伸長させれば、下治具3と上治具6の間にワークWが挟まれるので、ワークWを加工台2に固定することができる。しかも、加工台2を前後に移動させれば、ワークWを上治具6と下治具3との間に挟んだままでワークWを加工台2とともに前後に移動させることができる。
【0010】
前記ベース1の上面において、前記加工台2のスライド位置を挟んで、左右方向に一対のレール14,14が設けられている。
この一対のレール14,14の上面には、左右一対の加工ヘッド10,10の主軸台11,11がそれぞれ取り付けられている。各主軸台11は、レール14上を左右に移動し、互いに接近離間自在である。
前記一対の主軸台11,11には、一対の主軸がそれぞれ回転自在に支持されており、この一対の主軸は、互いに軸中心が一致するように、水平に設けられている。この一対の主軸の向かいあった一端部には、カッタ15がそれぞれ取り付けられており、各主軸の他端部は、例えば、ベルト等によって、主軸台11の上部に設けられたモータ13の主軸と連結されている。
このため、モータ13を駆動させれば、主軸が回転し、カッタ15が回転するのである。
【0011】
上記実施形態の両頭側面フライス盤によれば、加工台2にワークWを取り付け、ワークWを加工する量の分だけ一対の加工ヘッド10,10を加工台2に向けて移動させ、モータ13を駆動させてカッタ15を回転し、加工台2によってワークWをカッタ15に送れば、カッタ15によってワークWの左右両面を一度に切削することができる。
【0012】
さて、つぎに本発明の特徴であるワーク搬入装置Aについて説明する。
図1において加工台2は、加工開始前の準備位置Iに位置している。なお、図2に示す符号IIは加工終了位置であり、2点鎖線は加工終了位置まで移動したクランプフレーム4とワークWを示している。図1に示すワーク搬入装置Aは、前記準備位置Iの加工台2の側方に設置されている。
このワーク搬入装置Aの主要な構成部材は、図3に示すように、ワークを載せるための複数本の支持棒21を有するフォーク20と、このフォーク20を昇降させる昇降機構および前後進させる進退機構とからなる。
【0013】
まず、フォーク20を詳述する。このフォーク20は、6本の支持棒21が平行に並べられ、各支持棒21を固定する平面視略台形状の基盤22をから構成されたものである。
また、基盤22上には、前記各支持棒21の根元付近において、断面L字状の位置決め板23が取付けられている。
【0014】
つぎに、図4および図5に基づき昇降機構30を説明する。
前記各支持棒21の下面から基盤22の下面には、スライドレール24が固定されており、このスライドレール24に摺動自在に嵌合しているスライドガイド31が、昇降テーブル32に取付けられている。昇降テーブル32とベース33との間には油圧式の昇降シリンダ34が取付けられている。また、昇降テーブル32の両端部には案内棒35が取付けられ、ベース側に設けられた案内筒36内を昇降するようになっている。よって、昇降シリンダ34を伸縮させると、昇降テーブル32が昇降し、フォーク20を昇降させることができる。
【0015】
さらに、フォーク20の進退機構40を説明する。
前記昇降テーブル32は、前テーブル32a と後テーブル32b とがあり、両部材は図示しない連結部材で連結されている。
昇降テーブル32の前テーブル32a と後テーブル32b との間には、ネジ棒41が配置され、このネジ棒41は、後テーブル32b に取付けられたモータ42によって回転させられるようになっている。そして、このネジ棒41にはナット43が螺合されており、ナット43はブラッケット44でフォーク20の基盤22に固定されている。
このため、モータ42でネジ棒41を正逆回転させると、フォーク20を前後進させることができる。
【0016】
図3に戻り、フォーク20の支持棒21と下治具3の取合せを説明する。
下治具3は、複数個の下治具体3a〜3fで構成され、長手方向に直列に配置されている。そして、各下治具体3a〜3fの間には隙間が設けられている。この隙間はフォーク20の支持棒21が進入する空間となっている。
なお、下治具3は分割され、隙間を有するものであっても、ワークの下端面の大部分を支えることができるので、上治具6との間でワークをクランプすることに何ら差し支えないものである。
【0017】
つぎに、図6に基づき、ワーク搬入装置Aによるワーク搬入搬出作業を説明する。なお、図6の(1)〜(6)において、左側はフォーク20の側面図、右側は正面図である。
(1)フォーク20が待機位置から上昇してきた状態である。
(2)フォーク20が前進し、下治具3より前方すなわち操作側(作業員が各種作業を行う側)に突出した状態である。この状態では、下治具3の上方に位置するクランプシリンダ5等より前進しているので、支持棒21の上方空間はあいている。
(3)支持棒21にワークWを載せた状態である。既述のごとく支持棒21の上方空間はあいているので、天井クレーンを使ったり、その他任意のハンドリング装置でワークを支持棒21上に搬入する作業が可能であり、容易に行える。
(4)フォーク20をクランプ位置まで後退させた状態である。このとき位置決め板23の後退位置は下治具3上にワークWの中心を置ける位置である。この後退位置はワークWの幅と位置決め板23の取付位置で決定され、ネジ棒41の回転数によって正確に制御することができる。
(5)フォーク20を下降させた状態である。このとき、支持棒21は下治具3同士の間の隙間に入っていくので、ワークWを下治具3上に置くことができる。
(6)そして、フォーク20を後退させ、当初の待機位置に下降させる。
(7)フォーク20が退避すると、クランプシリンダ5によって、上治具6を下降させ、ワークWを下治具3との間にクランプする。これにより、ワークWを加工できる状態となる。
【0018】
以上のとおりであるから、ワークの搬入が容易かつ迅速に行えるので、生産性が向上する。
また、加工後のワーク搬出の際にも、支持棒21にワークを載せて、操作側に突出させうるので、搬出作業も容易となる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、つぎの効果を奏する。
a)ワーク搬入装置のフォークを進退機構で前進させると、加工台より側方に突出させることができるので、加工台上方のクランプ機構に邪魔されず、ワークをフォークに載せることができる。そして、フォークを後退させ下降させるとワークを下治具上に置くことができる。また、搬出もクランプ機構に邪魔されず行えるので、ワークの搬入がかなり自動化され、生産性が向上する。
b)フォークの支持棒が下治具体の間の隙間に侵入できるので、フォークの下降によりワークを直接、下治具上に置くことができ、また、加工終了後のワークをフォークの支持棒ですくい取ることもできる。このため、ワークの搬入搬出作業がより短時間で行える。
c)位置決め板を使って、ワークを常にフォーク上の決まった位置に乗せることができる。このため、フォークの移動量、換言すれば進退機構の動作量を監視制御することで、ワークの下治具上における正確な位置決めが可能となるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる両頭側面フライス盤を示す概略平面図である。
【図2】 図1に示す両頭側面フライス盤の側面図である。
【図3】 図1に示すフォーク20まわりの斜視図である。
【図4】 搬入装置の正面図である
【図5】 搬入装置の側面断面図である。
【図6】 搬入機構の動作説明図である。
【図7】 従来の両頭側面フライス盤におけるワーク搬入作業の説明図である。
【符号の説明】
3 下治具
5 クランプシリンダ
10 加工ヘッド
20 フォーク
21 支持棒
22 基盤
30 昇降機構
40 進退機構
Claims (1)
- ベース上に、前後方向にスライド自在に設けられた加工台と、
前記ベース上に、前記加工台のスライド位置を挟んで、左右方向において、互いに接近離間自在に設けられた一対の加工ヘッドと、
前記加工台上に設けられた、ワークを載せる下治具と、
前記加工台の上方に設けられた、ワークを上方から下向きに押える上治具を昇降させるクランプシリンダを取付けたクランプ機構と、
前記ベースにおける、前記加工台の加工開始前の準備位置における側方に設置されたワーク搬入装置とからなり、
前記ワーク搬入装置は、
ワークを載せる複数本の支持棒と、該複数本の支持棒の上面において前記下治具に対して平行となるように取付けられた位置決め板とを備えたフォークと、
該フォークを昇降させる昇降機構と前後進させる進退機構とからなり、
前記下治具は、その長手方向に分割された複数個の下治具体からなり、隣り合う下治具体の間に前記フォークの支持棒が進入する隙間が形成されている
ことを特徴とする両頭側面フライス盤。
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