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JP3907252B2 - 露光装置およびデバイス製造方法ならびにステージ装置および原点出し方法 - Google Patents

露光装置およびデバイス製造方法ならびにステージ装置および原点出し方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、設計パターンを基板上のレジストに露光して半導体デバイス等を製造するために用いられる露光装置、それを用い得るデバイス製造方法、およびこれらに適用できるステージ装置および原点出し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような露光装置としては、ウエハ等の基板をステップ移動させながら基板上の複数の露光領域に原版のパターンを投影光学系を介して順次露光するステッパや、投影光学系に対し相対的にマスク等の原版と基板とを移動させ、これら原版と基板をスリット状の露光光によって走査することにより原版のパターンを基板上に走査露光する走査型の露光装置等が知られている。
【0003】
また、近年、より高精度で微細なパターンの露光が行えるように、前記ステップ移動と走査露光とを繰り返すことにより、基板上の複数の領域に高精度で微細なパターンの露光を行う、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置が提案されている。この露光装置では、スリットにより制限して投影光学系の比較的光軸に近い部分のみを使用しているため、より高精度で微細なパターンの露光が可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の露光装置においては、被露光基板の位置決め精度や走査方向への移動精度が、上述のような高精度で微細なパターンの露光に見合ったものとなっていないという問題がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、露光装置およびそれを用いたデバイス製造方法において、被露光基板の位置決め精度や走査方向への移動精度をより向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明では、ステージ装置における原点出し精度を向上させるようにしている。
【0007】
すなわち、本発明のステージ装置は、Z軸方向、Z軸回りの回転方向であるθ方向、およびZ軸に対する傾き方向に移動可能に設けられた微動ステージと、この微動ステージを前記各方向に移動させる駆動手段と、前記微動ステージのθ方向位置を得るθ位置測定手段と、前記駆動手段およびθ位置測定手段を制御する制御手段を備えたステージ装置において、前記制御手段は、前記微動ステージのZ軸方向および傾き方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態で前記θ位置測定手段の原点出しを行うものであることを特徴とする。θ位置測定手段としては、例えば、少なくとも2つの測定軸上における前記微動ステージ部分の位置を計測し、その計測結果から前記微動ステージのθ方向位置を得るものを使用することができる。
【0008】
またさらに、前記微動ステージを搭載してXおよびY方向に移動可能なXYステージ、このXYステージをXおよびY方向に移動させる駆動手段、ならびに前記微動ステージのXおよびY方向位置をそれぞれ所定の測定軸上における前記XYステージ部分の位置を計測することにより行うXおよびY位置計測手段を備え、前記制御手段は、前記θ位置測定手段の原点出しを行った後、前記Z軸方向、傾き方向およびθ方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態で前記XおよびY位置計測手段の原点出しを行うものであることを特徴とする。
【0009】
またさらに、前記微動ステージの少なくとも3点におけるZ方向位置を計測するZ位置計測手段を備え、前記制御手段は、前記θ位置測定手段の原点出しを行う前に前記Z位置計測手段の原点出しを行うものであることを特徴とする。
【0010】
前記制御手段は、前記各計測手段の原点出しを、その計測手段に対応する所定の突当て部に対して該当する駆動手段により該当するステージを突き当て、その駆動手段の負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時から一定時間その駆動手段の出力を所定の値に保持した後、計測手段を初期化することにより行うものであることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記Z軸方向が鉛直方向を向いており、前記駆動手段はZ軸方向への移動に際し、その方向への重力による負荷を補償するための自重補償機構を備える場合は、前記制御手段は、前記各計測手段の原点出しを、その計測手段に対応する所定の突当て部に対して該当する駆動手段により該当するステージを突き当て、その駆動手段の負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時、前記自重補償機構の動作を停止させ、その時から一定時間その駆動手段の出力を所定の値に保持した後、計測手段を初期化することにより行うものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の原点出し方法は、Z軸方向、Z軸回りの回転方向であるθ方向、およびZ軸に対する傾き方向に移動可能に設けられた微動ステージのθ方向位置を得るθ位置測定手段について、原点出しを行うに際して、前記微動ステージのZ軸方向および傾き方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態において、前記θ位置測定手段の原点出しを行うことを特徴とする。θ位置測定手段は、例えば、少なくとも2つの測定軸上における前記微動ステージ部分の位置を計測し、その計測結果から前記微動ステージのθ方向位置を得ることができる。
【0013】
また、前記微動ステージを搭載してXおよびY方向に移動可能なXYステージのXおよびY方向の位置を測定するXおよびY位置計測手段の原点出しを、前記θ位置測定手段の原点出しを行った後に、前記微動ステージのZ軸方向、傾き方向およびθ方向の位置を所定の基準位置に保持した状態において行うことを特徴とする。
【0014】
前記微動ステージの少なくとも3点におけるZ軸方向位置を計測するZ位置計測手段の原点出しを、前記θ位置測定手段の原点出しの前に行うことを特徴とする。
【0015】
これらの場合において、前記各計測手段の原点出しは、その計測手段に対応する所定の突当て部に対して該当する駆動手段により該当するステージを突き当て、その駆動手段の負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時から一定時間その駆動手段の出力を所定の値に保持した後、計測手段を初期化することにより行うことを特徴とする。
【0016】
前記Z軸方向は鉛直方向を向いており、その方向へ前記微動ステージをZ駆動手段により移動させる際に、その方向への重力による負荷を補償するための自重補償を行う場合においては、前記Z位置計測手段の原点出しを、対応する所定の突当て部に対して前記Z駆動手段により前記微動ステージを突き当て、前記Z駆動手段の負荷が一定値を超えた時、または前記微動ステージの速度が一定値以下になった時、前記自重補償を停止させ、その時から一定時間前記Z駆動手段の出力を所定の値に保持した後、前記Z位置計測手段を初期化することにより行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の露光装置は、上述のようなステージ装置を備え、そのZ軸方向は露光光軸の方向に一致し、そしてそのステージ装置上に被露光基板を搭載することを特徴とする。
【0018】
また、本発明のデバイス製造方法は、露光装置上に設けられ、露光光軸をZ軸方向とする微動ステージについて、上述のような方法により原点出しを行い、その後、前記微動ステージ上に載置した被露光基板について露光を行うことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る露光装置を側方から見た様子を模式的に示す図であり、図2は、その露光装置の外観を示す斜視図である。これらの図に示すように、この露光装置はレチクルのパターンの一部を投影光学系2を介して、XYステージ装置3上に設けられた微動ステージ装置80上のウエハに投影し、投影光学系2に対し相対的にレチクルとウエハをY方向に同期走査することによりレチクルのパターンをウエハに露光するとともに、この走査露光を、ウエハ上の複数領域に対して繰り返し行うためのステップ移動を介在させながら行うステップ・アンド・スキャン型の露光装置である。
【0020】
レチクルの走査方向(Y方向)への移動は、レチクル側ステージ装置によって行われ、このステージ装置は、固定子4aと可動子4bとの間で推力を付与することにより可動子4bを走査方向へ移動させるリニアモータ4を備え、可動子4bにレチクルステージ1が結合している。固定子4aは第1の支持手段101によりY方向には自由度をもたせて支持される。そして、第2の支持手段105によりY方向について剛に、他の方向について柔に支持される。この第2支持手段105は、ベースフレーム10から上方に伸びた柱部103、および柱部103からY方向に伸び、固定子4aをY方向について剛に、他の方向について柔に支持する一軸支持手段102を有する。
【0021】
レチクルステージ1はリニアモータ4によってY方向へ駆動し、XYステージ装置3のXステージ3aはリニアモータ5によってX方向に駆動し、Yステージ3bはリニアモータ6によってY方向へ駆動するようになっている。レチクルおよびウエハの同期走査は、レチクルステージ1およびYステージ3bをY方向へ一定の速度比率(例えば4:1)で駆動させることにより行う。また、X方向へのステップ移動はXステージ3aにより行う。
【0022】
XYステージ装置3は、ステージ定盤7上に設けられ、ステージ定盤7は3つのダンパ8を介して3点で床等の上に支持されている。第1支持手段101および投影光学系2は鏡筒定盤9上に設けられ、鏡筒定盤9はベースフレーム10上に3つのダンパ11および支柱12を介して支持されている。ダンパ8は6軸方向にアクティブに制振もしくは除振するアクティブダンパであるが、パッシブダンパを用いてもよく、あるいはダンパを介せずに支持してもよい。
【0023】
この構成において、不図示の搬送手段により、装置前部の2つの支柱12間の搬送経路を経てXYステージ装置3上にウエハが搬入され、所定の位置合せが終了すると、露光装置は、走査露光およびステップ移動を繰り返しながら、ウエハ上の複数の露光領域に対してレチクルのパターンを露光転写する。走査露光に際しては、レチクルステージ1およびYステージ3bをY方向(走査方向)へ、所定の速度比で移動させて、スリット状の露光光でレチクル上のパターンを走査するとともに、その投影像でウエハを走査することにより、ウエハ上の所定の露光領域に対してレチクル上のパターンを露光する。1つの露光領域に対する走査露光が終了したら、Xステージ3aをX方向へ駆動してウエハをステップ移動させることにより、他の露光領域を走査露光の開始位置に対して位置決めし、走査露光を行う。なお、このX方向へのステップ移動と、Y方向への走査露光のための移動との組合せにより、ウエハ上の複数の露光領域に対して、順次効率良く露光が行なえるように、各露光領域の配置、Yの正または負のいずれかへの走査方向、各露光領域への露光順等が設定されている。
【0024】
図3は微動ステージ装置80の断面図、図4は微動ステージ装置80の平面図である。微動ステージ装置80は本発明のステージ装置の一実施形態に係るものである。
【0025】
微動ステージ装置80は、これらの図に示すように、Z軸方向、Z軸回りの回転方向であるθ方向、およびZ軸に対する傾き方向に移動可能に設けられた微動ステージ81と、微動ステージ81を前記各方向に移動させるリニアモータ82および83と、少なくとも2つの測定軸上における微動ステージ81部分の位置を計測し、その計測結果から微動ステージ81のθ方向位置およびY方向位置を得るための、図示していない2つのYレーザ干渉計と、この2つのYレーザ干渉計およびリニアモータ82および83等を制御する、図示していない制御手段を備えている。この制御手段は、微動ステージ81のZ軸方向および傾き方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態で前記2つのレーザ干渉計についてのθ方向位置についての実質的な原点出し等を行うものである。
【0026】
微動ステージ81は、Xステージ3a(図1)上に固定された台盤91上に、固定部材84、案内部材85を介して取り付けられている。固定部材84は、台盤92上に固定され、案内部材85は微動ステージ81に固定されている。案内部材85は、固定部材84により、Z軸方向、θ方向、およびZ軸に対する傾き方向に移動可能に案内されている。固定部材84上の案内面には多孔質パッド86が設けられており、ここから空気流を供給することにより微動ステージ81は非接触で案内される。
【0027】
3つのリニアモータ82は、可動子82aが案内部材85に固定され、固定子82bが台盤92に固定されており、3点において案内部材85をZ方向へ駆動し、それにより微動ステージ81を台盤92に対してZ方向に駆動し、およびZ軸に対して傾けることができる。リニアモータ83は、可動子83aが案内部材85に固定され、固定子83bが台盤92に固定されており、微動ステージ81を、台盤92に対してθ方向へ駆動する。
【0028】
微動ステージ81上には、微動ステージ81のθ方向位置およびY方向位置を得るための上述の2つのYレーザ干渉計によって参照されるYミラー87、および微動ステージ81のX方向位置を測定するためのXレーザ干渉計によって参照されるXミラー88が固定されている。
【0029】
各リニアモータ82の近傍には、台盤92に固定された変位センサ89が設けられており、これらにより各リニアモータ82近傍における微動ステージ81のZ方向の変位が測定される。変位センサ89としてはリニアエンコーダ等を用いることができる。
【0030】
固定部材84と案内部材85との間には予圧室90が設けられており、リニアモータ82の駆動時に予圧室90内に予圧を付与することにより、微動ステージ81等にかかる重力によるリニアモータ82への負荷を補償するようになっている。
【0031】
また、固定部材84および案内部材85には、各リニアモータ82近傍の3個所において突当て部91aおよび91bが設けられており、これらを突き当てることにより、微動ステージ81を所定のZ方向位置および傾きに保持することができる。
【0032】
図5は、微動ステージ装置80およびXYステージ装置3における原点出し動作のフローチャトである。原点出し動作の制御は図示しない制御手段が行う。原点出しは、まず、Z方向の位置を計測する各変位センサ89について行う。すなわち同図に示すように、まず、微動ステージ81が下降するように各リニアモータ82を駆動し(ステップS1)、突当て部91aおよび91bを相互に突き当てて、各リニアモータ82の負荷が所定の値を超えたことを検出する(ステップS2)。これが検出されたら、各リニアモータ82の出力を一定に保持するとともに予圧室90への予圧付与を停止し、この状態で所定時間が経過するのを待つ(ステップS3)。所定定時間が経過したら各変位センサ89を初期化して各変位センサ89の原点出しを終了するとともに、原点出しされた各変位センサ89を用い、各リニアモータ82を駆動して、微動ステージ81を所定の基準位置へ移動させる(ステップS4)。
【0033】
なお、ステップS3において、予圧室90への予圧付与を停止するのは、予圧の変動等によって、突当て力が一定せずに、正確な突当て位置を確保できなくなることを防止するためである。また、ステップS2において、リニアモータ82の負荷が所定の値を超えたことを検出する代わりに、微動ステージ81の速度が一定値以下になったことを検出するようにしてもよい。
【0034】
次に、XおよびYレーザ干渉計についての原点出しを行う。すなわち、ステップS4の基準位置を保持しながら、リニアモータ83を駆動し、微動ステージ81をθ方向に回転させて、図示しない突当て部材に突き当て(ステップS5、S6)、リニアモータ83の負荷が所定値を超えたことを検出する(ステップS7)。これが検出されたら、リニアモータ83の出力を一定に保持し、所定時間が経過するのを待つ(ステップS8)。所定時間が経過したら、その時の2つのYレーザ干渉計およびXレーザ干渉計の計測位置を仮の原点とする(ステップS9)。これにより、2つのYレーザ干渉計の、θ方向についてのセンサとしての実質的な原点出しが行われたことになる。この後、リニアモータ83を駆動して微動ステージ81のθ方向位置を所定の基準位置とする(ステップS9)。なお、ステップS7において、リニアモータ83の負荷が所定の値を超えたことを検出する代わりに、微動ステージ81の回転速度が一定値以下になったことを検出するようにしてもよい。
【0035】
このように、Z軸方向の各変位センサ89の原点出しを行ってから、θ方向位置についての原点出しを行うことにより、Z軸方向位置およびZ軸に対する傾きを常に所定の値にした状態で、2つのYレーザ干渉計の、θ方向についての実質的な原点出しを行うことができる。このため、原点出しにおけるYレーザ干渉計の計測に際して、図8に示されるようなYミラー87の傾きによるアッベエラーの影響を排除し、原点出しを常に正確に行うことができる。
【0036】
次に、θ方向位置を前記基準位置に保持したまま、Xステージ3aおよびYステージ3bをそれぞれXおよびY方向の原点センサの方へ移動させ(ステップS10、S11)、それぞれについて原点センサを超えたことを検出し、Xステージ3aが原点センサを超えた時はXレーザ干渉計を初期化してXステージ3aを停止し、Yステージ3bが原点センサを超えた時は2つのYレーザ干渉計を初期化してYステージ3bを停止する(ステップS12〜S19)。これにより、XおよびYレーザ干渉計についての原点出しが完了する。
【0037】
このように、Z軸方向の各変位センサ89の原点出し、および2つのYレーザ干渉計のθ方向についての実質的な原点出しを行ってから、XおよびYレーザ干渉計についてのX軸方向およびY軸方向についての原点出しを行うことにより、Xミラー88およびYミラー87の位置および姿勢を常に所定の値にした状態で原点出しを行うことができる。すなわち、図8や図9に示されるような、Xミラー88およびYミラー87のZ軸に対する傾きやθ方向位置の変動によるアッベエラーの影響をすべて排除し、原点出しを常に正確に行うことができる。
【0038】
なお、θ軸用のセンサとして、2本レーザ干渉計の他に、原点出しの時にだけ使用する微動ステージと台盤間のθ軸方向の変位を計測する変位センサを設けても良い。この場合、θ軸の原点出し動作時からY軸レーザ干渉計の初期化までは、θ軸の制御に原点出し用変位センサを使用する。Y軸レーザ干渉計の初期化の時は、θ軸を原点出し用変位センサによって基準位置に保持し、初期化後に干渉計を用いたθ軸制御に切り替える。
【0039】
θの原点出しをするときは、XYの原点出しが終わっていないため、XY軸上のどの位置にいるのかが分からず、ミラーに対してレーザが当たっている位置も不明である。ミラーには加工上のゆがみやそりがあるため、レーザ基準でθ軸制御をかけると、XY原点に移動していく過程で、ミラーのゆがみなどに従ってθ軸も回転してしまい、レーザの初期化時に正確な基準位置に保持されていない可能性がある。上記のようにXY軸の移動の影響を受けないθ原点出し用センサを用いることにより、正確な原点出しが可能となる。
また、θ計測用に、Y軸方向の2本のレーザでなく、X軸方向の2本のレーザを使うようにしても良い。
【0040】
次に、この露光装置を利用することができるデバイス製造例を説明する。図10は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ31(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ32(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ33(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ34(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ35(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ34によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ36(検査)では、ステップ35で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ37)する。
【0041】
図11は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ41(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ42(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ43(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ44(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ45(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ46(露光)では、上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ47(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ48(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ49(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【0042】
本実施形態の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストで製造することができる。
【0043】
[実施形態2]
図6は本発明の第2の実施形態に係る露光装置のステージ装置における原点出し動作を示すフローチャートである。実施形態1の場合とハード構成の面で異なるのは、θ方向位置を測定する2本のYレーザ干渉計の代わりに、θ方向位置を測定する、図示しないθセンサを用い、また、XステージおよびYステージの位置を計測するXレーザ干渉計およびYレーザ干渉計の代わりに、XステージおよびYステージの位置を計測するXセンサおよびYセンサを用いた点にある。
【0044】
動作上は、図6に示されるように、図5のステップS9においてレーザ干渉計の計測値を仮の原点とする代わりに、ステップS109においてθセンサを初期化するようにすればよい。また、図5のステップS14、S15、S18およびS19においてXレーザまたはYレーザを初期化する代わりに、ステップS114、S115、S118およびS119においてXセンサまたはYセンサを初期化するようにすればよい。
【0045】
[実施形態3]
図7は、本発明の第3の実施形態に係る露光装置のステージ装置における原点出し動作を示すフローチャートである。実施形態2の場合とハード構成の面で異なるのは、微動ステージ81が所定の位置および姿勢にあることを検出するために、突当て部91a、91b等の突き当てによらず、原点センサにより検出するようにした点にある。すなわち、突当て部91a、91bの代わりに、微動ステージ81をZ方向へ移動させた際に、各リニアモータ82近傍の微動ステージ81上の3点がそれぞれ所定のZ軸方向位置を通過したことを検出するZ原点センサを設けるとともに、θ方向の突当て部材の代わりに、微動ステージ81をθ方向へ移動させた際に、微動ステージ81上の所定の1点が所定のθ方向位置を通過したことを検出するθ原点センサを設けるようにしている。
【0046】
この場合、Z方向の位置を計測する各変位センサ89の原点出しは、まず、微動ステージ81が各Z原点センサの方向へ移動するように各リニアモータ82を駆動し(ステップS21)、各Z原点センサが微動ステージ81上の所定の3点がそれぞれ各Z原点センサの検出点を通過したことを検出する(ステップS22)。これが各Z原点センサについて検出された時、対応する各変位センサ89を初期化して各変位センサ89の原点出しを終了するとともに、原点出しされた各変位センサ89を用い、各リニアモータ82を駆動して、微動ステージ81を所定の基準位置へ移動させる(ステップS4)。
【0047】
次に、θセンサについて原点出しを行う。すなわち、ステップS4の基準位置を保持しながら、リニアモータ83を駆動し、微動ステージ81をθ方向に回転させて、微動ステージ81上の所定点がθ原点センサの検出点を通過したことを検出する(ステップS27)。これが検出されたら、θセンサを初期化してθセンサの原点出しを完了するとともに、リニアモータ83を駆動して微動ステージ81のθ方向位置を所定の基準位置とする(ステップS109)。
【0048】
この後、ステップS10以降において、図6の場合と同様にして、XおよびYレーザ干渉計についての原点出しを行う。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、微動ステージのZ軸方向および傾き方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態において、θ位置測定手段の原点出しを行うようにしたため、θ位置測定手段の原点出しを正確に行うことができる。その際、Z位置計測手段の原点出しを、θ位置測定手段の原点出しの前に行うようにしたため、θ位置測定手段の原点出しをより正確に行うことができる。特に、θ位置測定手段が、2つの測定軸上で計測して微動ステージのθ方向位置を得るものである場合も、その原点出しを正確に行うことができる。
【0050】
また、θ位置測定手段の原点出しを行った後、Z軸方向、傾き方向およびθ方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態でXおよびY位置計測手段の原点出しを行うようにしたため、XおよびY位置計測手段の原点出しを正確に行うことができる。
【0051】
また、ステージを突き当て、その負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時から一定時間その駆動手段の出力を保持した後、計測手段を初期化するようにしたため、原点出しをより正確に行うことができる。
【0052】
また、Z駆動手段が自重補償を行う場合においては、Z位置計測手段の原点出しを、微動ステージを突き当て、Z駆動手段の負荷が一定値を超えた時、または微動ステージの速度が一定値以下になった時、前記自重補償を停止させ、その時から一定時間前記Z駆動手段の出力を保持した後、Z位置計測手段を初期化するようにしたため、Z位置計測手段の原点出しを、より正確に行うことができる。
【0053】
また、このように正確な原点出しが行えるステージ装置を備えるため、本発明の露光装置によれば、被露光基板の位置決め精度や走査方向への移動精度をより向上させることができる。
【0054】
また、上述のような正確な原点出しを行い、その後、微動ステージ上に載置した被露光基板について露光を行うようにしたため、本発明のデバイス製造方法によれば、より精度の高い露光パターンによるデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る露光装置を側方から見た様子を模式的に示す図である。
【図2】 図1の露光装置の外観を示す斜視図である。
【図3】 図1の装置の微動ステージ装置の断面図である。
【図4】 図1の装置の微動ステージ装置の平面図である。
【図5】 図1の装置における微動ステージ装置およびXYステージ装置における原点出し動作のフローチャートである。
【図6】 本発明の第2の実施形態に係る露光装置のステージ装置における原点出し動作を示すフローチャートである。
【図7】 本発明の第3の実施形態に係る露光装置のステージ装置における原点出し動作を示すフローチャートである。
【図8】 微動ステージにおけるZ軸方向に対する傾きによるアッベエラーを示す図である。
【図9】 微動ステージにおけるθ方向への傾きによるアッベエラーを示す図である。
【図10】 図1の装置により製造し得る微小デバイスの製造の流れを示すフローチャートである。
【図11】 図10におけるウエハプロセスの詳細な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:レチクルステージ、2:投影光学系、3:XYステージ、4:リニアモータ、4a:固定子、4b:可動子、3a:Xステージ、3b:Yステージ、6:リニアモータ、7:ステージ定盤、8:ダンパ、9:鏡筒定盤、10:ベースフレーム、11:ダンパ、12:支柱、13:距離測定手段、80:微動ステージ装置、81:微動ステージ、82,83:リニアモータ、91:台盤、84:固定部材、85:案内部材、86:多孔質パッド、82a,83a:可動子、82b,83b:固定子、87:Yミラー87、88:Xミラー、89:変位センサ、90:予圧室、91a,91b:突当て部。

Claims (18)

  1. Z軸方向、Z軸回りの回転方向であるθ方向、およびZ軸に対する傾き方向に移動可能に設けられた微動ステージと、この微動ステージを前記各方向に移動させる駆動手段と、前記微動ステージのθ方向位置を測定するθ位置測定手段と、前記駆動手段およびθ位置測定手段を制御する制御手段とを備えたステージ装置において、前記制御手段は、前記微動ステージのZ軸方向および傾き方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態で前記θ位置測定手段の原点出しを行うものであることを特徴とするステージ装置。
  2. 前記θ位置測定手段は、2つの測定軸上における前記微動ステージ部分の位置を計測し、その計測結果から前記微動ステージのθ方向位置を得るものであることを特徴とする請求項1記載のステージ装置。
  3. 前記θ位置測定手段は2つのレーザ干渉計を有する請求項2のステージ装置。
  4. 前記θ位置測定手段は更に原点出し時に用いる変位センサを有する請求項3のステージ装置。
  5. 前記微動ステージを搭載してXおよびY方向に移動可能なXYステージ、このXYステージをXおよびY方向に移動させる駆動手段、ならびに前記微動ステージのXおよびY方向位置をそれぞれ所定の測定軸上における前記XYステージ部分の位置を計測することにより行うXおよびY位置計測手段とを備え、前記制御手段は、前記θ位置測定手段の原点出しを行った後、前記Z軸方向、傾き方向およびθ方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態で前記XおよびY位置計測手段の原点出しを行うものであることを特徴とする請求項1または2記載のステージ装置。
  6. 前記微動ステージの少なくとも3点におけるZ方向位置を計測するZ位置計測手段を備え、前記制御手段は、前記θ位置測定手段の原点出しを行う前に、前記Z位置計測手段の原点出しを行うものであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のステージ装置。
  7. 前記Z位置計測手段はエンコーダを有する請求項6のステージ装置。
  8. 露光装置の露光光軸の方向であるZ軸方向に垂直なX軸方向に移動可能なXステージと、前記Xステージ上において、被露光基板を保持して前記Z軸方向に移動可能なZステージと、このZステージをZ軸方向に移動させる駆動手段と、前記Zステージの前記Z軸方向位置を測定するZ位置計測手段とを備えたステージ装置において、前記Zステージを前記Xステージに対し所定の基準位置に保持した状態で、前記X位置計測手段の原点出しを行う制御手段を具備することを特徴とするステージ装置。
  9. 前記制御手段は、前記各計測手段の原点出しを、その計測手段に対応する所定の突当て部に対して該当する駆動手段により該当するステージを突き当て、その駆動手段の負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時から一定時間その駆動手段の出力を所定の値に保持した後、計測手段を初期化することにより行うものであることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載のステージ装置。
  10. 前記Z軸方向は鉛直方向を向いており、前記駆動手段はZ軸方向への移動に際し、その方向への重力による負荷を補償するための自重補償機構を備え、前記制御手段は、前記各計測手段の原点出しを、その計測手段に対応する所定の突当て部に対して該当する駆動手段により該当するステージを突き当て、その駆動手段の負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時、前記自重補償機構の動作を停止させ、その時から一定時間その駆動手段の出力を所定の値に保持した後、計測手段を初期化することにより行うものであることを特徴とする請求項6または8項記載のステージ装置。
  11. Z軸方向、Z軸回りの回転方向であるθ方向、およびZ軸に対する傾き方向に移動可能に設けられた微動ステージのθ方向位置を得るθ位置測定手段について原点出しを行うに際して、前記微動ステージのZ軸方向および傾き方向の位置を所定の基準位置に保持し、その状態において、前記θ位置測定手段の原点出しを行うことを特徴とする原点出し方法。
  12. 前記θ位置測定手段は、前記微動ステージの部分の位置を、少なくとも2つの測定軸上で計測し、その計測結果から前記微動ステージのθ方向位置を得ることを特徴とする請求項11記載の原点出し方法。
  13. 前記微動ステージを搭載してXおよびY方向に移動可能なXYステージのXおよびY方向の位置を測定するXおよびY位置計測手段の原点出しを、前記θ位置測定手段の原点出しを行った後に、前記微動ステージのZ軸方向、傾き方向およびθ方向の位置を所定の基準位置に保持した状態において行うことを特徴とする請求項11または12記載の原点出し方法。
  14. 前記微動ステージの少なくとも3点におけるZ軸方向位置を計測するZ位置計測手段の原点出しを、前記θ位置測定手段の原点出しの前に行うことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の原点出し方法。
  15. 前記各計測手段の原点出しは、その計測手段に対応する所定の突当て部に対して該当する駆動手段により該当するステージを突き当て、その駆動手段の負荷が一定値を超えた時、またはそのステージの速度が一定値以下になった時から一定時間その駆動手段の出力を所定の値に保持した後、計測手段を初期化することにより行うことを特徴とする請求項11〜14いずれかに記載の原点出し方法。
  16. 前記Z軸方向は鉛直方向を向いており、その方向へ前記微動ステージをZ駆動手段により移動させる際に、その方向への重力による負荷を補償するための自重補償を行う場合においては、前記Z位置計測手段の原点出しを、対応する所定の突当て部に対して前記Z駆動手段により前記微動ステージを突き当て、前記Z駆動手段の負荷が一定値を超えた時、または前記微動ステージの速度が一定値以下になった時、前記自重補償を停止させ、その時から一定時間前記Z駆動手段の出力を所定の値に保持した後、前記Z位置計測手段を初期化することにより行うことを特徴とする請求項14記載の原点出し方法。
  17. 請求項1〜10のいずれかのステージ装置を備え、そのZ軸方向は露光光軸の方向に一致し、そしてそのステージ装置上に被露光基板を搭載することを特徴とする露光装置。
  18. 露光装置上に設けられ、露光光軸をZ軸方向とする微動ステージについて請求項11〜16のいずれかの方法により原点出しを行い、その後、前記微動ステージ上に載置した被露光基板について露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
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