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JP3689510B2 - 露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents

露光装置およびデバイス製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、設計パターンを基板上のレジストに露光して半導体デバイス等を製造するために用いられる露光装置、およびそれを用い得るデバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような露光装置としては、ウエハ等の基板をステップ移動させながら基板上の複数の露光領域にマスクパターンを投影光学系を介して順次露光するステッパや、投影光学系に対し相対的にマスクと基板とを移動させ、マスクと基板をスリット状の露光光によって走査することによりマスクパターンを基板上に走査露光する走査型の露光装置等が知られている。
【0003】
また、近年、より高精度で微細なパターンの露光が行えるように、前記ステップ移動と走査露光とを繰り返すことにより、基板上の複数の領域に高精度で微細なパターンの露光を行う、ステップ・アンド・スキャン型の露光装置が提案されている。この露光装置では、スリットにより制限して投影光学系の比較的光軸に近い部分のみを使用しているため、より高精度で微細なパターンの露光が可能となっている。走査露光に際しては、レチクルステージやウエハステージを走査方向等に対して精密に制御しながら、移動させるために、レーザ干渉計を用いてこれらのステージ位置をモニタするようにしている。また、投影光学系のフォーカス位置にウエハを位置させるために、ウエハ上に測定光を投光手段により投光し、ウエハで反射される測定光を受光手段により受光して、ウエハ面の位置を検出するようにしている。さらに、レーザ干渉計による測長光路や、ウエハ面位置を検出するための測定光の光路を、空調手段により空調して測定精度を高めるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような走査型の露光装置においては、より高精度で微細なパターンの露光を実効あるものとするためには、レチクルステージやウエハステージの位置の測定精度、あるいはウエハ面の位置の検出精度が不十分であるという問題がある。また、レチクルステージを走査方向に移動する際の加減速時により生じる振動が収束してから、走査露光を行う必要があるが、この振動の収束までにかなりの時間を要し、これが生産性を低下させているという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、露光装置およびそれを用い得るデバイス製造方法において、原版ステージの加減速による振動を減少させ、生産性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明の露光装置は、原版を移動させる原版ステージと、基板を移動させる基板ステージと、原版のパターンを基板上に投影する投影光学系とを有し、原版ステージと基板ステージを走査方向に移動させながら原版のパターンを基板上に投影して露光を行う走査型露光装置において、投影光学系および原版ステージが設けられた鏡筒定盤と、複数の支柱を有し各支柱の上のダンパを介して鏡筒定盤を支持するベースフレームとを備え、このベースフレームは、その支柱間をそれらの上部において結合する結合部材を具備することを特徴とする。
【0007】
好ましい態様においては、支柱の数は3本であり、結合部材は、各支柱上のダンパより上でかつダンパに隣接した高さに位置し、かつ、上から見た場合、各支柱およびその上のダンパをそれらにほぼ接してそれらを囲い込むような寸法および形状を有するほぼ三角形状の部材と、この部材および各支柱の上端との間を、各支柱のダンパの外側を経て結合する部材とを有することを特徴とする。この場合、鏡筒定盤の底部は、前記三角形状の部材に嵌合させて、各ダンパ上に配置することができる。
【0015】
本発明のデバイス製造方法は、原版と基板を走査方向に移動させながら原版のパターンを投影光学系を介して基板上に投影して走査露光することによりデバイスを製造するに際し、原版を移動させる原版ステージおよび投影光学系が設けられた鏡筒定盤を、ベースフレーム上の複数の支柱によりそれらの上のダンパを介して支持するとともに、それらの支柱間をそれらの上部において結合部材により結合することを特徴とする。
【0016】
この場合、好ましくは、支柱の数は3本であり、結合部材は、各支柱上のダンパより上でかつダンパに隣接した高さに位置し、かつ、上から見た場合、各支柱およびその上のダンパをそれらにほぼ接してそれらを囲い込むような寸法および形状を有するほぼ三角形状の部材と、この部材および各支柱の上端との間を、各支柱のダンパの外側を経て結合する部材とを有する。この場合、鏡筒定盤の底部を、前記三角形状の部材に嵌合して、各ダンパ上に配置することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る露光装置を側方から見た様子を模式的に示す図であり、図2は、その露光装置の外観を示す斜視図である。これらの図に示すように、この露光装置はレチクルのパターンの一部を投影光学系2を介して、XYステージ装置3上に設けられた微動ステージ80上のウエハに投影し、投影光学系2に対し相対的にレチクルとウエハをY方向に同期走査することによりレチクルのパターンをウエハに露光するとともに、この走査露光を、ウエハ上の複数領域に対して繰返し行うためのステップ移動を介在させながら行なうステップ・アンド・スキャン型の露光装置である。
【0025】
レチクルの走査方向(Y方向)への移動は、レチクル側ステージ装置によって行われ、このステージ装置は、固定子4aと可動子4bとの間で推力を付与することにより可動子4bを走査方向へ移動させるリニアモータ4を備え、可動子4bにレチクルステージ1が結合している。固定子4aは第1の支持手段101によりY方向には自由度をもたせて支持される。そして、第2の支持手段105によりY方向について剛に、他の方向について柔に支持される。この第2支持手段105は、ベースフレーム10から上方に伸びた柱部103、および柱部103からY方向に伸び、固定子4aをY方向について剛に、他の方向について柔に支持する一軸支持手段102を有する。
【0026】
レチクルステージ1はリニアモータ4によってY方向へ駆動し、XYステージ装置3のXステージ3aはリニアモータ5によってX方向に駆動し、Yステージ3bはリニアモータ6によってY方向へ駆動するようになっている。レチクルおよびウエハの同期走査は、レチクルステージ1およびYステージ3bをY方向へ一定の速度比率(例えば4:1)で駆動させることにより行なう。また、X方向へのステップ移動はXステージ3aにより行なう。
【0027】
XYステージ装置3は、ステージ定盤7上に設けられ、ステージ定盤7は3つのダンパ8を介して3点で床等の上に支持されている。第1支持手段101および投影光学系2は鏡筒定盤9上に設けられ、鏡筒定盤9はベースフレーム10上に3つのダンパ11および支柱12を介して支持されている。ダンパ8は6軸方向にアクティブに制振もしくは除振するアクティブダンパであるが、パッシブダンパを用いてもよく、あるいはダンパを介せずに支持してもよい。
【0028】
この構成において、不図示の搬送手段により、装置前部の2つの支柱12間の搬送経路を経てXYステージ装置3上にウエハが搬入され、所定の位置合せが終了すると、露光装置は、走査露光およびステップ移動を繰り返しながら、ウエハ上の複数の露光領域に対してレチクルのパターンを露光転写する。走査露光に際しては、レチクルステージ1およびYステージ3bをY方向(走査方向)へ、所定の速度比で移動させて、スリット状の露光光でレチクル上のパターンを走査するとともに、その投影像でウエハを走査することにより、ウエハ上の所定の露光領域に対してレチクル上のパターンを露光する。1つの露光領域に対する走査露光が終了したら、Xステージ3aをX方向へ駆動してウエハをステップ移動させることにより、他の露光領域を走査露光の開始位置に対して位置決めし、走査露光を行なう。なお、このX方向へのステップ移動と、Y方向への走査露光のための移動との組合せにより、ウエハ上の複数の露光領域に対して、順次効率良く露光が行なえるように、各露光領域の配置、Yの正または負のいずれかへの走査方向、各露光領域への露光順等が設定されている。
【0029】
図3は、レチクルステージ1、Xステージ3a、Yステージ3b、および微動ステージ装置80の駆動を制御するためにこれらのステージ位置を計測するための構成を模式的に示す。
【0030】
同図に示すように、この構成は、レチクルステージ1および微動ステージ80の位置をそれぞれ計測するためのレチクル側のレーザ干渉計31、32、33およびウエハ側のレーザ干渉計34、35、36とを備える。レチクル側のレーザ干渉計31、32とウエハ側のレーザ干渉計36はともに同一のレーザヘッド37からのレーザ光を用いる。また、レチクル側のレーザ干渉計33およびウエハ側のレーザ干渉計34、35はともに同一のレーザヘッド38からのレーザ光を用いる。レチクル側のレーザ干渉計31、32はレチクルステージ1のY軸方向(走査方向)位置およびZ軸回りのθ位置の計測に用いられ、レチクル側のレーザ干渉計33は、レチクルステージ1のX軸方向位置の計測に用いられる。ウエハ側のレーザ干渉計36は微動ステージ80のY軸方向位置の計測に用いられ、ウエハ側のレーザ干渉計34および35は、微動ステージ80のX軸方向位置およびZ軸回りのθ位置の計測に用いられる。また、図示はしていないが、各ステージ1、80上には、各レーザ干渉計からのその測長方向に沿った光を反射して各レーザ干渉計における計測を可能にするミラーが固定されている。これらのレーザ干渉計31〜36はいずれも鏡筒定盤9に固定されている。
【0031】
レーザヘッド37からY方向へ射出されるレーザ光は、反射ミラー39によってX方向に反射され、さらにビームスプリッタ40によってX方向とZ方向に分離される。分離されたX方向のレーザ光は、反射ミラー41によってY方向に反射され、レーザ干渉計36へ導かれる。分離されたZ方向のレーザ光は、反射ミラー42によってX方向へ反射され、さらにビームスプリッタ43によりX方向とY方向に分離される。分離されたX方向のレーザ光は、反射ミラー44によりY方向に反射されて、レーザ干渉計31へ導かれる。分離されたY方向のレーザ光は、そのままレーザ干渉計32に入射し、レーザ干渉計32によって用いられる。同様にして、レーザヘッド38からのレーザ光は、ビームスプリッタ45、46および反射ミラー47、48により分離され導かれて、各レーザ干渉計34、35、33で用いられる。
【0032】
走査露光に際しては、レーザ干渉計31または32によるレチクルステージ1のY方向位置の計測値をフィードバックして、リニアモータ4の駆動を制御することによりレチクルステージ1をY方向へ移動させる。また、レーザ干渉計36による微動ステージ80のY方向位置の計測値をフィードバックして、リニアモータ6の駆動を制御することにより、Yステージ3bをY方向へ移動させる。この際、レチクルステージ1とYステージ3bの移動は、上述のように、一定の速度比率(例えば4:1)となるように同期をとって行うことが必要である。この点、レーザ干渉計31または32と、レーザ干渉計36とは、同一のレーザヘッド37からのレーザ光を用いているため、レーザ光の変動による計測誤差が、レチクル側とウエハ側双方のレーザ干渉計において同一に生じる。したがって、レーザ光の変動に起因する同期ずれは生じない。
【0033】
また、この走査露光に際して、レチクルステージ1と微動ステージ80とは、θ方向およびX方向について、常に一定の位置関係を保持しなければならない。θ方向については、レーザ干渉計31、32によるレチクルステージ1のθ方向位置の計測値と、レーザ干渉計34、35による微動ステージ80のθ方向位置の計測値とに基づき、レチクルステージ1のθ方向位置の変動に追従するように微動ステージ80のθ方向位置を調整することにより、両ステージ間の所定の位置関係を保持する。また、X方向については、レーザ干渉計33によるレチクルステージ1のX方向位置の計測値と、レーザ干渉計34または35による微動ステージ80のX方向位置の計測値とに基づいて、レチクルステージ1のX方向位置の変動に追従するようにXステージ3aのX方向位置を調整することにより、両ステージ間の所定の位置関係を保持する。これらの場合においてもレチクル側およびウエハ側のレーザ干渉において、同一のレーザヘッドからの光を用いているため、双方のステージ間の位置関係を、レーザ光の変動に関係なく、正確に保持することができる。
【0034】
図4および図5はベースフレーム10を示す正面図および斜視図である。これらの図に示すように、ベースフレーム10は、各支柱12間をそれらの上部において結合する結合部材51を有する。なお、この結合部材51は図1および図2には示されていない。結合部材51は、各支柱12上のダンパ(図2のダンパ11)より上でかつダンパに隣接した高さに位置し、かつ、上から見た場合、各支柱12およびその上のダンパをそれらにほぼ接してそれらを囲い込むような寸法および形状を有するほぼ三角形状の部材52と、部材52および各支柱12の上端との間を、各支柱12上のダンパの外側を経て結合する部材53を有する。図4および図5では示していないが、鏡筒定盤9の底部は、三角形状の部材52に嵌合して、各ダンパ11上に配置されている。また、ベースフレーム10は床55から10cm程度離して支持し、ベースフレーム10下部の床55との間には、装置をチャンバ内に配置して空調する際の空気のリターン用のスペース54を確保している。
【0035】
このように、各支柱12間を結合部材51で結合することにより、ベースフレーム10の剛性を高め、レチクルステージ1の加減速時に鏡筒定盤9が大きく振動するのを防止することができる。したがって、レチクルステージ1の加速による鏡筒定盤9の振動が収束するまでの時間を短縮し、加速後、速やかに走査露光を行うことができる。また、リターン用のスペース54をベースフレーム10の下部に設けるようにしたため、チャンバ内のスペースを有効に利用することができ、また、チャンバ内の空調の均一化および高クリーン化を図ることができる。また、空調の均一化により、レーザ干渉計等の測定精度を向上させることができる。
【0036】
図6は本発明の第2の実施形態に係る投影露光装置の要部概略図である。同図において66は露光照明系であり、レチクル(フォトマスク)67を照明する。レチクル67の下面にはクロム蒸着等で形成した回路パターン68が設けてある。69はレチクル67を保持し、XYθ方向に移動可能なレチクルステージ(レチクルホルダ)である。レチクルホルダ4は、レチクル67を吸着保持して第1直交座標系のXY平面と平行な平面内の第2の直交座標系xyにて2次元移動する。なお、第2直交座標系xyの原点は、投影レンズ70の光軸である。
【0037】
投影レンズ(投影光学系)70は、露光照明系66によって照明されたレチクル67の回路パターン68をウエハ71に投影する。72はウエハホルダであり、ウエハ71を吸着保持している。73はθZチルトステージであり、ウエハホルダ72をZ軸回りに微少回転駆動(θ駆動)し、Z方向へ微少駆動(Z駆動)し、X軸とY軸回りに微少回転駆動(チルト駆動)する。74はXYステージであり、θZチルトステージ73を第1直交座標系XY方向へ2次元駆動する。
【0038】
75は干渉計ミラーであり、XYステージ74に固定されており、そのX方向位置を干渉計(レーザ干渉計)76でモニタするためのものである。なお、干渉計ミラー75と干渉計76はY方向についても同様に配置している。そして2つの干渉計76からのレーザ光が投影レンズ70の光軸上で一致するように設定している。干渉計ミラー75と干渉計76から得られる信号を用いてXYステージ制御系77によりウエハ71を常に所定の位置となるように位置決めする。即ち、XYステージ74の移動中あるいは静止中に装置に予め設定された第1直交座標系XYの原点である投影レンズ70の光軸に対するXYステージ74の位置を逐次計測して、これによりXYステージ制御系77によりXYステージ74を所定の位置に位置決めする。
【0039】
61は光フォーカス検出系であり、投光手段64および検出手段65を備え、ウエハ71の光軸方向の面位置を検出する。投光手段64はウエハ71に塗布したフォトレジストを感光させない光束78でウエハ71を斜方向から照射する。光束78はウエハ71で反射し検出手段65に入射するので、ウエハ71の光軸方向の面位置に従ってその入射位置も変化する。検出手段65は、光束78の入射位置を計測することにより、投影レンズ70を介さずに投影レンズ70とウエハ71との間の光軸方向の距離を計測する。
【0040】
即ち光フォーカス検出系61は投影レンズ70に対するウエハ71の表面の高さを検出し、その検出値が所定のベストフォーカス値Za(投影レンズ70の像面の高さを示す所定の指令値)になるように、θZチルトステージ73はウエハ71をZ駆動する。これによりレチクル67の回路パターン68の投影像をウエハ71の表面に結像する。即ち焦点合せをして常にコントラストの高い投影像が転写できるようにしている。なお所定のベストフォーカス値Zaの設定は、例えば回路パターン68の露光に先立って、所定のテストパターンをフォーカスを振りながら露光し、現像して、それらの解像の具合を評価して行なう。
【0041】
なお以降の説明の便宜上、光フォーカス検出系61の光束78は1本で示しているが、実際には複数本、例えば5本の光束を有しており、ウエハ71の傾斜(チルト)も測定し、投影像のどの像高においてもベストフォーカスになるようにθZチルトステージ73がウエハ71をチルト駆動する。
【0042】
図7は図6のAA断面で見たときの要部概略の平面図である。同図に示すように投光手段64、光束78、検出手段65は、第1直交座標系XYのX軸に対し時計回りに45度回転した方向に配列している。図7において、79は温調エア吹出しフィルタであり、不図示の温調ユニットから供給される温調エア80をウエハ71に向けて均一に吹出しする。なお温調エア80は、温調エア吹出しフィルタ79の開口部の全面に渡って吹出し温度が±0.05℃以下になるように制御されている。
【0043】
そして本実施形態の特徴は、温調エア80の吹出し方向が光フォーカス検出系61の光束78の方向と略直交していることにある。これにより、温調エア80は投光手段64と検出手段65との間では、上流から下流へ均一に流れ、下流側のよどんで温度変化した空気を巻き込む渦をつくることがほとんどない。
【0044】
このことを、投光手段64と検出手段65との間を拡大して示した図8により説明する。この図において、81は投光手段64から光束78が出射してくる出射ガラス面であり、光束78に対して直交している。82は検出手段65に光束78が入射する入射ガラス面であり、光束78に対して直交している。このため、出射ガラス面81、入射ガラス面82は共に温調エア80の吹出し方向と略平行になっている。よって、投光手段64と検出手段65との中間部はもとより、出射ガラス面81、入射ガラス面82の各境界面においても温調エア80は直進していく。なお、投光手段64と検出手段65のそれぞれの下流側に渦83が発生し、下流側のよどんで温度変化した空気を巻き込む渦となるが、出射ガラス面81、入射ガラス面82の前まで入り込んだ渦にはならない。また、上流側にも投光手段64と検出手段65のそれぞれに温調エア80がぶつかって、流れの乱れ84が発生するが、よどむことはないので温度変化は極めて少ない。よって流れの乱れ84からの空気が出射ガラス面81、入射ガラス面82の各境界面へ流れる温調エア80とたとえ混ざったとしてもその温度変化は極めて少ない。
【0045】
以上から光束78が通過していく空気の温度は投光手段64と検出手段65との間のすべてに渡って、温調エア吹出しフィルタ79からの吹出し温度とほとんど同じになっている。このため、検出手段65に入射する光束78の位置が、空気の温度の短期的な周期変動により発生するいわゆる「ゆらぎ」によって変動する量は、温調エア80の吹出し温度の制御精度の影響だけにほとんど限定されて、非常に小さくなっている。
【0046】
なお本実施形態において、温調エア80の吹出し方向が光フォーカス検出系61の光束78の方向と略直交しているとしたが、定性的にはできるだけ直交である方が効果が大きく望ましいものの、45度程度まで斜めに交差した略直交においても所望の効果が得られる。
【0047】
また本実施形態においては、光フォーカス検出系61すなわち投光手段64、光束78、検出手段65は、第1直交座標系XY軸に対し時計回りに45度回転した方向に配列しているが、その方向に限定される訳ではなく、要はその方向と温調エア80の吹出し方向が略直交していればどの方向でも構わないことは、以上の説明で明らかである。但し、本実施形態の方向に配列すると、2つの干渉計76からのレーザ光も温調エア80によって温調されて計測値の安定化が図られるので、温調エア吹出しフィルタ79を光フォーカス検出系61と干渉計76のそれぞれに個別に設ける必要がない。
【0048】
以上のことから、光フォーカス検出系61のフォーカス検出精度が向上する。なお、ここで言及していない他の構成としては、第1実施形態のものを採用することができる。
【0049】
図9は本発明の第3の実施形態に係る投影露光装置の要部慨略図である。同図は図6を側方から見た図に相当し、図6のものに対してじゃま板91のみを追加してある。じゃま板91は、温調エア吹出しフィルタ79の上部と投影レンズ70の下部を結ぶように設けられた板で、温調エア80が投影レンズ70の下部に、よりスムーズに流れるようにしている。このため、光フォーカス検出系61の光束78を通過していく空気の流速が上がり、その空気の温度安定性がより増して、光フォーカス検出系78のフォーカス検出精度がより向上する効果がある。なお、図9中、92はフィルタ79に接続した空調機、93はそのリターンダクトである。
【0050】
図10は本発明の第4の実施形態に係る投影露光装置の要部慨略図である。本実施形態の特徴は、投光手段64から出射してくる光束78と出射ガラス面81が直交せずに斜めであり、かつ検出手段65に入射していく光束78と入射ガラス面82も直交せずに斜めであり、かつ出射ガラス面81、入射ガラス面82は共に温調エア80の吹出し方向と略平行になっている。このため、光束78と温調エア80の吹出し方向が直交していないにもかかわらず、投光手段64と検出手段65との中間部はもとより、出射ガラス面81、入射ガラス面82の各境界面においても温調エア80は直進していく。すなわち、光束78と温調エア80の吹出し方向を斜めに交差させた場合においては、出射ガラス面81、入射ガラス面82を温調エア80の吹出し方向と略平行にすることにより、所望の効果が大きくなる。
【0051】
図11は本発明の第5の実施形態に係る投影露光装置における、投光手段64と検出手段65との間を拡大して示した図である。本実施形態の特徴は、投光手段64の出射ガラス面81および検出手段65の入射ガラス面82を平面ではなく円筒面状(あるいは球面状)にしていること、すなわちそれぞれをシリンドリカルレンズ(あるいは凸レンズ)86および85の凸面で構成することにある。これは投光手段64を、光源90およびマスク照明系89によりマスク88を照明し、マスク88に設けられたマーク94をマーク投影光学系87およびシリンドリカルレンズ(あるいは凸レンズ)86によりウエハ上に像95として投影する構成とし、検出手段65を、ウエハで反射した像92をシリンドリカルレンズ(あるいは凸レンズ)85およびマーク受光光学系84にて受光素子83に結像するように構成することで実現できる。このように、出射ガラス面81および入射ガラス面82を円筒面状(あるいは球面状)にすると、光束78と温調エア80の吹出し方向が斜めに交差していても、出射ガラス面81、入射ガラス面82の各境界面において温調エア80はかい離することなく滑らかに流れていく。すなわち、光束78と温調エア80の吹出し方向を斜めに交差させた場合においても、所望の効果が大きく、斜めにできる範囲が広くなる効果がある。
【0052】
図12は本発明の第6の実施形態に係る投影露光装置における光フォーカス検光系を示す。同図に示すように、この装置では、出射ガラス面81、入射ガラス面82は第2実施形態と同様に平面であるが、その前後に曲面部材96を設けて第5実施形態と同様の効果を得るようにしている。
【0053】
図13は本発明の第7の実施形態に係る投影露光装置における空調の様子を示す模式図である。同図に示すように、空調は、レチクル側のレーザ干渉計31、32、33およびウエハ側のレーザ干渉計34、35、36(図3)によるそれぞれの計測光路上を別個の空調機92および94によって行う。空調機62のリターン用の通路93は、図4で示したように、ベースフレーム10の下に設けられている。79および95は、それぞれ空調機92および94の、温調エアの吹出し口である。なお、ここで言及していない構成や、図13で示されていない構成としては、第1実施形態の構成を採用することができる。
【0054】
レチクル側のレーザ干渉計の計測光路と、ウエハ側のレーザ干渉計による計測光路は、図1や2に示されるように鏡筒定盤9を介してかなり離れているため、1つの空調機あるいは吹出し口により各計測光路を均一に空調するのは困難であるが、本実施形態のように、レチクル側とウエハ側の計測光路を別個に空調することにより、レチクル側とウエハ側の計測光路をより均一に空調することができる。
【0055】
さらに、露光装置は、露光待機時においても、レチクルステージ69およびXYステージ74を移動し続ける。これにより、レチクル側およびウエハ側の各計測光路上の空気がかき混ぜられ、周囲との温度差が一定に保持される。また、レチクルステージ69およびXYステージ74を移動するリニアモータの発熱量が一定に保たれる。したがって、各計測光路上の温度安定性が向上し、高精度な計測が可能となる。
【0056】
次に、以上の各形態の露光装置を利用することができるデバイス製造例を説明する。図14は、微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ31(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ32(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ33(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ34(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ35(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ34によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ36(検査)では、ステップ35で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ37)する。
【0057】
図15は、上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ41(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ42(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ43(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ44(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ45(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ46(露光)では、上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ47(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ48(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ49(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによってウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【0058】
この製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストで製造することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、原版を移動させる原版ステージおよび投影光学系が設けられた鏡筒定盤を、ベースフレーム上の複数の支柱によりそれらの上のダンパを介して支持するとともに、それらの支柱間をそれらの上部において結合部材により結合するようにしたため、ベースフレームの剛性を高め、原板ステージの加減速等による振動を小さくすることができる。したがって、処理速度を向上させ、生産性の向上を図ることができる。
【0060】
また、支柱を3本とし、結合部材は、各支柱上のダンパより上でかつダンパに隣接した高さに位置し、かつ、上から見た場合、各支柱およびその上のダンパをそれらにほぼ接してそれらを囲い込むような寸法および形状を有するほぼ三角形状の部材と、この部材および各支柱の上端との間を、各支柱のダンパの外側を経て結合する部材とを有するため、スペースを要せずに、各支柱を結合し、ベースフレームの剛性を向上させることができる。この場合、鏡筒定盤の底部を、前記三角形状の部材に嵌合して、各ダンパ上に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る露光装置を側方から見た様子を模式的に示す図である。
【図2】 図1の露光装置の外観を示す斜視図である。
【図3】 図1の各ステージの駆動を制御するためにこれらのステージ位置を計測するための構成を模式的に示す図である。
【図4】 図1の装置のベースフレームを示す正面図である。
【図5】 図2の装置のベースフレームを示す斜視図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態に係る投影露光装置の、要部概略図である。
【図7】 図6のAA断面で見たときの要部概略を示す平面図である。
【図8】 図7の投光手段と検出手段との間を拡大して示す図である。
【図9】 本発明の第3の実施形態に係る投影露光装置の、要部概略図である。
【図10】 本発明の第4の実施形態に係る投影露光装置の、要部概略図である。
【図11】 本発明の第5の実施形態に係る投影露光装置における、投光手段と検出手段との間を拡大して示す図である。
【図12】 本発明の第6の実施形態に係る投影露光装置における、光フォーカス検出系を示す図である。
【図13】 本発明の第7の実施形態に係る投影露光装置における空調の様子を示す模式図である。
【図14】 図1〜13の装置により製造し得る微小デバイスの製造の流れを示すフローチャートである。
【図15】 図14におけるウエハプロセスの詳細な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1:レチクルステージ、2:投影光学系、3:XYステージ、4:リニアモータ、4a:固定子、4b:可動子、3a:Xステージ、3b:Yステージ、6:リニアモータ、7:ステージ定盤、8:ダンパ、9:鏡筒定盤、10:ベースフレーム、11:ダンパ、12:支柱、13:距離測定手段、31〜36:レーザ干渉計、37,38:レーザヘッド、39,41,42,44,47,48:反射ミラー、40,43,45,46:ビームスプリッタ、61:光フォーカス検出系、64:投光手段、65:検出手段、66:露光照明系、67:レチクル、68:回路パターン、69:レチクルステージ、70:投影レンズ、71:ウエハ、72:ウエハホルダ、73:θZチルトステージ、74:XYステージ、75:干渉計ミラー、76:干渉計、77:XYステージ制御系、78:光束、79:吹出しフィルタ、80:エア、:80:微動ステージ装置、81:出射ガラス面、82:入射ガラス面、83:渦、84:乱れ、85,86:シリンドリカルレンズ(凸レンズ)、87:マーク投影光学系、88:マスク、89:マスク照明系、90:光源、91:じゃま板、92:空調機、93:リターンダクト、94:マーク、95:像、96:曲面部材。

Claims (6)

  1. 原版を移動させる原版ステージと、基板を移動させる基板ステージと、原版のパターンを基板上に投影する投影光学系とを有し、原版ステージと基板ステージを走査方向に移動させながら原版のパターンを基板上に投影して露光を行う走査型露光装置において、投影光学系および原版ステージが設けられた鏡筒定盤と、複数の支柱を有し各支柱の上のダンパを介して鏡筒定盤を支持するベースフレームとを備え、このベースフレームは、その支柱間をそれらの上部において結合する結合部材を具備することを特徴とする露光装置。
  2. 前記支柱の数は3本であり、前記結合部材は、各支柱上のダンパより上でかつダンパに隣接した高さに位置し、かつ、上から見た場合、各支柱およびその上のダンパをそれらにほぼ接してそれらを囲い込むような寸法および形状を有するほぼ三角形状の部材と、この部材および各支柱の上端との間を、各支柱のダンパの外側を経て結合する部材とを有することを特徴とする請求項1記載の露光装置。
  3. 鏡筒定盤の底部は、前記三角形状の部材に嵌合して、各ダンパ上に配置されていることを特徴とする請求項2記載の露光装置。
  4. 原版と基板を走査方向に移動させながら原版のパターンを投影光学系を介して基板上に投影して走査露光することによりデバイスを製造するに際し、原版を移動させる原版ステージおよび投影光学系が設けられた鏡筒定盤を、ベースフレーム上の複数の支柱によりそれらの上のダンパを介して支持するとともに、それらの支柱間をそれらの上部において結合部材により結合することを特徴とするデバイス製造方法。
  5. 前記支柱の数は3本であり、前記結合部材は、各支柱上のダンパより上でかつダンパに隣接した高さに位置し、かつ、上から見た場合、各支柱およびその上のダンパをそれらにほぼ接してそれらを囲い込むような寸法および形状を有するほぼ三角形状の部材と、この部材および各支柱の上端との間を、各支柱のダンパの外側を経て結合する部材とを有することを特徴とする請求項記載のデバイス製造方法。
  6. 鏡筒定盤の底部を、前記三角形状の部材に嵌合して、各ダンパ上に配置することを特徴とする請求項記載のデバイス製造方法。
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