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JP3904841B2 - 液晶表示装置及びそれを用いた電子機器並びに液晶表示方法 - Google Patents

液晶表示装置及びそれを用いた電子機器並びに液晶表示方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色信号が入力されることで画像表示を行う画像表示装置及びそれを用いた電子機器並びに画像表示方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー画像を主体とした電子機器が普及し、コンピュータグラフィックスを用いたデザイン作成等特殊な分野のみでなく、一般的なオフィスでもカラー画像を手軽に扱えるようになった。一般には、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)やディジタルスチルカメラで作成したカラー画像を電子メールで伝送し、ハードディスクやフロッピーディスク、若しくはディジタルスチルカメラの記録媒体(例えば、メモリスティック(登録商標)やスマートメディア(登録商標)等)に蓄え、該記録媒体等のデータを用いて画像表示装置で画像を表示した場合、送信側と受信側の両者の色が合わないため、画像表示装置で画像の色彩検討をすることは困難であった。これを解決するための手段としてカラーマネージメントが考案され注目されている。
【0003】
カラーマネージメントは、共通の色空間を用いることにより画像表示装置等のデバイス毎の色の違いをなくすものである。これは、同じ色空間において同じ座標で記述される色であれば、それらの色の見栄えは同じであるという考えのもとにすべての色を同じ色空間で表現し、その対応する座標を一致させることにより色の見栄えの一致を得ようとするものである。
【0004】
現在、一般に用いられているカラーマネージメントの方法の一つとして、色空間としてCIE−XYZ色空間を用いて、その内部記述座標であるXYZ三刺激値を用いて、デバイス毎の違いを補正する方法がある。このような方法により、見栄えの一致を得る技術が特開平11−134478号に開示されている。
【0005】
図15は、カラーマネージメントにより相互のパソコン表示画像を観察する環境を説明する図である。図15を用いて、カラーマネージメントにより相互のパソコン表示画像を観察する環境を説明する。ここでは送信側のパソコンの表示装置151上に表示した表示画像152を受信側のパソコンの表示装置153に同じ表示画像152を表示した場合を示す。
【0006】
一般的に、送信側パソコンの表示装置と受信側パソコンの表示装置の色再現特性の経時変化の度合いは異なり、さらに照明光等の画像観察条件や環境が変化した状態で、送信された画像は各々異なる色再現特性を持つ表示装置で表示される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15において、送信側の照明光154と受信側の照明光155は必ず変化しているため、この様な場合において、ある照明光のもとで等色にできたとしても、その照明光の変化により画像の見栄えが変化し、等色感が得られなくなる。又、表示装置が例えば透過型液晶表示装置のとき、長時間使用した場合にカラーフィルタ特性の経時変化、バックライト光源の環境温度変化及び経時変化により、表示物の輝度と色の変化が起こるために、長時間経過した場合には、さらに著しく画像の見栄が変化し等色感が得られなくなるという問題があった。
【0008】
ところで、携帯情報端末やパソコンをターゲットとして、反射型液晶表示装置を用いた画像表示装置が普及しつつある。反射型液晶表示装置では、その表示原理自体が外光(照明光)を反射することで成り立っているため、表示画質は外光の影響を透過型液晶表示装置のときより強く受ける。これには大きく分けて下記の2つの原因が考えられる。
【0009】
まず、第一の原因について述べる。ここでは、反射型液晶表示装置が画像を表示する基本原理について、図16を参照しながら以下に説明する。
【0010】
図16は、反射型液晶表示装置をノートパソコンの表示装置として使用した例を示す。まず、照明光Aが反射型液晶表示装置161に入射し、カラーフィルタや液晶で変調を受けた光が出射する。この光をBとする。このような画像表示装置の使用者162は、出射光Bを観察する。ここで出射光Bが変化すれば、使用者162にとって画質が変化したと感ずることは言うまでもない。
【0011】
次に、図17に横軸を光の波長とし、縦軸を光の相対強度とした場合の各種特性例を示す。例えば、図16の照明光Aが図17Aに示す特性であり、反射型液晶表示装置の光変調特性が図17Bに示す特性であれば、図16の出射光Bは図17Cのように、図17Aの特性と図17Bの特性の波長毎の積として示される。ここで、図16の照明光Aが図17Dのように変化すれば、図16の出射光Bは図17Eのように変化する。
【0012】
さらに、上記特性変化を図18を用いて述べる。図18はCIExy色度図であり、○は図17Cに述べた図16の出射光Bの色度座標を示す。又、図18×は、図17Eに述べた変化した出射光Bの色度座標を示す。つまり、出射光Bを観察している使用者162にとっては、照明光Aが変化しただけで表示色が○から×に変化し、画質が変化するように感ずる。
【0013】
次に、第2の原因について述べる。人間の視覚系には照明光の色味に対して順応する特性がある。そのため、照明光を光源として画面を表示する反射型液晶では、順応の特性を考慮した表示を行わないと画質が変化するように捉えられる。
【0014】
図18において、表示色が○から×に変化するのは、照明光Aが図17Aに示す特性の光から、図17Dに示す特性の光に変化したからである。多くの場合において使用者162は、この照明のもとにあって、液晶表示装置を観察している。つまり、照明光Aに順応している。図17Aの照明光が同図Dに変化することは、この順応状態も変化することを意味する。
【0015】
このため、照明光の変化により表示色は図18○から図18×に変化するが、この色の変化は、人間にはそのままは捕らえられない。例えば、図17Aの照明光で図18○の色を感じていた使用者162は、照明が図17Dに変化することでその順応状態が変化し、図18×の色を図18△の色のように感ずる。
【0016】
いずれにしても、照明(外光)が変化すると、使用者162は液晶表示装置の画質が変化したように感ずる。
【0017】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、外光条件(外光の光特性)が変化しても使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供する画像表示装置およびそれを用いた電子機器並びに画像表示方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示装置は、上記の課題を解決するために、色信号の入力により画像表示を行う画像表示部と、前記画像表示部に照射されている外光の光特性に応じて、該画像表示部に入力される色信号を変換する色信号変換部とを有することを特徴としている。
【0019】
ここで、外光とは、画像表示部の内部に設けられたバックライトではなく、太陽光や蛍光灯等の画像表示部の外側に光源のある光を示す。一般に、画像表示部に照射される外光の種類によって使用者が該画像表示部に表示された画像を見た場合、その画像の色合いが変化したように見える。このため、外光の種類ごとに見え方の異なる画像を常に同じような色合いで見えるようにするには、画像表示部に入力される色信号を外光の種類毎に補正すればよい。
【0020】
また、外光の種類は、外光の光特性を検出することにより特定することができるが、この光特性の代表的なものとして、波長特性があり、この波長特性から容易に外光を特定することができる。
【0021】
したがって、上記の構成のように、外光の光特性に応じて変換された色信号により画像表示を行えば、外光の光特性、すなわち光源の種類が変化しても使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供することができる。
【0022】
また、外光の光特性をセンスするセンサを備え、前記色信号変換部は、前記色信号を、前記センサの出力に適応した色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0023】
この場合、センサによって外光の光特性を検出することで、外光の種類の特定を容易に行うことができる。そして、画像表示部に入力される色信号を、このセンサの出力に適応した色の色信号に変換するようにすれば、外光の光特性に応じた画像、使用者が感ずる色調が変化しない画像を得ることができる。
【0024】
前記色信号変換部は、前記センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部を有し、前記色信号を、該目標表示色決定部により決定された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0025】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサにより検出された外光の光特性(波長特性)に応じて、人間の視覚系の外光への順応を考慮して表示すべき色が決められ、画像表示部に入力される色信号を、この決められた色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光への順応を考慮して決定された色、すなわち人間の色順応特性を考慮した色の色信号が入力される。よって、表示される画像を、使用者が感ずる色調が変化しない画像にすることができる。
【0026】
上記構成は、透過型の画像表示装置の場合のように、三原色の色度の影響よりも人間の色順応特性の影響を受け易い場合に効果的である。
【0027】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、正しい色を再現する色再現部を有し、前記色信号を、該色再現部により再現された色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0028】
この場合、色信号変換部では、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、正しい色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、この再現された正しい色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光の光特性が変化しても常に正しい色で画像の表示を行うことができる。
【0029】
上記構成は、外光によって変化する三原色の色度変化を考慮したものであるので、特に、周囲の光源により照明された光により表示される反射型表示装置のように、三原色の変化の影響を受け易い場合に効果的である。
【0030】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部と、前記センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色を再現する色再現部とを有し、前記色信号を、前記色再現部により再現された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0031】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色が決定され、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、再現された目標表示色の色信号に変換するようになっているので、人間の色順応特性を考慮し、さらに使用者が感ずる色調が変化せず、しかも、外光の光特性が変化しても常に正しい色の画像の表示を行うことができる。
【0032】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができる。
【0033】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力に応じて色補正係数を発生する色補正係数発生部と、該色補正係数発生部で発生した色補正係数を用いて、前記色信号を補正する色補正部とを有してもよい。
【0034】
この場合、色信号変換部では、外光の光特性に応じて色補正係数を用いて、色信号を補正するようになっているので、画像表示部には外光の光特性に応じた画像が表示される。
【0035】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供することができる。
【0036】
具体的には、前記色補正係数発生部は、目標表示色を決定する際に使用される目標表示色決定係数を発生させる目標表示色決定係数発生部と、センサの出力に基づいて色再現を行う際に使用される色再現係数を発生させる色再現係数発生部とからなり、前記色補正部は、前記色補正係数発生部により発生した目標表示色決定係数と色再現係数との積を求めるかけ算部と、このかけ算部で得られた値に基づいて色信号の色補正を行う目標色色補正部とからなるように構成してもよい。
【0037】
この場合、目標表示色決定係数発生部では、かけ算部で使用する目標表示色決定係数を発生し、色再現係数発生部では、かけ算部で使用する色補正係数を発生し、このかけ算部では、外光の光特性に基づいて発生した目標表示色決定係数と色再現係数との積が求められ、目標色色補正部では、かけ算部で得られた値に基づいて、画像表示部に入力される前の色信号の色補正が行われる。
【0038】
このように、外光の光特性に応じて、画像表示部に入力される前の色信号の色補正が行われるので、外光の光特性が変化しても、使用者が感ずる色調が変化しない画像を表示させることができる。
【0039】
また、外光の光特性の一つである波長特性を調べれば、画像表示部に照射されている光、あるいは周囲の光の種類を特定することができる。この光の種類を特定することにより、画像表示装置のおかれている環境をある程度特定することができる。
【0040】
そこで、外光の波長特性を検出するために、前記センサによって、外光を2つ以上の波長領域に分解して、それぞれの強度を把握することで、外光の光特性の一つである波長特性を測定するようにしてもよい。
【0041】
具体的には、前記センサを、少なくとも2以上の異なる波長領域を分解する波長特性を有し、それぞれの波長領域における出力値に基づいて、外光の波長特性を測定するようにしてもよい。
【0042】
本発明の他の画像表示装置は、上記の課題を解決するために、複数種類の外光の光特性を予め記憶するメモリを備え、前記色信号変換部は、前記色信号を、前記メモリから選択して読み出された外光の光特性に適応した色の色信号に変換することを特徴としている。
【0043】
上記の構成によれば、画像表示部に入力される前の色信号に対して、メモリに記憶された外光の光特性の中から選択した外光の光特性に基づいて補正が行われるので、選択した外光の光特性に適した色信号で画像表示が行われる。
【0044】
前記メモリに、複数種類の外光の光特性として、室内の照明、室外の太陽光等の様々な外光下で画像を使用者が見ることを想定された外光の光特性記憶させることで、使用者が使用環境に適した外光の光特性を択一的に選択することができ、しかも、この外光の光特性下において正しい色、すなわち使用者が色調の変化を感ずることのない色で画像表示を行うことができる。
【0045】
前記メモリは、外光の2以上の異なる波長領域の波長特性を記憶し、記憶された波長特性の組み合わせによって、選択された外光の光特性として出力するようにしてもよい。
【0046】
この場合、外光の2以上の異なる波長領域の波長特性を記憶するだけで、様々な外光の光特性を記憶したことになるので、メモリの記憶容量を小さくすることができ、しかも、記憶した波長特性の組み合わせの分だけの種類の外光の光特性に対応させることができる。
【0047】
前記色信号変換部は、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部を有し、前記色信号を、該目標表示色決定部により決定された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0048】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサにより検出された外光の光特性(波長特性)に応じて、人間の視覚系の外光への順応を考慮して表示すべき色が決められ、画像表示部に入力される色信号を、この決められた色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光への順応を考慮して決定された色、すなわち人間の色順応特性を考慮した色の色信号が入力される。よって、表示される画像は、使用者が感ずる色調が変化しない画像となる。
【0049】
上記構成は、透過型の画像表示装置の場合のように、三原色の色度の影響よりも人間の色順応特性の影響を受け易い場合に効果的である。
【0050】
また、前記色信号変換部は、前記メモリから選択された外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を再現する色再現部を有し、前記色信号を、該色再現部により再現された色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0051】
この場合、色信号変換部では、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、正しい色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、この再現された正しい色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光の光特性が変化しても常に正しい色で画像の表示が行われる。
【0052】
上記構成は、外光によって変化する三原色の色度変化を考慮したものであるので、特に、周囲の光源により照明された光により表示される反射型表示装置のように、三原色の変化の影響を受け易い場合に効果的である。
【0053】
また、前記色信号変換部は、前記メモリから選択された外光の光特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部と、前記センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色を再現する色再現部とを有し、前記色信号を、前記色再現部により再現された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0054】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色が決定され、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、再現された目標表示色の色信号に変換するようになっているので、人間の色順応特性を考慮し、さらに使用者が感ずる色調が変化せず、しかも、外光の光特性が変化しても常に正しい色の画像の表示が行われる。
【0055】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができる。
【0056】
本発明の画像表示装置は、上記の課題を解決するために、外光の光特性をセンスするセンサを備え、前記色信号変換部は、前記センサの出力に基づいた色信号の変換と、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいた色信号の変換とを切り替えて行うことを特徴としている。
【0057】
上記の構成によれば、色信号変換部が、前記センサの出力に基づいた色信号の変換と、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいた色信号の変換とを切り替えて行うようになっているので、必要に応じてセンサとメモリとを使い分けることができる。
【0058】
例えば、メモリに記憶されていない種類の外光により画像表示部が照射されている場合には、センサにより外光の種類を特定することができ、常に、外光の光特性に応じた色で画像表示を行うことができる。
【0059】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力の一つである照度出力が一定値を超えた場合、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいた色信号の変換を行うようにしてもよい。
【0060】
この場合、外光の照度出力が一定値を超えれば、画像表示部に照射する外光が太陽光のような強力な光度の光であると判断することができる。これにより、画像表示装置に太陽光等の非常に明るい光が照射される動作環境(例えば屋外)であるか室内光程度の明るさの光が照射される動作環境(例えば屋内)であるかを検出するセンサを別途設ける必要がない。
【0061】
また、照度出力が一定値を超えた場合には、太陽光等の非常に明るい光が画像表示部に照射されていると仮定され、メモリに記憶されている太陽光の光特性に基づいて色信号を補正すれば、使用者が感ずる色調の変化のない画像を得ることが可能となる。
【0062】
例えば、屋内であっても、照明の光度が高く、太陽光のように非常に明るい場合、屋内用の外光の光特性ではなく、太陽光の光特性に基づいて色信号を補正することができる。逆に、屋外であっても、トンネル内やあるいは夜の場合には、画像表示部に照射される外光の光度が低く、非常に暗い場合、屋外用の外光の光特性ではなく、室内用の光特性に基づいて色信号を補正することができる。
【0063】
これにより、屋内外にかかわらず、画像表示部に表示される外光の照度に応じて適切に色信号を補正することができるので、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができる。
【0064】
さらに、反射型の画像表示装置では、非常に明るい外光が照射されても問題なく使用できるが、暗い場合には、補助の光(バックライト等)が必要となる。そこで、上記照度を反射型の画像表示装置で補助の光が必要か否かを決める値に設定すれば、この照度が一定値よりも小さい場合には、適切に表示するには外光が不足していると判断し、補助の光を強制的に使用するようにすれば、動作環境(外光の光源の違い)に適応した画像表示が可能となる。
【0065】
前記メモリは、外光の光特性と、該外光の光特性に対応した色補正係数をあらかじめ複数種類記憶し、前記色信号変換部は、選択された外光の光特性に基づいて、前記メモリに記憶された色補正係数を読み出す色補正係数発生部と、前記色補正係数発生部が前記メモリから読み出した色補正係数を用いて色信号の補正を行う色補正部とで構成されていてもよい。
【0066】
この場合、メモリには、外光の光特性とこれに対応した色信号の補正に必要な色補正係数とが予め記憶されているので、色補正係数を求める必要がなくなる。これにより、色信号を補正するためのステップを短縮できるので、高解像度の画像表示装置に対しても対応が容易になる。この理由について以下に説明する。
【0067】
画像表示装置の1画素当たりの信号処理時間は、リアルタイムで画像処理を行う場合、画像表示装置のフレーム周波数(フレームレート)が同じであれば、表示画面の画素数の増加(高解像度化)に伴い短くならざるを得ない。例えば、フレーム周波数が60Hzの場合、1画素当たりの信号処理時間(但し、ブランキング時間を考慮しない)は、以下のようになる。
【0068】
解像度が640×480の信号処理時間は、
1/640×1/480×1/60≒54〔nS〕
となるのに対して、
解像度が1024×768の信号処理時間は、
1/1024×1/768×1/60≒21〔nS〕
となる。
【0069】
つまり、フレーム周波数が一定であれば、画像表示装置の解像度と信号処理時間とは比例関係が成り立つことが分かる。この場合、高解像度の場合には、低解像度の場合に比べて、信号処理時間が短くなっている。
【0070】
そこで、上述のように、信号処理をリアルタイムで行うために、外光の光特性を予めメモリに記憶させて色補正を行うためのステップを短縮させることで、高速信号処理(高解像度表示)に容易に対応させることができる。
【0071】
パソコン等の電子機器に上記構成の画像表示装置を備えるようにしてもよい。
【0072】
この場合、パソコン等の電子機器において、画像表示を行う場合、画像データを画像表示時に色空間のデータ(色信号)として取り扱うようになり、画像表示装置に照射される外光の光特性に応じて、色信号の補正を行うことができる。このため、例えば、インターネットを介して異なるパソコンに画像データを送信した場合、画像データの受信側のパソコンにおいても、上記構成の画像表示装置を備えていれば、該画像表示装置に照射される外光の光特性に応じて、受信した画像データの色信号を補正すれば、使用者にとって適切な色の画像を得ることができ、この結果、パソコン間の画像表示装置における画像表示の見栄えの一致を図ることができる。
【0073】
本発明の画像表示装置は、色信号の入力により画像表示を行う画像表示部に照射されている外光の光特性に応じて、該画像表示部に入力される色信号を変換することを特徴としている。
【0074】
上記の構成によれば、外光の光特性に応じて変換された色信号により画像表示を行えば、外光の光特性が変化しても使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供することができる。
【0075】
前記色信号を、センサによって検出された外光の光特性に適応した色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0076】
この場合、センサによって外光の光特性を検出することで、外光の種類の特定を容易に行うことができる。そして、画像表示部に入力される色信号を、このセンサの出力に適応した色の色信号に変換するようにすれば、外光の光特性に応じた画像、使用者が感ずる色調が変化しない画像を得ることができる。
【0077】
前記色信号を、予めメモリに記憶された複数種類の外光の光特性の中から選択して読み出された外光の光特性に適応した色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0078】
この場合、画像表示部に入力される前の色信号に対して、メモリに記憶された外光の光特性の中から選択した外光の光特性に基づいて補正が行われるので、選択した外光の光特性に適した色信号で画像表示が行われる。
【0079】
上記メモリに、複数種類の外光の光特性として、室内の照明、室外の太陽光等の様々な外光下で画像を使用者が見ることを想定された外光の光特性を記憶させることで、使用者が使用環境に適した外光の光特性を択一的に選択することができ、しかも、この外光の光特性下において正しい色、すなわち使用者が色調の変化を感ずることのない色で画像表示を行うことができる。
【0080】
前記色信号の変換を、外光の光特性に適応して人間の色順応特性を考慮して決定した表示すべき色に基づいて行うようにしてもよい。
【0081】
この場合、外光の光特性に適応して人間の色順応特性を考慮して決定した表示すべき色に基づいて行うようになっているので、画像表示部には、外光への順応を考慮して決定された色、すなわち人間の色順応特性を考慮した色の色信号が入力される。よって、表示される画像は、使用者が感ずる色調が変化しない画像にすることができる。
【0082】
前記色信号の変換を、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現した色に基づいて行うようにしてもよい。
【0083】
この場合、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現した色に基づいて行うようになっているので、画像表示部には、外光の光特性が変化しても常に正しい色で画像の表示を行うことができる。
【0084】
前記色信号の変換は、外光の光特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として決定した色を、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現し、この再現した色に基づいて行うようにしてもよい。
【0085】
この場合、外光の光特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として決定した色を、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現し、この再現した色に基づいて行うようになっているので、人間の色順応特性を考慮し、さらに使用者が感ずる色調が変化せず、しかも、外光の光特性が変化しても常に正しい色の画像の表示を行うことができる。
【0086】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができる。
【0087】
【発明の実施の形態】
本発明の各実施の形態について以下に説明する。
【0088】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、画像表示装置として液晶表示装置を例に説明する。
【0089】
本実施の形態に係る液晶表示装置は、図1に示すように、外光(照明光)の光特性(以下、外光条件と称する)をセンスするセンサ4と、そのセンサの出力に応じて表示すべき色を決定する目標表示色決定部6と、その決定された目標表示色を、任意の色度の三原色を用いて表示するようにした色再現部7とを有する構成となっている。これら目標表示色決定部6と色再現部7とで色信号変換部を構成している。
【0090】
又、図1において、1は液晶表示パネル(画像表示部)、5は信号入力端子である。
【0091】
図1に示す液晶表示装置は、パソコンの外付け表示装置として使用されたり、ノートパソコン自体に組み込まれる。前者では、信号入力端子5はパソコンの出力端子に接続される。後者では、ノートパソコン自身に組み込まれれるので、明確な存在場所は示せないが、原理的には前者と同様である。
【0092】
以下、各部の動作について説明する。液晶表示パネル1は、カラー表示が可能な表示パネルであり、例えば赤、緑、青(以下、各々RGBという)の三原色を組み合わせて色を表現するようになっている。目標表示色決定部6は、人間の視覚系の照明光への色順応を考慮して、信号入力端子5に入力される信号をどのような色に表示するのが望ましいかを演算して求める部位である。
【0093】
視覚系の色順応について簡単に説明する。色順応とは、視覚系の感度特性が照明に応じて変化して、照明光の変動の影響をあまり受けずに視覚情報を取り組むことができるような視覚系の特性を言う。蛍光灯で照明された屋内から夕日の射す屋外に出ると一瞬視野全体が赤みがかって感ずるが、次第に通常の色彩感覚を取り戻し、最終的には平常とほぼ変わりない色彩感覚を取り戻す。これは、視覚系の感度特性が、蛍光灯に順応した状態から夕陽に順応する状態に変化したからである。しかしながら、最終的に完全に従来と同一の色彩感覚を取り戻すことはなく、若干の残留誤差は残る。
【0094】
目標表示色決定部6では、このような順応状態の変化を予測し、前記残留誤差さえもなく、正しい色を使用者に認識させるためにはどのような色を表示すればよいか(以下、このような色を対応色という)を予め求める。このような計算は、例えば、von Kriesの色順応モデルを用いれば実行できる。
【0095】
次に、von Kriesのモデルを用いた色計算について詳しく述べる。von Kriesは、図2に示すように、対応色を求めるために、目には赤、青、緑の三原色に対応したセンサがあり、それぞれ異なる分光感度を持つと仮定した。図2には、太陽光と白熱灯の場合に各々の光が持つ波長に対するエネルギーの相対強度を示すグラフ(中図)、及び各々の光に対する目の感度バランスを光の波長に対する相対感度として示すグラフ(右図)を示す。照明光の分光分布が変化すると、それに応じてセンサはその感度を変え、白の見栄えが一定になるようにする。von Kriesは、これが色順応機構であるとした。
【0096】
例えば、先の例のように、照明が昼光から白熱電灯に変化する場合、昼光の分光分布は概ね平坦であるので、目の赤、青、緑の感度は概ねバランスがとれている。ところが白熱電灯は赤色成分が強く青色成分が弱い。そのため、目の赤のセンサの感度は下がり、青のセンサの感度は上昇する。その結果、白に対して常に一定の応答が得られ、色の見栄えが変化しない。
【0097】
von Kriesの色順応予測式によれば、第一の照明光(以下、試験光という)のもとで、ある物体色の三刺激値を(XYZ)とし、これを他の照明光(以下、基準光という)に変えたときの対応色の三刺激値を(X’Y’Z’)とすると、例えば、試験光をA光源、基準光をD65光源として、
【0098】
【数1】
Figure 0003904841
【0099】
となる。後述するがこのようなマトリクス(色補正係数)は、任意の試験光と任意の基準光によって、色彩工学的計算を行って求めることができる。
【0100】
この式を用いると、例えば、前記試験光A光源の下でX=28.00、Y=21.26、Z=5.27の三刺激値で与えられる色のD65での対応色は、X’=24.49、Y’=21.20、Z’=16.17と求まる。
【0101】
このようにvon Kriesのモデルを用いると、人間の視覚系が順応している光の三刺激値を参照してその順応状態の場合どのような色を表示すれば予期した色の見栄えが得られるかを知ることができる。ここでは、von Kriesのモデルを用いた計算について説明したが、これに限定されるものではない。
【0102】
von Kriesの色順応式を求める方法について述べる。von Kriesの色順応式は、基本的に、
【0103】
【数2】
Figure 0003904841
【0104】
の形で記述できる。Pittが求めた視覚系の基本原色の色度座標を用いると、
【0105】
【数3】
Figure 0003904841
【0106】
【数4】
Figure 0003904841
【0107】
又、マトリクスDは、
【0108】
【数5】
Figure 0003904841
【0109】
ここに、試験光Aと基準光D65のもとでの白色の3刺激値X0、Y0、Z0及び、X0’、Y0’、Z0’は、
【0110】
【数6】
Figure 0003904841
【0111】
であるので、マトリクスMを用いると、
【0112】
【数7】
Figure 0003904841
【0113】
白色の3刺激値X0、Y0、Z0および、X0’、Y0’、Z0’は、照明光の波長分布が求まれば、測色学的に容易に求めることができる。例えば、
【0114】
【数8】
Figure 0003904841
【0115】
次に、求めた値を式5に代入すると、
【0116】
【数9】
Figure 0003904841
【0117】
従って対応色の三刺激値は、
【0118】
【数10】
Figure 0003904841
【0119】
となる。
【0120】
この一連の計算では、照明光の三刺激値さえ分かればすべての計算を完全に行うことができる。又照明光の三刺激値は、照明光の波長分布が分かれば式8に示した積分式によって容易に求められる。よって、センサを用いて照明光の波長特性を把握できれば、三刺激値が分かる。
【0121】
このようにして三刺激値を求めることができると、対応色を求めるためのマトリクスを求めることができる。前記のような計算は簡易なCPUとソフトウエアモジュールを用いれば、容易に実施できる。
【0122】
RGBとXYZの関係は、ごく平易な線形マトリクスで変換可能であるから、このようなマトリクスが求まれば、信号入力端子5に入力された色信号のRGB信号をどのように変換すれば対応色になるかが求められる。
【0123】
以上が、目標表示色決定部6に関する説明であるが、この目標表示色決定部6を実現するに当たっては、目標色決定マトリクス発生部(目標色決定係数発生部)32と、目標色色補正部22とを用いて行う。前者はマトリクスを求める部位であり、後者は、信号入力端子5に入力された色信号のRGB信号にマトリクスをかけて、実際に信号を変換する部位である。これらそれぞれの内容は、上に説明したとおりである。
【0124】
次に、色再現部7について説明する。色再現部7では、種々の理由による原色の色度変化を踏まえ、その変化後の原色を用いて、目標表示色決定部6で決定された色を表示するための処理を行う。
【0125】
先に述べたように、例えば反射型液晶表示装置では照明光が変化すると表示色自体が変化する。これは、反射型液晶表示装置の3つの原色色度が変化するためである。図3にこの一例を示す。図3はxy色度図である。
【0126】
図3では、照明光がD65光の場合302、D50光の場合301、A光の場合303のそれぞれの場合について、反射型液晶の三原色色度がどのように変化するかの一例を示した。照明光はこれに限ることなく、どのような光であっても原色色度座標が変化することには変わりない。
【0127】
このように、照明光の変化等の理由による原色の色度変化を踏まえ、その変化後の原色を用いて、目標表示色決定部6で決定された色を表示するための処理を行うのが色再現部7の役割である。
【0128】
この処理は、次の手順で行う。つまり、原色の色度座標を求め、その色度座標の原色を用いて任意の色を正しく表示するマトリクスを求め、このマトリクスを先に求めた目標表示色決定部6の出力に掛けることで行う。
【0129】
まず、原色の色度座標値は、液晶の光学系の波長分布特性が分かっているとして、照明光の波長分布特性が分かれば容易に求められる。光学系の波長特性は設計条件から求められ、又、照明光の波長特性は、上記した方法で求めることができる。結局、原色の色度座標値は、光学系の波長特性、照明の波長特性から求めることができる。
【0130】
次に、ある色度座標の原色を用いて任意の色を正しく表示するマトリクスを求める方法について述べる。この計算は測色学的に定量的に行えるが、ここでは詳細な原理説明は省略し、C言語で書いたプログラムを図19ないし24に示す。図19は、色度座標に関する変換プログラムの設定部である。図20は、x、yからzを計算するプログラム部分である。図21は、マトリクスの計算を行うプログラム部分である。図22は、マトリクス及び逆マトリクスを計算するプログラム部分である。図23は、正規化の計算をするプログラム部分である。図24は、これらの計算結果を示すプログラム部分である。
【0131】
図19ないし24に示したプログラムは、色度座標値が変移した原色を用いて、もとの原色を使用した場合と同じ色を表示するために必要なマトリクスを求めるプログラムである。図1に示す色再現部7には、これらを行うために、センサ4の出力を受けて、図19ないし24に示したプログラムを用いてマトリクスを求める色再現マトリクス発生部(色再現係数発生部)31が設けられている。
【0132】
次に、これらの手順で得られたマトリクスMTXを用いて、
【0133】
【数11】
Figure 0003904841
【0134】
を行った出力R’G’B’を色度座標値が変移した原色に与えれば、元の色と同一の色が得られる。この演算は簡単なマトリクス演算であり、図1の色変換部21で行われる。このようなプログラムを予めソフトウエアモジュール等にしてCPUとともに組み込むことで、満足な機能を得ることができる。
【0135】
次に、センサ4について説明する。
センサ4は、液晶表示装置を照明する光の波長特性を測定するものであり、少なくとも2つ以上の異なる波長領域を分解する波長特性を有して、液晶表示装置に入射する光の波長特性を測定して光の色度座標値を出力するようになっている。
【0136】
このようなセンサ4は、図4に示すように、シリコンブルーチップ43に必要なカラーフィルタ42を取り付ければ容易に実現できる。尚、44は出力端子である。前記センサは、図5に記載のように、液晶表示装置の周辺に取り付けられるほか、図6に記載のように、液晶表示装置の画素そのものに埋め込んでもよい。
【0137】
図5では、センサは51、液晶表示装置を組み込んだパーソナルコンピュータを52とした。又、図6では、液晶表示装置の画素を61、赤のドットを62、青のドットを63、緑のドットを64とした。62ないし64のドットはそれぞれセンサが組み込まれたドットであり、この画素61は画像表示に関与しない。そのため、画面領域の端部に配置される。
【0138】
いずれの場合でも分解する波長領域は、例えばRGBに対応する波長領域であってもよいし、あるいはシアン、マゼンタ、黄色(以下、各々C、M、Yという)に対応する波長領域であってもかまわない。更に可視光範囲を適当な波長間隔、例えば100nm間隔でサンプリングしてその領域の光の強さを出力したようにしたものでもよい。
【0139】
ところで、このようなセンサは、例えば図5に示したように取付けられるが、このとき液晶表示パネル内の液晶に入射される周囲光のうち、液晶が実際に反射して使用者の目に届く光について検出するようになっていればよい。
【0140】
図25は、反射型液晶の光反射の例を示す。ここで、251は反射型液晶パネルであり、252に示す円錐内の範囲から入射した光が反射型液晶パネル251の正面に向けて有効に反射され、使用者の目253に光として認識される。一方、これ以外の角度から入射した光は、反射型液晶パネル251に略正反射され、使用者の目253には入らない。例えば、矢印Aの方向から入射した光は、矢印Bの経路で使用者の目253に入るが、矢印Cの方向から入射した光は矢印Dの経路で反射され、使用者の目253に入らない。
【0141】
なお、前記円錐252で示す入射光の有効反射範囲は、反射型液晶の種類によって決定されるものである。
【0142】
そこで、センサも、円錐252と同様の感度分布特性を有するようにする。これにより、反射型液晶パネル251で反射されて使用者の目253に入る光が実際にどんな光であるかを、センサで効率的に捉えることが可能になる。それ以外の、液晶では反射されない光はセンサでは捉えられず、実際に使用者の目253に届かせない光はセンサでも評価されないことになる。
【0143】
これにより、実際の使用者の目253に届く光のみをシステムで利用できるようになる利点がある。
【0144】
このようなセンサからは図4の出力端子44等から照明光の波長特性に相当する信号が出力され、前記目標表示色決定部6や色再現部7で必要なマトリクスを求めるために利用される。
【0145】
以上述べたように本発明では、センサ4によって得られた照明光の特性をもとに2つのマトリクスを用いて入力される信号を変換し、照明状態に順応した人間にとって適切な対応色を求めて、それを照明の影響を受けた原色を用いて表示するようにする。そのため、利用者の視覚系が順応した状態によく合致した色彩を提示でき、主観的なカラーバランスが改善される利点がある。又視覚系の順応状態と異なる表示を観察すると視覚系に無用な負担がかかり、目が疲れるという問題を生ずることがあるが、本発明のように順応状態を考慮した画像の表示を行うと、目に負担をかけることなく自然で疲れにくい画像を提供できる利点がある。
【0146】
尚、色再現部7は、バックライト光により表示される透過型液晶表示装置に用いるより、周囲の光源により照明される光により表示される反射型表示装置に用いる方が効果が大きい。それは、透過型液晶表示装置では照明光の変化による原色の色度変化が少ないからであり、一方反射型液晶表示装置ではきわめて大きな変化があるからである。反射型液晶表示装置では、順応の残留誤差より原色の変化が支配的であり、従って、色変化を補正する色再現部7を用いるだけでも大きな効果が期待できる。
【0147】
一方、透過型液晶表示装置では、色信号変換部において、色再現部7を用いなくとも、目標表示色決定部6を用いて人間の色順応特性を補正するだけでも十分な実用性が期待できる。
【0148】
これらについて、別の構成のブロック図を、図7、図8に示す。図7、図8では、図1と同様の符号を与えた。もちろん、何れの表示装置でも、目標表示色決定部6と色再現部7の両方を用いれば、いっそう完全な色表示ができることはいうまでもない。
【0149】
つまり、このようなより完全な形態が図1の構成である。図1では、照明光の光特性をセンスするセンサ4と、そのセンサ4の出力を表示すべき色を決定する目標表示色決定部6と、その決定された目標表示色を、任意の色度の三原色を用いて表示するようにした色再現部7とに導いて、それぞれ色変換マトリクス(色変換係数)を求め、信号入力端子5に入力された信号に対して順次2回のマトリクス演算を行うようにして、この機能を成し遂げるようにしているが、前記図7、図8に示す構成では、1回のマトリクス演算を行うのみであり構成が簡素化されている。
【0150】
すなわち、図7に示す画像表示装置では、色信号変換部として目標表示色決定部6のみを備えている。この色信号変換部では、目標表示色決定部6において、前記センサ4の出力に適応して目標色決定マトリクス発生部32にて目標色決定マトリクスを発生させ、目標色色補正部22によって、信号入力端子5から入力された信号(色信号)を、上記目標色決定マトリクスに基づいて変換するようになっている。
【0151】
また、図8に示す画像表示装置では、色信号変換部として色再現部7のみを備えている。この色信号変換部では、色再現部において、前記センサ4の出力に適応して色再現マトリクス発生部31によって色再現マトリクスを発生させ、色変換部21によって、信号入力端子5から入力された信号(色信号)を、上記色再現マトリクスに基づいて変換するようになっている。
【0152】
本実施の形態では透過型液晶表示装置及び反射型液晶表示装置を例示して説明したが、これらに限定されるものではなく、CRT、EL、プラズマ等の表示装置一般に適用できる。又これらの画像表示装置を搭載したノートパソコン、デスクトップパソコン、モニタ、プロジェクションテレビ、直視テレビ、ビデオカメラ、スチルカメラ等の電子機器に広く適用できる。
【0153】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、本実施の形態では、センサを用いないで、色信号を補正する方法について説明する。
【0154】
照明光の三刺激値は、いくつかの一般的な照明の種類とその三刺激値をあらかじめ記憶して、そのときに利用されている照明条件をユーザーに選択させるようにすれば、簡単に照明の三刺激値を特定することが可能である。簡易的な等色を行うのであれば、三刺激値を記憶するより、照明光の色度座標値を記憶する方が簡単であり、このような構成でも良いことは明らかである。
【0155】
本実施の形態に係る液晶表示装置は、図9に示すように、これらを実現するために、前記実施の形態1で示すセンサ4で求めた照明光の特性を予め記憶したメモリ41を備えている。このメモリ41に記憶された情報は、適切なインターフェース(図示せず)を通じて、使用者が随時必要に応じて呼び出して使用する。
【0156】
上記構成の液晶表示装置では、メモリ41には、照明光の波長特性を記憶するようにし、蛍光灯、電球、屋外等のキーワードを使用者に選択させて、それに応じた波長特性を出力するようにする。
【0157】
また、図10に示すように、センサ4を併用して、センサ4の出力とメモリ41の出力を必要に応じて切り替えるようにしても良い。この出力の切り替えには、切り替えスイッチ101を用いる。この場合、オフィスで定常的に使う場合にはメモリ41の出力を使用し、屋外で照明条件が刻々と変化するような条件下で使用する場合にはセンサ4の出力を利用する等切り替えることができて、いっそう便利になる。
【0158】
又、図11に示すように、センサ4の出力をメモリ41に追加して書き込むことができるようにしてもよい。この場合、使用者の所望の使用環境に応じた波長特性のデータを追加することができ、きわめて利便性が向上する。
【0159】
さらに、図12に示すように、メモリ41には、センサ4によって検出された外光条件としての照明光の波長特性以外に、計算に必要なマトリクスを直接書き込んでも良い。すなわち、図12に示す構成では、メモリ41に、目標表示色決定部6の目標色色補正部22に必要なマトリクスと、色再現部7の色変換部21に必要なマトリクスとを記憶させるようになっている。したがって、メモリ41には、外光条件としての照明光の波長特性を、目標色色補正部22と色変換部21とに対応して一組ずつ格納されると共に、上記マトリクスも一組ずつ格納される。また、メモリ41に記憶された外光条件とマトリクスは、必要に応じて一組ずつ出力される。
【0160】
この場合、メモリ41には、工場出荷時に典型的ないくつかの照明光に対応したマトリクスを書き込んでおくことは勿論、図12の構成で図11に述べたのと同様、使用者の所望の使用環境に応じたマトリクスを追加することも可能である。
【0161】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について以下に説明する。なお、本実施の形態では、前記実施の形態1で述べたように、2つのマトリクス演算を続けて行い、さらに、計算に必要な2つのマトリクスを予め計算して求めるようになっている。図13に、本実施の形態に係る液晶表示装置の構成例を示す。
【0162】
図13に示す液晶表示装置では、色信号変換部として、マトリクス発生部3と演算部(色補正部)2とを備え、センサ4からの出力に応じた2つのマトリクスをマトリクス発生部3で計算し、演算部2では、これらの積をかけ算部131で予め求めて、目標色色補正部22で色信号のRGB信号にかけ算する。色変換の演算は、画面を表示する限り定常的に行う必要があるが、この様にすると、従来、2度続けて行う必要があった定常的に行うマトリクス演算が一度で済み、装置全体のスループットの向上を図ることができる。
【0163】
なお、マトリクスを求める箇所を2カ所持つ必要もなく、一つにまとめることができることは明らかである。又、図13に示すセンサ4は、前記実施の形態2で述べたメモリ41に置き換えても良いことも明らかである。この場合の構成を図14に示す。これらの場合(図13や図14に示す装置の場合)、構成が簡単にできるとともに、ユーザーに利便性を教授することができる利点がある。特に図14に示した画像表示装置では、色信号変換部2内にメモリ41と目標色色補正部22とを含む構成となっているので、メモリ41内に必要なマトリクス自体を記憶することも可能であるので、構成が極めて簡単にできる利点がある。
【0164】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について以下に説明する。
【0165】
本実施の形態では、液晶表示装置において、該液晶表示装置自身が屋内に存在しているのか、あるいは屋外に存在しているのかを判定(屋内外判定)する方法について説明する。
【0166】
前記実施の形態1では、センサ4で検出した外光の光特性に応じて、マトリクスを求めるようにしている。そのために、少なくとも2つ以上のセンサ4を用いるようにしているが、1つのセンサ4だけを用いてシステムを構築することも可能である。
【0167】
一般に、反射型のディスプレイは、通常のフラットパネルディスプレイでは使用できないような非常に明るい、例えば直射日光が当たる屋外のようなところでも問題なく使用できる特徴がある。屋外環境では、室内環境に比較して非常に大きな管面照度が得られるので、図5に示すセンサ4を用いて照度だけを測定すれば、その照度が極めて大きいかどうかを判断するだけで、屋外環境で使用されているかどうかを判断することが可能である。つまり、屋外環境にあるか、屋内環境にあるかは、単一のセンサを用いて判断可能である。そこで、屋外環境にあると判断されるときは、前記実施の形態2の方法を用いて、太陽光照明が与えられていると仮定して補正システムを動作させることが可能である。
【0168】
このようにすれば、センサを簡略化することができると同時に、極めて明るい環境でも使用可能であるという反射型ディスプレイの第1の特徴をいかんなく発揮でき、実質的に効果の高いシステムを構築することが可能である。特に、車載時には、極めて明るい環境から室内環境に近い環境、あるいは夜間走行など、広い範囲の照明条件に対応する必要があり、夜間走行時には別途照明を点灯し、また、極めて明るい環境は直射日光がディスプレイにあたっている状態等と判断して、それぞれの状況に適した表示を行うことができるようになる利点がある。
【0169】
【発明の効果】
本発明の画像表示装置は、以上のように、色信号の入力により画像表示を行う画像表示部と、前記画像表示部に照射されている外光の光特性に応じて、該画像表示部に入力される色信号を変換する色信号変換部とを有する構成である。
【0170】
ここで、外光とは、画像表示部の内部のバックライトではなく、太陽光や蛍光灯の光等の画像表示部の外側に光源がある光である。一般に、画像表示部に照射される外光の種類によって使用者が該画像表示部に表示された画像を見た場合、その画像の色合いが変化したように見える。このため、外光の種類ごとに見え方の異なる画像を常に同じような色合いで見えるようにするには、画像表示部に入力される色信号を外光の種類毎に補正する必要がある。
【0171】
また、外光の種類は、外光の光特性を検出することにより特定することができるが、この光特性の代表的なものとして、波長特性があり、この波長特性から容易に外光を特定することができる。
【0172】
したがって、上記の構成のように、外光の光特性に応じて変換された色信号により画像表示を行えば、外光の光特性が変化しても使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供することができるという効果を奏する。
【0173】
また、外光の光特性をセンスするセンサを備え、前記色信号変換部は、前記色信号を、前記センサの出力に適応した色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0174】
この場合、センサによって外光の光特性を検出することで、外光の種類の特定を容易に行うことができる。そして、画像表示部に入力される色信号を、このセンサの出力に適応した色の色信号に変換するようにすれば、外光の光特性に応じた画像、使用者が感ずる色調が変化しない画像を得ることができるという効果を奏する。
【0175】
前記色信号変換部は、前記センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部を有し、前記色信号を、該目標表示色決定部により決定された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0176】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサにより検出された外光の光特性(波長特性)に応じて、人間の視覚系の外光への順応を考慮して表示すべき色が決められ、画像表示部に入力される色信号を、この決められた色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光への順応を考慮して決定された色、すなわち人間の色順応特性を考慮した色の色信号が入力される。よって、表示される画像を、使用者が感ずる色調が変化しない画像にすることができるという効果を奏する。
【0177】
上記構成は、透過型の画像表示装置の場合のように、三原色の色度の影響よりも人間の色順応特性の影響を受け易い場合に効果的である。
【0178】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を再現する色再現部を有し、前記色信号を、該色再現部により再現された色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0179】
この場合、色信号変換部では、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色、すなわち正しい色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、この再現された正しい色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光の光特性が変化しても常に正しい色で画像の表示を行うことができるという効果を奏する。
【0180】
上記構成は、外光によって変化する三原色の色度変化を考慮したものであるので、特に、周囲の光源により照明された光により表示される反射型表示装置のように、三原色の変化の影響を受け易い場合に効果的である。
【0181】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部と、前記センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色を再現する色再現部とを有し、前記色信号を、前記色再現部により再現された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0182】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色が決定され、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、再現された目標表示色の色信号に変換するようになっているので、人間の色順応特性を考慮し、さらに使用者が感ずる色調が変化せず、しかも、外光の光特性が変化しても常に正しい色の画像の表示を行うことができる。
【0183】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができるという効果を奏する。
【0184】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力に応じて色補正係数を発生する色補正係数発生部と、該色補正係数発生部で発生した色補正係数を用いて、前記色信号を補正する色補正部とを有してもよい。
【0185】
この場合、色信号変換部では、外光の光特性に応じて色補正係数を用いて、色信号を補正するようになっているので、画像表示部には外光の光特性に応じた画像が表示される。
【0186】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供することができるという効果を奏する。
【0187】
具体的には、前記色補正係数発生部は、目標表示色を決定する際に使用される目標表示色決定係数を発生させる目標表示色決定係数発生部と、センサの出力に基づいて色再現を行う際に使用される色再現係数を発生させる色再現係数発生部とからなり、前記色補正部は、前記色補正係数発生部により発生した目標表示色決定係数と色再現係数との積を求めるかけ算部と、このかけ算部で得られた値に基づいて色信号の色補正を行う目標色色補正部とからなるように構成してもよい。
【0188】
この場合、目標表示色決定係数発生部では、かけ算部で使用する目標表示色決定係数を発生し、色再現係数発生部では、かけ算部で使用する色補正係数を発生し、このかけ算部では、外光の光特性に基づいて発生した目標表示色決定係数と色再現係数との積が求められ、目標色色補正部では、かけ算部で得られた値に基づいて、画像表示部に入力される前の色信号の色補正が行われる。
【0189】
このように、外光の光特性に応じて、画像表示部に入力される前の色信号の色補正が行われるので、外光の光特性が変化しても、使用者が感ずる色調が変化しない画像を表示させることができるという効果を奏する。
【0190】
また、外光の光特性の一つである波長特性を調べれば、画像表示部に照射されている光、あるいは周囲の光の種類を特定することができる。この光の種類を特定することにより、画像表示装置のおかれている環境をある程度特定することができるという効果を奏する。
【0191】
そこで、外光の波長特性を検出するために、前記センサによって、外光を2つ以上の波長領域に分解して、それぞれの強度を把握することで、外光の光特性の一つである波長特性を測定するようにしてもよい。
【0192】
具体的には、前記センサを、少なくとも2以上の異なる波長領域を分解する波長特性を有し、それぞれの波長領域における出力値に基づいて、外光の波長特性を測定するようにしてもよい。
【0193】
本発明の他の画像表示装置は、以上のように、複数種類の外光の光特性を予め記憶するメモリを備え、前記色信号変換部は、前記色信号を、前記メモリから選択して読み出された外光の光特性に適応した色の色信号に変換する構成である。
【0194】
それゆえ、画像表示部に入力される前の色信号に対して、メモリに記憶された外光の光特性の中から選択した外光の光特性に基づいて補正が行われるので、選択した外光の光特性に適した色信号で画像表示が行われる。
【0195】
上記メモリに、複数種類の外光の光特性として、室内の照明、室外の太陽光等の様々な外光下で画像を使用者が見ることを想定された外光の光特性を記憶させることで、使用者が使用環境に適した外光の光特性を択一的に選択することができ、しかも、この外光の光特性下において正しい色、すなわち使用者が色調の変化を感ずることのない色で画像表示を行うことができるという効果を奏する。
【0196】
前記メモリは、外光の2以上の異なる波長領域の波長特性を記憶し、記憶された波長特性の組み合わせによって、選択された外光の光特性として出力するようにしてもよい。
【0197】
この場合、外光の2以上の異なる波長領域の波長特性を記憶するだけで、様々な外光の光特性を記憶したことになるので、メモリの記憶容量を小さくすることができ、しかも、記憶した波長特性の組み合わせの分だけの種類の外光の光特性に対応させることができる。
【0198】
前記色信号変換部は、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部を有し、前記色信号を、該目標表示色決定部により決定された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0199】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサにより検出された外光の光特性(波長特性)に応じて、人間の視覚系の外光への順応を考慮して表示すべき色が決められ、画像表示部に入力される色信号を、この決められた色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光への順応を考慮して決定された色、すなわち人間の色順応特性を考慮した色の色信号が入力される。よって、表示される画像は、使用者が感ずる色調が変化しない画像にすることができるという効果を奏する。
【0200】
上記構成は、透過型の画像表示装置の場合のように、三原色の色度の影響よりも人間の色順応特性の影響を受け易い場合に効果的である。
【0201】
また、前記色信号変換部は、前記メモリから選択された外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を再現する色再現部を有し、前記色信号を、該色再現部により再現された色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0202】
この場合、色信号変換部では、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、正しい色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、この再現された正しい色の色信号に変換するようになっているので、画像表示部には、外光の光特性が変化しても常に正しい色で画像の表示を行うことができるという効果を奏する。
【0203】
上記構成は、外光によって変化する三原色の色度変化を考慮したものであるので、特に、周囲の光源により照明された光により表示される反射型表示装置のように、三原色の変化の影響を受け易い場合に効果的である。
【0204】
また、前記色信号変換部は、前記メモリから選択された外光の光特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部と、前記センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色を再現する色再現部とを有し、前記色信号を、前記色再現部により再現された目標表示色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0205】
この場合、色信号変換部では、目標表示色決定部によって、センサの出力に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色が決定され、色再現部によって、センサの出力に適応した色度の三原色を用いて、前記目標表示色決定部により決定された目標表示色が再現され、画像表示部に入力される色信号を、再現された目標表示色の色信号に変換するようになっているので、人間の色順応特性を考慮し、さらに使用者が感ずる色調が変化せず、しかも、外光の光特性が変化しても常に正しい色の画像の表示が行われる。
【0206】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができるという効果を奏する。
【0207】
本発明の画像表示装置は、以上のように、外光の光特性をセンスするセンサを備え、前記色信号変換部は、前記センサの出力に基づいた色信号の変換と、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいた色信号の変換とを切り替えて行う構成である。
【0208】
それゆえ、色信号変換部が、前記センサの出力に基づいた色信号の変換と、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいた色信号の変換とを切り替えて行うようになっているので、必要に応じてセンサとメモリとを使い分けることができる。
【0209】
例えば、メモリに記憶されていない種類の外光により画像表示部が照射されている場合には、センサにより外光の種類を特定することができ、常に、外光の光特性に応じた色で画像表示を行うことができるという効果を奏する。
【0210】
また、前記色信号変換部は、前記センサの出力の一つである照度出力が一定値を超えた場合、前記メモリから選択された外光の光特性に基づいた色信号の変換を行うようにしてもよい。
【0211】
この場合、外光の照度出力が一定値を超えれば、画像表示部に照射する外光が太陽光のような強力な光度の光であると判断することができる。これにより、画像表示装置に太陽光等の非常に明るい光が照射される動作環境(例えば屋外)であるか室内光程度の明るさの光が照射される動作環境(例えば屋内)であるかを検出するセンサを別途設ける必要がない。
【0212】
また、照度出力が一定値を超えた場合には、太陽光等の非常に明るい光が画像表示部に照射されていると仮定され、メモリに記憶されている太陽光の光特性に基づいて色信号を補正すれば、使用者が感ずる色調の変化のない画像を得ることができるという効果を奏する。
【0213】
さらに、反射型の画像表示装置では、非常に明るい外光が照射されても問題なく使用できるが、暗い場合には、補助の光(バックライト等)が必要とされる。そこで、上記照度値を反射型の画像表示装置で補助の光が必要か否かを決める値に設定すれば、この照度が一定値よりも小さい場合には、適切に表示するには外光が不足していると判断し、補助の光を強制的に使用するようにすれば、動作環境(外光の光源の違い)に適応した画像表示が可能となるという効果を奏する。
【0214】
前記メモリは、外光の光特性と、該外光の光特性に対応した色補正係数をあらかじめ複数種類記憶し、前記色信号変換部は、選択された外光の光特性に基づいて、前記メモリに記憶された色補正係数を読み出す色補正係数発生部と、前記色補正係数発生部が前記メモリから読み出した色補正係数を用いて色信号の補正を行う色補正部とで構成されていてもよい。
【0215】
この場合、メモリには、外光の光特性とこれに対応した色信号の補正に必要な色補正係数とが予め記憶されているので、色補正係数を求める必要がなくなる。これにより、色信号を補正するためのステップを短縮できるので、高解像度の画像表示装置に対しても対応が容易になるという効果を奏する。
【0216】
パソコン等の電子機器に上記構成の画像表示装置を備えるようにしてもよい。
【0217】
この場合、パソコン等の電子機器において、画像表示を行う場合、画像データを画像表示時に色空間のデータ(色信号)として取り扱うようになり、画像表示装置に照射される外光の光特性に応じて、色信号の補正を行うことができる。
【0218】
このため、例えば、インターネットを介して異なるパソコンに画像データを送信した場合、画像データの受信側のパソコンにおいても、上記構成の画像表示装置を備えていれば、該画像表示装置に照射される外光の光特性に応じて、受信した画像データの色信号を補正すれば、使用者にとって適切な色の画像を得ることができ、この結果、パソコン間の画像表示装置における画像表示の見栄えの一致を図ることができるという効果を奏する。
【0219】
本発明の画像表示装置は、以上のように、色信号の入力により画像表示を行う画像表示部に照射されている外光の光特性に応じて、該画像表示部に入力される色信号を変換する構成である。
【0220】
それゆえ、外光の光特性に応じて変換された色信号により画像表示を行えば、外光の光特性が変化しても使用者が感ずる色調が変化しない画像を提供することができるという効果を奏する。
【0221】
前記色信号を、センサによって検出された外光の光特性に適応した色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0222】
この場合、センサによって外光の光特性を検出することで、外光の種類の特定を容易に行うことができる。そして、画像表示部に入力される色信号を、このセンサの出力に適応した色の色信号に変換するようにすれば、外光の光特性に応じた画像、使用者が感ずる色調が変化しない画像を得ることができるという効果を奏する。
【0223】
前記色信号を、予めメモリに記憶された複数種類の外光の光特性の中から選択して読み出された外光の光特性に適応した色の色信号に変換するようにしてもよい。
【0224】
この場合、画像表示部に入力される前の色信号に対して、メモリに記憶された外光の光特性の中から選択した外光の光特性に基づいて補正が行われるので、選択した外光の光特性に適した色信号で画像表示が行われる。
【0225】
上記メモリに、複数種類の外光の光特性として、室内の照明、室外の太陽光等の様々な外光下で画像を使用者が見ることを想定された外光の光特性を記憶させることで、使用者が使用環境に適した外光の光特性を択一的に選択することができ、しかも、この外光の光特性下において正しい色、すなわち使用者が色調の変化を感ずることのない色で画像表示を行うことができるという効果を奏する。
【0226】
前記色信号の変換を、外光の光特性に適応して人間の色順応特性を考慮して決定した表示すべき色に基づいて行うようにしてもよい。
【0227】
この場合、外光の光特性に適応して人間の色順応特性を考慮して決定した表示すべき色に基づいて行うようになっているので、画像表示部には、外光への順応を考慮して決定された色、すなわち人間の色順応特性を考慮した色の色信号が入力される。よって、表示される画像は、使用者が感ずる色調が変化しない画像にすることができるという効果を奏する。
【0228】
前記色信号の変換を、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現した色に基づいて行うようにしてもよい。
【0229】
この場合、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現した色に基づいて行うようになっているので、画像表示部には、外光の光特性が変化しても常に正しい色で画像の表示を行うことができるという効果を奏する。
【0230】
前記色信号の変換は、外光の光特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として決定した色を、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現し、この再現した色に基づいて行うようにしてもよい。
【0231】
この場合、外光の光特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として決定した色を、外光の光特性に適応した色度の三原色を用いて再現し、この再現した色に基づいて行うようになっているので、人間の色順応特性を考慮し、さらに使用者が感ずる色調が変化せず、しかも、外光の光特性が変化しても常に正しい色の画像の表示を行うことができる。
【0232】
これにより、外光の光特性に影響を受けず、使用者にとって常に適切な色の画像を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像表示装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】人間の視覚系の順応効果を説明する図である。
【図3】反射型液晶表示装置の色域を示すグラフである。
【図4】シリコンブルーセルを用いたセンサの概略構成図である。
【図5】液晶表示装置にセンサを取りつけた状態を示す説明図である。
【図6】センサを液晶表示装置自体に組み込んだ状態を示す説明図である。
【図7】本発明の画像表示装置の他の例を示す概略構成図である。
【図8】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図9】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図10】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図11】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図12】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図13】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図14】本発明の画像表示装置のさらに他の例を示す概略構成図である。
【図15】従来の技術の問題点を示す説明図である。
【図16】反射型液晶表示装置の色の見栄えに関する説明図である。
【図17】反射型液晶表示装置の色の変化について示す説明図である。
【図18】反射型液晶表示装置の色域を示すグラフである。
【図19】色度座標に関する変換プログラムの設定部を示す図である。
【図20】x、yからzを計算するプログラム部分を示す図である。
【図21】マトリクスの計算を行うプログラム部分を示す図である。
【図22】マトリクス及び逆マトリクスを計等するプログラム部分を示す図である。
【図23】正規化の計算をするプログラム部分を示す図である。
【図24】図19ないし23の計算結果を示すプログラム部分を示す図である。
【図25】反射型液晶の光反射の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 液晶表示装置
2 演算部(色補正部)
3 マトリクス発生部(目標色決定係数発生部)
4 センサ
5 信号入力端子
6 目標表示色決定部(色信号変換部)
7 色再現部(色信号変換部)
21 色変換部
22 目標色色補正部
31 色再現マトリクス発生部(色再現係数発生部)
32 目標色決定マトリクス発生部
41 メモリ
42 カラーフィルタ
43 シリコンブルーチップ
44 出力端子
51 センサ
52 パーソナルコンピュータ
61 画像表示に関与しない画素
62 赤のドット
63 青のドット
64 緑のドット
101 切り替えスイッチ
131 かけ算部
151 送信側の表示装置
152 表示画像
153 受信側の表示装置
154 送信側の照明光
155 受信側の照明光
161 反射型液晶表示装置
162 使用者

Claims (18)

  1. 三原色色信号の入力により画像表示を行う液晶表示パネルと、
    前記液晶表示パネルに照射されている外光の波長特性に応じて、該液晶表示パネルに入力される色信号を変換する色信号変換部と、
    外光の光特性をセンスするセンサとを備え、
    前記色信号変換部は、前記液晶表示パネルの光学系の波長特性と前記外光の波長特性によって定まる前記液晶表示パネルの三原色の色度座標値を、前記光学系の波長特性と前記センサが検出した外光の波長特性とに基づいて求める色再現部を含み、前記三原色色信号を、該色再現部により求められた三原色の色度座標値に基づいて変換して表示すること特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記色信号変換部は、人間の色順応特性を満足する画像を表示するために、前記センサが検出した外光の波長特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部を有し、前記色信号を、該目標表示色決定部により決定された目標表示色の色信号に変換することを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記色信号変換部は、前記センサの出力に応じて色補正係数を発生する色補正係数発生部と、該色補正係数発生部で発生した色補正係数を用いて、前記色信号を補正する色補正部とを有していることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  4. 前記色補正係数発生部は、目標表示色を決定する際に使用される第1色補正係数としての目標表示色決定係数を発生させる目標表示色決定係数発生部と、センサの出力に基づいて色再現を行う際に使用される第2色補正係数としての色再現係数を発生させる色再現係数発生部とからなり、
    前記色補正部は、前記色補正係数発生部により発生した目標表示色決定係数と色再現係数との積を求めるかけ算部と、このかけ算部で得られた値に基づいて色信号の色補正を行う目標色色補正部とからなることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
  5. 前記センサは、少なくとも2以上の異なる波長領域を分解する波長特性を有し、それぞれの波長領域における出力値に基づいて、外光の波長特性を測定することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 三原色色信号の入力により画像表示を行う液晶表示パネルと、
    前記液晶表示パネルに照射されている外光の波長特性に応じて、該液晶表示パネルに入力される三原色色信号を変換する色信号変換部と、
    複数種類の外光の波長特性を予め記憶するメモリとを備え、
    前記色信号変換部は、前記液晶表示パネルの光学系の波長特性と、前記外光の波長特性によって定まる前記液晶表示パネルの三原色の色度座標値を、前記光学系の波長特性と前記メモリから選択された外光の波長特性とに基づいて求める色再現部を含み、前記三原色色信号を、該色再現部により求められた三原色の色度座標値に基づいて変換して表示すること特徴とする液晶表示装置。
  7. 前記メモリは、外光の2以上の異なる波長領域の波長特性を記憶し、記憶された波長特性の組み合わせによって、選択された外光の波長特性として出力することを特徴とする請求項6記載の液晶表示装置。
  8. 前記色信号変換部は、人間の色順応特性を満足する画像を表示するために、前記メモリから選択された外光の波長特性に基づいて、人間の色順応特性を満足する画像として表示すべき色を決定する目標表示色決定部を有し、前記色信号を、該目標表示色決定部により決定された目標表示色の色信号に変換することを特徴とする請求項6または7に記載の液晶表示装置。
  9. 外光の波長特性をセンスするセンサを備え、
    前記色信号変換部は、前記センサの出力に基づいた色信号の変換と、前記メモリから選択された外光の波長特性に基づいた色信号の変換とを切り替えて行うことを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記色信号変換部は、前記センサの出力の一つである照度出力が一定値を超えた場合、前記メモリから選択された外光の波長特性に基づいた色信号の変換を行うことを特徴とする請求項9記載の液晶表示装置。
  11. 前記メモリは、外光の波長特性と、該外光の波長特性に対応した色補正係数をあらかじめ複数種類記憶し、
    前記色信号変換部は、選択された外光の波長特性に基づいて、前記メモリに記憶された色補正係数を読み出す色補正係数発生部と、前記色補正係数発生部が前記メモリから読み出した色補正係数を用いて色信号の補正を行う色補正部とを有することを特徴とする請求項6記載の液晶表示装置。
  12. 三原色色信号の入力により画像表示を行う液晶表示パネルに照射されている外光の波長特性に応じて、該液晶表示パネルに入力される色信号を変換する液晶表示方法であって、
    前記三原色色信号を、センサによって検出された外光の波長特性に適応した色の色信号に変換するステップを含み、
    上記ステップにおける前記色信号の変換は、前記液晶表示パネルの光学系の波長特性と、前記センサが検出した外光の波長特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として決定した色を、外光の光特性に応じて定まる前記液晶表示パネルの三原色を用いて再現するようにしたことを特徴とする液晶表示方法。
  13. 前記色信号の変換を、外光の波長特性に適応して人間の色順応特性を考慮して決定した表示すべき色に基づいて行うことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示方法。
  14. 前記色信号の変換を、外光の波長特性に適応した色度の三原色を用いて再現した色に基づいて行うことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示方法。
  15. 三原色色信号の入力により画像表示を行う液晶表示パネルに照射されている外光の波長特性に応じて、該液晶表示パネルに入力される色信号を変換する液晶表示方法であって、
    前記三原色色信号を、予めメモリに記憶された複数種類の外光の波長特性の中から選択して読み出された外光の波長特性に適応した色の色信号に変換するステップを含み、
    上記ステップにおける前記色信号の変換は、前記液晶表示パネルの光学系の波長特性と、前記メモリから選択された外光の波長特性に適応して、人間の色順応特性を満足する画像として決定した色を、外光の光特性に応じて定まる前記液晶表示パネルの三原色を用いて再現するようにしたことを特徴とする液晶表示方法。
  16. 前記色信号の変換を、外光の波長特性に適応して人間の色順応特性を考慮して決定した表示すべき色に基づいて行うことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示方法。
  17. 前記色信号の変換を、外光の波長特性に適応した色度の三原色を用いて再現した色に基づいて行うことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示方法。
  18. 請求項1〜11の何れか1項に記載の液晶表示装置を有することを特徴とする電子機器。
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