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JP3975974B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車やトラックに搭載される車両用交流発電機等の車両用交流発電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用交流発電機に内蔵された電圧制御装置は、制御回路用ICチップやトランジスタ等が配設される回路基板と、この回路基板に高熱伝導接着剤で接着される放熱フィンと、雄型コネクタとを備えており、これらが一体形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、放熱フィンの形状は、使用環境や冷却風の流れ方などによって様々のものが考えられるが、複数のリブ状突起を回転子の回転軸に対して遠心方向に平行に立設させたものが一般的によく知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−85402号公報(第4−6頁、1−10図)
【特許文献2】
特開2000−253625号公報(第3−6頁、1−13図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1、2に開示された従来の車両用交流発電機の電圧制御装置では、複数のリブ状突起を遠心方向に平行に立設させた冷却フィン構造を有しているため、冷却フィン近傍に吸入された冷却風が複数のリブ状突起の形成方向、すなわち回転子の回転軸中心に向かって流れる冷却風通路が形成される。一般的な車両用交流発電機では、電圧制御装置よりも内径側には、回転子の界磁巻線に励磁電流を流すブラシを有するブラシ装置が配置されているため、冷却風通路を通ることにより冷却フィンを冷却して比較的高温になった冷却風がブラシ装置に到達することになる。このため、ブラシ温度が上がってしまうという問題があった。ブラシ温度が上昇すると、ブラシ摩耗促進等の不具合発生の原因になるため好ましくない。また、冷却風とともにダスト等の異物が混入する場合には、異物がブラシ装置周辺に集まってしまい、やはりブラシ摩耗促進等の不具合発生の原因になるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、ブラシ温度を低減することができる車両用交流発電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用交流発電機は、回転子と、回転子の周囲に設けられて回転子と協働して発電する固定子と、回転子の回転中心に設けられて回転子に励磁電流を供給するブラシを保持するブラシ装置と、出力電圧を調整する制御回路とこの制御回路で発生した熱を放熱する冷却フィンとを有するとともにブラシ装置の径方向外側に配置される電圧制御装置とを備えており、冷却フィンは、回転子の回転軸を中心とした周方向に沿って複数のリブ状突起が形成されている。これにより、電圧制御装置の冷却フィンを冷却した冷却風を複数のリブ状突起に沿って周方向に導いて、冷却フィンの冷却に伴って比較的高温になった冷却風が電圧制御装置よりも内径側に配置されたブラシ装置に向かって直接流れることを防止することができるため、ブラシ温度を低減することが可能になる。このため、ブラシ温度上昇に伴うブラシ摩耗促進等の不具合発生を回避することができる。また、ブラシ装置に直接向かう冷却風を減らすことができることから、ブラシ装置周辺に冷却風とともに集まるダスト等の異物を低減することが可能になり、侵入した異物によって発生するブラシ摩耗促進等の不具合も少なくすることができる。
【0008】
また、上述した複数のリブ状突起は、波形形状を有することが望ましい。あるいは、上述した複数のリブ状突起は、円弧形状を有することが望ましい。これにより、リブ状突起を平板形状に形成する場合に比べて、冷却フィンの放熱面積を増やすことができ、電圧制御装置の冷却性を向上させることが可能になる。
【0009】
また、上述した複数のリブ状突起は、回転軸を中心とした同心円状に形成されていることが望ましい。このように、隣接するリブ状突起の間隔を一定に形成することにより、部分的に通風抵抗が増すことを防止することができる。また、冷却フィン近傍に導入された冷却風は、ブラシ装置の外周側を同心円状に移動することになるため、冷却フィンを通ってブラシ装置に直接流れる冷却風を大幅に低減することができ、冷却フィンで暖まった冷却風がブラシ装置に直接あたることによりブラシ温度が上昇することを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態の車両用交流発電機1の断面図である。図1に示すように、本実施形態の車両用交流発電機1は、エンジンからベルト(図示せず)およびプーリ10を介して回転駆動される回転子2と、電機子として働く固定子4と、回転子2と固定子4とを一対の軸受け3c、3dを介して支持するフロントフレーム3aおよびリアフレーム3bと、固定子4に接続されて交流出力を直流出力に変換する整流装置5と、回転子2の界磁コイル22に界磁電流を供給するブラシ71、72を保持するブラシ装置7と、出力電圧を制御する電圧制御装置8と、整流装置5、電圧制御装置8およびブラシ装置7等の電気部品を覆うようにリアフレーム3bに取り付けられる樹脂製の保護カバー9を含んで構成されている。
【0011】
回転子2のフロント側端面には、回転子2の回転方向に対してブレードを前傾させた斜流式の冷却ファン23が設けられている。この冷却ファン23を回転子2とともに回転させることにより、フロントフレーム3aの軸方向端面に設けられた吸入窓から取り込まれた冷却風は、固定子4の固定子巻線41のフロント側コイルエンド41aと界磁コイル22を冷却する。一方、回転子2のリア側端面には、遠心式の冷却ファン24が設けられている。この冷却ファン24を回転子2とともに回転させることにより、保護カバー9に設けられた吸入窓から取り込まれた冷却風は、整流装置5、ブラシ装置7、電圧制御装置8を冷却した後リアフレーム3bの吸入窓を介して冷却ファン24近傍に導かれ、さらに遠心方向に配置された固定子巻線41を冷却する。
【0012】
図2は、整流装置5、ブラシ装置7および電圧制御装置8の組み付け状態を示す図である。図3は、電圧制御装置8の平面図である。図4は、電圧制御装置8の組み付け状態を示す図であり、保護カバー9で覆われた状態が示されている。図5は、図4のV−V線断面図である。図6は、本実施形態の車両用交流発電機1の結線図である。
【0013】
整流装置5は、回転子2の回転軸方向に2段に重ねられた馬蹄形の冷却部材としての正極側フィン501および負極側フィン503と、正極側フィン501に取り付けられた複数の正極側ダイオード502と、負極側フィン503に取り付けられた複数の負極側ダイオード504と、端子台513とを含んで構成されている。
【0014】
端子台513は、正極側フィン501と負極側フィン503の間を電気的に絶縁する樹脂製絶縁部材であり、固定子4で発生する交流電圧を正極側ダイオード502および負極側ダイオード504に導くための導電部材を内蔵している。
正極側ダイオード502および負極側ダイオード504は、それぞれのリードターミナルが異極性のフィンに向くように、すなわち、正極側ダイオード502のリードターミナルは負極側ダイオード504が取り付けられた負極側フィン503に、負極側ダイオード504のリードターミナルは正極側ダイオード502が取り付けられた正極側フィン501にそれぞれ向くように配置されている。
【0015】
また、正極側ダイオード502および負極側ダイオード504は、正極側フィン501あるいは負極側フィン503に形成された貫通孔に打ち込み固定されており、それぞれのリードターミナルは、端子台513の導電部材に電気接続され、複数の正極側ダイオード502と複数の負極側ダイオード504によって全波整流回路が形成されている。本実施形態では、2組の三相全波整流回路を形成するように、正極側フィン501と負極側フィン503のそれぞれには6個の正極側ダイオード502あるいは6個の負極側ダイオード504が配置されている。さらに、正極側フィン501には出力端子用のボルト500が取り付けられており、全波整流された直流出力が取り出される。
【0016】
また、整流装置5は、リアフレーム3bと保護カバー9との間に配置され、リア側の軸受け3dを収容するリアベアリングボックスを支持する支持部材に保護カバー9とともに締結固定されている。また、負極側フィン503は、正極側フィン501に比べて外径寸法が大きく設定されており、しかも、負極側ダイオード504は、正極側ダイオード502よりも大径側(径方向外側)に配置されている。また、負極側フィン503には外径部近傍の複数箇所(例えば4箇所)に周方向に沿ってほぼ均等に締結固定部が形成されており、これらの締結固定部に締結用ビス510を通して負極側フィン503を締結することにより、リアフレーム3bに負極側フィン503が固定される。また、これらの締結固定部周辺において、負極側フィン503がリアフレーム3bに接触し、負極側フィン503からリアフレーム3bに対する放熱が行われる。
【0017】
また、本実施形態の整流装置5では、端子台513を挟んで正極側フィン501と負極側フィン503が組み付けられた状態で、周方向の一部に所定の空間が形成されている。この空間には、電圧制御装置8の一部とブラシ装置7とが配置される。ブラシ装置7は、回転子2の回転中心に設けられており、その径方向外側に電圧制御装置8が配置されている。
【0018】
電圧制御装置8は、整流装置5の周方向の一部に形成された所定の空間に配置される電圧制御部800と、この電圧制御部800の外周部から周方向に延出して先端に固定部802が形成された延出部804と、電圧制御部800に電気的に接続されるとともに固定部802と電圧制御部800との間の延出部804に設けられたコネクタ部806とを有している。
【0019】
電圧制御部800は、車両用交流発電機1の出力電圧を調整するためのものであり、制御回路を構成するチップ807が内蔵されているとともに、このチップ807によって発生する熱を放熱する冷却フィン808がリア側に設けられている。延出部804は、円弧形状を有しており、その先端の固定部802は、整流装置5が固定されるリアフレーム3bの端面から外径側にせり出した位置に配置されている。また、コネクタ部806は、回転子2の回転軸方向に延出しており、複数の接続端子(例えば3つの接続端子810、812、814)が設けられている。このコネクタ部806と固定部802は、回転子2の回転軸からの距離がほぼ同じになるように設置位置が設定されている。また、固定部802は、ボルト809を用いて、リアフレーム3bの端面に締結固定されている。
【0020】
また、電圧制御部800には、ブラシ装置7と電気的接続を行う2つの端子830、832と、整流装置5と電気的接続を行う3つの端子834、836、838とが設けられている。電圧制御部800に設けられた端子830、832は、回転子2の界磁コイル22の両端に電気的に接続されるF端子およびB端子である。また、端子834は、整流装置5の負極側フィン503に接続されるE端子である。端子836は、整流装置5の正極側フィン501に接続されるB端子であり、端子832と内部で結線されている。端子838は、固定子4に備わった多相(例えば三相)の固定子巻線41のいずれかの相巻線に整流装置5を介して接続されるP端子である。また、コネクタ部806に設けられた端子810、812、814のそれぞれは、例えば、バッテリ900の正極側端子に接続されるS端子、外部に接続される警告灯902に接続されるL端子、イグニッションスイッチ904に接続されるIG端子であり、これらの接続は回転子2の回転軸に沿った向きに引き出された所定のケーブルを介して行われる。
【0021】
ところで、本実施形態の電圧制御装置8では、電圧制御部800に備わった冷却フィン808は、回転子2の回転軸を中心とした周方向に沿って形成された複数のリブ状突起840を有している。各リブ状突起840は、回転軸を中心とした遠心方向に対して直角方向に延在した複数の平板状部材であり、隣接するリブ状突起840の間の空間が冷却風の通風路842を形成している。
【0022】
したがって、図4および図5に示すように、冷却フィン808の上部に形成された保護カバー9の吸入窓から取り込まれた冷却風は、リブ状突起840の延在方向と平行な通風路842に沿って流れ、さらに電圧制御部800の周方向側面に沿ってリアフレーム3b側に吸入される。特に、図3に示すように冷却フィン808の径方向の長さAを周方向の長さBよりも長く設定した場合には、リブ状突起を径方向に沿って形成する場合に比べて、図5に示す冷却風導入部空間Sの容量を大きくすることが可能になり、通風抵抗の低減による冷却性の向上が可能になる。
【0023】
このように、本実施形態の車両用交流発電機1では、電圧制御装置8の冷却フィン808には、回転子2の回転軸を中心とした周方向に沿って複数のリブ状突起840が形成されている。これにより、電圧制御装置8の冷却フィン808を冷却した冷却風を各リブ状突起840に沿って周方向に導くことができる。これに伴い、冷却フィン808の冷却に伴って比較的高温になった冷却風が電圧制御装置8よりも内径側に配置されたブラシ装置7に向かって直接流れることを防止することができるため、ブラシ温度を低減することが可能になる。このため、ブラシ温度上昇に伴うブラシ摩耗促進等の不具合発生を回避することができる。また、ブラシ装置7に直接向かう冷却風を減らすことができることから、ブラシ装置7周辺に冷却風とともに集まるダスト等の異物を低減することが可能になり、侵入した異物によって発生するブラシ摩耗促進等の不具合も少なくすることができる。
【0024】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、冷却フィン808の形状を平板状部材以外の形状としてもよい。
図7は、波形形状のリブ状突起を有する冷却フィンの変形例を示す図である。図7に示す電圧制御装置8Aでは、冷却フィン808Aに形成された複数のリブ状突起840Aは、回転子2の回転軸を中心とした遠心方向に対して直角方向に延在した互いに平行な波形形状を有している。平板形状のリブ状突起840を用いる場合に比べて、冷却フィン808Aの放熱面積を増やすことができ、電圧制御装置8Aの冷却性をさらに向上させることが可能になる。
【0025】
図8は、円弧形状のリブ状突起を有する冷却フィンの変形例を示す図である。図8に示す電圧制御装置8Bでは、冷却フィン808Bに形成された複数のリブ状突起840Bは、回転子2の回転軸を中心とした遠心方向に対して直角方向に延在した互いに平行な円弧形状を有している。上述した波形形状のリブ状突起840Aの場合と同様に、平板形状のリブ状突起840を用いる場合に比べて、冷却フィン808Bの放熱面積を増やすことができ、電圧制御装置8Bの冷却性をさらに向上させることが可能になる。
【0026】
また、各リブ状突起840Bを、図8に示すように、回転子2の回転軸Oを中心とした同心円状に形成することにより、隣接するリブ状突起840Bの間隔を一定に形成することが容易になり、部分的に通風抵抗が増すことを防止することができる。また、冷却フィン808B近傍に導入された冷却風は、ブラシ装置7の外周側を同心円状に移動することになるため、冷却フィン808Bを通ってブラシ装置7に直接流れる冷却風を大幅に低減することができ、冷却フィン808Bで暖まった冷却風がブラシ装置7に直接あたることによるブラシ温度が上昇することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の車両用交流発電機の断面図である。
【図2】整流装置、ブラシ装置および電圧制御装置の組み付け状態を示す図である。
【図3】電圧制御装置の平面図である。
【図4】電圧制御装置の組み付け状態を示す図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】本実施形態の車両用交流発電機の結線図である。
【図7】波形形状のリブ状突起を有する冷却フィンの変形例を示す図である。
【図8】円弧形状のリブ状突起を有する冷却フィンの変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 車両用交流発電機
2 回転子
3a フロントフレーム
3b リアフレーム
3c、3d 軸受け
4 固定子
5 整流装置
7 ブラシ装置
8 電圧制御装置
9 保護カバー
800 電圧制御部
808 冷却フィン
840、840A、840B リブ状突起
842 通風路

Claims (4)

  1. 回転子と、
    前記回転子の周囲に設けられて前記回転子と協働して発電する固定子と、
    前記回転子の回転中心に設けられて前記回転子に励磁電流を供給するブラシを保持するブラシ装置と、
    出力電圧を調整する制御回路と、この制御回路で発生した熱を放熱する冷却フィンとを有するとともに、前記ブラシ装置の径方向外側に離間した位置に配置される電圧制御装置と、
    を備える車両用交流発電機において、
    前記冷却フィンは、前記回転子の回転軸を中心とした周方向に沿って、複数のリブ状突起が形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項1において、
    前記複数のリブ状突起は、波形形状を有することを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項1または2において、
    前記複数のリブ状突起は、円弧形状を有することを特徴とする車両用交流発電機。
  4. 請求項3において、
    前記複数のリブ状突起は、前記回転軸を中心とした同心円状に形成されていることを特徴とする車両用交流発電機。
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