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JP3816952B2 - 治療遺伝子と免疫保護遺伝子とを含む欠陥アデノウイルス - Google Patents

治療遺伝子と免疫保護遺伝子とを含む欠陥アデノウイルス Download PDF

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Description

本発明は、新規のウイルスベクターと、このベクターの調製と、遺伝子治療におけるこのベクターの使用とに係わる。本発明は、更に、このウイルスベクターを含む医薬組成物に係わる。更に特に、本発明は、遺伝子治療用のベクターとしての組換えアデノウイルスに係わる。
遺伝子治療は、病に冒された細胞又は器官の中に遺伝情報を導入することによって、欠陥又は異常(突然変異、異常発現等)を訂正することにある。器官から抽出した細胞の中にこの遺伝情報をインビトロで導入した後で、改変した細胞を再び体内に再導入することも、又は、この遺伝情報を適切な組織の中にインビボで直接導入することも可能である。この第2の場合には、DNAとDEAE−デキストランとの複合体(Pagano他,J.Virol.1(1967)891)、DNAと核タンパク質との複合体(Kaneda他,Science 243(1989)375)、及び、DNAと脂質の複合体(Felgner他,PNAS 84(1987)7413)を含む様々な形質移入方法、リポソームの使用(Fraley他,J.Biol.Chem.255(1980)10431)、並びに、その類似の方法を含む、様々な方法がある。更に最近では、遺伝子転移のためのベクターとしてウイルスを使用することが、これらの物理的形質移入方法に代わる有望な代替方法と見なされるようになっている。これに関連して、様々なウイルスが、特定の細胞集団に感染する能力に関して試験されてきた。これは、特に、レトロウイルス(RSV、HMS、MMS等)、HSVウイルス、アデノ関連ウイルス、及び、アデノウイルスに当てはまる。
これらのウイルスの中で、アデノウイルスは、遺伝子治療に使用するための有利な特性を有する。特に、アデノウイルスは、極めて広範囲の宿主域を有し、休止細胞に感染することが可能であり、且つ、感染細胞のゲノム内に組み込まれることがない。アデノウイルスは、サイズ約36kbの直鎖状二本鎖DNAウイルスである。アデノウイルスのゲノムは、特に、その末端に位置する逆方向反復塩基配列(ITR)、包膜化配列、初期遺伝子、及び、後期遺伝子を有する(図1を参照されたい)。主要な初期遺伝子は、E1(E1a、E1b)、E2、E3、E4遺伝子である。主要な後期遺伝子は、L1遺伝子からL5遺伝子である。
上記のアデノウイルスの特性のために、アデノウイルスは、インビボ遺伝子転移に既に使用されている。この目的のために、様々な遺伝子(β−gal、OTC、α−1AT、サイトカイン等)を組み込んだ、アデノウイルスから得られる様々なベクターが調製されている。これらの構築物の各々では、感染細胞中でのそのアデノウイルスの複製を不可能にするように、アデノウイルスが修飾されている。例えば、従来技術で言及されている構築物は、E1(E1a及び/又はE1b)領域と(場合に応じて)E3領域とが除去され、これらの領域内に異種DNAが挿入されるアデノウイルスである(Levrero他,Gene 101(1991)195、及び、Gosh−Choudhury他,Gene 50(1986)161)。
しかし、公知の全てのウイルスの場合と同様に、野生型アデノウイルスの投与は著しい免疫応答を生じさせる(Routes他,J.Virol 65(1991)1450)。この免疫原性は、複製に欠陥のある組換えアデノウイルスを投与した後にも確認されている(Yang他,PNAS(1994)4407)。免疫系の主要な役割の1つは、基本的には、非自己要素又は改変自己要素を破壊することにある。アデノウイルス起源の遺伝子治療因子の投与は、非自己単位を体内に導入する。同様に、こうしたベクターに感染し、その結果として外因性の治療遺伝子を発現する細胞は、改変自己要素となる。従って、免疫系が、これらのベクターと感染細胞とに対して、外部から侵入した物体であるかのように敵対的に反応することは正常である。この感染細胞に対する免疫応答は、(i)感染細胞の破壊を生じさせることによって治療遺伝子の発現期間を制限し、従って治療効果を制限し、(ii)著しい随伴性炎症反応を生じさせ、及び、(iii)反復注射後に感染細胞の急速な排除を生じさせるので、こうしたウイルスベクターの開発の主要な障害となる。例えば、免疫担当マウスの筋肉中に投与した、組換えアデノウイルスによってコードされたβ−ガラクトシダーゼの発現は、注射40日後に最小レベルに減少させられる(Kass−Eisler他,PNAS 90(1993)11498)。同様に、アデノウイルスによって肝臓中に転移された遺伝子の発現は、4ヶ月後に著しく減少させられ(Li他,Hum.Gene Ther.4(1993)403)、血友病の犬の肝細胞の中にアデノウイルスによって転移させられる第IX因子の発現は注射100日後に消滅する(Kay他,PNAS 91(1994)2353)。
従って、アデノウイルスから得たベクターを遺伝子治療に使用するためには、こうしたベクター又は感染細胞に対する免疫応答を減少させることが可能であることが必要であると考えられる。このことが特に本発明の主題を構成する。本発明は、基本的に、免疫原性が著しく低減されたか又は更には免疫原性が取り除かれた、アデノウイルスから得られた新規のベクターに係わる。従って、本発明のベクターは、(特に人間における)遺伝子治療に使用するのに特に適している。
本発明の第1の主題は、治療遺伝子を含む第1の組換えDNAと免疫保護遺伝子を含む第2の組換えDNAとをそのゲノムが有する、欠陥アデノウイルスに係わる。
本発明は、部分的に、幾つかの目的遺伝子をアデノウイルス中に組み込むことが可能であることと、感染細胞中でこれらの異なった目的遺伝子の充分な発現を得ることが可能であることとの実証の結果である。本発明は、更に、幾つかの治療遺伝子をその最適発現を可能にする条件の下で組み込むことが可能なアデノウイルスベクターの構築の結果でもある。本発明は、更に、感染細胞中での特定の複数の遺伝子の同時発現によって、免疫保護効果を生じさせることが可能であり、従って、本発明のベクター及び/又は感染細胞が免疫系による破壊を免れることが可能になるということの実証の結果でもある。従って、本発明は、遺伝子治療又は細胞治療で使用するために極めて有利である免疫学的及び治療的特性を有するウイルスベクターを提供する。
本発明による組換えDNAは、インビトロで構築した後でアデノウイルスゲノムの中に挿入した、目的遺伝子(治療遺伝子又は免疫保護遺伝子)と、更に任意に、その遺伝子の発現を可能にするシグナルとを含む、DNAフラグメントである。本発明で使用する組換えDNAは、相捕的DNA(cDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、又は、(例えば、1つ以上のイントロンをその中に挿入することが可能なcDNAから成る)ハイブリッド構築物であることが可能である。こうした組換えDNAは、合成配列又は半合成配列であることも可能である。これらのDNAは、ヒト、動物、植物、細菌、ウイルス等を起源とするものであることが可能である。cDNA又はgDNAを使用することが特に有利である。
本発明による組換えDNAの形で目的遺伝子を挿入することは、アデノウイルスの構築の融通性をより大きなものにし、目的遺伝子の発現をより適切に制御することを可能にする。
従って、本発明によるアデノウイルス中に組み込んだ組換えDNA(及び、従って、2つの目的遺伝子)を、様々な方法で形成することが可能である。
第1に、これらの組換えDNAの各々を、アデノウイルスの同一部位、又は、選択した別々の部位に挿入することが可能である。特に、組換えDNAを、ウイルス配列に置き換えて又はウイルス配列に追加して、アデノウイルスゲノムのE1、E3及び/又はE4領域の中に少なくとも部分的に挿入することが可能である。
その次に、組換えDNAの各々が、同一であっても異なっていてもよい転写プロモーターを含むことが可能である。この構成は、より高いレベルの発現が得られることを可能にし、且つ、より適切に目的遺伝子の発現を制御することを可能にする。この場合には、上記2つの遺伝子を、同一の方向に挿入してもよいし、互いに反対の方向に挿入してもよい。
これら2つの遺伝子が単一の転写物(single transcriptional entity)を構成することも可能である。この構成では、2つの組換えDNAは、この両方の遺伝子が単一のプロモーターの制御を受け且つ単一のプレメッセンジャーRNAを生じさせるように、互いに隣接して配置される。この配置は、単一の転写プロモーターの使用を可能にするので、有利である。
最後に、本発明による組換えDNAの使用は、異なった種類の転写プロモーターを使用することを可能にし、特に、強力プロモーター、弱プロモーター、調節的プロモーター、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、遍在性プロモーター等を使用することを可能にする。
発現シグナルの選択と組換えDNAの個々の位置の選択は、治療遺伝子の高度の発現と大きな免疫保護効果とを得る上で特に重要である。
治療効果を有する生産物をコードするあらゆる遺伝子を、本発明のベクターの構築のために使用可能な治療遺伝子として挙げることが可能である。このようにコードされる生産物は、タンパク質、ペプチド、RNA等であることが可能である。
タンパク質性生産物の混合には、この生産物は、標的細胞に対して相同である生産物(即ち、標的細胞が病変を全く示さない時にその標的細胞内で正常に発現させられる生産物)であることが可能である。この場合には、タンパク質の発現は、例えば、細胞内での不十分な発現、又は、修飾の結果として不活性もしくは低活性であるタンパク質の発現を補償することを可能にし、或いは、上記タンパク質を過剰発現させることを可能にする。治療遺伝子は、増強された安定性と改変された活性等を有する細胞タンパク質突然変異体をコードすることも可能である。このタンパク質性生産物は、標的細胞に対して異種であることも可能である。この場合には、発現させられるタンパク質は、例えば、標的細胞が病変と戦うことを可能にするために、その細胞内に欠乏している活性を補給又は供給することが可能であり、又は、免疫応答を促進することが可能である。
更に明確に述べれば、本発明の目的のための治療効果のあるタンパク質性生産物として、
酵素、血液誘導物質、ホルモン、リンホカイン(即ち、インターロイキン、インターフェロン、TNF)等(FR 92/03120)、
成長因子、神経伝達物質又はその前駆物質又は合成酵素、栄養因子(即ち、BDNF、CNTF、NGF、IGF、GMF、aFGF、bFGF、NT3、NT5、HARP/プレイオトロフィン等)、アポリポタンパク質(即ち、ApoAI、ApoAIV、ApoE等)(FR 93/05125)、
ジストロフィン又はミニジストロフィン(FR 91/11947)、
嚢胞性線維症に関連したCFTRタンパク質、腫瘍抑制遺伝子(即ち、p53,Rb、Rap1A、DCC、k−rev等)(FR 93/04745)、
凝固に関与する因子をコードする遺伝子(即ち、第VII因子遺伝子、第VIII因子遺伝子、第IX因子遺伝子)、DNA修復に関与する遺伝子等
を挙げることが可能である。
上記の通りに、治療遺伝子は、標的細胞中でのそのアンチセンス遺伝子又は配列の発現によって細胞遺伝子の発現又は細胞mRNAの転写の制御が可能になる、アンチセンス遺伝子又は配列であることも可能である。こうしたアンチセンス配列を、例えば、特許EP 140,308に開示されている方法によって、細胞mRNAに対して相補的であるRNAの中に標的細胞内で転写することが可能であり、この配列は、このRNAがタンパク質に翻訳されることを阻止することが可能である。アンチセンス配列は、更に、標的RNAを選択的に破壊することが可能なリボザイムをコードする配列も含む(EP 321,201)。
上記のように、治療遺伝子は、ヒト又は動物における免疫応答を生じさせることが可能な抗原ペプチドをコードする1つ以上の遺伝子も含むことが可能である。従って、この実施様態では、本発明は、ヒト又は動物に対して使用されるワクチン又は免疫治療薬剤を生産すること、特に、微生物、ウイルス、又は、癌に対するワクチン又は免疫治療薬剤を生産することを可能にする。こうした抗原ペプチドは、特に、エプスタイン・バールウイルス、HIVウイルス、B型肝炎ウイルス(EP 185,573)、又は、仮性狂犬病ウイルスに対して特異的であることが可能であり、又は、腫瘍特異的であることが可能である(EP 259,212)。この実施様態では、ベクターウイルス又は感染細胞に対する免疫応答が生じずに、選択された抗原が生じさせられ、この抗原だけが免疫原性である。
この治療遺伝子は、ヒト、動物、植物、細菌、ウイルス等を起源とするものであることが可能である。この治療遺伝子を、当業で公知の方法のいずれかによって得ることが可能であり、特に、ライブラリーのスクリーニングによって、化学的合成によって、又は、ライブラリーのスクリーニングから得られる配列の化学的修飾又は酵素的修飾を含む複合的方法によって、得ることが可能である。
本発明で使用する免疫保護遺伝子は様々なタイプであることが可能である。更に好ましくは、本出願人は、その生産物が主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)の活性に影響する又はサイトカインの活性に影響する遺伝子を使用することが、ベクター又は感染細胞に対するあらゆる敵対的な免疫応答の著しい低減を可能にし、又は、こうした免疫応答の排除さえ可能にすることを実証している。これによって得られるベクターは、インビボでの作用の持続時間が従来のものよりも著しく長く、従って、より大きな治療効果をもたらし、炎症性作用と免疫原性作用とを有せず、且つ、使用時の注射回数がより少なくて済むので、特に有利である。
抗原提示細胞は、主要組織適合性遺伝子複合体クラスI(MHC−I)の分子との組み合わせで、その細胞表面において抗原ペプチドを提示する。細胞毒性T細胞(CTL)のレセプターは、上記MHCクラスI分子と上記抗原ペプチドとの間で形成される複合体を認識する。この認識は、CTLによる細胞死を生じさせる。本出願人は、治療遺伝子と、MHC−I分子の発現を阻害することが可能な遺伝子とをアデノウイルス内で同時発現させることが可能であることと、この同時発現が免疫応答又は炎症性反応なしに長期的な治療効果を生じさせることが可能であることを、現在実証している。主要組織適合性遺伝子複合体の活性にその生産物が影響する遺伝子の中では、MHCタンパク質発現又は抗原提示をその遺伝子の生産物が少なくとも部分的に阻害する遺伝子が本発明に関して好ましい。好ましい例として、アデノウイルスE3領域中に含まれる特定の遺伝子、ヘルペスウイルスICP47遺伝子、又は、サイトメガロウイルスUL18遺伝子を挙げることができる。
アデノウイルスゲノムのE3領域は、交互(alternative)スプライシングによって様々なタンパク質を生じさせる様々な読み枠を含む。こうしたタンパク質の中で、gp19k(即ち、E3−19k)タンパク質は、小胞体(ER)の膜の中に局在化したグリコシル化膜間タンパク質である。このタンパク質は、MHC−I分子に結合するルミナールドメイン(luminal domain)と、微小管(即ち、チューブリン)に結合することが可能なC末端細胞質末端とを含み、このC末端細胞質末端は、ERの膜の中にgp19kタンパク質を固定する働きをする。従って、gp19kは、ER内での相互作用と隔離作用(sequestration)とによって細胞表面でのMHC−I分子の発現を防止することが可能である。しかし、ウイルス複製がない場合には、gp19kタンパク質はアデノウイルスによって僅かしか発現させられない。自然(native)プロモーターは、実際上、このタンパク質の発現のための条件を制限する、NF−kBタイプの結合要素のような幾つかの調節要素を含む。更に、gp19kの発現は、交互スプライシングの生起にも依存している。gp19kをコードする配列(好ましくはcDNA)を含む組換えDNAを本発明のベクターの中に導入することは、このタンパク質の発現が制御され最適化されることを可能にする。特に、構成プロモーターの使用と他の読み枠の排除とが、このタンパク質の発現を著しく増大させることと、ウイルス複製に対する依存と誘導要素の存在とを回避することを可能にする。このことは、CTLによる感染細胞の溶解を著しく減少させることと、従って、治療遺伝子のインビボ生産を増大させ長期化することを、特に有利な形で可能にする。本明細書の実施例では、特に、RSVプロモーターの制御を受ける標識遺伝子と、RSV構成プロモーターの制御を受けるgp19kタンパク質をコードする配列を有する第2の組換えDNAとを含む、欠陥アデノウイルス(Ad−βgal−gp19k)の構築を説明する。得られた結果は、このベクターに感染した細胞が、β−gal遺伝子だけを含むアデノウイルスに感染した細胞と同じレベルでβ−ガラクトシダーゼを発現するということを実証する。このことは、第2の組換えDNAの存在が第1の組換えDNAの発現のレベルに影響しないことを示している。更に、この示された結果は、Ad−βgal−gp19kアデノウイルスに感染した細胞がCTLによる溶解から保護され、一方、Ad−β−1galアデノウイルスに感染した細胞はCTLによる溶解から保護されないということを示している。更に、本発明のベクター中の第2の組換えDNAの存在は、感染細胞に対して向けられたリンパ球のクローン増大を阻害する。従って、本発明のベクターは、感染細胞に対するCTLによる免疫応答の大幅な減少を生じさせる。
このアデノウイルスゲノムのE3領域によってコードされる他のタンパク質、例えば10.4kタンパク質と14.5kタンパク質は、本発明のベクター内にこれらを組み込むために有利な幾つかの特性を有する。
単純ヘルペスウイルスICP47遺伝子は、本発明の目的にとって特に有利である別の免疫保護遺伝子を構成する。単純ヘルペスウイルスに感染した細胞は、CTLによる溶解に対する抵抗性を示す。細胞表面でのMHC−I分子の発現を減少させることが可能なICP47遺伝子によって、この抵抗性が与えられることが可能であることが既に実証されている。本発明による組換えDNA内にICP47遺伝子を組み込むことは、本発明の組換えウイルスが免疫系による攻撃を逃れることも可能にする。
サイトメガロウイルスUL18遺伝子が、本発明による免疫保護遺伝子の別の好ましい実施様態を構成する。UL18遺伝子生産物は、β2−ミクログロブリンに結合することが可能である(Browne他,Nature 347(1990)770)。β2−ミクログロブリンは、MHC−I分子の鎖の1つである。従って、本発明による組換えDNA内にUL18遺伝子を組み込むことは、本発明のウイルスに感染した細胞内の機能的β2−ミクログロブリン分子の個数を減少させ、完全で機能的なMHC−I分子を生産するこれらの細胞の能力を減少させることを可能にする。従って、このタイプの構築物は、CTLによる溶解から感染細胞を保護することを可能にする。
上記のように、本発明で使用する免疫保護遺伝子は、別の好ましい実施様態では、サイトカインの活性又はシグナル経路にその生産物が影響を与える遺伝子である。サイトカインは、免疫系のシグナル分子として働く分泌タンパク質のグループを構成する。サイトカインは、免疫に関与する細胞を引きつけ、この細胞を活性化し、増殖を生じさせ、更には、感染細胞に対して直接作用して感染細胞を死滅させる。
その生産物がサイトカインの活性又はシグナル経路に影響を与える遺伝子としては、サイトカイン合成に関与する遺伝子、又は、その生産物がサイトカインを隔離化することが可能である遺伝子、その生産物がサイトカインの活性に拮抗することが可能な遺伝子、もしくは、その生産物が細胞間シグナル経路に干渉することが可能な遺伝子を挙げることが可能である。好ましい実施様態としては、エプスタイン・バールウイルスBCRF1遺伝子、牛痘ウイルスcrmA及びcrmB遺伝子、ワクシニアウイルスB15R及びB18Rウイルス、サイトメガロウイルスUS28遺伝子、並びに、アデノウイルスE3−14.7、E3−10.4、及び、E3−14.5遺伝子を特に挙げることが可能である。
ワクシニアウイルスB15R遺伝子は、インターロイキン−1β(インターロイキン−1の分泌形態)に結合することが可能であり従ってこのサイトカインがその細胞レセプターに結合することを妨げることが可能である可溶性タンパク質をコードする。インターロイキン−1は、実際には、抗原の攻撃に対する応答で生じさせられる第1のサイトカインの1つであり、感染開始時における免疫系のシグナリング(signalling)の非常に重要な部分である。有利であることに、本発明のよるベクター内にB15R遺伝子を組み込むことが可能であることは、特に免疫細胞の活性化に関して、IL−1β活性の減少を可能にし、その結果として、本発明のウイルスに感染した細胞が強力な免疫応答に対して局所的に保護されることを可能にする。牛痘ウイルス−−−遺伝子のようなB15R遺伝子と相同である遺伝子も使用することが可能である。
同様に、ワクシニアウイルスB18R遺伝子は、インターロイキン−6レセプターと相同であるタンパク質をコードする。インターロイキン−6がその細胞レセプターに結合することを阻害して免疫応答を局所的に減少させるために、このワクシニアウイルス遺伝子、又は、そのあらゆる機能相同物を本発明のベクターで使用することも可能である。
更に同様に、牛痘ウイルスcrmB遺伝子を有利に使用することが可能である。この遺伝子は、実際上、TNFに結合することが可能であり且つ細胞表面においてTNFレセプターと競合することが可能である分泌タンパク質をコードする。従って、この遺伝子は、本発明のウイルスにおいて、感染細胞を破壊することが可能な活性TNFの濃度を局所的に低減させることを可能にする。TNFに結合することが可能であり且つTNFがそのレセプターに結合することを少なくとも部分的に阻害することが可能であるタンパク質をコードする、他の遺伝子も使用可能である。
牛痘ウイルスcrmA遺伝子はその一部にとって、インターロイキン−1βの合成を阻害することが可能なスペルミン型のプロテアーゼインヒビター活性を有するタンパク質をコードする。従って、この遺伝子を、インターロイキン−1の濃度を局所的に減少させ、それによって免疫応答と炎症性反応との進行を低減させるために使用することが可能である。
エプスタイン・バールウイルスBCRF1遺伝子は、インターロイキン−10の類似体をコードする。この遺伝子の生産物は、免疫応答を低減させることが可能であり且つBリンパ球の増殖を誘導すると同時に免疫応答の特異性を変化させることが可能であるサイトカインである。
サイトメガロウイルスUS28遺伝子は、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP−1α)に対するレセプターと相同であるタンパク質をコードする。従って、このタンパク質は、MIPレセプターに対する競合物として働くことが可能であり、それによってMIPレセプターの活性を局所的に阻害することが可能である。
アデノウイルスE3−14.7、E3−10.4、及び、E3−14.5遺伝子の生産物は、特定のサイトカインによって仲介される細胞間シグナルの伝達を阻止することが可能である。このサイトカインが感染細胞の表面においてそのレセプターに結合する場合には、シグナルが核に伝達され、細胞死を生じさせるか、又は、タンパク質合成を停止させる。これは、特に、腫瘍壊死因子(TNF)に当てはまる。アデノウイルスE3−14.7、E3−10.4、及び/又は、E3−14.5遺伝子の構成的発現と調節的発現とのために、これらの遺伝子を本発明による組換えDNA内に組み込むことによって、TNF由来細胞間シグナリングを阻止することが可能になり、従って、本発明の組換えウイルスに感染した細胞を、このサイトカインの毒性作用から保護することが可能になる。
局所的で過渡的な阻害が特に有利であると考えられる。後述するように、特定の発現シグナル(例えば、サイトカイン依存性プロモーター)を選択することによって、こうした局所的で過渡的な阻害を実現することが可能である。
類似の機能特性を有する他の相同の遺伝子を、本発明のベクターの構築のために使用することが可能であることを理解されたい。こうした様々な遺伝子を、当業者に公知の方法のいずれかによって、特に、ライブラリーのスクリーニングによって、化学的合成によって、又は、ライブラリーのスクリーニングから得られる配列の化学的修飾又は酵素的修飾を含む複合的方法によって、得ることが可能である。これに加えて、こうした様々な遺伝子を単独で又は組み合わせて使用することが可能である。
本発明の他の重要な側面の1つは、遺伝子の発現を誘導するために使用される転写プロモーターの選択に係わる。上記のように、そのプロモーターの制御を受ける遺伝子を構成的に発現させることが可能なプロモーターを使用することが特に重要である。高レベルの免疫保護を得ることが必要である場合には、これは、例えば、gp19k遺伝子又はその相同物に当てはまる。これとは対照的に、サイトカイン活性に影響を与える免疫保護遺伝子の発現を制御するためには、発現の調節が望ましいだろう。治療遺伝子の発現に関しては、発現シグナルの選択は、治療用生産物の種類、治療すべき病変、及び、標的組織とに依存する。
本発明の組換えDNAの構築のために使用することが可能なプロモーターは、感染細胞内でこのプロモーターが機能することが可能である時に、目的の治療遺伝子又は免疫保護遺伝子の発現を本来的に生じさせるプロモーターであることが可能である。しかし、このプロモーターは、特に免疫保護遺伝子の発現を制御するための、(他のタンパク質又は更には合成タンパク質の発現を生じさせる)異なる起源の配列であることが好ましい。特に、このプロモーターは、真核生物遺伝子又はウイルス遺伝子のプロモーター配列であることが可能である。例えば、このプロモーターは、本発明のベクターに感染させる目的細胞のゲノムを起源とするプロモーター配列であることが可能である。同様に、このプロモーターは、使用するアデノウイルスを含むウイルスのゲノムを起源とするプロモーター配列であることが可能である。この関係では、E1A、MLP、CMV、RSV等の遺伝子のプロモーターを例として挙げることが可能である。これに加えて、活性化因子配列、調節配列、又は、組織特異的発現を可能にする配列を付加することによって、これらの発現配列を修飾することが可能である。更に、本発明の組換えDNAが特定の発現配列を含まない場合には、こうした配列の下流において欠陥ウイルスのゲノムの中に特定の発現配列を挿入することが可能である。本発明のベクターの生産のための好ましいプロモーターは、ラウス肉腫ウイルスLTR(RSVLTR)から成る。このプロモーターは、構成的で且つ強力であるので、充分な免疫保護がgp19kによって生じさせられることを可能にする。PGK遺伝子、アルブミン遺伝子等のプロモーターのような哺乳動物プロモーターも非常に重要である。治療用生産物及び/又は免疫保護生産物の合成を可能にするために調節的プロモーター又は組織特異的プロモーターを使用することが特に有利である可能性がある。特に、サイトカイン活性を阻害する免疫保護遺伝子の発現のためには、局在化された効果を得るために誘導プロモーターを使用することが特に有利であり得る。この誘導プロモーターは、例えば、サイトカイン誘導プロモーターであり、この場合には、免疫保護効果が免疫応答だけに応答して生じる。
更に、本発明の組換えDNAは、標的細胞の分泌経路内に合成生産物を誘導するシグナル配列を含むことも可能である。このシグナル配列は、それが適切である場合には、目的遺伝子(治療遺伝子又は免疫保護遺伝子)の自然(natural)シグナル配列であることが可能であるが、他のあらゆる機能シグナル配列又は人工シグナル配列であることも可能である。
上記のように、本発明のベクターの生産のために様々な構成を想定することが可能である。本発明のベクターは、先ず第1に、単一の転写物の形で2つの遺伝子を含むことが可能である。この構成では、この2つの組換えDNAが、これらの両方の遺伝子が単一のプロモーターの制御を受けて単一のプレメッセンジャーRNAを生じさせるように、互いに隣接して配置される。この構成は、両方の遺伝子の発現を調節するために単一の転写プロモーターが使用されることを可能にするので、有利である。更に、この単一転写物を、アデノウイルスベクター内に、双方向に組み込むことが可能である。
この両方の組換えDNAが各々に転写プロモーターを含むことが有利である。この構成は、高レベルの発現が得られることを可能にし、遺伝子の発現のより適切な制御を可能にする。この場合には、この2つの組換えDNAを、アデノウイルスゲノムの同一部位又は別々の部位に、同一方向又は反対方向に挿入することが可能である。
この2つの組換えDNAを、アデノウイルスゲノムのE1領域、E3領域、又は、E4領域の中に少なくとも部分的に挿入することが好ましい。本発明では、これらの組換えDNAを2つの別々の部位に挿入する時に、E1領域とE3領域、又は、E1領域とE4領域を使用することが好ましい。下記の実施例は、実際に、この構成が、これら2つの遺伝子の間の干渉なしに2つの遺伝子の高度の発現を可能にすることを示している。これらの組換えDNAをウイルス配列の置き換えとして挿入することが有利である。
本発明の特に好ましい実施様態は、治療遺伝子を含む第1の組換えDNAと、免疫保護遺伝子を含む第2の組換えDNAとを含み、且つ、これらの組換えDNAが両方ともE1領域に挿入されている、欠陥アデノウイルスから成る。
本発明の特に好ましい実施様態は、E1領域内に挿入された、治療遺伝子を含む第1の組換えDNAと、E3領域内に挿入された、免疫保護遺伝子を含む第2の組換えDNAとを含む欠陥アデノウイルスから成る。
上記のように、本発明のアデノウイルスは欠陥ウイルスであり、即ち、標的細胞内で自律的に複製することが不可能である。従って、一般的に、本発明による欠陥アデノウイルスのゲノムは、感染細胞内でこのウイルスが複製するために必要な配列を少なくとも欠いている。これらの領域を、(全体的もしくは部分的に)除去することも、非機能化することも、又は、他の配列(特に、治療遺伝子)で置き換えることも可能である。本発明のアデノウイルスの欠陥性は、投与後に本発明のベクターを撒き散らかさないことを確実なものにするので、重要な特徴である。
好ましい実施様態では、本発明のアデノウイルスは、ITR配列と、包膜を可能にする配列とを含み、E1遺伝子の全体又は一部分の欠失を有する。
逆方向反復塩基配列(ITR)が、アデノウイルスの複製起点をなす。このITR配列は、ウイルスゲノムの3′末端と5′末端に局在し、当業者に公知である従来の分子生物学的方法によって、これらの位置から容易に単離することが可能である。ヒトアデノウイルス(特に、血清型Ad2及びAd5)のITR配列のヌクレオチド配列と、イヌアデノウイルス(特にCAV1及びCAV2)のITR配列のヌクレオチド配列とが、関連文献に記述されている。例えばAd5アデノウイルスに関しては、左側ITR配列が、ゲノムのヌクレオチド1からヌクレオチド103を含む領域に該当する。
包膜化配列(Psi配列とも呼ばれる)が、ウイルスDNAの包膜のために必要である。従って、本発明による欠陥組換えアデノウイルスの調製を可能にするために、この領域が存在しなければならない。この包膜化配列は、アデノウイルスゲノム内に、左側(5′)ITRとE1遺伝子との間に位置する(図1参照)。この包膜化配列は、従来通りの分子生物学的方法によって単離することも人工的に合成することも可能である。ヒトアデノウイルス(特に、血清型Ad2及びAd5)の包膜化配列のヌクレオチド配列と、イヌアデノウイルス(特にCAV1及びCAV2)の包膜化配列のヌクレオチド配列とが、関連文献に記述されている。例えばAd5アデノウイルスに関しては、包膜化配列が、ゲノムのヌクレオチド194からヌクレオチド358を含む領域に該当する。
本発明のアデノウイルスが、ITR配列と、包膜を可能にする配列とを含み、且つ、E1遺伝子及びE4遺伝子の全部又は一部分の欠失を有することが更に好ましい。
特に好ましい実施様態では、本発明によるアデノウイルスのゲノムが、E1遺伝子、E3遺伝子及びE4遺伝子の全部又は一部分の欠失を有し、更に好ましくは、E1遺伝子、E3遺伝子、L5遺伝子及びE4遺伝子の全部又は一部分の欠失を有する。
本発明のアデノウイルスを、様々な起源のアデノウイルスから調製することが可能である。実際は、様々な血清型のアデノウイルスがあり、これらのアデノウイルスの構造と属性は各々に幾らか異なっているが、類似した遺伝子構成を有する。従って、本出願で説明する開示内容は、当業者によって、あらゆるタイプのアデノウイルスにおいて容易に再現されることが可能である。
更に特に、本発明のアデノウイルスは、ヒト起源が、動物起源、又は、混合(ヒトと動物)起源であることが可能である。
ヒト起源のアデノウイルスに関しては、Cグループに分類されるアデノウイルスを使用することが好ましい。本発明では、様々な血清型のヒトアデノウイルスの中で、アデノウイルス2型又は5型(Ad2又はAd5)を使用することが更に好ましい。
上記のように、本発明のアデノウイルスは動物起源であることが可能であり、又は、動物起源のアデノウイルスから得られる配列を含むことが可能である。本出願人は、実際に、動物起源のアデノウイルスがヒト細胞に高い有効性で感染することが可能であることと、この動物起源のアデノウイルスが、このウイルスを試験したヒト細胞内では伝播することが不可能であることを明らかにしている(出願FR 93/05954を参照されたい)。本出願人は、更に、動物起源のアデノウイルスがヒト起源のアデノウイルスによってトランス補足(trans−complement)されず、従って、感染粒子の形成を導くヒトアデノウイルスの存在下でのインビボでの組換え又は伝播の危険性が取り除かことを実証している。従って、動物起源のアデノウイルスの使用又は動物起源のアデノウイルス領域の使用は、遺伝子治療におけるベクターとしてウイルスを使用することに伴う特有の危険性が更に低いので、特に有利である。
本発明において使用可能な動物起源のアデノウイルスは、イヌ、ウシ、マウス(例えば、Vavl,Beard他,Virology 75(1990)81)、ヒツジ、ブタ、トリ、又は、サル(例えば、SAV)起源のものであることが可能である。更に特に、トリアデノウイルスとしては、例えばPhelps菌株(ATCC VR−432)、Fontes(ATCC VR−280)、P7−A(ATCC VR−827)、IBH−2A(ATCC VR−828)、J2−A(ATCC VR−829)、T8−A(ATCC VR−830)、K−11(ATCC VR−921)、又は、参照番号ATCC VR−831から835の菌株のような、ATCCで入手可能な血清型1から血清型10までを例として挙げることが可能である。ウシアデノウイルスとしては、様々な公知の血清型を使用することが可能であり、特に、参照番号ATCC VR−313、314、639−642、768、及び、769のATCCにおいて入手可能な血清型(1型から8型)を使用することが可能である。マウスアデノウイルスFL(ATCC VR−550)とE20308(ATCC VR−528)、ヒツジアデノウイルス5型(ACTT VR−1343)もしくは6型(ATCC VR−1340)、ブタアデノウイルス(5359)、又は、特に参照番号ATCC VR−591−594、941−943、195−203等のようなサルアデノウイルスを、上記動物起源のアデノウイルスの例として挙げることが可能である。
様々な動物起源のアデノウイルスの中では、イヌ起源のアデノウイルス又はアデノウイルス領域を使用することが、本発明で好ましく、特にCAV2アデノウイルス菌株全て[例えば、Manhattan菌株又はA26/62(ATCC VR−800)]が本発明で好ましい。イヌアデノウイルスに関しては既に数多くの構造研究が行われている。従って、CAV1アデノウイルスとCAV2アデノウイルスの完全な制限地図が従来技術で既に報告されており(Spibey他,J.Gen.Virol.70(1989)165)、一方、E1a遺伝子とE3遺伝子とITR配列がクローニング及び配列決定されている(特に、Spibey他,Virus Res.14(1989)241、及び、
Figure 0003816952
Virus Res.23(1992)119,WO 91/11525を参照されたい)。
本発明の欠陥組換えアデノウイルスを様々な方法で調製することが可能である。
第1の方法は、(ライゲーションによって又はプラスミドの形で)インビトロで調製した欠陥組換えウイルスのDNAをコンピテント細胞系(即ち、欠陥ウイルスの相補性のために必要とされる機能全てをトランス配置(in trans)で有する細胞系)の中に形質移入することにある。組換えの危険性が回避されることを可能にし、その細胞系の安定性を増大させるために、これらの機能がコンピテント細胞のゲノムの中に組み込まれることが好ましい。
第2の方法は、(ライゲーションによって又はプラスミドの形で)インビトロで調製した欠陥組換えウイルスのDNAと、ヘルパーウイルスのDNAとを、適切な細胞系の中に同時形質移入することにある。この方法では、組換えアデノウイルスの欠陥のある機能全てを補足することが可能なコンピテント細胞系を用意する必要はない。こうした欠陥のある機能の一部分は、実際は、ヘルパーウイルスによって補足される。このヘルパーウイルスは、それ自体が欠陥ウイルスでなければならず、上記細胞系はその相補性のために必要とされる機能をトランス配置の形で有する。特に、この第2の方法において使用可能な細胞系としては、ヒト胚腎臓系293、KB細胞、ヒーラ細胞、MDCK、GHK細胞等を例として挙げることが可能である(実施例を参照されたい)。
この後で、増殖させたベクターを、従来通りの分子生物学的方法で回収し、精製し、増幅する。
実施様態の変形例では、適切な欠失と2つの組換えDNAとを有する欠陥組換えウイルスのDNAをライゲーションによって又はプラスミドの形でインビトロで調製することが可能である。上記のように、本発明のベクターが、特定のウイルス遺伝子、特にE1遺伝子、E3遺伝子、E4遺伝子、及び/又は、L5遺伝子の全部又は一部分の欠失を有することが有利である。この欠失は、目的遺伝子に影響を与えるあらゆるタイプの除去に該当することが可能である。この欠失は、特に、上記遺伝子のコーディング領域の全部又は一部分の除去、及び/又は、上記遺伝子の転写促進領域の全部又は一部分の除去に該当することが可能である。一般的に、実施例に示すように分子生物学的方法を使用して、例えば、適切な制限酵素による消化とその後でのライゲーションとによって、欠陥組換えウイルスのDNAに対してこの除去を行なう。この後で、組換えDNAを酵素的切断によってこのDNAの中に挿入した後、選択した領域内で、選択した方向にライゲーションを行うことが可能である。
従って、これによって得られるDNAは、適切な欠失と両方の組換えDNAとを有し、従って、この欠失と組換えDNAを有する欠陥組換えアデノウイルスの直接的な産生を可能にする。この第1の変形は、遺伝子が単一の転写単位の形に配置される組換えアデノウイルス、又は、別々のプロモーターの制御を受けるけれども、そのゲノムの同一部位に挿入される組換えアデノウイルスの生産に特に適している。
2つの組換えDNAを連続的に導入することによって、上記組換えウイルスを二段階で調製することが可能である。例えば、適切な欠失(又は、この欠失の一部分)を有する第1の組換えウイルスと、2つの組換えDNAの一方とを、ライゲーション又はプラスミドの形で構築する。その後で、このDNAを、上記欠失を有する第1の組換えウイルスと組換えDNAとを産生するために使用する。その後で、この第1のウイルスのDNAを単離し、第2の組換えDNAと適切な欠失(第1のウイルス上に存在しない部分)と相同組換えを可能にする領域とを有する第2のプラスミド又は第2の欠陥組換えウイルスのDNAと共に、その第1のウイルスのDNAを同時形質移入する。従って、この第2の段階は、2つの組換えDNAを有する欠陥組換えウイルスを産生する。この調製の変形例は、アデノウイルスゲノムの2つの別々の領域に挿入された2つの組換えDNAを有する組換えウイルスの調製に特に適している。
本発明は、上記の通りの1つ以上の欠陥アデノウイルスを含むあらゆる医薬組成物にも係わる。本発明の医薬組成物は、局所投与、経口投与、非経口的投与、鼻内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、眼内投与、経皮投与等で使用するように調合することが可能である。
本発明の医薬組成物は、注射可能調合物用として調剤上許容可能なビヒクルを含む。こうしたビヒクルは、特に、無菌の等張塩類溶液(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等、又は、こうした塩の混合物)、又は、必要に応じて滅菌水又は生理食塩水を加えて注射可能溶液を形成することが可能である乾燥(特に凍結乾燥)組成物であることが可能である。
注射用に使用するウイルスの用量は、様々なパラメーターによって、特に、使用する投与方法、治療対象の病状、発現させるべき遺伝子、又は、所期の治療期間によって適合化させることが可能である。概略的に述べれば、本発明による組換えアデノウイルスを、104pfu/mLから1014pfu/mLまでの用量、好ましくは106pfu/mLから1010pfu/mLまでの用量の形で調合し投与する。術語「pfu」(プラーク形成単位)は、ウイルス溶液の感染力に相当し、適切な細胞培養を感染させて約5日後に感染細胞のプラークの個数を測定することによって定量する。ウイルス溶液のpfu力価の定量方法は、関連文献に詳細に記述されている。
本発明のアデノウイルスを、様々な疾病の治療又は予防のために使用することが可能である。挿入する治療遺伝子に応じて、本発明のアデノウイルスを、特に、遺伝病(ジストロフィー、嚢胞性線維症等)、神経変性疾病(アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS等)、高増殖性疾病(癌、再狭窄等)、凝固異常又は異常リポ蛋白症に関連する疾病、ウイルス感染に関連する疾病(肝炎、AIDS等)等の治療又は予防のために使用することが可能である。
以下では、本発明を、下記の実施例によってより詳細に説明するが、これらの実施例は単なる説明のために示すものであって、本発明を限定するものではないということを理解されたい。
図面の説明
図1: Ad5アデノウイルスの遺伝子構成。Ad5の完全配列がデータベース上で入手可能であり、当業者は、任意の制限部位を選択又は作製することと、従って、ゲノムの任意の領域を単離することが可能である。
図2: CAV2アデノウイルス菌株Manhattanの制限地図(Spibey他、上記から)。
図3: ベクターpAD5−gp19k−βgalの構築。
図4: アデノウイルスAd−ga19k−βgal,ΔE1,ΔE3の構築。
分子生物学の一般的方法
プラスミドDNAの調製的抽出、塩化セシウム勾配中でのプラスミドDNAの遠心分離、アガロースゲル又はアクリルアミドゲル電気泳動、電気溶出によるDNAフラグメントの精製、タンパク質のフェノール又はフェノールクロロホルム抽出、塩類溶液媒質中でのDNAのエタノール又はイソプロパノール沈降、大腸菌中での形質転換等のような、分子生物学で従来使用される方法は、当業者に公知であり、関連文献に詳細に説明されている[Maniatis T.他,“Molecular Cloning,Laborotory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Habor,N.Y.,1982、及び、Ausubel F.M.他,(編),“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley & Sons,New York,1987]。
pBR322及びpUCタイプのプラスミドと、M13シリーズのファージは、市販製品である(Bethesda Research Laboratories)。
ライゲーションを行うためには、アガロースゲル又はアクリルアミド電気泳動によってサイズに従ってDNAフラグメントを分離し、フェノールで、又は、フェノール/クロロホルム混合物で抽出し、エタノールで沈降させ、その後で、T4ファージDNAリガーゼ(Biolabs)の存在下で、このリガーゼの製造者の勧告に従って、インキュベートすることが可能である。
E.coli DNAポリメラーゼI(Biolabs)のクレノウフラグメントを使用し、このポリメラーゼの製造者の仕様書に従って、5′突出末端の充填を行うことが可能である。3′突出末端の分解を、T4ファージDNAポリメラーゼ(Biolab)の存在下で、この製造者の勧告に従って行うことが可能である。S1ヌクレアーゼを用いて、管理した処理によって、5′突出末端の分解を行うことが可能である。
合成オリゴデオキシヌクレオチドを使用するインビボ部位特異的突然変異誘発を、Amershamによって供給されるキットを使用して、Taylor他によって開発された方法[Nucleic Acids Res.13(1985)8749−8764]によって行うことが可能である。
いわゆるPCR法[ポリメラーゼ触媒連鎖反応、Saiki R.K.他,Science 230(1985)1350−1354、及び、Mullis K.B.とFaloona F.A.,Meth.Enzym.155(1987)335−350]によるDNAフラグメントの酵素的増幅を、「DNAサーマルサイクラー」(Perkin Elmer Cetus)を使用して、製造者の仕様書に従って行うことが可能である。
ヌクレオチド配列の検証を、Amershamによって供給されるキットを使用してSanger他[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,74(1977)5463−5467]によって開発された方法で行うことが可能である。
使用する細胞系
下記の実施例では、次の細胞系を使用したか使用することが可能である。
− ヒト胚腎臓細胞系293(Graham他,J.Gen.Virol.36(1977)59): この細胞系は、特に、そのゲノム中に組み込む形で、Ad5ヒトアデノウイルスゲノムの左側部分(12%)を含む。
− KBヒト細胞系: ヒト表皮癌腫を起源とし、この細胞系は、培養を可能にする条件と共にATCC(参照番号CCL17)において入手可能である。
− ヒーラヒト細胞系: ヒト上皮癌腫を起源とし、この細胞系は、培養を可能にする条件と共にATCC(参照番号CCL2)において入手可能である。
− MDCKイヌ細胞系: MDCK細胞の培養条件は、特に、Macatney他,Science 44(1988)9に記載されている。
− gm DBP6細胞系(Brough他,Virology 190(1992)624): この細胞系は、MMTV LTRの制御を受けるアデノウイルスE2遺伝子を有するヒーラ細胞から成る。
実施例
実施例1
RSVLTRプロモーターの制御を受ける治療遺伝子(E.coli LacZ遺伝子)と、RSVLTRプロモーターの制御を受けるgp19k遺伝子とを有し、且つ、この両遺伝子がE1領域に挿入されている、欠陥組換えアデノウイルスの構築
これらのアデノウイルスを、Ad5アデノウイルスの左側部分を有するプラスミドと、2つの組換えDNAと、(タンパク質IXに相当する)Ad5アデノウイルス領域と、異なった欠失を有する欠陥アデノウイルスのDNAとの間の相同的組換えによって構築した。
1. ベクターpAD5−gp19k−βgalの構築(図3)
1.1. プラスミドpGEM−gp19kの構築
プラスミドpAD5−gp19k−βgalは、アデノウイルスgp19kタンパク質をコードするcDNA配列を含む。このプラスミドを次のように構築した。E3領域を含む野生型Ad5アデノウイルスゲノムのXbalフラグメントを単離し、プラスミドpGEM(Promega)の対応部位にクローニングし、プラスミドpGEM−3を産生した。その後で、gp19kコーディング配列(野生型Ad5アデノウイルスのヌクレオチド28628からヌクレオチド29634)を含むHinfIフラグメントを、プラスミドpGEM−E3から単離した。このフラグメントの末端を、E.coli DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント(General techniques of molecular biologyを参照されたい)の作用によって平滑末端化し、その後で、得られたフラグメントをプラスミドpGEMzf+(Promega)のSmaI部位でクローニングした。
得られたプラスミドをpGEM−gp19kと呼んだ(図3)。
1.2. ベクターpAD5−gp19k−βgalの構築
この実施例は、各々に別個のプロモーターを有する2つの組換えDNAの一方と、アデノウイルスゲノムの左側部分と、相同的組換えを可能にする追加部分(タンパク質pIX)とを含むプラスミドの構築を説明する。このベクターを、プラスミドpAd.RSVβGalから次のように構築した。
プラスミドpAd.RSVβGalは、5′→3′方向に、
− ITR配列、複製起点、包膜化シグナル、及び、R1Aエンハンサーを含む、Ad5アデノウイルスの左側末端に相当するPvuIIフラグメント、
− (ラウス肉腫ウイルスからの)RSVプロモーターの制御を受ける、β−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子、及び、
− プラスミドpAd.RSVβGalとアデノウイルスd1324との間の相同的組換えを可能にするAd5アデノウイルスゲノムの第2のフラグメント(プラスミドpAd.RSVβGalは、Stratford−Perricaudet他(J.Clin.Invest.90(1992)626)によって説明されている。)
を含む。
最初に、プラスミドpAd.RSVβGalを酵素EagIと酵素ClaIとによって切断した。これによって、特にAd5アデノウイルスの左側部分とRSVLTRプロモーターとを有する第1のフラグメントが生じる。これと並行して、プラスミドpAd.RSVβGalを、酵素EagIと酵素XbaIとによって切断した。これは、特にRSVLTRプロモーターと、LacZ遺伝子と、相同的組換えを可能にするAd5アデノウイルスゲノムのフラグメントとを有する、第2のタイプのフラグメントを生じさせる。その後で、ClaI−EagIフラグメントとEagI−XbaIフラグメントを、gp19kコーディング配列(図3)を有するプラスミドpGEM−gp19k(実施例1.1)のXbaI−ClaIフラグメントの存在下でライゲーションさせた。従って、pAD5−gp19k−βgalと呼ぶ、こうして得たベクターは、
− ITR配列、複製起点、包膜化シグナル、及び、E1Aエンハンサーを含む、Ad5アデノウイルスの左側末端に相当するPvuIIフラグメント、
− (ラウス肉腫ウイルスからの)RSVプロモーターの制御を受ける、gp19kをコードする配列、
− (ラウス肉腫ウイルスからの)RSVプロモーターの制御を受ける、β−ガラクトシダーゼをコードする遺伝子、及び、
− 相同的組換えを可能にする、Ad5アデノウイルスゲノムの第2のフラグメント
を含む。
2.組換えアデノウイルスの構築
2.1. E1領域に欠失を有し且つE1領域内に同一方向に挿入された2つの組換えDNAを含む組換えアデノウイルスの構築
ベクターpAD5−gp19k−βgalを直線化し、E1遺伝子において欠失を有するアデノウイルスベクターと共に、アデノウイルスE1(E1A、E1B)領域によってコードされる機能をトランス配置で供給するヘルパー細胞(細胞系293)の中に同時形質移入した。
更に明確に述べれば、アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1は、次のプロトコールに従って、アデノウイルスAd−RSVβgal(Stratford−Perricaudet他,上記)とベクターpAD5−gp19k−βgalとの間でのインビボ相同的組換えによって得られる。XmnIによって直線化したプラスミドpAD5−gp19k−βgalと、酵素ClaIで直線化したアデノウイルスAd−RSVβgalとを、リン酸カルシウムの存在下で細胞系293中に同時形質移入し、相同的組換えを生じさせる。その後で、これによって産生される組換えアデノウイルスを、プラーク精製によって選択する。単離の後に、組換えアデノウイルスのDNAを細胞系293の中で増幅し、約1010pfu/mLの力価を有する未精製欠陥組換えアデノウイルスを含む培養上清液を得る。
一般的は、ウイルス粒子を、公知の方法(例えば、特に、Graham他,Virology 52(1973)456を参照されたい)による塩化セシウム勾配上での遠心分離によって精製する。アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1を20%グリセロール中に−80℃で貯蔵することが可能である。
2.2. E1及びE3領域内に欠失を有し且つE1領域内に同一方向に挿入された2つの組換えDNAを有する組換えアデノウイルスの構築(図4)
ベクターpAD5−gp19k−βgalを直線化し、E1及びE3遺伝子における欠失を有するアデノウイルスベクターと共に、アデノウイルスE1(E1A、E1B)領域によってコードされる機能をトランス配置で供給するヘルパー細胞(細胞系293)の中に同時形質移入した。
更に明確に述べれば、アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3を、次のプロトコールに従って、突然変異体アデノウイルスAd−d11324(Thimmappaya他,Cell 31(1982)534)とベクターpAD5−gp19k−βgalとの間でのインビボ相同的組換えによって得た。プラスミドpAD5−gp19k−βgalと酵素ClaIで直線化したアデノウイルスAd−d11324を、リン酸カルシウムの存在下で細胞系293中に同時形質移入し、相同的組換えを生じさせる。その後で、これによって産生される組換えアデノウイルスを、プラーク精製によって選択する。単離の後に、組換えアデノウイルスのDNAを細胞系293の中で増幅し、約1010pfu/mLの力価を有する未精製欠陥組換えアデノウイルスを含む培養上清液を得た。
ウイルス粒子を、公知の方法(例えば、特に、Graham他,Virology 52(1973)456を参照されたい)による塩化セシウム勾配上での遠心分離によって概ね精製する。その後で、組換えアデノウイルスをサザンブロット分析で検証する。アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3を20%グリセロール中に−80℃で貯蔵することが可能である。
実施例2: 本発明のアデノウイルスの機能性の細胞培養における実証
1. 3T3繊維芽細胞内でのgp19kの転写
アデノウイルスAd−gp19kj−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した細胞中におけるgp19kをコードする転写物の出現を、全細胞RNAのノーザンブロット分析によって実証した。この分析のために、5×106個の3T3細胞を40pfu/細胞のウイルスに感染させた。36時間後に、全細胞RNAをRNAzol(Cinna/Biotecx)によって回収し、沈降させ、その後で水中に再懸濁させた。その後で、10μgを、アガロース1.5%を含むホルムアルデヒドゲルに加えた。その後で、RNAを0.05M NaOHの存在下で変性させた後で、20×SSCを用いて毛管転移によってナイロン支持体(Hybond+Amersham)上に転移させた。ナイロンメンブランを、6×SSC、5×デンハート溶液、0.5%SDS、及び、100μgの変性サケ精子DNAを含む媒質中で60℃で2時間プレハイブリダイゼーションを行った。MegaPrimeキット(Amersham)を使用して32Pで標識したAd5アデノウイルスE3領域のDNAに相当するプローブをその溶液に加え、一晩ハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後に、ナイロンメンブランを室温で[2×SSC、0.1%SDS]媒質中で2回洗浄し、45℃で[0.1×SSC、0.5%SDS]媒質中で2回洗浄し、最後に、室温で0.1×SSC媒質中で洗浄し、露出させた。
得られた結果は、アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した細胞における1.6kbバンドの出現を示す。このバンドは、gp19kをコードする配列を含むmRNAに相当し、このmRNAは、LacZ遺伝子の転写を制御するRSVプロモーター内に位置したpolyA部位まで延在する。これとは対照的に、アデノウイルスAd−βgalに感染した細胞では、これと同じバンドは検出されない。
2. 機能性gp19kの発現
アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した細胞によって生産されるgp19kの機能性を、ELISA試験において、細胞表面でのβ2−ミクログロブリンの発現を測定することによって検証した。β2−ミクログロブリンは、MHC−I分子と共に細胞表面に局在した非膜間タンパク質であり、細胞表面での抗原の提示のために必要なタンパク質である。特に、このタンパク質は、MHC−I分子の適正な折りたたみと、細胞表面における抗原ペプチドの提示とのために必要であり、従って、MHC−I分子の機能性の適切な標識である。
密集した3T3−Balb−c細胞を200pfu/細胞のAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染させ、その後で、ウシ胎児血清を10%含むDMEM培地中で、[湿潤雰囲気、5%CO2]中で37℃で40時間インキュベートした。その後で、[PBS緩衝液、20mM EDTA]中に細胞を収集し、[DMEM培地、10%FCS]中に懸濁させた。その後で、105個の細胞を96穴プレートの各穴の中に入れた。このプレートを3分間250gで遠心した後に、6時間インキュベートした。更に、プレートの穴を[PBS緩衝液、1%ウシアルブミン(BSA)]で洗浄し、その後で、37℃で20分間、1%BSA−PBSのヒツジ抗β2−ミクログロブリン抗体(The Binding Site,Birmingham UK)の1/500希釈液と共にインキュベートした。その後で、細胞を1%BSA−PBS中で洗浄した後に、[PBS緩衝液、0.37%ホルムアルデヒド、0.2%グルタルアルデヒド]中で固定し、2回洗浄し、アルカリ性ホスファターゼ(AP)(Sigma)と複合した第2の抗ヒツジ抗体の1%BSA−PBS中1/35,000希釈液と共に、4℃で1時間インキュベートした。その後で、上記プレートを、1%BSA−PBS中で3回洗浄した。更に、AP活性をAP基質キット(Biorad)を使用して検出した。450nmで測定した各穴の光学密度と、平均ODと、標準偏差を計算した。
こうして得た結果は、Ad−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3の感染が、アデノウイルスAd−βgalによって生じさせられる効果に比較して、ELISA試験によって判明した表面β2−ミクログロブリンシグナルの強度の約40%の減少をもたらすことを示す。この結果は、Ad−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3が、機能性gp19kタンパク質の生産を生じさせることと、このgp19kタンパク質が細胞表面におけるMHC−I分子の発現の著しい低減を生じさせることとを明らかに示している。
実施例3
本発明のアデノウイルスの免疫保護効果
3.1. アデノウイルスAd−βgalでインビボで刺激したCTLに対する感受性
この実施例は、アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した細胞が、アデノウイルスAd−βgalに感染した細胞に比較して、CTLよる溶解に対して保護されることを示す。
DBA/2マウス(H−2d)に対して、最初に、108pfuのウイルスAd−βgalを静脈内注射し、更に3週間後に同一量のウイルスを腹膜内注射した。このマウスを(最も早期には)2週間後に死亡させ、その脾臓を磨砕して、補体除去FCS 10%、ストレプトマイシン50μg/mL、ペニシリン100U/mL、カナマイシン100μg/mL、及び、ゲンタマイシン100μg/mLを含むRPMI 1640(Gibco)10mL中に、脾臓細胞を懸濁させた。こうして得た細胞(CTLリンパ球)を、アデノウイルスAd−βgalに感染した3T3細胞の存在下でインキュベートした。これによって、染色(感染)細胞の約40%の溶解が生じる。これとは対照的に、これと同じ細胞(CTLリンパ球)は、非感染の繊維芽細胞、又は、アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した繊維芽細胞に対して、実際上は全く影響を与えない。この結果は、gp19kを生産することが可能な組換えDNAを本発明のベクターの中に組み込むことが、感染細胞の免疫保護をもたらすことを明らかに示す。
3.2. アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3でインビボで刺激したCTLに対する感受性
この実施例は、アデノウイルスAd−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した細胞が、Ad−βgalアデノウイルスに感染した細胞に比較して、CTLよる溶解に対して保護されることを示す。
Ad−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3を注射したマウスの脾臓細胞を上記の条件で調製した。上記条件の下で、Ad−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3に感染した3T3細胞の存在下で刺激したこのCTLは、上記細胞、未感染繊維芽細胞、又は、Ad−βgalに感染した繊維芽細胞の溶解を生じさせない。更に、この溶解がないことが、上記細胞の低い生存力によるものではないことを立証した。このために、抗βgal又は抗アデノウイルススクローンの全てを増幅する目的で、Ad−βgalに感染した3T3細胞の存在下で同じのリンパ球を刺激した。こうして得たリンパ球は、Ad−βgalを注射したマウスから採取した3T3細胞の場合と同様に、Ad−βgalに感染した3T3細胞を溶解することが可能である。この結果は、(i)有効な特異的CTLが産生されないので、本発明のベクターが感染細胞の免疫保護を生じさせることと、(ii)Ad−gp19k−βgal,ΔE1,ΔE3を注射したマウスの脾臓中に幾つかの抗ベクターリンパ球が産生されると同時に、エキソビボ刺激中の抗原の発現が、感染標的細胞の溶解のために必要なこのリンパ球のクローナル膨張と(clonal expansion)を生じさせるのには不十分であることとを明瞭に示す。
実施例4. E1領域内に挿入した、プロモーターの制御を受ける治療遺伝子と、E3領域内に挿入した、RSVLTRプロモーターの制御を受けるgp19k遺伝子とを含む、欠陥組換えアデノウイルスの構築
E1領域内に挿入した第1の組換えDNA(治療遺伝子+プロモーター)を有する第1の欠陥ウイルスのDNAと、E3領域内に挿入した、第2の組換えDNA(gp19k+RSVプロモーター)を有する第2の欠陥アデノウイルスのDNAとの間の相同的組換えによって、このアデノウイルスを構築した。
1. E3領域内に挿入した第2の組換えDNA(gp19k+RSVプロモーター)を有する欠陥アデノウイルスの構築
このウイルスを、アデノウイルスAdd1324(Thimmappaya他,Cell 31(1982)543)から構築した。このウイルスは、E1領域内とE3領域内とに欠失を有する(XbaI−EcoRIフラグメント欠失)。Add1324ウイルスDNAを単離して精製した。その後で、このDNAを酵素XbaIと酵素EcoRIとで切断した。XbaI−EcoRIフラグメントを、RSVプロモーターの制御を受けるgp19kをコードする配列を有するプラスミドpAd−gp19k−βgalから得、その後で、上記のようにオープンしたAdd1324DNAに上記部位で挿入した。
従って、こうして得たDNAは、E1領域内の欠失と、RSVの制御を受けるgp19k遺伝子を有するE3領域内の組換えDNAとを含む。
2. 両方の組換えDNAを有するアデノウイルスの構築
上記の通りに調製した組換えウイルスのDNAと、E1領域内に治療遺伝子を有する組換えアデノウイルスの(BamHIで直線化した)DNAとを、相同的組換えを生じさせるようにリン酸カルシウムの存在下で細胞系293中に同時形質移入する。こうして産生した組換えアデノウイルスを、プラーク精製によって選択する。単離後に、組換えアデノウイルスのDNAを細胞系293中で増幅し、約1010pfu/mLの力価を有する未精製欠陥組換えアデノウイルスを含む培養上清液を生じさせる。
一般的には、ウイルス粒子を、公知の方法(例えば、特に、Graham他,Virology 52(1973)456を参照されたい)による塩化セシウム勾配上での遠心分離によって精製する。
上記実施例ではgp19k遺伝子の充填を特に詳細に説明しているが、他の治療遺伝子、他の免疫保護遺伝子、他のプロモーター、及び、アデノウイルスゲノム内の他の挿入部位を使用して、当業者が、上記実施例で説明したアプローチを行うことが可能であることを理解されたい。

Claims (3)

  1. 治療遺伝子を含む第1の組換えDNAと、gp19kをコードする遺伝子を含む第2の組換えDNAとを含み、且つ、これらの組換えDNAが両方ともアデノウイルスゲノムのE1領域内に挿入されていることを特徴とする、欠陥アデノウイルス。
  2. 請求項1に記載の欠陥組換えアデノウイルスを少なくとも1つ含む医薬組成物。
  3. 注射可能調合物用として調剤上許容可能なビヒクルを含む請求項に記載の医薬組成物。
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