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JP3882067B2 - イソプレノイド鎖型ポリグリコシド及びその小胞体 - Google Patents

イソプレノイド鎖型ポリグリコシド及びその小胞体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品、農薬、食品、等の分散剤、乳化剤、可溶化剤、マイクロエマルジョン剤、 湿潤剤、膜蛋白質の可溶化、結晶化助剤、機能的再構成用膜材料、特にベシクル膜の形成材料として有用な新規なイソプレノイド鎖型ポリグリコシド及びその閉鎖小胞体に関する。
【従来の技術】
【0002】
各種産業分野において広範に利用されている界面活性剤は、これまで主として石油由来の原料から合成される合成界面活性剤が主流であった。
これら石油原料由来の合成界面活性剤は、人体も含めた生物や環境への負荷に対する懸念の他に、原料自体が再生不能で、近い将来の枯渇が予測されるなど、地球環境の維持の観点から大きな問題を抱えている。そのため、再生可能で、環境負荷も小さい化合物への転換が強く求められている。
【0003】
近年、このような問題意識の向上から、親水基として、糖類例えばグルコース、ガラクトース、マンノース等の単糖あるいはそのオリゴマーと、脂肪族アルコール由来の直鎖状の長鎖アルキル基を結合した型の、アルキルポリグリコシドを代表とする糖系界面活性剤が開発されている。
これらは、糖と脂肪族アルコールという再生可能な天然資源由来の原料から合成でき、人体に対する刺激も穏和で、生分解性も大きく環境への負荷も小さい事から、石油由来の合成界面活性剤に代わる新しい型の界面活性剤として期待されている(アンゲヴァンテ・ヘミー・インターナショナル・エディション・イン・イングリッシュ(Angew. Chem. Int. Ed. Engl.) 第37巻 1328頁 (1998))。
【0004】
しかしながら、従来の糖系界面活性剤は、そのクラフト点(温度)(水和固体−液(晶)相転移温度)が一般的に高く、疎水部であるアルキル基の炭素数が8から12程度の短いものしか利用できないという制限がある。このため、糖系界面活性剤を室温を含む0℃から30℃の通常の室温度範囲で利用する際に、実際上の選択肢が水溶性の高い化合物に限定され、その結果として応用範囲が著しく狭められるという欠点を有している。
【0005】
また、一般に、糖系界面活性剤をドラッグデリバリー、バイオセンサ等の生化学分野に利用するに当たって広い利用価値のあるラメラ液晶やキュービック液晶等の各種液晶から作成されるベシクルあるいはキューボソーム等と呼ばれる水中で安定に分散出来る閉鎖小胞体、或いは水中で安定な脂質二重層膜を、親水性が高く、水溶性の高い界面活性物質から作成することは不可能である。また、同様に従来の糖系界面活性剤では、安定な気水界面でのラングミューアブロジェット膜が形成できない、等といった難点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の糖系界面活性剤であるアルキルポリグリコシドが持つ上記の致命的な欠点を克服し、クラフト温度が室温より低く且つ親水性と疎水性のバランスを広く制御できるという二つの条件を両立できる新規な糖系界面活性剤及びその閉鎖小胞体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、従来の糖系界面活性剤の疎水性を担う直鎖アルキル基を、ゲラニルアルコール、ファルネソール、フィトールなど天然の植物界に多量に存在するイソプレノイド鎖型疎水性アルコールから誘導される分岐アルキル基に変換した、糖を親水部とする両親媒性化合物が、上記の課題に対して有効であることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、この出願によれば、第一に、下記一般式(1)
【化1】
Figure 0003882067
(式中、Nは1〜7の整数を、nはイソプレン単位の数で2または3の整数を示す)
で表されるイソプレノイド鎖型ポリグリコシドが提供される。
第二に、第一のイソプレノイド鎖型ポリグリコシドからなる閉鎖小胞体が提供される。
【0008】
本発明に係る新規なイソプレノイド鎖型ポリグリコシドは、上記一般式(1)で表される。
一般式(1)において、Nは1〜7の整数である。
【0009】
本発明のイソプレノイド鎖型ポリグリコシドの親水部を形成する糖類としては、単糖類若しくは2糖類以上の糖類が挙げられる。
単糖類としては、グルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、フルクトース及びそれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
2糖類以上の糖類としては、マルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、ゲンチオビース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、セロトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、イソマルトテトラオース、イソマルトペンタオース、イソマルトヘキサオース、イソマルトヘプタースおよびそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの糖類のうち、好ましいものは、グルコース、ガラクトース、マルトース、マルトトリオースである。
【0010】
また、一般式(1)において、nはイソプレノイド系化合物中のイソプレン単位の繰り返し数を表し、2または3である。
本発明のイソプレノイド鎖型ポリグリコシドの疎水部を形成するイソプレノイド鎖型疎水アルコールとしては、例えば、3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカノール等が挙げられる
【0011】
本発明の前記一般式(1)で示されるイソプレノイド鎖型ポリグリコシド化合物は、赤外線吸収スペクトルでは、3500 〜 3000 cm-1に水酸基由来の吸収を示し、1H-NMRスペクトルにおいては、δ値が0.8 〜 0.9 ppmの位置に長鎖アルキル基のメチル基の水素、1.0 〜 1.7 ppmの位置に長鎖アルキル基のメチレン基およびメチン基の水素、3.0 〜 5.3 ppmの位置に酸素原子に隣接するメチレン基の水素およびオリゴ糖部位の水素にそれぞれ帰属できるシグナルが観測され、それによって生成物の構造が同定される。
【0012】
本発明に係る一般式(1)で示されるイソプレノイド鎖型ポリグリコシドは、種々の方法により製造される。
このような方法としては、例えば臭化糖を用いるグリコシル化法、フッ化糖を用いるグリコシル化法、トリクロロアセトイミデートを用いるグリコシル化法、アセチル化糖を用いるグリコシル化法などが例示される。
本発明において、上記イソプレノイド鎖型ポルグリコシドは、好ましくは以下に示される3工程により製造される。
【0013】
まず、第一工程において、市販のフィトール、ファルネソール、あるいはゲラニオール等のイソプレノイド鎖型疎水性アルコールを水素添加することにより、下記一般式(2)
【化2】
Figure 0003882067
(式中、nは2または3の整数を示す)
で表される飽和タイプのイソプレノイド鎖型疎水性アルコールを合成する。
水素添加の溶媒としては、酢酸エチル及びエタノールまたはその混合物を用いることが出来る。水素添加の触媒としては、活性炭担持のパラジウムを用いることが出来る。水素圧は、1気圧、反応時間は2時間以上で十分である。反応後は活性炭担持パラジウムを濾過により除去し、溶媒を減圧下留去することにより、目的とするイソプレノイド鎖型疎水性アルコール(2)を油状物質として得る。
【0014】
第二工程において、イソプレノイド鎖型疎水性アルコール(2)を、糖類例えば下記式(3)
【化3】
Figure 0003882067
(式中、Nは1〜7の整数を示す)
で表されるマルトオリゴ糖α-トリクロロアセトイミダートとカップリングすることにより、下記式(1)
【化4】
Figure 0003882067
(式中、Nは1〜7の整数、nは2または3の整数を示す)
で表されるβ-グリコシル体を立体選択的に得る。反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタンといったハロゲン化溶媒、アセトニトリル、ニトロメタンを用いることが出来るが、塩化メチレンが適当である。反応のルイス酸触媒として、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、三フッ化ホウ素・エーテル錯体を用いる事が出来る。反応温度は、−25℃以上が適当である。反応時間は45分で十分である。この際、モレキュラーシーブ4Aの共存のもとで攪拌することが良い結果を与える。
【0015】
第三工程において、第二工程で得たグリコシル体(4)をナトリウムまたはカリウムのアルコラートで処理することによって、下記式(1)
【化5】
Figure 0003882067
(式中、Nは1〜7の整数を、nは2または3の整数を示す)
で表されるイソプレノイド鎖型ポリグリコシドを白色粉末または柔らかい固体として得る。反応温度は0℃以上が適当である。反応溶媒は、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、またはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒とアルコール系溶媒との混合溶媒が適当である。再結晶溶媒としては、メタノール、エタノール、酢酸エチル、あるいはこれらの溶媒の混合物が適当である。
【0016】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物において、その水溶液は、室温で融解状態を示す。実際、本発明の実施例2の化合物(β-O-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシド)において、その水溶液は、図1に例示する示差走査熱分析測定結果から分かるように、−100℃に冷却した後、100 ℃まで昇温しても化合物由来の固相ー液相転移を示さない。つまり、一般式(1)で表される化合物は、クラフト点が0 ℃より遙かに低く、水中では常に液体状態にあること分かる。
これに対して、従来型の糖系界面活性剤のクラフト点は、アルキル基の炭素数が10と比較的短いデシル-β-D-グルコシド (アルキル基の炭素数=10)では23℃、ドデシル-β-D-グルコシド(アルキル基の炭素数=12)では36℃との報告がなされている(ラングミュア(Langmuir)第16巻、7359頁(2000))。
すなわち、従来型のものは、アルキル鎖長(炭素数)が12になると、すでに36℃という室温を遙かに超えるクラフト点を示し、室温下でその多くが固体状態となっていることから、本発明に係る化合物のように、アルキル基の鎖長が大きくなってもクラフト点が0℃以下という特性を期待することができず、通常の室温付近での利用が極めて困難となる。
【0017】
あわせて、本発明の化合物の水溶液の光学顕微鏡観察においても、室温で流動性の高い液晶状態が観察される。さらに、偏光顕微鏡観察による液晶状態のパターンの判断、ならびに小角X線回折実験による規則構造の判定から、本発明の化合物の水溶液は、ヘキサゴナル液晶のみならず、脂質二重層構造をもととするラメラ液晶、キュービック液晶を形成することが分かる。
【0018】
更に、図2に示されるように、本発明に係るラメラ液晶は、水と平衡にあるため、これら液晶が分散した水溶液を超音波処理、あるいは濾過処理すれば、容易に十ナノメートルから数マイクロメートルの大きさを持つ閉鎖小胞体(ベシクル)を得ることができる。
【0019】
図3は、気・水界面上に展開した、β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシド単分子膜の面積ー表面圧曲線を示す図である。この図から分かるように、本発明のイソプレノイド鎖型ポリグリコキシドは、気・水界面上に安定な単分子膜を形成することもできる。
以上の観察および実験結果から、本発明の化合物が、室温を含む実用上必要な殆ど任意の温度範囲で融解状態にあり、広い疎水性と親水性のバランスを示すことが分かる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び参考例によりさらに詳細に説明する。なお、これらの実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0021】
参考例1 (3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデカノールの製造方法)
室温下、酢酸エチル100ml中にフィトール(10g、67ミリモル)と活性炭担持パラジウム(5%、1g)を混合した後、雰囲気を一気圧の水素ガスに置換する。5時間撹拌した後に、減圧により水素を除去して空気雰囲気にした溶液を、セライトでろ過する。溶媒を留去した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル (10 : 1) で精製し、9.8gの3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデカノールを油状物として得た。
【0022】
参考例2 (3, 7-ジメチルオクタノールの製造方法)
参考例1でフィトールに代わりゲラニオールを用いて、同様の操作方法によって、3, 7-ジメチルオクタノールを油状物として得た。
【0023】
参考例3 (β-O-3, 7ジメチルオクチル-D-マルトシドの製造方法)
アルゴン雰囲気下、乾燥させたモレキュラーシーブ4A(2g)に3, 7-ジメチルオクタノール(3.41g, 21.52ミリモル)の塩化メチレン溶液(70ml)を加えて2時間撹拌した後、ヘプタ-O-アセチル-α-D-マルトシルトリクロロアセトイミダート(14.0g, 17.9ミリモル)を90mlの塩化メチレンに溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(3.7ml, 36.9ミリモル)を加え、-23℃で19時間攪拌した。反応溶液にトリエチルアミン(3.7g、37ミリモル)を滴下した後、溶液をセライトでろ過し、溶媒を留去した後に酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を留去して粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ベンゼン:アセトン (40 : 1〜 20 : 1) で精製し、5.06gの白色固体のβ-O-3, 7-ジメチルオクチル-(ヘプタ-O-アセチル-D-マルトシド)を得た。
この化合物5.57gをアルゴン雰囲気下、20mlのメタノールに溶解した後、ナトリウムメトキシド(0.05M, 4.3ml, 0.22ミリモル)を加えて室温で40分攪拌した。0.2mlの1N塩酸を加えて反応を止め、溶媒を留去し2.43gの粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール (9:1 〜 7:1))で単離精製した後、酢酸エチルにて再結晶し、窒素雰囲気下でろ過して精製することにより、白色粉末として、β-O-3, 7ジメチルオクチル-D-マルトシドを得た。
【0024】
参考例4 (β-O-3, 7ジメチルオクチル-D-グルコシドの製造方法)
参考例3において、ヘプタ-O-アセチル-α-D-マルトシルトリクロロアセトイミダートの代わりに、テトラ-O-アセチル-α-D-グルコシルトリクロロアセトイミダートを用いて、同様な操作によって、β-O-3, 7ジメチルオクチル-D-マルトシドを柔らかい固体として得た。
【0025】
参考例5 (β-O-3, 7-ジメチルオクチル-D-マルトトリオシドの製造方法)
参考例3において、ヘプタ-O-アセチル-α-D-マルトシルトリクロロアセトイミダートの代わりに、デカ-O-アセチル-α-D-マルトトリオシルトリクロロアセトイミダートを用いて、同様な操作によって、β-O-3, 7ジメチルオクチル-D-マルトトリオシドを白色粉末として得た。
【0026】
実施例1 (β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-マルトシドの製造方法)
参考例3において、3, 7-ジメチルオクタノールの代わりに、3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデカノールを用いて、同様な操作によって、β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-マルトシドを白色粉末として得た。
【0027】
実施例2 (β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシドの製造方法)
参考例1において、3, 7-ジメチルオクタノールの代わりに、3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデカノールを用いて、ヘプタ-O-アセチル-α-D-マルトシルトリクロロアセトイミダートの代わりに、テトラ-O-アセチル-α-D-グルコシルトリクロロアセトイミダートを用いて、同様な操作によって、β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシドを柔らかい固体として得た。
【0028】
実施例3(β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシドのベシクル形成)
ガラス製試験管に入れた、β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシド(以下実施例2中、脂質と略す)のクロロホルム溶液(mg/ml)をロータリエバポレータにて溶媒を蒸発させ、ガラス壁に薄い脂質膜を形成した後水mlを添加した。ボルテックシングによって脂質薄膜を水中に分散させた後、液体窒素温度と40℃の湯浴の間の温度で凍結・融解を繰り返し充分水和させ脂質液晶粗分散体を得た。その後、この粗分散体を100nmの穴径を持つポリカーボネイト膜を加圧下で通過させる加圧濾過を5回繰り返したところ、直径110nmの粒子径がそろった単分散脂質微粒子が得られた。この脂質微粒子は、カルボキシフルオレセイン等の色素を内部に保持できることから液晶状態の脂質膜が閉鎖小胞を形成したベシクルであることが分かった。
【0029】
【発明の効果】
本発明の化合物は、アルキル鎖長を16(分枝メチル基を含む全炭素数は20)と長くしても、クラフト温度が0℃以下と低いため, 容易に水和膨潤しラメラ液晶等の液晶を形成できる。また当該化合物の形成するリオトロピック液晶は少なくとも、0℃から140℃近くまでの広い温度範囲で安定である等、優れた温度安定性を持っている。
また、これらの液晶が分散した水溶液を超音波処理、あるいは加圧濾過処理すれば、容易に数十ナノメートルから数マイクロメートルの大きさを持つ閉鎖小胞体(ベシクル)を得ることができる。
従って、このようなベシクル水溶液中に染料、医薬品等機能性化合物を予め含ませておけば、ベシクル内に、目的の機能性化合物を含んだベシクル分散体をつくることが可能となる。
また、本発明の化合物はクラフト温度が0℃以下と低く、また上述のように水中での分子集合状態が温度によらないため、低温度でのマイクロエマルション、可溶化、或いは製品の低温保存など低エネルギー技術が可能になる。
特に、低温での操作が可能である特性は、水溶性蛋白質、膜蛋白質、ホルモン等低温での操作を必要とする多くの生理活性生体分子をベシクル内や、ベシクル膜中に取り込む技術に好適である。
さらに、大きな疎水鎖を持つため、化合物の疎水性も充分大きく気水界面での安定な単分子膜を容易に作成することができる。この単分子膜をラングミュアー・ブロジェット法により、微細加工したシリコン基板等固体表面上に写し取れば表面修飾が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシド90%水溶液の-100℃から100 ℃までの昇温過程の示差走査熱分析測定結果を示す図である。
【図2】水と接した、β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシドから形成されるシリンダ状に成長するラメラ液晶(ミエリン形)の顕微鏡写真を示す図である。
【図3】気・水界面上に展開した、β-O-3, 7, 11, 15-テトラメチルヘキサデシル-D-グルコシド単分子膜の面積ー表面圧曲線を示す図である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0003882067
    (式中、Nは1〜7の整数を、nはイソプレノイド単位の数で2または3の整数を示す)で表されるイソプレノイド鎖型ポリグリコシド。
  2. 請求項1記載のイソプレノイド鎖型ポリグリコシドからなる閉鎖小胞体。
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