JP3880399B2 - 光電変換装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CMOSカレントミラー回路から成るCMOS定電流源回路を有する一次元及び2次元の光電変換装置及びこれを用いた画像読み取り装置にかかわるものであり、特に電源電圧印加時における定電流源回路の立ち上がり特性が良好なCMOS定電流源回路や定電流源回路を含む半導体デバイスの回路構成に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光電変換装置の分野においては、受光素子と周辺回路を同一基板中に形成した光電変換装置の開発が積極的に行われている。
【0003】
例えば、演算増幅器を受光素子と同一半導体基板中に形成したリニアセンサ(テレビジョン学会誌 Vol.47、No9(1993)pp.1180)、サンプルホールド回路を有するイメージセンサ(特開平4−223771号公報)、演算増幅器で構成された内部基準電圧発生回路を有する固体撮像装置(特開平9−65215号公報)、等が提案されている。
【0004】
また、演算増幅器のバイアス電流は一般的に定電流源回路を用いて生成されるが、この定電流源回路をMOSトランジスタを用いて形成する場合には、例えば図3に示すようなCMOS定電流源回路(R.Gregorian,G.C.Temes Analog MOS Integrated Circuits for Signal Processing P.127 Figs. 4 and 5.)を用いるのが一般的であるが、その他にも特開平7−44254号公報に開示されているようなCMOS定電流源回路も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術に開示されているCMOS定電流源回路と受光素子とを同一半導体基板中に形成した光電変換装置においては、光照射時にCMOS定電流源回路が動作しない場合がある。
【0006】
図3に示した、従来のCMOS定電流源回路に電源電圧が印加された状態においては、
(1)定電流が流れている状態(図3においてQ2、Q4のMOSトランジスタが飽和領域で動作している状態)
(2)定電流がほとんど流れない状態(図3において、約V01=GND、約V02=VDD)
の2つの安定点が存在する。
【0007】
当然のことながら、(2)の状態においては、バイアス電流がほとんど流れないため、回路は正常に動作しない。
【0008】
通常、電源電圧を印加すると、(1)の状態で安定するが、図3に示したCMOS定電流源回路を光電変換装置に適用した場合、このCMOS定電流源回路に光が照射されると、(2)の状態で安定する場合がある。
【0009】
この理由を以下に説明する。
【0010】
例えば、Q3のPMOSトランジスタのドレイン(P型)とウエル(N型)で形成されるPN接合部で光キャリアが発生すると、図3のV01には光生成ホールが蓄積され、電位が上昇し、上昇しすぎれば、Q3,Q4のPMOSトランジスタはオフ状態となる。それに伴って、V02の電位も下降し、最終的には上記の定電流がほとんど流れない(2)の状態で安定する。
【0011】
また、Q1のNMOSトランジスタのドレイン(N型)とウエル(P型)で形成されるPN接合部で、光キャリアが発生する場合も、同様に、上記の(2)の状態で安定することになる。
【0012】
従って、パターンレイアウトやデザインルールの制約で、この定電流源回路の遮光が十分にできない場合には、定電流源回路が正常に動作しないという問題が発生するのである。
【0013】
[発明の目的]
本発明の目的は、定電流源回路を遮光する以外に、光照射時においても電源投入時に正常に動作するCMOS定電流源回路を有する光電変換装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、本発明は、光電変換を行う受光部と、電源回路とを同一半導体基板中に形成した光電変換装置であって、前記電源回路は、ソースが正電源に接続された第1PMOSトランジスタと、ソースが前記正電源に接続され、ゲート及びドレインが前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続された第2PMOSトランジスタと、ソースが基準電位に接続され、ゲート及びドレインが前記第1PMOSトランジスタのドレインと接続された第1NMOSトランジスタと、ソースが抵抗を介して前記基準電位に接続され、ゲートが前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが、前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第2NMOSトランジスタとで構成される2つのカレントミラー回路を有し、前記第2PMOSトランジスタのドレインにカソードが接続され、かつ逆バイアスが印加されたホトダイオードを設け、前記第2PMOSトランジスタのドレインの面積と前記ホトダイオードの面積が共に180μm 2 であり、かつ、前記第2PMOSトランジスタのドレインの遮光率が65%であり、前記ホトダイオードの遮光率が20%であることを特徴とする。
【0015】
さらに前記受光部からの信号を順次読み出すシフトレジスタと、前記シフトレジスタによって順次読み出される前記受光部からの信号を増幅するアンプとを有し、前記電源回路は、前記アンプに電源を供給することを特徴とする。
【0016】
さらに前記受光部の光電変換を行う光電変換部を主走査方向に配列し、この配列を複数列配置して副走査方向に走査することを特徴とする。
【0017】
[作用]
本発明によれば、例えば、Q3のPMOSトランジスタのドレイン(P型)とウエル(N型)で形成されるPN接合部で光キャリアが発生した場合においても、このノードに接続されたホトダイオードで発生する光生成電子によって、このノードの電位上昇を抑制することが可能となるため、Q3、Q4のPMOSトランジスタはオフ状態にはならず、定電流源回路は正常な状態で安定する。
【0018】
また、Q1のNMOSトランジスタのドレイン(N型)とウエル(P型)で形成されるPN接合部で光キャリアが発生した場合においても、同様に、このノードに接続されたホトダイオードで発生する光生成ホールによって、このノードの電位下降を抑制することが可能となるため、Q1、Q2のNMOSトランジスタはオフ状態にはならず、定電流源回路は正常な状態で安定する。
【0019】
本発明においては、定電流源を構成するMOSトランジスタのドレインとウエルで発生する光電源より、ホトダイオードに流れる光電流が多ければ、その効果を十分に発揮できる。しかしながら、ホトダイオードに流れる光電流が大き過ぎる場合は、定電流源回路の電流精度を悪化させ、かつ、暗時と光照射時で定電流が変化するというような不都合も生じる。従って、本発明において、ホトダイオードに流れる光電流は、定電流回路に流れる電流に対して、十分小さくすることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、1次元、2次元の光電変換装置のみならず、種々の光電変換装置や半導体デバイスに適用することが可能であることはいうまでもない。
【0021】
以上述べたように、パターンレイアウトやデザインルールの制約で、定電流源回路部分の遮光が十分にできない場合においても、本発明の構成を用いることにより、光照射時に定電流源回路が正常に動作しないという問題を解決することが可能になるのである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、実施形態を用いて、本発明の具体的な構成の説明を行う。
【0023】
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態における3画素分の等価回路図を、図1に示して説明する。
【0024】
本実施形態は、光電変換素子のホトダイオード10、10'、10"と、PMOSトランジスタ11、11'、11"のゲート、リセットスイッチ12、12'、12"が接続され、ホトダイオード10、10'、10"で発生した信号電荷を、PMOSトランジスタ11、11'、11"をソースホロアで読み出す光電変換装置である。ここで、ソースホロアはPMOSトランジスタ13、13'、13"の定電流負荷を用いている。この定電流負荷のPMOSトランジスタ13、13'、13"のゲートに定電流源20が接続されている。
【0025】
この光電変換装置は、まずリセットパルスφRESをハイとして、リセットスイッチ12、12'、12"をオンとして、ホトダイオード10、10'、10"のアノードを一括してリセット電位VRESにリセットする。次に、所定時間映像光をホトダイオード10、10'、10"に照射し、この映像光量に応じてホトダイオード10、10'、10"のアノード電位がPMOSトランジスタ11、11'、11"のしきい値以下に下がり、PMOSトランジスタ11、11'、11"をオンして、映像光量に応じた電流を流す。その電流に応じた電圧を出力電圧として出力電圧V01,V02,V03を出力する。
【0026】
上記定電流負荷の電流を生成する定電流源20は、ソースが正電源に接続された第1PMOSトランジスタ2と、ソースが該正電源に接続され、ゲート及びドレインが該第1PMOSトランジスタ2のゲートに接続された第2PMOSトランジスタ1と、ソースが負電源に接続され、ゲート及びドレインが該第1PMOSトランジスタのドレインと接続された第1NMOSトランジスタ4と、ソースが抵抗Rを介して基準電圧の負電源に接続され、ゲートが該第1NMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが、該第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第2NMOSトランジスタ3と、で構成されるカレントミラー回路と、該第2PMOSトランジスタのドレインにカソードが接続され、かつ逆バイアスが印加されるホトダイオード5とから構成される。特に、このホトダイオード5を、PMOSトランジスタ1のドレインとGNDとの間で逆バイアスが印加されるように設けていることに特徴がある。
【0027】
本実施形態における、PMOSトランジスタ1のドレイン面積、ドレインの遮光率、ホトダイオード面積、ホトダイオード遮光率を以下に示す。
【0028】
【表1】
この場合、定電流源回路20のPMOS1、及びPMOS2を流れる定電流は約20μAであるのに対し、光照射時にホトダイオード5に流れる光電流は1pA以下であるため、ホトダイオード5の光電流は定電流源の精度に影響を及ぼさない。
【0029】
本実施形態において、光照射時に電源電圧を印加した場合でも定電流源は正常に動作し、光電変換装置は正常に光反応を示した。しかし、ホトダイオード5が無い、従来の定電流源回路を用いた場合、電源電圧印加後も定電流源回路は遮断状態となり、光電変換装置は光反応を示さなかった。
【0030】
尚、図1には3画素分のみの等価回路を示しているが、本実施形態は、実際には1チップ当たり234画素から構成される1次元ラインセンサチップであり、該1次元ラインセンサチップを複数個1列に接続することにより、密着型イメージセンサとして光電変換装置を形成している。
【0031】
〔第2の実施形態〕
図2は本発明の第2の実施形態における等価回路図である。本実施形態は受光素子アレイ23の共通出力線21の出力をオペアンプ24を用いてインピーダンス変換をして信号を出力する光電変換装置である。
【0032】
受光素子アレイ23で各受光素子で光電変換された信号出力は、シフトレジスタ22により共通出力線21に順次出力される。また共通出力線21はオペアンプ24の入力に接続されている。本実施形態においては、オペアンプ24のバイアス電流を生成する定電流源20のNMOS4のドレインと電源電圧との間で逆バイアスが印加されるようにホトダイオード5を設けている。
【0033】
このオペアンプ24は、定電流源20の出力に接続されたPMOS25のゲートに接続され、PMOS25のドレインにはカレントミラー効果によりPMOS1のドレイン電流と同一電流が流れ、PMOS25のドレインに接続されたカレントミラー回路のNMOS26,27,30に写像され、NMOS27のドレインに接続された負荷としてのカレントミラー回路のPMOS28,29で再度写像され、NMOS30のドレインに接続されたカレントミラー回路のPMOS31,32で、PMOS32のドレインには、結果的にPMOS1のドレイン電流と同一電流が流れる。受光素子アレイの信号出力はPMOS33のゲートに入力され、そのドレインから反転出力として出力段NMOS37のゲートに入力され、受光素子アレイの信号出力と同相の画像信号出力Voutを得る。なお、NMOS35,36は入力段の差動PMOS33,34の負荷となり、キャパシタ38は当該オペアンプの位相補償用コンデンサである。
【0034】
本実施形態において、定電流源20に対して光照射時に電源電圧を印加した場合でも、定電流源20は正常に動作して、オペアンプ24にバイアス電流を供給できるため、光電変換装置は光反応を示したが、ホトダイオード5を有さない、従来の定電流源回路を用いた光電変換装置の場合は、光照射時に電源電圧を印加した後も定電流源回路は遮断状態となって、オペアンプ24にバイアス電流を供給できなくなるため、光電変換装置は光反応を示さなかった場合と同様に、信号出力電圧を得ることはできなかった。
【0035】
なお、本実施形態においても、逆バイアスのホトダイオード5をNMOS3のドレイン/ソース間に配置してもよい。また、本実施形態のラインセンサーは1チップ構成とすることが可能である。また、定電流源に限らず、差動増幅回路や他の回路であっても、PN接合部で発生する光キャリアの電子と正孔に対して、それを打ち消す素子を持ち得れば、特に光等の外乱の影響による誤動作を防止することができる。また、素材面においても、CMOS、MOSFET、バイポーラトランジスタ等であってもよく、半導体デバイスとして本発明を適用できるものである。
【0036】
また、本実施形態に用いた受光素子アレイを1センサーチップとし、該1センサーチップを複数個一列に配置して密着型イメージセンサを形成する。この密着型イメージセンサの1列を主走査方向とし、該主走査方向に対して垂直方向を副走査方向として、読み取られる画像と対照的に副走査方向に走査することにより、2次元の画像を読み取ることができる。この2次元の画像信号の読み取りを画像読み取り装置の機能として出力することにより、例えばスキャナーやファクシミリ、電子複写機に用いることが出来、高精細で高密度な画像を読み取り可能となる。
【0037】
【発明の効果】
以上示したように、本発明により、定電流源を搭載する例えば光電変換素子の光電荷電圧の増幅回路に用いて、当該定電流源を光照射した時においても、電源電圧印加後に飽和状態に至らず、正常に動作する。よって、このCMOS定電流源を有する光電変換装置を実現することが可能となり、その効果は絶大である。
【0038】
また、本発明により、半導体デバイスに加わる、例えば光等の外乱の影響によって半導体デバイスが誤作動しないようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における3画素分の等価回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における等価回路図である。
【図3】従来技術のCMOS定電流源回路の等価回路図である。
【符号の説明】
1、2 PMOSトランジスタ
3、4 NMOSトランジスタ
5 ホトダイオード
10、10'、10" ホトダイオード
11、11'、11" PMOSトランジスタ
12、12'、12" リセットスイッチ
13、13'、13" 定電流負荷用PMOSトランジスタ
20 定電流源
21 共通出力線
22 シフトレジスタ
23 受光素子アレイ
24 オペアンプ
Claims (4)
- 光電変換を行う受光部と、電源回路とを同一半導体基板中に形成した光電変換装置であって、
前記電源回路は、
ソースが正電源に接続された第1PMOSトランジスタと、
ソースが前記正電源に接続され、ゲート及びドレインが前記第1PMOSトランジスタのゲートに接続された第2PMOSトランジスタと、
ソースが基準電位に接続され、ゲート及びドレインが前記第1PMOSトランジスタのドレインと接続された第1NMOSトランジスタと、
ソースが抵抗を介して前記基準電位に接続され、ゲートが前記第1NMOSトランジスタのゲートに接続され、ドレインが、前記第2PMOSトランジスタのドレインに接続された第2NMOSトランジスタとで構成される2つのカレントミラー回路を有し、
前記第2PMOSトランジスタのドレインにカソードが接続され、かつ逆バイアスが印加されたホトダイオードを設け、
前記第2PMOSトランジスタのドレインの面積と前記ホトダイオードの面積が共に180μm 2 であり、かつ、前記第2PMOSトランジスタのドレインの遮光率が65%であり、前記ホトダイオードの遮光率が20%であることを特徴とする光電変換装置。 - 請求項1に記載の光電変換装置において、
前記電源回路は、前記受光部に電源を供給することを特徴とする光電変換装置。 - 請求項1に記載の光電変換装置において、
前記受光部からの信号を順次読み出すシフトレジスタと、前記シフトレジスタによって順次読み出される前記受光部からの信号を増幅するアンプとを有し、
前記電源回路は、前記アンプに電源を供給することを特徴とする光電変換装置。 - 請求項1に記載の光電変換装置において、
前記受光部の光電変換を行う光電変換部を主走査方向に配列し、この配列を複数列配置して副走査方向に走査することを特徴とする光電変換装置。
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