JP3876273B2 - 光ファイバ引留め装置 - Google Patents
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Description
図6(a)に模式的な断面を示すように、タイト型の光ファイバユニット80は光ファイバユニットの中心部に鋼線等の中心抗張力体80bが設けられ、その周辺部に数本の光ファイバ心線1aをウレタンアクリレート系の樹脂80cを介して充填して保持し、外周をある程度硬いウレタンアクリレート系の樹脂等の被覆層としたものである。
なお、厳密には光ファイバはガラス質のコアとクラッドの表面に一次被覆を施した光ファイバ素線と、一次被覆の上に、更に二次被覆を施した光ファイバ心線に区別されるが、以降、特に素線・心線を区別せずに共に光ファイバと呼ぶ。
なお、同図(c)の拡大図Eに示すように、光ファイバ1aは予め数本の光ファイバをテープ状に拘束している光ファイバテープ心線1eの形で供給することもできる。
耐圧層2の外周に、ケーブルに加わる引張力に十分対応できるように、複数本の鋼線3aを撚り合わせて構成した抗張力体層3があり、本例では1層とされている。耐圧層2の外周面、金属チューブ層4の内周面及び抗張力線3aの外周面で区画された空間にコンパウンド8が長手方向に間欠的に充填されている。
この抗張力体層3は1層または複数層構造とされ、ケーブルの布設時の負荷に十分耐える抗張力を付加し、かつ、障害に対してケーブルを保護する。
4は前記抗張力体層3の結束と気密を保ち、中継器への給電路となる金属チューブ層で、通常、銅またはアルミ等からなる金属テープを縦添え溶接して縮径し、チューブ状に形成したものである。
また、5及び6は海水との絶縁、及び、機械的保護を目的とするポリエチレン等で形成する絶縁層(シース)である。
ルースチューブ型ユニット1の外周面と抗張力線3aがルースチューブ型ユニット1と対向する側の曲面との間に粘着性や接着性を持ったコンパウンド7を充填して、このコンパウンド7を介して、耐圧殻(実質的には抗張力線3aの内面を直径とする殻)がルースチューブ1dを拘束する。
金属チューブ層4、その外部の絶縁層5、6は図7、8と同様の構成とされている。
特許文献1に記載されているものは、収縮チューブの側圧、及び接着剤の摩擦力で光ファイバを引留めるものであった。
従って、機械的にこれらの端末接続装置に海底光ケーブルを接続するには、分割個片2aや抗張力線3a等の端末を耐圧シリンダ、またはそれに固着された部材に固定することにより引留められる。
本出願人が先に出願した特願2002−63172号において、図11(a)に示すドラム状の引留めディスクにルースチューブを捲回して、ルースチューブを介して、内部のジェリー状の充填材及び光ファイバ心線を同時に引留める方法や、同図(b)の接着剤を使用してルースチューブ内の光ファイバ心線を単独で引留める方法が提案されている。
JB20の本体である耐圧シリンダ28の表面は絶縁体27で覆われている。 耐圧シリンダ28は高強度の金属製の円筒状で、その両端に形成された鏡板中央の孔にアンカーディスク11が挿入され、その鍔部で耐圧シリンダ28によって支承されている。
右側から海底光ケーブル50が絶縁体27中央部の孔に挿入される。海底光ケーブル50は、例えば、図7に示すルースチューブ型ユニットを持ったタイプとする。
ケーブル50の金属テープ層4、絶縁層5、6が取り除かれ、耐圧層2を構成する分割個片2aや抗張力体層3を構成する抗張力線3aはアンカーディスク11中心のテーパ孔に広げて載置され、テーパーピン13を圧入して挟持する。テーパーピン13は位置決めのため、フランジ14を介してクランプナット15で押さえられる。
ケーブル50に掛かる張力は、分割個片2aと抗張力線3aからアンカーディスク11とテーパーピン13を介して、耐圧シリンダ28に伝達され、左端に接続されたケーブル(図示せず)に伝達される。
端末固定具63からルースチューブ型ユニット1に作用する力は引留めディスク外周に捲回されたルースチューブ型ユニット1の捲回部との摩擦力で拡大されて、ルースチューブ型ユニット1を引留め、内部の光ファイバ心線1aも充填されたジェリー状充填剤1cとの摩擦力を介して引留められる。
ルースチューブ型ユニット1のルースチューブ1dはルースチューブ接着具72に接着等で引留められる。
次に、ルースチューブ型ユニット1からルースチューブ1dを除去して光ファイバ1aを取り出し、ジェリー状の充填剤1cを拭き取って光ファイバ接着具73の溝に整列し、接着剤で溝に接着する。接着剤にはエポキシ樹脂や、UV硬化型樹脂が使用される。
例えば、図12はルースチューブを持たないが、性能的にはルースチューブ型ユニットと同等な光ファイバの収容構造を持った海底光ケーブル2種の構成を斜視図として示している。
図12に示すように、第1の構造は扇形状の断面をした分割個片2aを組み合わせて円筒状の耐圧層2を構成し、分割個片2aの隙間に密にコンパウンド7を塗布してその内部空間に光ファイバ心線を挿通し、その隙間に密にジェリー状の充填材1cを充填している。ルースチューブ型ユニットを構成するルースチューブは耐圧層2とコンパウンド7で代用され、ルースチューブそのものは存在しない。
従来方法のいずれであっても、作業期間の増大、設備の高額化、材料の原価高等、全てコスト高の要因となる問題がある。
また.光ファイバの引留め位置を接着剤でテープ状に形成し、このテープ状の光ファイバを収縮チューブの貫通孔内に挿入し、加熱して一体化し、収縮チューブを固定材内に収納して光ファイバを引留める場合、光ファイバを挿入した収縮チューブの収縮時に固定材への取付を想定した位置で収縮させるため、取り付け位置はファイバの過度の弛みや張りを避ける必要があり、収縮チュープの取り付け位置決めが難しい、光ファイバを接着材でテープ状に形成するため接着剤の硬化に時問を要する、収縮チューブを固定材に収納する際に固定材で挟み込む等の機械的な方法で固定すると側圧により光ファイバの伝送特性が劣化する等の問題がある。
また、常温付近で乾燥させる接着剤による引留めでは長い硬化時間を要し、紫外線硬化樹脂の採用は特殊設備を必要とするが、ホットメルト型接着剤は特殊設備不要で短時間に処理できる点で作業時間を短縮できる効果がある。
熱収縮チューブ33とホットメルト型接着剤31は、加熱後図2(a)に示す引留め部長さLとなる長さとされている。
なお、図で右方向が光ケーブル側、左方向が端末接続器の接続側となる。
支持体32の一端(図で右側)は熱収縮チューブ33の端末とほぼ一致し、他端(図で左側)は後述する支持体引留め用の支持スリーブであるカシメスリーブ34を取り付けるための所定長が延長されている。
光ファイバ心線の接続側となる先端部は、接続加工が十分可能な長さとされている。
なお、後に詳細説明する図4、または図11(a)に示すように、海底光ケーブルの外周部分を構成する絶縁層(シース)5、6は取り除かれ、耐圧層2や抗張力層3の構成部材は別途引留められる。
図1、図2の(b)及び図2(d)に示すように、光ファイバ心線1aや支持体32の周囲を隙間なく充たしたホットメルト型接着剤31は縮径された熱収縮チューブ33の孔部に充填される。
加熱を停止し温度が下がると、ホットメルト型接着剤31は凝固して光ファイバ1aや支持体32を接着し、熱収縮チューブ33とも一体化して引留め部30aを形成する。
一次被覆は熱硬化型のシリコン樹脂、紫外線(UV)硬化型のアクリルやエポキシ樹脂等が使用され、二次被覆はUV硬化樹脂やナイロン等が用いられるが、近年は一次二次被覆とも紫外線(UV)硬化型樹脂が多用される傾向がある。
上述のように、ホットメルト型接着剤31に使用される樹脂は、熱可塑性樹脂を基材としており、光ファイバの被覆として使用される熱硬化型樹脂の系列の紫外線(UV)硬化型樹脂等とは全く異なっている。
シリコンゴムは最も耐熱性に優れ、耐寒性もあり−70〜200°Cの広範囲で大きな特性の低下無しで使用が可能である。特殊のシリコンゴムとして自己融着性あるいは熱収縮性シリコーンゴムが耐熱性絶縁テープ、熱収縮チューブなどとして用いられている。
熱収縮チューブは電子機器の盤間配線用の電線束の結束などにも用いられ、外部からヒータなどで温風を当て収縮させて使用する。また、光ファイバの接続部の被覆にも使用されている。
通常は、図2(b)の左端に示すように、支持体32の先端近くに(一点鎖線で示す)カシメスリーブ34を固着し、このカシメスリーブ34を介して支持体32を端末接続器の耐圧シリンダまたは相当部材に引留めるのが便利である。
なお、カシメスリーブ34を使用した引留め方法の詳細は後述する。
図3(a1)、(b1)、(c1)は加熱前、図3(a2)、(b2)、(c2)は加熱後に一体化して形成された引留め部30aの光ファイバ心線1aの軸線に直角な断面図である。
なお、図3(a2)、(b2)、(c2)は図2(d)と同一の状態を示している。
この場合は光ファイバ心線1aをホットメルト型接着剤31dの孔に挿入して位置決めすれば、その他の部材との位置関係を自動的に定めることができる。
図4(a)はJBの外形を投影図で示し、左右から挿入された海底光ケーブル50a、50bはブーツ25の中心の孔を挿通して、中央部のJB本体20aに導かれる。
海底光ケーブル50a、50bの接続方法と引留め方法はほぼ同一であり、構造もほぼ類似しているのでケーブル50bに対応する引留め装置部分のみを図示する。ケーブル50aに対する構造は、ほぼ同図(b)の鏡像関係になると考えて良い。
ゴム等で形成されたブーツ25と内部のブーツインサート26は光ケーブル50a、50bを外力から保護し、接続された光ケーブルと同時にリールに巻き取ることも可能とされている。
図4(b)ではケーブル50bは絶縁層5、6を除去されてモールド23中央の孔に挿通されている。
金属製で円筒状の耐圧シリンダ28の両端に形成された端板中央の孔にアンカーディスク11が挿入されている。
耐圧シリンダ28は、その内部に収納される光ファイバ心線の接続部を水圧や屈曲等の外力から保護すると共に、接続する光ケーブル50a、50b相互の張力の伝達や給電路の電気的な接続を行っている。このため、耐圧シリンダ28は高強度の金属により形成され、その周囲が絶縁体22、モールド23で覆われ海水から絶縁している。
更に金属製で円筒状のカバー21で覆い、カバー21の両端に螺合等でブーツインサート26が結合されている。
テーパーピン13はフランジ14を介して左から押し込まれ、強固に分割個片2aや、鋼線(抗張力線)3a、3bを引留める。更にその位置が動かないようにクランプナット15で固定される。クランプナット15は、例えばクランプナット15の外周面に切られた雄ねじをアンカーディスク14の左端部に形成された雌ねじに螺合する等の手段で固定される。
なお、ルースチューブ1dは分割個片2aとの間のコンパウンド7の接着力で引留められているが、その端末に対して、ルースチューブ1dと、例えばアンカーディスク11等の耐圧シリンダ28と連結された部材と接着する等の引留め方法を講じれば、更に好ましい。
引留め部30aはテーパーピン13、フランジ14、クランプナット15の中心に設けられた孔13a、14a、15aを挿通する。支持体32の先端部は耐圧シリンダ28内部に到達している。
1例としては、支持体32の左方先端部にカシメスリーブ34を固着して、光ファイバ心線1aを引留めることができる。
カシメスリーブ34はほぼ円筒形の部材で中心の孔に支持体を層通し、例えば、外部から力を加えてカシメスリーブ34を変形させて支持体32に圧着して固定する構造となっている。
実際の作業手順としては、アンカーディスク11に固着された支持金具17の溝17aに支持体32を挿通し、支持体32の先端を引いて引留め部30aを介して光ファイバ心線1aに適当な張力を掛けたまま、カシメスリーブ34が支持金具17に接触する位置でかしめて支持体32と圧着固定する。以後はカシメスリーブ34は支持金具17に支承されて光ファイバ心線1aを引留め続ける。
この場合、力学的には支持体32は無くても良い。但し、引留め部30aの剛性を確保する意味で引留め部30aの長さLと同じ程度の長さの支持体32を挿入することが好ましい。
引留め部30aの長さがほぼ30mmで130%、60mm超なら300%が確保できる。一般に、海底ケーブルに使用される光ファイバは浅海でも1%、5000mの深海で2.2%の伸びに相当する張力によるスクリーニング試験が必要とされ、引留め部30aの長さが30mmでも浅海用、60mmあれば深海用として十分の強度を有している。
なお、光ファイバの信頼性確保のため、光ファイバの全数(全長)に対して所定の伸びに相当する荷重を掛けたスクリーニング試験を行い、合格した光ファイバのみがケーブルに使用される。
元来、本発明で使用したホットメルト系の接着剤及び熱収縮チューブは、光ファイバ心線を途中で接続するファイバ接続用保護スリーブとして既に長期の使用実績がある。通常、光ファイバ心線の接続は接続部のファイバ素線の一次被覆まで剥離し、心線接続器でファイバ相互のコア位置を確認して溶接し、接合部周辺をホットメルト型接着剤と熱収縮チューブで覆って加熱し、接合部周辺を保護する工法が使用される。この時、接合部に鋼線を沿わせて曲げの外力に対応することもある。
また、引留め部が光ファイバに側圧を与えることによる伝送特性の変化がないことも確認されている。
従って、ホットメルト型接着剤、熱収縮チューブの耐久性も、海底に布設され長期間の放置後回収された光ファイバ接続部の耐久性から保証されていると考えて良い。
このように、実験結果と海底ケーブルに使用されたファイバ接続用保護スリーブの使用結果から、初期性能並びに長期間の安定性も保証され、本発明による光ファイバ心線引留め装置を安心して採用することができる。
2 耐圧層、2a 分割個片、3 抗張力層、3a、3b 鋼線(抗張力線)、4 金属チューブ層、5、6絶縁層(シース)、
7、 コンパウンド(粘着性または接着性)、8 コンパウンド(間欠充填)、
50、50a、50b 海底光ケーブル、20 端末接続装置、20a JB本体、24 余長収納体、25 ブーツ、27 絶縁体、28 耐圧シリンダ、
30 光ファイバ引留め装置、30a 引留め部、31 ホットメルト型接着剤、32 支持体(鋼線)、32a ネジ部(凹凸形状)、33 熱収縮チューブ、34 カシメスリーブ
Claims (1)
- 単心または複数本の光ファイバをジェリー状充填剤とともに金属製または樹脂製の円筒状のチューブに挿通したルースチューブ型ユニットを有する光ケーブルを接続する端末接続装置の内部に設置され、前記光ケーブルに挿通された単数または複数本の光ファイバを引留める光ファイバ引留め装置であって、
中空部を有するチューブ状のホットメルト型接着剤と、
中空部を有するチューブ状の熱収縮チューブと、
棒状の支持体とを備え、
前記ホットメルト型接着剤を前記熱収縮チューブの前記中空部に挿入し、前記棒状の支持体の一方の端部を前記ホットメルト型接着剤の前記中空部、若しくは中実部、外周部に配置し、少なくとも1本の前記光ファイバを前記ホットメルト型接着剤の前記中空部に挿通して加熱して、前記ホットメルト型接着剤を溶融し、且つ前記熱収縮チューブを収縮させて、前記棒状の支持体の一端部および前記光ファイバと共に一体構造として前記光ケーブルの軸線の延長上に光ファイバ引留め部を形成するとともに、前記棒状の支持体の他方の端部を前記光ケーブルの軸線の延長上に設けられている前記端末接続装置の固定部分に前記棒状支持体の位置の調整をした後に支承するための棒状の支持体引留め部を形成するようにしたこと
を特徴とする光ファイバ引留め装置。
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