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JP3870740B2 - セラミド分散液、製造方法及び用途 - Google Patents

セラミド分散液、製造方法及び用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はセラミド分散液、及び製造方法並びに、この分散液を含有することを特徴とする飲食品及び化粧料に関する。さらに詳しくは、長期間保存してもセラミドが沈殿または浮遊しないで均質な乳化または分散または可溶化状態を保持しうる上、飲食品に添加する際に必要とされる耐熱性、耐酸性、耐塩性などに優れた、セラミド分散液及びそれの製造方法並びに、この分散液を含有することを特徴とする飲食品、及び化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミドは、皮膚角質細胞間に存在する脂質群の50%以上を占めるスフィンゴ脂質の1種で、皮膚の保湿効果、表面保護作用(バリヤー効果)や、肌荒れ防止・改善の効果を有するなど、その生体調節機能が知られており、化粧品分野で広く用いられている。
また、食用としてはセラミドを経口摂取し、皮膚の保護作用や肌荒れ防止の効果を有することが知られている(Elian Lati, FRAGRANCE JOURNAL,23(1)81(1995))。他の技術としては、例えば特開昭60−183032号公報には、カゼインナトリウムなどの蛋白質を用いた乳化物が開示されているが、耐酸性、耐熱性に劣るなど問題がある。
また、特開平1−13010号公報には、ナトリウム型ベントナイトを用いた技術が開示されているが、これは食品には不向きなので食品への添加はできない。さらにまた、特表平6−504265号公報には、乳化剤でポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いた乳化物が開示されているが、食品への添加が許可されておらず、食品用途に展開できない。
また、特開平4−299940号公報には、ショ糖リシノール酸エステルと多価アルコールエステルを用いて耐熱性乳化組成物を形成することが提案されているが、酸性条件下でのレトルト条件処理(一般的には125℃で20分間)のような加熱条件が厳しい場合には、全く効果がないことが問題であった。
特開平8−256729号公報には、ポリグリセリン脂肪酸エステルが単独で用いられているが、単独で調製される水溶性組成物は保存安定性が悪く、セラミドの析出が観察されるなど問題があった。
特開2000−139345号公報には、脂肪酸と重合度が3以下のグリセリンのエステルからなる活性剤が開示されているが、この活性剤で調製される乳化組成物は、耐塩性に劣り、食塩水に溶解した際に、セラミドの析出が生じるなど問題があった。
よって、飲食品や化粧料に添加する際に必要とされる性質である、透明性、耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れ、安定な乳化または分散または可溶化状態を保つセラミド組成物として十分に満足できるものがなく、求められているのが現状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような難溶性セラミドを水溶性組成物とすることで医薬品、化粧料、食品などの幅広い分野での使用を可能にし、長期間保存してもセラミドの遊離または沈殿を生じることなく、均質で安定な乳化、分散、可溶化状態を保持し、さらに、飲食品に添加する際に必要とされる性質の耐酸性、耐塩性、耐熱性に優れ、該組成物を配合した飲食品及び化粧料においても、セラミドの析出、沈澱、浮上の起こらず、透明性に優れたセラミド分散液、及びこの分散液の製造方法、並びに、この分散液を含有する飲食品及び化粧料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題解決のため鋭意研究した結果、特定の2種のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いるとセラミドが可溶化状態となることの知見を得て、本発明を完成するに至った。即ち本発明は次の〔1〕〜〔9〕である。
〔1〕 セラミド(A)を水系溶媒に分散してなる分散液であって、炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B1)と炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B2)とを組合せ用いることを特徴とするセラミド分散液。
〔2〕 B1;炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステルが0.1〜20重量%、
B2;炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル、0.1〜30重量%で、その配合比がB1/B2=1/300〜1/0.005である前記〔1〕に記載のセラミド分散液。
【0005】
〔3〕 セラミド/界面活性剤(前記のB1+B2)=1/100〜1/0.004の配合比である前記〔1〕または前記〔2〕記載のセラミド分散液。
〔4〕 セラミド分散液の平均粒径が150nm以下の可溶化状態である前記〔1〕または前記〔2〕記載のセラミド分散液。
〔5〕 A;セラミド0.5〜50重量%と、
B1;炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜20重量%と、
B2;炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜30重量%と、
C;有機酸またはその塩、0〜20重量%と、
D;アルコール、または水の1種または2種以上0.01〜99.3重量%と からなることを特徴とするセラミド分散液。
【0006】
〔6〕 A;セラミド0.5〜50重量%と、
B1;炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜20重量%と、B2;炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜30重量%と、
C;有機酸またはその塩、0〜20重量%と、
D;アルコール、または水の1種または2種以上0.01〜99.3重量%とを原料として秤取り、均一に混合することを特徴とするセラミド分散液の製造方法。
【0007】
〔7〕 所定量のセラミドとアルコール、水を配合し、次いでB1の炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステルと、B2の炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステルを加えて分散させ、その後均質化処理をして平均粒子径150nm以下の可溶化状態とすることを特徴とするセラミド分散液の製造方法。
〔8〕 前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のセラミド分散液を含んでなることを特徴とする飲食品。
〔9〕 前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のセラミド分散液を含んでなることを特徴とする化粧料。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるセラミドは、セラミド及び類似構造をもつセラミド関連物質のことであり、動物由来あるいは植物由来、さらには微生物由来などの起源に限定されるものでもなく、また天然物からの抽出品や合成品などに限定されるものでもない。天然品としては、例えば牛脳より抽出したもの、小麦、米、米ぬか、大豆、黍、ホウレンソウ等の植物より抽出したもの、などが挙げられる。前記のなかでも、本発明のセラミド分散液は、飲食品や化粧料に主に用いられることから、植物由来のセラミドが好ましい。とりわけ、小麦、米ぬかよりの抽出物が入手性等の点から望ましい。使用するセラミドの純度は、特に限定されないが、純度の高いものが好ましいが、好ましくは、1%〜50%、入手性から3〜10%が望ましい。
本発明のセラミド分散液において、セラミドは分散液に対して0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%となるように配合するのが適当である。セラミドの含有量が0.5重量%未満であれば、実用的な価値を有する水溶性組成物を得ることができなく、50重量%より多いと、セラミド分散液の乳化安定性が劣り、好ましくない。
【0009】
本発明に用いる炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B1とする)としては、重合度が4以上の通常のポリグリセリンと炭素数が8〜10の脂肪酸とのエステルであり、前記の1種または2種以上のものが使用できる。
また、本発明に用いる炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B2とする)としては、重合度が4以上の通常のポリグリセリンと炭素数が12〜18の脂肪酸とのエステルで前記の1種または2種以上のものが使用できる。また、前記のポリグリセリンエステルの乳化剤は、蒸留などで高度に精製されたものであることは必ずしも必要なく、反応混合物であってもよい。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルB1、B2の合計の配合量は通常0.2〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。ポリグリセリン脂肪酸エステルB1、B2の合計の配合量が50重量%を超えると、セラミド分散液を飲食物へ添加した際、親水性乳化剤特有の味が飲食品の味へ影響し、好ましくない。
前記のB1、B2に相当する活性剤の市販品としては、例えば、B1相当として、モノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリン[商品名:サンソフトQ−81F 太陽化学(株)製]、[商品名:SYグリスターMCA−750 阪本薬品工業(株)製]等が挙げられる。
またB2相当として、モノオレイン酸デカグリセリン[商品名:サンソフトQ−17UL 太陽化学(株)製]、モノオレイン酸ヘキサグリセリン[商品名:SYグリスターMO−500 阪本薬品工業(株)製]、モノステアリン酸テトラグリセリン[商品名:ポエムJ−4081 理研ビタミン(株)製]等が挙げられる。
【0010】
本発明では、上記のポリグリセリンエステルの乳化剤に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の界面活性剤を混合して使用しても構わない。これらの界面活性剤としては、具体的には例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、サポニン、ステロール、コール酸、デオキシコール酸、ユッカ抽出物、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがある。
【0011】
本発明で使用する有機酸は、食品で使用できる有機酸であればいずれのものでも使用できる。例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、L−アスコルビン酸などが挙げられ、また、これらの塩も含まれる。より好ましくは、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
本発明で使用する有機酸の配合量は、通常0〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。有機酸の配合量が、20重量%を越える場合には分散が安定とならず、好ましくない。
【0012】
本発明で使用するアルコールは、食品に使用できるアルコールであれば、いずれのものでも使用が可能で、アルコール製剤なども使用できる。本発明で使用するアルコールの配合量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルコールの配合量が0.01重量%未満ではセラミドの分散性が劣り、好ましくない。アルコールの配合量が20重量%を越える場合は、乳化が不安定となり、好ましくない。
【0013】
本発明で使用する水は、飲食品に配合できる水であれば特に制限はなく、水のみであっても、その他に食品添加物を加えた水であってもよい。食品添加物としては、乳化剤、安定剤、調味料、酸及び塩等が挙げられる。
【0014】
さらに、本発明の液中には、安定剤を添加することができる。本発明に用いる安定剤としては、ガム質や糖アルコール、糖類などが挙げられる。具体的には例えば、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖果糖液糖、デキストリン、乳糖などが挙げられ、これらの安定剤は、1種単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0015】
本発明のセラミド分散液の製造方法は、前記の各種成分を秤取り、乳化、分散もしくは可溶化安定性を高めるために、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波乳化機などの均質化処理機やホモミキサーなどを使用して、これにより均一な液状のセラミド分散液を得ることができる。
特に、セラミドとアルコール、水を配合して均一とし、さらに前記の炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B1)と炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B2)加えて、分散してから均一化処理することが望ましい。
セラミド分散液をより安定化させるために、この均質化処理を2回以上行ってもよい。
また、均質化処理は前記の均質化処理機以外にも、転相乳化法、液晶乳化法、D相乳化法及びPIT乳化法なども利用してもよい。
【0016】
本発明のセラミド分散液は、そのまま摂取したり、あるいは主に、スポーツ飲料、炭酸飲料、栄養飲料などの飲料やパン、めん、菓子類、乳肉製品、調味料などの食品にセラミドを添加するための配合原料として使用することができる。その用途としては、特に制限はなく、あらゆる種類の飲食品に適用することができる。
【0017】
本発明のセラミド分散液を含有する食品としては、例えば、パン、ビスケット、キャンディー、ゼリーなどのパン・菓子類や、ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品や味噌、ソース、タレ、ドレッシングなどの調味料や豆腐、めん類などの加工食品やマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品や粉末飲料、粉末スープなどの粉末食品などやカプセル状、タブレット状、粉末状、顆粒状などにした健康食品などを挙げることができる。
【0018】
本発明のセラミド分散液を含有する飲料としては、食塩などのミネラル、酸味料、甘味料、アルコール、ビタミン、フレーバー及び果汁の中から少なくとも1種を含む飲料、例えばスポーツ飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン・ミネラル飲料などが挙げられる。さらに、加工乳、豆乳、体質改善のための飲料、生理効果を期待できる天然素材をセラミドと組合わせた飲料などを挙げることができる。
【0019】
また、本発明のセラミド分散液は、食品以外に化粧料や医薬品にも使用できる。化粧料としては、例えば、クリーム、ローション、シャンプーなどの化粧料が挙げられ、医薬品等にもセラミドを添加するための配合原料として使用することができ、その範囲は特に制限はなく、あらゆる種類の化粧料及び医薬品に適用することができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のセラミド分散液は、長期間保存してもセラミドが沈殿あるいは浮遊することなく、均質で安定な状態を保つことができる。また、耐酸性、耐塩性、耐熱性にも優れ、食品及び食品添加物に使用される酸及び塩を配合しても安定性を保つことができ、60〜100℃で殺菌処理または必要に応じて100〜150℃の高温殺菌または滅菌処理することができ、この際の加熱に対しても安定であり、また、長期間保存しても均一な状態を保つことができる。
さらに本発明のセラミド分散液の製造方法は、セラミドを均一に分散でき、容易に150nm以下の可溶化状態とすることができる方法である。
このセラミド分散液は、そのまま食品として摂取でき、さらに各種飲食品の製造に際して配合することによりセラミドを含有する飲食品を得ることができる。またさらに、本発明のセラミド分散液は、化粧料にも配合することができ、塩や酸と併用したり、熱処理した場合にも安定性を有することから有用である。
【0021】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
次に用いた試験方法、評価方法を示す。
1.保存安定性試験
実施例及び比較例で得たセラミド分散液を試料として用い、100mLサンプルビンにいれ、調製直後、及び40℃での30日静置保存後の外観状態を目視により評価した。
Figure 0003870740
2.耐熱試験
精製水にセラミド分散液を1%添加し、常温でのセラミド分散液の水溶液の外観状態を目視により評価した。さらに、この水溶液の耐熱性を確認するため、この水溶液を湯煎にかけ液温が85℃に達温した時点より30分間加熱処理を行った。これらの水溶液を室温にて放冷した後、外観状態を目視により評価し、セラミド分散液の水溶液の耐熱性を確認した。
Figure 0003870740
3.乳化分散液の平均粒径の測定
乳化分散液の平均粒径の測定には、サブミクロン粒子分析装置(COULTER N4SD)を用いた。
4.1 耐酸・耐熱試験
クエン酸にてpHを3以下に調整した精製水にセラミド分散液を1%添加し、常温での外観状態を目視により評価し、セラミド分散液の耐酸性を確認した。さらに、この酸性条件での耐熱性を確認するため、この分散液含有酸性水溶液を湯煎にかけ液温が85℃に達温した時点より30分間加熱処理を行った。これらの分散液含有酸性水溶液を室温にて放冷した後、外観状態を目視により評価し、セラミド分散液の耐酸・耐熱性を確認した。
Figure 0003870740
4.2 耐酸保存安定性試験
前記の耐酸・耐熱試験を行った試験溶液の40℃静置保存試験を実施し、30日静置保存後の外観状態を目視により評価した。
Figure 0003870740
5.1 耐塩・耐熱試験
同様に、食塩を3%含有する精製水にセラミド分散液を1%添加し、常温での外観状態を目視により評価し、セラミド分散液の耐塩性を確認した。さらに、この高塩濃度条件での耐熱性を確認するため、この分散液含有食塩水を湯煎にかけ、液温が85℃に達温した時点より30分間加熱処理を行った。これらの分散液含有食塩水の外観状態を目視により評価し、セラミド分散液の耐塩・耐熱性を確認した。
Figure 0003870740
5.2 耐塩保存安定性試験
前記の耐塩・耐熱試験を行った試験溶液の40℃静置保存試験を実施し、30日静置保存後の外観状態を目視により評価した。
Figure 0003870740
【0022】
実施例1
2000mL容ステンレス製ビーカーに、セラミド[商品名:ニッサンN−セラミド 日本油脂(株)製、セラミド純度4%]100g、食品用アルコール製剤[商品名:コーヘルシン 三菱化学フーズ(株)製]5g、水745gの順に入れ、かき混ぜながら80℃に加温した。これにさらに、アスコルビン酸50g、モノオレイン酸(C18)デカグリセリン(G10)[商品名:サンソフトQ−17S 太陽化学(株)製]50g、モノ・ジカプリル酸(C8)ヘキサグリセリン(G6)[商品名:サンソフトQ−81F 太陽化学(株)製]50gを添加して、完全にセラミドを分散した。次いで高圧ホモジナイザーにて均質化処理を行い、平均粒径が90nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=1/1、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0023】
比較例1
モノオレイン酸デカグリセリン及びモノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリンの合計100gをモノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリン100gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、平均粒径が160nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=1/0、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0024】
比較例2
モノオレイン酸デカグリセリン及びモノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリンの合計100gをモノオレイン酸デカグリセリン100gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、平均粒径が170nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=1/0、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0025】
比較例3
モノオレイン酸デカグリセリン及びモノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリンの合計100gをモノミリスチン酸トリグリセリン100gとした以外は、実施例1と全く同じ操作を行い、平均粒径が168nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=0/1、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0026】
【表1】
Figure 0003870740
【0027】
以上の結果から、比較例1は耐塩・耐熱試験溶液及び耐酸・耐熱試験溶液の40℃30日間静置保存における安定性で劣っている、比較例2は耐熱、耐塩、耐酸性が共に劣っており、セラミド分散液の40℃30日間静置保存後はセラミドの浮上が観察され、保存安定性でも劣っている、比較例3は耐塩性が著しく劣っているのに対して、実施例1は耐熱、耐塩、耐酸性が共に優れ、それぞれの試験溶液の40℃30日間静置保存後も安定であることがわかる。
【0028】
実施例2
2000mL容ステンレス製ビーカーに、セラミド100g、無水エタノール5g、水245gの順に入れ、かき混ぜながら70℃に加温した。これにさらに、L−アスコルビン酸ナトリウム30g、モノオレイン酸(C18)デカグリセリン(G10)[商品名:ポエムJ−0381 理研ビタミン(株)製]70g、モノカプリル酸(8)デカグリセリン(G10)[商品名:SYグリスターMCA−750 阪本薬品工業(株)製]30g、還元水あめ[商品名:エスイー58 日研化学(株)製]520gを添加して完全に分散した。次いで高圧ホモジナイザーにて均質化処理を行い、平均粒径が75nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=3/7、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0029】
比較例4
モノカプリル酸デカグリセリンをモノラウリン酸ヘキサグリセリン[商品名:SYグリスターML−500 阪本薬品工業(株)製]とした以外は、実施例2と全く同じ操作を行い、平均粒径が180nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=0/1、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0030】
比較例5
モノカプリル酸デカグリセリンをモノオレイン酸ペンタグリセリン[商品名:サンソフトA−171E 太陽化学(株)製]とした以外は、実施例2と全く同じ操作を行い、平均粒径が165nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=0/1、セラミド/界面活性剤=1/1)
【0031】
【表2】
Figure 0003870740
【0032】
以上の結果から、比較例4は、耐塩・耐熱試験、耐酸・耐熱試験における保存安定性が劣っている、比較例5は、耐塩・耐熱性試験における保存安定性が劣っているのに対して、実施例2は、耐塩・耐熱試験溶液の40℃30日間静置保存後において、わずかなセラミドの析出が観察されたが、熱、酸に対する安定性は実施例1と同等であり優れていることがわかる。
【0033】
実施例3
2000mL容ステンレス製ビーカーに、セラミド200g、無水エタノール10g、水350gの順に入れ、かき混ぜながら70℃に加温した。これにさらに、クエン酸100g、モノオレイン酸ヘキサグリセリン[商品名:SYグリスターMO500 阪本薬品工業(株)製]70g、モノカプリル酸デカグリセリン[商品名:SYグリスターMCA−750 阪本薬品工業(株)製]30g、グリセリン[商品名:食添用グリセリン 日本油脂(株)製]240gを添加して、完全にセラミドを分散した。次いで高圧ホモジナイザーにて均質化処理を行い、平均粒径が80nmの均一なセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=3/7、セラミド/界面活性剤=2/1)
【0034】
実施例4
実施例3の水350g及びグリセリン240gを水590gとした以外は、実施例3と全く同じ操作を行い、平均粒径が92nmの均一なセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=3/7、セラミド/界面活性剤=2/1)
【0035】
実施例5
実施例3の水及び無水エタノールの合計360gを水360gとした以外は、実施例3と全く同じ操作を行い、平均粒径が85nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=3/7、セラミド/界面活性剤=2/1)
【0036】
実施例6
実施例3のクエン酸及びグリセリンの合計340gをグリセリン340gとした以外は、実施例3と全く同じ操作を行い、平均粒径が96nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=3/7、セラミド/界面活性剤=2/1)
【0037】
実施例7
実施例3の水、無水エタノール、クエン酸及びグリセリンの合計700gを水700gとした以外は、実施例3と全く同じ操作を行い、平均粒径が110nmのセラミド分散液を得た。(ポリグリセリン脂肪酸エステルB1/ポリグリセリン脂肪酸エステルB2=3/7、セラミド/界面活性剤=2/1)
【0038】
【表3】
Figure 0003870740
【0039】
以上の結果から、実施例3は、耐塩、耐酸性が共に優れ、40℃30日間静置保存後も安定であり、また、実施例4〜7は、セラミド分散液、耐塩・耐熱試験溶液、耐酸・耐熱試験溶液の40℃30日間静置保存において、安定性で若干劣っていたが使用できないほどではなかった。
【0040】
実施例8
実施例2のセラミド分散液を用いて、第7表の組成で飲料を調製し、100mL容ビンに充填し密封した。この飲料を95℃で15分間加熱殺菌し、飲料を調製した。このようにして得られた飲料を40℃の恒温槽に30日間静置保存した後、分散安定性を評価したところ、セラミドの析出は全く認められず、分散状態は安定であった。
【0041】
比較例6
第7表の配合材料中、実施例2のセラミド分散液を比較例5のセラミド分散液に代えた以外は実施例5と同様にして飲料を調製した。このようにして得られた飲料を40℃の恒温槽に30日間静置保存した後、分散安定性を評価したところ、セラミドの析出が認められ、分散状態は不安定であった。
【0042】
【表4】
Figure 0003870740
【0043】
なお、表4中の結果の評価基準は、次のとおりとした。
Figure 0003870740
【0044】
以上の結果から、実際の飲料に配合した本発明の実施例8は、耐酸性、耐塩性、耐熱性等に優れているのに対して、比較例6が耐酸性、耐塩性、耐熱性等に劣っていることがわかる。
以上の結果から、本発明の実施例のものが、比較例に比べて、耐酸性、耐塩性、耐熱性等に優れていることがわかる。

Claims (9)

  1. セラミド(A)を水系溶媒に分散してなる分散液であって、炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B1)と炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル(B2)とを組合せ用いることを特徴とするセラミド分散液。
  2. B1;炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステルが0.1〜20重量%、
    B2;炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル、0.1〜30重量%で、その配合比がB1/B2=1/300〜1/0.005である請求項1に記載のセラミド分散液。
  3. セラミド/界面活性剤(前記のB1+B2)=1/100〜1/0.004の配合比である請求項1または請求項2記載のセラミド分散液。
  4. セラミド分散液の平均粒径が150nm以下の可溶化状態である請求項1または請求項2記載のセラミド分散液。
  5. A;セラミド0.5〜50重量%と、
    B1;炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜20重量%と、
    B2;炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜30重量%と、
    C;有機酸またはその塩、0〜20重量%と、
    D;アルコール、または水の1種または2種以上0.01〜99.3重量%
    からなることを特徴とするセラミド分散液。
  6. A;セラミド0.5〜50重量%と、
    B1;炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜20重量%と、
    B2;炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステル0.1〜30重量%と、
    C;有機酸またはその塩、0〜20重量%と、
    D;アルコール、または水の1種または2種以上0.01〜99.3重量%とを原料として秤取り、均一に混合することを特徴とするセラミド分散液の製造方法。
  7. 所定量のセラミドとアルコール、水を配合し、次いでB1の炭素数8〜10の脂肪酸とポリグリセリンのエステルと、B2の炭素数12〜18の脂肪酸とポリグリセリンのエステルを加えて分散させ、その後均質化処理をして平均粒子径150nm以下の可溶化状態とすることを特徴とするセラミド分散液の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミド分散液を含んでなることを特徴とする飲食品。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミド分散液を含んでなることを特徴とする化粧料。
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