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JP3786394B2 - 箱型構造体 - Google Patents

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JP3786394B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋体により開閉自在なケーシング内部にプリンタユニット等の開閉構造ユニットを有し、その開閉構造ユニットの上部ユニットと蓋体とを連動させて開閉させるプリンタユニットやPOS端末等の箱型構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、POS端末等の商品販売登録データ処理装置に搭載されてレシートの印字を行うようなサーマルプリンタには、プラテンと用紙収納部とを有する下部ユニットと、この下部ユニットに対して開閉自在に設けられてサーマルヘッドを有する上部ユニットとで構成される開閉構造ユニットとされているものがある。このような方式のサーマルプリンタでは、下部ユニットと上部ユニットとの間に用紙搬送路が形成されるので、ロール状に巻回された長尺状のレシート用紙を用紙収納部に収納してそのレシート用紙を引き出した後、上部ユニットを閉じて下部ユニットにロックするだけで、レシート用紙を介してサーマルヘッドをプラテンに所定の加圧力で当接させることができる。
【0003】
ところで、前述したようなサーマルプリンタは、POS端末とは別体で設計される場合が多く、さらに、POS端末の使用形態や形状を考慮するとPOS端末に内蔵される場合が多い。したがって、POS端末の筐体には、サーマルプリンタを収納するケーシングが設けられるとともに、このケーシングを閉塞する蓋体であるプリンタカバーが開閉自在に設けられることになる。
【0004】
ところが、このようなプリンタカバーを備えたPOS端末に内蔵されたサーマルプリンタにレシート用紙を補充する場合、プリンタカバーと上部ユニットとをそれぞれ別々に開閉しなければならないので、操作が煩雑になってしまう。
【0005】
そこで、このような問題を解決すべく、プリンタカバーと上部ユニットとを連結することにより、プリンタカバーと上部ユニットとを連動して開閉させるようにしたものがある。ここで、図9は従来のサーマルプリンタ101を内蔵するプリンタユニット100の一例を概略的に示す外観斜視図、図10はそのプリンタユニット100の開放状態を示す縦断側面図である。図9又は図10に示すように、POS端末の一部を構成するプリンタユニット100には、サーマルプリンタ101が内蔵されている。このプリンタユニット100の筐体102は、上面開口のケーシング103と、このケーシング103に対して支軸104によって軸支されて開閉自在であって閉じられた状態ではサーマルプリンタ101によって印字されるレシート等を発行するレシート排出口105を形成する蓋体であるプリンタカバー106とによって構成されている。また、プリンタカバー106の上部には、ハンドスキャナ(図示せず)を載置するためのスキャナ載置部107が凹形状に形成されている。
【0006】
一方、サーマルプリンタ101は、プラテン108とロール状に巻回された長尺状のレシート用紙Rを収納する用紙収納部109とを備えた下部ユニット110と、サーマルヘッド111を備えた上部ユニット112とにより構成されている。そして、上部ユニット112は、支軸104に対して平行に設けられた支軸113によって軸支され下部ユニット110に対して開閉自在とされている。また、上部ユニット112は、後述する連結機構によってプリンタカバー106の開閉動作と連動して開閉動作する構造とされている。これらの下部ユニット110と上部ユニット112とが閉じられた状態にある場合には、プラテン108とサーマルヘッド111との間に用紙案内経路(図示せず)が形成されるとともに、サーマルヘッド111をプラテン108に所定の加圧力で当接させることができるように構成されている。さらに、サーマルプリンタ101の用紙案内経路にはレシート用紙Rを切断するカッタ機構が備えられており、このカッタ機構は上部ユニット112に設けられる固定刃114と、下部ユニット110に設けられる可動刃115とにより構成されており、可動刃115と固定刃114とをハサミのように噛み合わせて摺動させることによりレシート用紙Rを切断する。
【0007】
次に、プリンタカバー106と上部ユニット112とを連動して開閉させる連結機構について説明する。プリンタカバー106には、リンク板116が備えられている。このリンク板116には、長穴であるガイド穴116aが形成されている。また、上部ユニット112のサーマルヘッド111の近傍には、リンク板116のガイド穴116aに差し込まれるリンク軸117が設けられている。この上部ユニット112のリンク軸117がプリンタカバー106に設けられたリンク板116のガイド穴116aに差し込まれることにより、プリンタカバー106の開閉動作に伴ってリンク軸117がガイド穴116a内をスライド自在に摺動することになる。すなわち、上部ユニット112が、ガイド穴116aの軌道に従ってプリンタカバー106の開閉動作に連動して開閉する構造になっている。つまり、ガイド穴116aとリンク軸117とによってサーマルプリンタ101の上部ユニット112とプリンタカバー106とを連結する連結機構が構成されている。
【0008】
このような構成によれば、プリンタカバー106の開放動作に連動して上部ユニット112も全開放されることになるので、レシート用紙Rの用紙収納部109への補充作業を容易にすることが可能になっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図11はプリンタユニット100を図9に示す矢印方向から見た状態を示す外観斜視図である。図11に示すように、プリンタユニット100の筐体102を構成するケーシング103とプリンタカバー106とは支軸104によって軸支されて開閉自在とされているが、ケーシング103には、プリンタカバー106の軸受部106aとケーシング103とが回動時に干渉しないようにR形状部103aが形成されている。したがって、ケーシング103に対してプリンタカバー106を閉止状態にした場合であっても、ケーシング103のR形状部103aとプリンタカバー106の軸受部106aとの間には図11に示すような隙間aが形成され、プリンタユニット100の筐体102の表面に凹凸状のラインを生じてしまい、外観的に好ましいものではなかった。
【0010】
なお、ケーシング103とプリンタカバー106とを周知の一軸式の蝶番によって連結することも考えられるが、プリンタカバー106に形成されたスキャナ載置部107を避けて蝶番を設置しなければならない。そのため、スキャナ載置部107を避けて蝶番を設置する場合には、ケーシング103とプリンタカバー106との連結位置は低くなってしまうことにより、プリンタカバー106を開放する際にはプリンタユニット100の後方に余分なスペースが必要になってしまう。また、仮にスキャナ載置部107が存在せずに蝶番によって連結することができる場合であっても、蝶番の軸部分が外部に露出するのは避けられないことから、外観的に好ましいものではない。
【0011】
本発明の目的は、支持機構を外部に露出させず、かつ、ケーシングと蓋体との連結部分に凹凸等を生じない美観に優れた箱型構造体を得ることである。
【0012】
本発明の目的は、箱型構造体の小型化を図ることである。
【0013】
本発明の目的は、蓋体をスムーズに動作させることができる箱型構造体を得ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、下部ユニットとその下部ユニットに対して開閉回動自在に軸支された上部ユニットとで構成される開閉構造ユニットと、この開閉構造ユニットを収納する上面開口のケーシングと、このケーシングの開口部分を閉塞する蓋体と、それぞれ一端が前記蓋体と前記ケーシングとに回動自在に連結された略V字形状の第一アームと第二アームとよりなり、各々のV字形状の頂点においてリンクピンにより連結され、前記第一アームの他端は前記ケーシングのガイド穴にスライド自在に取り付けられ、前記第二アームの他端は前記蓋体のガイド穴にスライド自在に取り付けられたスライド式リンク機構によるスライド蝶番と、前記上部ユニットの回動支点に直交する前記開閉構造ユニットの両側面近傍に一対の前記スライド蝶番をそれぞれ配置し、前記蓋体を前記ケーシングに対して開閉自在に支持する支持機構と、この支持機構に支持された前記蓋体の開閉動作に連動させて前記上部ユニットを開閉させる連結機構と、を備える。
【0015】
したがって、その開閉動作を開閉構造ユニットの上部ユニットの開閉に連動させられる蓋体が、開閉構造ユニットの両側面近傍に配置された一対のスライド蝶番を有する支持機構でケーシングに対して開閉自在に支持される。これにより、蓋体が開閉構造ユニットに干渉せずスムーズに開閉され、かつ、その蓋体の回動軌跡はスライド蝶番によって楕円軌道になることで蓋体はケーシングに対してアウトセット可能になる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の箱型構造体において、前記スライド蝶番の各部は平板状部材によって形成され、前記蓋体が閉止位置にある場合には前記ケーシングと前記開閉構造ユニットとの間に前記スライド蝶番が収納されている。
【0017】
したがって、蓋体が閉止位置にある場合、各部が平板状部材によって形成されたスライド蝶番がケーシングと開閉構造ユニットとの間に収納されることにより、箱型構造体の小型化が図られる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の箱型構造体において、前記一対のスライド蝶番の少なくとも一以上の同一部材間は、補強部材で連結されている。
【0019】
したがって、一対のスライド蝶番の少なくとも一以上の同一部材間が、補強部材で連結されることにより、各スライド蝶番の強度が確保されるとともに、各スライド蝶番間の動作の同期がとれることになる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の箱型構造体において、前記開閉構造ユニットは、プラテンと用紙収納部とを有する前記下部ユニットと、サーマルヘッドを有する前記上部ユニットとで構成されるプリンタユニットである。
【0021】
したがって、蓋体と上部ユニットとが連動して同時に開放されることにより、プラテンとサーマルヘッドとが分離開放されるので、例えばレシート用紙等の用紙収納部への補充作業が容易になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態は、箱型構造体としてサーマルプリンタユニットを内蔵するPOS端末に適用したものである。
【0023】
図1はPOS端末1の構造を示す外観斜視図である。図1に示すように、POS端末1の筐体2の操作者側から見て左側には、サーマルプリンタユニット3(図2参照)を内蔵する上面開口のケーシングであるプリンタ収納部4(図2参照)やICカード等を挿入するカード挿入口5等が設けられている。このプリンタ収納部4の開口部分は蓋体であるプリンタカバー7によって開放・閉塞自在とされていて、このプリンタカバー7は閉じられた状態ではサーマルプリンタユニット3によって印字されるレシート等を発行するレシート排出口6を形成する。また、プリンタカバー7の上部には、ハンドスキャナ(図示せず)を載置するためのスキャナ載置部8が凹形状に形成されている。一方、POS端末1の筐体2の操作者側から見て右側には、チルト自在なディスプレイ9、各種のキーが集合するキーボード10、磁気カードを挿入する磁気カード挿入口11等が設けられている。
【0024】
次に、プリンタ収納部4の周辺の取付構造について説明する。ここで、図2はPOS端末1のプリンタ収納部4付近を示す縦断側面図、図3はサーマルプリンタユニット3とプリンタカバー7との構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0025】
図2に示すように、プリンタ収納部4に収納されたサーマルプリンタユニット3は、プラテン12とロール状に巻回された長尺状のレシート用紙Rを収納する用紙収納部13とを備えた下部ユニット14と、サーマルヘッド15を備えた上部ユニット16とにより構成されている。そして、上部ユニット16は、下部ユニット14に対して支軸Aによって軸支され開閉自在とされている。つまり、サーマルプリンタユニット3は、下部ユニット14とその下部ユニット14に対して開閉回動自在に軸支された上部ユニット16とで構成される開閉構造ユニットである。また、上部ユニット16は、後述する連結機構によってプリンタカバー7の開閉動作と連動して開閉動作する構造とされている。これらの下部ユニット14と上部ユニット16とには、閉じられた状態の上部ユニット16を下部ユニット14に対してロックするロック機構Lが、サーマルプリンタユニット3の操作者から見て左右両側にそれぞれ設けられている。このロック機構Lのロック状態は、後述するロック解除機構によって解除される。つまり、ロック機構Lとロック解除機構とにより、下部ユニット14と上部ユニット16とは係脱自在になっている。なお、上部ユニット16が閉じられた状態にあってロック機構Lがロック状態にある場合には、プラテン12とサーマルヘッド15との間に用紙案内経路(図示せず)が形成されるとともに、サーマルヘッド15をプラテン12に所定の加圧力で当接させることができるように構成されている。
【0026】
次に、ロック機構Lの構造について詳細に説明する。図2に示すように、ロック機構Lは、下部ユニット14に設けられて付勢部材(図示せず)により係合方向に付勢されたフックアーム17と、上部ユニット16に設けられたロックピン18とを主体に構成されている。このフックアーム17は、軸19により軸支されてロックピン18に係脱自在に設けられている。つまり、上部ユニット16は、フックアーム17がロックピン18に係合することで閉じた位置に位置決めされ、その係合が解除されることで開くことができる。また、フックアーム17には、上部ユニット16が閉じられる際にロックピン18に当接しつつその干渉をフックアーム17の軸19による回動作用で逃がすための傾斜部17aが形成されている。なお、上部ユニット16が下部ユニット14に対して半開位置に位置付けられる場合、この傾斜部17a上にロックピン18が位置することになる。この半開状態で上部ユニット16の荷重位置16aにその自重よりも大きな外力が加えられると、ロックピン18に対する干渉がフックアーム17の回動動作によって逃されながら上部ユニット16が変位し、最終的にはロックピン18にフックアーム17が係合し、上部ユニット16は下部ユニット14に対して閉じられた状態になってロックされることになる。また、フックアーム17には、三角形状のリリースチップ20が取り付けられている。
【0027】
一方、図2に示すように、プリンタカバー7は支持機構Bを介してプリンタ収納部4を形成する筐体2に対してアウトセット状態で取り付けられており、後述するこの支持機構Bの作用によってプリンタカバー7はプリンタ収納部4に対して開閉自在とされている。つまり、図2に示すように、プリンタ収納部4に対してプリンタカバー7を閉止状態にした場合には、プリンタカバー7が筐体2に対してアウトセット状態で取り付けられていることにより、筐体2とプリンタカバー7との間に隙間はほとんど存在せず平滑な面になる。このプリンタカバー7には、取っ手部21が形成されており、この取っ手部21を操作者が把持して上下動させることによりプリンタカバー7の開閉が可能になる。また、この取っ手部21が、プリンタカバー7を閉じた状態においてレシート排出口6の一部を形成することになる。さらに、図3に示すように、プリンタカバー7には穴部22が形成されており、この穴部22には押圧部材として機能するプッシュボタン23がプリンタカバー7の表面7aに対して変位自在に取り付けられている。詳細には、穴部22には突起22aが対向して突出形成され、プッシュボタン23には溝状のガイド23bがそれらの突起22aに対向して形成されている。そして、穴部22の突起22aに対してプッシュボタン23のガイド23bを滑り込ませることにより、穴部22の突起22aが、プッシュボタン23のプッシュ面23aを一定位置よりも下方に落ち込まないように規制することになる。つまり、プッシュボタン23は、サーマルプリンタユニット3の下部ユニット14と上部ユニット16とがロック機構Lによって完全にロックされている状態では、その下部23dを上部ユニット16の荷重位置16aに当接させ、上部のプッシュ面23aをプリンタカバー7の表面7aと略同一面内に位置付けさせている(図2参照)。
【0028】
プリンタカバー7の操作者から見て左右両側には、ガイドレールフレーム24が備えられている。これらのガイドレールフレーム24には、スリット状のガイドレール25がそれぞれ形成されている。また、取っ手部21の側に位置するガイドレール25の端部は、このガイドレール25の幅に比べて幅広の大径部26とされている。さらに、取っ手部21の側に位置するガイドレールフレーム24の端部には、円盤形状のリリースロッド27が設けられている。このリリースロッド27は、プリンタカバー7が閉じられた状態にある場合には、ロック機構Lのフックアーム17に設けられた三角形状のリリースチップ20の一辺に当接している。したがって、プリンタカバー7に外力を作用させて開放させる方向に回動させた場合には、プリンタカバー7のガイドレールフレーム24に設けられたリリースロッド27が、フックアーム17の三角形状のリリースチップ20を付勢部材の付勢力に反してその形状に従って押すことでフックアーム17を回動させることになる。こうすることにより、フックアーム17とロックピン18との係合が解除され、ロック機構Lのロックを解除することができる。つまり、フックアーム17のリリースチップ20とリリースロッド27とがロック解除機構として機能することになる。また、ガイドレールフレーム24のサーマルプリンタユニット3側には、レール状の板ばね28がそれぞれ設けられている。
【0029】
加えて、上部ユニット16のロック機構Lの近傍には、ガイドレールフレーム24のガイドレール25に差し込まれるスライド軸29を有する円盤状のガイドレールスペーサ30が回動自在にそれぞれ設けられている。このガイドレールスペーサ30のスライド軸29がプリンタカバー7に設けられたガイドレールフレーム24のガイドレール25に差し込まれることにより、プリンタカバー7の開閉動作に伴ってスライド軸29がガイドレール25内をスライド自在に摺動することになる。すなわち、下部ユニット14との係合状態が解除された上部ユニット16が、ガイドレール25の軌道に従ってプリンタカバー7の開閉動作に連動して開閉する構造になっている。つまり、ガイドレール25とスライド軸29とによってサーマルプリンタユニット3の上部ユニット16とプリンタカバー7とを連結する連結機構が構成されている。なお、ガイドレール25の大径部26は、プリンタカバー7が閉じられてロック機構Lがロックされた状態で、ガイドレールスペーサ30のスライド軸29をフリーな状態で位置させ、かつ、上部ユニット16に開閉方向への所定量の変位を許容する遊びストロークを持たせている。また、このガイドレールスペーサ30の軌道は、プリンタカバー7を閉止方向に回動させた場合において、ガイドレールフレーム24のサーマルプリンタユニット3側に設けられたレール状の板ばね28に干渉する。
【0030】
さらに、サーマルプリンタユニット3の用紙案内経路にはレシート用紙Rを切断するカッタ機構Cが備えられており、このカッタ機構Cは上部ユニット16に設けられる固定刃31と、下部ユニット14に設けられる可動刃32とにより構成されている。可動刃32は図示しないモータを駆動源としており、この可動刃32と固定刃31とがハサミのように噛み合って摺動することによりレシート用紙Rが切断される。加えて、固定刃31には、上部ユニット16が開かれている場合に例えば操作者の手等に触れないようにするためのカッタカバー33が、回動自在に軸支されている。このカッタカバー33は、固定刃31に当接した場合にのみ可動刃32を露出させるような形状になっている。
【0031】
次に、支持機構Bについて説明する。ここで、図4は支持機構Bの取り付け構造を概略的に示す斜視図である。図4に示すように、支持機構Bは、筐体2に取り付けられる取り付け面34aを有するベースブラケット34と、スキャナ載置部8を覆ってプリンタカバー7に取り付けられる取り付け面35aを有するカバーブラケット35とを備えている。加えて、プリンタカバー7には凹形状に形成されたスキャナ載置部8が存在し、かつ、前述したようにプリンタ収納部4にはサーマルプリンタユニット3が収納されるため、支持機構Bは、上部ユニット16とプリンタカバー7とを連動させて開閉を行なう際にスキャナ載置部8やサーマルプリンタユニット3に干渉しないようにそれらのスキャナ載置部8とサーマルプリンタユニット3とを跨ぐように、上部ユニット16の回動支点である支軸Aに直交するサーマルプリンタユニット3の左右両側に薄型のスライド式リンク機構Sをそれぞれ備えている。また、ベースブラケット34の取り付け面34aの左右両側から略直角に屈曲形成された平板状部材のベースブラケット側板34bと、カバーブラケット35の左右両側に形成された平板状部材のカバーブラケット側板35bとは、それぞれスライド式リンク機構Sの一部を構成している。加えて、ベースブラケット側板34bにはスリット状のベースブラケットガイド穴34cが形成されており、カバーブラケット側板35bにはスリット状のカバーブラケットガイド穴35cが形成されている。なお、スライド式リンク機構Sは、プリンタカバー7の閉止時においては、特に図示しないがサーマルプリンタユニット3とプリンタ収納部4との間に入り込んでいる。
【0032】
続いて、スライド式リンク機構Sについて説明する。ここで、図5(a)はプリンタカバー7が閉止位置にある場合、(b)はプリンタカバー7が中間位置にある場合、(c)はプリンタカバー7が全開放位置にある場合におけるスライド式リンク機構Sの状態を示す側面図である。図5に示すように、ベースブラケット側板34bとカバーブラケット側板35bとは、それぞれ略V字形状に形成された平板状部材の第一アーム36と第二アーム37とによって連結されている。これらの第一アーム36と第二アーム37とは、各々のV字形状の頂点においてリンクピン38によって連結されている。また、第一アーム36と第二アーム37とのV字両端については、それぞれ相対する取り付け方をされている。第一アーム36の一端36aはカバーブラケット側板35bにカバーブラケット回転ピン39で回動自在に固定され、他端36bはベースブラケット側板34bのベースブラケットガイド穴34c内をベースブラケットスライドピン40を介してスライド自在に取り付けられている。一方、第二アーム37の一端37aはベースブラケット側板34bにベースブラケット回転ピン41で回動自在に固定され、他端37bはカバーブラケット側板35bのカバーブラケットガイド穴35c内をカバーブラケットスライドピン42をスライド自在に取り付けられている。
【0033】
以上のようにスライド式リンク機構Sは、ベースブラケット側板34bとカバーブラケット側板35bと第一アーム36と第二アーム37とを5点(リンクピン38、カバーブラケット回転ピン39、ベースブラケットスライドピン40、ベースブラケット回転ピン41、カバーブラケットスライドピン42)でリンクされており、5軸式のスライド蝶番として機能することになる。なお、スライド式リンク機構Sの回動軌跡は、ベースブラケットガイド穴34cとカバーブラケットガイド穴35cとのそれぞれの穴の長さによって制限されている。
【0034】
加えて、左右にレイアウトされる各スライド式リンク機構S間においては、第一アーム36同士が補強部材である補強ステイ43(図4参照)によって連結されている。これにより、スライド式リンク機構Sの強度が確保されるとともに左右に振り分けられたスライド式リンク機構Sの同期がとれ、プリンタカバー7ををスムーズに動作させることができるようになる。このように、補強ステイ43で各スライド式リンク機構Sの同一部材を連結することで強度の確保が出来ることにより、左右のスライド式リンク機構Sを薄型にすることができ、スライド式リンク機構Sをサーマルプリンタユニット3とプリンタ収納部4との間に収めることが可能になる。なお、第一アーム36同士に限らず、第二アーム37同士も補強部材で連結するようにしても良い。
【0035】
次に、スライド式リンク機構Sの動きについて図5を参照して説明する。図5(a)(b)に示すように、プリンタカバー7を閉止位置から中間位置まで開放させる場合には、スライド式リンク機構Sは、カバーブラケット側板35bを左斜め上方に延出させるような方向に動くことになる。また、図5(b)(c)に示すように、プリンタカバー7を中間位置から全開放位置まで開放させる場合には、スライド式リンク機構Sは、カバーブラケット回転ピン39を軸としてカバーブラケット側板35bを後方に回転させるような方向に動くことになる。つまり、スライド式リンク機構Sの回動は、周知の一軸式の蝶番における単純な円軌跡ではなく、略楕円状の複雑な軌跡を描くことになる。したがって、その開閉動作を上部ユニット16の開閉に連動させられるプリンタカバー7が、サーマルプリンタユニット3の両側面近傍に配置された一対のスライド蝶番として機能するスライド式リンク機構Sで開閉自在に支持されることにより、プリンタカバー7がサーマルプリンタユニット3やスキャナ載置部8に干渉せずスムーズに開閉され、かつ、そのプリンタカバー7の回動軌跡はスライド式リンク機構Sによって楕円軌道になり、プリンタカバー7は筐体2に対してアウトセット可能な構成になっている。
【0036】
このような構成においてプリンタカバー7と上部ユニット16との開放動作について図6及び図7を参照して説明する。まず、サーマルプリンタユニット3の下部ユニット14の用紙収納部13にレシート用紙Rを補充する場合には、レシート排出口6の一部を形成するプリンタカバー7の取っ手部21を把持して引き上げる。このようなプリンタカバー7の取っ手部21の引上げに伴い、このプリンタカバー7の動きに応じて支持機構Bの各スライド式リンク機構Sのカバーブラケット側板35bが矢印X方向(図6参照)に動くことになる。また、支持機構Bの各スライド式リンク機構Sのカバーブラケット側板35bが矢印X方向に動くことにより、プリンタカバー7と筐体2との間には、隙間Y(図6参照)が形成されるので、プリンタカバー7の取っ手部21の引上げに伴ってプリンタカバー7と筐体2とが干渉することはない。そして、そのプリンタカバー7の動きに併せてガイドレールフレーム24に設けられたリリースロッド27がフックアーム17の三角形状のリリースチップ20を押しながらフックアーム17を回動させることにより、フックアーム17とロックピン18との係合が解除され、サーマルプリンタユニット3を構成する下部ユニット14と上部ユニット16との閉止状態が解除される。なお、このようにロック機構Lの係合をスムーズに解除するためには、ロックピン18を一時的に静止状態にする必要がある。ここでは、ガイドレール25の端部を幅広の大径部26としたことにより、上部ユニット16に開閉方向への所定量の変位を許容する遊びを生じさせ、プリンタカバー7を引き上げる際に大径部26の遊び部分にガイドレールスペーサ30のスライド軸29を入り込ませることで、プリンタカバー7のガイドレールフレーム24に設けられたリリースロッド27の動作開始に比べて上部ユニット16のロックピン18の動作開始を一瞬だけ遅らせることができるので、ロック機構Lのフックアーム17とロックピン18との係合の解除がスムーズに実行されることになる。
【0037】
このようにしてロック機構Lのロック状態が解除されると、プリンタカバー7の取っ手部21の引上げに伴ってプリンタカバー7が開放され、カッタ機構Cの固定刃31と可動刃32とが分離される。さらに、プリンタカバー7の開放動作に伴って上部ユニット16に設けられたガイドレールスペーサ30のスライド軸29がガイドレールフレーム24のガイドレール25内をスライドしながら移動する。なお、プリンタカバー7が引き上げられて中間位置まで開放された後には、プリンタカバー7は支持機構Bの各スライド式リンク機構Sのカバーブラケット側板35bの動きに合わせて後方へと回転させられる。そして、図7に示すように、最終的にはプリンタカバー7の開放動作に連動して上部ユニット16も全開放されることになる。これにより、プリンタカバー7と上部ユニット16とが連動して同時に完全に開放されることにより、プラテン12とサーマルヘッド15とが開放され、カッタ機構Cの可動刃32と固定刃31とが開放されるので、用紙案内経路が完全に開放され、レシート用紙Rの用紙収納部13への補充作業が容易になる。
【0038】
次に、プリンタカバー7と上部ユニット16との閉止動作について図8を参照して説明する。レシート用紙Rの用紙収納部13への補充後においては、プリンタカバー7を押すことにより、プリンタカバー7は支持機構Bの各スライド式リンク機構Sのカバーブラケット側板35bの動きに合わせて前方へと回転させられる。そして、このプリンタカバー7の閉止動作に伴って上部ユニット16に設けられたガイドレールスペーサ30のスライド軸29がガイドレールフレーム24のガイドレール25内をスライドしながら移動するため、プリンタカバー7の閉止動作に連動して上部ユニット16も閉止方向に回動される。なお、このように、プリンタカバー7を閉止方向に回動させる際には、ガイドレールスペーサ30がガイドレールフレーム24に設けられた板ばね28に当接しながらスライド軸29をガイドレールフレーム24のガイドレール25内でスライドすることになるので、プリンタカバー7が重力によって急激に回動することはなくなり、操作者等がプリンタカバー7や上部ユニット16によって指等を挟まれることがない。なお、プリンタカバー7が押し下げられて中間位置まで閉止された後には、プリンタカバー7は支持機構Bの各スライド式リンク機構Sのカバーブラケット側板35bの動きに合わせて前述した矢印X方向とは反対方向に動くことになる。
【0039】
その後、プリンタカバー7を更に押し下げて閉じられた状態になった場合には、図8に示すように、ガイドレール25の大径部26の上部にガイドレールスペーサ30のスライド軸29が逃げ込むことにより、ロック機構Lのロックピン18とフックアーム17とは係合されず、上部ユニット16は半開位置に位置付けられる。このため、プッシュボタン23の下部23dが半開状態の上部ユニット16の荷重位置16aに当接することにより、プッシュボタン23が上部ユニット16によって収納範囲を制限されるので、プッシュボタン23の一部がプリンタカバー7の表面7aから突出して飛び出した状態になる。つまり、このようにプッシュボタン23を飛び出させることで、ロック機構Lがロック状態にはないことを操作者等に報知することができるようになっている。このように上部ユニット16を下部ユニット14に対して半開位置に一時的に位置付けることによって、サーマルヘッド15とプラテン12とを激しく当接させることを防止することができ、サーマルヘッド15を保護することができる。また、この場合、プリンタカバー7も完全に閉じられた状態にはなっておらず、レシート排出口6の形成が不完全な状態であって上方に幅広に形成された状態になっている。このようにプッシュボタン23が飛び出している場合には、ガイドレール25の大径部26の有する上部ユニット16の遊びストロークに従って、このプッシュボタン23で上部ユニット16の荷重位置16aを上部ユニット16の自重よりも大きな力で押し下げて上部ユニット16を閉止方向に回動させることにより、フックアーム17の傾斜部17aにロックピン18を当接させつつその干渉をフックアーム17の軸19による回動作用によって逃がしながら上部ユニット16を変位させ、最終的にはロックピン18にフックアーム17を係合させてロック機構Lをロック状態にし、カッタ機構Cの固定刃31と可動刃32とを当接させ、上部ユニット16を確実に閉じた状態にすることができる。
【0040】
一方、プッシュボタン23の押し下げに従ってそのプッシュボタン23のガイド23bがプリンタカバー7の穴部22の突起22aに当接することによりプリンタカバー7も押し下げられることになるので、最終的には、プリンタカバー7を確実に閉じた状態にすることができ、レシート排出口6を完全な状態に形成することができる。
【0041】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、下部ユニットとその下部ユニットに対して開閉回動自在に軸支された上部ユニットとで構成される開閉構造ユニットと、この開閉構造ユニットを収納する上面開口のケーシングと、このケーシングの開口部分を閉塞する蓋体と、それぞれ一端が前記蓋体と前記ケーシングとに回動自在に連結された略V字形状の第一アームと第二アームとよりなり、各々のV字形状の頂点においてリンクピンにより連結され、前記第一アームの他端は前記ケーシングのガイド穴にスライド自在に取り付けられ、前記第二アームの他端は前記蓋体のガイド穴にスライド自在に取り付けられたスライド式リンク機構によるスライド蝶番と、上部ユニットの回動支点に直交する開閉構造ユニットの両側面近傍に一対の前記スライド蝶番をそれぞれ配置し、蓋体をケーシングに対して開閉自在に支持する支持機構と、この支持機構に支持された蓋体の開閉動作に連動させて上部ユニットを開閉させる連結機構とを備え、その開閉動作を開閉構造ユニットの上部ユニットの開閉に連動させる蓋体を開閉構造ユニットの両側面近傍に配置された一対のスライド蝶番を有する支持機構でケーシングに対して開閉自在に支持することにより、開閉構造ユニットに干渉させずにスムーズに蓋体を開閉させ、かつ、その蓋体の回動軌跡をスライド蝶番によって楕円軌道にして蓋体をケーシングに対してアウトセットすることができるので、支持機構を外部に露出させず、かつ、ケーシングと蓋体との連結部分に凹凸等を生じない美観に優れた箱型構造体を得ることができる。
【0042】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の箱型構造体において、蓋体が閉止位置にある場合、各部を平板状部材によって形成したスライド蝶番をケーシングと開閉構造ユニットとの間に収納することにより、箱型構造体の小型化を図ることができる。
【0043】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の箱型構造体において、一対のスライド蝶番の少なくとも一以上の同一部材間を補強部材で連結することにより、各スライド蝶番の強度を確保することができるとともに、各スライド蝶番間の動作の同期をとることができるので、蓋体をスムーズに動作させることができる。
【0044】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の箱型構造体において、開閉構造ユニットをプラテンと用紙収納部とを有する下部ユニットと、サーマルヘッドを有する上部ユニットとで構成されるプリンタユニットとしたことにより、蓋体と上部ユニットとを連動して同時に開放し、プラテンとサーマルヘッドとを分離開放することができるので、例えばレシート用紙等の用紙収納部への補充作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のPOS端末の構造を示す外観斜視図である。
【図2】POS端末のプリンタ収納部付近を示す縦断側面図である。
【図3】サーマルプリンタユニットとプリンタカバーとの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】支持機構の取り付け構造を概略的に示す斜視図である。
【図5】(a)はプリンタカバーが閉止位置にある場合、(b)はプリンタカバーが中間位置にある場合、(c)はプリンタカバーが全開放位置にある場合におけるスライド式リンク機構の状態を示す側面図である。
【図6】プリンタカバーを少し引き上げた状態のプリンタ収納部付近を示す縦断側面図である。
【図7】プリンタカバーを全開にした状態のプリンタ収納部付近を示す縦断側面図である。
【図8】プリンタカバーを押し下げてロックされる前の状態のプリンタ収納部付近を示す縦断側面図である。
【図9】従来のサーマルプリンタを内蔵するプリンタユニットの一例を概略的に示す外観斜視図である。
【図10】そのプリンタユニットの開放状態を示す縦断側面図である。
【図11】プリンタユニットを図9に示す矢印方向から見た状態を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
3 開閉構造ユニット
4 ケーシング
7 蓋体
12 プラテン
13 用紙収納部
14 下部ユニット
15 サーマルヘッド
16 上部ユニット
34b,35b,36,37 平板状部材
43 補強部材
B 支持機構
S スライド蝶番

Claims (4)

  1. 下部ユニットとその下部ユニットに対して開閉回動自在に軸支された
    上部ユニットとで構成される開閉構造ユニットと、
    この開閉構造ユニットを収納する上面開口のケーシングと、
    このケーシングの開口部分を閉塞する蓋体と、
    それぞれ一端が前記蓋体と前記ケーシングとに回動自在に連結された略V字形状の第一アームと第二アームとよりなり、各々のV字形状の頂点においてリンクピンにより連結され、前記第一アームの他端は前記ケーシングのガイド穴にスライド自在に取り付けられ、前記第二アームの他端は前記蓋体のガイド穴にスライド自在に取り付けられたスライド式リンク機構によるスライド蝶番と、
    前記上部ユニットの回動支点に直交する前記開閉構造ユニットの両側面近傍に一対の前記スライド蝶番をそれぞれ配置し、前記蓋体を前記ケーシングに対して開閉自在に支持する支持機構と、
    この支持機構に支持された前記蓋体の開閉動作に連動させて前記上部ユニットを開閉させる連結機構と、
    を備える箱型構造体。
  2. 前記スライド蝶番の各部は平板状部材によって形成され、前記蓋体が閉止位置にある場合には前記ケーシングと前記開閉構造ユニットとの間に前記スライド蝶番が収納されている請求項1記載の箱型構造体。
  3. 前記一対のスライド蝶番の少なくとも一以上の同一部材間は、補強部材で連結されている請求項1または2記載の箱型構造体。
  4. 前記開閉構造ユニットは、プラテンと用紙収納部とを有する前記下部ユニットと、サーマルヘッドを有する前記上部ユニットとで構成されるプリンタユニットである請求項1ないし3のいずれか一記載の箱型構造体。
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