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JP3686543B2 - プリンタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下部ユニットにプラテンを備え、その下部ユニットに対して開閉自在の上部ユニットにサーマルヘッドを備えるプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、POS端末等の商品販売登録データ処理装置に搭載されてレシートの印字を行うようなサーマルプリンタには、下部ユニットにプラテンと用紙収納部とを備え、この下部ユニットに対して開閉自在に設けられる上部ユニットにサーマルヘッドを備えているものがある。このような方式のサーマルプリンタでは、下部ユニットと上部ユニットとの間に用紙搬送路が形成されるので、ロール状に巻回された長尺状のレシート用紙を用紙収納部に収納してそのレシート用紙を引き出した後、上部ユニットを閉じて下部ユニットにロックするだけで、レシート用紙を介してサーマルヘッドをプラテンに所定の加圧力で当接させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述したようなサーマルプリンタは、POS端末とは別体で設計される場合が多く、さらに、POS端末の使用形態や形状を考慮するとPOS端末に内蔵される場合が多い。したがって、POS端末の筐体には、内蔵されたサーマルプリンタ用のプリンタカバーが開閉自在に設けられることになる。
【0004】
ところが、このようなプリンタカバーを備えたPOS端末のサーマルプリンタにレシート用紙を補充する場合、プリンタカバーと上部ユニットとをそれぞれ別々に開閉しなければならなくなることにより、操作が煩雑になってしまうので、場合によっては客に対して迷惑がかかってしまう。
【0005】
また、このようなサーマルプリンタにおいては、下部ユニットに対して上部ユニットを閉止させる際に、サーマルヘッドとプラテンとを激しく当接させてしまってサーマルヘッドを破損してしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、プリンタへの用紙補充作業を容易にすることである。
【0007】
本発明の目的は、サーマルヘッドを保護することができるプリンタを得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ケーシングに設けられたプリンタ機構収納部を開閉する回動自在のプリンタカバーと、前記プリンタ機構収納部に収納されてプラテンを有する下部ユニットと、前記下部ユニットに対して前記プリンタカバーと同一方向に開閉し、その開閉に伴い前記プラテンに対して接離するサーマルヘッドを有する上部ユニットと、前記プリンタカバーが閉じられた状態で前記上部ユニットに開閉方向への所定量の変位を許容する遊びストロークをもって前記プリンタカバーと前記上部ユニットとを連結し、これらのプリンタカバーと上部ユニットとを連動させる連結機構と、前記上部ユニットを前記下部ユニットに対して半開位置に位置付け、前記上部ユニットの荷重位置に少なくともその上部ユニットの自重よりも大きな外力が加えられることにより前記上部ユニットに対して半開位置から閉じる位置への変位を許容し、閉じる位置に変位した前記上部ユニットをロックするロック機構と、閉じられた前記プリンタカバーに開放方向への所定以上の外力が作用することにより前記ロック機構による前記上部ユニットのロックを解除するロック解除機構と、前記プリンタカバーにおける前記上部ユニットの前記荷重位置に当接する位置に変位自在に取り付けられ、前記プリンタカバーが閉じられた状態で、前記上部ユニットが半開位置に位置する場合には前記プリンタカバーから突出して前記上部ユニットが閉じられた位置に位置する場合には前記プリンタカバーと略同一面内に位置付けられる押圧部材と、を備える。
【0009】
したがって、プリンタカバーに開放方向への所定以上の外力を作用させるとロック解除機構によってロック機構による上部ユニットのロックが解除され、下部ユニットのプラテンから上部ユニットのサーマルヘッドが離れる。さらにプリンタカバーに外力を作用させて開放方向に回動させると、連結機構によってこのプリンタカバーの開放動作に連動して上部ユニットも開放方向に回動される。一方、プリンタカバーに外力を作用させてプリンタカバーを閉じた状態では、連結機構によってこのプリンタカバーの閉止動作に連動して上部ユニットも閉止方向に回動するが、連結機構の有する上部ユニットに開閉方向への変位を許容する遊びストロークによって上部ユニットは下部ユニットに対して半開位置に位置付けられ、上部ユニットの荷重位置に当接する押圧部材がプリンタカバーから一部突出する。そして、この一部突出した押圧部材に少なくとも上部ユニットの自重よりも大きな外力が加えられることによりロック機構が変位し、上部ユニットも半開位置から閉じる位置へと変位してロックされ、上部ユニットが閉じられた状態になる。これにより、プリンタカバーと上部ユニットとが一回の作業で同時に開放されるとともに、プリンタカバーを閉じた状態では、上部ユニットが下部ユニットに対して半開位置に一時的に位置付けられるので、サーマルヘッドの破損も回避され、かつ、押圧部材の存在により上部ユニットが下部ユニットに対して確実にロックされる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のプリンタにおいて、前記押圧部材の前記プリンタカバーに対する引出可能部分には、前記プリンタカバーの色とは異なる色が着色されている。
【0011】
したがって、押圧部材のプリンタカバーに対する引出可能部分にそのプリンタカバーの色とは異なる色が着色されることにより、押圧部材のプリンタカバーからの突出が肉眼で明確に確認される。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のプリンタにおいて、前記プリンタカバーの閉止方向への動作に対して抑制力を働かすダンパ機構を備える。
【0013】
したがって、プリンタカバーの閉止動作の際には、ダンパ機構によってプリンタカバーの閉止方向への動作に対して抑制力が働くことにより、プリンタカバーが重力によって急激に回動することがない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図6に基づいて説明する。
【0015】
図1はPOS端末1の構造を示す外観斜視図である。図1に示すように、POS端末1のケーシングである筐体2の操作者側から見て左側には、サーマルプリンタユニット3(図2参照)を内蔵するプリンタ機構収納部4やICカード等を挿入するカード挿入口5等が設けられている。このプリンタ機構収納部4には、筐体2に対して開閉自在であって、閉じられた状態ではサーマルプリンタユニット3によって印字されるレシート等を発行するレシート排出口6を形成するプリンタカバー7が設けられている。また、プリンタカバー7の上部には、ハンドスキャナ(図示せず)を載置するためのスキャナ載置部8が形成されている。一方、POS端末1の筐体2の操作者側から見て右側には、チルト自在なディスプレイ9、各種のキーが集合するキーボード10、磁気カードを挿入する磁気カード挿入口11等が設けられている。
【0016】
次に、プリンタ機構収納部4の周辺の取付構造について説明する。ここで、図2はPOS端末1のプリンタ機構収納部4付近を示す縦断側面図、図3はサーマルプリンタユニット3とプリンタカバー7との構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0017】
図2に示すように、プリンタ機構収納部4に収納されたサーマルプリンタユニット3は、プラテン12とロール状に巻回された長尺状のレシート用紙Rを収納する用紙収納部13とを備えた下部ユニット14とサーマルヘッド15を備えた上部ユニット16とにより構成されている。そして、上部ユニット16は、下部ユニット14に対して支軸Aによって軸支され開閉自在とされている。また、上部ユニット16は、後述する連結機構によってプリンタカバー7の開閉動作と連動して開閉動作する構造とされている。これらの下部ユニット14と上部ユニット16とには、閉じられた状態の上部ユニット16を下部ユニット14に対してロックするロック機構Lが、サーマルプリンタユニット3の操作者から見て左右両側にそれぞれ設けられている。このロック機構Lのロック状態は、後述するロック解除機構によって解除される。つまり、ロック機構Lとロック解除機構とにより、下部ユニット14と上部ユニット16とは係脱自在になっている。なお、上部ユニット16が閉じられた状態にあってロック機構Lがロック状態にある場合には、プラテン12とサーマルヘッド15との間に用紙案内経路(図示せず)が形成されるとともに、サーマルヘッド15をプラテン12に所定の加圧力で当接させることができるように構成されている。
【0018】
次に、ロック機構Lの構造について詳細に説明する。図2に示すように、ロック機構Lは、下部ユニット14に設けられて付勢部材(図示せず)により係合方向に付勢されたフックアーム17と、上部ユニット16に設けられたロックピン18とを主体に構成されている。このフックアーム17は、軸19により軸支されてロックピン18に係脱自在に設けられている。つまり、上部ユニット16は、フックアーム17がロックピン18に係合することで閉じた位置に位置決めされ、その係合が解除されることで開くことができる。また、フックアーム17には、上部ユニット16が閉じられる際にロックピン18に当接しつつその干渉をフックアーム17の軸19による回動作用で逃がすための傾斜部17aが形成されている。なお、上部ユニット16が下部ユニット14に対して半開位置に位置付けられる場合、この傾斜部17a上にロックピン18が位置することになる。この半開状態で上部ユニット16の荷重位置16aにその自重よりも大きな外力が加えられると、ロックピン18に対する干渉がフックアーム17の回動動作によって逃されながら上部ユニット16が変位し、最終的にはロックピン18にフックアーム17が係合し、上部ユニット16は下部ユニット14に対して閉じられた状態になってロックされることになる。また、フックアーム17には、三角形状のリリースチップ20が取り付けられている。
【0019】
一方、図2に示すように、プリンタカバー7は、支軸Aに対して平行に設けられた支軸Bによって軸支されることにより筐体2に対して開閉自在とされている。このプリンタカバー7には、取っ手部21が形成されており、この取っ手部21を操作者が把持して上下動させることによりプリンタカバー7の開閉が可能になる。また、この取っ手部21が、プリンタカバー7を閉じた状態においてレシート排出口6の一部を形成することになる。さらに、図3に示すように、プリンタカバー7には穴部22が形成されており、この穴部22には押圧部材として機能するプッシュボタン23がプリンタカバー7の表面7aに対して変位自在に取り付けられている。詳細には、穴部22には突起22aが対向して突出形成され、プッシュボタン23には溝状のガイド23bがそれらの突起22aに対向して形成されている。そして、穴部22の突起22aに対してプッシュボタン23のガイド23bを滑り込ませることにより、穴部22の突起22aが、プッシュボタン23のプッシュ面23aを一定位置よりも下方に落ち込まないように規制することになる。つまり、プッシュボタン23は、サーマルプリンタユニット3の下部ユニット14と上部ユニット16とがロック機構Lによって完全にロックされている状態では、その下部23dを上部ユニット16の荷重位置16aに当接させ、上部のプッシュ面23aをプリンタカバー7の表面7aと略同一面内に位置付けさせている(図2参照)。なお、プッシュボタン23においては、プッシュ面23aの色とプッシュ面23a以外の部分(穴部22からの引出可能部分)23cの色とが、異なる色に塗り分けられている。本実施の形態においては、プッシュ面23aの色は筐体2やプリンタカバー7と同色の白色であって、プッシュ面23a以外の部分23cの色は赤色とされている。
【0020】
プリンタカバー7の操作者から見て左右両側には、ガイドレールフレーム24が備えられている。これらのガイドレールフレーム24には、スリット状のガイドレール25がそれぞれ形成されている。また、取っ手部21の側に位置するガイドレール25の端部は、このガイドレール25の幅に比べて幅広の大径部26とされている。さらに、取っ手部21の側に位置するガイドレールフレーム24の端部には、円盤形状のリリースロッド27が設けられている。このリリースロッド27は、プリンタカバー7が閉じられた状態にある場合には、ロック機構Lのフックアーム17に設けられた三角形状のリリースチップ20の一辺に当接している。したがって、プリンタカバー7に外力を作用させて開放させる方向に回動させた場合には、プリンタカバー7のガイドレールフレーム24に設けられたリリースロッド27が、フックアーム17の三角形状のリリースチップ20を付勢部材の付勢力に反してその形状に従って押すことでフックアーム17を回動させることになる。こうすることにより、フックアーム17とロックピン18との係合が解除され、ロック機構Lのロックを解除することができる。つまり、フックアーム17のリリースチップ20とリリースロッド27とがロック解除機構として機能することになる。
【0021】
また、ガイドレールフレーム24のサーマルプリンタユニット3側には、レール状の板ばね28がそれぞれ設けられている。
【0022】
加えて、上部ユニット16のロック機構Lの近傍には、ガイドレールフレーム24のガイドレール25に差し込まれるスライド軸29を有する円盤状のガイドレールスペーサ30が回動自在にそれぞれ設けられている。このガイドレールスペーサ30のスライド軸29がプリンタカバー7に設けられたガイドレールフレーム24のガイドレール25に差し込まれることにより、プリンタカバー7の開閉動作に伴ってスライド軸29がガイドレール25内をスライド自在に摺動することになる。すなわち、下部ユニット14との係合状態が解除された上部ユニット16が、ガイドレール25の軌道に従ってプリンタカバー7の開閉動作に連動して開閉する構造になっている。つまり、ガイドレール25とスライド軸29とによってサーマルプリンタユニット3の上部ユニット16とプリンタカバー7とを連結する連結機構が構成されている。なお、ガイドレール25の大径部26は、プリンタカバー7が閉じられてロック機構Lがロックされた状態で、ガイドレールスペーサ30のスライド軸29をフリーな状態で位置させ、かつ、上部ユニット16に開閉方向への所定量の変位を許容する遊びストロークを持たせている。また、このガイドレールスペーサ30の軌道は、プリンタカバー7を閉止方向に回動させた場合において、ガイドレールフレーム24のサーマルプリンタユニット3側に設けられたレール状の板ばね28に干渉する。
【0023】
さらに、サーマルプリンタユニット3の用紙案内経路にはレシート用紙Rを切断するカッタ機構Cが備えられており、このカッタ機構Cは上部ユニット16に設けられる固定刃31と、下部ユニット14に設けられる可動刃32とにより構成されている。可動刃32は図示しないモータを駆動源としており、この可動刃32と固定刃31とがハサミのように噛み合って摺動することによりレシート用紙Rが切断される。加えて、固定刃31には、上部ユニット16が開かれている場合に例えば操作者の手等に触れないようにするためのカッタカバー33が、軸34により回動自在に設けられている。このカッタカバー33は、固定刃31に当接した場合にのみ可動刃32を露出させるような形状になっている。
【0024】
このような構成においてプリンタカバー7と上部ユニット16との開放動作について図4及び図5を参照して説明する。まず、サーマルプリンタユニット3の下部ユニット14の用紙収納部13にレシート用紙Rを補充する場合には、レシート排出口6の一部を形成するプリンタカバー7の取っ手部21を把持して引き上げる。プリンタカバー7の取っ手部21が引き上げられると、プリンタカバー7のガイドレールフレーム24に設けられたリリースロッド27がフックアーム17の三角形状のリリースチップ20を押しながらフックアーム17を回動させることにより、フックアーム17とロックピン18との係合が解除され、サーマルプリンタユニット3を構成する下部ユニット14と上部ユニット16との閉止状態が解除される。なお、このようにロック機構Lの係合をスムーズに解除するためには、ロックピン18を一時的に静止状態にする必要がある。本実施の形態においては、ガイドレール25の端部を幅広の大径部26としたことにより、上部ユニット16に開閉方向への所定量の変位を許容する遊びを生じさせ、プリンタカバー7を引き上げる際に大径部26の遊び部分にガイドレールスペーサ30のスライド軸29を入り込ませることで、プリンタカバー7のガイドレールフレーム24に設けられたリリースロッド27の動作開始に比べて上部ユニット16のロックピン18の動作開始を一瞬だけ遅らせることができるので、ロック機構Lのフックアーム17とロックピン18との係合の解除がスムーズに実行されることになる。
【0025】
このようにしてロック機構Lのロック状態が解除されると、プリンタカバー7の取っ手部21の引上げに伴ってプリンタカバー7が開放され、カッタ機構Cの固定刃31と可動刃32とが分離される。さらに、プリンタカバー7の開放動作に伴って上部ユニット16に設けられたガイドレールスペーサ30のスライド軸29がガイドレールフレーム24のガイドレール25内をスライドしながら移動するため、図5に示すように、最終的にはプリンタカバー7の開放動作に連動して上部ユニット16も全開放されることになる。
【0026】
したがって、プリンタカバー7の支軸Bと上部ユニット16の支軸Aとが、同軸上に位置しなくても、プリンタカバー7と上部ユニット16とが連動して同時に完全に開放されることにより、プラテン12とサーマルヘッド15とが開放され、カッタ機構Cの可動刃32と固定刃31とが開放されるので、用紙案内経路が完全に開放され、レシート用紙Rの用紙収納部13への補充作業が容易になる。
【0027】
次に、プリンタカバー7と上部ユニット16との閉止動作について図6を参照して説明する。レシート用紙Rの用紙収納部13への補充後においては、プリンタカバー7を押し下げて閉じる方向に回動させることにより、そのプリンタカバー7の閉止動作に伴って上部ユニット16に設けられたガイドレールスペーサ30のスライド軸29がガイドレールフレーム24のガイドレール25内をスライドしながら移動するため、プリンタカバー7の閉止動作に連動して上部ユニット16も閉止方向に回動される。なお、このようにプリンタカバー7を閉止方向に回動させる際には、ガイドレールスペーサ30はガイドレールフレーム24に設けられた板ばね28に当接しながらスライド軸29をガイドレールフレーム24のガイドレール25内でスライドさせることになるので、プリンタカバー7が重力によって急激に回動することはない。つまり、板ばね28がダンパ機構として機能することになる。これにより、操作者等がプリンタカバー7や上部ユニット16によって指等を挟まれることが防止され、安全な運用を図ることができる。
【0028】
ところが、このようにプリンタカバー7を押し下げて閉じられた状態になった場合、図6に示すように、ガイドレール25の大径部26の上部にガイドレールスペーサ30のスライド軸29が逃げ込むことにより、ロック機構Lのロックピン18とフックアーム17とは係合されず、上部ユニット16は半開位置に位置付けられる。このため、プッシュボタン23の下部23dが半開状態の上部ユニット16の荷重位置16aに当接することにより、プッシュボタン23が上部ユニット16によって収納範囲を制限されるので、プッシュボタン23の一部がプリンタカバー7の表面7aから突出して飛び出した状態になる。つまり、このようにプッシュボタン23を飛び出させることで、ロック機構Lがロック状態にはないことを操作者等に報知することができるようになっている。加えて、プッシュボタン23のプッシュ面23aの色とプッシュ面23a以外の部分23cの色とが異なる色に塗り分けられていることにより、プッシュボタン23が飛び出していることを肉眼で明確に確認することができるようになっている。なお、このように上部ユニット16を下部ユニット14に対して半開位置に一時的に位置付けることによって、サーマルヘッド15とプラテン12とを激しく当接させることを防止することができ、サーマルヘッド15を保護することができる。また、この場合、プリンタカバー7も完全に閉じられた状態にはなっておらず、レシート排出口6の形成が不完全な状態であって上方に幅広に形成された状態になっている。
【0029】
このようにプッシュボタン23が飛び出している場合には、ガイドレール25の大径部26の有する上部ユニット16の遊びストロークに従って、このプッシュボタン23で上部ユニット16の荷重位置16aを上部ユニット16の自重よりも大きな力で押し下げて上部ユニット16を閉止方向に回動させることにより、フックアーム17の傾斜部17aにロックピン18を当接させつつその干渉をフックアーム17の軸19による回動作用によって逃がしながら上部ユニット16を変位させ、最終的にはロックピン18にフックアーム17を係合させてロック機構Lをロック状態にし、カッタ機構Cの固定刃31と可動刃32とを当接させ、上部ユニット16を確実に閉じた状態にすることができる。
【0030】
一方、プッシュボタン23の押し下げに従ってそのプッシュボタン23のガイド23bがプリンタカバー7の穴部22の突起22aに当接することによりプリンタカバー7も押し下げられることになるので、最終的には、プリンタカバー7を確実に閉じた状態にすることができ、レシート排出口6を完全な状態に形成することができる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、プリンタカバーに開放方向への所定以上の外力を作用させて上部ユニットのロックを解除して下部ユニットのプラテンから上部ユニットのサーマルヘッドを離し、さらにプリンタカバーに外力を作用させて開放方向に回動させるとこのプリンタカバーの開放動作に連動して上部ユニットも開放方向に回動する。一方、プリンタカバーに外力を作用させてプリンタカバーを閉じた状態では、このプリンタカバーの閉止動作に連動して上部ユニットも閉止方向に回動するが、上部ユニットに開閉方向への変位を許容する遊びストロークによって上部ユニットを下部ユニットに対して半開位置に位置付けることで上部ユニットの荷重位置に当接する押圧部材をプリンタカバーから一部突出させ、この一部突出した押圧部材に少なくとも上部ユニットの自重よりも大きな外力を加えることにより上部ユニットも半開位置から閉じる位置へ変位させてロックして上部ユニットを閉じた状態にすることにより、プリンタカバーと上部ユニットとを一回の作業で同時に開放することができるとともに、プリンタカバーを閉じた状態では、上部ユニットを下部ユニットに対して半開位置に一時的に位置付けることができるので、サーマルヘッドの破損を回避することができ、かつ、押圧部材の存在により上部ユニットを下部ユニットに対して確実にロックすることができる。
【0032】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載のプリンタにおいて、押圧部材のプリンタカバーに対する引出可能部分にそのプリンタカバーの色とは異なる色を着色することにより、押圧部材のプリンタカバーからの突出を肉眼で明確に確認することができるので、確実にロック機構をロック状態にすることができ、用紙案内経路を確実に形成することによる用紙ジャム等を防止することができる。
【0033】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載のプリンタにおいて、プリンタカバーの閉止動作の際にダンパ機構によってプリンタカバーの閉止方向への動作に対して抑制力を働かせることにより、プリンタカバーの重力による急激な回動を防止することができ、操作者等がプリンタカバーや上部ユニットによって指等を挟まれることを防止し、安全な運用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のPOS端末の構造を示す外観斜視図である。
【図2】POS端末のプリンタ機構収納部付近を示す縦断側面図である。
【図3】サーマルプリンタユニットとプリンタカバーとの構成を概略的に示す分解斜視図である。
【図4】プリンタカバーを少し引き上げた状態のプリンタ部付近を示す縦断側面図である。
【図5】プリンタカバーを全開にした状態のプリンタ部付近を示す縦断側面図である。
【図6】プリンタカバーを押し下げてロックされる前の状態のプリンタ部付近を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
2 ケーシング
4 プリンタ機構収納部
7 プリンタカバー
12 プラテン
14 下部ユニット
15 サーマルヘッド
16 上部ユニット
16a 荷重位置
20,27 ロック解除機構
23 押圧部材
23c 押圧部材の引出可能部分
25,29 連結機構
28 ダンパ機構
L ロック機構

Claims (3)

  1. ケーシングに設けられたプリンタ機構収納部を開閉する回動自在のプリンタカバーと、
    前記プリンタ機構収納部に収納されてプラテンを有する下部ユニットと、
    前記下部ユニットに対して前記プリンタカバーと同一方向に開閉し、その開閉に伴い前記プラテンに対して接離するサーマルヘッドを有する上部ユニットと、
    前記プリンタカバーが閉じられた状態で前記上部ユニットに開閉方向への所定量の変位を許容する遊びストロークをもって前記プリンタカバーと前記上部ユニットとを連結し、これらのプリンタカバーと上部ユニットとを連動させる連結機構と、
    前記上部ユニットを前記下部ユニットに対して半開位置に位置付け、前記上部ユニットの荷重位置に少なくともその上部ユニットの自重よりも大きな外力が加えられることにより前記上部ユニットに対して半開位置から閉じる位置への変位を許容し、閉じる位置に変位した前記上部ユニットをロックするロック機構と、
    閉じられた前記プリンタカバーに開放方向への所定以上の外力が作用することにより前記ロック機構による前記上部ユニットのロックを解除するロック解除機構と、
    前記プリンタカバーにおける前記上部ユニットの前記荷重位置に当接する位置に変位自在に取り付けられ、前記プリンタカバーが閉じられた状態で、前記上部ユニットが半開位置に位置する場合には前記プリンタカバーから突出して前記上部ユニットが閉じられた位置に位置する場合には前記プリンタカバーと略同一面内に位置付けられる押圧部材と、
    を備えるプリンタ。
  2. 前記押圧部材の前記プリンタカバーに対する引出可能部分には、前記プリンタカバーの色とは異なる色が着色されている請求項1記載のプリンタ。
  3. 前記プリンタカバーの閉止方向への動作に対して抑制力を働かすダンパ機構を備える請求項1または2記載のプリンタ。
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