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JP3773876B2 - 引き戸用の引き手装置及び引き分け戸用の引き手装置 - Google Patents

引き戸用の引き手装置及び引き分け戸用の引き手装置 Download PDF

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JP3773876B2 JP2002162903A JP2002162903A JP3773876B2 JP 3773876 B2 JP3773876 B2 JP 3773876B2 JP 2002162903 A JP2002162903 A JP 2002162903A JP 2002162903 A JP2002162903 A JP 2002162903A JP 3773876 B2 JP3773876 B2 JP 3773876B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、片引き戸などを構成する引き戸に備え付けられて、この引き戸の移動操作を行い易くさせると共に、引き戸を閉め込み切った状態を、解除可能に維持する機能を有する引き手装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
引き戸が閉じ込み切った状態を、解除可能に維持するラッチ装置を引き戸の引き手部に備えさせた技術が開示されている。(公開特許公報所載の特開平8−189242、特開平9−291740参照)
【0003】
これらの従来例にあっては、引き戸側に設けられているラッチレバーの掛合部が引き戸を閉め切ることにより、この引き戸により閉塞される開放部側に形成された被掛合部に引っかかって、この閉塞状態を維持するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、これらの従来例にあっては、ラッチレバーの掛合部と被掛合部との掛合の解除を、このラッチレバーの回動による掛合部の移動によってなすようにしている。
【0005】
このため、これらの従来例は、このラッチレバーの回動に必要なスペースを引き戸の引き手部に必要とするものであった。
【0006】
特に、ラッチレバーの回動軸と掛合部との間の間隔が大きくなればなるほど、つまり、ラッチレバーが長くなればなるほど、このラッチレバーの回動に必要なスペースを引き戸の引き手部により大きく必要とするものであった。
【0007】
こうしたことからまた、従来例の手法にあっては、ラッチレバーを長くすることに限界を有するものであった。例えば、引き戸に設けられる施錠装置などとの関係から、ラッチレバーの操作箇所と引き戸の前端との間の間隔を小さくできず、このため、ラッチレバーを長く構成しなければならない場合などにあっては、従来の手法では引き戸の引き手部に前記スペースを確保するため、この引き手部の内外寸法を徒に大きくせざるを得なかった。
【0008】
そこでこの発明は、この種の引き手装置において、引き手装置の取付箇所での引き戸の内外寸法を必要最小限に保ちながら、この引き戸を閉じ込み切った状態を解除可能に維持するラッチ機能をこの引き手装置に備えさせるようにすることを主たる目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1記載の発明にあっては、引き戸用の引き手装置が、以下の(1)〜(4)の構成を備えたものとした。
(1)引き戸の上下方向に沿った回動軸線を中心に回動操作可能に引き戸に取り付けられる操作部材と、
(2)引き戸の厚さ方向に摺動可能に引き戸に備えられると共に、引き戸を閉め込み切った状態においてこの引き戸により閉塞される開放部におけるこの引き戸の突き当たり部に設けられた被掛合部に掛合される掛合部をアーム端に有するラッチアームと、
(3)このラッチアームをこのラッチアームの掛合部を被掛合部に掛合させる移動位置に位置づけるように付勢する付勢手段と、
(4)操作部材の回動操作によってこの付勢手段の付勢に抗する向きにラッチアームを移動させるように、この操作部材とラッチアームとを連係させる連係部材とを有している。
【0010】
かかる構成によれば、操作部材を把持して引き戸を閉じ込み方向に、または、開き出し方向に移動操作することができる。
【0011】
また、ラッチアームは引き戸の前後方向に移動可能に備えられると共に、付勢手段によりその掛合部を前記被掛合部に掛合させる位置に位置づけられることから、開放部が閉じられていない状態から引き戸を閉じ込み方向に移動させ、この引き戸を閉じ込み切ることにより、ラッチアームを前記付勢手段の付勢に抗する向きに一旦移動させた後、このラッチアームの掛合部が前記被掛合部に掛合可能となった位置においてこの付勢手段の付勢によりラッチアームを移動させて、この掛合部を被掛合部に掛合させるようにすることができる。これにより、引き戸の閉じ込み状態を維持させることができる。
【0012】
また、このように閉じ込み状態を維持された状態から、操作部材を把持すると共にこの操作部材を回動させることにより、前記連係部材を介してラッチアームを前記付勢手段の付勢に抗する向きに移動させて前記掛合部と被掛合部との掛合を解き引き戸の開き出し方向への移動を許容させることができる。これにより、引き戸を再び開き出させることができる。
【0013】
ラッチアームは引き戸の前後方向に移動されることから、このラッチアームの移動スペースはラッチアームの長さにかかわらず一定量で足りる。この結果、引き手装置の取り付け箇所と引き戸の前端との間に施錠装置などを取り付けるためにある程度の間隔が必要とされ、そのためにラッチアームを長く構成せざるを得ないような場合であっても、ラッチアームの移動スペースに格別の配慮を払うことなく引き戸に引き手装置を備えさせることができる。典型的には、引き戸の内外寸法を徒に大きくすることなく、引き戸に引き手装置を備えさせることができる。
【0014】
また、請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の引き戸用の引き手装置における操作部材が、引き戸の上下方向に長いハンドルバーであることを特徴としている。
【0015】
かかる構成によれば、引き戸の上下方向に亙る広い範囲で、操作部材、つまり、ハンドルバーの把持や、ハンドルバーの回動操作をなすことができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項2記載の引き戸用の引き手装置における連係部材が、ハンドルバーの端部の保持部と、ハンドルバーの回動軸と、この回動軸と離れた位置でラッチアームの一部に接触する接触部とを有していることを特徴としている。
【0017】
かかる構成によれば、かかる連係部材により、ハンドルバーとラッチアームとを、このラッチアームの掛合部を被掛合部に掛合させた状態から、ハンドルバーを回動操作することにより移動される連係部材の接触部により前記付勢手段の付勢に抗する向きにラッチアームを移動させてこの掛合部と被掛合部との掛合を解くことができるように、組み付け合わせることができる。
【0018】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項3記載の引き戸用の引き手装置における連係部材が、引き戸に開設された取付穴に引き戸の表面側から入れ込み取り付けられる取付ベース体に回動軸を回動可能にはめ付けて支持されるようにしてあると共に、
ラッチアームが、この取付ベース体の取付穴への入れ込み部内に引き戸の厚さ方向に摺動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体に組み合わされており、
連係部材の接触部が、このように取付ベース体の入れ込み部内に入れ込まれたラッチアー厶の一部に形成されたこの接触部より大きいリンク穴に入り込まされていると共に、
取付ベース体内に付勢手段が内蔵されていることを特徴としている。
【0019】
かかる構成によれば、取付ベース体を引き戸の取付穴にその入れ込み部を入れ込ませて取り付けることにより、ハンドルバーを引き戸の表面側に備え付けると共に、引き戸の裏面側にラッチアームを配させ、さらに、このハンドルバーとラッチアームとを前記のように連係させることができる。
【0020】
また、請求項5記載の発明にあっては、引き分け戸用の引き手装置が、以下の(1)〜(9)の構成を備えたものとした。
(1)引き分け戸を構成する一方引き戸の上下方向に沿った回動軸線を中心に回動操作可能にこの一方引き戸に取り付けられる操作部材と、
(2)この一方引き戸の厚さ方向に摺動可能にこの一方引き戸に備えられると共に、この一方引き戸と他方引き戸とを共に閉め込み切った状態において他方引き戸の端部に設けられた被掛合部に掛合される掛合部をアーム端に有するラッチアームと、
(3)このラッチアームをこのラッチアームの掛合部を被掛合部に掛合させる移動位置に位置づけるように付勢する付勢手段と、
(4)操作部材の回動動作によってこの付勢手段の付勢に抗する向きにラッチアームを移動させるように、この操作部材とラッチアームとを連係させる連係部材とを有する一方引き戸側の引き手装置と、
(5)引き分け戸を構成する他方引き戸の上下方向に沿った回動軸線を中心に回動操作可能にこの他方引き戸に取り付けられる操作部材と、
(6)この他方引き戸の厚さ方向に摺動可能にこの他方引き戸に備えられると共に、この他方引き戸と一方引き戸とを共に閉め込み切った状態においてこの他方引き戸の端部に設けられた被掛合部に掛合部を掛合させる一方引き戸側のラッチアームのアーム端の側方にアーム端を位置させるように配されるリリースアームと、
(7)このリリースアームをこのリリースアームのアーム端を一方引き戸の戸側のラッチアームのアーム端に押し付けさせない移動位置に位置づけるように付勢する付勢手段と、(8)操作部材の回動操作によってこの付勢手段の付勢に抗する向きにリリースアームを移動させるように、この操作部材とリリースアームとを連係させる連係部材とを有する他方引き戸側の引き手装置とによって構成されていると共に、
(9)前記付勢手段の付勢に抗する向きのリリースアームの移動を通じたこのリリースアームのアーム端のラッチアームのアーム端への押し当たりにより、前記被掛合部と掛合部との掛合を解く向きにラッチアームがその付勢手段の付勢に抗して移動されるようにしてある。
【0021】
かかる構成によれば、操作部材を把持して一方引き戸を閉じ込み方向に、または、開き出し方向に移動操作することができる。
【0022】
また、ラッチアームは一方引き戸の前後方向に移動可能に備えられると共に、付勢手段によりその掛合部を前記被掛合部に掛合させる位置に位置づけられることから、一方引き戸が開き出されており、かつ、他方引き戸が閉じ込まれている状態から、一方引き戸を閉じ込み方向に移動させ、この一方引き戸を閉じ込み切ることにより、ラッチアームを前記付勢手段の付勢に抗する向きに一旦移動させた後、このラッチアームの掛合部が前記被掛合部に掛合可能となった位置においてこの付勢手段の付勢によりラッチアームを移動させて、この掛合部を被掛合部に掛合させるようにすることができる。これにより、双方の引き戸の閉じ込み状態を維持させることができる。
【0023】
また、一方引き戸と他方引き戸とが共に開き出されている状態から、双方の引き戸を閉じ込み方向に移動させ、この双方の引き戸を閉じ込み切ることにより、ラッチアームを前記付勢手段の付勢に抗する向きに一旦移動させた後、このラッチアームの掛合部が前記被掛合部に掛合可能となった位置においてこの付勢手段の付勢によりラッチアームを移動させて、この掛合部を被掛合部に掛合させるようにすることができる。これにより、双方の引き戸の閉じ込み状態を維持させることができる。
【0024】
また、このように閉じ込み状態を維持された状態から、操作部材を把持すると共にこの操作部材を回動させることにより、前記連係部材を介してラッチアームを前記付勢手段の付勢に抗する向きに移動させて前記掛合部と被掛合部との掛合を解き一方引き戸の開き出し方向への移動を許容させることができる。これにより、一方引き戸を再び開き出させることができる。
【0025】
ラッチアームは一方引き戸の前後方向に移動されることから、このラッチアームの移動スペースはラッチアームの長さにかかわらず一定量で足りる。この結果、引き手装置の取り付け箇所と一方引き戸の前端との間に施錠装置などを取り付けるためにある程度の間隔が必要とされ、そのためにラッチアームを長く構成せざるを得ない場合であっても、ラッチアームの移動スペースに格別の配慮を払うことなく一方引き戸に引き手装置を備えさせることができる。典型的には、一方引き戸の内外寸法を徒に大きくすることなく、一方引き戸に引き手装置を備えさせることができる。
【0026】
また、操作部材を把持して他方引き戸を閉じ込み方向に、または、開き出し方向に移動操作することができる。
【0027】
また、双方の引き戸が閉め込み切られた状態においては、一方引き戸側のラッチアームの掛合部が他方引き戸側の被掛合部に前記のように掛合されて双方の引き戸が共に閉め込み切られた状態が維持されることとなるが、この状態から、他方引き戸側の操作部材を把持すると共にこの操作部材を回動させることにより、前記連係部材を介してリリースアームを前記付勢手段の付勢に抗する向きに移動させて、このリリースアームのアーム端をラッチアームのアーム端に側方から押し当てることができる。そして、この押し当てにより、前記掛合部と被掛合部との掛合を解いて他方引き戸の開き出し方向への移動を許容させることができる。これにより、他方引き戸のみを開き出し方向に移動させることができる。
【0028】
リリースアームは他方引き戸の前後方向に移動されることから、このリリースアームの移動スペースはリリースアームの長さにかかわらず一定量で足りる。この結果、引き手装置の取り付け箇所と他方引き戸の前端との間に施錠装置などを取り付けるためにある程度の間隔が必要とされ、そのためにリリースアームを長く構成せざるを得ない場合であっても、リリースアームの移動スペースに格別の配慮を払うことなく他方引き戸に引き手装置を備えさせることができる。典型的には、他方引き戸の内外寸法を徒に大きくすることなく、他方引き戸に引き手装置を備えさせることができる。
【0029】
また、請求項6記載の発明にあっては、請求項5記載の引き分け戸用の引き手装置における、一方引き戸側の引き手装置を構成する操作部材が、一方引き戸の上下方向に長いハンドルバーであると共に、
他方引き戸側の引き手装置を構成する操作部材が、他方引き戸の上下方向に長いハンドルバーであることを特徴としている。
【0030】
かかる構成によれば、一方引き戸および他方引き戸の上下方向に亙る広い範囲で、操作部材、つまり、ハンドルバーの把持や、ハンドルバーの回動操作をなすことができる。
【0031】
また、請求項7記載の発明にあっては、請求項6記載の引き分け戸用の引き手装置における、一方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、ハンドルバーの端部の保持部と、ハンドルバーの回動軸と、この回動軸と離れた位置でラッチアームの一部に接触する接触部とを有していると共に、
他方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、ハンドルバーの端部の保持部と、ハンドルバーの回動軸と、この回動軸と離れた位置でリリースアームの一部に接触する接触部とを有していることを特徴としている。
【0032】
かかる構成によれば、かかる連係部材により、ハンドルバーとラッチアームとを、このラッチアームの掛合部を被掛合部に掛合させた状態から、ハンドルバーを回動操作することにより移動される連係部材の接触部により前記付勢手段の付勢に抗する向きにラッチアームを移動させてこの掛合部と被掛合部との掛合を解くことができるように、組み付け合わせることができる。
【0033】
また、かかる連係部材により、ハンドルバーとリリースアームとを、ハンドルバーを回動操作することにより移動される連係部材の接触部により前記付勢手段の付勢に抗する向きにリリースアームを移動させてこの押し当たり部をラッチアームの掛合部の設けられているアーム端に側方から押し当て、このラッチアームをその掛合部と被掛合部との掛合を解く向きに移動させることができるように、組み付け合わせることができる。
【0034】
また、請求項8記載の発明にあっては、請求項7記載の引き分け戸用の引き手装置における、一方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、一方引き戸に開設された取付穴にこの一方引き戸の表面側から入れ込み取り付けられる取付ベース体に回動軸を回動可能にはめ付けて支持されるようにしてあると共に、
ラッチアームが、この取付ベース体の取付穴への入れ込み部内に引き戸の厚さ方向に摺動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体に組み合わされており、
一方引き戸の側の引き手装置を構成する連係部材が、このように取付ベース体の入れ込み部内に入れ込まれたラッチアームの一部に形成されたこの接触部より大きいリンク穴に入り込まされていると共に、
この一方引き戸側の取付ベース体内に付勢手段が内蔵されており、
他方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、他方引き戸に開設された取付穴にこの他方引き戸の表面側から入り込み取り付けられる取付ベース体に回動軸を回動可能にはめ付けて支持されるようにしてあると共に、
リリースアームが、この取付ベース体の取付穴への入れ込み部内に引き戸の厚さ方向に摺動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体に組み合わされており、
他方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、このように取付ベース体の入れ込み部内に入れ込まれたリリースアームの一部に形成されたこの接触部より大きいリンク穴に入り込まされていると共に、
この他方引き戸側の取付ベース体内に付勢手段が内蔵されていることを特徴としている。
【0035】
かかる構成によれば、取付ベース体を一方引き戸および他方引き戸の取付穴にその入れ込み部を入れ込ませて取り付けることにより、ハンドルバーを一方引き戸および他方引き戸の表面側に備え付けると共に、一方引き戸の裏面側にラッチアームを、他方引き戸の裏面側にリリースアームを配させ、さらに、このハンドルバーとラッチアームとを、また、ハンドルバーとリリースアームとを前記のように連係させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図30に基づいて、この発明の実施の形態について説明する。
【0037】
なお、ここで図1ないし図14は、引き戸用の引き手装置1およびその部品を表したものであり、また、図15ないし図30は、引き分け戸用の引き手装置1、2およびその部品を表している。
【0038】
具体的には、図1は、引き戸用の引き手装置1の取り付けられた引き戸100を正面側から見た状態で示している。図2ないし図7は、引き戸100を横方向に断面にして表した構成図である。(図2と図5、図3と図6、図4と図7がそれぞれ同じ位置での断面となる。)図2ないし図4は、ラッチアーム11の掛合状態を、図5ないし図7は、操作部材10を操作してこのラッチアーム11の掛合状態を解除した状態を示している。また、図8および図9は、かかる引き手装置1をそれぞれ表しており、また、図10は、操作部材10となるハンドルバー10aの上端部を支持する部材を、また、図11は、かかるハンドルバー10aの下端部を支持する部材を、それぞれ示している。また、図12は、かかるハンドルバー10aの下端部の支持状態を示している。また、図13は、かかるハンドルバー10aの上端部を支持する部材を分解して、また、図14は、かかるハンドルバー10aの下端部を支持する部材を分解して、それぞれ示している。
【0039】
また、図15は、引き分け戸用の引き手装置1、2の取り付けられたこの引き分け戸を構成する一方引き戸100と他方引き戸300とを正面側から見た状態で示している。図16ないし図19は、この一方引き戸100と他方引き戸300とを横方向に断面にして表した構成図である。(図16、図18および図19は断面位置を同じくしている。)図16および図17は、ラッチアーム11の掛合状態を、図18は、一方引き戸100側の操作部材10を操作してこのラッチアーム11の掛合状態を解除した状態を、図19は、他方引き戸300側の操作部材20を操作してこのラッチアーム11の掛合状態を解除した状態を示している。また、図20は、一方引き戸100側の引き手装置1を表しており、また、図21は、一方引き戸100側の操作部材10となるハンドルバー10aの上端部を支持する部材を、また、図22は、かかる一方引き戸100側のハンドルバー10aの下端部を支持する部材を、それぞれ示している。また、図23は、他方引き戸300側の引き手装置2を表しており、また、図24は、他方引き戸300側の操作部材20となるハンドルバー20aの上端部を支持する部材を、また、図25は、かかる他方引き戸300側のハンドルバー20aの下端部を支持する部材を、それぞれ示している。また、図26は、一方引き戸100側のハンドルバー10aの下端部の支持状態および他方引き戸300側のハンドルバー20aの下端部の支持状態を示している。また、図27は、他方引き戸300側のハンドルバー20aの上端部を支持する部材を分解して、また、図28は、かかる他方引き戸300側のハンドルバー20aの下端部を支持する部材を分解して、それぞれ示している。また、図29は、一方引き戸100側のハンドルバー10aの上端部を支持する部材を分解して、また、図30は、かかる一方引き戸100側のハンドルバー10aの下端部を支持する部材を分解して、それぞれ示している。
【0040】
(引き戸用の引き手装置)
先ず、図1ないし図14に基づいて、引き戸用の引き手装置1の一例について説明する。
【0041】
かかる装置1は、物置や書庫などの片引き戸や引違い戸や、建物のドアや戸を構成する建具としての片引き戸や引違い戸などの各種の片引き戸に用いられるものである。
【0042】
かかる装置1は、典型的には、これらの片引き戸などを構成する引き戸100における、この引き戸100により閉塞される開放部200の突き当たり部201に突き当てられる側(以下、引き戸100のこの側を引き戸100の前端101側という。)に備え付けられて、この引き戸100の移動操作を行い易くさせる機能を有する。
【0043】
また、かかる装置1は、この引き戸100を閉め込み切った状態を、解除可能に維持する機能を有する。
【0044】
かかる装置1は、
(1)操作部材10と、
(2)ラッチアーム11と、
(3)付勢手段12と、
(4)連係部材13とを有している。
【0045】
操作部材10は、引き戸100を移動操作する際に把持されるものである。この操作部材10は、引き戸100の上下方向に沿った回動軸線xを中心に回動操作可能に引き戸100に取り付けられるようになっている。
【0046】
ラッチアーム11は、引き戸100を閉め込み切った状態を、解除可能に維持するものである。このラッチアーム11は、引き戸100の前後方向に移動可能に引き戸100に備えられるようになっている。また、このラッチアーム11は、引き戸100を閉め込み切った状態においてこの引き戸100により閉塞される開放部200におけるこの引き戸100の突き当たり部201に設けられた被掛合部202に掛合される掛合部11aをアーム端に有している。
【0047】
付勢手段12は、前記ラッチアーム11をこのラッチアーム11の掛合部11aを被掛合部202に掛合させる移動位置に位置づけるように付勢するものである。
【0048】
連係部材13は、前記操作部材10の回動操作によって前記付勢手段12の付勢に抗する向きにラッチアーム11を移動させるように、この操作部材10とラッチアーム11とを連係させるものである。
【0049】
これにより、この実施の形態にかかる引き手装置1によれば、操作部材10を把持して引き戸100を閉じ込み方向に、または、開き出し方向に移動操作することができる。
【0050】
また、ラッチアーム11は引き戸100の前後方向に移動可能に備えられると共に、付勢手段12によりその掛合部11aを前記被掛合部202に掛合させる位置に位置づけられることから、開放部200が閉じられていない状態から引き戸100を閉じ込み方向に移動させ、この引き戸100を閉じ込み切ることにより、ラッチアーム11を前記付勢手段12の付勢に抗する向きに一旦移動させた後、このラッチアーム11の掛合部11aが前記被掛合部202に掛合可能となった位置においてこの付勢手段12の付勢によりラッチアーム11を移動させて、この掛合部11aを被掛合部202に掛合させるようにすることができる。これにより、引き戸100の閉じ込み状態を維持させることができる。
【0051】
また、このように閉じ込み状態を維持された状態から、操作部材10を把持すると共にこの操作部材10を回動させることにより、前記連係部材13を介してラッチアーム11を前記付勢手段12の付勢に抗する向きに移動させて前記掛合部11aと被掛合部202との掛合を解き引き戸100の開き出し方向への移動を許容させることができる。これにより、引き戸100を再び開き出させることができる。
【0052】
ラッチアーム11は引き戸100の前後方向に移動されることから、このラッチアーム11の移動スペースはラッチアーム11の長さにかかわらず一定量で足りる。この結果、引き手装置1の取り付け箇所と引き戸100の前端101との間に施錠装置Rなどを取り付けるためにある程度の間隔が必要とされ、そのためにラッチアーム11を長く構成せざるを得ないような場合であっても、ラッチアーム11の移動スペースに格別の配慮を払うことなく引き戸100に引き手装置1を備えさせることができる。典型的には、引き戸100の内外寸法を徒に大きくすることなく、引き戸100に引き手装置1を備えさせることができる。
【0053】
(操作部材10)
この実施の形態にあっては、さらに、操作部材10は、引き戸100の上下方向に長いハンドルバー10aとして構成されている。
【0054】
これにより、引き戸100の上下方向に亙る広い範囲で、操作部材10、つまり、ハンドルバー10aの把持や、ハンドルバー10aの回動操作をなすことができる。
【0055】
図示の例では、かかるハンドルバー10aは、中空の管状をなすように構成されている。
【0056】
(ラッチアーム11)
この実施の形態にあっては、ラッチアーム11は、引き戸100の前端101側に向けられたアーム端に前記掛合部11aを備えている。
【0057】
図示の例では、このラッチアーム11は、後述する取付ベース体14の入れ込み部14a内に前後方向に移動可能に組み込まれており、この取付ベース体14を引き戸100に開設された取付穴102に引き戸100の表面103側から入れ込み取り付けることにより、このラッチアーム11が引き戸100の裏面104側に備えられるようになっている。
【0058】
このラッチアーム11の掛合部11aは、図示の例では、引き戸100の表面103側から離れる向きに向けて突き出す掛合突部11bとして構成されている。
【0059】
かかる掛合突部11bは、その頂部11cを挟んだ一方側に、この頂部11cに向けて次第に引き戸100の表面103から離れる向きに傾斜した傾斜面11dを有すると共に、その頂部11cを挟んだ他方側に引き戸100の前後方向にほぼ沿った掛合面11eを有している。そして、この掛合面11eを前記引き戸100の後端(前端101と反対の側)に向けるようにしている。
【0060】
また、かかるラッチアーム11は、その両端間に、引き戸100の表面103側に向けて突き出すガイド部11fを一体に備えている。図示の例では、このガイド部11fは、後述する取付ベース体14の支持部14c(取付ベース体14における引き戸100の取付穴102に入れ込まれない引き戸100の表面103側に位置される部分)内に形成された一対のガイド壁14d、14d間に入り込まされており、これによりラッチアーム11が引き戸100の前後方向に規則的に移動されるようになっている。
【0061】
このガイド部11fには、後述する連係部材13の接触部13iとなる棒状体13jが後述する取付ベース体14のガイド穴14eを通じて入り込むリンク穴11gが貫通状態に設けられている。
【0062】
図示の例では、開放部200における引き戸100の突き当たり部201に設けられた被掛合部202は、引き戸100の表面103側に向けて突き出す爪状体203として構成されている。
【0063】
また、図示の例では、ラッチアーム11は、引き戸100の表面103と、引き戸100の前端101に形成された表面103側から裏面104側に向けた前後折り返し部105と、この前後折り返し部105の端部から引き戸100の表面103にほぼ平行をなすように折り返された左右折り返し部106とに囲まれた空間内に掛合突部11bの形成側を位置させるように備えられるようになっている。そして、前記被掛合部202となる爪状体203は、この引き戸100の前後折り返し部105と左右折り返し部106とに設けられた割欠部107を通じて、引き戸100の閉じ込み操作に伴って前記空間内に入り込み、この空間内で前記ラッチアーム11の掛合突部11bに掛合されるようになっている。(図2)
【0064】
すなわち、開き出し状態にある引き戸100を閉じ込み方向に移動させると、ラッチアーム11の掛合突部11bの傾斜面11dが先ず爪状体203に突き当たり、この傾斜面11dの傾斜によりラッチアーム11は前記付勢手段12の付勢に抗して引き戸100の表面103側に次第に移動され、ラッチアーム11の掛合突部11bの頂部11cが爪状体203の先端を乗り越えることが可能となると共に、この頂部11cが爪状体203の先端を乗り越えると前記付勢手段12の付勢によりラッチアーム11は再び引き戸100の表面103から離れる向きに移動され、爪状体203とラッチアーム11の掛合突部11bとが掛合される。(図2)
【0065】
(付勢手段12)
付勢手段12は、図示の例では、ラッチアーム11における引き戸100の表面103側に向けられた面であって、前記掛合突部11bとガイド部11fの形成箇所の間と、後述する取付ベース体14の支持部14cの内部との間に介装されて、このラッチアーム11を常時引き戸100の表面103側から離れ出す向きに向けて付勢する圧縮コイルバネ12aにより構成されている。
【0066】
(連係部材13)
この実施の形態にあっては、連係部材13は、
(1)ハンドルバー10aの端部の保持部13aと、
(2)ハンドルバー10aの回動軸13eと、
(3)この回動軸13eと離れた位置でラッチアーム11の一部に接触する接触部13iとを有している。
【0067】
図示の例では、連係部材13は、横向きに板面を配した基板13kの一面側に前記保持部13aを、この基板13kの他面側に前記回動軸13eと接触部13iとを有するように構成されている。
【0068】
保持部13aは、中空のハンドルバー10aの内郭形状に倣った外面形状を有する差込部13bと、このハンドルバー10aの外郭形状に倣った内面形状を有するカバー部13cとを、この差込部13bの外面とカバー部13cの内面との間にハンドルバー10aの肉厚寸法分の間隔を開けて、前記基板13kの一面側に一体に形成させることにより、構成されている。
【0069】
そして、図示の例では、ハンドルバー10aの一方の端部(図示の例では下端部)に、この端部よりハンドルバー10a内に前記差込部13bが入れ込まれ、かつ、この端部の外側を前記カバー部13cにより覆うようにして前記保持部13aを組み付けることにより、ハンドルバー10aと連係部材13とが組み合わされるようになっている。図中符号13dで示すのは、この組み合わせ状態を維持するために、ハンドルバー10aの外側から保持部13aにネジ付けられるネジである。
【0070】
また、図示の例では、回動軸13eは、前記基板13kの他面からこの他面にほぼ直交する向きに突き出すと共に、後述する取付ベース体14における支持部14cの一面(図示の例では上面)に貫通状態に設けられた軸穴14fに入れ込まれる筒状軸体13fとして構成されている。
【0071】
この筒状軸体13fの対向位置には、前記軸穴14fへのこの筒状軸体13fの入れ込みに伴って一旦内向きに弾性変形した後、この軸穴14fにこの筒状軸体13fを入れ込み切った位置で弾発してこの軸穴14fに対し取付ベース体14の内部において掛合部11a分を掛合させる弾性片13gが設けられており、この弾性片13gの掛合部分13hの掛合によって連係部材13と取付ベース体14との組み合わせ状態が維持されるようになっている。
【0072】
また、図示の例では、接触部13iは、前記基板13kの他面からこの他面にほぼ直交する向きに突き出す棒状体13jとして構成されている。
【0073】
そして、図示の例では、この棒状体13jが、後述する取付ベース体14における支持部14cの一面(図示の例では上面)に貫通状態に設けられたガイド穴14eを通じて、この取付ベース体14の支持部14c内に入り込んでいる前記ラッチアーム11のガイド部11fに形成されたリンク穴11gに入り込むようになっている。
【0074】
かかるガイド穴14eは、前記回動軸13eの軸線、すなわち、前記操作部材10の回動軸線xを円心とした仮想の円の円弧に沿った長穴状をなすように構成されており、このガイド穴14eの一端側から他端側までの間での前記円弧に沿った棒状体13jの移動を許容するように構成されている。
【0075】
また、前記リンク穴11gは、前記棒状体13jの直径よりも大きい穴として構成されており、前記ガイド穴14eにおける引き戸100の表面103に近い端部に棒状体13jが位置されている状態(図2の状態)および、このガイド穴14eにおける引き戸100の表面103に近い端部と反対の端部に棒状体13jが位置されている状態(図5の状態)においてそれぞれ、前記付勢手段12の付勢により異なる位置でこのリンク穴11gの穴内壁を棒状体13jに押し当てるように構成されている。
【0076】
これにより、この実施の形態にあっては、かかる連係部材13により、ハンドルバー10aとラッチアーム11とを、このラッチアーム11の掛合部11a(掛合突部11b)を被掛合部202(爪状体203)に掛合させた状態(図2)から、ハンドルバー10aを回動操作することにより移動される連係部材13の接触部13iにより前記付勢手段12の付勢に抗する向きにラッチアーム11を移動させてこの掛合部11aと被掛合部202との掛合を解くことができるように、組み付け合わせることができる。
【0077】
すなわち、かかる連係部材13により、ハンドルバー10aの回動がラッチアーム11の前後動となるように、ハンドルバー10aとラッチアーム11とを連係させ合わせることができる。
【0078】
(引き戸100に対する取り付け)
この実施の形態にあっては、引き戸100に開設された取付穴102に引き戸100の表面103側から入れ込み取り付けられる取付ベース体14によって、ハンドルバー10aが引き戸100の表面103側に備え付けられると共に、引き戸100の裏面104側にラッチアーム11が配され、さらに、このハンドルバー10aとラッチアーム11とが前記のように連係されるようになっている。
【0079】
すなわち、この実施の形態にあっては、
(1)連係部材13が、かかる取付ベース体14に回動軸13eを回動可能にはめ付けて支持されるようにしてある。
(2)また、ラッチアーム11が、この取付ベース体14の取付穴102への入れ込み部14a内に前後方向に移動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体14に組み合わされている。
(3)そして、連係部材13の接触部13iが、このように取付ベース体14の入れ込み部14a内に入れ込まれたラッチアーム11の一部に形成されたこの接触部13iより大きいリンク穴11gに入り込まされていると共に、取付ベース体14内に付勢手段12が内蔵されている。
【0080】
具体的には、かかる取付ベース体14は、前記取付穴102への入れ込み部14aと、この入れ込み部14aを取付穴102に入れ込ませた状態で引き戸100の表面103側にこの表面103から突き出し状に位置される支持部14cとを備えている。
【0081】
支持部14cは、入れ込み部14a側を開放させたケース状をなすように構成されている。
【0082】
一方、入れ込み部14aは、この支持部14cの開放部200の上縁に沿って形成された上板部と、
この開放部200の下縁に沿って形成された下板部と、この開放部200の鉛直方向にある一方縁に沿って形成された側板部とにより構成されている。
【0083】
そして、図示の例にあっては、この入れ込み部14aを構成する上板部と下板部との間に、側板部の設けられていない側から掛合部11aの形成側を側方に突き出させた状態で、ラッチアーム11を前後動可能に納めさせている。
【0084】
具体的には、かかる上板部と下板部とには、それぞれ、引き戸100の前後方向に沿った割溝14bが設けられており、ラッチアーム11はその上部と下部に設けられた掛合突起11hをこの割溝14bに摺動可能にはめ込ませることにより、前記入れ込み部14aに前記のように納められている。
【0085】
また、支持部14cの中程には、前記開放部200からこの支持部14cの内奥部に亙る一対の仕切板14g、14gが設けられており、この一対の仕切板14g、14gの間に、ラッチアーム11のガイド部11fが納まるようにしてある。すなわち、この一対の仕切板14g、14gの向き合った側が前記ガイド壁14dとなるようにしてある。
【0086】
また、支持部14cの一面(図示の例では上面)には、この一対の仕切板14g、14g間の空間に連通するように前記ガイド穴14eが設けられていると共に、この一対の仕切板14g、14gを挟んだラッチアーム11の掛合部11aの突き出し側と反対の側に前記軸穴14fが設けられている。
【0087】
また、この一対の仕切板14g、14gを挟んだラッチアーム11の掛合部11aの突き出し側となる支持部14cの内部とラッチアーム11との間に、前記圧縮コイルバネ12aが納められている。
【0088】
そして、このように構成される取付ベース体14に対し、前記のように連係部材13が組み付け合わされるようになっている。
【0089】
この結果、この実施の形態にあっては、取付ベース体14を引き戸100の取付穴102にその入れ込み部14aを入れ込ませて取り付けることにより、ハンドルバー10aを引き戸100の表面103側に備え付けると共に、引き戸100の裏面104側にラッチアーム11を配させ、さらに、このハンドルバー10aとラッチアーム11とを前記のように連係させることができる。
【0090】
なお、図示の例では、ラッチアーム11のガイド部11fに形成されたリンク穴11gに接触部13iを入れ込ませている連係部材13は、このラッチアーム11が付勢手段12によって引き戸100の表面103から離れ出す向きに常時付勢されていることから、通常は、図2の状態にハンドルバー10aを位置づけさせる。
【0091】
また、図示の例では、連係部材13におけるハンドルバー10aの回動中心となる回動軸13eの形成側と反対の側が引き戸100の前端101側に向けられている。これにより、図示の例では、閉じ込み状態にある引き戸100をハンドルバー10aを把持などして開き出し操作しようとするとハンドルバー10aもラッチアーム11の掛合部11aと前記被掛合部202との掛合を解く向きにこのラッチアーム11を移動させるように回動されることとなり、ハンドルバー10aの回動操作を特に意識しないでハンドルバー10aを把持などしても支障なく引き戸100を開き出させることができるようになっている。
【0092】
図示の例では、取付ベース体14の入れ込み部14aと支持部14cとの間に外鍔14hが設けられており、このように取付穴102に入れ込まれた取付ベース体14の入れ込み部14aに引き戸100の裏面104側からこの入れ込み部14aにカバー体14iを取り付け、このカバー体14iと入れ込み部14aとをネジ止めすることによって、このカバー体14iと外鍔14hとにより引き戸100の取付穴102の形成部分を前後から挟み付けて取付ベース体14を引き戸100に取り付けさせるようにしている。また、図示の例にあっては、カバー体14iに形成された貫通穴14jを通じて、前記ラッチアーム11の掛合部11aを被掛合部202に掛合させるラッチアーム11の移動位置においてカバー体14iの背面から突き出す突起11iがラッチアーム11に設けられており、この突起11iを押圧してもラッチアーム11を付勢手段12の付勢に抗して移動させて掛合部11aと被掛合部202との掛合を解くこともできるようになっている。これにより、例えば、かかる引き戸用の引き手装置1を物置の引き戸100に取り付けた場合において、物置内からも引き戸100を開放させることが可能となっている。
【0093】
また、図示の例にあっては、ハンドルバー10aにおける他端部(図示の例では上端部)が、このハンドルバー10aの一端部(図示の例では下端部)を引き戸100に以上に説明したように取り付けさせる取付ベース体14とほぼ同一構造の取付ベース体14によって同様に引き戸100に取り付けさせるようにしてある。
【0094】
このハンドルバー10aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体14にも、この取付ベース体14の支持部14cの下面側に、前記連係部材13と同様の連係部材13が組み付けられ、この連係部材13にハンドルバー10aの上端部が保持される。
【0095】
このハンドルバー10aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体14の入れ込み部14aにも、前記ラッチアーム11にほぼ等しい構成を備えたスライド部材15が納められているが、このスライド部材15は入れ込み部14aから突き出す部分を持つようなアーム状には構成されていない。
【0096】
また、取付ベース体14内には、スライド部材15を常時引き戸100の表面103から離れる向きに付勢する付勢手段12として機能する圧縮コイルバネ12aが納められている。
【0097】
これにより、図示の例では、ハンドルバー10aを引き戸100の上下方向に長く構成していても、このハンドルバー10aを安定的に引き戸100に対し支持することができる。
【0098】
ハンドルバー10aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体14、連係部材13、付勢手段12としての圧縮コイルバネ12aは、ハンドルバー10aの下端部を取り付けさせるための取付ベース体14、連係部材13、付勢手段12としての圧縮コイルバネ12aと実質的に同一であるので、その余の説明は、両者の各部に対する符号を同一の符号とすることにより省略する。
【0099】
また、ハンドルバー10aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体14に納められるスライド部材15は、ハンドルバー10aの下端部を取り付けさせるための取付ベース体14に納められるラッチアーム11と一部を除き実質的に同一であるので、その余の説明は、両者の各部に対する符号を同一の符号とすることにより省略する。
【0100】
(引き分け戸用の引き手装置1、2)
次いで、図15ないし図30に基づいて、引き分け戸用の引き手装置1、2の一例について説明する。
【0101】
かかる装置1は、物置や書庫などの引き分け戸用や、建物のドアや戸を構成する建具としての引き分け戸用などの各種の引き分け戸用に用いられるものである。
【0102】
かかる装置1は、典型的には、これらの引き分け戸用を構成する一方引き戸100と他方引き戸300における、双方の引き戸100、300を共に閉め切った状態において相手引き戸(100あるいは300)の端部に突き当てられる側(以下、双方の引き戸100、300のこの側をこれら引き戸100、300の前端101、303側という。)に備え付けられて、これらの引き戸100、300の移動操作を行い易くさせる機能を有する。
【0103】
また、かかる装置1は、このように双方の引き戸100、300を閉め込み切った状態を、解除可能に維持する機能を有する。
【0104】
(一方引き戸100側の引き手装置1)
引き分け戸を構成する一方引き戸100側の引き手装置1は、
(1)操作部材10と、
(2)ラッチアーム11と、
(3)付勢手段12と、
(4)連係部材13とを有している。
【0105】
操作部材10は、一方引き戸100を移動操作する際に把持されるものである。この操作部材10は、一方引き戸100の上下方向に沿った回動軸線xを中心に回動操作可能に一方引き戸100に取り付けられるようになっている。
【0106】
ラッチアーム11は、一方引き戸100を閉め込み切った状態を、解除可能に維持するものである。このラッチアーム11は、一方引き戸100の前後方向に移動可能に一方引き戸100に備えられるようになっている。また、このラッチアーム11は、一方引き戸100を閉め込み切った状態において他方引き戸300の前端303部に設けられた被掛合部301に掛合される掛合部11aをアーム端に有している。
【0107】
付勢手段12は、前記ラッチアーム11をこのラッチアーム11の掛合部11aを被掛合部301に掛合させる移動位置に位置づけるように付勢するものである。
【0108】
連係部材13は、前記操作部材10の回動操作によって前記付勢手段12の付勢に抗する向きにラッチアーム11を移動させるように、この操作部材10とラッチアーム11とを連係させるものである。
【0109】
これにより、この実施の形態にかかる引き手装置1によれば、操作部材10を把持して一方引き戸100を閉じ込み方向に、または、開き出し方向に移動操作することができる。
【0110】
また、ラッチアーム11は一方引き戸100の前後方向に移動可能に備えられると共に、付勢手段12によりその掛合部11aを前記被掛合部301に掛合させる位置に位置づけられることから、一方引き戸100が開き出されており、かつ、他方引き戸300が閉じ込まれている状態から、一方引き戸100を閉じ込み方向に移動させ、この一方引き戸100を閉じ込み切ることにより、ラッチアーム11を前記付勢手段12の付勢に抗する向きに一旦移動させた後、このラッチアーム11の掛合部11aが前記被掛合部301に掛合可能となった位置においてこの付勢手段12の付勢によりラッチアーム11を移動させて、この掛合部11aを被掛合部301に掛合させるようにすることができる。これにより、双方の引き戸100、300の閉じ込み状態を維持させることができる。
【0111】
また、一方引き戸100と他方引き戸300とが共に開き出されている状態から、双方の引き戸100、300を閉じ込み方向に移動させ、この双方の引き戸100、300を閉じ込み切ることにより、ラッチアーム11を前記付勢手段12の付勢に抗する向きに一旦移動させた後、このラッチアーム11の掛合部11aが前記被掛合部301に掛合可能となった位置においてこの付勢手段12の付勢によりラッチアーム11を移動させて、この掛合部11aを被掛合部301に掛合させるようにすることができる。これにより、双方の引き戸100、300の閉じ込み状態を維持させることができる。
【0112】
また、このように閉じ込み状態を維持された状態から、操作部材10を把持すると共にこの操作部材10を回動させることにより、前記連係部材13を介してラッチアーム11を前記付勢手段12の付勢に抗する向きに移動させて前記掛合部11aと被掛合部301との掛合を解き一方引き戸100の開き出し方向への移動を許容させることができる。これにより、一方引き戸100を再び開き出させることができる。
【0113】
ラッチアーム11は一方引き戸100の前後方向に移動されることから、このラッチアーム11の移動スペースはラッチアーム11の長さにかかわらず一定量で足りる。この結果、引き手装置1の取り付け箇所と一方引き戸100の前端との間に施錠装置Rなどを取り付けるためにある程度の間隔が必要とされ、そのためにラッチアーム11を長く構成せざるを得ないような場合であっても、ラッチアーム11の移動スペースに格別の配慮を払うことなく一方引き戸100に引き手装置1を備えさせることができる。典型的には、一方引き戸100の内外寸法を徒に大きくすることなく、一方引き戸100に引き手装置1を備えさせることができる。
【0114】
この一方引き戸100側の引き手装置1の構成は、前述の図1ないし図14に示される引き戸用の引き手装置1と実質的に同一であるので、この実施の形態にかかる一方引き戸100側の引き手装置1の各部の説明は、この実施の形態にかかる一方引き戸100側の引き手装置1を示す各図に前述の図1ないし図14に示される引き戸用の引き手装置1を示す各図に用いた符号と同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0115】
(他方引き戸300側の引き手装置2)
引き分け戸を構成する他方引き戸300側の引き手装置2は、
(1)操作部材20と、
(2)リリースアーム21と、
(3)付勢手段22と、
(4)連係部材23とを有している。
【0116】
操作部材20は、他方引き戸300を移動操作する際に把持されるものである。この操作部材20は、他方引き戸300の上下方向に沿った回動軸線xを中心に回動操作可能に他方引き戸300に取り付けられるようになっている。
【0117】
リリースアーム21は、他方引き戸300を閉め込み切った状態を、解除可能とするものである。このリリースアーム21は、他方引き戸300の前後方向に移動可能に他方引き戸300に備えられるようになっている。また、このリリースアーム21は、この他方引き戸300と一方引き戸100とを共に閉め込み切った状態においてこの他方引き戸300の端部に設けられた被掛合部301に掛合部11aを掛合させる一方引き戸100側のラッチアーム11のアーム端の側方にアーム端を位置させるように配される。
【0118】
付勢手段22は、前記リリースアーム21を、一方引き戸100側のラッチアーム11のアーム端に押し付けさせない移動位置に位置づけるように付勢するものである。
【0119】
連係部材23は、前記操作部材20の回動操作によって前記付勢手段22の付勢に抗する向きにリリースアーム21を移動させるように、この操作部材20とリリースアーム21とを連係させるものである。
【0120】
また、かかる他方引き戸300側の引き手装置2にあっては、前記付勢手段22の付勢に抗する向きのリリースアーム21の移動を通じたこのリリースアーム21のアーム端のラッチアーム11のアーム端への押し当たりにより、前記被掛合部301と掛合部11aとの掛合を解く向きにラッチアーム11がその付勢手段12の付勢に抗して移動されるようにしてある。
【0121】
これにより、この実施の形態にかかる引き手装置2によれば、操作部材20を把持して他方引き戸300を閉じ込み方向に、または、開き出し方向に移動操作することができる。
【0122】
また、双方の引き戸100、300が閉め込み切られた状態においては、一方引き戸100側のラッチアーム11の掛合部11aが他方引き戸300側の被掛合部301に前記のように掛合されて双方の引き戸100、300が共に閉め込み切られた状態が維持されることとなるが、この状態から、他方引き戸300側の操作部材20を把持すると共にこの操作部材20を回動させることにより、前記連係部材23を介してリリースアーム21を前記付勢手段22の付勢に抗する向きに移動させて、このリリースアーム21のアーム端をラッチアーム11のアーム端に側方から押し当てることができる。そして、この押し当てにより、前記掛合部11aと被掛合部301との掛合を解いて他方引き戸300の開き出し方向への移動を許容させることができる。これにより、他方引き戸300のみを開き出し方向に移動させることができる。
【0123】
リリースアーム21は他方引き戸300の前後方向に移動されることから、このリリースアーム21の移動スペースはリリースアーム21の長さにかかわらず一定量で足りる。この結果、引き手装置1の取り付け箇所と他方引き戸300の前端303との間に施錠装置Rなどを取り付けるためにある程度の間隔が必要とされ、そのためにリリースアーム21を長く構成せざるを得ないような場合であっても、リリースアーム21の移動スペースに格別の配慮を払うことなく他方引き戸300に引き手装置1を備えさせることができる。典型的には、他方引き戸300の内外寸法を徒に大きくすることなく、他方引き戸300に引き手装置2を備えさせることができる。
【0124】
(他方引き戸300側の引き手装置2を構成する操作部材20)
この実施の形態にあっては、さらに、操作部材20は、他方引き戸300の上下方向に長いハンドルバー20aとして構成されている。
【0125】
これにより、他方引き戸300の上下方向に亙る広い範囲で、操作部材20、つまり、ハンドルバー20aの把持や、ハンドルバー20aの回動操作をなすことができる。
【0126】
図示の例では、かかるハンドルバー20aは、中空の管状をなすように構成されている。
【0127】
(リリースアーム21)
この実施の形態にあっては、リリースアーム21は、他方引き戸300の前端303側に向けられたアーム端を、前記ラッチアーム11への押し当たり部21aとするように構成されている。
【0128】
図示の例では、このリリースアーム21は、後述する取付ベース体24の入れ込み部24a内に前後方向に移動可能に組み込まれており、この取付ベース体24を他方引き戸300に開設された取付穴304に他方引き戸300の表面305側から入れ込み取り付けることにより、このリリースアーム21が他方引き戸300の裏面306側に備えられるようになっている。
【0129】
また、かかるリリースアーム21は、その両端間に、他方引き戸300の表面305側に向けて突き出すガイド部21bを一体に備えている。図示の例では、このガイド部21bは、後述する取付ベース体24の支持部24c(取付ベース体24における他方引き戸300の取付穴304に入れ込まれない他方引き戸300の表面305側に位置される部分)内に形成された一対のガイド壁24d、24d間に入り込まされており、これによりリリースアーム21が他方引き戸300の前後方向に規則的に移動されるようになっている。
【0130】
このガイド部21bには、後述する連係部材23の接触部23iとなる棒状体23jが後述する取付ベース体24のガイド穴24eを通じて入り込むリンク穴21cが貫通状態に設けられている。
【0131】
図示の例では、リリースアーム21は、他方引き戸300の表面305と、他方引き戸300の前端303に形成された表面305側から裏面306側に向けた前後折り返し部307と、この前後折り返し部307の端部から他方引き戸300の背面にほぼ平行をなすように折り返された左右折り返し部308とに囲まれた空間内に押し当たり部21aの形成側を位置させるように備えられるようになっている。
【0132】
そして、前記被掛合部301は、この他方引き戸300の前後折り返し部307に開設された掛合穴302として構成されている。
【0133】
また、図示の例では、一方引き戸100側のラッチアーム11のアーム端は、この一方引き戸100の前端101に開設された貫通穴108を通じて、この前端101から外方に突き出されており、この一方引き戸100の閉じ込み操作に伴って前記被掛合部301となる掛合穴302に入り込み、この掛合穴302に掛合されるようになっている。(図16)
【0134】
すなわち、開き出し状態にある他方引き戸300を閉じ込み方向に移動させると、ラッチアーム11の掛合突部11bの傾斜面11dが先ず被掛合部301となる掛合穴302の穴縁(図示の例では、他方引き戸300の左右折り返し部308側にある穴縁)に突き当たり、この傾斜面11dの傾斜によりラッチアーム11は前記付勢手段12の付勢に抗して一方引き戸100の表面305側に次第に移動され、ラッチアーム11の掛合突部11bの頂部11cが掛合穴302の穴縁を乗り越えることが可能となると共に、この頂部11cが掛合穴302の穴縁を乗り越えると前記付勢手段12の付勢によりラッチアーム11は再び一方引き戸100の表面から離れる向きに移動され、掛合穴302とラッチアーム11の掛合突部11bとが掛合される。(図16)
【0135】
そして、図示の例では、このように掛合穴302にアーム端を入れ込ませ、掛合穴302に掛合突部11bを掛合させたラッチアーム11のこの掛合突部11bの頂部11cと他方引き戸300の左右折り返し部308との間に、リリースアーム21のアーム端、つまり、押し当たり部21aが位置されるようになっている。(図16)
【0136】
(他方引き戸300側の引き手装置2を構成する付勢手段22)
付勢手段22は、図示の例では、リリースアーム21における他方引き戸300の表面305側に向けられた面であって、前記押し当たり部21aとガイド部21bの形成箇所の間と、後述する取付ベース体24の支持部24cの内部との間に介装されて、このリリースアーム21を常時他方引き戸300の表面305側から離れ出す向きに向けて付勢する圧縮コイルバネ22aにより構成されている。
【0137】
(他方引き戸300側の引き手装置2を構成する連係部材23)
この実施の形態にあっては、連係部材23は、
(1)ハンドルバー20aの端部の保持部23aと、
(2)ハンドルバー20aの回動軸23eと、
(3)この回動軸23eと離れた位置でリリースアーム21の一部に接触する接触部23iとを有している。
【0138】
図示の例では、連係部材23は、横向きに板面を配した基板23kの一面側に前記保持部23aを、この基板23kの他面側に前記回動軸23eと接触部23iとを有するように構成されている。
【0139】
保持部23aは、中空のハンドルバー20aの内郭形状に倣った外面形状を有する差込部23bと、このハンドルバー20aの外郭形状に倣った内面形状を有するカバー部23cとを、この差込部23bの外面とカバー部23cの内面との間にハンドルバー20aの肉厚寸法分の間隔を開けて、前記基板23kの一面側に一体に形成させることにより、構成されている。
【0140】
そして、図示の例では、ハンドルバー20aの一方の端部(図示の例では下端部)に、この端部よりハンドルバー20a内に前記差込部23bが入れ込まれ、かつ、この端部の外側を前記カバー部23cにより覆うようにして前記保持部23aを組み付けることにより、ハンドルバー20aと連係部材23とが組み合わされるようになっている。図中符号23dで示すのは、この組み合わせ状態を維持するために、ハンドルバー20aの外側から保持部23aにネジ付けられるネジである。
【0141】
また、図示の例では、回動軸23eは、前記基板23kの他面からこの他面にほぼ直交する向きに突き出すと共に、後述する取付ベース体24における支持部24cの一面(図示の例では上面)に貫通状態に設けられた軸穴24fに入れ込まれる筒状軸体23fとして構成されている。
【0142】
この筒状軸体23fの対向位置には、前記軸穴24fへのこの筒状軸体23fの入れ込みに伴って一旦内向きに弾性変形した後、この軸穴24fにこの筒状軸体23fを入れ込み切った位置で弾発してこの軸穴24fに対し取付ベース体24の内部において掛合部分23hを掛合させる弾性片23gが設けられており、この弾性片23gの掛合部分23hの掛合によって連係部材23と取付ベース体24との組み合わせ状態が維持されるようになっている。
【0143】
また、図示の例では、接触部23iは、前記基板23kの他面からこの他面にほぼ直交する向きに突き出す棒状体23jとして構成されている。
【0144】
そして、図示の例では、この棒状体23jが、後述する取付ベース体24における支持部24cの一面(図示の例では上面)に貫通状態に設けられたガイド穴24eを通じて、この取付ベース体24の支持部24c内に入り込んでいる前記リリースアーム21のガイド部21bに形成されたリンク穴21cに入り込むようになっている。
【0145】
かかるガイド穴24dは、前記回動軸23eの軸線、すなわち、前記操作部材20の回動軸線xを円心とした仮想の円の円弧に沿った長穴状をなすように構成されており、このガイド穴24eの一端側から他端側までの間での前記円弧に沿った棒状体23jの移動を許容するように構成されている。
【0146】
また、前記リンク穴21cは、前記棒状体23jの直径よりも大きい穴として構成されており、前記ガイド穴24dにおける他方引き戸300の表面305に近い端部に棒状体23jが位置されている状態(図16の状態)および、このガイド穴24dにおける他方引き戸300の表面に近い端部と反対の端部に棒状体23jが位置されている状態(図19の状態)においてそれぞれ、前記付勢手段22の付勢により異なる位置でこのリンク穴21cの穴内壁を棒状体23jに押し当てるように構成されている。
【0147】
これにより、この実施の形態にあっては、かかる連係部材23により、ハンドルバー20aとリリースアーム21とを、このリリースアーム21の押し当たり部21aをラッチアーム11の掛合突部11bの側方に位置させた状態(図16)から、ハンドルバー20aを回動操作することにより移動される連係部材23の接触部23iにより前記付勢手段22の付勢に抗する向きにリリースアーム21を移動させてこの押し当たり部21aをラッチアーム11の掛合突部11bに側方から押し当て、このラッチアーム11をその掛合突部11bと被掛合部301との掛合を解く向きに移動させることができるように、組み付け合わせることができる。
【0148】
すなわち、かかる連係部材23により、ハンドルバー20aの回動がリリースアーム21の前後動となるように、ハンドルバー20aとリリースアーム21とを連係させ合わせることができる。
【0149】
(他方引き戸300に対する取り付け)
この実施の形態にあっては、他方引き戸300に開設された取付穴304に他方引き戸300の表面305側から入れ込み取り付けられる取付ベース体24によって、ハンドルバー20aが他方引き戸300の表面305側に備え付けられると共に、他方引き戸300の裏面306側にリリースアーム21が配され、さらに、このハンドルバー20aとリリースアーム21とが前記のように連係されるようになっている。
【0150】
すなわち、この実施の形態にあっては、
(1)連係部材23が、かかる取付ベース体24に回動軸23eを回動可能にはめ付けて支持されるようにしてある。
(2)また、リリースアーム21が、この取付ベース体24の取付穴304への入れ込み部24a内に前後方向に移動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体24に組み合わされている。
(3)そして、連係部材23の接触部23iが、このように取付ベース体24の入れ込み部24a内に入れ込まれたリリースアーム21の一部に形成されたこの接触部23iより大きいリンク穴21cに入り込まされていると共に、取付ベース体24内に付勢手段22が内蔵されている。
【0151】
具体的には、かかる取付ベース体24は、前記取付穴304への入れ込み部24aと、この入れ込み部24aを取付穴304に入れ込ませた状態で他方引き戸300の表面305側にこの表面305から突き出し状に位置される支持部24cとを備えている。
【0152】
支持部24cは、入れ込み部24a側を開放させたケース状をなすように構成されている。
【0153】
一方、入れ込み部24aは、この支持部24cの開放部200の上縁に沿って形成された上板部と、
この開放部200の下縁に沿って形成された下板部と、この開放部200の鉛直方向にある一方縁に沿って形成された側板部とにより構成されている。
【0154】
そして、図示の例にあっては、この入れ込み部24aを構成する上板部と下板部との間に、側板部の設けられていない側から押し当たり部21aの形成側を側方に突き出させた状態で、リリースアーム21を前後動可能に納めさせている。
【0155】
具体的には、かかる上板部と下板部とには、それぞれ、他方引き戸300の前後方向に沿った割溝24bが設けられており、リリースアーム21はその上部と下部に設けられた掛合突起21dをこの割溝24bに摺動可能にはめ込ませることにより、前記入れ込み部24aに前記のように納められている。
【0156】
また、支持部24cの中程には、前記開放部200からこの支持部24cの内奥部に亙る一対の仕切板24g、24gが設けられており、この一対の仕切板24g、24gの間に、リリースアーム21のガイド部21bが納まるようにしてある。すなわち、この一対の仕切板24g、24gの向き合った側が前記ガイド壁24dとなるようにしてある。
【0157】
また、支持部24cの一面(図示の例では上面)には、この一対の仕切板24g、24g間の空間に連通するように前記ガイド穴24eが設けられていると共に、この一対の仕切板24g、24gを挟んだリリースアーム21の押し当たり部21aの突き出し側と反対の側に前記軸穴24fが設けられている。
【0158】
また、この一対の仕切板24g、24gを挟んだリリースアーム21の押し当たり部21aの突き出し側となる支持部24cの内部とリリースアーム21との間に、前記圧縮コイルバネ22aが納められている。
【0159】
そして、このように構成される取付ベース体24に対し、前記のように連係部材23が組み付け合わされるようになっている。
【0160】
この結果、この実施の形態にあっては、取付ベース体24を他方引き戸300の取付穴304にその入れ込み部24aを入れ込ませて取り付けることにより、ハンドルバー20aを他方引き戸300の表面305側に備え付けると共に、他方引き戸300の裏面306側にリリースアーム21を配させ、さらに、このハンドルバー20aとリリースアーム21とを前記のように連係させることができる。
【0161】
なお、図示の例では、リリースアーム21のガイド部21bに形成されたリンク穴21cに接触部23iを入れ込ませている連係部材23は、このリリースアーム21が付勢手段22によって他方引き戸300の表面から離れ出す向きに常時付勢されていることから、通常は、図16の状態にハンドルバー20aを位置づけさせる。
【0162】
また、図示の例では、連係部材23におけるハンドルバー20aの回動中心となる回動軸23eの形成側と反対の側が他方引き戸300の前端303側に向けられている。これにより、図示の例では、閉じ込み状態にある他方引き戸300をハンドルバー20aを把持などして開き出し操作しようとするとハンドルバー20aもリリースアーム21のアーム端を前記ラッチアーム11のアーム端に押し当てる向きに(つまり、ラッチアーム11の掛合部11aと被掛合部301との掛合を解くようにこのラッチアーム11を前記付勢手段12の付勢に抗して移動させる向きに)このリリースアーム21を移動させるように回動されることとなり、ハンドルバー20aの回動操作を特に意識しないでハンドルバー20aを把持などしても支障なく他方引き戸300を開き出させることができるようになっている。
【0163】
図示の例では、取付ベース体24の入れ込み部24aと支持部24cとの間に外鍔24hが設けられており、このように取付穴304に入れ込まれた取付ベース体24の入れ込み部24aに他方引き戸300の裏面306側からこの入れ込み部24aにカバー体24iを取り付け、このカバー体24iと入れ込み部24aとをネジ止めすることによって、このカバー体24iと外鍔24hとにより他方引き戸300の取付穴304の形成部分を前後から挟み付けて取付ベース体24を他方引き戸300に取り付けさせるようにしている。また、図示の例にあっては、カバー体24iに形成された貫通穴24jを通じて、前記他方引き戸300の被掛合部301に掛合部11aを掛合させている前記ラッチアーム11のアーム端の側方にアーム端を位置させるリリースアーム21の移動位置において、カバー体24iの背面から突き出す突き出す突起21eがこのリリースアーム21に設けられており、この突起21eの押圧によってもこのリリースアーム21を前記付勢手段22の付勢に抗して移動させて前記のようにラッチアーム11の掛合部11aと被掛合部301との掛合を解くことができるようになっている。これにより、例えば、かかる引き手装置2を物置の引き分け戸を構成する他方引き戸300に取り付けた場合において、物置内からもこの他方引き戸300および一方引き戸100を開放させることが可能となっている。
【0164】
また、図示の例にあっては、ハンドルバー20aにおける他端部(図示の例では上端部)が、このハンドルバー20aの一端部(図示の例では下端部)を他方引き戸300に以上に説明したように取り付けさせる取付ベース体24とほぼ同一構造の取付ベース体24によって同様に他方引き戸300に取り付けさせるようにしてある。
【0165】
このハンドルバー20aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体24にも、この取付ベース体24の支持部24cの下面側に、前記連係部材23と同様の連係部材23が組み付けられ、この連係部材23にハンドルバー20aの上端部が保持される。
【0166】
このハンドルバー20aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体24の入れ込み部24aにも、前記リリースアーム21にほぼ等しい構成を備えたスライド部材25が納められているが、このスライド部材25は入れ込み部24aから突き出す部分を持つようなアーム状には構成されていない。
【0167】
また、取付ベース体24内には、スライド部材25を常時他方引き戸300の表面から離れる向きに付勢する付勢手段22として機能する圧縮コイルバネ22aが納められている。
【0168】
これにより、図示の例では、ハンドルバー20aを他方引き戸300の上下方向に長く構成していても、このハンドルバー20aを安定的に他方引き戸300に対し支持することができる。
【0169】
ハンドルバー20aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体24、連係部材23、付勢手段22としての圧縮コイルバネ22aは、ハンドルバー20aの下端部を取り付けさせるための取付ベース体24、連係部材23、付勢手段22としての圧縮コイルバネ22aと実質的に同一であるので、その余の説明は、両者の各部に対する符号を同一の符号とすることにより省略する。
【0170】
また、ハンドルバー20aの上端部を取り付けさせるための取付ベース体24に納められるスライド部材25は、ハンドルバー20aの下端部を取り付けさせるための取付ベース体24に納められるリリースアーム21と一部を除き実質的に同一であるので、その余の説明は、両者の各部に対する符号を同一の符号とすることにより省略する。
【0171】
【発明の効果】
この発明にかかる引き手装置によれば引き手装置の取付箇所での引き戸の内外寸法を必要最小限に保ちながら、この引き戸を閉じ込み切った状態を解除可能に維持するラッチ機能をこの引き手装置に適切に備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引き戸100用の引き手装置1の取り付けられた引き戸100の正面構成図
【図2】図1におけるA−A線断面図(ラッチアーム11の掛合状態)
【図3】図1におけるB−B線断面図(ラッチアーム11の掛合状態)
【図4】図1におけるC−C線位置での破断端面図(ラッチアーム11の掛合状態)
【図5】図1におけるA−A線位置での断面図(ラッチアーム11の掛合解除状態)
【図6】図1におけるB−B線位置での断面図(ラッチアーム11の掛合解除状態)
【図7】図1におけるC−C線位置での破断端面図(ラッチアーム11の掛合解除状態)
【図8】引き手装置1の正面図
【図9】引き手装置1の側面図
【図10】ハンドルバー10aの上端部を支持する部材の平面図
【図11】ハンドルバー10aの下端部を支持する部材の底面図
【図12】ハンドルバー10aの下端部の支持状態を示す斜視図
【図13】ハンドルバー10aの上端部を支持する部材の分解斜視図
【図14】ハンドルバー10aの下端部を支持する部材の分解斜視図
【図15】引き分け戸用の引き手装置1、2の取り付けられた一方引き戸100と他方引き戸300の正面構成図
【図16】図15におけるD−D線断面図(ラッチアーム11の掛合状態)
【図17】図15におけるE−E線断面図(ラッチアーム11の掛合状態)
【図18】図15におけるD−D線位置での断面図(ラッチアーム11の掛合解除状態)
【図19】図15におけるD−D線位置での断面図(ラッチアーム11の掛合解除状態)
【図20】一方引き戸100側の引き手装置1の正面図
【図21】一方引き戸100側のハンドルバー10aの上端部を支持する部材の平面図
【図22】一方引き戸100側のハンドルバー10aの下端部を支持する部材の底面図
【図23】他方引き戸300側の引き手装置2の正面図
【図24】他方引き戸300側のハンドルバー20aの上端部を支持する部材の平面図
【図25】他方引き戸300側のハンドルバー20aの下端部を支持する部材の底面図
【図26】一方引き戸100側のハンドルバー10aの下端部の支持状態および他方引き戸300側のハンドルバー20aの下端部の支持状態を示す斜視図
【図27】他方引き戸300側のハンドルバー20aの上端部を支持する部材の分解斜視図
【図28】他方引き戸300側のハンドルバー20aの下端部を支持する部材の分解斜視図
【図29】一方引き戸100側のハンドルバー10aの上端部を支持する部材の分解斜視図
【図30】一方引き戸100側のハンドルバー10aの下端部を支持する部材の分解斜視図
【符号の説明】
x 回動軸線
100 引き戸
200 開放部
201 突き当たり部
202 被掛合部
1 引き手装置
10 操作部材
11 ラッチアーム
11a 掛合部
12 付勢手段
13 連係部材

Claims (8)

  1. 引き戸の上下方向に沿った回動軸線を中心に回動操作可能に引き戸に取り付けられる操作部材と、
    引き戸の厚さ方向に摺動可能に引き戸に備えられると共に、引き戸を閉め込み切った状態においてこの引き戸により閉塞される開放部におけるこの引き戸の突き当たり部に設けられた被掛合部に掛合される掛合部をアーム端に有するラッチアームと、
    このラッチアームをこのラッチアームの掛合部を被掛合部に掛合させる移動位置に位置づけるように付勢する付勢手段と、
    操作部材の回動操作によってこの付勢手段の付勢に抗する向きにラッチアームを移動させるように、この操作部材とラッチアームとを連係させる連係部材とを有していることを特徴とする引き戸用の引き手装置。
  2. 操作部材が、引き戸の上下方向に長いハンドルバーであることを特徴とする請求項1記載の引き戸用の引き手装置。
  3. 連係部材が、ハンドルバーの端部の保持部と、ハンドルバーの回動軸と、この回動軸と離れた位置でラッチアームの一部に接触する接触部とを有していることを特徴とする請求項2記載の引き戸用の引き手装置。
  4. 連係部材が、引き戸に開設された取付穴に引き戸の表面側から入れ込み取り付けられる取付ベース体に回動軸を回動可能にはめ付けて支持されるようにしてあると共に、
    ラッチアームが、この取付ベース体の取付穴への入れ込み部内に引き戸の厚さ方向に摺動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体に組み合わされており、
    連係部材の接触部が、このように取付ベース体の入れ込み部内に入れ込まれたラッチアー厶の一部に形成されたこの接触部より大きいリンク穴に入り込まされていると共に、
    取付ベース体内に付勢手段が内蔵されていることを特徴とする請求項3記載の引き戸用の引き手装置。
  5. 引き分け戸を構成する一方引き戸の上下方向に沿った回動軸線を中心に回動操作可能にこの一方引き戸に取り付けられる操作部材と、
    この一方引き戸の厚さ方向に摺動可能にこの一方引き戸に備えられると共に、この一方引き戸と他方引き戸とを共に閉め込み切った状態において他方引き戸の端部に設けられた被掛合部に掛合される掛合部をアーム端に有するラッチアームと、
    このラッチアームをこのラッチアームの掛合部を被掛合部に掛合させる移動位置に位置づけるように付勢する付勢手段と、
    操作部材の回動動作によってこの付勢手段の付勢に抗する向きにラッチアームを移動させるように、この操作部材とラッチアームとを連係させる連係部材とを有する一方引き戸側の引き手装置と、
    引き分け戸を構成する他方引き戸の上下方向に沿った回動軸線を中心に回動操作可能にこの他方引き戸に取り付けられる操作部材と、
    この他方引き戸の厚さ方向に摺動可能にこの他方引き戸に備えられると共に、この他方引き戸と一方引き戸とを共に閉め込み切った状態においてこの他方引き戸の端部に設けられた被掛合部に掛合部を掛合させる一方引き戸側のラッチアームのアーム端の側方にアーム端を位置させるように配されるリリースアームと、
    このリリースアームをこのリリースアームのアーム端を一方引き戸の戸側のラッチアームのアーム端に押し付けさせない移動位置に位置づけるように付勢する付勢手段と、
    操作部材の回動操作によってこの付勢手段の付勢に抗する向きにリリースアームを移動させるように、この操作部材とリリースアームとを連係させる連係部材とを有する他方引き戸側の引き手装置とによって構成されていると共に、
    前記付勢手段の付勢に抗する向きのリリースアームの移動を通じたこのリリースアームのアーム端のラッチアームのアーム端への押し当たりにより、前記被掛合部と掛合部との掛合を解く向きにラッチアームがその付勢手段の付勢に抗して移動されるようにしてあることを特徴とする引き分け戸用の引き手装置。
  6. 一方引き戸側の引き手装置を構成する操作部材が、一方引き戸の上下方向に長いハンドルバーであると共に、
    他方引き戸側の引き手装置を構成する操作部材が、他方引き戸の上下方向に長いハンドルバーであることを特徴とする請求項5記載の引き分け戸用の引き手装置。
  7. 一方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、ハンドルバーの端部の保持部と、ハンドルバーの回動軸と、この回動軸と離れた位置でラッチアームの一部に接触する接触部とを有していると共に、
    他方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、ハンドルバーの端部の保持部と、ハンドルバーの回動軸と、この回動軸と離れた位置でリリースアームの一部に接触する接触部とを有していることを特徴とする請求項6記載の引き分け戸用の引き手装置。
  8. 一方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、一方引き戸に開設された取付穴にこの一方引き戸の表面側から入れ込み取り付けられる取付ベース体に回動軸を回動可能にはめ付けて支持されるようにしてあると共に、
    ラッチアームが、この取付ベース体の取付穴への入れ込み部内に引き戸の厚さ方向に摺動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体に組み合わされており、
    一方引き戸の側の引き手装置を構成する連係部材が、このように取付ベース体の入れ込み部内に入れ込まれたラッチアームの一部に形成されたこの接触部より大きいリンク穴に入り込まされていると共に、
    この一方引き戸側の取付ベース体内に付勢手段が内蔵されており、
    他方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、他方引き戸に開設された取付穴にこの他方引き戸の表面側から入り込み取り付けられる取付ベース体に回動軸を回動可能にはめ付けて支持されるようにしてあると共に、
    リリースアームが、この取付ベース体の取付穴への入れ込み部内に引き戸の厚さ方向に摺動可能にその一部を入れ込ませてこの取付ベース体に組み合わされており、
    他方引き戸側の引き手装置を構成する連係部材が、このように取付ベース体の入れ込み部内に入れ込まれたリリースアームの一部に形成されたこの接触部より大きいリンク穴に入り込まされていると共に、
    この他方引き戸側の取付ベース体内に付勢手段が内蔵されていることを特徴とする請求項7記載の引き分け戸用の引き手装置。
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