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JP3746566B2 - 半たわみ性舗装構造体とその製造方法、及びそれに用いるセメント注入材 - Google Patents

半たわみ性舗装構造体とその製造方法、及びそれに用いるセメント注入材 Download PDF

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健治 渡辺
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高流動性を長時間保持し、かつ材料低分離性であるセメント注入材、並びにその注入材を用いた舗装構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に半たわみ性舗装に用いられている注入材は、材料分離を防止するため注入材の粘度を増加させる必要があり、メチルセルロース等の有機系増粘剤が添加混合されている。
【0003】
【発明が解決しようする課題】
しかし、メチルセルロース等の有機系増粘剤の添加,混合により注入材の粘度を増加させることは、材料分離性を低下させることにはある程度の効果があるが、注入材の流動性の低下や強度発現性の低下等を招くおそれがある。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、材料低分離性を維持しつつ、注入材の流動性の低下や強度発現性の低下等を防止し、耐久性に優れ、安価な半たわみ性舗装構造体を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するために、半たわみ性舗装構造体とその製造方法、及びそれに用いるセメント注入材としてなされたもので、半たわみ性舗装構造体としての特徴は、アスファルトと骨材とを敷設した路盤に、8μm以下のセメント微粉末を含むセメント注入材を注入して得られることにある。
【0006】
また、半たわみ性舗装構造体の製造方法としての特徴は、アスファルトと骨材とを敷設した路盤に、8μm以下のセメント微粉末を含むセメント注入材を注入して製造することにある。
【0007】
この半たわみ性舗装構造体は、従来から半たわみ性舗装に使用されている一般的な空隙率、たとえば20〜25%のアスファルトと骨材を予め混合して敷設した開粒アスファルトコンクリートに、上記の注入材を注入し硬化,一体化させたものである。
【0008】
さらに、セメント注入材としての特徴は、セメントに、8μm以下の粒子の体積比が70%以上であるセメント微粉末を10重量%以上配合してなることにある。
【0009】
すなわち、公知のセメントに規定粒度範囲のセメント微粉末を所定比率で添加,混合したことを特徴とするものである。
【0010】
ここでいう公知のセメントとは、JIS規格に従った普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等の他、超速硬セメント等公知のセメントであり、さらにこれら公知のセメントに高炉スラグ粉末、フライアッシュ、珪石粉、シリカフューム、石膏等の混和材を、1種類もしくは2種類以上混合して得られた混合セメントも含む。
【0011】
ここで添加するセメント微粉末は、上記公知のセメントをたとえば遠心力風力分級機等を用いて製造したものであり、粒度範囲を8μm以下の粒子の体積割合が70%以上であるものとし、さらに添加量を10%以上とした。上記範囲外では、半たわみ性舗装用注入材として使用する際、材料分離抵抗性を十分に改善することができず、強度発現性も十分ではないためである。
【0012】
すなわち、セメント微粉末はきわめて粉末度が高く、かつセメント鉱物であるケイ酸3カルシウム、ケイ酸2カルシウム、アルミン酸3カルシウム及びアルミン酸鉄4カルシウム、石膏が多く含まれている極めて活性の高い粉末であり、通常のモルタルやコンクリートのセメントとして使用する場合には流動性の低下を招くが、比較的高い水/セメント比で使用する場合には、セメント微粉末の細かさと活性の高さが注入材中の固形分(セメント,砂)と水の分離(ブリーディング)及びセメント中の粗粒子部分の沈降を防ぐことに寄与する。また、セメント微粉末は上記のとおり水和活性が極めて高い粉体であり、材齢の初期から上記注入材の強度発現性を向上させる。
【0013】
さらに、高い流動性を得るためには、通常高性能減水剤を使用するが、その種類は遅延型,標準型,促進型等があり、通常のコンクリートやモルタルに使用する場合同様、目的にあった種類を使用すればよく、その使用量も通常のコンクリートやモルタル同様、目的とする流動性を得られる添加量であればよい。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0015】
実施例1
本実施例では、セメント65重量%、セメント微粉末35重量%の配合比からなり、且つそのセメント及びセメント微粉末中において7号珪砂を全体の30重量%を含む既混合注入モルタルを用いた。
【0016】
この既混合注入モルタル100 重量部に対して、高性能減水剤としてナフタレンスルホン酸高縮合物(商品名:マイテイ100 ,花王(株)社製)を0.75重量%、市販のエチレン酢酸ビニル系再乳化粉末樹脂2重量%を添加し、水/注入モルタル比=40%の割合でハンドミキサーにより十分に混練して注入材が調製された。さらに、得られた注入材を空隙率23%の開粒アスファルトコンクリートに注入し、半たわみ性舗装構造体を得た。
【0017】
ここで使用したセメントは普通ポルトランドセメント(8μm以下の粒子の体積比が38%、粉末度3200cm2/g)であり、セメント微粉末はその普通ポルトランドセメントを遠心力風力分級機により分級して作製したものであり、粒径8μm以下の粒子の体積比92%、粉末度10600cm2/gのものを用いた。
【0018】
実施例2
本実施例では、既混合注入モルタルとして、セメント85重量%、セメント微粉末15重量%の配合比からなり、且つ7号珪砂を全体の30重量%含有したものを用いた。他の配合成分等は上記実施例1と同じであるため、その説明は省略する。
【0019】
実施例3
本実施例では、既混合注入モルタルとして、セメント90重量%、セメント微粉末10重量%の配合比からなり、且つ7号珪砂を全体の30重量%含有したものを用いた。他の配合成分等は上記実施例1と同じであるため、その説明は省略する。
【0020】
実施例4
本実施例では、既混合注入モルタルとして、上記実施例3と同じ配合比のものを用いた。ただし、セメント微粉末の粒径8μm以下の粒子の体積比は70%とした。他の配合成分等は上記実施例1と同じであるため、その説明は省略する。
【0021】
比較例1
比較例1として、粒径8μm以下の粒子の体積比が50%のセメント微粉末10重量%、セメント90重量%の配合比からなり、且つ7号珪砂を全体の30重量%含有した混合注入モルタルを調製した。
【0022】
比較例2
比較例2として、粒径8μm以下の粒子の体積比が70%のセメント微粉末5重量%、セメント95重量%の配合比からなり、且つ7号珪砂を全体の30重量%含有した混合注入モルタルを調製した。
【0023】
比較例3
比較例3として、セメント微粉末を配合せず、セメント100 重量%とし、且つ7号珪砂を全体の30重量%、増粘剤を0.2 重量%含有した混合注入モルタルを調製した。
【0024】
比較例4
比較例4として、セメント微粉末を配合せず、セメント100 重量%とし、7号珪砂を全体の30重量%含有した混合注入モルタルを調製した。
【0025】
試験例
上記実施例1〜4、及び比較例1〜4について流動性、ブリーディング率、圧縮強度、曲げ強度の試験を行った。
【0026】
その試験結果は、次表1のとおりである。
【0027】
【表1】
Figure 0003746566
【0028】
このような注入材は、半たわみ性舗装用注入材として開粒アスファルトコンクリートに注入し、隙間なく充填して開粒アスファルトコンクリートと一体化する必要があることから、注入材の流動性としてPロート流下時間が9〜15秒の間が望ましく、また注入材の3時間でのブリーディング率は3%以下が望ましく、さらには注入材の強度が材齢7日で圧縮強度が150kgf/cm2以上、または曲げ強度が21kgf/cm2以上、若しくは材齢28日で曲げ強度が40kgf/cm2以上であることが好ましい。
【0029】
また、半たわみ性舗装構造体としては、その曲げ強度が材齢28日で30kgf/cm2以上であることが望ましい。
【0030】
この点で、上記実施例1〜4はいずれもこれらの条件を満たすものであった。
【0031】
一方、0.2 %の増粘剤を含む比較例3では、Pロート流下時間が22.7秒と大幅に増加し、実施例1〜4に比べて流動性の低下が認められた。
【0032】
また、ブリーディング率は比較例1,2,4ではいずれも3%を大幅に超えていた。
【0033】
その他の実施例
尚、上記実施例では、高性能減水剤やエチレン酢酸ビニル系再乳化粉末樹脂を添加したが、これらを添加することは本発明において条件とはならない。
【0034】
また、セメントとして上記実施例では普通ポルトランドセメントを用いたが、セメントの種類はこれ限定されるものではなく、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、或いはポルトランドセメント以外に超速硬セメント,高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメント等を使用することも可能である。
【0035】
【発明の効果】
叙上のように、本発明によれば、公知のセメントに8μm以下の粒子の体積比が70%以上であるセメント微粉末を10重量%以上配合したため、材料分離が少なく、かつ高い流動性を持つ材料低分離性高流動セメント注入材を提供できるという効果を得た。
【0036】
さらに、本発明の材料低分離性高流動セメント注入材を使用することにより、施工が簡便で且つ耐久性に優れた半たわみ性舗装構造体を提供することができるという実益がある。

Claims (3)

  1. アスファルトと骨材とを敷設した路盤に、8μm以下のセメント微粉末を含むセメント注入材を注入して得られることを特徴とする半たわみ性舗装構造体。
  2. セメントに、8μm以下の粒子の体積比が70%以上であるセメント微粉末を10重量%以上配合してなることを特徴とするセメント注入材。
  3. アスファルトと骨材とを敷設した路盤に、8μm以下のセメント微粉末を含むセメント注入材を注入して製造することを特徴とする半たわみ性舗装構造体の製造方法。
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