JP3624430B2 - 双方向放送システム及び双方向放送の受信装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、放送局側から、返信先に関する情報を伴う双方向番組の提供を行うと共に、受信側から上記双方向番組に対するユーザの応答の情報を電話回線を通じて上記返信先に送信するようにした双方向放送システム及びこのシステムで使用される双方向放送の受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の電話網では、アクセスが一定地域に、一時的に集中すると、いわゆる電話回線がパンク状態となり、電話が掛からなかったり、または掛かりにくくなったりする。この電話回線のパンク状態は、通話及び通話要求が特定の電話回線に集中して、その電話回線の処理能力を超えたときに発生する。
【0003】
例えば、地震などの災害が発生した災害発生地域への電話、その逆に災害発生地域からの電話が掛からない、掛かりにくいということはよくある。これは、災害により電話網や電話局の設備が破壊されたためではなく、災害発生地域の住民への安否を確認する電話が他地域から一時的に集中したり、また、災害発生地域の住民から他地域へ無事を知らせる電話が一時的に集中するために起こる。
【0004】
以上のような電話回線のパンク状態を避けるため、例えば電話回線を使用してチケットの予約や販売を行っている会社では、ほとんど電話局1局分の設備を準備するなどの方策が、従来、取られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電話回線のアクセスによる視聴者参加番組が、テレビ放送やラジオ放送において行われている。これは、例えばテレビショッピング、アンケート調査や、視聴者参加型のクイズ番組などとして放送されており、放送側で、応答のための受付電話番号をアナウンスしたり、適宜の時間だけ、スーパーインポーズで画面に表示することにより、視聴者に応答の宛先を知らせるようにし、視聴者は、応答を電話やファクシミリによって行なうものである。
【0006】
例えば、テレビショッピングによれば、多数の視聴者を物品の購入者にすることができ、大量の物品の販売が可能となる。ところが、販売する物品に数の制限があったり、価格が安いなど魅力があり購入希望の視聴者が多かった場合に、これら購入希望の視聴者からのアクセスが多くなり、購入申し込みに使用される電話回線が、上述したようにいわゆるパンク状態になることがある。
【0007】
このテレビショッピングなどの場合には、図8に示すように、視聴者からの応答は、応答の受け付けを開始した直後と、応答の受け付けを終了する直前に集中し、この集中部分で回線が混雑あるいはパンク状態になる傾向がある。これは、いち早く購入希望を受け付けてもらおうとする視聴者が、応答の受け付けを開始した直後に集中し、また、購入はしたいのだが、購入を迷っていた視聴者が、応答の受け付けが終了する直前に集中するためである。
【0008】
また、早押し型のクイズ番組の場合、いち早く回答を送信しようとするため、視聴者からの応答は、図9に示すように応答許可開始時刻直後に集中する。これに対して、熟考型のクイズ番組の場合には、より正確な回答を送信しようとするため、図10に示すように応答許可終了時刻直前に集中する。いずれの場合にも双方向テレビ放送の視聴者は、不特定多数であり、電話回線が混雑して電話が掛かりにくくなったり、いわゆるパンク状態になる可能性が高い。
【0009】
そして、上述のようなクイズ問題などの場合には、アクセス回答は、早いもの勝ちで決められたり、回答可能制限時間が決められたりするが、上述の従来の電話回線による応答の方法では、通話及び通話要求が特定の電話回線に集中して、その回線の処理能力を超えてしまうと、電話がなかなかつながらず、応答タイミングによっては後から電話アクセスした方が先につながる状態が起こってしまったり、制限時間内に応答したにも拘らず、返信先での受信が制限時間外になってしまう。また、地域的特性によって、電話の中継局側で優先順位があったりもするため、従来の電話がつながったもの順の方式では、電話回線による視聴者からの応答を公正に処理することができないという問題もあった。
【0010】
そこで、上述したチケット予約システムのように電話局、1局分の設備を設けることが考えられるが、コスト高となるだけでなく、高視聴率の番組の場合には、応答の集中により、電話回線の混雑やパンク状態が発生するおそれがある。
【0011】
以上の点にかんがみ、この発明は、双方向番組に対する視聴者からの応答の送信による、電話回線の混雑やいわゆるパンク状態を防止することができると共に、視聴者からの応答の公正な処理を行うことができるようにした双方向放送システム及び双方向放送の受信装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明による双方向放送システムは、
放送局側から、返信先に関する情報を伴う双方向番組の提供を行うと共に、受信側から上記双方向番組に対するユーザの応答の情報を上記返信先に送信するようにした双方向放送システムであって、
上記受信側は、
固有の識別番号を記憶保持するメモリと、
現在の時刻情報を提供する時計回路と、
ユーザによって上記双方向番組に対する応答操作がなされたときに、上記時計回路から取得した上記応答操作がなされた時刻の情報と上記メモリから読み出した上記識別番号とを用いる上記双方向番組に対する応答の送信時刻を分散させる計算式に基づいて、上記双方向番組に対する応答の送信時刻を設定する送信時刻設定手段と、
上記送信時刻設定手段により設定される送信時刻において、上記応答の情報に少なくとも上記識別番号を含めて、上記返信先に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、この発明による双方向放送の受信装置は、後述の実施例の参照符号を対応させると、
放送局側から提供される双方向番組に対するユーザの応答を所定の返信先に送信するようにする双方向放送の受信装置であって、
上記双方向番組に対する応答の情報を入力する入力手段34と、
入力された上記応答の情報を上記放送側の返信先に送信する送信手段33と、
現在の時刻情報を提供する時計回路37と、
自装置に割り当てられた識別番号を記憶する手段24と、
上記入力手段34を通じて上記双方向番組に対する応答の情報の入力を受け付けたときに、上記時計回路37から取得した応答操作がなされた時刻の情報と上記識別番号とを用いる上記双方向番組に対する応答の送信時刻を分散させる計算式に基づいて、上記双方向番組に対する応答の送信時刻を設定する送信時刻設定手段20と
を備え、
上記設定された時刻になったときに、少なくとも上記識別番号を含めた上記応答の情報を上記送信手段33により上記返信先に送信するようにしたことを特徴とする。
【0014】
上記返信先に送信する応答情報に応答操作が行われた時点に関する情報を含めるとよい。
【0015】
【作用】
上述したこの発明の双方向放送システム及び双方向放送の受信装置において、ユーザが双方向番組に対する応答をすると、時計回路からの応答操作がなされた時刻の情報と受信装置が有する固有の識別番号を用いた計算式に基づいて、応答操作が行われた時刻とは異なる送信時刻が分散するように設定され、その送信時刻に応答情報が送信される。
【0016】
一般に、受信装置に固有の識別情報は、ランダムな情報であり、しかも、応答操作をするユーザもランダムであるので、設定された送信時刻は、集中することなく、分散される。このため、電話回線が混雑したり、いわゆるパンク状態になるのを防止することができる。
【0017】
また、応答情報に、応答操作が行われた時点に関する情報を含めたことにより、実際の応答操作の時点が返信先で識別可能であり、返信先では応答情報を公正に処理することができる。
【0018】
【実施例】
以下に、この発明による双方向放送システム及び双方向放送の受信装置の一実施例について説明する。
【0019】
この例は双方向テレビ放送の場合の例であり、この例においては、放送局側では、双方向番組の放送の際に、副放送情報として、返信先の情報や応答制限時間などを含む双方向番組関連情報を、主放送テレビジョン信号に多重して放送する。一方、受信側では、受信した映像信号から双方向番組関連情報を分離、再生して、メモリに記憶しておき、双方向放送番組に対する応答などに利用する。
【0020】
この例においては、双方向番組の番組関連情報は、主放送音声とは区別が容易であるオーディオ帯域の信号、例えば電話のプッシュ回線などで使用されているDTMF(Dual Tone Multi Frequency )信号により主放送音声信号に重畳するようにする。
【0021】
すなわち、放送局側では、副放送情報としての番組関連情報をDTMF信号形式の信号の構成として、主放送オーディオ信号に多重化(混声)して放送する。一方、受信側では、受信した放送オーディオ信号からDTMF信号を分離・デコードして、番組関連情報を再生し、メモリに記憶して、返信先への応答情報の送信の際に利用する。
【0022】
[DTMF信号]
まず、図2を参照しながら、DTMF信号について説明する。
DTMF信号方式は、1つは低周波数のグループ(低群)、そしてもう1つは高周波数のグループ(高群)の2つのトーンを同時に送るオーディオ帯域信号方式である。これらの低周波数及び高周波数のグループの各々は、どの2つも調音の関係にない4つのオーディオ帯域周波数のトーンからなっている。
【0023】
DTMF信号では、低群の4周波数は、例えば、697Hz、770Hz、852Hz、941Hzとされ、高群の4周波数は、例えば、1209Hz、1336Hz、1477Hz、1633Hzとされている。そして、これら低群と高群の中のそれぞれ1周波数ずつを組み合わせ、その組み合わせからなる各DTMF信号(この各DTMF信号のそれぞれを、以下機能信号という)を、図2に示すように、4行4列に配設されたプッシュボタン「0」〜「D」にそれぞれ割り付けられる。
【0024】
電話通信では、DTMF信号の16の組み合わせの機能信号のうち、単に12個が一般に加入者アドレス(電話番号)の信号に用いられている。つまり、電話機でいわゆるテンキーとして使用されている「0」〜「9」の数字と、「*」や「#」の記号に対して、前記の12個の組み合わせの機能信号が対応される。図2に破線で示した「A」、「B」、「C」、「D」の文字に対応する機能信号は、日本国内では一般には利用しておらず、プッシュボタン(PB)ダイアルを利用したデータ伝送に利用されているのみである。
【0025】
このようなDTMF信号を使って電話番号による回線選択を行なう場合、信号の送出条件は、図3に示すように規定されている。
【0026】
上述のような2周波数の組み合わせと送出条件とによって、DTMF信号は、自然界では滅多に発生しないものとなり、人の声などのような自然音と明確に区別することができるので、通常の放送オーディオ信号に多重(混声)して放送することができて、受信側での分離も比較的容易である。
【0027】
ちなみに、DTMF信号は、多機能電話においても利用されており、外出先からプッシュボタン式の電話のボタン操作によって、自宅の電話に留守番録音されている用件を再生させたり、留守番録音の応答メッセージを録音、再生したり、用件を消去したりすることができる。
【0028】
[副放送情報の放送]
この実施例の送信側、つまり放送局側においては、副放送情報の送信に当たって、上述のようにPB回線選択には使用されていない「A」、「B」、「C」、「D」を意味する機能信号のうち、「A」、「B」、「C」の機能信号は、副放送情報の送信開始情報として用い、「D」の機能信号は送信終了情報として用いる。
【0029】
送信開始情報が3種類あるので、この例では、3種類の副放送情報を区別して送信することができる。つまり、3種の副放送情報は、その種別ごとに、「A」、「B」、「C」の機能信号のいずれかと、「D」の機能信号とで区切られて放送される。
【0030】
例えば、双方向番組への応答アクセスに関する情報、例えばアクセス先の電話番号(受付電話番号)、伝送レートなどの副放送情報は、「A」の機能信号を送信開始情報とし、送信終了情報である「D」の機能信号との間に送信される。また、同様に、例えば応答側の電話番号の末尾制限や現在時刻設定などの環境設定に関する副放送情報は、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に、受信データのクリアに関する情報は「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に、それぞれ挟まれた状態の信号として多重化されて放送される。
【0031】
そして、受信側においては、送信開始情報としての「A」、「B」、「C」の機能信号のいずれかと、送信終了情報としての「D」の機能信号とに挟まれた数値や記号データが副放送データ列(情報群)とみなされて、後述のように、メモリの所定の格納域にそれぞれ区別されて保存される。
【0032】
例えば、テレビショッピングの応答アクセスに関する情報として、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが00の受信機に対して、応答の返信先として受付電話番号0990−1234−1234に、伝送レート300bpsで120分間のアクセスを許可する場合は、副放送情報は、
00#120#0990*1234*1234
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「A」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で主放送オーディオ信号に多重化されて送出される。ここで、データ列のうち、最初の00は、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが00(伝送レート300bps)を示し、記号「#」の後の数値データは、アクセスを許可する現在を起点とした時間範囲(120分間)で、その後の記号「#」以降は、返信先の受付電話番号である。
【0033】
また、早押し型クイズ番組の応答アクセスに関する情報として、インタラクティブテレビジョン規格バージョンが01の受信機に対し、応答の返信先として電話番号0990−1234−1235に、伝送レート1200bpsで1分間のアクセスを許可する場合には、
01#001#0990*1234*1235
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「A」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で主放送オーディオ信号に多重化されて送出される。ここで、データ列のうち、最初の01は、インタラクティブ(対話型)テレビジョン規格バージョンが01(伝送レート1200bps)を示し、記号「#」の後の数値データは、アクセスを許可する現在を起点とした時間範囲(1分間)で、その後の記号「#」以降は、返信先の受付電話番号である。
【0034】
なお、上述のような応答アクセスに関するデータ列では、記号「#」がセパレータ(個々のデータの区切り)を表わし、記号「*」がポーズを表わす。
【0035】
環境設定に関する情報として、特定の電話番号(加入者番号)を持った視聴者のみにアクセスを制限する場合、例えば、電話番号末尾が0の番号のみにアクセスを許可するときは、
0#0
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、また、電話番号末尾が1の番号のみにアクセスを許可するときは、
0#1
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、それぞれ、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で主放送オーディオ信号に多重化されて送出される。この場合、記号「#」の前の数字「0」は、記号「#」の次の数字を、末尾として有する電話番号からのアクセスを許可することを意味する。
【0036】
また、電話番号末尾が偶数の番号のみにアクセスを許可するときは、
0#0*0#2*0#4*0#6*0#8
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で主放送オーディオ信号に多重化されて送出される。ここでは、記号「*」は論理和を意味している。
【0037】
さらに、放送番組の受信予約や録画予約などのための時刻情報として、例えば、現在時刻が1993年12月15日火曜日7時00分の場合は、
1#1993121520700
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれた状態で主放送オーディオ信号に多重化されて送出される。
【0038】
また、ある放送番組が、現時点から見て、次の日曜の7時00分から7時29分まで放送される場合は、
10#07000729
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出され、別の放送番組が次の月曜の12時00分から14時15分まで放送される場合には、
11#12001415
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「B」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出される。
【0039】
なお、上述のような環境設定に関するデータ列では、記号「#」がセパレータを表わし、記号「*」が「オア(論理和)」を表わす。
【0040】
そして、受信データのクリアに関する情報として、例えば、番号制限のクリアの場合は、
99#0
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出され、また、受付電話番号のクリアの場合には、
99#1
のようなDTMF信号の各機能信号により構成されるデータ列が、「C」の機能信号と「D」の機能信号との間に挟まれて送出される。
【0041】
上述のように、電話回線の選択信号としては使用されていない「A」、「B」、「C」;「D」の機能信号を、副放送情報の送信開始情報及び送信終了情報とすることによって、例えば、ドラマの電話をかけるシーンなどで、DTMF音が発信されても、番組関連情報と混同されることはない。また、副放送情報を確実に送受することができる。
【0042】
[受信装置の構成]
次に、図1を参照しながら、この発明による双方向放送の受信装置を、双方向放送番組対応のテレビジョン受信機に適用した場合の一実施例について説明する。
【0043】
この例の双方向放送の受信装置の一実施例の構成を図1に示す。図1において、10はテレビジョン受信機の信号系であり、20はその制御系である。
【0044】
アンテナ1で受信された放送電波はチューナ11に供給される。チューナ11には制御系20から選局信号が供給されて、このチューナ11において所望のチャンネルの放送信号が選択されて中間周波信号に変換される。この中間周波信号は中間周波回路12に供給される。この中間周波回路12には、映像復調器13と音声復調器14とが含まれ、映像信号及びオーディオ信号が復調される。
【0045】
映像復調器13からの映像信号S13は、映像信号処理回路15を経て、受像管16に供給される。音声復調器14からのオーディオ信号S14は、音声多重デコーダ17に供給されて、2か国語信号またはステレオ信号SL、SRがデコードされる。そして、これら信号SL、SRがそれぞれアンプ18L、18Rを通じて左右のスピーカ19L、19Rに供給される。
【0046】
音声復調器14からのオーディオ信号S14は、また、前処理回路31を介してDTMFデコーダ32に供給される。このDTMFデコーダ32は、その入力信号中のDTMF信号を常時サーチし、DTMF信号を検知すると、そのDTMF信号がいずれの機能信号であるかのデコードを行なう。つまり、「0」〜「9」の番号、「#」、「*」、「A」〜「D」がデコードされる。そして、そのデコードしたデータを制御系20に供給する。
【0047】
この例の場合には、このDTMFデコーダ32としては、広く普及している市販のDTMFデコーダを用いる。前処理回路31は、このようにDTMFデコーダ32として市販のDTMFデコーダを使用しても、より精度の高いDTMF信号のデコードを行なうことができるようにするための前処理を行なうために設けられる。すなわち、前処理回路31は、オーディオ信号S14について、DTMF信号以外の周波数成分を除去して、DTMFデコーダ32の入力信号が、市販のDTMFデコーダが許容する信号となるようにするもので、フィルタ回路からなる。
【0048】
また、この実施例では、視聴者参加型番組への応答など、双方向放送番組に対応するために、データ通信用のモデム(変復調装置)33が設けられる。このモデム33の回線接続端子Lineには電話回線2が接続され、電話端子Tel には電話機3が接続される。このモデム33が、制御系20のシステムバス200に接続される。また、モデム33からのデータが、DTMFデコーダ32に供給されており、電話回線2を介して送られてくるDTMF信号をこのDTMFデコーダ32でデコードして、制御系20に取り込むことができるようにされている。
【0049】
制御系20は、CPU21と、ROM22と、DRAM23と、SRAM24と、ビデオRAM25とを備え、それぞれがシステムバス200に接続される。ROM22には、DTMFデータの受信取り込み処理プログラムのほか、各種の制御プログラムが格納されると共に、表示に用いるフォントやグラフィックのデータも格納される。DRAM23は主に演算のための作業領域として利用され、SRAM24には受信装置自身の設定情報や、受信装置自身の識別情報などが保存される。
【0050】
ここで、受信装置自身の識別情報は、例えば「SONY−00−00000001」のように、双方向放送番組対応のテレビジョン受信機の生産時に設定されている個々の機器で固有の識別番号である。ユーザーは、双方向放送番組対応のテレビジョン受信機の購入後、この受信装置の識別情報及び当該ユーザーの氏名、住所、電話番号などを双方向テレビの視聴者の応答の返信先であるデータベースセンタのデータベースに登録する。データベースセンタでは、この受信装置の識別情報に対応する個人情報がデータベースで管理される。双方向番組に対する応答の情報にこの受信装置の識別情報を含めることにより、応答が誰からのものであるかを、返信先のデータベースセンタで容易に識別することができる。
【0051】
ビデオRAM25は表示に用いられる。ビデオRAM25に対してはディスプレイコントローラ25Cが設けられている。このディスプレイコントローラ25Cは、ビデオRAM25へのビデオデータの読み出し及び書き込みを制御するとともに、読み出したビデオデータをアナログ映像信号に変換する。そして、このディスプレイコントローラ25Cから得られるアナログ映像信号は、映像信号処理部15に供給され、制御部20からの映像信号処理部15の制御と相俟って、中間周波回路12からの映像信号に重畳され、あるいは切り換えられて合成される。
【0052】
制御系20は、また、I/Oポート261、262、263、264及びVTRのコントロールポート27を備える。I/Oポート261を通じて制御信号が映像信号処理回路15及び音声多重デコーダ17に供給される。また、リモコン送信機34からの、例えば赤外線リモコン信号がリモコン受信機35で受信され、その受信されたリモコン信号がリモコンデコード回路36でデコードされ、そのデコードされたリモコン信号が、I/Oポート261より制御系20に取り込まれる。
【0053】
そして、リモコン送信機34でのユーザーの操作に応じた制御が、ROM22のプログラムにしたがってCPU21により行なわれる。例えば、選局や音量制御などのリモコン操作の場合、チューナ選局や音量制御が実行されると同時に、必要な文字や記号の表示のためのフォントデータが、ROM22から読み出されてビデオRAM25へ転送される。そして、このビデオRAM25のデータが映像信号処理回路15に供給され、映像信号S13と合成(例えばスーパーインポーズ)されることにより、受像管16の画面に適宜の時間、表示される。
【0054】
そして、選局や音量制御などのデータは、それぞれの操作の都度、不揮発性のSRAM24に書き込まれて、電源を一旦オフとした後に再度オンとした場合、電源オフ直前と同音量で同じチャンネルを視聴する、いわゆる、ラストメモリ機能が実現される。
【0055】
I/Oポート263を通じては、選局信号がチューナ11に供給される。また、この実施例では、現在時刻の通知や所定の時間の割り込み発生のためのタイマ回路37からの時刻情報がI/Oポート264を通じて制御系20に入力される。そして、この例では、制御系20では、このタイマ回路37からの時刻情報は、応答操作が行われた時刻(応答操作時刻)を認識し、後述するように、送信時刻の計算のために使用される。
【0056】
また、VTRのコントロールポート27は、この例では3台のVTR1、VTR2、VTR3に対してのコントロールが可能に構成されている。制御系20は、このコントロールポート27を通じてVTRにコントロール信号を供給すると共に、VTRからのステータス信号を取り込み、VTRに対して所望の制御を行なうことができる。
【0057】
なお、各VTRは、チューナと中間周波数回路を内蔵しており、例えば分配器を介してアンテナ1に接続されて、後述のように、制御系20の制御の下に、予約録画をすることができる。
【0058】
[応答の送信時刻の分散処理]
次に、図4、図5を参照しながら、図1の実施例の応答の送信時刻の分散処理について説明する。図4は、応答情報の送信時刻を分散させるためのこの例の双方向放送の受信装置側の処理を説明するためのフローチャートであり、主に制御系20の動作により実現されるものである。図5は、各時刻と応答情報の送信が分散される時間関係について、説明の理解を助けるための図である。
【0059】
この実施例では、前述のようなDTMF信号形式で、“A”の機能信号に続いて、返信先の電話番号、応答許可時間などを表わす“0”〜“9”の数字や“*”、“#”の記号のデータ列が主放送オーディオ信号に多重化(混声)されて放送局側より送信される。この例の場合には、前述したように、応答許可時間は、現在時刻からの相対時間として設定されている。
【0060】
このDTMF信号が多重化された放送信号は、チューナ11により受信、選局される。そして、中間周波回路12の映像復調器13と音声復調器14により、映像信号と音声信号とが復調される。
【0061】
そして、前処理回路31とDTMFデコーダ32により音声復調器14からの音声信号から、DTMF信号が抽出され、番号や記号のデータにデコードされ、I/Oポート262を介して制御系20の例えばDRAM23に取り込まれる。そして、返信先の電話番号は、SRAM24に転送されて書き込まれ、保持される。また、相対時間として設定された応答許可時間と、タイマ回路37により提供される現在時刻とにより、応答許可終了時刻が計算され、SRAM24に書き込まれ保持される。
【0062】
上記SRAM24への返信先に関する情報の格納は、放送番組により提供される応答要求、例えば、クイズ番組であれば、クイズ問題の出題に先だって行われる。つまり、返信先の電話番号、応答許可時間、応答許可終了時刻のSRAM24への書き込みは、クイズ問題の出題以前に行われている。
【0063】
そして、例えば、放送番組によりクイズ問題が出題されると、視聴者は、回答をリモコン送信機34を操作して選択するなどの応答操作を行う。すると、制御系20において、応答操作がされたことが検知され、その応答操作時刻がタイマ回路37からの時刻情報により検知されてDRAM23に書き込まれる。そして、応答情報の送信が集中しないように、応答情報の送信時刻を分散させるための処理が受信装置の制御系20において実行される。
【0064】
この実施例の場合、応答許可開始時刻直後に集中する応答及び応答許可終了時刻Eの直前に集中する応答の送信を分散する処理を次のように行う。
この例では、図5に示すように、応答許可終了時刻Eの直前の集中応答が、応答許可終了時刻の例えば10秒前程度の間に生じると仮定する。このため、この例では、応答許可終了時刻Eよりも10秒前の時刻Pから、応答許可終了時刻Eまでの間の応答の送信を、応答許可終了時刻E後の所定時間、この例では50秒後の時刻Oまでの間に渡って分散させるようにする。
【0065】
そして、応答許可開始時刻から時刻Pまでの間に生じた応答は、その応答操作時刻Gと、時刻Pとの間で分散させるようにする。
【0066】
この応答情報の送信を分散させるための処理ルーチンを図4に示す。このルーチンは、前述のように応答操作がユーザによりなされたとき、CPU21がROM22の処理プログラムを読み出して実行される。
【0067】
まず、SRAM24から、クイズ問題の出題に先だってDTMF信号として提供された応答許可時間から計算された応答許可終了時刻が読み出され、ユーザによる応答操作が行われた時刻(応答操作時刻)が、応答許可終了時刻を越えていないかどうかの判断される(ステップ101)。
【0068】
ステップ101において、応答操作時刻が応答許可終了時刻を越えていると判別されたときには、返信側に応答情報を送信しても無意味となるので、例えば「応答許可時間を過ぎています」などのエラーメッセージを受像管16に表示したり、スピーカ19L、19Rより音声により出力して、ユーザに応答操作が無意味であることを警告し(ステップ109)、応答情報の送信を行うことなく、このルーチンを終了する。
【0069】
また、ステップ101において、応答操作時刻が応答許可終了時刻を越えていないと判別されたときには、SRAM24に保持されている自己の受信装置の識別情報を読み出す(ステップ102)。この受信装置の識別情報は、前述したように、この例では双方向放送番組対応のテレビジョン受信機の生産時に設定されている個々の機器で固有の識別番号である。
【0070】
次に、ステップ102からステップ103に進み、視聴者によりリモコン送信機34で応答操作がなされた時点の、タイマ回路37の現在時刻Gを応答操作時刻として取り込み、
A=(応答許可終了時刻E)−(現在時刻G+10秒)
なる演算式により、応答操作時刻Gから応答許可終了時刻Eよりも10秒前の時刻Pまでの時間間隔Aを求める(図5参照)。なお、時間間隔Aの単位は、秒である。
【0071】
そして、次のステップ104で、ステップ103において求めた時間間隔Aが、正か負かを判断する。このステップ104では、言い換えると、応答操作時刻が、時刻Sと時刻Pとの間であるのか(A≧0)、あるいは、時刻Pから応答許可終了時刻Eまでの間であるのか(A<0)を判断する。
【0072】
ステップ104において時間間隔Aが負でなかったと判別されたときには、視聴者により応答操作が行われた時刻が、時刻Pよりも前の応答操作時刻Gであるので、この応答操作時刻Gから時刻Pまでの間の時間Aに応答の送信が分散されて実行されるように、受信装置の識別番号を用いて送信時刻Bが設定される(ステップ105)。
【0073】
このステップ105における送信時刻Bの計算式は、例えば、
となる。この計算式(1) において、時間間隔Aを100で割ったのは、この例では識別情報を下2桁のみを使用とし、応答の送信時刻を時間間隔Aの範囲において、秒単位で分散させるためである。
【0074】
受信装置の固有の識別番号は、一般に、シーケンシャルに付与されるので、識別番号として、その番号末尾2桁(下2桁)00、01、02、…、99を持つ受信装置の台数は均等である。したがって、応答操作をするユーザの受信装置の識別番号の下2桁は均等にばらついていると考えられるので、(1)式に示したように、この受信装置の識別番号を用いることにより、送信時刻Bも均等に分散されたものとなり、応答情報の送信は、時間間隔Aの間で分散される。
【0075】
一方、ステップ104において時間間隔Aが負であったときには、応答操作時刻が、時刻Pと応答許可終了時刻Eとの間の10秒間の範囲内の応答操作時刻gであると判断され、この応答操作時刻gから応答の送信終了時刻Oまでの間に応答情報の送信が分散されて実行されるように、送信時刻Bが設定される(ステップ108)。
【0076】
このステップ108における計算式は、例えば、
となる。計算式(2) で(60/100)は、時刻Pから時刻Oまでの時間間隔C(60秒)を、計算式(1) と同様の理由で100で割ったものである。
【0077】
こうして、ステップ105またはステップ108の処理により、送信時刻Bが求められると、タイマ回路37により提供される現在時刻が、送信時刻Bになるまで、応答の送信は待ち状態となる(ステップ106)。そして、ステップ106において、現在時刻が送信時刻Bになったとき、応答の送信が実行される(ステップ107)。その後、このルーチンが終了する。
【0078】
この応答情報の送信によって、モデム33と電話回線を通じて返信先に送られる応答情報(返信データ)のフォーマットの一例を図6に示す。
【0079】
図6において、先頭の返信データ識別情報は、放送局側で受信したデータが、返信データであるのか、その他のアクセスによるものかを区別するための識別子である。
【0080】
次のチェックデータは、データ長の情報と整合性チェックデータとからなる。データ長は、後述する返信データと返信元識別情報のデータ長を示している。整合性チェックデータは、後述する返信データと返信元識別情報のチェックサムなどのチェック用データである。このチェックデータは、この返信情報の送信時のビット落ち、ノイズなどによりデータが変化していないかどうかの整合をとるためのものである。
【0081】
次の返信データは、選択手順識別情報と選択結果情報とからなる。この返信データのうち、選択手順識別情報は、図1の放送信号に多重化された副放送情報中の選択手順識別情報であって、前述したように、これにより、視聴者からの解答が、どのメニュー、どの質問に対する答であるかが判断される。放送局からは、質問1、質問2‥‥の順序で放送されても、電話回線の状況によっては、視聴者からの回答が放送と同じ順序で返信されるとは限らないので、このような識別情報が必要となる。
【0082】
また、選択結果情報としては、最終的に選ばれたメニュー項目を示す情報や、その選択操作が行なわれた時刻(応答操作時刻)などが返信される。この場合の時刻の情報としては、タイマ回路37の時刻が用いられる。
【0083】
なお、この応答操作時刻は、応答操作時刻そのものではなくて、送信時刻と、応答操作時刻との差を送信するようにしてもよい。その場合、返信先において応答の情報は、ほぼ送信時刻に受信するので、返信先で受信した時刻から上記差の時間前の時刻として応答操作時刻を認識できる。
【0084】
また、例えば早押しクイズ番組などで応答操作時点を識別するために、DTMF信号の「0」〜「9」の番号や記号を一定周期で前述と同様に音声に多重して放送しておき、受信装置側から、応答操作時点直後に受信したDTMF信号としての番号や記号を、返信データの応答操作時点に関連する情報として返信するようにしてもよい。
【0085】
選択結果情報の中の視聴者入力データは、放送番組のなかには、選択手順中に視聴者に入力を促す場合があることを考慮している。また、この視聴者入力データとしては、例えば、テレビショッピングに対して視聴者のクレジットカードの番号が返信されたり、電話番号が返信される場合もある。
【0086】
返信データの次の、返信元識別情報としては、視聴者に固有の番号、例えば、視聴者の電話番号や受信装置の製造番号である前述の識別番号などが用いられる。返信元識別情報の次には、返信データの終了を示す返信データ終了コードが送られる。
【0087】
以上のようにして、視聴者がリモコン送信機34で応答操作を行った時点が、同じ双方向テレビ番組を視聴している多くの視聴者で重なって集中してしまったとしても、実際の応答の送信時刻を分散させることができる。これにより特定の電話回線に一時的に集中する応答情報の送信を分散させることができ、電話回線がいわゆるパンク状態になることが防止できる。
【0088】
そして、受信側(視聴者側)から送信される応答情報には、応答操作時点に関連する情報が含まれているため、実際に応答情報の送信が行われた時刻が応答許可終了時刻を過ぎていても、応答許可終了時刻前の応答であることを返信先で判断することができる。また、応答情報の返信先への到達時点に関係なく、実際に応答操作した時点が返信先で識別できるため、早押し型のクイズ番組にも対応できる。
【0089】
なお、上述の実施例では、識別情報の下2桁を使用したが、使用する桁数を増やすことにより、時間的により細い分散ができる。また、電話番号の局番や郵便番号を受信側の識別情報として用いることにより、地域別に応答情報の送信を分散することもできる。また、時刻Pから応答許可終了時刻Eまでの時間を10秒とし、時刻Pから応答の送信終了時刻Oまでの時間を60秒としたが、これらの数値は一例であり、適宜設定できる。また、上述のように主放送信号の多重情報によりそれら時間情報を設定したり、あるいはリモコン送信機34を視聴者が操作することにより時間入力設定することにより、これらの時間は適宜変更可能である。
【0090】
[他の実施例]
前述の実施例では、双方向放送番組の応答のための返信先情報などの番組関連情報を、DTMF信号を用いて構成し、主放送オーディオ信号と多重して放送するようにしたが、この番組関連情報は、文字多重放送と同様に、テレビジョン放送の垂直ブランキング期間内の空きの水平区間に多重するようにしてもよい。
【0091】
この場合、放送局側では、図7に示すような番組関連情報を、文字多重信号形式に構成し、映像信号の垂直帰線期間に多重して放送する。一方、受信装置では、図1の実施例の前処理回路31およびDTMFデコーダ32に代えて、文字多重デコーダが搭載されると共に、このデコーダに映像復調回路13の出力信号S13が供給される。そして、そのデコード出力を制御系20に取り込み、デコードして、番組関連情報を再生し、DRAMなどのメモリに記憶すると共に、受信した番組関連情報に対応して、前述した図6に示すような返信情報を作成し、電話回線を通じて伝送する。
【0092】
まず、放送局側では、例えば、クイズ番組などの問題ごとの選択手順情報が作成されて、番組の放送に備えられる。3択の問題であれば、3つの回答をメニュー表示して視聴者に選択させるという選択手順が作成される。
クイズ番組の場合、返信先は放送局側の受信システムとなり、このシステムへの通信プロトコルと受信用の電話番号が、返信先情報として設定される。
【0093】
そして、例えばクイズ番組などの放送中、視聴者に解答を委ねる場面になった時点から、次に説明するように、時間情報、選択手順情報及び返信先情報が、映像信号の垂直帰線期間に多重されて放送される。
【0094】
図7は、番組関連情報の多重化の態様及びその内容の例を説明するための図である。この図7に示すように、この例では、番組関連情報は、映像信号の垂直ブランキング期間内の空き水平区間、例えばNTSC方式のテレビジョン信号の場合であれば、第14H(第277H(ただしHは水平区間、以下同じ))〜第16H(第279H)及び第21H(第284H)のうちの1Hないし複数Hに重畳される。
【0095】
この例の番組関連情報は、図7に示すように、時間情報と、選択手順情報と、返信先情報とからなるものが1単位となっている。この1単位の番組関連情報は、図7では、1フィールド分の画像データのブランキング期間内に、全て多重化されるものとして示したが、この1単位の番組関連情報のうち、時間情報以外の情報は複数フィールドに渡る場合もある。
【0096】
(1)時間情報
時間情報は、この例では1フィールド毎に更新される時刻データである。したがって、この時間情報は、複数フィールドにも渡る場合もある選択手順情報や返信先情報と異なり、1フィールド毎の固有の情報であり、NTSC方式のテレビジョン信号の場合、1/60秒の精度となる。この時刻データには、年月日、曜日が含まれる。もちろん、用途によっては、年月日、曜日は含めなくてもよい。
【0097】
なお、選択手順情報や返信先情報部分を除いて、この時間情報のみを副放送情報として、フィールド毎に多重化して放送するようにしてもよい。また、時間情報は、常時、多重化するのではなく、視聴者の応答を期待する期間のみ、例えば双方向番組のときにのみ、多重化して放送するようにしてもよい。さらに、時間情報は、1フィールド毎に更新するのではなく、許容される時刻精度を考慮して複数フィールド毎に更新するようにしてもよい。
【0098】
(2)選択手順情報
選択手順情報は、通信用プロトコルのような、いわば、一つのプログラムの塊であって、この例の場合には、選択手順識別情報と、選択手順の情報と、表示/音声データと、時間制限情報と、その他の情報から構成される。選択手順情報は、かなりの情報量となり得るため、前述したように、複数のフィールドにわたって多重されることもある。
【0099】
選択手順識別情報は、視聴者が選択結果を返信する際に、その返信情報に付加して送信することにより、当該選択結果がその選択手順、つまり、どの質問、どのアンケート項目、どのクイズ問題に対しての答えであるのかを、返信先で判断するための識別子である。この選択手順識別情報の返送によって、返信先では、遅れて受け取った答えであっても、どの問題に対しての答えであるかの判断ができる。
【0100】
選択手順は、中間言語的な記述による、メニュー選択のプログラムであって、ここに記載された流れに従って、例えばイメージ表示、文字列表示、動画表示などにより、画面への表示が行なわれ、また、場合によっては音声メッセージが再生される。また、視聴者からの操作の受付や、この操作に対しての画面の表示の切り換えなどの応答処理も行なわれる。
表示/音声データは、上述のような、イメージ、文字列、動画などの表示に用いるためのフォント、グラフィック、アニメーション、動画などのデータ及び音声メッセージのデータである。
【0101】
時間制限情報は、上述の選択手順識別情報により示される、選択内容への返信を許可する有効時間(応答許可時間)と、メニュー表示に何らの操作がない場合に、受信側で自動的に表示を中止するまでの時間の情報である。
受信側で表示を中止する場合には、正解を放送するまでの予定時間が設定される。
(3)返信先情報
次に、返信先情報は、通信環境設定情報と、返信先の電話番号と、その他の情報などで構成される。
通信環境設定情報は、返信の際の通信速度、パリティの有無、NMPの使用の有無、Xモデム方式などからなる。返信先の電話番号は、視聴者の選択操作により答えが返信されるときの自動ダイヤルのために用いられ、この電話番号の返信先に対して、前記通信環境設定情報により設定された環境に従って、前述した図6に示すような返信情報が視聴者から返信される。
【0102】
なお、この文字多重形式で番組関連情報を多重した場合、受信装置では、その情報中の時間情報を用いて、応答操作時刻を形成することができる。すなわち、応答操作が行われたときの多重情報中の時間情報を取り込み、この時間情報を応答操作時刻として返信先に送信するようにするものである。
【0103】
上述のように、番組関連情報を文字多重信号形式に構成した場合、情報の伝送速度が格段に早くなるので、返信先の電話番号などを、DTMF信号により伝送する場合には、1桁ごとに画面に表示しなければならないが、この文字多重放送方式の場合には、返信先情報の受信が終了した時点で、一括して、受像管の画面に表示することができる。
【0104】
なお、この発明は、上述のような返信先などの双方向番組関連情報を主放送信号に多重する場合に限らない。例えば、返信先の電話番号や応答の入力手順を示す情報は、双方向放送番組の主放送信号による画像や音声として放送する番組の時にも、この発明は適用可能である。
【0105】
また、上述の実施例では、受信装置が有する識別情報として、双方向放送番組対応のテレビジョン受信機の生産時に設定されている個々の機器で固有の識別情報、いわゆる製造番号を用いたが、この他にも、電話番号や郵便番号あるいは、上述したようにデータベースセンタへの登録時に付けられる登録番号などを用いることもできる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、テレビショッピングや双方向放送のように、放送番組により不特定多数の視聴者に提供された応答要求に対して、不特定多数の視聴者が電話回線を通じて応答情報を送信する場合、応答情報の送信が、一時的に集中することを防止し、分散させることができる。これは、応答操作が行われると同時に応答情報の送信を行うのではなく、応答操作時刻と応答情報の送信時刻を異ならせることにより不特定多数の視聴者からの応答情報の送信を分散させることによる。これにより、電話回線にかかる付加を軽減し、電話回線がいわゆるパンク状態になることを防止できる。
【0107】
また、放送信号の受信側から返信先に送信されてくる応答情報に、応答操作時刻などの応答操作が行われた時点に関する情報を含めて送信することにより、返信先において、実際の応答操作時刻を正確に把握することができる。これにより、早押し型のクイズ番組のように応答操作時刻が重要な双方向放送についても集中する応答の送信を分散することができると共に、応答操作時点を公正に処理することができる。
【0108】
また、この発明においては、応答に制限時間がある場合に、制限時間終了時刻直前に集中する応答に対しては、制限時間終了後の時間に渡って応答情報の送信を分散させる行うようにしたので、制限時間終了時刻直前の僅かな時間に集中する応答の送信を、より長い時間に渡って分散することができ、その分散効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による双方向放送の受信装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】DTMF信号を説明するための図である。
【図3】DTMF信号の送出条件を説明するための図である。
【図4】この発明による双方向放送の受信装置の一実施例における応答情報の送信時刻を分散させるための処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4の応答情報の送信時刻を分散させる処理の説明に供する図である。
【図6】この発明の一実施例の応答情報の例を説明するための図である。
【図7】この発明による双方向放送システムの他の実施例の要部の構成を説明するための概念図である。
【図8】双方向番組に対する視聴者側からの応答の頻度の一例を示す図である。
【図9】双方向番組に対する視聴者側からの応答の頻度の他の例を示す図である。
【図10】双方向番組に対する視聴者側からの応答の頻度の他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 信号系
13 映像復調器
14 オーディオ復調器
20 制御系
21 CPU
23 DRAM
24 SRAM
31 前処理回路
32 DTMFデコーダ
33 モデム
34 リモコン送信機
37 タイマ回路
Claims (6)
- 放送局側から、返信先に関する情報を伴う双方向番組の提供を行うと共に、受信側から上記双方向番組に対するユーザの応答の情報を上記返信先に送信するようにした双方向放送システムであって、
上記受信側は、
固有の識別番号を記憶保持するメモリと、
現在の時刻情報を提供する時計回路と、
ユーザによって上記双方向番組に対する応答操作がなされたときに、上記時計回路から取得した上記応答操作がなされた時刻の情報と上記メモリから読み出した上記識別番号とを用いる上記双方向番組に対する応答の送信時刻を分散させる計算式に基づいて、上記双方向番組に対する応答の送信時刻を設定する送信時刻設定手段と、
上記送信時刻設定手段により設定される送信時刻において、上記応答の情報に少なくとも上記識別番号を含めて、上記返信先に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする双方向放送システム。 - 請求項1に記載の双方向放送システムにおいて、
上記受信側は、上記送信手段により上記返信先に送信する上記応答の情報に、応答操作が行われた時点に関する情報を含める手段を備えることを特徴とする双方向放送システム。 - 請求項1に記載の双方向放送システムにおいて、
上記放送側は、上記返信先に関する情報やユーザからの応答の制限時間などを含む双方向番組関連情報を上記双方向放番組の放送信号に多重して放送し、
上記受信側において、
上記送信時刻設定手段は、ユーザによって上記応答の制限時間内に上記双方向番組に対する応答操作がなされたとき、上記送信時刻を上記制限時間外の時間を含む所定の時間範囲内において設定するように演算し、
上記応答送信手段は、上記送信時刻において、上記応答操作が行われた時点に関する情報を含む上記応答の情報を、上記返信先に送信する
ことを特徴とする双方向放送システム。 - 放送局側から提供される双方向番組に対するユーザの応答を所定の返信先に送信するようにする双方向放送の受信装置であって、
上記双方向番組に対する応答の情報を入力する入力手段と、
入力された上記応答の情報を上記放送側の返信先に送信する送信手段と、
現在の時刻情報を提供する時計回路と、
自装置に割り当てられた識別番号を記憶する手段と、
上記入力手段を通じて上記双方向番組に対する応答の情報の入力を受け付けたときに、上記時計回路から取得した応答操作がなされた時刻の情報と上記識別番号とを用いる上記双方向番組に対する応答の送信時刻を分散させる計算式に基づいて、上記双方向番組に対する応答の送信時刻を設定する送信時刻設定手段と
を備え、
上記設定された時刻になったときに、少なくとも上記識別番号を含めた上記応答の情報を上記送信手段により上記返信先に送信するようにした双方向放送の受信装置。 - 請求項4に記載の双方向放送の受信装置であって、
上記応答操作が行われた時点に関する情報を、上記応答の情報に含める手段を設けたことを特徴とする双方向放送の受信装置。 - 請求項4に記載の双方向放送の受信装置であって、
放送信号に多重化された双方向番組の返信先に関する情報や双方向番組に対するユーザからの応答操作の受け付けを制限するための応答の制限時間情報などを含む双方向番組関 連情報を抽出する手段と、
抽出した上記双方向番組関連情報の上記制限時間情報を記憶する手段と、
上記応答操作が行われた時点に関する情報を上記応答の情報に含める手段と、
上記時計回路からの時刻情報により、上記応答操作が行われた時刻が、上記応答の制限時間により定まる応答終了時刻よりも前の所定時間内であるか否か判別する判別手段と
を備え、
上記送信時刻設定手段は、上記判別手段からの判別結果から上記応答操作が行われた時刻が、上記応答終了時刻よりも前の上記所定時間内であるときは、上記応答の終了時刻を越えた所定時間内において、上記応答の情報の送信時刻を設定するようにしたことを特徴とする双方向放送の受信装置。
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