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JP3695636B2 - グロメット - Google Patents

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JP3695636B2
JP3695636B2 JP2000002734A JP2000002734A JP3695636B2 JP 3695636 B2 JP3695636 B2 JP 3695636B2 JP 2000002734 A JP2000002734 A JP 2000002734A JP 2000002734 A JP2000002734 A JP 2000002734A JP 3695636 B2 JP3695636 B2 JP 3695636B2
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    • B60R16/02Electric or fluid circuits specially adapted for vehicles and not otherwise provided for; Arrangement of elements of electric or fluid circuits specially adapted for vehicles and not otherwise provided for electric constitutive elements
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    • B60R16/0215Protecting, fastening and routing means therefor
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はグロメットに係り、特に車体パネル等の取付板に対してワイヤーハーネス等の長尺部材を確実、かつ、容易に貫通保持できるグロメットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の車体パネルを貫通するようにワイヤーハーネスを配設するためのグロメットが各種提案されており、本願出願人も、ワイヤーハーネスに嵌合する小径筒部と、取付孔に嵌合可能な大径筒部と、小径筒部および大径筒部を連結するテーパ筒部と、大径筒部の外周面に沿って設けられた溝縁部および押え片とを備えたグロメットを提案した(特開平8-212857号公報:従来例)。
【0003】
この従来例によれば、大径筒部の内周面が外方を向くように裏返すことにより、押え片の周縁を先細りの円筒状に変形させて取付孔に挿通し、次いで小径筒部を取付孔に押し込めば、押え片が初期形状に復元しようとする反発力により、溝縁部が取付孔の開口縁部に係合するように大径筒部が初期形状に復元し、これにより小さい力で簡単、かつ、確実にワイヤーハーネスを配設できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来例は、取付孔の開口縁部に対して溝縁部を均等に係合させるために、集合させた複数の舌片を取付孔に対して軸線が一致するように挿入する必要がある。
ところが、この従来例は、各舌片を取付孔の中心に位置決めできる構造を取り入れていないため、取付孔に溝縁部が均等に係合しない可能性があり、改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は車体パネル等の取付板を貫通するようにワイヤーハーネス等の長尺部材を容易、かつ、確実に配設できるグロメットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、取付板に形成された取付孔に長尺部材を貫通保持するために、前記長尺部材を挿通可能な第1円筒部と、前記第1円筒部の外周面に設けられた環状の接続部を介して接続された第2円筒部と、前記第2円筒部の外周面に沿って設けられた溝部と、前記第2円筒部の外周面における前記溝部と前記接続部との間から放射状に設けられた複数の鍔部とを有し、前記第2円筒部を内周面が外方を向くように裏返すことにより前記各鍔部の先端部を先細り状に集合させて前記取付孔に挿入し、次いで前記第2円筒部を初期形状に復元させることにより前記第1円筒部を前記取付孔内に挿通させるとともに、前記取付孔の開口縁部に前記溝部を嵌合させるグロメットを前提としている。
【0007】
そして、前述した目的を達成するために、本発明のグロメットは、請求項1に記載したように、前記第1円筒部の外周面から放射状に突出するとともに前記取付孔に内接可能な複数の案内部を備え、前記第2円筒部を裏返したときに前記各鍔部が前記各案内部に干渉することなく前記第1円筒部の外周面に密着可能であることを特徴としている。
【0008】
ここで、第1円筒部としては、ワイヤーハーネス等の長尺部材における外径寸法に対応した内径寸法を有していればよく、長尺部材が圧入されるように若干小さな内径寸法を有していてもよい。なお、この第1円筒部は、長手方向に沿って同一の内径寸法あるいは外径寸法が連続している必要はなく、例えば段付き円筒形状や先細り円筒形状であってもよい。
そして、接続部としては、第1円筒部の外周面における任意位置から径方向に突出するとともに周方向に連続していればよく、例えば平坦なリング状や略円錐状に形成しておけばよい。
【0009】
一方、第2円筒部としては、取付孔の内径寸法に対応した外径寸法を有していればよく、その基端部が接続部の周縁に接続されていればよい。
従って、これらの第1円筒部および第2円筒部としては、例えば略入れ子状に配置されていてもよく、あるいは軸線方向に沿うように接続部を介して連設配置されていてもよい。
【0010】
なお、第1円筒部,接続部および第2円筒部は、適度な弾力性,耐水性を有する合成樹脂により互いに一体形成されていてもよいが、第2円筒部に適度な弾力性,耐水性が得られれば互いに別体であってもよい。
さらに、鍔部としては、第2円筒部の外周面における周方向に沿って所定の等間隔あるいは不等間隔で複数設けておけばよく、第2円筒部を裏返したときにそれぞれの先端が各案内部の間に到達し、かつ、第1円筒部の外周面に密着できるように、第2円筒部の軸線に対する突出角度や第2円筒部の外周面からの突出長さを個々に選択しておけばよい。
【0011】
また、案内部としては、第1円筒部の軸線に対して平行な板状や、あるいは第1円筒部の径方向に沿う板状,棒状等に形成しておけばよい。これらの案内部は、突出長さを同一に設定するとともに、前述した各鍔部の先端部が干渉しないように、第1円筒部の周方向に沿って等間隔あるいは任意の不等間隔で配置しておけばよい。
すなわち、各鍔部および各案内部の相対位置は、例えば各鍔部が第2円筒部の軸線を中心として90度間隔で放射状に設けられている場合、各案内部も第1円筒部の軸線を中心として90度間隔、かつ、各鍔部の突設方向に対する角度位相を45度に設定しておけばよい。
【0012】
このように構成されたグロメットにおいては、複数の案内部が取付孔に内接可能であるため、各案内部の突出長さが同一であれば、取付孔に対して軸線が一致するように第1円筒部を挿入できることになる。そして、このグロメットにおいては、第2円筒部を裏返すことにより筒状に集合した各鍔部が第1円筒部の外周面に密着可能であるため、取付孔に対して第1円筒部の軸線が一致した状態を維持したまま、各鍔部を取付孔に挿入できることになる。
すなわち、このようなグロメットにおいては、第1円筒部および第2円筒部が同軸配置され、かつ、各案内部の突出長さが同一であれば、第1円筒部を取付孔に挿入することにより、筒状に集合した各鍔部を取付孔に対して自動的に軸線を一致させて挿入できることになる。
【0013】
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記第1円筒部の開放端部に向かって拡開する錐面に沿って前記各鍔部が突設されていることを特徴としている。
このようなグロメットによれば、あらかじめ各鍔部が第1円筒部の開放端部に向かって傾斜しているため、各鍔部が第2円筒部の軸線に対して直交する同一平坦面に沿って突設されている場合に比較して、第2円筒部を完全に裏返すことなく各鍔部を先細りの筒状に集合できることになる。
【0014】
また、このグロメットによれば、あらかじめ各鍔部が第1円筒部の開放端部に向かって傾斜しているため、各鍔部が第2円筒部の軸線に対して直交する同一平坦面に沿って突設されている場合に比較して、第2円筒部の軸線に沿った投影面積を小さくできることになる。
すなわち、このようなグロメットによれば、溝部を取付孔の開口縁部に嵌合させたときの取付板に対する占有面積を小さくできるため、車体スペースを有効利用できることになる。
【0015】
さらに、本発明は、請求項3に記載したように、前記各鍔部の鍔面に形成されたリブを有し、前記リブが前記鍔部における基端部から先端部に向かって連続していることを特徴としている。
ここで、鍔面としては、鍔部における第1円筒部の開放端部側を向く第1鍔面と、鍔部における第2円筒部の開放端部側を向く第2鍔面とのうちの一方あるいは双方を採用できる。
【0016】
また、リブとしては、鍔面に沿った直線状,曲線状,角形状,閉曲線状等に形成しておけばよい。そして、線状のリブを複数形成する場合、互いに平行配置しておいてもよく、あるいは交差するように配置しておいてもよい。
このようなリブは、所定厚みの鍔部に対して厚み方向に肉盛りすることにより形成してもよく、あるいは所定厚みの鍔部を厚み方向に適宜肉抜きすることにより形成してもよい。
【0017】
このように構成されたグロメットは、例えば鍔部の第1鍔面および第2鍔面にそれぞれリブが形成されている場合、第2円筒部を裏返せば第1円筒部の外周面に対して第1鍔面がリブを介して接触するとともに、この状態で第1円筒部を取付孔に挿入すれば取付孔の内周面に対して第2鍔面がリブを介して接触することになる。
この際、各鍔部は、リブの断面形状が山形状であれば第2円筒部あるいは取付孔の内周面に対して線接触し、リブの断面形状が矩形状であれば第2円筒部あるいは取付孔の内周面に対して帯状に面接触することになる。
そして、このグロメットは、第2円筒部を初期形状に復元させるために、各鍔部の鍔面を第2円筒部あるいは取付孔の内周面に対して線摺接あるいは帯状に面摺接させることになる。
【0018】
すなわち、このように構成されたグロメットにおいては、各鍔部の鍔面が平坦に形成された場合に比較して、先細りに変形させた各鍔部を取付孔に挿入する際の挿入抵抗を低減できるとともに、第2円筒部が初期形状に復元する際に第2円筒部と鍔面との間に生ずる摺接抵抗を低減でき、これらによりワイヤーハーネス等の配策作業を容易化できることになる。
【0019】
さらに、本発明は、請求項4に記載したように、前記リブと、前記第2円筒部の外周面との間に切欠部が設けられていることを特徴としている。
ここで、具体的なリブの形状としては、例えば鍔面の周縁に沿って略コ字状,略V字状に形成しておき、かつ、両端部が第2円筒部の外周面に連続しないように形成しておけばよい。
【0020】
本発明のグロメットは、例えば鍔部の基端部においてリブが第2円筒部の外周面に対して連続するように形成されている場合、各鍔部を集合させるために第2円筒部の外周面に対して鍔部を折り曲げると、鍔部の基端部においてリブが圧縮され、これにより鍔部の折曲抵抗が生ずる。
これに対して、請求項4に記載したように構成されたグロメットにおいては、リブと第2円筒部の外周面との間に切欠部が設けられているため、当該個所に切欠部が設けられていない場合に比較して鍔部の折曲抵抗を低減でき、ワイヤーハーネス等の配策作業を容易化できることになる。
【0021】
そして、本発明は、請求項5に記載したように、前記各案内部が前記第1円筒部の軸線に対して平行な稜部を有し、前記第2円筒部を裏返したときに、前記各稜部に接する仮想的な円筒内に前記各鍔部の先端部を配置可能であることを特徴としている。
ここで、各案内部における第1円筒部の軸線方向に沿った断面形状を略山形状あるいは略台形状とすることにより、線状あるいは面状の稜部を例示できる。
【0022】
このように構成されたグロメットにおいては、各案内部に稜部が設けられているため、取付孔に対して軸線が一致した状態を維持したまま、第1円筒部を軸方向に沿って所定寸法移動できることになる。そして、このグロメットにおいては、各鍔部の先端部が各稜部に接する仮想的な円筒内に配置されるため、第1円筒部を軸方向に沿って移動させれば、取付孔に対して軸線が一致した状態を維持したまま、各鍔部の先端部が取付孔を通過して取付板の裏面側に到達することになる。
すなわち、このようなグロメットにおいては、第2円筒部を裏返して第1円筒部を取付孔に挿入し、軸方向に沿って所定寸法移動すれば、取付孔に対して自動的に各鍔部を軸線が一致した状態で挿入できることになる。
【0023】
また、本発明は、請求項6に記載したように、前記第2円筒部の開放端部から内周面に及ぶスリットを有し、前記開放端部に現れた前記スリットの中心線は、前記第2円筒部の軸線から放射状に延びる直線上にあり、前記内周面に現れた前記スリットの中心線は、前記軸線と平行していることを特徴としている。ここで、スリットとしては、当該スリットを挟んで対向する一対の壁が密接する単なる切込であってもよく、断面略V字状,断面略U字状等の溝であってもよい。
【0024】
一般に、内周面が平坦な第2円筒部を裏返す場合、小径、かつ、凹状の内周面を大径、かつ、凸状の外周面として変形させることになるため、換言すれば内周面全域に引張負荷を加えることになるため、第2円筒部の変形抵抗が大きく、均等に裏返し難い。
これに対して、請求項6に記載したグロメットにおいては、第2円筒部の開放端部から内周面に及ぶスリットが設けられているため、第2円筒部を裏返すと各スリットが断面形状を拡大するように変形することになる。
すなわち、このグロメットにおいては、裏返すことにより第2円筒部の内周面全域に加わる引張負荷が、各スリットが変形することにより特定の複数個所に分散し、結果的に総体的な変形抵抗が緩和されるため、これにより第2円筒部を均等、かつ、容易に裏返せることになる。
【0025】
ところで、請求項1に記載したグロメットは、第1円筒部にワイヤーハーネス等の長尺部材を挿通させた後、第1円筒部内に充填した充填材を固化させることにより長尺部材を固定し、次いで接続部における任意の周方向に沿った線を境界として内周面が外方を向くように第2円筒部を反転させて出荷,保管されることが多い。
ここで、前述したグロメットは、接続部において境界となる部位を意図的に設けられていないため、例えば接続部の軸線に対して傾いた線を境界として第2円筒部が反転したり、あるいは出荷,保管中に接続部の境界に相当する部位が弾性反発力により初期形状に復元する虞れがある。これらの場合、前述したグロメットは、車体パネル等の取付板に対して取り付ける前に、再び第2円筒部を反転させる必要が生じる。
【0026】
これに対して、本発明のグロメットは、請求項7に記載したように、前記接続部の外周面および内周面のうちの一方における周方向に沿って薄肉部が設けられていることを特徴としている。
ここで、薄肉部としては、接続部の周方向に連続する溝や、周方向に沿って所定間隔で設けられた多数の凹部等を例示できる。そして、これらの溝,凹部は、略半円状,略V字状,略U字状,矩形状等の断面形状を採用でき、接続部の外周面および内周面のうちの一方あるいは双方に設けておけばよい。
【0027】
このようなグロメットにおいては、接続部の円周方向に沿って薄肉部が設けられているため、第2円筒部が薄肉部を境界として反転する。
従って、このグロメットにおいては、薄肉部が接続部の軸線に対して直交する面に沿って設けられていれば、接続部の軸線に対して傾いた線を境界として第2円筒部が反転する虞れを解消できるとともに、接続部における他の部位に比較して薄肉部の弾性反発力が弱いため、従来に比較して出荷,保管中に接続部が初期形状に復元する虞れを少なくできることになる。
【0028】
また、本発明のグロメットにおいては、請求項8に記載したように、前記薄肉部が周方向に連続する溝により設けられていることを特徴としているため、接続部の周方向に沿って多数の凹部を所定間隔で設けた場合に比較して、接続部において境界となる部位を確実に規定できることになる。
【0029】
次に、請求項1に記載したグロメットは、第2円筒部が反転した状態で出荷,保管される場合、第2円筒部が容易に反転できるとともに、取付板に対する取付作業にあたって、容易に第2円筒部が初期形状に復元できることが好ましい。
ここで、前述したグロメットは、第2円筒部を初期形状から反転させる場合、あるいは反転状態の第2円筒部を初期形状に復元させる場合、接続部を周方向に引き伸ばすような拡径変形が生じる。
【0030】
しかしながら、前述したグロメットにおいて、接続部の外周面が平坦である場合、換言すれば接続部の特定個所において拡径変形を意図的に誘発させる部位が設けられていないことになる。
この場合、グロメットは、第2円筒部を初期形状から反転させる場合、あるいは反転状態の第2円筒部を初期形状に復元させる場合、接続部の外周面全域を周方向に引き伸ばす拡径変形が生じるまで強い力で取付孔に押し込む必要がある。
【0031】
これに対して、本発明のグロメットは、請求項9に記載したように、前記接続部の外周面に、前記第2円筒部に向かって拡開する複数の凹部が設けられており、前記凹部の各々は、前記接続部の軸線を通る対称面に対して面対称の形状を有していることを特徴としている。
ここで、凹部としては、接続部の外周面に段差を設けるとともに内周面を平坦化しておくことにより薄肉化する構造や、あるいは接続部の外周面に段差を設けるとともに内周面に凸部を設けることにより他の部位と同一の肉厚寸法を確保する構造等を例示できる。
【0032】
このように構成されたグロメットにおいては、接続部の外周面に複数の凹部が設けられているため、第2円筒部を初期形状から反転させる場合、あるいは反転状態の第2円筒部を初期形状に復元させる場合、接続部の特定個所において拡径変形が発生し、これにより接続部の外周面が平坦である場合に比較して弱い力で取付孔に押し込めばよいことになる。
また、このグロメットにおいては、各凹部は、接続部の軸線を通る対称面に対して面対称の形状を有し、かつ、第2円筒部側に向かって拡開するように設けられているため、接続部の拡径変形が均等に生じることになる。
【0033】
ところで、前述したグロメットは、各鍔部の基端部が接続部に対する部分的な補強材として機能するため、第2円筒部を初期形状から反転させる場合、あるいは反転状態の第2円筒部を初期形状に復元させる場合、接続部における各鍔部の基端部に相当する部位に拡径変形が生じ難い。
これに対して、本発明のグロメットにおいては、請求項10に記載したように、前記各凹部が前記各鍔部間に対応する箇所に設けられているため、各鍔部の影響を受け難い、すなわち周方向に引き伸ばし易い部位の拡径変形を更に促進できることになる。
【0034】
また、請求項1に記載したグロメットは、第2円筒部が反転した状態で出荷,保管された場合、例えば断面略U字形状の溝部において互いに対向する稜線同士が密着して断面略Δ字形状に変形されるため、取付板に対する取付作業にあたって、各稜線が容易に離反できることが好ましい。
これに対して、本発明のグロメットは、請求項11に記載したように、前記溝部における前記接続部側を向く側面と、前記第2円筒部の外周面とが交差してなる稜線に設けられた出隅部および切欠部を有し、前記出隅部および前記切欠部が前記第2円筒部の周方向に沿って交互に設けられていることを特徴としている。
【0035】
ここで、切欠部としては、溝部の側面および第2円筒部の外周面に対してそれぞれ所定の角度で交差する円錐面や、あるいは溝部の側面および第2円筒部の外周面に対してそれぞれ凹状の段差となる入隅等を例示できる。
そして、出隅部および切欠部としては、第2円筒部の周方向に沿った長さが同一である必要はなく、それぞれ独自の長さを有していればよい。
【0036】
このように構成されたグロメットにおいては、溝部の稜線に沿って出隅部および切欠部が交互に設けられているため、第2円筒部が反転した状態で出荷,保管される場合、断面略U字状の溝部が断面略Δ字形状に変形されていても、稜線の出隅部のみが他の稜線に対して密着し、他の稜線と切欠部との間に空隙が確保されていることになる。
すなわち、このグロメットにおいては、取付板に対する取付作業にあたって、溝部の稜線に切欠部が設けられていない場合に比較して、溝部の各稜線が容易に離反できることになる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本発明の第1実施形態であるグロメット10は、自動車の車体パネル11を貫通するようにワイヤーハーネス(図示せず)を配設するために、車体パネル11に設けられた取付孔12にワイヤーハーネスを挿通保持した状態で嵌合可能とされている。取付孔12は円形状とされ、開口縁部に沿って所定高さのフランジ13が形成されている。
【0038】
そして、グロメット10は、ワイヤーハーネスを挿通可能な第1円筒部21と、第1円筒部21の外周面に設けられた環状の接続部23と、接続部23を介して第1円筒部21に同軸接続された第2円筒部22と、第2円筒部22の外周面に沿って設けられた溝部24と、第2円筒部22の外周面に設けられた複数の鍔部25と、第1円筒部21の外周面に設けられた複数の案内部26とを含んで構成されている。溝部24は、取付孔12のフランジ13が嵌合可能な断面略コ字状とされ、第2円筒部22の周方向に沿って連続形成されている。
このようなグロメット10は、適度な弾力性,耐水性を有する合成樹脂により、第1円筒部21,第2円筒部22,各鍔部25および各案内部26が一体形成されている。
【0039】
第1円筒部21は、小径部27および大径部28が同一軸線に沿って連設された段付き形状とされている。
小径部27は、ワイヤーハーネスの外径寸法に対応した内径寸法を有しているとともに、内周面に沿って円環状のリブ27Aが複数設けられている。
この小径部27は、ワイヤーハーネスが圧入されると、各リブ27Aが弾性変形しながらワイヤーハーネスの外周面に密着し、これにより気密性を維持しながらワイヤーハーネスを保持するようになっている。
【0040】
一方、大径部28は、小径部27の内径よりも大きな内径寸法を有しているとともに、内周面に沿って円環状のリブ28Aが複数設けられている。
この大径部28は、ワイヤーハーネスが小径部27に圧入された後、所定の充填材を充填して固化させることにより、気密性を維持しながらワイヤーハーネスを保持するようになっている。
【0041】
接続部23は、前述した小径部27および大径部28の境界部分から小径部27の開放端に向かって拡開する略円錐形状とされている。
第2円筒部22は、取付孔12の開口寸法に対応した外径寸法を有しているとともに、小径部27の外径寸法よりも大きな内径寸法を有し、接続部23に接続されている。従って、この第2円筒部22は、所定間隔を空けて小径部27を収容するように、小径部27に対して略入れ子状に配置されている。
【0042】
図3にも示すように、この第2円筒部22は、開放端部側の端面22Aに多数の凸部30が形成されているとともに、内周面22Bに多数のスリット31が設けられている。
凸部30は、所定厚みを有する略三角形板状とされ、その長手方向が端面22Aに沿うとともに第2円筒部22の軸線を中心とした放射線に沿うように設けられている。
【0043】
一方、スリット31は、第2円筒部22の内周面22Bにおける開放端部の放射位置に設けられていて、第2円筒部22の端面22Aにおいて外周方向に向かって先細りとなる略V字状の端面開口31Aと、第2円筒部22の内周面において第1円筒部21に向かって先細りとなる略V字状に内周面開口31Bとを有している。これらのスリット31は、第2円筒部22の内周面22Bにおいて、軸線に対して平行、かつ、所定長さ連続している。
【0044】
図1および図2に戻って、鍔部25は、溝部24と接続部23との間から第1円筒部21の開放端部に向かって拡開する仮想的な錐面に沿って突設されている。これらの鍔部25は、第1円筒部21の開放端部側を向く第1鍔面25Aに凹部32が設けられているとともに、第2円筒部22の開放端部側を向く第2鍔面25Bに凹部33が設けられている(図4参照)。
【0045】
従って、第1鍔面25Aおよび第2鍔面25Bは、それぞれ平面周縁に沿うとともに基端部から先端部に向かうリブ34,35が形成されている。
第1鍔面25Aに形成されたリブ34は、第1鍔面25Aの周縁に沿って連続する平面略コ字状とされ、その両端部が第2円筒部22の外周面に対して離間配置されている。すなわち、鍔部25は、リブ34の両端部と、第2円筒部22の外周面との間に切欠部36が設けられている。
これらのような鍔部25は、第1円筒部21の軸線を中心として互いに90度間隔で設けられているとともに、第2円筒部22を裏返したときに、当該各鍔部25の先端部が第1円筒部21の外周面に到達可能な突出長さを有している。
【0046】
再び図1および図2に戻って、案内部26は、所定厚みを有する板状とされ、側面形状が第1円筒部21の軸線に対して平行な帯状の稜部26Aと、第1円筒部21の軸線に対して傾斜する面取部26Bとを有する略台形状とされている。
これらの案内部26は、第1円筒部21の径方向に沿うとともに、互いに直交する方向に向かって突出されていて、それぞれの稜部26Aが第1円筒部21に対して離れる方向を向くように配置されている。
【0047】
また、これらの案内部26は、第2円筒部22を裏返したときに前述した各鍔部25が干渉することなく第1円筒部21の外周面に密着できるように、各鍔部25に対して、第1円筒部21の軸線および第2円筒部22の軸線を中心とする角度位相が45度に設定されていている(図1矢印参照)。
なお、各鍔部25は、第2円筒部22を裏返したときに、ぞれぞれの先端部が各案内部26の稜部26Aに相当する位置に到達できるような長さに設定されている。
【0048】
次に、このようなグロメット10を用いたワイヤーハーネスの配設手順を説明する。
まず、ワイヤーハーネスをグロメット10の第1円筒部21に挿通し、大径部28に所定の充填材を充填させて固化させておく。
【0049】
そして、図5に示すように、第1円筒部21に対して接続部23近傍を支点として、第2円筒部22を内周面が外方を向くように裏返すことにより、各鍔部25を先細りの筒状に集合変形させるとともに、それぞれの第1鍔面25Aを第1円筒部21の外周面に密着させる。
この際、各鍔部25は、第1鍔面25Aに形成されたリブ34の両端部と、第2円筒部22の外周面との間に切欠部36が設けられているため、当該個所に切欠部36が設けられていない場合に比較して当該鍔部25の変形抵抗を低減できる。
また、各鍔部25は、各案内部26に干渉することなく、ぞれぞれの先端部が各案内部26の稜部26Aに相当する位置に到達するとともに、第1鍔面25Aがリブ34を介して第1円筒部21の外周面に接触する。
【0050】
また、第2円筒部22は、あらかじめ各鍔部25が第1円筒部21の開放端部に向かって拡開する仮想的な錐面に沿って突設されているため、当該第2円筒部22を完全に裏返すことなく各鍔部25が先細りの筒状に集合する。
この際、第2円筒部22は、裏返しに伴って各スリット31が断面形状を拡大するように変形するため、内周面22B全域に加わる引張負荷が特定の複数個所に分散し、結果的に総体的な変形抵抗が緩和される。このため、第2円筒部22は均等、かつ、容易に裏返される。
【0051】
次に、図5(B)に示すように、第1円筒部21を取付孔12に挿通し、各案内部26の稜部26Aを取付孔12に内接させるとともに、多数の凸部30を介して第2円筒部22の端面22Aを車体パネル11の表面(図5(B)中右方)に押し当て、溝部24を断面略Δ字状に変形させる。
この際、各案内部26が面取部26Bにより互いに先細りに形成されているため、各稜部26Aが取付孔12に対して内接するように案内され、これにより取付孔12に対して第1円筒部21が確実に同一軸線上に配置される。
【0052】
また、この際、各鍔部25は、ぞれぞれの先端部が各案内部26の稜部26Aに相当する位置に到達しているため、ぞれぞれの先端部が自動的に取付孔12を通過し、車体パネル11の裏面側(図5(B)中左方)に配置される。
この際、各鍔部25には、第2円筒部22に対する突出角度が変えられるような外力が加わっている。
【0053】
その後、第2円筒部22の凸部30を車体パネル11の表面に当接させた状態でワイヤーハーネス(図示せず)を車体パネル11から図5(B)中左方に向けて押すことにより、第2円筒部22を初期形状に復元するように断面略U字状に変形させながら、取付孔12から各案内部26を脱出させる。
この際、グロメット10は、ワイヤーハーネスが充填材を介して第1円筒部21に保持されているため、ワイヤーハーネスを図中左方に向けて押しても、第1円筒部21からワイヤーハーネスが脱落する虞れはない。
【0054】
続いて、ワイヤーハーネスを図5(B)中左方に向けて更に押すと、第2円筒部22の凸部30を車体パネル11に対して摺接させるとともに、各鍔部25の第1鍔面25Aおよび第2鍔面25Bをそれぞれ第1円筒部21の外周面および取付孔12の内周面に対して摺接させながら、第2円筒部22における元来外周面であった内周面が反転するように変形を開始する。
【0055】
この際、第2円筒部22の端面22Aが車体パネル11に対して面密着している場合には、第2円筒部22の内外に生じた気圧差により、第2円筒部22の端面22Aが車体パネル11に張り付き、第2円筒部22の反転に支障が生ずる。
しかしながら、このグロメット10では、前述した各凸部30を介して第2円筒部22の端面22Aが車体パネル11に当接しているため、第2円筒部22の内外に気圧差が生じないとともに、車体パネル11に対する摺接抵抗を軽減して円滑に第2円筒部22が反転しようとする。
【0056】
また、このグロメット10では、第2円筒部22の反転に伴って、第1円筒部21の外周面に対して第1鍔面25Aがリブ34を介して摺接するとともに、取付孔12の内周面に対して第2鍔面25Bがリブ35を介して摺接するため、第1鍔面25Aおよび第2鍔面25Bが平坦である場合に比較して摺接抵抗が少ない。
この後、ワイヤーハーネスを図5(B)中左方に向けて更に押し、各鍔部25の基端部が取付孔12を通過する位置まで移動すると、各鍔部25が第2円筒部22に対する突出角度を初期状態に復元するような強い反発力が開放される。
【0057】
従って、各鍔部25を拡開させながらグロメット10が自力で図中左方に移動するとともに、溝部24が断面略コ字状に復元しながら取付孔12のフランジ13に溝部24が嵌合する(図2(A)の状態)。
【0058】
前述したグロメット10によれば、取付孔12に内接可能な複数の案内部26に干渉することなく、各鍔部25が第1円筒部21の外周面に密着可能であるため、取付孔12に対して第1円筒部11の軸線が一致した状態を維持したまま、すなわち筒状に集合した各鍔部25を取付孔12に対して軸線を一致させて挿入できる。
【0059】
さらに、このグロメット10によれば、第1円筒部21の開放端部に向かって拡開する錐面に沿って各鍔部25が突設されているため、各鍔部25が第2円筒部22の軸線に対して直交する同一平坦面に沿って突設されている場合に比較して、第2円筒部22を完全に裏返すことなく各鍔部を先細りの筒状に集合できる。
また、このグロメット10によれば、あらかじめ各鍔部25が第1円筒部21の開放端部に向かって傾斜しているため、各鍔部25が第2円筒部21の軸線に対して直交する同一平坦面に沿って突設されている場合に比較して、第2円筒部22の軸線に沿った投影面積、すなわち車体パネル11に対する占有面積を小さくでき、これにより車体スペースを有効利用できる。
【0060】
さらに、前述したグロメット10によれば、各鍔部25の第1鍔面25Aおよび第2鍔面25Bにそれぞれリブ34,35が形成されているため、先細りに変形させた各鍔部25を取付孔12に挿入する際の挿入抵抗や、あるいは第2円筒部22が初期形状に復元する際に第2円筒部22の外周面と第1鍔面25Aとの間に生ずる摺接抵抗等を低減でき、これらにより第2円筒部22の初期形状を容易、かつ、円滑に復元できる。
特に、各鍔部25は、第1鍔面25Aに形成されたリブ34の両端部と、第2円筒部22の外周面との間に切欠部36が設けられているため、当該個所に切欠部36が設けられていない場合に比較して鍔部25の変形抵抗を低減できる。
【0061】
そして、このグロメット10によれば、各案内部26に稜部が設けられているため、取付孔12に対して軸線が一致した状態を維持したまま、第1円筒部21を軸方向に沿って所定寸法移動でき、これにより取付孔12に対して自動的に各鍔部25を軸線が一致した状態で挿入できる。
また、以上のようなグロメット10によれば、第2円筒部22の内周面22Bにおける放射位置に断面形状を拡大可能なスリット31が設けられているため、裏返すことにより第2円筒部22の内周面22A全域に加わる引張負荷が特定の複数個所に分散し、これにより第2円筒部を均等、かつ、容易に裏返せる。
【0062】
図6および図7には、本発明に係る第2実施形態のグロメット 210が示されている。なお、以下に説明する各実施形態において、既に図1ないし図5において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0063】
第2実施形態のグロメット 210は、前述した第1実施形態と同様に、第1円筒部 221,接続部 223,第2円筒部 222,溝部 224,鍔部 225および案内部 226とを含んで構成されている。
そして、このグロメット 210は、各鍔部 225の鍔面が平坦に形成されているとともに、接続部 223に薄肉部 231が設けられている点が前述した第1実施形態との相違点となっている。
【0064】
(C)に示すように、薄肉部 231は、接続部 223の内周面および外周面においてそれぞれ周方向に連続する溝 231A, 231Bを形成することにより設けられている。溝 231A, 231Bは、断面略半円形状とされ、接続部 223の軸線に対して直交する面に沿うとともに、互いに対応する位置に形成されている。
【0065】
以上のようなグロメット 210は、薄肉部 231により接続部 223における特定部位の強度が他の部位よりも意図的に低くなっているため、内周面が外方を向くように第2円筒部 222を反転させると、薄肉部 231を境界として接続部 223が折り返される(図7参照)。
この際、このグロメット 210は、接続部 223の軸線に対して直交する面に沿う溝 231A, 231Bにより薄肉部 231が設けられているため、第1円筒部 221に対して第2円筒部 222が傾いて反転する虞れはない。
【0066】
また、このグロメット 210は、接続部 223における薄肉部 231の強度が他の部位よりも意図的に低くなっているため、換言すれば接続部 223に薄肉部 231が設けられていない場合に比較して、接続部 223が初期形状に復元しようとする弾性反発力が弱い。
すなわち、このグロメット 210は、接続部 223に薄肉部 231が設けられていない場合に比較して、第2円筒部 222を反転させた状態を良好に維持でき、衝撃等が加えられても意図せず第2円筒部 222が初期形状に復元する虞れが少ない。
【0067】
従って、前述した第2実施形態のグロメット 210によれば、第1円筒部 221に対して適切に第2円筒部 222を反転させた状態で出荷,保管できるとともに、車体パネル11に取り付けられるまで第2円筒部 222を反転させた状態を維持できる。
特に、この第2実施形態のグロメット 210によれば、薄肉部 231が溝 231A, 231Bにより設けられているため、例えば接続部 223の周方向に沿って多数の凹部を所定間隔で設けた場合に比較して、接続部 223における境界を確実に規定できる。
【0068】
図8ないし図10には、本発明に係る第3実施形態のグロメット 310が示されている。このグロメット 310は、前述した第1実施形態と同様に、第1円筒部 321,接続部 323,第2円筒部 322,溝部 324,鍔部 325および案内部 326とを含んで構成されている。
そして、このグロメット 310は、各鍔部 325の鍔面が平坦に形成されているとともに、接続部 323の母線方向に沿って複数の凹部 330が設けられている点が前述した第1実施形態との相違点となっている。
【0069】
凹部 330は、接続部 323の母線を中心として第2円筒部 322に向かって拡開する平面略三角形とされ、四分の一楕円状に形成された一対の側壁330A,330Aと、扇状に形成された側壁330Bとが互いに交差配置されていることにより、断面略V字形状とされている。
すなわち、これらの凹部 330は、それぞれの幅寸法および深さ寸法が第1円筒部 321に向かって漸減されて0になるように設けられている。
【0070】
そして、図9に示すように、これらの凹部 330は、各案内部 326の第1円筒部 321の軸線を中心とする案内部 326と同位相、換言すれば各案内部 326の延出方向同一面に沿うように設けられていて、第1円筒部 321の軸線を中心として互いに90度間隔で設けられている。
また、図10に示すように、接続部 323は、各凹部 330が設けられた箇所の肉厚が他の箇所における肉厚に略等しくなるように、内周面から山形状に突出している。
【0071】
以上のようなグロメット 310によれば、接続部 323の母線方向に沿って複数の凹部 330が設けられているため、第2円筒部 322を初期形状から反転させる場合、あるいは反転状態の第2円筒部 322を初期形状に復元させる場合、各凹部 330の断面形状が大きくなることにより接続部 323が部分的に引き伸ばされる拡径変形が生ずる。
従って、このグロメット 310によれば、接続部 323の外周面が平坦に形成されている場合に比較して、第2円筒部 322を初期形状から反転させる作業、あるいは反転状態の第2円筒部 322を初期形状に復元させる作業を容易に行える。
特に、このグロメット 310によれば、各凹部 330が各鍔部 325間に対応する箇所に設けられているため、接続部 323における各鍔部 325の影響を受け難い、すなわち接続部 323における周方向に引き伸ばし易い部位の拡径変形を更に促進できる。
【0072】
図11ないし図13には、本発明に係る第4実施形態のグロメット 410が示されている。このグロメット 410は、前述した第1実施形態と同様に、第1円筒部 421,接続部 423,第2円筒部 422,溝部 424,鍔部 425および案内部 426とを含んで構成されている。
そして、このグロメット 410は、各鍔部 425の鍔面が平坦に形成されているとともに、溝部 424における接続部 423側を向く側面424Aと、第2円筒部 422の外周面とが交差してなる稜線 430に出隅部 431および切欠部 432が設けられている点が前述した第1実施形態との相違点となっている。
【0073】
切欠部 432は、側面424Aおよび第2円筒部 422の外周面に対してそれぞれ所定の角度で交差する円錐面とされ、第2円筒部 422の周方向に沿って所定長さ連続している。
図12にも示すように、出隅部 431および切欠部 432は、互いに異なる周方向長さを有し、第2円筒部 422の周方向に沿って交互に配置されている。
【0074】
以上のようなグロメット 410によれば、溝部 424の稜線 430に出隅部 431および切欠部 432が設けられているため、第2円筒部 422が反転した状態で出荷,保管される場合、断面略U字状の溝部 424が断面略Δ字形状に変形されることにより稜線 430が対向する他の稜線に圧接されていても、稜線 430の出隅部 431のみが他の稜線に対して密着し、他の稜線と切欠部と 432の間に空隙が確保される(図13参照)。
すなわち、このグロメット 410によれば、車体パネル11に対する取付作業にあたって、溝部 424の稜線 430に切欠部 432が設けられていない場合に比較して、溝部 424の稜線同士が容易に離反することにより、第2円筒部 422を容易に初期形状に復元できる。
【0075】
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、前述した各実施形態において例示した第1円筒部,接続部,第2円筒部,溝部,鍔部,案内部,リブ,稜部,スリット,薄肉部,溝,凹部,側面,稜線,出隅部,切欠部等の材質,形状,寸法,形態,数,配置個所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0076】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、請求項1に記載したように、第2円筒部を裏返したときに各鍔部が各案内部に干渉することなく第1円筒部の外周面に密着可能であるため、第1円筒部を取付孔に挿入することにより、筒状に集合した各鍔部を取付孔に対して自動的に軸線を一致させて挿入できる。
また、本発明によれば、請求項2に記載したように、第1円筒部の開放端部に向かって拡開する錐面に沿って各鍔部が突設されているため、各鍔部が第2円筒部の軸線に対して直交する同一平坦面に沿って突設されている場合に比較して、第2円筒部を完全に裏返すことなく各鍔部を先細りの筒状に集合できるとともに、車体スペースを有効利用できることになる。
【0077】
さらに、本発明によれば、請求項3に記載したように、各鍔部の鍔面に形成されたリブが鍔部における基端部から先端部に向かって連続しているため、各鍔部の鍔面が平坦に形成された場合に比較して、先細りに変形させた各鍔部を取付孔に挿入する際の挿入抵抗を低減できるとともに、第2円筒部が初期形状に復元する際に第2円筒部と鍔面との間に生ずる摺接抵抗を低減できる。
さらに、本発明によれば、請求項4に記載したように、鍔面に形成されたリブの両端部と、第2円筒部の外周面との間に切欠部が設けられているため、当該個所に切欠部が設けられていない場合に比較して鍔部の変形抵抗を低減できる。
【0078】
そして、本発明によれば、請求項5に記載したように、第2円筒部を裏返したときに、各稜部に接する仮想的な円筒内に各鍔部の先端部を配置可能であるため、第2円筒部を裏返して第1円筒部を取付孔に挿入し、軸方向に沿って所定寸法移動すれば、取付孔に対して自動的に各鍔部を軸線が一致した状態で挿入できる。
また、本発明によれば、請求項6に記載したように、第2円筒部の開放端部から内周面に及ぶスリットを有し、開放端部に現れたスリットの中心線は、第2円筒部の軸線から放射状に延びる直線上にあり、内周面に現れたスリットの中心線は、軸線と平行しているため、裏返すことにより第2円筒部の内周面全域に加わる引張負荷が、各スリットが変形することにより特定の複数個所に分散し、結果的に総体的な変形抵抗が緩和されるため、これにより第2円筒部を均等、かつ、容易に裏返せる。
【0079】
次に、本発明によれば、請求項7に記載したように、接続部の円周方向に沿って薄肉部が設けられているため、第2円筒部が薄肉部を境界として反転するとともに、従来に比較して出荷,保管中に接続部が初期形状に復元する虞れを少なくできる。
また、本発明によれば、請求項8に記載したように、薄肉部が周方向に連続する溝により設けられているため、接続部の周方向に沿って多数の凹部を所定間隔で設けた場合に比較して、接続部において境界となる部位を確実に規定できる。
【0080】
さらに、本発明によれば、請求項9に記載したように、接続部の外周面に複数の凹部が設けられているため、第2円筒部を初期形状から反転させる場合、あるいは反転状態の第2円筒部を初期形状に復元させる場合、接続部の特定個所において拡径変形が発生し、これにより接続部の外周面が平坦である場合に比較して弱い力で取付孔に押し込める。また、各凹部が、接続部の軸線を通る対称面に対して面対称の形状を有し、かつ、第2円筒部側に向かって拡開するように設けられているため、接続部の拡径変形が均等に生じる。
そして、本発明によれば、請求項10に記載したように、各凹部が各鍔部間に対応する箇所に設けられているため、各鍔部の影響を受け難い、すなわち周方向に引き伸ばし易い部位の拡径変形を更に促進できる。
【0081】
また、本発明によれば、請求項11に記載したように、溝部の稜線に沿って出隅部および切欠部が交互に設けられているため、第2円筒部が反転した状態で出荷,保管される場合、断面略U字状の溝部が断面略Δ字形状に変形されていても、稜線の出隅部のみが他の稜線に対して密着し、他の稜線と切欠部との間に空隙を確保することにより、溝部の各稜線が容易に離反できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態のグロメットを示す全体斜視図である。
【図2】図1のグロメットを示す断面図および平面図である。
【図3】第2円筒部の端面を示す要部拡大斜視図である。
【図4】鍔部を示す要部拡大斜視図である。
【図5】図1のグロメットの取付手順を示す平面図および断面図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態のグロメットを示す平面図および断面図である。
【図7】図6のグロメットの取付手順を示す断面図である。
【図8】本発明に係る第3実施形態のグロメットを示す全体斜視図である。
【図9】図8のグロメットを示す平面図である。
【図10】図8のグロメットを示す断面図である。
【図11】本発明に係る第4実施形態のグロメットを示す全体斜視図である。
【図12】図11のグロメットを示す断面図である。
【図13】図11のグロメットを示す断面図である。
【符号の説明】
10,210,310,410 グロメット
11 車体パネル(取付板)
12 取付孔
21,221,321,421 第1円筒部
22,222,322,422 第2円筒部
23,223,323,423 接続部
24,224,324,424 溝部
25,225,325,425 鍔部
26,226,326,426 案内部
34,35 リブ
26A 稜部
31 スリット
36 切欠部
231 薄肉部
231A,231B 溝
330 凹部
424A 側面
430 稜線
431 出隅部
432 切欠部

Claims (11)

  1. 取付板に形成された取付孔に長尺部材を貫通保持するために、前記長尺部材を挿通可能な第1円筒部と、前記第1円筒部の外周面に設けられた環状の接続部を介して接続された第2円筒部と、前記第2円筒部の外周面に沿って設けられた溝部と、前記第2円筒部の外周面における前記溝部と前記接続部との間から放射状に設けられた複数の鍔部とを有し、
    前記第2円筒部を内周面が外方を向くように裏返すことにより前記各鍔部の先端部を先細り状に集合させて前記取付孔に挿入し、次いで前記第2円筒部を初期形状に復元させることにより前記第1円筒部を前記取付孔内に挿通させるとともに、前記取付孔の開口縁部に前記溝部を嵌合させるグロメットであって、
    前記第1円筒部の外周面から放射状に突出するとともに前記取付孔に内接可能な複数の案内部を備え、前記第2円筒部を裏返したときに前記各鍔部が前記各案内部に干渉することなく前記第1円筒部の外周面に密着可能であることを特徴とするグロメット。
  2. 前記第1円筒部の開放端部に向かって拡開する錐面に沿って前記各鍔部が突設されていることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
  3. 前記各鍔部の鍔面に形成されたリブを有し、前記リブが前記鍔部における基端部から先端部に向かって連続していることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
  4. 前記リブと、前記第2円筒部の外周面との間に切欠部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載したグロメット。
  5. 前記各案内部が前記第1円筒部の軸線に対して平行な稜部を有し、前記第2円筒部を裏返したときに、前記各稜部に接する仮想的な円筒内に前記各鍔部の先端部を配置可能であることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
  6. 前記第2円筒部の開放端部から内周面に及ぶスリットを有し、前記開放端部に現れた前記スリットの中心線は、前記第2円筒部の軸線から放射状に延びる直線上にあり、前記内周面に現れた前記スリットの中心線は、前記軸線と平行していることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
  7. 前記接続部の外周面および内周面のうちの一方における周方向に沿って薄肉部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
  8. 前記薄肉部が周方向に連続する溝により設けられていることを特徴とする請求項7に記載したグロメット。
  9. 前記接続部の外周面に、前記第2円筒部に向かって拡開する複数の凹部が設けられており、前記凹部の各々は、前記接続部の軸線を通る対称面に対して面対称の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
  10. 前記各凹部が前記各鍔部間に対応する箇所に設けられていることを特徴とする請求項9に記載したグロメット。
  11. 前記溝部における前記接続部側を向く側面と、前記第2円筒部の外周面とが交差してなる稜線に設けられた出隅部および切欠部を有し、
    前記出隅部および前記切欠部が前記第2円筒部の周方向に沿って交互に設けられていることを特徴とする請求項1に記載したグロメット。
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