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JP3688836B2 - 防振装置 - Google Patents

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  • Combined Devices Of Dampers And Springs (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液体封入式の防振装置に係り、特に、液室の内圧をコントロールすることにより防振特性の向上を図った防振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンは防振装置を介して車体へ支持されており、この防振装置によりエンジン振動の車体への伝達を阻止している。
【0003】
このような防振装置として、内部に液室を設け、振動入力時に内圧を制御することにより振動を効果的に吸収する液体封入式防振装置が提案されている。
【0004】
この液体封入式防振装置には、受圧液室に面する仕切部材に電磁石等のアクチュエーターで可動される可動板が設けられており、この可動板を入力振動に応じて振動させることにより受圧液室の内圧を制御している。
【0005】
この可動板は金属ばねやゴム等の弾性体によって弾性的に支持されている。可動板が金属ばねで支持される方式のものは、仕切部材が薄肉の金属板で形成されており、仕切部材自身が金属ばねとなって可動板を支持している。また、液漏れが生じないように、可動板と仕切部材とが密着するように固着されている。
【0006】
一方、可動板がゴムで支持される方式のものは、可動板の外周に環状のゴムが連結され、ゴムの外周が仕切部材に連結されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、可動板をゴムで支持したものでは、ゴムの可動板の変位方向とは直交する方向の寸法を短くして、可動板の変位方向のばね定数を金属ばねと同様に比較的高くしている。このため、制御時にゴムに対する歪が大きくなり、ゴムの耐久性に難がある。
【0008】
また、仕切部材を金属ばねにして可動板を支持したものでは、制御時に仕切部材に作用する応力が固定部分に集中し、仕切部材に亀裂が発生する可能性がある。
【0009】
本発明は上記事実を考慮し、耐久性に優れた防振装置を提供することが目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の防振装置は、振動発生部及び振動受部の一方に連結され振動入力時に弾性変形する弾性体と、前記弾性体と共に液室を形成する液室形成部材と、前記液室の隔壁の一部を構成し、アクチュエーターによって前記液室の内容積を拡縮する容積拡縮方向へ駆動されて前記液室内の圧力を制御する可動板と、前記可動板と液室形成部材との間に配置され前記液室をシールする弾性膜と、前記弾性膜の液室側及び液室側とは反対側の一方に配置され前記可動板を前記液室形成部材に対して弾性的に支持する板ばねと、前記弾性膜の前記板ばね側とは反対側に配置され、前記板ばねとの間に前記弾性膜を挟持する制限手段と、を設け、前記板ばね及び前記制限手段によって前記弾性膜の液室側及び液室側とは反対側への膨出変位を制限したことを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載の防振装置では、隔壁の一部を構成する可動板をアクチュエーターで駆動することによって液室の内圧を制御することができ、これによって防振装置の防振特性を制御することができる。
【0012】
また、弾性膜は可動板を支持する役目をする必要はなく、液室をシールする役目のみを有していれば良い。このため、弾性膜の動く部分を長く取って弾性体に対する歪を低減することができ、弾性膜の耐久性を向上できる。さらに、アクチュエーターによる可動板の容積拡縮方向への駆動時に、弾性膜を挟持した板ばねと制限手段とにより液室の液圧による弾性膜の膨出変形を制限するので、弾性膜が膨出して液室の圧力が逃げることを防止でき、確実に内圧の制御を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る防振装置の一実施形態を図1乃至図3にしたがって説明する。
【0016】
図1に示すように、この防振装置10の下部には、円板状に形成された下部取付台12が設けられている。
【0017】
下部取付台12の中央には取付ボルト14が立設されている。
本実施形態では、この下部取付台12が、例えば図示しない自動車の車体へ搭載され、取付ボルト14へナットが螺合されることによって車体に固定される。
【0018】
下部取付台12の外周部分には、外筒16の下端部がかしめ固定されている。
外筒16には、第1の中間筒18及び第2の中間筒20が挿入されている。
【0019】
第2の中間筒20には、図2に示すゴム成形品22が挿入されている。図1及び図2に示すように、このゴム成形品22は筒状金具24を有している。筒状金具24には、軸方向中間部に環状の溝26が形成されている。
【0020】
図1に示すように、筒状金具24の内周には、厚肉のゴムからなる吸振主体28が加硫接着されており、溝26には、図2にも示すように一部を除いて弾性体30が加硫接着されている。
【0021】
図1に示すように、吸振主体28の中央上部には、円板状の金具32が埋設されており、金具32の中央には吸振主体28から突出するように取付ボルト34が立設されている。本実施形態では、この吸振主体28の上面に図示しない自動車のエンジンが搭載され、取付ボルト34へナットが螺合されることによってエンジンが固定される。
【0022】
図1及び図2に示すように、溝26の弾性体30には、細長溝36が形成されている。図2に示すように、細長溝36は長手方向中間部が折り返されており、一端が弾性体30の長手方向一端に開口しており、他端は、長手方向一端の手前で終端している。図1に示すように、この細長溝36は第2の中間筒20で囲まれて制限通路37を形成している。
【0023】
前述した第2の中間筒20には、ゴム成形品22の溝26で弾性体30が加硫接着されていない凹部分と対向する位置に矩形の開口38が形成されている。第2の中間筒20には、開口38を塞ぐようにゴム成形品22へ突出するダイヤフラム40が加硫接着されている。このダイヤフラム40及びゴム成形品22の弾性体30が加硫接着されていない凹部分との間は副液室44とされており、前記制限通路37の一端が連結されている。
【0024】
第1の中間筒18には、電磁石46、環状のスペーサー48及び隔壁部材50が挿入されている。
【0025】
電磁石46はコイル46A及び鉄製のコア46Bを備えており、コイル46Bは樹脂46Cで封入されている。また、コア46Bの上面中央には円板状の永久磁石46Dが面一に埋め込まれている。
【0026】
図1に示すように、隔壁部材50と弾性体30との間の空間部分は受圧液室52となっている。この受圧液室52は、ゴム成形品22に形成された孔53を介して前記制限通路37の他端と連結している。
【0027】
この隔壁部材50は、環状金具54と、環状金具54の中心に同軸的に配置される可動円板56とを備えている。環状金具54と可動円板56とは、環状のゴム膜58によって一体的に連結されている。なお、ゴム膜58は、環状金具54及び可動円板56に加硫接着されており、厚み(t)に対して環状金具54と可動円板56との間の寸法(L)が十分に長くとられている。
【0028】
この隔壁部材50とスペーサー48との間には、図3に示すような扇型の孔60A及び丸孔60Bが穿孔された板ばね60の外周付近が挟持されている。なお、隔壁部材50及びスペーサー48と板ばね60との間には、若干の隙間(図示せず)が設けられている。また、本実施形態では板ばね60を3枚用いているが、板ばね60の枚数はこれに限定されるものでは無い。
【0029】
図1に示すように、可動円板56には、受圧液室52側に制限板57が取付られている。この制限板57はゴム膜58に接触しており、ゴム膜58の受圧液室52側への膨出変形を制限している。また、ゴム膜58には板ばね60も接触しており、板ばね60はゴム膜58の電磁石46側への膨出変形を制限している。
【0030】
板ばね60の丸孔60Bには、可動円板56に形成されたボス56Aが挿入されており、可動円板56の中央に形成された雌ねじ62には板ばね60の下方に配置された吸引板64から突出した雄ねじ66が螺合している。なお、吸引板64は磁力によって吸引されるように鉄材によって円板状に形成されている。
【0031】
板ばね60の内周付近は、可動円板56と吸引板64のボス64Aとの間に、若干の隙間(図示せず)を設けて挟持されている。
【0032】
即ち、板ばね60の内周端及び外周端は自由端となっている。
なお、吸引板64は、ボス64Aの外側に延びる薄肉部分が、電磁石46及び板ばね60から所定寸法離間している。また、吸引板64には、永久磁石46Dによって所定の吸引力が作用している。
【0033】
また、制限通路37、副液室44及び受圧液室52にはシリコンオイル、エチレングリコール等の液体が充填されている。
【0034】
次に本実施形態の作用を説明する。
エンジンの上下振動が防振装置10に入力すると、吸振主体28が弾性変形し、受圧液室52が拡縮する。これにより制限通路37で液体が行き来し、制限通路37で液体が共振すると動ばね定数が低減され、振動が効果的に吸収される。
【0035】
振動の周波数が高くなると、制限通路37が目詰まるが、この場合には、受圧液室52の内圧が上昇しないように電磁石46で吸引板64及び可動円板56を振動させる。これにより、周波数の高い振動をも効果的に吸収することができ、広い周波数に渡って振動を吸収することが可能となる。なお、電磁石46で吸引板64及び可動円板56を振動させて内圧を制御することで、防振装置10の特性を容易に変更することができる。
【0036】
また、本実施形態の防振装置10では、板ばね60の内外端を固定するのではなく、弾性変形時に応力が集中しないように若干の隙間を介して板ばね60を挟持する構成としたので、板ばね60の耐久性を向上させることができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、板ばね60が吸引板64及び可動円板56を支持しており、ゴム膜58は、液体が電磁石46側へ漏れないようにするための単なるシールの役目をしているにすぎない。したがって、ゴム膜58は自由に変形できる部分を多くすることでゴムの歪を減らすことができ、ゴム耐久性を向上させることができ、例えば、ゴムで可動板を支持していた従来タイプに比較して、ゴム歪を20〜30%低減する事が可能となる。
【0038】
また、液圧によってゴム膜58が変形すると、吸引板64を振動させて内圧変動を利用する制御効果が表れないことになるが、本実施形態では、板ばね60及び制限板57によってゴム膜58の膨出変形が抑えられ、制御効果を出すことができる。
【0039】
なお、本実施形態では、ゴム膜58の受圧液室52に制限板57を配置し、電磁石46側に板ばね60を配置したが、本発明はこれに限らず、制限板57を電磁石46側に、板ばね60を受圧液室52に配置しても同様にゴム膜58の膨出変形を抑えて制御効果を出すことができる。
【0040】
また、電磁石46側に板ばね60を配置し、同様に支持される板ばね60を制限板57の代わりに用い、両板ばね60でゴム膜58を挟むように構成することもできる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の防振装置は上記の構成としたので、液圧による弾性膜の膨出変形を制限して確実に内圧の制御を行うことができ、さらに弾性膜の耐久性を向上できるという優れた効果を有する。
【0042】
また、請求項2に記載の防振装置は上記の構成としたので、板ばねを固定して支持したものに比較して板ばね内部に生ずる応力を低減することができ、板ばねの耐久性を向上することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る防振装置の断面図である。
【図2】ゴム成形品の斜視図である。
【図3】板ばねの平面図である。
【符号の説明】
10 防振装置
24 筒状金具(液室形成部材)
28 吸振主体(弾性体)
46 電磁石(アクチュエーター)
52 受圧液室(液室)
54 環状金具(液室形成部材)
57 制限板(制限手段)
58 ゴム膜(弾性膜)
60 板ばね
64 可動板

Claims (1)

  1. 振動発生部及び振動受部の一方に連結され振動入力時に弾性変形する弾性体と、
    前記弾性体と共に液室を形成する液室形成部材と、
    前記液室の隔壁の一部を構成し、アクチュエーターによって前記液室の内容積を拡縮する容積拡縮方向へ駆動されて前記液室内の圧力を制御する可動板と、
    前記可動板と液室形成部材との間に配置され前記液室をシールする弾性膜と、
    前記弾性膜の液室側及び液室側とは反対側の一方に配置され前記可動板を前記液室形成部材に対して弾性的に支持する板ばねと、
    前記弾性膜の前記板ばね側とは反対側に配置され、前記板ばねとの間に前記弾性膜を挟持する制限手段と、
    を設け、
    前記板ばね及び前記制限手段によって前記弾性膜の液室側及び液室側とは反対側への膨出変位を制限したことを特徴とする防振装置。
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