JP3500072B2 - 電解金属箔製造ドラム用チタン材およびその製造方法 - Google Patents
電解金属箔製造ドラム用チタン材およびその製造方法Info
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ト配線板などに使用される銅箔(Cu箔と記す)などの電
解金属箔を製造するためのドラム用純チタン材またはチ
タン低合金材(本明細書ではこれらを総称してチタン材
という)であって、緻密な板面金属組織を有する材料お
よびその製造方法に関するものである。
ト配線板は、Cu箔と絶縁基板を張り合わせ、表面に導体
パターンをプリントし、不要部分をエッチングで除去し
て作られている。プリント配線板に主として用いられて
いるCu箔は、高品位のCu原料を硫酸溶液に溶解し、Pbな
どの不溶性金属を陽極にし、それに対峙させたドラムを
陰極にして、ドラムを回転させつつ電気化学的にドラム
上にCuを電着させ、これを連続的に剥離し、ロール状に
巻き取って製造されている。ドラムの材料としては、耐
食性と電着金属の可剥離性の点から、近年、チタンが多
用されるようになってきた。
は、エッチングで形成される配線パターン(幅0.1 〜0.
5mm)の精度や再現性を左右する重要な因子である。この
面粗さは、Cu箔が電着していたチタン製陰極ドラムの研
磨・整面された粗さを継承している。また往々にして、
研磨・整面された陰極ドラムが電解液中で徐々に腐食を
受けて、あたかも金属組織観察用のエッチングを施した
状態となり、ドラム表面の金属組織模様がCu箔上に転写
されて仕上面粗さの均一性を損ない、プリント配線のエ
ッチング不良を惹起するという問題がある。
ら、スクラッチ疵、シラクモ、シジミ等と呼ばれている
(以下、これらを総称してスクラッチ疵と呼ぶ)。また
ドラム表面は、使用中に電気スパークなどにより表面が
荒れてくるため、何度も研磨・整面が行なわれる。この
ためドラムは、少しずつ研削されて新しい面が表面とな
る。従ってドラム用チタン材には、表面の均一性の他に
厚さ方向の均一性も要求される。
の原素材に含まれているいわゆるマクロ組織に起因する
ことが、その疵の形態から経験的に知られている。通
常、金属組織学でいうマクロ組織は、鋳造組織や加工組
織の現出に使用される適当な金属組織現出用酸液(例え
ば、硝弗酸)を用いてエッチングすることで得られる。
鋳造組織や加工組織の場合、酸液の腐食作用を受けて、
加工歪が集中するメタルフロー部、格子欠陥密度の高い
結晶粒界、コロニーと呼ばれる結晶方位がほぼ揃った領
域の間の境界などが優先的に侵食されて模様として肉眼
で認識される。
チタン材の原素材、すなわちスラブや熱延粗片などに存
在するマクロ組織を微細化あるいは均一化する試みが行
なわれている。例えば、インゴットの鍛造条件あるいは
インゴットの分塊熱延条件、分塊スラブの高温熱処理、
熱延厚板の高温長時間焼鈍などの加工熱処理法の検討が
行なわれて、それなりの改善効果が得られてきた。しか
しながら、Cu箔への要求品質は高度化する一方であり、
緻密度においてもはや既存の方法ではその要求を満足さ
せることが出来ない状況にある。
では、JIS規格などに規定される引張強度、伸びなど
の機械的性質や結晶粒度が材料特性として求められてき
た。しかし上記ドラム用チタン材のように、原素材から
の加工工程で引き継いできたマクロ組織の残存程度、す
なわち表面のマクロ組織の均一・緻密度を求められるこ
とはなかった。言い換えれば表面のマクロ組織が不均一
で緻密度に欠けていても、上記の規格を満足していれ
ば、ドラム用以外の用途では特に問題は起こらなかっ
た。
を硫酸銅水溶液中で回転させながらその表面にCuを電着
させる。その際、ドラム表面は硫酸銅液により腐食作用
を受け、格子欠陥密度の高い結晶粒界や、コロニーと呼
ばれる結晶方位がほぼ揃っている結晶粒の集合体の境界
が優先的に侵食される。そして侵食を受けた模様がCu箔
の表面に転写される。またコロニー内では、腐食作用で
生じるエッチピットの形状や大きさ、方向が揃ってい
て、それらがCu箔に転写されるとまだら模様となり、前
述のようなスクラッチ疵と呼ばれる品質不良を引き起こ
すわけである。
いて、マクロ組織を微細化する方法として特開平8-1440
33号公報が知られている。これはチタン及びチタン低合
金をα相域で塑性加工し、次いでβ相域まで加熱してα
相からのβ相への変態を起こさせた後、最終的に冷間加
工と焼鈍を行うものである。また円筒状のドラムを通常
の方法で製造する場合、どうしても継ぎ目が円筒の長手
方向に存在し、その継目自体がCu箔の表面に転写され、
やはり品質不良部となり、製品歩留や生産効率を低下さ
せる。このため、孔明き素材から環状圧延することで、
継ぎ目のないドラムを製造する方法が特開平3-169445号
公報に開示されている。また溶接によってドラムを製造
する際、溶接部の肉厚を厚くしておき、溶接後に冷間加
工し焼鈍して、溶接部のマクロ組織を改善する方法が、
特開平6-335769号公報により知られている。
開平8-144033号公報の方法ではつぎのような問題が懸念
される。(1) β相へ加熱する前に相当量の歪をα相域で
入れることがマクロ組織の微細化に必須であるため、例
えば 850℃で43%もの加工をプレスで与え、しかもその
歪が復熱などの熱過程で消滅しないような特別な配慮が
必要となる。(2)β相域へ加熱する材料の表面には後工
程で除去が困難な酸化層が生成し、材料内部がOに汚染
されるおそれがある。又、加熱時間が長すぎるとβ相の
粒成長が顕著となりβ相の粒径が粗大化し、冷延・焼鈍
を経ても所期の微細化効果が得られない場合がある。
(3) Cu箔製造用ドラムは大きいものでは直径が2m、幅
が2mにも達するので、ドラム素材一枚の大きさも、長
さ6m、幅2mとなり、冷延工程での長さ増加を考慮し
ても相当大きな素材をβ相域まで加熱し、その後冷却す
るなど材料のハンドリングが煩雑となるため、作業性は
良くない。
は、環状圧延するための特殊な熱延装置が必要であるば
かりか、熱延中の温度及び歪分布を均一にすることが難
しく、しばしば繰り返し加熱と熱延を繰り返すため作業
性と歩留の点で好ましいものではなかった。さらに上記
特開平6-335769号公報やチタン薄板の製造工程において
見られるように、冷間加工と焼鈍によって確かにマクロ
組織は均一・緻密にはなるものの、個々のドラム素材を
製造する上でその加工量を決定するための指標は示され
ていなかった。
属箔を製造するためのドラム用のチタン材であって、緻
密な板面金属組織を有し、電子部品のプリント配線板用
として高精度かつ再現性のよい配線パターンが得られる
金属箔を製造することができ、しかも工業的に安定して
供給し得るドラム用チタン材、およびその製造方法を提
供することである。
の電解金属箔製造ドラム用チタン材において、原素材の
不均一なマクロ組織が残存していると、電解液中でドラ
ムが腐食することにより生じる模様が金属箔に転写され
てスクラッチ疵となり、該金属箔を使用して得られるプ
リント配線にエッチング不良をもたらすとの認識から、
鋭意研究を進めた結果、マクロ組織を破壊して緻密な板
面金属組織を有し、高精度のプリント配線が再現性よく
得られる金属箔を製造するための、工業的に安定して供
給し得るドラム用チタン材およびその製造法を発明する
に至った。
明の第1発明チタン材は、冷間加工組織をなし、任意の
L断面における全板厚断面の機械的双晶面積率が25%
以上であり、板面表面が均一かつ緻密であることを特徴
とする電解金属箔製造ドラム用チタン材である。また第
2発明チタン材は、冷間加工後に焼鈍され、再結晶組織
をなし、カラーエッチング法を利用した判定方法により
板面の結晶方位の分布不均一性を定量評価し、結晶方位
がほぼ揃っている結晶粒の集合体をコロニー組織と定義
したときに、板面に平行な任意の面におけるコロニー組
織の面積率が30%未満であることを特徴とする電解金
属箔製造ドラム用チタン材である。
第1発明法は、冷間圧延時の圧延ロール回転数Rc(r
ps)を、圧延ロール直径D(mm)に応じて(1)式で
示される範囲に制御しながら、圧下率15%以上の冷間
圧延を行うことにより、冷間加工組織をなし、任意のL
断面における全板厚断面の機械的双晶面積率が25%以上
であり、板面表面が均一かつ緻密である冷延板とするこ
とを特徴とする電解金属箔製造ドラム用チタン材の製造
方法である。
表面に付けたままで冷間圧延することが好ましい。ま
た、熱間加工時に生成したスケールを表面に付けたま
ま、大気中で焼鈍を行った後、スケールを残したままで
冷間圧延することもでき、また、熱間加工時に生成した
スケールを表面に付けたまま、真空クリープ矯正機内で
焼鈍を行った後、スケールを残したままで冷間圧延する
こともできる。さらに、表面スケールを除去した冷間圧
延素材を、該素材の結晶粒径d (μm)に応じて、直径D
(mm) が(2)式の関係を満たす圧延ロールで冷間圧延
することもできる。
れたチタン材を、大気中または真空クリープ矯正機内で
焼鈍することにより、再結晶組織をなし、板面に平行な
任意の面におけるコロニー組織の面積率が30%未満で
ある冷延焼鈍板とすることを特徴とする電解金属箔製造
ドラム用チタン材の製造方法である。
述のように純チタン材またはチタン低合金材を総称した
ものである。純チタンとしては工業用純チタン(JIS
1種、JIS2種)やこれらの相当品種など、チタン低
合金としてはTi-0.2Pd (ASTM garde 7), Ti-0.2Pd (AST
M grade 11), Ti-0.3Mo-0.8Ni (ASTM garde 12) などが
あげられ、これらの原素材に圧延などの冷間加工を施し
たもの、あるいはさらに焼鈍を施したものである。
提として構築されたものである。通常、チタン展伸材の
製造は、真空アーク溶解炉(VAR)や電子ビーム再溶
解炉(EBR)において高純度原料を溶解後、金属状態
の円柱状インゴットまたは矩形断面インゴットに鋳造さ
れる。VARインゴットは、その形状のため、直接、板
圧延などの素材とされることは稀で、鍛造機、大型プレ
ス機あるいは分塊圧延機と呼ばれる専用設備により、円
柱の形状を扁平な矩形断面状のスラブに成形することが
多い。またEBRインゴットは円柱状や矩形断面のイン
ゴットであり、やはり鍛造機や分塊圧延機などで後工程
の板圧延機で操業し易い矩形断面スラブに成形される。
などは、所定の厚さまでさらに熱間加工し、必要に応じ
て歪取りとミクロ組織の調整を目的とした焼鈍を行い、
冷間加工用の素材とする。そしてこの素材を冷間加工し
て第1発明のチタン材とし、さらに焼鈍を行って第2発
明のチタン材とする。また本発明のチタン材を電解金属
箔製造ドラムとするには、円筒状に成形し溶接などによ
り接合し、表面を研磨等により仕上げる。
し、任意のL断面における全板厚断面の機械的双晶面積
率が25%以上であり、板面表面が均一かつ緻密である。
冷間加工としては、圧延のほか、鍛造、引抜き、繰返し
曲げ、引張りなど、いずれの塑性加工法が採用されてい
てもかまわない。ここで、L断面とは板面に垂直で、か
つ組織の延伸方向と平行な平面、すなわち圧延板の場合
は圧延方向と平行な平面である。
行ったもの、あるいはさらに焼鈍を行ったものである
が、不均一なマクロ組織が存在しているので、冷間加工
により機械的双晶を発生させて、均一かつ緻密な金属組
織とする。そして、機械的双晶面積率が任意のL断面に
おける全板厚断面で25%以上であれば、このチタン材か
らなるドラムにより電解金属箔を製造した場合、スクラ
ッチ疵による問題がなく、電子部品のプリント配線とし
て高精度かつ再現性のよいものが安定して得られる。そ
して、ドラムを研磨・整面し繰返し使用しても問題な
い。しかもこのような第1発明チタン材は工業的に安定
して製造し得る。
たものであり、再結晶組織をなし、板面に平行な任意の
面におけるコロニー組織の面積率が30%未満である。
コロニー面積率(コロニー組織の面積率)はつぎのよう
に定義した。コロニー組織は、前述のように、結晶方位
がほぼ揃っている結晶粒の集合体であり、カラーエッチ
ング法を利用した判定方法で板面の結晶方位の分布不均
一性を定量評価した。
31頁所収の George F. Vander Voort 著、「Tint Etchi
ng」の解説論文の表−1に、チタン並びにチタン合金用
のカラーエッチング法が紹介されている。この論文で
は、Weck氏エッチング液(5g・NH4 FHF+100
mL・water 、あるいは3g・NH4 FHF+4mL・HC
L+100mL・water)を用いると、偏光顕微鏡観察した
場合、結晶方位に依存して結晶粒が着色できることが述
べられている。
察用サンプル(幅25mm×長さ50mm×厚さ)を5枚採取
し、板厚中心部の板面に平行な面について、通常のミク
ロ組織を顕微鏡観察するのと同じ程度の鏡面研磨を施
し、上記Weck氏エッチング液(5g・NH4 FHF+1
00mL・water)を用いてカラーエッチングした。ノマル
スキー型偏光顕微鏡を用いて着色した結晶粒の分布を倍
率25倍(対眼レンズ10倍、対物レンズ 2.5倍)でカラー
フィルム(ISO100)で撮影し、最終倍率34倍でA4紙サ
イズのカラー写真に仕上げた。撮影は各サンプル3視野
で行った。
ラム用チタン材の部分(これをチタン材のスクラッチ疵
という)は肉眼では識別できるが、これを写真撮影して
判定するには、上記の様に25倍程度とするのが、(1) ス
クラッチ疵との対応、(2) 各結晶粒の区別、(3) 結晶粒
毎の色差の判別に関して最適であった。チタン材のスク
ラッチ疵部分の全部又は一部分を撮影したカラー写真を
カラースキャナーを用いて計算機に取り込み、金属組織
用画像解析ソフトを用いて結晶粒毎にその色を決定し
た。物体色データの決定は使用するカラースキャナーに
より異なる。
YZ表色系の三刺激値X、Y、Zに変換し、さらに、JI
S Z 8729に規定される方法でL* a* b* 表色系の物体
色データL* 、a* 、b* とするか、あるいは直接物体
色データL* 、a* 、b* データを得る。本発明では両
方の方法で得たデータを区別せず使用した。これによっ
て、結晶粒の代表的結晶方位をカラーエッチで着色され
た結晶粒の物体色(写真に仕上げたもの)として測定で
きた。
できない材料では、個々の結晶粒に対応する色の分布が
ランダムであったが、該疵が明瞭に判別できる材料では
同系色の色の結晶粒が集団でコロニー状に分布している
ことが分かった。各結晶粒の色の分布のランダム性の指
標として、本発明では、個々の結晶粒の物体色の色差を
JIS Z 8730の色差表示法 ΔE* ab=[(ΔL* )2 +(Δa* )2 +(Δ
b* )2 ]1/2 で表示した。
色の色差ΔE* abが 5.0未満の場合に同系色と判断
し、 5.0以上の場合は別系色とした。同系色の物体色を
持つ隣り合う結晶粒が作る集団の面積が 40000μm2 以
上の場合、これらの集団をコロニー組織と定義し、チタ
ン材のスクラッチ疵を、板面の金属組織全体に占めるこ
れらのコロニー組織の面積率で評価した。
は、板面に平行な任意の面におけるコロニー組織の面積
率が30%未満であれば、後述のスクラッチ疵評点が3
以上となり、このチタン材からなるドラムにより電解金
属箔を製造した場合、スクラッチ疵による問題がなく、
電子部品のプリント配線として高精度かつ再現性のよい
ものが安定して得られる。そして、ドラムを研磨・整面
し繰返し使用しても問題ない。しかもこのような第2発
明チタン材は工業的に安定して製造し得る。
チタン低合金において材料の純度が高く、冷延前結晶粒
が大きいほど発生しやすいことが知られている。しかし
ながらチタン材には、インゴット溶製の原材料であるス
ポンジチタンにFeおよびNi濃度の高い部分が含まれてい
ることがある。このFeおよびNi濃度が高い領域は、イン
ゴット溶製およびそれに引き続く熱間鍛造、分塊圧延、
熱間圧延や途中での焼鈍工程でもマトリックス中に溶解
せず、結晶粒界および結晶粒内に粒子状に存在しマクロ
的にはバンド状に見える場合がある。
使用条件では全く支障のないものであるが、電解金属箔
製造ドラムの素材のように板面のマクロ組織の均一・緻
密性を問われる場合には、冷間加工を加えることにより
機械的双晶を発生させてマクロ組織の方位分散を促進す
る場合に障害となる場合がある。即ち、冷間加工によっ
て導入された機械的双晶によって分断されたマクロ組織
をその後の焼鈍工程で再結晶させ整粒化するとき、上記
のバンド状に存在する粒子群があるとバンドを越えた結
晶粒の成長が抑制されるため再結晶粒の方位分散程度が
劣化する。
内に於てバンド状に集積したFe、Niに富む粒子が存在し
ないことが望ましい。通常のインゴットの分析値ではイ
ンゴット表層の分析箇所からサンプリングしており、イ
ンゴット分析値からインゴット全体のこのような不純物
の偏在を予測しえないが、経験的にはインゴット分析値
でFe≦0.04重量%、Ni≦0.03重量%であればバンド状に
集積したFe、Niに富む粒子の存在は認められない。従っ
て、黒皮ままで冷間加工に供する場合のように板面のミ
クロ組織検査を行ないにくい場合には上記のインゴット
分析値基準に合致する素材を用いることが特に好まし
い。
ロ結晶粒内の方位分散を高くするには、焼鈍後の製品の
目標結晶粒径より素材の結晶粒径を大きくして機械的双
晶の発生を促進するのが好ましい。本用途向け製品の結
晶粒径は6.2 μm 程度が最低である。また、冷間圧延素
材として使える素材の最大結晶粒径には製品に於て望ま
しい均一・緻密性をもたらすならば特に制限はないが、
圧延素材の供給面からEBR スラブの約51mmとするのが好
ましい。
しつつ工業生産性を上げるための検討を行なって完成さ
れたものである。機械的双晶の冷間加工による生成量は
α相安定化不純物元素(C、O、N) の含有量によって
影響されるが、本発明が適用される工業用純チタン(J
IS1 種、2 種)及びチタン低合金ではこれらのα相安
定化不純物元素の含有は極めて低く機械的双晶の発生傾
向を大きく変えるものではなかった。しかし、機械的双
晶の発生を効率的行なうにはこれらα相安定化不純物元
素を極力少なくし、冷間加工前に蓄積されていた歪を焼
鈍などで解消しておくことが好ましい。
れた素材を冷間圧延することにより、全板厚範囲にわた
って所定量の機械的双晶を発生させ、上記第1発明チタ
ン材を製造する方法である。本発明では、チタン材のス
クラッチ疵の原因を不均一なマクロ組織の残存に起因す
るものとして捉えている。電解金属箔製造ドラム用のチ
タン材用を冷間圧延により製造する際、その素材の熱間
加工材に存在するコロニー等の不均一なマクロ組織を、
機械的双晶を発生させることによって全板厚範囲で破壊
する。その条件として、冷間圧延時の圧延ロール回転数
Rc(rps 回/秒)を、圧延ロール直径D(mm)に応じ
て上記(1)式で示される範囲に制御しながら、圧下率
15%以上の冷間圧延を行う。
の結晶構造が六方晶である材料を塑性加工するとき、辷
り変形の他に機械的双晶が発生し、塑性加工歪をかなり
の割合で担うことが知られている(例えば、「金属チタ
ンとその応用」、日刊工業新聞社、昭和58年刊)。こ
のとき、機械的双晶の形状は直線あるいは笹の葉型のバ
ンド状で、結晶粒を直線的に貫通して生成する。
るかに大きな塑性歪を局部的に与えることができるばか
りでなく、コロニー組織を構成する比較的大きな結晶粒
でも効率良く分断し、その内部の結晶方位の分散度を高
くすることができる。したがって機械的双晶の発生によ
りコロニー等の不均一な組織を効果的に破壊できる。機
械的双晶の生成後は辷り変形が主に塑性変形歪を担うこ
とになるが、辷り変形は既に機械的双晶により分断され
てできたサブ結晶粒の内部で活動するので、コロニー組
織を破壊する能力は機械的双晶に比べて小さい。
いため、塑性加工時に歪速度を大きくすると発生する熱
が外部に発散せず材料の温度が上昇し易い。また機械的
双晶は、材料温度が上がるにつれてその生成が減少する
ことが知られている。そこで、工業用純チタン材におい
て機械的双晶の発生量と冷間加工条件との関係を詳しく
調べた。また、電解金属箔製造ドラム用チタン材にはマ
クロ組織の均一性と緻密性が板厚方向にも求められてい
ることから、機械的双晶の発生量は、L断面すなわち圧
延方向と板厚方向とを含む断面で全板厚範囲にわたって
観察し、面積率を求めた。
i:0.010重量%)の熱延板(板厚10mm)を、真空クリー
プ矯正機(VCF,Vacuum Creep Flattening equipment)内
で、675℃×60分保持後炉冷の VCF焼鈍を施し、黒
皮ままの状態で種々のロール径を持つ冷間圧延機および
厚板熱延機を用いて冷間圧延を行い、機械的双晶の面積
率が25%以上となる冷間圧延条件を調査した。なお VCF
焼鈍は、 VCF装置内にて熱間形状矯正と焼鈍を同時に行
うことを指す。厚板・中板などレベラー矯正が困難な材
料を単独あるいは積層した後、炉内を雲母粉などで充填
した後、加熱しながら真空引きすると大気圧が板材に作
用して微小なクリープ変形が生じて形状が矯正されて平
坦な板材を製造できる。
90mm、圧延ロール回転数Rcは0.1〜10rps 、潤
滑は無潤滑、鉱物油、牛脂系油を適宜圧延機と組み合わ
せて使用した。パス毎の圧下量は、圧延ロールの損壊を
防ぐため、ロール径を考慮して定めた。圧延機のロール
径を大きく変えるため、実験室規模の小型圧延機や実生
産用の大型熱延機を用いて室温約28℃で実験を行っ
た。実験では冷延時の総圧下率を25%に統一して行っ
た。
延ロール回転数Rcを座標とし、機械的双晶の面積率が
25%以上となる限界条件の曲線を示す。この曲線を含
み、曲線より下の領域で機械的双晶の面積率が25%以
上となり、この条件を式で示したのが上記(1)式であ
る。曲線より上の領域では、加工時の歪速度が高すぎる
ため双晶の発生前に辷り変形が優先しておこり機械的双
晶の面積率が25%未満となる。このように、機械的双
晶の発生量は塑性加工法の種類には依存しないが、加工
時の歪速度には敏感であることから、本発明チタン材の
製造に当たっては従来の展伸材の場合以上に製造条件に
配慮することが重要である。
いて、ロール直径D、ロール回転数Rc、潤滑条件な
ど、種々の条件で冷間圧延したときに観察される機械的
双晶面積率の最大値と圧下率との関係を示す。すなわち
図2は、機械的双晶面積率を25%以上とするには、圧
下率を15%以上にする必要があることを示している。
以上の実験は熱延板に VCF焼鈍を施したものについて行
ったが、大気中で焼鈍を施したものについても、また焼
鈍を施さないものについても、同様の結果が得られた 電解金属箔製造ドラムを製作する工程においては、チタ
ン材を円筒状に加工したり、あるいは溶接などのドラム
長手方向の接合模様の除去のために相当量の付加的な塑
性加工と研削加工が必要であり、必ずしも通常の展伸材
に求められるような表面性状を冷延板の状態で持たせる
必要はない。そこで、本発明法の冷間圧延では、むし
ろ、黒皮スケールの潤滑効果を利用するのが好ましい。
すなわち、熱間加工工程で生成したスケールを表面に付
けたままで、あるいはスケールを付けたまま大気中また
は VCF(真空クリープ矯正機)で焼鈍を行った後、スケ
ールを残したままで冷間圧延するのが好ましい。この場
合、冷間圧延は、一種の機械的デスケール効果を与える
ので、引き続いてショットブラストと酸洗処理を行うこ
とで表面のデスケールを効率的に行って、そのまま電解
金属箔製造ドラムの素材とすることができる。
の展伸材の製造においては、冷間圧延前に熱延板をその
まま、あるいは軟化のための再結晶焼鈍を行った後、シ
ョットブラストなどの機械的デスケール処理とその後に
引き続く酸洗処理を行って、熱延板の表面のスケール
(酸化皮膜、黒皮とも言う)を完全に除去した後冷間圧
延を行うことが常識となっている。これは、不必要な酸
化やガス吸収を回避するため、冷間圧延後の板を脱脂
後、そのまま真空焼鈍し、冷延板の表面性状がそのまま
製品表面となる薄板製品を製造する場合が主であること
によっている。
素材を冷間圧延するのが好ましい。熱間加工まま、ある
いはそれを大気中または VCFで焼鈍しただけのスケール
付き状態の材料は、スケールの下に、熱間加工時の剪断
変形の集中によって細粒化した部分があるため、これら
が、冷延時の粒界での割れの防止に寄与する効果もあ
る。
の用途向けに製造したチタン製品を電解金属箔製造ドラ
ム用とするときには、圧延素材は既にデスケールされて
おり、表面の黒皮を除去した状態で冷延することにな
る。また、通常の展伸材の製造プロセスでは、製品にす
るための精整工程でこれらを黒皮と一緒に除去してしま
うため、一旦製品に仕上げたものを再度冷間加工する際
には上述のような問題が起きうる。
を有するドラム用チタン材を提供する観点から、冷延素
材として、大きな結晶粒径を有するEBR(電子ビーム
再溶解)スラブから切り出した切片(板面での平均結晶
粒径51mm)、円筒状にドラムを製造するときドラム長
手方向溶接部相当の結晶粒度を持った分塊スラブから切
り出した切片(板面での平均結晶粒径2.2mm)、およ
び熱延板(板厚10mm)を大気中で560℃〜790℃
で30分保定後空冷の焼鈍を施し表面を機械切削したも
の(板面での平均結晶粒径6.2〜118.1μm)を
用いて実験を行った。これらはいずれも一連の工業用純
チタンJIS2種(Fe: 0.04重量%、Ni: 0.02重量
%)材である。
の小型圧延機や実生産用の大型熱延機を用いて、圧延ロ
ール径を60〜1690mmと大きく変えて室温約28℃
で冷延した。なお冷延時の総圧下率は20%に統一して
行った。また、割れの発生を検知しやすくするため圧延
素材の表面は機械切削後酸洗しバフ研磨して鏡面に仕上
げた。圧延後の冷延板の表面を実体顕微鏡を用いて表面
粒界割れの有無を調べて、割れが発生しない圧延条件を
調べた結果、冷延素材の結晶粒径d(μm)に対し圧延
ロール径D(mm)を上記(2)式を満たすように選ぶこ
とで、粒界割れを防止できることが判明した。
晶の発生を最大限にするため圧延ロールの回転数を制限
することによって加工発熱による機械的双晶の発生率低
下を防止している。一方、従来のチタン及びチタン低合
金の展伸材の冷間圧延において、圧延速度が定常状態に
達するまでの加速段階と圧延終了に至るまでの減速段階
では、圧延ロール回転数が一時的には本発明法の範囲と
なることが有りうる。しかし、本発明法では圧延速度が
定常状態になった段階でのロール回転数を規定してい
る。
の第2発明法は、上記第1発明法で得られたチタン材を
大気中または真空クリープ矯正機内で焼鈍することによ
り、上記第2発明チタン材を製造する方法である。第1
発明法により冷間加工して、L断面における全板厚断面
の機械的双晶面積率を25%以上とすることにより、冷
延素材に存在したコロニー組織が機械的に破壊され緻密
な組織となる。これを再結晶焼鈍すると、マクロ組織内
部の結晶方位分散が進み、スクラッチ疵の発生が解消さ
れると考えられる。このような観点から本発明者らは冷
間圧延時に発生する機械的双晶の面積率と、再結晶後の
チタン材のスクラッチ疵との関係を調べた。
28重量%、Ni:0.015重量%)の熱延板(板厚10mm)で
黒皮がついたままの熱延板、及びそれを大気中で690
℃×30分保持する焼鈍を施したやはり黒皮ままの熱延
焼鈍板を、ワークロール径270mmの4段式圧延機に
て、そのまま冷間圧延に供した。圧延ロールの回転数は
0.5rps とし、無潤滑で、平均各パス0.5mmの圧下
を掛けて、総圧下率が5〜90%の範囲で冷延するとと
もに5%毎にサンプリングした。なお、各パス毎に室温
(25℃)の水中に浸漬して板の温度が一定になるよう
に注意した。
ける全板厚断面の機械的双晶面積率を3カ所測定し平均
値を求めた。さらに、冷延板に大気中で650℃×30
分保定後空冷の焼鈍を施し、また板面に平行に深さ2mm
だけ研削し、さらに#320研磨を行って、通常の硝弗
酸系のマクロ腐食液でエッチングした後、前記のように
定義したコロニー面積率(コロニー組織の面積率)を指
標にスクラッチ疵の判定を行った。スクラッチ疵は、コ
ロニー面積率に応じて次のように決めた。
点3以上を合格と判定した。
クラッチ疵評点の関係を示したもので、双晶面積率が増
加するにつれてスクラッチ疵が改善されることを示して
いる。図3から、冷延板中の双晶面積率が25%以上の
ものはスクラッチ疵評点が3以上の合格レベルになるこ
とがわかる。なおこの試験では平面研削ができるように
冷延ままの材料を冷間ロールレベラーを通して形状矯正
を行ったが、板厚を変化させないかぎり冷間ロールレベ
ラー矯正による付加的な双晶の発生は非常に少ないこと
を別の実験で確認した。
効果は、熱延板の焼鈍有無や冷延圧下量には関係なく機
械的双晶の占める割合でのみ決定されることが図3から
わかる。なお、上記の結果は圧延という塑性加工法の一
つを用いて検討を行い得られたものであるが、マクロ模
様の解消に有効なのは圧延という塑性加工法ではなく、
発生する機械的双晶の発生量が大きな影響を及ぼすので
あり、基本的には加工方法には依存しない。
で冷延を行った材料は、往々にして加工硬化しており、
ドラム製造時の矯正段階で曲がりにくく作業性が悪い場
合がある。また、残留応力があると矯正後の切削段階で
ゆがみを生じ易い。そのような場合、第2発明法により
冷延圧延後に焼鈍を入れて軟化させることで問題は解消
される。
明する。
(Fe=0.014 重量%、Ni=0.010 重量%)の黒皮がつい
たままの熱延板(板厚12mm)、およびそれを真空クリー
プ矯正機内で 660℃×2 時間保定後炉冷の焼鈍を施した
やはり黒皮ままの熱延焼鈍板を、ワークロール径200mm
の実験用4 段式圧延機にて無潤滑で室温25℃で冷延し
た。圧下率は5%〜80%の範囲で変化させた。圧延ロー
ルの回転数は1.3 (回/秒)とした。これらのサンプル
の圧延方向と板厚方向を含む面での双晶発生面積率の全
板厚平均値を測定した。冷延板に690 ℃×30分保定後空
冷の焼鈍を大気中で行ない、黒皮表面下2mm まで研削
し、更に#320 研磨を行なって通常の硝沸酸系のマクロ
腐食液でエッチングして、スクラッチ疵の目視判定を行
なった。その結果、表1に示すように、機械的双晶発生
率が25%以上ではスクラッチ疵判定は合格であるもの
の、25%未満では熱延板焼鈍の有無に関係なくスクラッ
チ疵判定は不合格であった。
(Fe=0.030 重量%、Ni=0.017 重量%)の熱延板(板
厚12mm)を大気中で690 ℃×30分の焼鈍を施し、黒皮ま
まの状態で60〜1690mmのロール径を持つ実験用冷間圧延
機および実生産用の大型厚板熱延機を用いて、ロール回
転数を変えて室温約15℃で冷間圧延を行ない、機械的双
晶の発生面積率を求めた。潤滑は無潤滑、鉱物油、牛脂
系油を適宜圧延機と組み合わせて使用した。パス毎の圧
下量は圧延ロールの損壊を防ぐため、ロール径を考慮し
て5 〜11%で実施した。なお、冷延時での総圧下率を33
%に統一して行なった。その結果、表2に示すように、
(1)式の範囲の本発明例は双晶面積率が25%以上で
あった。
ンJIS1 種(Fe=0.020 重量%、Ni=0.012 重量%)
のEBR (電子ビーム再溶解) 薄スラブから切り出した板
厚10mmの切片(板面での平均結晶粒径=48mm)、熱延板
(板厚10mm)を大気中で690 ℃×30分保定空冷(0.04m
m)、840 ℃×5 時間保定空冷(0.28mm)、880 ℃×11
時間保定炉冷(0.47mm)の焼鈍を施し表面を機械切削・
酸洗・鏡面研磨したものを、無潤滑で圧延ロール径と圧
延ロールの回転数を変化させ室温約25℃で冷延した。な
お冷延時の総圧下率は40%に統一して行なった。表3か
ら結晶粒径d(μm)に対し圧延ロール径D(mm)を
(2)式を満たすように選ぶことが粒界割れの防止に有
効であることが判明した。
(Fe=0.015 重量%、Ni=0.019 重量%)およびチタン
低合金Ti-0.2Pd ASTM garde7(Fe=0.030 重量%、Ni=
0.017 重量%)、Ti-0.3Mo-0.8Ni (ASTM garde12) (Fe
=0.020 重量%、Ni=0.72重量%)の黒皮まま熱延板
(板厚10mm〜12mm、幅2940×長さ10000mm )と、それら
を更に真空クリープ矯正炉内で真空脱気しながら670 ℃
〜720 ℃で30分〜2 時間の加熱保持を行ない形状矯正と
焼鈍を同時に行なった黒皮付き焼鈍板を用いた。
させ総圧下率40%の無潤滑の冷間圧延を室温約28℃で行
なった。なお、真空クリープ処理を行なっても熱延板の
黒皮は一部が変色するだけスケールの厚みに変化はなか
った。冷間圧延後一部分からサンプルを採取し機械的双
晶の発生面積率を測定した。冷延後、いずれの冷延板も
各々通常の大気焼鈍(675 ℃×60分加熱保定後空冷)と
真空クリープ矯正機内での焼鈍(660 ℃×2 時間保定後
炉冷)を行なった後、上述の方法で板面のスクラッチ疵
の評点を付けた。表4に示すように、いずれの焼鈍でも
疵の評点には差がなかった。双晶発生面積率を上記知見
に従って制御したものではスクラッチ疵の改善が確認で
きた。
に用いられている電解Cu箔などの電解金属箔を製造する
ための回転ドラム用のチタン材およびその製造法であっ
て、該チタン材に含まれる不均一なマクロ組織が金属箔
表面に転写して生成するスクラッチ疵の解消方法を詳細
に検討して、チタン及びチタン低合金製ドラムの素材製
造工程の中で、素材の冷延工程に着目して冷延時におけ
る全板厚にわたる機械的双晶の発生量を、圧延ロール、
圧延ロール回転数、圧延素材の結晶粒径によって制御
し、ドラム素材が原素材からの加工工程で引き継いでき
たマクロ組織を一挙に破壊・解消することを可能とする
製造方法ならびにそのドラム素材を提供するものであ
る。本発明は当該ドラム素材、ドラム、Cu箔など電解金
属箔製品の品質向上、生産効率及び歩留りを向上させる
経済的な効果が大きく、従来からのチタン及び低チタン
合金展伸材のミクロ組織及びマクロ組織の均一化・緻密
化にもその技術的思想を適用できることなどからその工
業的価値は大きい。
とロール回転数との関係を示すグラフである。
機械的双晶面積率との関係を示すグラフである。
の総圧延率で冷延した時の双晶面積率と冷延板を焼鈍し
た材料のマクロ模様評点の関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】 冷間加工組織をなし、任意のL断面にお
ける全板厚断面の機械的双晶面積率が25%以上であ
り、板面表面が均一かつ緻密であることを特徴とする電
解金属箔製造ドラム用チタン材。 - 【請求項2】 冷間加工後に焼鈍され、再結晶組織をな
し、カラーエッチング法を利用した判定方法により板面
の結晶方位の分布不均一性を定量評価し、結晶方位がほ
ぼ揃っている結晶粒の集合体をコロニー組織と定義した
ときに、板面に平行な任意の面におけるコロニー組織の
面積率が30%未満であることを特徴とする電解金属箔
製造ドラム用チタン材。 - 【請求項3】 冷間圧延時の圧延ロール回転数Rc(r
ps)を、圧延ロール直径D(mm)に応じて(1)式で
示される範囲に制御しながら、圧下率15%以上の冷間
圧延を行うことにより、冷間加工組織をなし、任意のL
断面における全板厚断面の機械的双晶面積率が25%以
上である冷延板とすることを特徴とする電解金属箔製造
ドラム用チタン材の製造方法。 - 【請求項4】 熱間加工時に生成したスケールを表面に
付けたままで冷間圧延することを特徴とする請求項3記
載の電解金属箔製造ドラム用チタン材の製造方法。 - 【請求項5】 熱間加工時に生成したスケールを表面に
付けたまま、大気中で焼鈍を行った後、スケールを残し
たままで冷間圧延することを特徴とする請求項3記載の
電解金属箔製造ドラム用チタン材の製造方法。 - 【請求項6】 熱間加工時に生成したスケールを表面に
付けたまま、真空クリープ矯正機内で焼鈍を行った後、
スケールを残したままで冷間圧延することを特徴とする
請求項3記載の電解金属箔製造ドラム用チタン材の製造
方法。 - 【請求項7】 表面スケールを除去した冷間圧延素材
を、該素材の結晶粒径d(μm)に応じて、直径D(m
m)が(2)式の関係を満たす圧延ロールで冷間圧延す
ることを特徴とする、請求項3、4、5、または6記載
の電解金属箔製造ドラム用チタン材の製造方法。 - 【請求項8】 請求項3、4、5、6または7記載のチ
タン板を、大気中または真空クリープ矯正機内で焼鈍す
ることにより、再結晶組織をなし、板面に平行な任意の
面におけるコロニー組織の面積率が30%未満である冷
延焼鈍板とすることを特徴とする電解金属箔製造ドラム
用チタン材の製造方法。
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