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JP3593066B2 - 液晶スペーサー用感光性樹脂および感光性樹脂組成物 - Google Patents

液晶スペーサー用感光性樹脂および感光性樹脂組成物 Download PDF

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JP3593066B2
JP3593066B2 JP2001196186A JP2001196186A JP3593066B2 JP 3593066 B2 JP3593066 B2 JP 3593066B2 JP 2001196186 A JP2001196186 A JP 2001196186A JP 2001196186 A JP2001196186 A JP 2001196186A JP 3593066 B2 JP3593066 B2 JP 3593066B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置内の液晶セルにおいて、この液晶セルの2枚の対向する面状体の離間間隔を高精度に制御すると共に一定に維持するための液晶スペーサー形成用樹脂および組成物に関し、より詳細には、従来公知のビーズ型のスペーサーではなく、フォトリソグラフィーを利用した柱状スペーサーを形成するための感光性樹脂および組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置内において、液晶組成物は、数μm程度の間隔を開けて対向する2枚の面状体(対向基板)の間であって、四方の端縁部がエポキシ樹脂等で封止されて形成されたセルの中に封入されている。このとき、対向基板同士の間隔が正確に一定に保持されていないと、液晶層が厚み勾配を持つことになるため、色むらやコントラスト異常等の不良品が発生する。このことから、均一な粒径分布を持つガラスまたはポリマービーズを液晶スペーサーとして液晶セル内に配し、基板の間隔を一定に保つようにしていた。
【0003】
近年、液晶表示装置の大型化、縦型化に伴い、ビーズ以外のスペーサーが要求されている。例えば、特開平11−174464号には、カルボキシル基を有するポリマーのカルボキシル基の一部に、グルシジル(メタ)アクリレート等を反応させて(メタ)アクリロイル基を導入した感光性樹脂から、フォトリソグラフィーを利用して柱状スペーサーを作成する技術が開示されている。
【0004】
しかし、この技術では、カルボキシル基の一部を(メタ)アクリロイル基に置換しているため、光感度を高めるために(メタ)アクリロイル基の導入量を増やすと、アルカリ現像性を発現させるために必要なカルボキシル基量が確保できない、ということとなり、光感度とアルカリ現像性とのバランスを取ることが難しいという問題があった。
【0005】
また、露光前の加熱乾燥による塗膜形成後のタックフリー性も重要な特性である。すなわち、液状の感光性樹脂組成物を用いてパターン形成を行う場合、まず基板上に樹脂組成物を塗布し加熱乾燥を行って塗膜を形成させた後、この塗膜にパターン形成用フィルムを圧着し、露光して、現像するという一連の工程が採用されている。この工程において、加熱乾燥後の塗膜に粘着性が残存していると、剥離後のパターン形成用フィルムに一部の樹脂組成物が付着して正確なパターンの再現ができなくなったり、あるいはパターン形成用フィルムが剥離できない、といった問題があった。このため、露光前のタックフリー性は、液晶スペーサー形成用に限らず、液状の感光性樹脂組成物にとって、重要な要求特性となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、大型の液晶表示装置において、長期間、液晶セルの面状体の間隔を一定に制御・維持し得る柱状スペーサーを提供することを目的として、高い光感度を有して機械的強度等の特性に優れた液晶スペーサーを作ることができ、しかも、露光前のタックフリー性や露光時の光感度を犠牲にすることなく良好なアルカリ現像性を有する感光性樹脂および組成物の開発を課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の感光性樹脂は、例えば、一定間隔で離間した2枚の面状体間に液晶組成物が封入された液晶セルにおいて、面状体の離間間隔を一定に維持する液晶スペーサーを形成するために用いられる樹脂であって、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂に不飽和一塩基酸を反応させ、次いで多塩基酸無水物を反応させ、さらにここで生成したカルボキシル基に対して1分子中に2個以上のカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られるものであるところに要旨を有する。このように多塩基酸無水物との反応後に、さらにカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物との反応により高分子量化させることで、1分子中に(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性(光硬化性)二重結合を多数有することができ、タックフリー性や光感度に優れ、しかも機械的強度等の特性に優れた液晶用スペーサーを作ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、液晶スペーサーを形成するための感光性樹脂組成物の主成分となる感光性樹脂として、1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂に不飽和一塩基酸を反応させ、次いで多塩基酸無水物を反応させ、さらにここで生成したカルボキシル基に対して1分子中に2個以上のカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られるものであるところに最大の特徴を有する。
【0009】
本発明の感光性樹脂の出発原料の必須成分である1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、1分子中に平均2個のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂が利用でき、ビスフェノールA型、テトラブロモビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂;多価アルコールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、あるいは前記ビスフェノール型エポキシ樹脂の前駆体であるビスフェノール化合物にアルキレンオキサイドを付加させたものである二価アルコール類と、エピクロルヒドリンを反応させて得られるジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;フェニレン型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂等が挙げられ、中でもビスフェノール型エポキシ樹脂や、ポリアルキレングリコール類またはアルキレンオキサイドとビスフェノール化合物との付加物である二価アルコール類とエピクロルヒドリンを反応させて得られるジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が、アルカリ現像性が特に良好である点で好ましい。
【0010】
また、本発明においては出発原料となるエポキシ樹脂として、1分子中に平均して3個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂を併用して用いてもよい。このようなエポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂であれば特に限定されずに用いることができ、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、ナフトール等のフェノール化合物と、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;等が挙げられる。
【0011】
上記エポキシ樹脂のエポキシ基に不飽和一塩基酸のカルボキシル基を反応させて、光硬化性(ラジカル重合性)不飽和二重結合を導入することができる。不飽和一塩基酸とは、1個のカルボキシル基と1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する一塩基酸である。具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、β−アクリロキシプロピオン酸、1個のヒドロキシル基と1個の(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物、1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと二塩基酸無水物との反応物等が挙げられ、好ましい具体例は、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリロイル基を有するものである。これらは、1種または2種以上を用いることができる。
【0012】
エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応は、後述のラジカル重合性モノマーや溶媒といった希釈剤の存在下あるいは非存在下で、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤、およびトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物、金属の有機酸または無機塩あるいはキレート化合物等の反応触媒の共存下、通常80〜130℃で行えばよい。
【0013】
エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応により感光性樹脂が得られるが、ここで感光性樹脂を得る場合に、エポキシ樹脂中のエポキシ基を全て不飽和一塩基酸と反応させてもよく、また、エポキシ基との反応性を有する官能基を2個以上有する化合物(鎖延長剤)をエポキシ基に対して反応させてもよい。エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、上記鎖延長剤の反応は、これらを同時に反応させる方法や任意の順序で段階的に反応させる方法等があり、いずれも採用可能である。
【0014】
上記鎖延長剤を用いることにより、予め感光性樹脂を高分子量化しておくことができ、これにより露光前のタックフリー性や露光時の光感度が向上する。エポキシ基と反応し得る官能基を有する鎖延長剤としては、多塩基酸、ポリフェノール化合物、多官能アミノ化合物、多価チオール等が挙げられる。
【0015】
本発明において、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸のみを反応させる場合、不飽和一塩基酸の使用量は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1化学当量に対し、0.8〜1.1モルが適しており、上記鎖延長剤をも反応させる場合は不飽和一塩基酸と鎖延長剤に含まれるエポキシ基と反応し得る官能基の化学当量の合計が0.8〜1.1モルとなるように反応させることが好ましい。
【0016】
また、本発明におけるエポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応の際には、長鎖アルキル基、芳香環を含む置換基、アルコール性ヒドロキシル基等を有するフェノール化合物や、酢酸、プロピオン酸、乳酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジメチロールプロピオン酸等のラジカル重合性を有さない一塩基酸を、1種または2種以上用いてもよい。これらの種類や使用量は、硬化物物性等の各要求特性に応じて適宜選択されるが、エポキシ樹脂中のエポキシ基1化学当量に対し、不飽和一塩基酸は0.4モル以上用いると共に、不飽和一塩基酸とこれらの化合物中のエポキシ基と反応性を有する官能基との合計が、エポキシ基1化学当量に対して0.8〜1.1モルとするのが好ましい。
【0017】
以上により、不飽和二重結合を導入したラジカル重合性化合物が得られる。このラジカル重合性化合物には、不飽和一塩基酸とエポキシ樹脂中のエポキシ基との反応により、エポキシ基が開環して生成したアルコール性ヒドロキシル基が存在している。本発明では、このヒドロキシル基と、多塩基酸無水物を反応させることによりラジカル重合性化合物にカルボキシル基を導入することができ、アルカリ現像が可能なカルボキシル基含有ラジカル重合性化合物が得られる。
【0018】
多塩基酸無水物としては、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、トリメリット酸等の二塩基酸無水物;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族あるいは芳香族四塩基酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
【0019】
これらの多塩基酸無水物とラジカル重合性化合物との反応においては、多塩基酸無水物の使用量は、ラジカル重合性化合物中のヒドロキシル基1化学当量に対し、0.1〜1.1モルが適しており、希釈剤の存在下または非存在下でハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、通常50〜130℃で行う。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等を触媒として添加してもよい。
【0020】
以上の反応によってラジカル重合性不飽和二重結合とカルボキシル基を有する樹脂が得られる。この樹脂はそれ自体でも液晶スペーサー用感光性樹脂として利用できるが、本発明の目的である光感度が高く、しかも機械的強度等の特性に優れた液晶用スペーサーを作るためには、この樹脂中のカルボキシル基にさらにカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物との反応により高分子量化させる必要がある。このことにより、1分子中に(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性(光硬化性)二重結合を多数有することができ、アルカリ現像性を損なわずに目的を達することができる。
【0021】
カルボキシル基と反応しうる官能基としてはエポキシ基やオキサゾリン基等が挙げられ、エポキシ基を有する化合物としては出発原料として例示したエポキシ樹脂が、オキサゾリン基を有する化合物としては1,3−フェニレンビスオキサゾリン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。
ラジカル重合性不飽和二重結合とカルボキシル基を有する樹脂と、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する化合物との反応は、樹脂中のカルボキシル基1化学当量に対し、カルボキシル基と反応し得る官能基が0.1〜0.9モルの範囲になるように反応させることが好ましい。カルボキシル基と反応し得る官能基が0.1モルよりも少ないと高分子量化が不十分で、光感度や液晶スペーサーとしての機械的強度が十分に発現しない。また、0.9モルを越えて反応させると、感光性樹脂中に残存するカルボキシル基の絶対量が少なくなり、アルカリ現像ができなくなる。
【0022】
これらの反応は、後述の希釈剤の存在下または非存在下でハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、通常50〜130℃で行う。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、塩化リチウム等の金属塩等を触媒として添加してもよい。
【0023】
本発明において、ラジカル重合性不飽和二重結合とカルボキシル基を有する樹脂と、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する化合物との反応後に得られた感光性樹脂には、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する化合物としてエポキシ樹脂を用いた場合はそのエポキシ基が開環して生成したヒドロキシル基やエポキシ樹脂が有しているヒドロキシル基が存在しており、また前記したヒドロキシル基と多塩基酸無水物との反応時にもヒドロキシル基が残存している場合がある。本発明では、これらのヒドロキシル基に対して、さらに多塩基酸無水物を反応させてもよい。この反応により、感光性樹脂中にカルボキシル基がさらに導入されるため、カルボキシル基量が増大し、アルカリ現像性をより向上させる効果がある。使用できる多塩基酸無水物および反応条件は、前述と同様であり、良好なアルカリ現像性を発現させるためには、感光性樹脂の酸価を30mgKOH/g以上にすることが好ましく、この点から、カルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物量や、2回目の多塩基酸無水物との反応によるカルボキシル基導入で調整することが好ましい。
【0024】
本発明の感光性樹脂は、これまで述べたようにエポキシ樹脂中のエポキシ基の開環によってヒドロキシル基が生成しており、工程中任意の段階で、このヒドロキシル基との反応性を有する官能基を分子内に2個以上有する鎖延長剤を反応させることによっても、2分子以上が鎖延長剤を介して連結した高分子量化ラジカル重合性化合物を得ることができる。このような鎖延長剤の例としてはポリイソシアネート化合物が挙げられる。
さらに本発明においては、工程中任意の段階で、イソシアネート基を含有する多官能(メタ)アクリレートをヒドロキシル基に対して反応させることにより、より多くの不飽和二重結合を含有したラジカル重合性化合物を得ることができる。
【0025】
本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物は、以上説明した感光性樹脂と共に、光重合開始剤と、必要に応じて希釈剤が配合されているものである。なお、本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物を100重量部としたときの感光性樹脂の含有量は5〜95重量部である。光重合開始剤としては公知のものを使用でき、具体的にはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。
【0026】
これらの光重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用され、感光性樹脂と、後述するラジカル重合性化合物を用いる場合は両者の合計の100重量部に対し、0.5〜30重量部用いるとよい。光重合開始剤の量が0.5重量部より少ない場合には、光照射時間を増やさなければならなかったり、光照射を行っても重合が起こりにくかったりするため、適切な硬度が得られなくなる。また、光重合開始剤を30重量部を越えて配合しても、メリットはない。
【0027】
希釈剤としては、溶媒または光重合反応に参加できるラジカル重合性化合物を1種または2種以上混合して使用することができる。感光性樹脂100重量部に対し5〜500重量部を塗工方法の最適粘度に応じて配合することが好ましい。
【0028】
溶媒としてはトルエン、キシレン等の炭化水素類;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、(ジ)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;(ジ)エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
【0029】
ラジカル重合性化合物には、オリゴマーとモノマーがある。ラジカル重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が使用でき、ラジカル重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メチル(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート等が使用可能である。
【0030】
本発明の感光性樹脂組成物中には、さらに必要に応じて、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材、染料、顔料、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤、増感剤、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重合抑制剤、増粘剤等の公知の添加剤を添加してもよい。また、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂や、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物等のエポキシ硬化剤、あるいはジオキサゾリン化合物等を配合してもよい。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物は、光が照射されていない部分がアルカリ水溶液に溶解するので、アルカリ現像ができる。アルカリ現像に使用できるアルカリとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等の水溶性有機アミン類が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0032】
本発明の液晶スペーサー用感光性樹脂組成物は、液晶表示装置内の液晶組成物が封入された液晶セルの対向する2枚の面状体(対向基板)の間隔を正確に制御・維持するための柱状スペーサーを形成するために用いられる。
【0033】
液晶スペーサーは、次のように製造する。液晶スペーサーを形成すべき面状体上に、本発明の感光性樹脂組成物を、乾燥後に所望のスペーサーの高さとなるような厚みに塗工・乾燥する。塗工方法は特に限定されず公知の方法の採用が可能である。
【0034】
次いで、柱状スペーサーを設けるべき部分に光が通過するようにパターン形成されたフォトマスク(パターニングフィルム)を、上記塗膜の上に接触状態または非接触状態で載せ、露光する。フォトマスクには、柱状スペーサーの断面形状に応じた、すなわち、円形、多角形等の開口を設ける。スペーサーの数、間隔、大きさ、形状、設置密度等は用途に応じて適宜変更する。
【0035】
露光後はフォトマスクを取り除き、溶剤またはアルカリ水溶液で現像する。本発明の感光性樹脂組成物からなる塗膜は、鎖延長反応により高分子量化されていることから、露光前であってもタックフリー性に優れているので、フォトマスクを接触状態で用いた場合でも、容易に剥離することができ、パターンの再現を正確に行える。現像後、必要に応じて加熱を行ってもよい。なお、溶剤現像に際しては、前記した溶剤やトリクロロエタン等のハロゲン系溶剤が使用可能である。
【0036】
また、感光性樹脂組成物を直接面状体上に塗布するのではなく、予めポリエチレンテレフタレート等の基材フィルムに塗布して乾燥させたドライフィルム(保護フィルムが貼り合わされていてもよい)の形態で使用することもできる。この場合、ドライフィルムを面状体上に積層して、露光前または露光後に基材フィルムを剥離すればよい。
【0037】
また、フォトマスクを使用せず、CADデータからレーザー光を直接、塗膜上に走査して描画する方法(レーザーダイレクトイメージング)を採用することもできる。
【0038】
面状体としては、ガラス基板、プラスチックフィルムが用いられ、シリコンやポリイミドからなる配向膜や、保護膜、透明電極等が形成されていてもよい。
【0039】
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる液晶スペーサーは、鎖延長反応により高分子量化された感光性樹脂を使用していることから、機械的強度が高くなり、また、二重結合の量をコントロールすることによってスペーサーが脆くなるのを防ぐこともできる。
【0040】
従って、液晶組成物を封入する際の応力や面状体同士に挟まれることによる圧力にも、割れ等の不都合を起こさずに、長期間、スペーサーとしての面状体同士の間隔を一定に制御することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。なお、実施例中の部および%は重量基準である。
合成例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂GY−250(チバガイギー製、エポキシ当量185)185部を110℃に加熱した後、アクリル酸72部、エチルカルビトールアセテート186部、トリフェニルフォスフィン1.3部およびメチルハイドロキノン0.2部を加え、10時間反応させた。この反応物を100℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸152部を加え、6時間反応させた。続いてビスフェノールA型エポキシ樹脂GY−250、105部を加え、110℃にて15時間反応させた。さらにこの反応物を100℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸45部を加えて4時間反応させ、感光性樹脂(酸価83)を75%含むエチルカルビトールアセテート溶液(A)を得た。
比較合成例
合成例1で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂185部に、アクリル酸72部、エチルカルビトールアセテート108部、トリフェニルフォスフィン1.3部およびメチルハイドロキノン0.2部を加え、110℃で10時間反応させた。この反応物を100℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸66部を加えて5時間反応させ、比較用感光性樹脂(酸価81)を75%含むエチルカルビトールアセテート溶液(B)を得た。
実施例1および比較例1
得られた各溶液を用い、表1に示す配合組成に従って、感光性樹脂組成物を調製し、以下の方法で評価を行った。
〔タックフリー性〕
各組成物を、乾燥後の塗膜厚が5μmになるように、ガラス板上に均一に塗布し、熱風循環式乾燥炉中で80℃で60分間乾燥したものについて、タックフリー性を指触によって評価した。実施例1の場合、タックは全く認められなかったが、比較例は顕著にタックが認められた。
〔現像性〕
タックフリー性評価のときと同様にして乾燥塗膜を形成した。次いで、30℃の1%NaCO水溶液を用いて、2.1kg/cmの圧力下、80秒間現像を行た。実施例、比較例共に、ガラス板上に樹脂塗膜は残存せず、良好な現像性を示した。
〔解像度〕
タックフリー性評価のときと同様にして乾燥塗膜を形成し、10μm×10μmパターンのフォトマスクを介して、1kWの超高圧水銀灯で500mJ/cmの光量を照射し、塗膜を硬化させた。現像性評価のときと同様の条件で現像し、解像度を評価した。実施例では全てのパターンに異常は認められなかった。一方、比較例では、パターンが一部欠損したものおよびパターン自体がガラス板から剥離してしまったものが、パターン中半数以上を占めていた。
〔均一性〕
解像度評価のときと同様にパターンを露光・硬化させた後、150℃で30分間ポストベークした。得られたパターンの膜厚のバラツキを評価したところ、実施例ではバラツキが±0.1μm以内であり、液晶スペーサーとして充分な均一性を示していた。比較例は±0.1μmを越えてバラツキが認められ、スペーサーとしては不適である。
〔硬化塗膜強度〕
解像度評価のときと同様にパターンを露光・硬化させた後、150℃で30分間ポストベークした。得られた硬化塗膜の強度を、島津微小硬度試験機で測定し、表1に結果を併記した。
【0042】
【表1】
Figure 0003593066
【0043】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂を主成分とする樹脂組成物は、優れた感光性を有すると共に、アルカリ現像も可能である。この樹脂組成物を用いて形成した液晶スペーサーは、機械的物性に優れており、液晶スペーサーを形成した後に、加圧時に割れ等の不都合を起こすことはない。従って、大型の液晶表示装置においても、長期間、液晶セルの面状体の間隔を一定に制御・維持することができるようになった。

Claims (2)

  1. 一定間隔で離間した2枚の面状体間に液晶組成物が封入された液晶セルにおいて、面状体の離間間隔を一定に維持する液晶スペーサーを形成するために用いられる樹脂であって、該樹脂が1分子中に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を必須成分として含むエポキシ樹脂に不飽和一塩基酸を反応させ、次いで多塩基酸無水物を反応させ、さらにここで生成したカルボキシル基に対して1分子中に2個以上のカルボキシル基と反応しうる官能基を有する化合物を反応させて得られることを特徴とする液晶スペーサー用感光性樹脂。
  2. 請求項1に記載の液晶スペーサー用感光性樹脂を主成分として含むことを特徴とする液晶スペーサー用感光性樹脂組成物。
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