JP3585814B2 - 磁石埋込型回転子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層鉄心の外周部に設けられた穴部に複数の永久磁石が装着され、回転電機の回転子として機能する磁石埋込型回転子に係り、特に永久磁石を穴部内に固定するための構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の磁石埋込型回転子としては、例えば特開平9−163649号公報に示されるように、永久磁石の外周部に接着剤を含浸または塗布した接着シートを配することにより、永久磁石を積層鉄心に設けられた打抜き穴内に固定することが提案されている。
しかしながら、上記のような埋込型回転子においては、永久磁石の外周部に接着剤を含浸または塗布した接着シートを配置しているので、各打抜き穴内における永久磁石の位置が一定せず、磁気特性および重量バランスが悪くなり、性能の低下を招くという問題点があったので、この出願と同一出願人によって出願された特願平11−336976号によれば、永久磁石が嵌挿される穴部の積層鉄心の中心側に沿って軸方向に貫通し、永久磁石と対応する位置で穴部と連通する注入用穴部を形成し、この注入用穴部を介して穴部と永久磁石の間に樹脂部材を充填することにより、永久磁石をバランス良く確実に固定することを提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の磁石埋込型回転子は以上のように構成され、永久磁石が嵌挿される穴部内に樹脂を充填し、この樹脂により永久磁石を固定するようにしているので、樹脂部材を注入するための圧力が永久磁石の全面にかかって、積層鉄心に大きな力が作用するため、薄肉部分が損傷する等の恐れがあるという問題点があった。
【0004】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、永久磁石をバランス良く確実に固定するとともに、樹脂部材の注入時に積層鉄心にかかる圧力を低減し、信頼性の向上を図ることが可能な磁石埋込型回転子を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る磁石埋込型回転子は、板状磁性部材を積層して形成された積層鉄心と、積層鉄心の外周近傍に周方向に所定の間隔を介し且つ軸方向に貫通して形成された複数の穴部と、各穴部にそれぞれ嵌挿される複数の永久磁石と、各穴部の積層鉄心の中心側においてそれぞれ軸方向に貫通する注入用穴部と、永久磁石と対応する位置で穴部と注入用穴部とを連通する連通穴部と、積層鉄心の両端面に穴部と注入用穴部の間をそれぞれ連通して形成される連通溝部と、注入用穴部、連通穴部および連通溝部を介して注入され、連通穴部の永久磁石側出口近傍及び永久磁石の周方向端面近傍に装填された樹脂部材と、永久磁石の軸中心側の穴部内に残された一部空間とを備えたものである。
【0006】
又、この発明の請求項2に係る磁石埋込型回転子は、請求項1において、連通溝部を介して注入される樹脂部材を積層鉄心の端面より突出して装填するようにしたものである。
【0007】
又、この発明の請求項3に係る磁石埋込型回転子は、請求項2において、積層鉄心の端面より突出して装填される樹脂部材を各穴部の周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士を連結させて環状に形成するようにしたものである。
【0008】
又、この発明の請求項4に係る磁石埋込型回転子は、板状磁性部材を積層して形成された積層鉄心と、上記積層鉄心の外周近傍に周方向に所定の間隔を介し且つ軸方向に貫通して形成された複数の穴部と、各穴部にそれぞれ嵌挿される複数の永久磁石と、各穴部の積層鉄心の中心側においてそれぞれ軸方向に貫通する注入用穴部と、永久磁石と対応する位置で穴部と注入用穴部とを連通する連通穴部と、注入用穴部、連通穴部および積層鉄心の両端部の注入用穴部から穴部に沿った端面上を介して注入され、連通穴部の永久磁石側出口近傍及び永久磁石の周方向端面近傍に装填された樹脂部材と、上記永久磁石の軸中心側の穴部内に残された一部空間とを備えたものである。
【0009】
又、この発明の請求項5に係る磁石埋込型回転子は、請求項4において、積層鉄心の端面上に装填される樹脂部材を各穴部の周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士を連結させて環状に形成するようにしたものである。
【0010】
又、この発明の請求項6に係る磁石埋込型回転子は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、樹脂部材を熱硬化性樹脂としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の形態1における磁石埋込型回転子の外観を示す斜視図、図2は図1における磁石埋込型回転子の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図、図3は図2における線III−IIIに沿う断面を示す断面図、図4は図1における磁石埋込型回転子の積層鉄心の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図、図5は図4における線V−Vに沿う断面を示す断面図、図6は図1における磁石埋込型回転子の製造に適用される注入金型の構成を積層鉄心が嵌挿された状態で示す断面図である。
【0012】
図において、1は外周近傍の周方向に所定の間隔を介して配置される複数の穴部1a、これら各穴部1aの後述する積層鉄心の中心側の周方向中央部に配置される注入用穴部1b、および中心部に配置される軸用穴部1cがそれぞれ形成された第1の板状磁性部材、2はこの第1の板状磁性部材1の各穴部1a、1b、1cと同様の、穴部2a、注入用穴部2b、軸用穴部2c、および穴部2aと注入用穴部2bの間を連通するスリット部2dがそれぞれ形成された第2の板状磁性部材である。
【0013】
そして、後述する積層鉄心の両端部および永久磁石とそれぞれ対応する位置に、例えば第2の板状磁性部材2を3〜4枚程度、残りの位置には第1の板状磁性部材1をそれぞれ配置した組み合わせで積層し、各穴部1aと2a、1bと2b、1cと2cをそれぞれ一致させ例えば抜きかしめ等で固着一体化することにより積層鉄心3が構成され、第2の板状磁性部材2が配置された部分には各スリット部2dにより、板厚の3〜4倍分の深さおよび径を有する連通溝部4および連通穴部5が形成される。
【0014】
6は両穴部1a、2aに対をなして嵌挿された永久磁石、7は両軸用穴部1c、2cに嵌合された回転子軸、8は各注入用穴部1b、2bから注入され、連通溝部4および連通穴部5を介して各穴部1a、2aに注入され、各永久磁石6の軸中心側に一部空間を残して装填された熱硬化性樹脂でなる樹脂部材である。9は積層鉄心3に樹脂部材8を注入するための注入金型で、図6に示すように樹脂供給穴部10a、この樹脂供給穴部10aから分岐する分岐穴部10b、この分岐穴部10bから積層鉄心3の各注入用穴部1b、2bと対応する位置で、それぞれ開口される複数の注入穴部10c、および積層鉄心3の各穴部1a、2a内の永久磁石6の端面に当接可能な突起部10dを有する上型10と、積層鉄心3が嵌挿可能な有底穴部11aおよび、この有底穴部11aの底部の積層鉄心3の各穴部1a、2aと対応する位置にそれぞれ突設され、各穴部1a、2a内の永久磁石6の端面に当接可能な突起部11bを有する下型11とで構成されている。
【0015】
次に、上記のように構成される実施の形態1における磁石埋込型回転子の製造方法について説明する。
まず、打ち抜き加工により穴部1a、注入用穴部1b、軸用穴部1cを有する第1の板状磁性部材1、および穴部2a、注入用穴部2b、軸用穴部2c、スリット部2dを有する第2の板状磁性部材2をそれぞれ形成する。次いで、図4に示すように、第2の板状磁性部材2を積層鉄心3の両端部に相当する位置、および各永久磁石6と対応する位置にそれぞれ3〜4枚ずつ配置するとともに、残りの部分には第1の板状磁性部材1を配置し、お互いの穴部1a、2a、注入用穴部1b、2b、および軸用穴部1c、2cがそれぞれ一致するように積層して、例えば抜きかしめ等により固着一体化して積層鉄心3を形成する。
【0016】
次に、上記のようにして形成された積層鉄心3を、図6に示すように各穴部2aが各突起部11bと一致するように下型11の有底穴部11a内に嵌挿する。次いで、積層鉄心3の各穴部1a、2a内にそれぞれ永久磁石6を所定の個数ずつ挿入する。そして、上型10を各注入穴部10cが積層鉄心3の各注入用穴部2bの位置と、各突起部10dが積層鉄心3の各穴部2aの位置とそれぞれ一致するように下型11の上部に載置し、図示はしないが締付部により上型10および下型11を締め付け固定させた後、所定の圧力により樹脂供給穴部10aから樹脂部材8を注入する。
【0017】
すると、この樹脂部材8は上型10の分岐穴部10b、各注入穴部10cおよび積層鉄心3の各注入用穴部1b、2b内を順に流れて、図4に示すようにスリット部2dによって形成される各連通穴部5を介して各穴部1a、2a内に導かれ、各永久磁石6を外周側に押圧し軸中心側に一部空間を残した状態で、また、積層鉄心3の両端部にスリット部2dによって形成される各連通溝部4を介して各穴部1a、2a内に導かれ、永久磁石6をその両側面から押圧した状態でそれぞれ充填される。次に、この状態で加熱することにより樹脂部材8を硬化させて積層鉄心3内に一体化する。次いで、締付部(図示せず)を緩めて上型10を外し、積層鉄心3を下型11から取り出して軸用穴部1c、2cに、回転子軸7を嵌合させて固着することにより磁石埋込型回転子が完成する。
【0018】
このように上記実施の形態1によれば、樹脂部材8をスリット部2dによって形成される各連通溝部4および連通穴部5を介して各穴部1a、2a内に導き、永久磁石6を外周側に押圧し軸中心側に一部空間を残した状態および永久磁石6の両側面から押圧した状態でそれぞれ装填するようにしているので、永久磁石6をバランス良く確実に固定することができ、信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0019】
又、樹脂部材8を連通溝部4および連通穴部5の両方から各穴部1a、2a内に導くことにより、各永久磁石6の軸中心側に一部空間を形成するようにしているので、この空間が形成されている範囲分だけ積層鉄心3にかかる力を低減することができ、積層鉄心3に過大な力がかかって薄肉部分が損傷したりするのを防止することが可能になる。さらに又、樹脂部材8を熱硬化性樹脂としたことにより、積層鉄心3への一体化が容易となり組立作業性の向上を図ることが可能になる。
【0020】
実施の形態2.
図7はこの発明の実施の形態2における磁石埋込型回転子の外観を示す斜視図、図8は図7における磁石埋込型回転子の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図、図9は図7における磁石埋込型回転子の積層鉄心の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【0021】
図において、上記実施の形態1におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。12は両端に例えば第2の板状磁性部材2を1〜2枚程度、各永久磁石6と対応する位置に第2の板状磁性部材2を3〜4枚程度、また、残りの位置には第1の板状磁性部材1をそれぞれ配置した組み合わせで積層し、各穴部1aと2a、1bと2b、1cと2cをそれぞれ一致させ、抜きかしめ等で固着一体化して形成される積層鉄心である。
【0022】
13、14は第2の板状磁性部材2が配置された部分に、それぞれ各スリット部2dにより板厚の1〜2倍分の深さ、および板厚の3〜4倍分の径に形成された連通溝部および連通穴部、15は各注入用穴部1b、2bから注入され、連通溝部13および連通穴部14を介して各穴部1a、2aに注入され、各永久磁石6の軸中心側に一部空間を残して装填された熱硬化性樹脂でなる樹脂部材で、連通溝部13を介して装填される部分は、注入金型9の上型10および下型11に形成される溝(図示せず)の働きにより積層鉄心12の端面より外方に突出し、各穴部2aの周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士が連結されて環状に形成されている。
【0023】
このように上記実施の形態2によれば、上記実施の形態1におけると同様に樹脂部材15をスリット部2dによって形成される各連通溝部13および連通穴部14を介して各穴部1a、2a内に導き、永久磁石6を外周側に押圧し軸中心側に一部空間を残した状態および永久磁石6の両側面から押圧した状態でそれぞれ装填するようにしているので、永久磁石6をバランス良く確実に固定することができ、信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0024】
又、樹脂部材15を連通溝部13および連通穴部14の両方から各穴部1a、2a内に導くことにより、各永久磁石6の軸中心側に一部空間を形成するようにしているので、この空間が形成されている範囲分だけ積層鉄心12にかかる力を低減することができ、積層鉄心12に過大な力がかかって薄肉部分が損傷したりするのを防止することが可能になる。又、樹脂部材15を熱硬化性樹脂としたことにより、積層鉄心12への一体化が容易となり組立作業性の向上を図ることが可能になる。
【0025】
又、積層鉄心12の両端部側から各穴部1a、2a内へ、注入金型9の上型10および下型11に形成された溝(図示せず)および連通溝部13を介して導くようにしているので、溝(図示せず)を利用する分だけ連通溝部13の深さ、すなわち連通溝部13を形成するために配置される第2の板状磁性部材2の枚数を減らすことができ、原価の低減を図ることができる。
さらに又、積層鉄心12の両端面から突出する樹脂部材15を、各穴部2aの周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士を連結させて環状としているので、機械的強度の向上を図ることができる。
【0026】
実施の形態3.
図10はこの発明の実施の形態3における磁石埋込型回転子の外観を示す斜視図、図11は図10における磁石埋込型回転子の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図、図12は図10における磁石埋込型回転子の積層鉄心の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
図において、上記実施の形態1、2におけると同様な部分は同一符号を付して説明を省略する。16は各永久磁石6と対応する位置に第2の板状磁性部材2を3〜4枚程度、また、残りの位置には第1の板状磁性部材1をそれぞれ配置した組み合わせで積層し、各穴部1aと2a、1bと2b、1cと2cをそれぞれ一致させ、抜きかしめ等で固着一体化して形成される積層鉄心である。
【0027】
17は第2の板状磁性部材2が配置された部分に、各スリット部2dにより板厚の3〜4倍分の径に形成された連通穴部、18は各注入用穴部1b、2bから注入され、連通穴部17および注入金型9の上型10、下型11に形成される溝(図示せず)を介して各穴部1a、2aに注入され、各永久磁石6の軸中心側に一部空間を残して装填された熱硬化性樹脂でなる樹脂部材で、溝(図示せず)を介して装填される部分は積層鉄心16の端面より外方に突出し、各穴部1aの周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士が連結されて環状に形成されている。
【0028】
このように上記実施の形態3によれば、上記実施の形態2におけると同様に、永久磁石6をバランス良く確実に固定することにより信頼性の向上を図り、又、各永久磁石6の軸中心側に一部空間を形成することにより積層鉄心16にかかる力を低減して過大な力がかかって薄肉部分が損傷したりするのを防止し、又、樹脂部材18として熱硬化性樹脂を用いることにより、積層鉄心16への一体化を容易として組立作業性の向上を図ることが可能になるということは勿論、樹脂部材18の積層鉄心16両端部側から各穴部1a、2a内への導入を、金型9の上型10および下型11に形成された溝(図示せず)のみにより行うようにしているので、上記実施の形態2におけるような連通溝部13が不要、すなわち、連通溝部13を形成するために配置される第2の板状磁性部材2が全く不要となり、大幅な原価低減が可能になる。
なお、金型9の上型10および下型11に形成される溝の代わりに、上型10および下型11の積層鉄心16の端面とそれぞれ対向する面全体を窪ませ、この窪みによって形成される空間内を介して樹脂部材18を装填するようにしても良く、この場合、樹脂部材18は積層鉄心16の両端全域を覆うように突出して形成されることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1によれば、板状磁性部材を積層して形成された積層鉄心と、積層鉄心の外周近傍に周方向に所定の間隔を介し且つ軸方向に貫通して形成された複数の穴部と、各穴部にそれぞれ嵌挿される複数の永久磁石と、各穴部の積層鉄心の中心側においてそれぞれ軸方向に貫通する注入用穴部と、永久磁石と対応する位置で穴部と注入用穴部とを連通する連通穴部と、積層鉄心の両端面に穴部と注入用穴部の間をそれぞれ連通して形成される連通溝部と、注入用穴部、連通穴部および連通溝部を介して注入され、連通穴部の永久磁石側出口近傍及び永久磁石の周方向端面近傍に装填された樹脂部材と、永久磁石の軸中心側の穴部内に残された一部空間とを備えたので、永久磁石をバランス良く確実に固定するとともに、樹脂部材の注入時に積層鉄心にかかる圧力を低減し、信頼性の向上を図ることが可能な磁石埋込型回転子を提供することができる。
【0030】
又、この発明の請求項2によれば、請求項1において、連通溝部を介して注入される樹脂部材を積層鉄心の端面より突出して装填するようにしたので、信頼性の向上を図り得ることは勿論、原価の低減を図ることが可能な磁石埋込型回転子を提供することができる。
【0031】
又、この発明の請求項3によれば、請求項2において、積層鉄心の端面より突出して装填される樹脂部材を各穴部の周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士を連結させて環状に形成するようにしたので、原価の低減ならびに機械的強度の向上を図ることが可能な磁石埋込型回転子を提供することができる。
【0032】
又、この発明の請求項4によれば、板状磁性部材を積層して形成された積層鉄心と、上記積層鉄心の外周近傍に周方向に所定の間隔を介し且つ軸方向に貫通して形成された複数の穴部と、各穴部にそれぞれ嵌挿される複数の永久磁石と、各穴部の積層鉄心の中心側においてそれぞれ軸方向に貫通する注入用穴部と、永久磁石と対応する位置で穴部と注入用穴部とを連通する連通穴部と、注入用穴部、連通穴部および積層鉄心の両端部の注入用穴部から穴部に沿った端面上を介して注入され、連通穴部の永久磁石側出口近傍及び永久磁石の周方向端面近傍に装填された樹脂部材と、上記永久磁石の軸中心側の穴部内に残された一部空間とを備えたので、信頼性の向上ならびに原価の低減が可能な磁石埋込型回転子を提供することができる。
【0033】
又、この発明の請求項5によれば、請求項4において、積層鉄心の端面上に装填される樹脂部材を各穴部の周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士を連結させて環状に形成するようにしたので、信頼性の向上ならびに原価の低減が可能であることは勿論、機械的強度の向上が可能な磁石埋込型回転子を提供することができる。
【0034】
又、この発明の請求項6によれば、請求項1ないし5のいずれかにおいて、樹脂部材を熱硬化性樹脂としたので、組立作業性の向上を図ることが可能な磁石埋込型回転子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1における磁石埋込型回転子の外観を示す斜視図である。
【図2】図1における磁石埋込型回転子の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【図3】図2における線III−IIIに沿う断面を示す断面図である。
【図4】図1における磁石埋込型回転子の積層鉄心の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【図5】図4における線V−Vに沿う断面を示す断面図である。
【図6】図1における磁石埋込型回転子の製造に適用される注入金型の構成を積層鉄心が嵌挿された状態で示す断面図である。
【図7】この発明の実施の形態2における磁石埋込型回転子の外観を示す斜視図である。
【図8】図7における磁石埋込型回転子の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【図9】図7における磁石埋込型回転子の積層鉄心の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【図10】この発明の実施の形態3における磁石埋込型回転子の外観を示す斜視図である。
【図11】図10における磁石埋込型回転子の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【図12】図10における磁石埋込型回転子の積層鉄心の構成を示し、(A)は正面図、(B)は(A)における線B−Bに沿う断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1の板状磁性部材、2 第2の板状磁性部材、1a,2a 穴部、
1b,2b 注入用穴部、1c,2c 軸用穴部、2d スリット部、
3,12,16 積層鉄心、4,13 連通溝部、6 永久磁石、
7 回転子軸、8,15,18 樹脂部材、9 注入金型、10 上型、
11 下型、5,14,17 連通穴部。
Claims (6)
- 板状磁性部材を積層して形成された積層鉄心と、上記積層鉄心の外周近傍に周方向に所定の間隔を介し且つ軸方向に貫通して形成された複数の穴部と、上記各穴部にそれぞれ嵌挿される複数の永久磁石と、上記各穴部の上記積層鉄心の中心側においてそれぞれ軸方向に貫通する注入用穴部と、上記永久磁石と対応する位置で上記穴部と上記注入用穴部とを連通する連通穴部と、上記積層鉄心の両端面に上記穴部と上記注入用穴部の間をそれぞれ連通して形成される連通溝部と、上記注入用穴部、連通穴部および上記連通溝部を介して注入され、上記連通穴部の上記永久磁石側出口近傍及び上記永久磁石の周方向端面近傍に装填された樹脂部材と、上記永久磁石の軸中心側の上記穴部内に残された一部空間とを備えたことを特徴とする磁石埋込型回転子。
- 連通溝部を介して注入される樹脂部材は積層鉄心の端面より突出して装填されていることを特徴とする請求項1記載の磁石埋込型回転子。
- 積層鉄心の端面より突出して装填される樹脂部材は各穴部の周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士が連結されて環状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の磁石埋込型回転子。
- 板状磁性部材を積層して形成された積層鉄心と、上記積層鉄心の外周近傍に周方向に所定の間隔を介し且つ軸方向に貫通して形成された複数の穴部と、上記各穴部にそれぞれ嵌挿される複数の永久磁石と、上記各穴部の上記積層鉄心の中心側においてそれぞれ軸方向に貫通する注入用穴部と、上記永久磁石と対応する位置で上記穴部と上記注入用穴部とを連通する連通穴部と、上記注入用穴部、連通穴部および上記積層鉄心の両端部の上記注入用穴部から上記穴部に沿った端面上を介して注入され、上記連通穴部の上記永久磁石側出口近傍及び上記永久磁石の周方向端面近傍に装填された樹脂部材と、上記永久磁石の軸中心側の上記穴部内に残された一部空間とを備えたことを特徴とする磁石埋込型回転子。
- 積層鉄心の端面上に装填される樹脂部材は各穴部の周方向両端側の位置でそれぞれ隣り合う同士が連結されて環状に形成されていることを特徴とする請求項4記載の磁石埋込型回転子。
- 樹脂部材は熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の磁石埋込型回転子。
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