JP3411353B2 - 摺動材料 - Google Patents
摺動材料Info
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Description
であり、さらに詳しく述べるならば、銅又は銅合金の焼
結空孔に樹脂を充填し、さらに必要により固体潤滑剤、
耐摩耗性成分などを添加しあるいはオイルを含油させた
摺動材料の改良に関するものである。また、本発明の摺
動材料は、家庭用クーラーコンプレッサーなど潤滑条件
がドライ条件、限りなくドライに近い条件、境界潤滑か
ら流体条件までの範囲のいずれにも適用でき、またこれ
らの間で摺動条件が変化しても焼付を起き難いものであ
る。
金)は裏金に焼結され、焼結により形成された焼結層に
高分子トライボ材料と称される多種の樹脂が含浸・焼成
されている。この材料では、樹脂が耐焼付性に優れてお
り、焼結合金は耐荷重性などに優れいているとの対照的
性質を利用し、前者により焼付防止機能を後者により荷
重を支える機能を分担させている。加えて、摺動中に樹
脂が焼結合金の表面を皮膜となって覆い、焼結銅合金の
耐焼付性不良をある程度補っている。
15号公報によると裏金表面にCu又はCu合金焼結層
を形成し、焼結合金の空孔に樹脂及び固体潤滑剤を充填
した摺動材料の改良が提案されている。この材料では、
焼結層としては純銅、青銅、鉛青銅、リン青銅などある
いはこれにFe−P化合物などを分散した複合合金が挙
げられている。固体潤滑剤としては二硫化モリブデン及
びグラファイトが挙げられている。さらに樹脂として
は、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイ
ミド及びフェノール樹脂が挙げられている。
ては、軸受と相手軸が片当たりすると樹脂皮膜によって
は焼結銅合金の耐焼付性不良は補いきれず、相手軸への
銅または銅合金の凝着により焼付に至る。また、樹脂及
び焼結銅合金層は摺動中に摩耗し、これにつれて後者の
露出面積割合が増大すると摺動面の耐焼付性は低下し、
ある露出面積に達した時点で焼付に至る。このような点
が従来の樹脂充填銅系焼結材料の性能の限界となってい
た。
と、Cu又はCu焼結合金の粒径、空孔率、銅合金表面
層の露出率を特定することにより耐焼付性を向上する提
案がなされており、それなりの効果を奏しているが、や
はり焼結合金が耐焼付性に劣るので片当たりなどが発生
した際には耐焼付性が低下することは否めない。
P,AlなどのCuマトリックスを強化する元素を添加
する、なじみ性が優れたPb,Biなどを添加する、グ
ラファイトなどの耐焼付性向上成分を添加する、アルミ
ナなどの耐摩耗性成分を添加するなどの提案がなされ、
それなりの成果を達成しているが焼結層は本質的に耐焼
付性に劣っている。
材料の焼結銅合金の耐焼付性を高めることにより、摺動
中に片当たりや焼結層露出面積の増大が起こった時にも
焼付が起こり難い摺動材料を提供することを目的とす
る。特に、本発明は、従来提案されてきた広範囲の組成
の樹脂充填−焼結摺動材料について耐焼付性を改良する
ために適用可能な技術的手段を見出すことによりクーラ
ーコンプレッサー、オートマチックトランスミッション
などの各種産業機器の軸受部に使用可能な材料を提供す
ることを目的とする。
ら研究を行い、次のように考察した。樹脂充填焼結銅系
材料が、油の供給が少ない、油の粘度が低い、すべり速
度が大きいかつ/又は荷重が大きいなどの摺動条件にお
かれると、軸受と軸との間の摩擦面間に存在する油膜が
薄くなり、混合潤滑や境界潤滑状態を呈するようにな
る。そうした条件下では摩擦による発熱が大きくなり、
さらに、実際の使用条件下で生ずる軸と軸受の片当りな
どがさらに発熱の増加を助長する。従来の樹脂充填焼結
摺動材料の焼付が起こるのはこのような条件下である。
このような焼付を起こす摩擦熱を逆に利用してなんらか
の反応を摺動面で起こさせることにより、焼付を防止で
きるのではないかと着想から鋭意検討を行った。
AgとSが摺動材料の表面で反応し、濃縮して焼付を防
止すること、Agは焼結銅合金に含有させる一方でSは
樹脂、固体潤滑剤及び/又は軸受含油オイルから供給で
きることを発見して、本発明を完成した。
滑剤から供給するものであり、0.1〜5重量%のAgを含有
し、残部Cu及び不可避的不純物からなる焼結銅合金と該
焼結銅合金の焼結空孔に充填された硫黄含有固体潤滑剤
及び樹脂とからなり、摺動材料全体に対して前記硫黄含
有固体潤滑剤と前記樹脂の合計は5〜80%体積%であ
り、前記硫黄含有固体潤滑剤と前記樹脂との合計に対し
て前記硫黄含有固体潤滑剤は5〜80体積%であり、前記
樹脂は20〜95体積%であることを特徴とする。
は相手軸により引き伸ばされて焼結合金の露出表面と接
触し、固体潤滑剤に含有されている硫黄が上述のような
摩擦面の発熱による温度で分解しかつ相手軸と軸受の間
の圧力により摺動面に加圧される結果焼結層表面と反応
しそして濃縮する。一方焼結合金中の銀もSと反応して
Sと同じ部位に濃縮して、銀と硫黄の濃縮層(以下「A
g−S濃縮層」と言う)が形成される。Ag−S濃縮層
はSIMS(Secondary Ion Mass Spectro−scopy )分
析により検出され、耐焼付性を向上させることが確認で
きた。Ag−S濃縮層では硫化銀が生成されているもの
と考えられる。
さず直接ミクロ的に接触し摩擦が生じ、発熱が多い部位
ほど形成され易い。この部位は焼付が起こり易い場所で
あるので、Ag−S濃縮層生成部位と焼付が起こり易い
摺動部位とは一致することになる。Ag−S濃縮層は軸
受と軸が接触する部位に生成された後、軸と軸受との相
対運動により摺動面に薄く伸びた状態となる。この結果
軸受−軸の間の凝着が抑えられ耐焼付性が向上する。す
るとAg−S濃縮層が形成された軸受の摺動面は凝着を
起こすことなく相手軸となじみ、その部位における潤滑
条件は境界潤滑から流体潤滑から移行する。引き続いて
その部位の温度が下がり、その後更なるAg−S濃縮層
の形成は抑制される。もし、上述の部位と別の場所で焼
付が起こり易くなるとその部位でAg−S濃縮層が形成
される。このようにAg−S濃縮層は焼付が起こり易い
任意の部位に局部的に生成し、焼付が起こらないような
部位では生成し難い。
量%未満であると上記したAg−S濃縮層の生成が顕著
でなく、一方5重量%を超えると銅合金が硬くなりすぎ
て摺動特性が不良になる。好ましいAgの含有量は0.
2〜3.0重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量
%である。Ag以外の成分は特に限定されず、本発明の
銅合金は工業的純銅にAgを添加したものであってもよ
く、公知の添加成分を加えたものであってもよい。もち
ろんこれらの添加成分の有無及び種類により銅合金の摺
動特性は変わるがAg−S濃縮層の生成は高温と高圧で
起こる反応に起因するので添加成分の有無、種類によっ
ては影響されないのである。
,PbS,Ag2 S,Bi2 S3 ,CdS,FeS,
FeS2 ,ZnS,Sb3 S2 及びCuSからなる群か
ら選択された1種又は2種以上であることが好ましい。
て5体積%未満であると、硫黄の供給量が不足してAg-S
濃縮層の生成が顕著でなく、一方樹脂との合計に対して
80体積%を超えるとそれらを結合する樹脂の割合が少
なくなり強度及び耐摩耗性が不足する。好ましい硫黄含
有固体潤滑剤の量は10〜70体積%であり、より好ま
しくは20〜60体積%である。なお、本発明で言う体
積は見掛け体積%であり、樹脂成分を充填した際に生じ
た空孔なども体積に含まれる。
アセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PP
S)を含む公知のトライボロジカル高分子をすべて使用
することができるが、特に、ポリイミド(PI)、ポリア
ミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリ
エーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)、及びフッ素系溶融樹脂(パーフルオロ
アルコキシ樹脂(PFA)、エチレンテトラフルオロエチ
レン共重合樹脂(ETFE)、フルオロエチレン−フロオロ
プロピレン共重合樹脂(FEP))などを好ましく使用す
ることができる。樹脂の量は硫黄含有固体潤滑剤との合
計に対して20〜95体積%の範囲内において耐焼付性
と耐荷重性を両立させることができる。好ましい樹脂の
量は30〜90体積%であり、より好ましくは40〜80体積%
である。
摺動材料に対して5〜80体積%の範囲内にあることが
必要である。これらの合計が5体積%未満であると、境
界潤滑条件あるいは極めてドライに近い摺動条件での耐
焼付性に優れず、一方80体積%を超えると耐荷重性が
低下する。これの成分の好ましい合計量は10〜70体積%
であり、より好ましくは20〜60体積%である。
本発明原理を適用した発明を説明するが、上記において
説明したAg−S濃縮層生成及び焼付防止の状況、Ag
量限定理由、樹脂の種類及び量、充填剤などは下記にお
いても共通するので、共通事項の説明は省略し当該構造
に特長的な点のみを説明することを理解されたい。
の摺動材料は、0.1〜5重量%のAgを含有する焼結銅
合金、及び前記焼結銅合金の5〜80体積%の焼結空孔に
含浸された硫黄又は硫黄含有化合物含有樹脂とからな
り、樹脂は摺動材料全体に対して20〜95体積%であり、
かつ樹脂中の硫黄又は硫黄含有化合物の含有量は0.01〜
1体積%であることを特徴とするものである。
金属の露出面を薄い膜となって被覆するときに、該樹脂
中のS(元素状硫黄)又は硫黄含有化合物と銅合金中の
Agが反応してAg−S濃縮層を形成するところに特長
がある。硫黄含有化合物としては、テトラメチルチウラ
ム・ジサルファイドで代表されるチウラム類、モルホリ
ン・ジサルファイド、ジチオ酸塩を好ましく使用するこ
とができる。硫黄含有化合物の樹脂中の含有量が0.0
1体積%未満であるとAg−S濃縮層が顕著に生成せ
ず、1体積%を超えると焼結層の銅との反応が顕著にな
りすぎ、耐摩耗性が損なわれる。硫黄含有化合物の好ま
しい含有量は0.1〜0.7体積%であり、より好まし
くは0.2〜0.5体積%である。
の耐焼付性をさらに高めるために、さらに樹脂との合計
に対して5〜80体積%の固体潤滑剤を添加することがで
きる。ただし固体潤滑剤と樹脂の合計量は摺動材料全体
に対して5〜80体積%の範囲内でなければならない。ま
た、この固体潤滑剤の少なくとも一部を硫黄含有固体潤
滑剤として固体潤滑剤と樹脂の両方から硫黄を供給する
こともできる。
ができ、その構成は上記した各種摺動材料の焼結空孔に
樹脂及び該当する場合は樹脂と固体潤滑剤など焼結合金
成分以外の成分(以下「樹脂等」と言う)との合計量の
体積を100%として0.1〜10体積%のオイルを含
浸せしめたものである。オイルとしてはシリコン系油、
パラフィン系油、オレフィン系油、グリコール系油、ナ
フテン系油、エステル系油などのあらゆる潤滑油を使用
することができる。オイルの添加量は0.1体積%未満
では耐焼付性を向上させることができず、10体積%を
超えると耐摩耗性が低下するので、上記の範囲内とする
ことが好ましい。特に好ましいオイル添加量は0.5〜
5体積%である。
摺動材料は、0.1〜5重量%のAgを含有する焼結銅合金、
ならびに焼結銅合金の焼結空孔に充填された硫黄含有化
合物含有樹脂及びオイルからなり、樹脂とオイルの合計
は摺動材料全体に対して20〜95体積%であり、オイルは
前記樹脂等の体積を100体積%として0.1〜10体積%であ
ることを特徴とするものである。この摺動材料では摺動
面を被覆するオイル中の硫黄含有化合物が高温・高圧で
分解して硫黄を発生し、これが摺動面に濃縮するのであ
る。同じような作用は、機械の潤滑油に含まれる硫黄や
硫黄含有化合物が摺動材料の銀と反応して硫化銀を反応
生成することによっても起こり得るが、この場合は、油
中の硫黄や硫黄含有化合物の濃度は少ないため、摺動材
料中に硫黄含有化合物を含む場合より効果が小さい。
てはジベンジルサルファイド及びMoS2 を初めとする
硫黄含有固体潤滑剤を好ましく使用することができる。
これらの化合物のうちオイルとの溶解性に富み、それ自
身も極圧性をもつジベンジルサルファイドが特に好まし
い。硫黄含有化合物のオイル中の含有量が0.1体積%
未満であるとAg−S濃縮層生成が顕著でなく、さらに
10体積%を超えると焼結層の銅との反応が顕著になり
すぎ耐摩耗性が損なわれるので0.1〜7体積%の範囲
が好ましい。特に好ましい含有量は0.3〜5体積%で
ある。なお、オイルに硫黄含有化合物を含有させる場合
にも、硫黄含有固体潤滑剤及び/又は樹脂から硫黄を供
給させることもできる。
ルから硫黄を供給する方法において、焼結合金自体に硫
黄を含有させることにより焼結銅合金からも硫黄を供給
させることができる。この場合、銅合金中に不純物とし
て微量(0.0001%)含有される不純物もAg−S
濃縮層生成に多少は寄与するが、より積極的に硫黄を銅
合金に添加することによりCu中のSによりAg−S濃
縮層の生成を促進することができる。
り、一部はCuマトリックスに均一に固溶している。一
方SはCuにほとんど固溶せず硫化銅として存在してい
るが、摩擦による熱によりAgとSとの濃縮層が摺動面
に形成される。本発明の摺動材料においてSが1重量%
を超えると多量の硫化銅の生成により銅材料が脆くな
る。したがって、本発明においてはCu中のSは1重量
%以下とすることが好ましい。
に、銅合金との合計に対して0.1〜20体積%のAl2O3,Si3
N4及びFe3Pからなる群から選択された1種または2種以上
を焼結合金に含有させることができる。好ましい添加量
は5〜12重量%である。
つように構成した摺動材料に、硫黄を供給しない公知の
種々の添加剤を添加することができる。これらの添加剤
の作用はそれ自身公知である。これらの添加剤は焼結銅
合金の露出面で高温・高圧反応で生成するAg−S濃縮
層を生成を妨げない。またAg−S濃縮層は境界潤滑に
より高温・高圧状態が惹起された時にかつその状態にな
った部位に生成するので、その時以外にかつその部位以
外で発揮される公知の添加剤の作用を妨げない。これら
の添加剤の種類及び添加量は特に限定されないが、固体
潤滑剤、樹脂及び耐摩耗性成分などの量は摺動材料全体
の80体積%を超えないようにすることである。以下、添
加剤の種類及び量の好ましい実施態様を例示し説明す
る。
Pb、Zn、フッ化カーボン、フッ化Pb及びBNからなる群の
固体潤滑剤であり、これらの1種又は2種以上は焼結空
孔に充填されて摩耗係数を低下させることにより摺動特
性を改良に寄与する。その添加量は固体潤滑剤との合計
に対して5〜80体積%が好ましく、5体積%未満であると
添加の効果がなく80体積%を超えると強度が低下する。
特に、好ましい添加量は15〜45体積%である。
クレイ、タルク、TiO2、ムライト、マイカ及び炭酸カル
シウムからなる群であり、これらの1種又は2種以上は
樹脂層成分中に分散して焼結すると特に耐摩耗性向上の
効果が高い。その添加量は銅合金との合計に対して総量
で0.5〜20体積%であることが好ましい。添加量が0.5体
積%未満であると耐摩耗性向上の効果が少なく、一方20
体積%を超えると相手軸を著しく摩耗するので、上記範
囲の添加量が好ましい。特に好ましい添加量は3〜15体
積%である。
属繊維を含有するものであり、樹脂を繊維強化すること
により耐摩耗性を改良するものである。これらの繊維と
しては樹脂複合材料にて公知の全てのものを使用するこ
とができるが、中でもガラス繊維、カーボン繊維、チタ
ン酸カリウム繊維などの無機繊維、芳香族ポリアミドな
どの有機繊維、SiCウィスカなどのウィスカ、Cuもしく
はステンレス系などの金属繊維を使用することが好まし
い。1種又は2種以上の繊維の添加量は0.5〜20体積%の
範囲が好ましく、添加量が樹脂等との合計に対して0.5
体積%未満であると耐摩耗性向上の効果が僅かであり、
20体積%を超えると相手軸を摩耗する。好ましい添加量
は3〜15体積%である。
合金のAg以外の成分の種類及び量は任意であるが、C
u−Ag合金は耐摩耗性及び低摩擦特性が不足するの
で、これらの性質を特に向上させる必要があるときは次
のような成分を添加した銅合金を本発明において使用し
てもよい。
以下のP,5%以下のAl,1%以下のSi,5%以下
のMn,5%以下のCr,5%以下のNi及び30%以
下のZnからなる群から選択されたCuマトリックス強
化元素を1種又は2種以上を含有する銅合金である。S
nは20%,Pは0.5%、Alは5%、Siは1%、
Mnは5%、Crは5%、Niは5%、Znは30%を
超えるとCuの延性が損なわれるので、これらの値を添
加量の上限とする必要がある。好ましい含有量は、Sn
は1〜10%,Pは0.2〜0.4%、Alは1〜3
%、Siは0.1〜0.5%、Mnは1〜3%、Crは
1〜3%、Niは1〜3%、Znは15〜20%であ
る。
記第一の銅合金に加えて、それぞれ30%以下のPb及
びBiからなる群から選択された1種又は2種の凝着防
止元素を含有する銅合金である。Pb及びBiはなじみ
性及び異物埋収性を高める元素である。これらの元素の
含有量が30%を超えると銅合金の強度が低下し、好ま
しくない。好ましい含有量は20%以下である。
とするかあるいは裏金に焼結したバイメタル構造とする
こともでき、後者の場合摺動面で一部焼結銅合金が露出
した構造とすることもでき、またドライ条件で使用され
る樹脂等で焼結層を被覆した構造とすることもできる。
このような表面被覆樹脂が消失し、焼結材料が露出した
時にAg−S濃縮層が焼付防止の効果を発揮する。本発
明の摺動材料の製造方法は一般的方法であり、例えば前
掲特開平5−157115号などに記載された方法によ
ることができる。さらに、熱可塑性樹脂及び添加剤を混
合、混練した組成物を樹脂の融点以上に加熱してロール
等を用いて青銅焼結層内へ含浸させる方法や、上記組成
物のペレットを青銅焼結層上に散布した後予熱しロール
で圧下する方法も採用することができる。
−S濃縮層は焼結銅合金の焼付が起こり易い部位にかつ
起こり易い時に形成される。すなわち、片当たりが発生
した部位あるいは焼結層の露出面積が急激に増大した時
にAg−S濃縮層形成され、どちらでもない状況(以下
「定常状況」と言う)では実質的に生成されない。定常
状況では、硫黄含有固体潤滑剤及び硫黄含有オイルは通
常の潤滑作用を営み、硫黄含有樹脂は通常の焼付防止作
用を営むが、片当たりなど発生した時に硫黄を摺動面に
供給し、硫黄が焼結銅合金から供給される銀と反応して
Ag−S濃縮層を形成する。したがって本発明は軸受が
遭遇する多様な状況において摺動性能を良好に保つこと
ができる。すなわち、片当たり、焼結合金層露出面積の
増大の他に異物の混入、潤滑油の不足、潤滑油の低粘度
化、荷重の増大、すべり速度の増大などの状況において
良好な性能を保つことができる。
時間の経過とともに変わっても必要部位にAg−S濃縮
層を発生させることができる。その後、焼付が起こらな
くなると、摺動面の温度が下がるのでAg−S濃縮層の
生成は抑制される。このことは、銅合金よりは強度が低
いAg−S濃縮層が極端に厚くなり、焼結層全体の強度
低下を招かないことを意味する。以下実施例により本発
明を説明する。
た。焼結層のCu系合金はあらかじめ表に示す組成とな
るように溶製した後、エアアトマイズを行い粒径が−1
00+200メッシュの粉末を篩分けした。
m、密度が約3.5g/ccとなるように散布した後8
30℃で0.5時間焼結した。この結果空孔率が約45
%の焼結層が得られた。
脂層成分を溶剤に分散させた液に浸漬し液をミキサで攪
拌して、樹脂層成分を焼結層空孔に含浸した。その後1
50℃で30分間乾燥を行って樹脂層成分を充填した。
図1〜9の表に示す樹脂層成分の割合は樹脂層成分内の
体積%である。又全体に対する樹脂層成分の割合は50
体積%である。
分散させた液にオイルを配合するか又は上記の製法を行
った後にオイルを含油させた。図8の表中のオイルの量
は樹脂成分100体積%に対するオイルの量である。
つき下記方法による焼付試験を行い、耐焼付性を測定し
た。その結果を図1〜9の表に示す。 焼付試験方法 試験機:ピンオンディスク型摩擦摩耗試験機 荷重:すべり距離500m毎に0.1kNづつ漸増 速度:1m/s オイル:パラフィン系鉱油(添加剤なし) 供給油量:2mg/min
はAgが添加されない銅合金を焼結層としてPAI及び
PTFEを焼結空孔に充填したものである。この材料の
焼付荷重は本発明実施例のNo1より低い。No57は
Agを本発明の下限未満で銅合金に添加しかつ、Sn,
Pbのような摺動特性を改良する元素が添加されていな
い。このために焼付荷重はNo51,52より一層低く
なっている。図1〜8の表は本発明の実施例に相当する
供試材の摺動層の組成を示しており、いずれも優れた焼
付荷重を有している。
うに変えた摺動材料No59〜63を調製した。なお、
焼結層成分はCu99重量%、Ag1重量%であり、樹
脂層はPAI60体積%、MoS2 40体積%であっ
た。試験結果を図10の表に示す。
かなように、本発明は、従来の焼結合金の本質的欠点で
ある耐焼付性不良を大幅に軽減しもって非常に広範囲の
組成の摺動層の耐焼付性を高めることができるという面
で実用上画期的なものであり、また焼付きをもたらす摩
擦熱を摺動特性に好ましい減少に作用を転換したという
面でトライボロジ的にも非常に有意義である。よって本
発明は摺動部材の設計の面で産業に貢献するところが大
きい。
料の組成と焼付荷重を示す図表である。
固体潤滑剤を併用した本発明の摺動材料の組成と焼付荷
重を示す図表である。
料の組成と焼付荷重を示す図表である。
料の組成と焼付荷重を示す図表である。
から硫黄を供給する本発明の摺動材料の組成と焼付荷重
を示す図表である。
用した本発明の摺動材料の組成と焼付荷重を示す図表で
ある。
供給する樹脂成分を併用した本発明の摺動材料の組成と
焼付荷重を示す図表である。
中の硫黄を供給する化合物を併用した本発明の摺動材料
の組成と焼付荷重を示す図表である。
合金と硫黄を供給する固体潤滑剤を組み合わせた比較例
の摺動材料の組成と焼付荷重を示す図表である。
重を示す図表である。
Claims (19)
- 【請求項1】 0.1〜5重量%のAgを含有し、残部Cu及び
不可避的不純物からなる焼結銅合金と該焼結銅合金の焼
結空孔に充填された硫黄含有固体潤滑剤及び樹脂とから
なり、摺動材料全体に対して前記硫黄含有固体潤滑剤と
前記樹脂の合計は5〜80%体積%であり、前記硫黄含有
固体潤滑剤と前記樹脂との合計に対して前記硫黄含有固
体潤滑剤は5〜80体積%であり、前記樹脂は20〜95体積
%であることを特徴とする摺動材料。 - 【請求項2】 0.1〜5重量%のAgを含有し、残部Cu及び
不可避的不純物からなる焼結銅合金と、前記焼結銅合金
の焼結空孔に含浸された硫黄もしくは硫黄化合物含有樹
脂とからなり、摺動材料全体に対して樹脂は5〜80体
積%であり、前記樹脂が0.01〜1体積%の前記硫黄
又は硫黄含有化合物があることを特徴とする摺動材料。 - 【請求項3】 0.1〜5重量%のAgを含有し、残部Cu及び
不可避的不純物からなる焼結銅合金と、前記焼結銅合金
の焼結空孔に充填された、硫黄もしくは硫黄化合物含有
樹脂及びオイルからなり、摺動材料全体に対して前記硫
黄もしくは硫黄含有化合物樹脂は5〜80体積%であり、
前記オイルは前記硫黄もしくは硫黄化合物含有樹脂の体
積を100体積%として0.1〜10体積%であることを特徴と
する摺動材料。 - 【請求項4】 摺動材料全体に対して、前記樹脂との合
計で5〜80体積%の固体潤滑剤をさらに含有し、固体
潤滑剤と樹脂の合計に対して固体潤滑剤は5〜80体積
%である請求項2記載の摺動材料。 - 【請求項5】 さらに、摺動材料全体に対して前記樹脂
との合計で5〜80体積%の固体潤滑剤を含有し、固体潤
滑剤と樹脂の合計に対して固体潤滑剤は5〜80体積%で
あることを特徴とする請求項3記載の摺動材料。 - 【請求項6】 前記固体潤滑剤の少なくとも一部が硫黄
含有固体潤滑剤である請求項4又は5記載の摺動材料。 - 【請求項7】 前記樹脂が0.01〜1体積%の硫黄又は硫
黄含有化合物を含有することを特徴とする請求項5記載
の摺動材料。 - 【請求項8】 前記硫黄含有固体潤滑剤が、MoS2, WS2,
PbS, As2S, Bi2S3, CdS, FeS, FeS2, ZnS, Sb3S2, 及
びCuSからなる群から選択された1種又は2種以上であ
る請求項1又は6記載の摺動材料。 - 【請求項9】 前記樹脂に含有される硫黄含有化合物が
チウラム類、モルホリン・ジサルファイド及びジチオ酸
塩からなる群から選択された1種又は2種以上である請
求項2又は7記載の摺動材料。 - 【請求項10】 前記樹脂に含有される硫黄含有化合物
はジベンジルサルファイド及びジチオ酸塩からなる群か
ら選択された1種又は2種である請求項3記載の摺動材
料。 - 【請求項11】 前記焼結銅合金の空孔にさらにオイル
が含有され、該オイルは前記樹脂又は樹脂と固体潤滑剤
の合計を100体積%とし0.1〜10体積%であることを特徴
とする請求項1、2又は4項記載の摺動材料。 - 【請求項12】 前記固体潤滑剤が、グラファイト、PT
FE、Pb、Zn、フッ化カーボン、フッ化Pb、及びBNからな
る群から選択された1種又は2種以上である請求項4又は
5記載の摺動材料。 - 【請求項13】 焼結銅合金との合計に対して0.5〜20
体積%のAl2O3,SiO2, Si3N4, クレイ、タルク、TiO2,ム
ライト、マイカ及び炭酸カルシウムからなる群から選択
された1種又は2種以上の耐摩耗性成分をさらに含有す
る−但し焼結銅合金以外の成分の合計量は摺動材料全体
に対して5体積%以下80体積%以下である−ことを特
徴とする請求項1から12までの何れか1項記載の摺動
材料。 - 【請求項14】 摺動材料全体に対して0.5〜20体積%
の無機、有機もしくは金属繊維を含有し、かつ摺動材料
全体に対して焼結銅合金及びオイル以外の成分は5〜80
体積%であることを特徴とする請求項1から13までの何
れか1項記載の摺動材料。 - 【請求項15】 前記焼結銅合金がさらに0.0001〜1重量
%のSを含有することを特徴とする請求項1から13までの
何れか1項記載の摺動材料。 - 【請求項16】 前記焼結銅合金がさらに20重量%以
下のSn、0.5重量%以下のP、5重量%以下のAl、1重量
%以下のSi、5重量%以下のMn、5重量%以下のCr、5
重量%以下のNi及び30重量%以下のZnからなる群から選
択された1種又は2種以上をさらに含有することを特徴
とする請求項1から15まで何れか1項記載の摺動材料。 - 【請求項17】 前記焼結合金が総量で30重量%以下の
Pb及びBiからなる群から選択された1種又は2種をさらに
含有することを特徴とする請求項1から16まで何れか1
項記載の摺動材料。 - 【請求項18】 裏金に焼結された焼結合金の表面が固
体潤滑剤、耐摩耗性成分及び繊維からなる群から選択さ
れた少なくとも1種を含有する樹脂により被覆されてい
ることを特徴とする請求項1から17までの何れか1項記
載の摺動材料。 - 【請求項19】 前記樹脂が焼結合金の表面を局部的に
被覆し、焼結合金の表面の一部が露出していることを特
徴とする請求項18記載の摺動材料。
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