JP3386195B2 - 白血球選択捕捉器及び白血球捕捉装置 - Google Patents
白血球選択捕捉器及び白血球捕捉装置Info
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- JP3386195B2 JP3386195B2 JP19667493A JP19667493A JP3386195B2 JP 3386195 B2 JP3386195 B2 JP 3386195B2 JP 19667493 A JP19667493 A JP 19667493A JP 19667493 A JP19667493 A JP 19667493A JP 3386195 B2 JP3386195 B2 JP 3386195B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中の白血球を選択
的に捕捉する白血球捕捉器及びこの白血球捕捉器を組み
込んだ白血球捕捉装置に関する。詳しくは、全血、赤血
球、血小板濃厚液又は体外循環において、白血球を含有
する白血球浮遊液から白血球を効率よく捕捉する白血球
捕捉器及び白血球捕捉装置に関する。
的に捕捉する白血球捕捉器及びこの白血球捕捉器を組み
込んだ白血球捕捉装置に関する。詳しくは、全血、赤血
球、血小板濃厚液又は体外循環において、白血球を含有
する白血球浮遊液から白血球を効率よく捕捉する白血球
捕捉器及び白血球捕捉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】輸血分野において、輸血に伴い頭痛、吐
き気、悪寒、非溶血性発熱反応、アロ抗原感作輸血後対
宿主移植片拒否反応(GVHD)、ウイルス感染などの
重篤な副作用が発症することが知られている。この副作
用予防のため、ポリエステル製の不織布やコットン面な
どの捕捉材からなる白血球捕捉器及び装置による、輸血
血液中からの白血球の捕捉が行われている。又、全身性
エリテマトーデス、悪性関節リウマチ、多発性硬化症な
どの自己免疫疾患、白血病、癌などの治療、あるいは移
植前の免疫機能低下の目的で、不織布などの白血球捕捉
器及び装置を用いた血液中の白血球の捕捉が行われてい
る。心臓外科分野においても、例えば冠動脈バイパス手
術後に灌流する血液より白血球を捕捉する試みがなされ
ている。これは白血球が手術部位で活性化された結果、
スーパーオキサイド(超酸化物)を放出し、このスーパ
ーオキサイドが手術部位に損傷を与えるため、白血球を
予め捕捉して取り除こうとするものである。
き気、悪寒、非溶血性発熱反応、アロ抗原感作輸血後対
宿主移植片拒否反応(GVHD)、ウイルス感染などの
重篤な副作用が発症することが知られている。この副作
用予防のため、ポリエステル製の不織布やコットン面な
どの捕捉材からなる白血球捕捉器及び装置による、輸血
血液中からの白血球の捕捉が行われている。又、全身性
エリテマトーデス、悪性関節リウマチ、多発性硬化症な
どの自己免疫疾患、白血病、癌などの治療、あるいは移
植前の免疫機能低下の目的で、不織布などの白血球捕捉
器及び装置を用いた血液中の白血球の捕捉が行われてい
る。心臓外科分野においても、例えば冠動脈バイパス手
術後に灌流する血液より白血球を捕捉する試みがなされ
ている。これは白血球が手術部位で活性化された結果、
スーパーオキサイド(超酸化物)を放出し、このスーパ
ーオキサイドが手術部位に損傷を与えるため、白血球を
予め捕捉して取り除こうとするものである。
【0003】従来、不織布、スポンジ等の多孔体など多
孔質の高分子材料を白血球の捕捉材として内部に保持し
た白血球捕捉器が知られている。特に大量の白血球を捕
捉する目的では、特開昭62−243561が開示され
ている。これらの白血球捕捉器には、高い白血球捕捉能
力が要求されている。即ち、容器サイズの小型化及びプ
ライミングボリウムの最小化という観点から、単位体積
当たりの総白血球捕捉量が大きく、更にカラムの入口と
出口での白血球濃度の減少率(白血球捕捉率)が高いと
いうニつの構成要件が含まれる必要がある。これらを達
成するために、白血球捕捉器においては、容器中の捕捉
材の充填密度を高くしたり、又捕捉材の量を多くした
り、容器形状の工夫が行われているが、現在十分なもの
とは言えない。ところが、同時に、血液中の他の血球成
分、特に有用な成分である血小板の粘着を最小限に押さ
え、主目的の白血球のみを選択的に捕捉する必要があ
る。血小板は粘着性が高く、捕捉材の充填密度を高く
し、捕捉材の量を多くすると白血球同様にその粘着量も
増加してしまい上記の方法では両者を両立する事には限
界がある。そこで、より選択性の高い白血球捕捉器の開
発が必要である。
孔質の高分子材料を白血球の捕捉材として内部に保持し
た白血球捕捉器が知られている。特に大量の白血球を捕
捉する目的では、特開昭62−243561が開示され
ている。これらの白血球捕捉器には、高い白血球捕捉能
力が要求されている。即ち、容器サイズの小型化及びプ
ライミングボリウムの最小化という観点から、単位体積
当たりの総白血球捕捉量が大きく、更にカラムの入口と
出口での白血球濃度の減少率(白血球捕捉率)が高いと
いうニつの構成要件が含まれる必要がある。これらを達
成するために、白血球捕捉器においては、容器中の捕捉
材の充填密度を高くしたり、又捕捉材の量を多くした
り、容器形状の工夫が行われているが、現在十分なもの
とは言えない。ところが、同時に、血液中の他の血球成
分、特に有用な成分である血小板の粘着を最小限に押さ
え、主目的の白血球のみを選択的に捕捉する必要があ
る。血小板は粘着性が高く、捕捉材の充填密度を高く
し、捕捉材の量を多くすると白血球同様にその粘着量も
増加してしまい上記の方法では両者を両立する事には限
界がある。そこで、より選択性の高い白血球捕捉器の開
発が必要である。
【0004】血小板の低通過性
WO/05812や特開平1−249063に示すが如
く、従来の捕捉材では、捕捉材の表面に荷電を付与し、
白血球を選択的に捕捉するように表面改質を施した白血
球捕捉器が開示されているが、この技術をもってしても
十分な血小板通過性は達成できているとはいえない。
又、特開平4−187206では、表面にエチレングリ
コール鎖をグラフトし血小板の通過性の向上を開示して
いるが、初期の血小板の粘着は多く、よって実用上満足
できるものではなかった。
く、従来の捕捉材では、捕捉材の表面に荷電を付与し、
白血球を選択的に捕捉するように表面改質を施した白血
球捕捉器が開示されているが、この技術をもってしても
十分な血小板通過性は達成できているとはいえない。
又、特開平4−187206では、表面にエチレングリ
コール鎖をグラフトし血小板の通過性の向上を開示して
いるが、初期の血小板の粘着は多く、よって実用上満足
できるものではなかった。
【0005】カラム形状
特開昭62−243561では、大量の血液を処理する
白血球捕捉器に付いて開示しているが、本発明者らの研
究によると、白血球の捕捉能力も満足できるものではな
く、更に開始時の血小板の通過率も満足のいくものとは
いえない。
白血球捕捉器に付いて開示しているが、本発明者らの研
究によると、白血球の捕捉能力も満足できるものではな
く、更に開始時の血小板の通過率も満足のいくものとは
いえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血液
の濡れ性に優れ、基材からの溶出物を最小限にし、かつ
白血球のみを選択的に捕捉し、特に血小板の通過性を向
上させた白血球捕捉器及び白血球捕捉装置を提供するこ
とである。従来、白血球の高捕捉率は、捕捉材の表面積
を増加させる物理的手法によって、ある程度達成されて
きたが、これに反してより粘着性の高い血球である血小
板の粘着が起こることが知られている。従ってこの捕捉
材を高密度で、厚く充填した白血球捕捉器は、白血球の
捕捉率は高くなるが、同時に血小板の粘着は防止できな
い。これに対して血小板の粘着を抑制して、白血球のみ
を高率で捕捉するためには、捕捉材を化学的に改質する
必要があった。しかし、前述のようにただ親水性のモノ
マーやポリマーをグラフト重合やコーティングするだけ
では、血小板の通過性は多少向上できるが、白血球捕捉
率は低くなる傾向が見られた。白血球捕捉率を高くする
ために捕捉材の充填密度を上げ、厚みを増加すると、容
器サイズが大型化し、これに伴い血小板通過性が低下
し、悪循環となった。そこで、高い白血球捕捉率を維持
しながら、同時に高い血小板通過性を持たせる白血球捕
捉器の必要が生じた。
の濡れ性に優れ、基材からの溶出物を最小限にし、かつ
白血球のみを選択的に捕捉し、特に血小板の通過性を向
上させた白血球捕捉器及び白血球捕捉装置を提供するこ
とである。従来、白血球の高捕捉率は、捕捉材の表面積
を増加させる物理的手法によって、ある程度達成されて
きたが、これに反してより粘着性の高い血球である血小
板の粘着が起こることが知られている。従ってこの捕捉
材を高密度で、厚く充填した白血球捕捉器は、白血球の
捕捉率は高くなるが、同時に血小板の粘着は防止できな
い。これに対して血小板の粘着を抑制して、白血球のみ
を高率で捕捉するためには、捕捉材を化学的に改質する
必要があった。しかし、前述のようにただ親水性のモノ
マーやポリマーをグラフト重合やコーティングするだけ
では、血小板の通過性は多少向上できるが、白血球捕捉
率は低くなる傾向が見られた。白血球捕捉率を高くする
ために捕捉材の充填密度を上げ、厚みを増加すると、容
器サイズが大型化し、これに伴い血小板通過性が低下
し、悪循環となった。そこで、高い白血球捕捉率を維持
しながら、同時に高い血小板通過性を持たせる白血球捕
捉器の必要が生じた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らが鋭意検討し
た結果、捕捉材表面の化学的性状を特定することで、白
血球捕捉性能と血小板通過性能を発揮しうることを見い
出した。しかもこれに加えてポアサイズや表面積等の物
理的構造もまた特定することで更に優れた白血球捕捉器
及び白血球捕捉装置が得られることを見い出し、本発明
を成すに至った。即ち、本発明は下記のとおりのもので
ある。表面にカチオン性基及び繰り返し単位2〜15の
ポリエチレングリコール鎖を有するモノマー部分が導入
された繊維または連続孔を有する高分子多孔体からな
る、平均孔径が1〜30μm、全細孔容積が0.40m
l/ml以上0.95ml/ml以下で且つ孔径1〜3
0μmの細孔部分の容積が全細孔容積の75%以上であ
る捕捉材を、充填密度0.05g/cm3 以上0.5
g/cm3 以下で内蔵することを特徴とする、白血球
の浮遊する液から白血球を捕捉する血小板通過性に優れ
た白血球捕捉器。カチオン性基及び繰り返し単位2〜1
5のポリエチレングリコール鎖を有するモノマー部分が
導入された親水性部及び炭化水素系の疎水性部を有する
親水性表面構造材が、主成分を炭化水素とする疎水性の
基材と疎水性部で結合している捕捉材を充填密度0.0
5g/cm 3 以上0.5g/cm 3 以下で内蔵すること
を特徴とする白血球の浮遊する液から白血球を捕捉する
血小板通過性に優れた白血球捕捉器。
た結果、捕捉材表面の化学的性状を特定することで、白
血球捕捉性能と血小板通過性能を発揮しうることを見い
出した。しかもこれに加えてポアサイズや表面積等の物
理的構造もまた特定することで更に優れた白血球捕捉器
及び白血球捕捉装置が得られることを見い出し、本発明
を成すに至った。即ち、本発明は下記のとおりのもので
ある。表面にカチオン性基及び繰り返し単位2〜15の
ポリエチレングリコール鎖を有するモノマー部分が導入
された繊維または連続孔を有する高分子多孔体からな
る、平均孔径が1〜30μm、全細孔容積が0.40m
l/ml以上0.95ml/ml以下で且つ孔径1〜3
0μmの細孔部分の容積が全細孔容積の75%以上であ
る捕捉材を、充填密度0.05g/cm3 以上0.5
g/cm3 以下で内蔵することを特徴とする、白血球
の浮遊する液から白血球を捕捉する血小板通過性に優れ
た白血球捕捉器。カチオン性基及び繰り返し単位2〜1
5のポリエチレングリコール鎖を有するモノマー部分が
導入された親水性部及び炭化水素系の疎水性部を有する
親水性表面構造材が、主成分を炭化水素とする疎水性の
基材と疎水性部で結合している捕捉材を充填密度0.0
5g/cm 3 以上0.5g/cm 3 以下で内蔵すること
を特徴とする白血球の浮遊する液から白血球を捕捉する
血小板通過性に優れた白血球捕捉器。
【0008】捕捉材
本発明でいう捕捉材は、形状を維持し、適度な機械的強
度を有する基材と、これに結合することで表面に存在す
る親水性表面構造材とに分れた構造をしているものを指
す。更に本発明でいう捕捉材とは、血液と接触して、サ
イズによる分画、粘着、付着、或いは静電的、疎水的等
の化学的、物理的、更には生物学的相互作用による吸
着、等により、或いはこれらの複数の作用によって血液
の成分、不純物、夾雑物等の一部又は全部を分離するた
めの材料をいう。特に白血球の捕捉に用いる時に本発明
の効果は大きく最も適する。捕捉材の具体的な形状の例
としては、織布、不織布、綿布等の濾布型、スポンジ、
多孔質膜等の多孔質体型が挙げられる。好ましくは、良
好な表面積が得られることより不織布及び多孔質体が挙
げられるが、これに限定されるものではない。
度を有する基材と、これに結合することで表面に存在す
る親水性表面構造材とに分れた構造をしているものを指
す。更に本発明でいう捕捉材とは、血液と接触して、サ
イズによる分画、粘着、付着、或いは静電的、疎水的等
の化学的、物理的、更には生物学的相互作用による吸
着、等により、或いはこれらの複数の作用によって血液
の成分、不純物、夾雑物等の一部又は全部を分離するた
めの材料をいう。特に白血球の捕捉に用いる時に本発明
の効果は大きく最も適する。捕捉材の具体的な形状の例
としては、織布、不織布、綿布等の濾布型、スポンジ、
多孔質膜等の多孔質体型が挙げられる。好ましくは、良
好な表面積が得られることより不織布及び多孔質体が挙
げられるが、これに限定されるものではない。
【0009】基材の材質
本発明の基材の材質としては、例を挙げるとポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポ
リオキシエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポ
リアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6等の
ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスチレン及びその
誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等
のポリオレフィン、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート等のメタクリル酸エステル誘導体を重合して
得られる高分子化合物、メチルアクリレート、エチルア
クリレート等のアクリル酸エステル誘導体を重合して得
られる高分子化合物、ポリトリフルオロクロルエチレ
ン、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリウレタ
ン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート等の合成
高分子化合物で、上記高分子化合物の単量体の単独重合
体、共重合体、ブロック重合体及び上記高分子化合物の
ブレンド及びアロイ化したものを含むものや、セルロー
ス及び/又はその誘導体等の再生繊維及び上記に示した
合成高分子化合物とのブレンド、アロイ化したものを含
むものなどが挙げられる。上記の内、疎水性の基材がポ
リエチレングリコール鎖と相溶性が低いことより好まし
く用いることができる。ここでいう疎水性とは、水に対
する接触角が85°以上のものをいう。疎水性の基材の
具体的な材質の例としては、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリテトラフルオロエチレン及びポリトリフルオロ
エチレン等のポリハロゲン化ビニル、ポリスチレン、ポ
リメチルスチレン、スチレンブタジエン共重合体等のポ
リスチレン類、ポリカーボネート等の合成高分子化合物
で、上記高分子化合物の単量体の単独重合体、共重合
体、ブロック共重合体及び上記高分子化合物の、ブレン
ド及びアロイ化したものを含むものが挙げられるが、水
に対する接触角が85°以上であれば、これに限定され
るものではない。好ましくは、不織布への成形性や、得
られる不織布の繊維径、繊維によって形成される細孔状
態、これは白血球等の捕捉状態に大きく影響する点よ
り、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、又は、ポリスチレン、スチレンブタジエン共重合体
等のポリスチレン類が好ましい。更に好ましくは、その
溶出物が少なく血液、血漿等の液体に溶解しにくい点よ
り、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
が挙げられる。
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポ
リオキシエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポ
リアクリロニトリル、ナイロン6、ナイロン6,6等の
ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスチレン及びその
誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等
のポリオレフィン、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート等のメタクリル酸エステル誘導体を重合して
得られる高分子化合物、メチルアクリレート、エチルア
クリレート等のアクリル酸エステル誘導体を重合して得
られる高分子化合物、ポリトリフルオロクロルエチレ
ン、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、ポリウレタ
ン、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート等の合成
高分子化合物で、上記高分子化合物の単量体の単独重合
体、共重合体、ブロック重合体及び上記高分子化合物の
ブレンド及びアロイ化したものを含むものや、セルロー
ス及び/又はその誘導体等の再生繊維及び上記に示した
合成高分子化合物とのブレンド、アロイ化したものを含
むものなどが挙げられる。上記の内、疎水性の基材がポ
リエチレングリコール鎖と相溶性が低いことより好まし
く用いることができる。ここでいう疎水性とは、水に対
する接触角が85°以上のものをいう。疎水性の基材の
具体的な材質の例としては、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリテトラフルオロエチレン及びポリトリフルオロ
エチレン等のポリハロゲン化ビニル、ポリスチレン、ポ
リメチルスチレン、スチレンブタジエン共重合体等のポ
リスチレン類、ポリカーボネート等の合成高分子化合物
で、上記高分子化合物の単量体の単独重合体、共重合
体、ブロック共重合体及び上記高分子化合物の、ブレン
ド及びアロイ化したものを含むものが挙げられるが、水
に対する接触角が85°以上であれば、これに限定され
るものではない。好ましくは、不織布への成形性や、得
られる不織布の繊維径、繊維によって形成される細孔状
態、これは白血球等の捕捉状態に大きく影響する点よ
り、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、又は、ポリスチレン、スチレンブタジエン共重合体
等のポリスチレン類が好ましい。更に好ましくは、その
溶出物が少なく血液、血漿等の液体に溶解しにくい点よ
り、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
が挙げられる。
【0010】親水性表面構造材
親水性表面構造材とは、親水性を有する無定型の構造体
で、基材に結合する事によって、表面に安定に存在する
構造材を指し、その構成要素に、血小板の通過性の向上
の点で、繰り返し単位が2〜15のポリエチレングリコ
ール鎖を含有することが好ましい。エチレングリコール
の繰り返しが1つの場合、表面の緩慢層が短く、基材の
影響を受け易くなる為、血小板通過性の向上があまり顕
著には現れず好ましくない。繰り返し単位が16以上と
なると表面の緩慢層の点では十分であるが、基材への固
定が困難で、更に白血球捕捉能が低下する為好ましくな
い。そこで基材への固定の容易さの点より、繰り返し単
位が2〜15のポリエチレングリコール鎖を有するとき
最も良好な親水性表面構造材が得られる。更にこの親水
性表面構造材は、血液中の蛋白の吸着を少なくできる点
より、水酸基を有することが好ましい。更に疎水性の基
材を用いた場合、その基材との親水性の差が血小板通過
性に大きく影響することより、水酸基がポリエチレング
リコール鎖と共に存在することが好ましい。又、白血球
のみを選択的に捕捉できる点により、カチオン性基を有
すると静電的な作用が得られる為好ましい。
で、基材に結合する事によって、表面に安定に存在する
構造材を指し、その構成要素に、血小板の通過性の向上
の点で、繰り返し単位が2〜15のポリエチレングリコ
ール鎖を含有することが好ましい。エチレングリコール
の繰り返しが1つの場合、表面の緩慢層が短く、基材の
影響を受け易くなる為、血小板通過性の向上があまり顕
著には現れず好ましくない。繰り返し単位が16以上と
なると表面の緩慢層の点では十分であるが、基材への固
定が困難で、更に白血球捕捉能が低下する為好ましくな
い。そこで基材への固定の容易さの点より、繰り返し単
位が2〜15のポリエチレングリコール鎖を有するとき
最も良好な親水性表面構造材が得られる。更にこの親水
性表面構造材は、血液中の蛋白の吸着を少なくできる点
より、水酸基を有することが好ましい。更に疎水性の基
材を用いた場合、その基材との親水性の差が血小板通過
性に大きく影響することより、水酸基がポリエチレング
リコール鎖と共に存在することが好ましい。又、白血球
のみを選択的に捕捉できる点により、カチオン性基を有
すると静電的な作用が得られる為好ましい。
【0011】親水性表面構造材においていう親水性は、
捕捉材の状態で測定するとき、水に対する接触角が、8
5°未満の状態のものをいう。親水性を付与する官能基
は、繰り返し単位が2〜15のポリエチレングリコール
鎖及び水酸基がそれに該当する。但し、ポリエチレング
リコール鎖と水酸基は結合していても、別に存在しても
よい。親水性を付与するポリエチレングリコール鎖を有
するモノマーの例を挙げると、メトキシジエチレングリ
コールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコー
ルメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコール
メタクリレート、メトキシペンタエチレングリコールメ
タクリレート、メトキシヘキサエチレングリコールメタ
クリレート、メトキシヘプタエチレングリコールメタク
リレート、メトキシオクタエチレングリコールメタクリ
レート、メトキシノナエチレングリコールメタクリレー
ト、メトキシデカエチレングリコールメタクリレート、
メトキシウンデカエチレングリコールメタクリレート、
メトキシドデカエチレングリコールメタクリレート、メ
トキシトリデカエチレングリコールメタクリレート、メ
トキシテトラデカエチレングリコールメタクリレート、
メトキシペンタデカエチレングリコールメタクリレー
ト、等の末端メトキシメタクリレート、メトキシジエチ
レングリコールアクリレート、メトキシトリエチレング
リコールアクリレート、メトキシテトラエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシペンタエチレングリコール
アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコールアク
リレート、メトキシヘプタエチレングリコールアクリレ
ート、メトキシオクタエチレングリコールアクリレー
ト、メトキシノナエチレングリコールアクリレート、メ
トキシデカエチレングリコールアクリレート、メトキシ
ウンデカエチレングリコールアクリレート、メトキシド
デカエチレングリコールアクリレート、メトキシトリデ
カエチレングリコールアクリレート、メトキシテトラデ
カエチレングリコールアクリレート、メトキシペンタデ
カエチレングリコールアクリレート等の末端メトキシア
クリレート、及びメチル基の代わりに水素が結合した末
端水酸基を有するメタクリレート及びアクリレート、又
末端に一つ以上の重合性の官能基を有する繰り返し単位
が2〜15のポリエチレングリコール鎖を有するモノマ
ー全般をさす。更に、担体に直接結合させる場合、繰り
返し単位2〜15のポリエチレングリコール誘導体も含
まれる。親水性を与える水酸基を有するモノマーの例を
示すと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、
1,2−ジヒドロキシエチルメタクレレート、2,2−
ジヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコー
ル、酢酸ビニル等が挙げられるがこれに限定される物で
はない。更に重合性官能基は一つ以上幾つ存在しても良
い。
捕捉材の状態で測定するとき、水に対する接触角が、8
5°未満の状態のものをいう。親水性を付与する官能基
は、繰り返し単位が2〜15のポリエチレングリコール
鎖及び水酸基がそれに該当する。但し、ポリエチレング
リコール鎖と水酸基は結合していても、別に存在しても
よい。親水性を付与するポリエチレングリコール鎖を有
するモノマーの例を挙げると、メトキシジエチレングリ
コールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコー
ルメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコール
メタクリレート、メトキシペンタエチレングリコールメ
タクリレート、メトキシヘキサエチレングリコールメタ
クリレート、メトキシヘプタエチレングリコールメタク
リレート、メトキシオクタエチレングリコールメタクリ
レート、メトキシノナエチレングリコールメタクリレー
ト、メトキシデカエチレングリコールメタクリレート、
メトキシウンデカエチレングリコールメタクリレート、
メトキシドデカエチレングリコールメタクリレート、メ
トキシトリデカエチレングリコールメタクリレート、メ
トキシテトラデカエチレングリコールメタクリレート、
メトキシペンタデカエチレングリコールメタクリレー
ト、等の末端メトキシメタクリレート、メトキシジエチ
レングリコールアクリレート、メトキシトリエチレング
リコールアクリレート、メトキシテトラエチレングリコ
ールアクリレート、メトキシペンタエチレングリコール
アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコールアク
リレート、メトキシヘプタエチレングリコールアクリレ
ート、メトキシオクタエチレングリコールアクリレー
ト、メトキシノナエチレングリコールアクリレート、メ
トキシデカエチレングリコールアクリレート、メトキシ
ウンデカエチレングリコールアクリレート、メトキシド
デカエチレングリコールアクリレート、メトキシトリデ
カエチレングリコールアクリレート、メトキシテトラデ
カエチレングリコールアクリレート、メトキシペンタデ
カエチレングリコールアクリレート等の末端メトキシア
クリレート、及びメチル基の代わりに水素が結合した末
端水酸基を有するメタクリレート及びアクリレート、又
末端に一つ以上の重合性の官能基を有する繰り返し単位
が2〜15のポリエチレングリコール鎖を有するモノマ
ー全般をさす。更に、担体に直接結合させる場合、繰り
返し単位2〜15のポリエチレングリコール誘導体も含
まれる。親水性を与える水酸基を有するモノマーの例を
示すと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、
1,2−ジヒドロキシエチルメタクレレート、2,2−
ジヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコー
ル、酢酸ビニル等が挙げられるがこれに限定される物で
はない。更に重合性官能基は一つ以上幾つ存在しても良
い。
【0012】重合性の官能基
重合性の官能基とは、単独又は2つ以上の官能基によっ
て重合できる官能基をさし、例を挙げるとビニル基、ア
セチレン基、ジエン基等の炭素多重結合、エポキシ基、
オキセタン基等の環構造、等が挙げられるがこれに限定
される物ではない。
て重合できる官能基をさし、例を挙げるとビニル基、ア
セチレン基、ジエン基等の炭素多重結合、エポキシ基、
オキセタン基等の環構造、等が挙げられるがこれに限定
される物ではない。
【0013】カチオン性基の定義
本発明でいうカチオン性基とは、アミン類、及びアミン
誘導体等が含まれ、3級及び4級アミノ基があげられ、
いずれであつても良い。好ましい例としてはpKbが
4.0以上のものがあげられる。更に血液或いは血漿は
抗凝固剤として通常ヘパリンが用いられていることよ
り、吸着剤はヘパリンの吸着が少ないことがより望まし
い。この点より、より好ましい例を示すと次式(イ)で
現されるものである。
誘導体等が含まれ、3級及び4級アミノ基があげられ、
いずれであつても良い。好ましい例としてはpKbが
4.0以上のものがあげられる。更に血液或いは血漿は
抗凝固剤として通常ヘパリンが用いられていることよ
り、吸着剤はヘパリンの吸着が少ないことがより望まし
い。この点より、より好ましい例を示すと次式(イ)で
現されるものである。
【0014】
【化1】
【0015】置換基であるR1、R2、R3に特に制限
は無く、任意の置換基を与えることができるが、どこか
の置換基(例えばR1)が疎水性部と共有結合によって
接続されているものである。例えば水素、メチル基、エ
チル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基などの炭
化水素置換基であっても良いし、メチロール、エチロー
ルなどの異核種の原子を含んだ置換基でも良い。更には
R1とR2(又はR3)とで主鎖を構成する構造であっ
ても良い。R2、R3は二つ以上で環状となっているも
のでも良く、例えばピリジン、イミダゾール、ピペリジ
ン、ピロール、ピリミジンなどがこれに相当する。
は無く、任意の置換基を与えることができるが、どこか
の置換基(例えばR1)が疎水性部と共有結合によって
接続されているものである。例えば水素、メチル基、エ
チル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基などの炭
化水素置換基であっても良いし、メチロール、エチロー
ルなどの異核種の原子を含んだ置換基でも良い。更には
R1とR2(又はR3)とで主鎖を構成する構造であっ
ても良い。R2、R3は二つ以上で環状となっているも
のでも良く、例えばピリジン、イミダゾール、ピペリジ
ン、ピロール、ピリミジンなどがこれに相当する。
【0016】カチオン能基の一例を単量体名で例示する
と、アリルアミン、ジアリルアミン、N,N−ジメチル
アリルアミン、N,N−ジアリルピペラジン、N,N−
ジアリルアニリン、N,N−ジアリルメラミン、アミノ
スチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−
ジエチルアミノスチレン、ビニルベンジルアミン、ビニ
ルフェネチルアミン、N,N−ジメチルビニルフェネチ
ルアミン、N,N−ジエチルビニルフェネチルアミン、
N−プロピルビニルフェネチルアミン、ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5
−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、ビニルピラゾリ
ン、ビニルピラジン、4−ビニルピリミジン、ビニルア
ミン、ビニルカルバゾール、エチレンイミン、N−フェ
ニルエチレンイミン、N,N−ジエチル−N−ビニルフ
ェネチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルスチレンなどのモノマーや、これらのいずれ
かを重合単位とするオリゴマーやポリマーがあげられ
る。またこれらを4級化したアンモニウム基であっても
良い。これらの中で、特にR2、R3は水素(H)又は
炭素数1以上12以下のアルキル鎖であることが好まし
い。更にはR2、R3は水素(H)又は炭素数1以上6
以下のアルキル鎖であることがより好ましい。具体例を
示すとジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチ
ル−N−ビニルフェネチルアミン、ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミ
ノエチルアクリレートがより好ましい例としてあげられ
る。
と、アリルアミン、ジアリルアミン、N,N−ジメチル
アリルアミン、N,N−ジアリルピペラジン、N,N−
ジアリルアニリン、N,N−ジアリルメラミン、アミノ
スチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−
ジエチルアミノスチレン、ビニルベンジルアミン、ビニ
ルフェネチルアミン、N,N−ジメチルビニルフェネチ
ルアミン、N,N−ジエチルビニルフェネチルアミン、
N−プロピルビニルフェネチルアミン、ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5
−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、ビニルピラゾリ
ン、ビニルピラジン、4−ビニルピリミジン、ビニルア
ミン、ビニルカルバゾール、エチレンイミン、N−フェ
ニルエチレンイミン、N,N−ジエチル−N−ビニルフ
ェネチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルスチレンなどのモノマーや、これらのいずれ
かを重合単位とするオリゴマーやポリマーがあげられ
る。またこれらを4級化したアンモニウム基であっても
良い。これらの中で、特にR2、R3は水素(H)又は
炭素数1以上12以下のアルキル鎖であることが好まし
い。更にはR2、R3は水素(H)又は炭素数1以上6
以下のアルキル鎖であることがより好ましい。具体例を
示すとジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチ
ル−N−ビニルフェネチルアミン、ジエチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミ
ノエチルアクリレートがより好ましい例としてあげられ
る。
【0017】共存する官能基
更に、上記官能基と共に非イオン性官能基が共存して存
在しても良くその例を挙げると、非イオン性官能基で特
に親水性の向上を目的にしたジメチルアミド基、ジエチ
ルアミド基、ジイソプロピルアミド基等のアミド基、ポ
リエチレンテレフタレート鎖、ポリブチレンテレフタレ
ート鎖等の芳香族ポリエステル鎖及び脂肪族ポリエステ
ル鎖等のポリエステル鎖、メチレングリコール鎖、プロ
ピレングリコール等のポリエーテル鎖、ポリカーボネー
ト鎖、等の非イオン性親水性官能基、又は、疎水性付与
を目的としたアルキル鎖、沸化アルキル鎖、アリル鎖等
の非イオン性官能基全般を含む。以上の何れの官能基が
共存しても良いが、好ましくは、非イオン性親水性官能
基を有する場合良好な捕捉材となる。
在しても良くその例を挙げると、非イオン性官能基で特
に親水性の向上を目的にしたジメチルアミド基、ジエチ
ルアミド基、ジイソプロピルアミド基等のアミド基、ポ
リエチレンテレフタレート鎖、ポリブチレンテレフタレ
ート鎖等の芳香族ポリエステル鎖及び脂肪族ポリエステ
ル鎖等のポリエステル鎖、メチレングリコール鎖、プロ
ピレングリコール等のポリエーテル鎖、ポリカーボネー
ト鎖、等の非イオン性親水性官能基、又は、疎水性付与
を目的としたアルキル鎖、沸化アルキル鎖、アリル鎖等
の非イオン性官能基全般を含む。以上の何れの官能基が
共存しても良いが、好ましくは、非イオン性親水性官能
基を有する場合良好な捕捉材となる。
【0018】基材に親水性表面構造材を固定する方法と
して、共有結合、イオン結合、放射線やプラズマによる
グラフト法、物理吸着、包埋或いは基材表面への沈澱不
溶化等あらゆる公知の方法を用いることもできる。従っ
て、高分子化合物やその単量体を放射線或いはプラズマ
等を用いてグラフト重合したり、共有結合するなどの公
知の方法により表面改質(特開平1−249063、特
開平3−502094)を施す方法は本発明に好適に用
いられる。上記の親水性表面構造材の固定方法の中で、
その固定の安定性より、放射線グラフトが好ましい。放
射線グラフトによる、基材の重量変化より求められるグ
ラフト率が、30%以上200%以下のとき良好な血小
板通過性を示す。グラフト率が30%未満のとき表面へ
の導入量が不足し、基材の露出が起こり、十分な血小板
通過性とはいえない。グラフト率が200%以上のと
き、十分な血小板通過性は示すが、白血球捕捉率の低下
がみられることより好ましくない。更に好ましくは、グ
ラフト率が35%以上170%以下の時良好な捕捉材と
なる。この時のカチオン性基の割合は、全グラフト鎖の
0.05〜10重量%のとき良好な静電的効果が得られ
る。又、水酸基を導入する場合は、全グラフト鎖の20
〜50重量%のとき特に良好な血小板通過性が得られ
る。グラフト時の好ましい溶媒に特に限定はないが、基
材への浸漬が可能な溶媒が特に良好な溶媒となる。好ま
しい例を挙げると、エタノール、メタノール、プロパノ
ール、ブタノール等のアルコール及びこの水溶液、ヘキ
サン、ヘプタン等の炭化水素、クロロホルム、塩化メチ
レン、ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル、アセト
ン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、水等を単独又は混合した溶液が挙げられる。グラフ
ト鎖とは、主鎖に対して枝分れした分岐鎖を指し、単量
体を放射線グラフトしたり、その他の方法でポリマー又
はモノマーを共有結合した鎖を示す。
して、共有結合、イオン結合、放射線やプラズマによる
グラフト法、物理吸着、包埋或いは基材表面への沈澱不
溶化等あらゆる公知の方法を用いることもできる。従っ
て、高分子化合物やその単量体を放射線或いはプラズマ
等を用いてグラフト重合したり、共有結合するなどの公
知の方法により表面改質(特開平1−249063、特
開平3−502094)を施す方法は本発明に好適に用
いられる。上記の親水性表面構造材の固定方法の中で、
その固定の安定性より、放射線グラフトが好ましい。放
射線グラフトによる、基材の重量変化より求められるグ
ラフト率が、30%以上200%以下のとき良好な血小
板通過性を示す。グラフト率が30%未満のとき表面へ
の導入量が不足し、基材の露出が起こり、十分な血小板
通過性とはいえない。グラフト率が200%以上のと
き、十分な血小板通過性は示すが、白血球捕捉率の低下
がみられることより好ましくない。更に好ましくは、グ
ラフト率が35%以上170%以下の時良好な捕捉材と
なる。この時のカチオン性基の割合は、全グラフト鎖の
0.05〜10重量%のとき良好な静電的効果が得られ
る。又、水酸基を導入する場合は、全グラフト鎖の20
〜50重量%のとき特に良好な血小板通過性が得られ
る。グラフト時の好ましい溶媒に特に限定はないが、基
材への浸漬が可能な溶媒が特に良好な溶媒となる。好ま
しい例を挙げると、エタノール、メタノール、プロパノ
ール、ブタノール等のアルコール及びこの水溶液、ヘキ
サン、ヘプタン等の炭化水素、クロロホルム、塩化メチ
レン、ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル、アセト
ン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、水等を単独又は混合した溶液が挙げられる。グラフ
ト鎖とは、主鎖に対して枝分れした分岐鎖を指し、単量
体を放射線グラフトしたり、その他の方法でポリマー又
はモノマーを共有結合した鎖を示す。
【0019】以下に捕捉材の性状について示すと、
捕捉材の接触角の定義、接触角の至適範囲
液体を捕捉材表面と接触させ、液体と捕捉材表面とのな
す角を接触角θとした時、捕捉材表面の親水性を接触角
で表せる。測定方法としては、25℃の水を用いて、捕
捉材表面に液滴を落とした時、液滴と周りの気体と捕捉
材との接点における接線と捕捉材平面との成す角を測定
し、接触角θとする。又、水が捕捉材に浸漬した場合
は、その接触角は0°とする。疎水性の基材においては
このθが85°以上の時、十分な疎水性を示す。表面を
親水化し、この基材と表面修飾後の捕捉材との接触角の
差が85°以上の時、親水性基が基材に対し親和性が低
くなり、より血液側へと露出し、血小板の粘着が抑制さ
れる。これに対し、差が85°未満の時は、十分な層分
離が起こらず、親水性部と疎水性部が混在し、血小板の
粘着がおこる。疎水性の基材の接触角には特に上限は無
いが、その表面修飾の行い易さから、接触角は120°
以下が好ましい。更に好ましくは、疎水性基材の接触角
は85°以上115°以下が好ましい。親水化後の基材
においては、親水性が高いほど他の血漿蛋白や血小板の
粘着を抑制できることより、好ましい接触角の範囲は0
°以上70°以下の時良好な血小板通過性を示す。更に
好ましくは0°以上60°以下、最も好ましくは0°以
上55°以下の時血小板の粘着が抑制できる。
す角を接触角θとした時、捕捉材表面の親水性を接触角
で表せる。測定方法としては、25℃の水を用いて、捕
捉材表面に液滴を落とした時、液滴と周りの気体と捕捉
材との接点における接線と捕捉材平面との成す角を測定
し、接触角θとする。又、水が捕捉材に浸漬した場合
は、その接触角は0°とする。疎水性の基材においては
このθが85°以上の時、十分な疎水性を示す。表面を
親水化し、この基材と表面修飾後の捕捉材との接触角の
差が85°以上の時、親水性基が基材に対し親和性が低
くなり、より血液側へと露出し、血小板の粘着が抑制さ
れる。これに対し、差が85°未満の時は、十分な層分
離が起こらず、親水性部と疎水性部が混在し、血小板の
粘着がおこる。疎水性の基材の接触角には特に上限は無
いが、その表面修飾の行い易さから、接触角は120°
以下が好ましい。更に好ましくは、疎水性基材の接触角
は85°以上115°以下が好ましい。親水化後の基材
においては、親水性が高いほど他の血漿蛋白や血小板の
粘着を抑制できることより、好ましい接触角の範囲は0
°以上70°以下の時良好な血小板通過性を示す。更に
好ましくは0°以上60°以下、最も好ましくは0°以
上55°以下の時血小板の粘着が抑制できる。
【0020】捕捉材の平均孔径及び全表面積の定義
本発明における平均孔径とは捕捉材を血液の流れ方向に
対して垂直方向に切断し、断面全体に分散している細孔
の各々について直径を測定して直径と細孔の数との関係
を調べた時に、最も数の多い細孔の円に換算した直径を
表すものである。即ち、捕捉材の任意の切断面に分散す
る細孔はいろいろな形で、その直径もさまざまである
が、個々の細孔をその細孔の断面積と同じ面積の円に換
算し、その直径を横軸にとり、縦軸に細孔の数をとって
グラフを描くと一般に正規分布に近い曲線となる。そし
て、その曲線のピークに当たる直径が本発明でいう平均
孔径である。即ち、平均孔径とは、任意の切断面各々に
つきその切断面上に分散する細孔の平均直径のことであ
り、どの切断面上の平均孔径も1〜30μmの範囲内に
なければならない。又、血液上流側及び下流側とは、捕
捉材表面から捕捉材の厚み方向に対して0.5mm以下
の部分をいい、捕捉材の血液上流側及び下流側の平均孔
径の測定は走査電子顕微鏡で捕捉材の表面を撮影し、目
視により撮影面上に分散している細孔の直径をランダム
に1000個以上測定して求める。又、捕捉材の平均孔
径を求める際に、細孔の直径を測定することが困難な場
合には、捕捉材表面から捕捉材の厚み方向に対して0.
5mm以下の部分で血液の流れ方向に対しできるだけ垂
直に切断したある厚みを持った検体を水銀圧入法(島津
製作所、ポアサイザ9320)で測定し、縦軸に細孔の
数をとり、横軸に孔径をとってグラフを描き、そのピー
クにあたる点を平均孔径とする。又、本発明における表
面積は、水銀圧入法で測定した比表面積(m2 /g)に
捕捉材のかさ密度(g/cm3 又はg/ml)を乗じた
値であり、実際に捕捉材装置内に多孔質体を充填した時
と同等又はそれに近い状態で測定されるものである。な
お、水銀圧入法による測定は、1〜2650psiaの
圧力範囲で測定した値である。
対して垂直方向に切断し、断面全体に分散している細孔
の各々について直径を測定して直径と細孔の数との関係
を調べた時に、最も数の多い細孔の円に換算した直径を
表すものである。即ち、捕捉材の任意の切断面に分散す
る細孔はいろいろな形で、その直径もさまざまである
が、個々の細孔をその細孔の断面積と同じ面積の円に換
算し、その直径を横軸にとり、縦軸に細孔の数をとって
グラフを描くと一般に正規分布に近い曲線となる。そし
て、その曲線のピークに当たる直径が本発明でいう平均
孔径である。即ち、平均孔径とは、任意の切断面各々に
つきその切断面上に分散する細孔の平均直径のことであ
り、どの切断面上の平均孔径も1〜30μmの範囲内に
なければならない。又、血液上流側及び下流側とは、捕
捉材表面から捕捉材の厚み方向に対して0.5mm以下
の部分をいい、捕捉材の血液上流側及び下流側の平均孔
径の測定は走査電子顕微鏡で捕捉材の表面を撮影し、目
視により撮影面上に分散している細孔の直径をランダム
に1000個以上測定して求める。又、捕捉材の平均孔
径を求める際に、細孔の直径を測定することが困難な場
合には、捕捉材表面から捕捉材の厚み方向に対して0.
5mm以下の部分で血液の流れ方向に対しできるだけ垂
直に切断したある厚みを持った検体を水銀圧入法(島津
製作所、ポアサイザ9320)で測定し、縦軸に細孔の
数をとり、横軸に孔径をとってグラフを描き、そのピー
クにあたる点を平均孔径とする。又、本発明における表
面積は、水銀圧入法で測定した比表面積(m2 /g)に
捕捉材のかさ密度(g/cm3 又はg/ml)を乗じた
値であり、実際に捕捉材装置内に多孔質体を充填した時
と同等又はそれに近い状態で測定されるものである。な
お、水銀圧入法による測定は、1〜2650psiaの
圧力範囲で測定した値である。
【0021】捕捉材の平均孔径
以下、本発明を実施態様に基づき詳細に説明する。血液
下流側の平均孔径は1〜30μm、より好ましくは2〜
25μm、最も好ましくは3〜20μmであることが望
ましい。即ち、平均孔径が1μm未満であると孔路が狭
すぎる為圧力損失が増大し、一方30μmを超える平均
孔径であると、白血球の捕捉能力が低下してしまうため
である。
下流側の平均孔径は1〜30μm、より好ましくは2〜
25μm、最も好ましくは3〜20μmであることが望
ましい。即ち、平均孔径が1μm未満であると孔路が狭
すぎる為圧力損失が増大し、一方30μmを超える平均
孔径であると、白血球の捕捉能力が低下してしまうため
である。
【0022】捕捉材の表面積
又、本発明の血液下流側の捕捉材の全表面積は0.35
〜5.70m2 /ml、より好ましくは0.50〜5.
70m2 /ml、最も好ましくは0.70〜5.70m
2 /mlであり、このうち1〜10μmの細孔部分の表
面積は血液下流側の捕捉材の全表面積の50%以上、よ
り好ましくは55%以上、最も好ましくは60%以上で
あることが望ましく、1〜30μmの細孔部分の表面積
は血液下流側の捕捉材の全表面積の60%以上、より好
ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上である
ことが望ましく、1μm未満の細孔部分の表面積は38
%以下、より好ましくは30%以下、最も好ましくは2
8%以下であることが望ましい。血液下流側の捕捉材の
全表面積が0.35m2 /ml未満であると白血球が粘
着する表面積が少ないため、白血球漏出が起こり、5.
70m2 /mlを超えると血液処理に要する時間が長く
なったり、白血球のみならず赤血球や血小板も捕捉され
易くなり、目詰まりによる圧力損失の増加が起こるため
不適である。又、血液下流側の捕捉材の1〜10μm及
び1〜30μmの細孔部分の表面積が血液下流側の捕捉
材の全表面積のそれぞれ50%未満、60%未満である
と、リンパ球漏出又は目詰まりを誘発するため不適であ
る。又、1μm未満の細孔部分は血球が通過し難い細孔
であるため、1μm未満の細孔部分の表面積が38%を
超えると赤血球や血小板の回収量が低下するため不適で
ある。
〜5.70m2 /ml、より好ましくは0.50〜5.
70m2 /ml、最も好ましくは0.70〜5.70m
2 /mlであり、このうち1〜10μmの細孔部分の表
面積は血液下流側の捕捉材の全表面積の50%以上、よ
り好ましくは55%以上、最も好ましくは60%以上で
あることが望ましく、1〜30μmの細孔部分の表面積
は血液下流側の捕捉材の全表面積の60%以上、より好
ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上である
ことが望ましく、1μm未満の細孔部分の表面積は38
%以下、より好ましくは30%以下、最も好ましくは2
8%以下であることが望ましい。血液下流側の捕捉材の
全表面積が0.35m2 /ml未満であると白血球が粘
着する表面積が少ないため、白血球漏出が起こり、5.
70m2 /mlを超えると血液処理に要する時間が長く
なったり、白血球のみならず赤血球や血小板も捕捉され
易くなり、目詰まりによる圧力損失の増加が起こるため
不適である。又、血液下流側の捕捉材の1〜10μm及
び1〜30μmの細孔部分の表面積が血液下流側の捕捉
材の全表面積のそれぞれ50%未満、60%未満である
と、リンパ球漏出又は目詰まりを誘発するため不適であ
る。又、1μm未満の細孔部分は血球が通過し難い細孔
であるため、1μm未満の細孔部分の表面積が38%を
超えると赤血球や血小板の回収量が低下するため不適で
ある。
【0023】捕捉材の全細孔容積
本発明における細孔容積とは、捕捉材の体積当たりの細
孔の体積の割合を示し、上記平均細孔と同様に、捕捉材
表面から捕捉材の厚み方向に対して0.5mm以下の部
分で血液の流れ方向に対しできるだけ垂直に切断したあ
る厚みを持った検体を水銀圧入法(島津製作所、ポアサ
イザ9320)で測定し、縦軸に細孔の数をとり、横軸
に孔径をとってグラフを描き、細孔数とその孔径より求
めた値である。本発明の捕捉材の全細孔容積は、ある程
度の機械的な強度をもたせるために、上限は0.95m
l/ml以下であることが好ましく、更に白血球捕捉性
能の観点からいえば、好ましい孔径の細孔が多く存在
し、その接触面積がより大きいことが有効であることよ
り、下限は0.4ml/ml以上が良好で、好ましくは
0.45ml/ml以上、更に好ましくは0.50ml
/ml以上である。
孔の体積の割合を示し、上記平均細孔と同様に、捕捉材
表面から捕捉材の厚み方向に対して0.5mm以下の部
分で血液の流れ方向に対しできるだけ垂直に切断したあ
る厚みを持った検体を水銀圧入法(島津製作所、ポアサ
イザ9320)で測定し、縦軸に細孔の数をとり、横軸
に孔径をとってグラフを描き、細孔数とその孔径より求
めた値である。本発明の捕捉材の全細孔容積は、ある程
度の機械的な強度をもたせるために、上限は0.95m
l/ml以下であることが好ましく、更に白血球捕捉性
能の観点からいえば、好ましい孔径の細孔が多く存在
し、その接触面積がより大きいことが有効であることよ
り、下限は0.4ml/ml以上が良好で、好ましくは
0.45ml/ml以上、更に好ましくは0.50ml
/ml以上である。
【0024】捕捉材の部分細孔径
高性能の捕捉材を開発すべく検討を行ったところ、上記
特定範囲の平均孔径及び全細孔容積を有し、且つ孔径1
〜30μmの細孔部分の容積が全細孔容積の75%以上
である必要があり、好ましくは、孔径1〜30μmの細
孔部分の容積が全細孔容積の85%以上、更に、血球に
よる目詰まりが少なく、白血球残存率が10-4以下と高
い白血球捕捉能を有する為には、上記特定範囲の平均孔
径及び全細孔容積を有し、且つ孔径1〜30μmの細孔
部分の容積が全細孔容積の70%以上であることが良好
な結果を導くことが分かった。
特定範囲の平均孔径及び全細孔容積を有し、且つ孔径1
〜30μmの細孔部分の容積が全細孔容積の75%以上
である必要があり、好ましくは、孔径1〜30μmの細
孔部分の容積が全細孔容積の85%以上、更に、血球に
よる目詰まりが少なく、白血球残存率が10-4以下と高
い白血球捕捉能を有する為には、上記特定範囲の平均孔
径及び全細孔容積を有し、且つ孔径1〜30μmの細孔
部分の容積が全細孔容積の70%以上であることが良好
な結果を導くことが分かった。
【0025】捕捉材の比表面積
比表面積は、機械的強度及び白血球捕捉性能を加味し、
0.5〜15m2 /gである時良好で、好ましくは1〜
15m2 /g、更に好ましくは2〜15m2 /gの時、
十分な白血球捕捉性能となる。
0.5〜15m2 /gである時良好で、好ましくは1〜
15m2 /g、更に好ましくは2〜15m2 /gの時、
十分な白血球捕捉性能となる。
【0026】捕捉材の平均繊維直径、繊維直径変動係数
不織布等の繊維状の捕捉材を用いる場合、繊維径が孔径
及び細孔分布に寄与する為、その有効な平均繊維直径を
示すことも重要である。本発明の平均繊維直径の測定は
走査電子顕微鏡で繊維状の捕捉材の表面を撮影し、目視
により撮影面上に分散している糸の直径をランダムに1
00個以上測定して求める。機械的強度及び白血球捕捉
性能において有効な捕捉材の繊維直径は0.3μm以上
10μm以下で、糸径は細いほど白血球捕捉性能は向上
することより、好ましくは0.3μm以上5μm以下
で、更に好ましくは0.3μm以上3μ以下である。更
に、平均繊維直径からの繊維直径の変動の分布は、狭い
方が好ましく、上下変動が20〜60%以内である必要
がある。好ましくは上下変動が20〜50%以内で、更
に好ましくは、20〜45%以内が均一な捕捉材を与え
る。
及び細孔分布に寄与する為、その有効な平均繊維直径を
示すことも重要である。本発明の平均繊維直径の測定は
走査電子顕微鏡で繊維状の捕捉材の表面を撮影し、目視
により撮影面上に分散している糸の直径をランダムに1
00個以上測定して求める。機械的強度及び白血球捕捉
性能において有効な捕捉材の繊維直径は0.3μm以上
10μm以下で、糸径は細いほど白血球捕捉性能は向上
することより、好ましくは0.3μm以上5μm以下
で、更に好ましくは0.3μm以上3μ以下である。更
に、平均繊維直径からの繊維直径の変動の分布は、狭い
方が好ましく、上下変動が20〜60%以内である必要
がある。好ましくは上下変動が20〜50%以内で、更
に好ましくは、20〜45%以内が均一な捕捉材を与え
る。
【0027】基材の製造方法
更に、本発明の捕捉材として用いる基材は公知の方法で
製造されるものでも良く、具体的に多孔質体の製造とし
ては常圧発泡法、加圧発泡法、押出発泡法、射出発泡法
等の発泡分解法、溶剤気散法、気体混入法、化学反応
法、溶出法、燒結法等が挙げられ、熱プレス圧縮、適当
な液体による膨潤等の2次加工を施し、本発明で規定す
る孔径分布になるように制御したものが好ましい。又、
繊維状媒体の製造としてはメルトブロー法やフラッシュ
紡糸等の方法が挙げられ、更に製造された繊維にプレス
圧縮や熱収縮、適当な液体による処理等の2次加工を施
し、本発明で規定する孔径分布になるように制御したも
のが好ましい。
製造されるものでも良く、具体的に多孔質体の製造とし
ては常圧発泡法、加圧発泡法、押出発泡法、射出発泡法
等の発泡分解法、溶剤気散法、気体混入法、化学反応
法、溶出法、燒結法等が挙げられ、熱プレス圧縮、適当
な液体による膨潤等の2次加工を施し、本発明で規定す
る孔径分布になるように制御したものが好ましい。又、
繊維状媒体の製造としてはメルトブロー法やフラッシュ
紡糸等の方法が挙げられ、更に製造された繊維にプレス
圧縮や熱収縮、適当な液体による処理等の2次加工を施
し、本発明で規定する孔径分布になるように制御したも
のが好ましい。
【0028】白血球捕捉器
本発明は、上記に示した捕捉材を容器に充填した白血球
捕捉器に関するものである。 白血球捕捉器の容器形状 容器形状としては、血液の入口と出口を有する容器で有
れば特に限定はないが、敢えて例を挙げると、捕捉材を
積層状に充填できる容器や、円柱状、三角柱状、四角柱
状、六角柱状、八角柱状、等の角柱状容器、更に、捕捉
材を円筒状に巻きこれを充填できる容器、又は、血液の
流れが円筒の外周より入り内側へと流れ、最も内側に集
まり血液流出口より出ることを特徴とする容器とが良好
な形状となる。また、錘状等の断面積が入口から出口に
向かうに従って、小さくなる形状を有する容器等が用い
られる。この時の容器の断面積と長さの比(断面積/長
さ、S/D)は、10cm以上500cm以下が良好な
S/Dとなる。体外循環用又は大量急速輸血用として大
量の血液を処理する場合、圧力損失を小さく保つために
は、厚みを厚くする訳にもいかず、必然的に大断面積の
ものとなってしまうため、コンパクトな白血球捕捉器と
するため、捕捉材が円筒状に巻かれて、その両端面がシ
ールされており、円筒状の捕捉材の外側面に容器の血液
入口が、円筒状捕捉材の内側面に容器の血液出口がそれ
ぞれ通じており、更に血液の入口と出口は円筒状にまか
れた捕捉材によって隔てられている形状が特に好ましく
用いられる。
捕捉器に関するものである。 白血球捕捉器の容器形状 容器形状としては、血液の入口と出口を有する容器で有
れば特に限定はないが、敢えて例を挙げると、捕捉材を
積層状に充填できる容器や、円柱状、三角柱状、四角柱
状、六角柱状、八角柱状、等の角柱状容器、更に、捕捉
材を円筒状に巻きこれを充填できる容器、又は、血液の
流れが円筒の外周より入り内側へと流れ、最も内側に集
まり血液流出口より出ることを特徴とする容器とが良好
な形状となる。また、錘状等の断面積が入口から出口に
向かうに従って、小さくなる形状を有する容器等が用い
られる。この時の容器の断面積と長さの比(断面積/長
さ、S/D)は、10cm以上500cm以下が良好な
S/Dとなる。体外循環用又は大量急速輸血用として大
量の血液を処理する場合、圧力損失を小さく保つために
は、厚みを厚くする訳にもいかず、必然的に大断面積の
ものとなってしまうため、コンパクトな白血球捕捉器と
するため、捕捉材が円筒状に巻かれて、その両端面がシ
ールされており、円筒状の捕捉材の外側面に容器の血液
入口が、円筒状捕捉材の内側面に容器の血液出口がそれ
ぞれ通じており、更に血液の入口と出口は円筒状にまか
れた捕捉材によって隔てられている形状が特に好ましく
用いられる。
【0029】白血球捕捉器の充填密度
充填密度は、容器中に該捕捉材を充填した時の一定体積
当たりの重さをいい、該容器に該捕捉材を充填密度0.
05以上0.5g/cm3 以下充填して、白血球捕捉器
とする事が望ましい。更に、目詰まりを防ぎ、圧損の上
昇を防ぎ流れをスムーズにする為に、好ましい充填密度
は、0.1以上0.4g/cm3 以下で、更に好ましい
充填密度は0.1以上0.3g/cm3 以下である。
当たりの重さをいい、該容器に該捕捉材を充填密度0.
05以上0.5g/cm3 以下充填して、白血球捕捉器
とする事が望ましい。更に、目詰まりを防ぎ、圧損の上
昇を防ぎ流れをスムーズにする為に、好ましい充填密度
は、0.1以上0.4g/cm3 以下で、更に好ましい
充填密度は0.1以上0.3g/cm3 以下である。
【0030】白血球捕捉器の断面積、厚み
該白血球捕捉器の好ましい断面積は何れの大きさでも良
いが、その製造上の容易さ及び血液処理量より0.5c
m2 以上300cm2 以下が好ましく、小型化及び操作
性の観点から好ましくは250cm2 以下、更に好まし
くは、200cm2 以下が好ましい。円筒状に巻いた構
造の時は、その最外周の面積を断面積とする。又、捕捉
材全体の厚みは、その形状に依存するが、実用的な範囲
として捕捉材全体の厚みが0.1mm以上50mm以下
で好ましい。プライミング性から考慮すると好ましくは
0.1mm以上45mm以下が好ましく、更に好ましく
は0.1mm以上40mm以下が実用的である。
いが、その製造上の容易さ及び血液処理量より0.5c
m2 以上300cm2 以下が好ましく、小型化及び操作
性の観点から好ましくは250cm2 以下、更に好まし
くは、200cm2 以下が好ましい。円筒状に巻いた構
造の時は、その最外周の面積を断面積とする。又、捕捉
材全体の厚みは、その形状に依存するが、実用的な範囲
として捕捉材全体の厚みが0.1mm以上50mm以下
で好ましい。プライミング性から考慮すると好ましくは
0.1mm以上45mm以下が好ましく、更に好ましく
は0.1mm以上40mm以下が実用的である。
【0031】白血球捕捉器のカスケード
又、本発明の白血球捕捉器は、1〜30μmの平均孔径
を有する捕捉材を血液の入口と出口を有する容器内に一
部又は全部充填した白血球捕捉器であって、血液の入口
から出口に向かって捕捉材の平均孔径が実質的に連続的
又は段階的に減少し、かつ血液下流側の捕捉材の全表面
積は0.35〜5.70m2 /mlであり、このうち1
〜10μm及び1〜30μmの細孔部分の表面積がそれ
ぞれ50%以上、60%以上であることを特徴とする白
血球選択捕捉器とする事もできる。本発明における平均
孔径の連続的又は段階的減少とは、捕捉材1枚を血液の
流れ方向に切断した時、血液の上流側から下流側に向か
って捕捉材の孔径が徐々に小さくなる場合を連続的減少
といい、平均孔径がほぼ均一な数枚の捕捉材料を平均孔
径の大きさ順に積層し、容器内に充填する場合を段階的
減少という。従って、本発明の白血球捕捉器は、入口付
近の捕捉材の平均細孔直径は、5〜30μmであり出口
付近の捕捉材の平均細孔直径は2〜25μmである白血
球捕捉器も良好に用いられる。入口側で3μm以下の時
血液による目詰まりが見られ好ましくなく、30μm以
上である場合には、細孔が大きい為に白血球の漏れが見
られる。更に高性能化する為には、好ましくは入口側の
平均細孔直径は、8〜25μmであり、出口付近の捕捉
材の平均細孔直径は3〜20μmである。特に捕捉材が
不織布等の繊維の場合、その平均繊維直径が、入口側で
1.5μm〜3.5μmで、出口付近で0.3μm〜
2.5μmの捕捉材を用いて白血球捕捉器とする事がで
き、更に好ましくは、その平均繊維直径が、入口側で
1.5μm〜2.5μmで、出口付近で0.5μm〜
2.0μmを用い、これにプレ捕捉材として最も入口側
に平均繊維直径が、1mm〜5μmのプレ捕捉材を付与
した白血球捕捉器が良好に用いられる。
を有する捕捉材を血液の入口と出口を有する容器内に一
部又は全部充填した白血球捕捉器であって、血液の入口
から出口に向かって捕捉材の平均孔径が実質的に連続的
又は段階的に減少し、かつ血液下流側の捕捉材の全表面
積は0.35〜5.70m2 /mlであり、このうち1
〜10μm及び1〜30μmの細孔部分の表面積がそれ
ぞれ50%以上、60%以上であることを特徴とする白
血球選択捕捉器とする事もできる。本発明における平均
孔径の連続的又は段階的減少とは、捕捉材1枚を血液の
流れ方向に切断した時、血液の上流側から下流側に向か
って捕捉材の孔径が徐々に小さくなる場合を連続的減少
といい、平均孔径がほぼ均一な数枚の捕捉材料を平均孔
径の大きさ順に積層し、容器内に充填する場合を段階的
減少という。従って、本発明の白血球捕捉器は、入口付
近の捕捉材の平均細孔直径は、5〜30μmであり出口
付近の捕捉材の平均細孔直径は2〜25μmである白血
球捕捉器も良好に用いられる。入口側で3μm以下の時
血液による目詰まりが見られ好ましくなく、30μm以
上である場合には、細孔が大きい為に白血球の漏れが見
られる。更に高性能化する為には、好ましくは入口側の
平均細孔直径は、8〜25μmであり、出口付近の捕捉
材の平均細孔直径は3〜20μmである。特に捕捉材が
不織布等の繊維の場合、その平均繊維直径が、入口側で
1.5μm〜3.5μmで、出口付近で0.3μm〜
2.5μmの捕捉材を用いて白血球捕捉器とする事がで
き、更に好ましくは、その平均繊維直径が、入口側で
1.5μm〜2.5μmで、出口付近で0.5μm〜
2.0μmを用い、これにプレ捕捉材として最も入口側
に平均繊維直径が、1mm〜5μmのプレ捕捉材を付与
した白血球捕捉器が良好に用いられる。
【0032】白血球捕捉器のプレ捕捉材
本発明の白血球捕捉器は、血液製剤を扱う場合等には、
マイクロアグリゲート等による目詰まりを未然に防ぐた
め、プレ捕捉材として平均細孔直径が100〜400μ
mのプレ捕捉材を用いることができる。プレ捕捉材の構
造は、繊維或いは、多孔質体等の捕捉材の形態と同様の
何れの形態であっても良く、平均細孔直径が100〜4
00μm或いは平均繊維直径が5μm〜1mmであるこ
とが好ましい。
マイクロアグリゲート等による目詰まりを未然に防ぐた
め、プレ捕捉材として平均細孔直径が100〜400μ
mのプレ捕捉材を用いることができる。プレ捕捉材の構
造は、繊維或いは、多孔質体等の捕捉材の形態と同様の
何れの形態であっても良く、平均細孔直径が100〜4
00μm或いは平均繊維直径が5μm〜1mmであるこ
とが好ましい。
【0033】白血球捕捉器の滅菌方法
滅菌方法は、公知の何れの方法を用いても良いが、敢え
て例を挙げるならば、オートクレーブ等の熱滅菌、エチ
レンオキサイドガス(EOG)滅菌、γ線滅菌、電子線
滅菌等の放射線滅菌、UV照射を行うことができる。
て例を挙げるならば、オートクレーブ等の熱滅菌、エチ
レンオキサイドガス(EOG)滅菌、γ線滅菌、電子線
滅菌等の放射線滅菌、UV照射を行うことができる。
【0034】白血球捕捉時の抗凝固剤
本発明の捕捉材は、使用できる抗凝固剤に特に限定はな
いが、例を挙げるとACD−A、CPD、エチレンジア
ミンテトラアセテート(EDTA)、ヘパリン、メシル
酸ナファモスタット等が挙げられる。
いが、例を挙げるとACD−A、CPD、エチレンジア
ミンテトラアセテート(EDTA)、ヘパリン、メシル
酸ナファモスタット等が挙げられる。
【0035】白血球捕捉装置の使用形状
本発明の白血球捕捉器の前及び/又は後に血液導出入
口、血液の採取口、血液バッグ、血液回路、チェンバ
ー、ドリップチェンバー、メッシュ付きドリップチェン
バー等の血液溜、クランプ、ローラクランプ等のクラン
プ、針、血液ポンプ用チューブ、ヘパリン管等の抗凝固
剤導入部、カラム圧力測定用のチューブ、圧力計等の圧
力測定部等の何れか若しくは複数組み込んだ体外循環用
回路又は輸血用回路を用いることができる。更に、血液
を送液する手段として、回路の途中に血液ポンプ、送液
ポンプ、吸引ポンプ及びペリスタポンプ等のポンプを組
み込んで使用できる。又、血液の自重による落差でも良
好に用いることができる。薬液その他の溶液として、公
知のACD−A、ACD−B、ACD−C、CPD、ヘ
パリン、メシル酸ナファモスタット等の抗凝固剤、赤血
球保存液等の細胞保存液、ブドウ糖液、乳酸リンゲル、
生理食塩液等の各種電解質溶液等の血液成分調整液が挙
げられるが、これに限定されるものではない。好ましく
は、白血球捕捉時にカラムへの空気の混入及び捕捉時の
作業性の面から、少なくとも血液の導出入口、血液ポン
プ、血液溜を含み、白血球捕捉器を含んだ白血球捕捉装
置が良好に用いられる。体外循環時においては、特に好
ましくは、大量の血液を処理する、又は決まった流速で
白血球捕捉する為に、少なくとも血液ポンプ、圧力計等
の圧測定手段を有することが好ましい。
口、血液の採取口、血液バッグ、血液回路、チェンバ
ー、ドリップチェンバー、メッシュ付きドリップチェン
バー等の血液溜、クランプ、ローラクランプ等のクラン
プ、針、血液ポンプ用チューブ、ヘパリン管等の抗凝固
剤導入部、カラム圧力測定用のチューブ、圧力計等の圧
力測定部等の何れか若しくは複数組み込んだ体外循環用
回路又は輸血用回路を用いることができる。更に、血液
を送液する手段として、回路の途中に血液ポンプ、送液
ポンプ、吸引ポンプ及びペリスタポンプ等のポンプを組
み込んで使用できる。又、血液の自重による落差でも良
好に用いることができる。薬液その他の溶液として、公
知のACD−A、ACD−B、ACD−C、CPD、ヘ
パリン、メシル酸ナファモスタット等の抗凝固剤、赤血
球保存液等の細胞保存液、ブドウ糖液、乳酸リンゲル、
生理食塩液等の各種電解質溶液等の血液成分調整液が挙
げられるが、これに限定されるものではない。好ましく
は、白血球捕捉時にカラムへの空気の混入及び捕捉時の
作業性の面から、少なくとも血液の導出入口、血液ポン
プ、血液溜を含み、白血球捕捉器を含んだ白血球捕捉装
置が良好に用いられる。体外循環時においては、特に好
ましくは、大量の血液を処理する、又は決まった流速で
白血球捕捉する為に、少なくとも血液ポンプ、圧力計等
の圧測定手段を有することが好ましい。
【0036】白血球捕捉器及び白血球捕捉装置の用途
本発明の白血球捕捉器及び白血球捕捉装置は、輸血用の
捕捉材及び全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、悪
性関節リウマチ等の自己免疫疾患患者血からの白血球の
捕捉、白血病、癌患者血からの白血球捕捉、移植前の免
疫機能低下の目的での白血球捕捉等の体外循環に用いら
れる他、心臓外科における術後灌流血液中からの白血球
の捕捉、術後血液回収時の骨破片等のゴミ取り、体外循
環等で吸着材破片の体内流入防止用等に良好に用いられ
る。
捕捉材及び全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、悪
性関節リウマチ等の自己免疫疾患患者血からの白血球の
捕捉、白血病、癌患者血からの白血球捕捉、移植前の免
疫機能低下の目的での白血球捕捉等の体外循環に用いら
れる他、心臓外科における術後灌流血液中からの白血球
の捕捉、術後血液回収時の骨破片等のゴミ取り、体外循
環等で吸着材破片の体内流入防止用等に良好に用いられ
る。
【0037】白血球除去方法
本発明は、上記捕捉材、白血球捕捉器及び白血球捕捉装
置を用いた白血球捕捉方法についても開示している。 白血球捕捉条件 本発明は、上記捕捉器及び白血球捕捉装置を用いて、血
液を流速1〜100ml/分で流す捕捉方法であり、こ
の時の線速は、0.05〜15cm/分である。実用上
から、流速は遅い方が白血球捕捉能力は高いが、処理時
間が長くなる為、より好ましくは、流速が1〜80ml
/分で、線速が0.1〜10ml/分である時、高い白
血球捕捉能力を示す。又、血液の通過方法としては、使
用上の必要に応じ、或いは設備の装置状況に応じて、連
続的に通過しても良いし、又断続的に通液しても良い。
この時血液が長く白血球捕捉器内に滞留すると白血球の
捕捉能力は高くなるが、同時に有用な血漿蛋白の吸着が
見られる。この為好ましくは白血球捕捉器内での血液の
滞留時間が10秒以上である時に、本発明は好ましく用
いられる。より好ましくは1分以上のときであり、更に
好ましくは10分以上の時である。又長時間血液が白血
球捕捉器内に滞留する事は、血液成分の非特異吸着や血
液凝固を引き起こす危険性が生じる為、滞留時間は30
分以下である事が好ましい。
置を用いた白血球捕捉方法についても開示している。 白血球捕捉条件 本発明は、上記捕捉器及び白血球捕捉装置を用いて、血
液を流速1〜100ml/分で流す捕捉方法であり、こ
の時の線速は、0.05〜15cm/分である。実用上
から、流速は遅い方が白血球捕捉能力は高いが、処理時
間が長くなる為、より好ましくは、流速が1〜80ml
/分で、線速が0.1〜10ml/分である時、高い白
血球捕捉能力を示す。又、血液の通過方法としては、使
用上の必要に応じ、或いは設備の装置状況に応じて、連
続的に通過しても良いし、又断続的に通液しても良い。
この時血液が長く白血球捕捉器内に滞留すると白血球の
捕捉能力は高くなるが、同時に有用な血漿蛋白の吸着が
見られる。この為好ましくは白血球捕捉器内での血液の
滞留時間が10秒以上である時に、本発明は好ましく用
いられる。より好ましくは1分以上のときであり、更に
好ましくは10分以上の時である。又長時間血液が白血
球捕捉器内に滞留する事は、血液成分の非特異吸着や血
液凝固を引き起こす危険性が生じる為、滞留時間は30
分以下である事が好ましい。
【0038】温度条件
白血球捕捉時の血液の温度によって、血球の粘着は大き
く影響される。温度が高くなると血液の変性をきたした
り、白血球の変形力が高くなり捕捉力が低くなる。又温
度が低過ぎると、粘度が増し流れがスムーズで無くなり
圧損上昇等を招く。そこで好ましくは4℃以上40℃以
下、温度が低い時白血球の捕捉は起こり易い事よりより
好ましくは、37℃以下、最も好ましくは、25℃以下
の時良好な白血球捕捉ができる。温度制御の方法として
は、白血球捕捉器を冷却しても良いし、白血球捕捉器に
血液を導入する前に冷却しても良く、何れにせよ白血球
捕捉時に温度制御されていることが好ましい。
く影響される。温度が高くなると血液の変性をきたした
り、白血球の変形力が高くなり捕捉力が低くなる。又温
度が低過ぎると、粘度が増し流れがスムーズで無くなり
圧損上昇等を招く。そこで好ましくは4℃以上40℃以
下、温度が低い時白血球の捕捉は起こり易い事よりより
好ましくは、37℃以下、最も好ましくは、25℃以下
の時良好な白血球捕捉ができる。温度制御の方法として
は、白血球捕捉器を冷却しても良いし、白血球捕捉器に
血液を導入する前に冷却しても良く、何れにせよ白血球
捕捉時に温度制御されていることが好ましい。
【0039】白血球捕捉方法
本発明の白血球捕捉方法では、血液製剤、新鮮全血、新
鮮PC、保存血等を該白血球捕捉器又は白血球捕捉装置
を用いて、白血球を捕捉するものである。血液製剤の例
を挙げると、クエン酸系の抗凝固剤(ACD−A、CP
D)を加えた赤血球濃厚液(CRC)、又は濃厚血小板
液(PC)及び赤血球保存液としてMAP又はSAGM
又はADSOLを加えたCRC等が挙げられる。
鮮PC、保存血等を該白血球捕捉器又は白血球捕捉装置
を用いて、白血球を捕捉するものである。血液製剤の例
を挙げると、クエン酸系の抗凝固剤(ACD−A、CP
D)を加えた赤血球濃厚液(CRC)、又は濃厚血小板
液(PC)及び赤血球保存液としてMAP又はSAGM
又はADSOLを加えたCRC等が挙げられる。
【0040】
【実施例】次に具体的に実施例を挙げて、発明を詳細に
説明する。
説明する。
【実施例1】放射線グラフト法により、15重量%のメ
トキシトリエチレングリコールメタクリレート及び0.
5重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
トを含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製の不
織布(繊維直径1.7μm、目付け60g/m2 、厚み
0.23mm、接触角92°)を浸漬し、窒素バブリン
グを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これにγ
線を25kGy照射し、グラフト重合した。重合後、十
分な量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴマーを
取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対する接触
角を測定したところ、すぐに水が浸漬したため、0°と
した。この時の親水化前後の接触角の差は、92°であ
った。又グラフト前後の重量変化より求めたグラフト率
は、93%であった。平均孔径は12.3μm、全細孔
容積が、0.86ml/ml、全細孔面積が0.88m
2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の96
%であった。この捕捉材を入口と出口のある容器(厚み
1cm、断面積1.5×1.5cm)に充填し、捕捉材
の厚みを3.0mmとした。この時の充填密度は0.2
6g/cm3 であった。このカラムを用いて牛新鮮血
(抗凝固剤ACD−A)にて、白血球捕捉試験を実施し
たところ、カラムの充填液と血液が置換された時点を開
始時とした時、開始時での白血球捕捉率は99.99%
で、この時の血小板通過率は、58%であった。溶出物
試験は、吸着型血液浄化器品質基準に従い、試料1.5
gを150mlの注射用水で121℃で、20分間高圧
蒸気滅菌器により溶出し、得られた溶出液を分析する事
により行った。項目としては、紫外吸収スペクトル及び
蒸発残留物に付いて行った。上記捕捉材の紫外吸収スペ
クトルは吸光度0.025、蒸発残留物は0.2mgと
非常に低い値であった。
トキシトリエチレングリコールメタクリレート及び0.
5重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレー
トを含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製の不
織布(繊維直径1.7μm、目付け60g/m2 、厚み
0.23mm、接触角92°)を浸漬し、窒素バブリン
グを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これにγ
線を25kGy照射し、グラフト重合した。重合後、十
分な量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴマーを
取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対する接触
角を測定したところ、すぐに水が浸漬したため、0°と
した。この時の親水化前後の接触角の差は、92°であ
った。又グラフト前後の重量変化より求めたグラフト率
は、93%であった。平均孔径は12.3μm、全細孔
容積が、0.86ml/ml、全細孔面積が0.88m
2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の96
%であった。この捕捉材を入口と出口のある容器(厚み
1cm、断面積1.5×1.5cm)に充填し、捕捉材
の厚みを3.0mmとした。この時の充填密度は0.2
6g/cm3 であった。このカラムを用いて牛新鮮血
(抗凝固剤ACD−A)にて、白血球捕捉試験を実施し
たところ、カラムの充填液と血液が置換された時点を開
始時とした時、開始時での白血球捕捉率は99.99%
で、この時の血小板通過率は、58%であった。溶出物
試験は、吸着型血液浄化器品質基準に従い、試料1.5
gを150mlの注射用水で121℃で、20分間高圧
蒸気滅菌器により溶出し、得られた溶出液を分析する事
により行った。項目としては、紫外吸収スペクトル及び
蒸発残留物に付いて行った。上記捕捉材の紫外吸収スペ
クトルは吸光度0.025、蒸発残留物は0.2mgと
非常に低い値であった。
【0041】
【実施例2】放射線グラフト法により、15重量%のメ
トキシトリエチレングリコールメタクリレート、10重
量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5
重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
を含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製の不織
布(繊維直径1.7μm、目付け60g/m2 、厚み
0.23mm、接触角92°)を浸漬し、窒素バブリン
グを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これにγ
線を25kGy照射し、グラフト重合した。重合後、十
分な量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴマーを
取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対する接触
角を測定したところ、すぐに水が浸漬したため、0°と
した。この時の親水化前後の接触角の差は、92°であ
った。又グラフト前後の重量変化より求めたグラフト率
は、158%であった。また捕捉材のCWST82dy
ne/cm、平均孔径は9.4μm、全細孔容積が、
0.81ml/ml、全細孔面積が0.91m2 /m
l、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98%であ
った。捕捉材の厚みを3.0mmとし、断面積が49×
49mmの入口と出口を有する容器に充填した。この時
の充填密度は0.26g/cm3 であった。牛新鮮血
(抗凝固剤ヘパリン)にて、白血球捕捉試験を実施した
ところ、カラムの充填液と血液が置換された時点を開始
時とした時、開始時での白血球捕捉率は99.99%
で、この時の血小板通過率は、61%であった。溶出物
試験は実施例1と同様の方法で行い、上記捕捉材の紫外
吸収スペクトルは吸光度0.021、蒸発残留物は0.
2mgと非常に低い値であった。
トキシトリエチレングリコールメタクリレート、10重
量%の2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5
重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
を含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製の不織
布(繊維直径1.7μm、目付け60g/m2 、厚み
0.23mm、接触角92°)を浸漬し、窒素バブリン
グを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これにγ
線を25kGy照射し、グラフト重合した。重合後、十
分な量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴマーを
取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対する接触
角を測定したところ、すぐに水が浸漬したため、0°と
した。この時の親水化前後の接触角の差は、92°であ
った。又グラフト前後の重量変化より求めたグラフト率
は、158%であった。また捕捉材のCWST82dy
ne/cm、平均孔径は9.4μm、全細孔容積が、
0.81ml/ml、全細孔面積が0.91m2 /m
l、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体の98%であ
った。捕捉材の厚みを3.0mmとし、断面積が49×
49mmの入口と出口を有する容器に充填した。この時
の充填密度は0.26g/cm3 であった。牛新鮮血
(抗凝固剤ヘパリン)にて、白血球捕捉試験を実施した
ところ、カラムの充填液と血液が置換された時点を開始
時とした時、開始時での白血球捕捉率は99.99%
で、この時の血小板通過率は、61%であった。溶出物
試験は実施例1と同様の方法で行い、上記捕捉材の紫外
吸収スペクトルは吸光度0.021、蒸発残留物は0.
2mgと非常に低い値であった。
【0042】
【実施例3】放射線グラフト法により、12.5重量%
のメトキシトリエチレングリコールメタクリレート、7
重量%のヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5重
量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを
含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製の不織布
(繊維直径1.7μm、目付け60g/m2 、厚み0.
23mm、接触角95°)を浸漬し、窒素バブリングを
行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これにγ線を
25kGy照射し、グラフト重合した。重合後、十分な
量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴマーを取り
除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対する接触角を
測定したところ、すぐに水が浸漬したため、0°とし
た。この時の親水化前後の接触角の差は、95°であっ
た。又グラフト前後の重量変化より求めたグラフト率
は、127%であった。捕捉材の厚みを3.0mmと
し、断面積が49×49mmの入口と出口を有する容器
に充填した。この時の充填密度は0.26g/cm3 で
あった。牛新鮮血(抗凝固剤ヘパリン)にて、白血球捕
捉試験を実施したところ、カラムの充填液と血液が置換
された時点を開始時とした時、開始時での白血球捕捉率
は99.99%で、この時の血小板通過率は、58%で
あった。
のメトキシトリエチレングリコールメタクリレート、7
重量%のヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5重
量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを
含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製の不織布
(繊維直径1.7μm、目付け60g/m2 、厚み0.
23mm、接触角95°)を浸漬し、窒素バブリングを
行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これにγ線を
25kGy照射し、グラフト重合した。重合後、十分な
量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴマーを取り
除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対する接触角を
測定したところ、すぐに水が浸漬したため、0°とし
た。この時の親水化前後の接触角の差は、95°であっ
た。又グラフト前後の重量変化より求めたグラフト率
は、127%であった。捕捉材の厚みを3.0mmと
し、断面積が49×49mmの入口と出口を有する容器
に充填した。この時の充填密度は0.26g/cm3 で
あった。牛新鮮血(抗凝固剤ヘパリン)にて、白血球捕
捉試験を実施したところ、カラムの充填液と血液が置換
された時点を開始時とした時、開始時での白血球捕捉率
は99.99%で、この時の血小板通過率は、58%で
あった。
【0043】
【比較例1】実施例1と同様に放射線グラフト法によ
り、15重量%のメトキシトリエチレングリコールメタ
クリレート及び0.5重量%のN,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレートを含んだエタノール溶液中に、ポ
リエチレンテレフタレートの不織布(繊維直径1.7μ
m、目付け60g/m2 、厚み0.23mm、接触角7
1°)を浸漬し、窒素バブリングを行い、重合溶媒中の
溶存酸素を置換した。これにγ線を25kGy照射し、
グラフト重合した。重合後、十分な量のエタノール溶液
で洗浄し、余分なオリゴマーを取り除いた。真空乾燥
後、この捕捉材の水に対する接触角を測定したところ、
すぐに水が浸漬したため、0°とした。この時の親水化
前後の接触角の差は、71°であった。又グラフト前後
の重量変化より求めたグラフト率は、95%であった。
この捕捉材を実施例1と同様に捕捉材の厚みを3.0m
mとし、入口と出口のある容器(厚み1cm、断面積
1.5×1.5cm)に充填した。この時の充填密度は
0.26g/cm3 であった。牛新鮮血(抗凝固剤AC
D−A)にて、白血球捕捉試験を実施したところ、カラ
ムの充填液と血液が置換された時点を開始時とした時、
開始時での白血球捕捉率は99.97%で、この時の血
小板通過率は、35%であった。溶出物試験は、実施例
1と同様の方法で行い、上記捕捉材の紫外吸収スペクト
ル吸光度0.080、蒸発残留物は0.8mgであっ
た。
り、15重量%のメトキシトリエチレングリコールメタ
クリレート及び0.5重量%のN,N−ジメチルアミノ
エチルメタクリレートを含んだエタノール溶液中に、ポ
リエチレンテレフタレートの不織布(繊維直径1.7μ
m、目付け60g/m2 、厚み0.23mm、接触角7
1°)を浸漬し、窒素バブリングを行い、重合溶媒中の
溶存酸素を置換した。これにγ線を25kGy照射し、
グラフト重合した。重合後、十分な量のエタノール溶液
で洗浄し、余分なオリゴマーを取り除いた。真空乾燥
後、この捕捉材の水に対する接触角を測定したところ、
すぐに水が浸漬したため、0°とした。この時の親水化
前後の接触角の差は、71°であった。又グラフト前後
の重量変化より求めたグラフト率は、95%であった。
この捕捉材を実施例1と同様に捕捉材の厚みを3.0m
mとし、入口と出口のある容器(厚み1cm、断面積
1.5×1.5cm)に充填した。この時の充填密度は
0.26g/cm3 であった。牛新鮮血(抗凝固剤AC
D−A)にて、白血球捕捉試験を実施したところ、カラ
ムの充填液と血液が置換された時点を開始時とした時、
開始時での白血球捕捉率は99.97%で、この時の血
小板通過率は、35%であった。溶出物試験は、実施例
1と同様の方法で行い、上記捕捉材の紫外吸収スペクト
ル吸光度0.080、蒸発残留物は0.8mgであっ
た。
【0044】
【比較例2】実施例1と同様に放射線グラフト法によ
り、15重量%のメトキシトリエチレングリコールメタ
クリレート及び5重量%の2−ヒドロキシエチルメタク
リレートを含んだエタノール溶液中に、ポリブチレンテ
レフタレートの不織布(繊維直径1.7μm、目付け6
0g/m2 、厚み0.23mm、接触角70°)を浸漬
し、窒素バブリングを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置
換した。これにγ線を25kGy照射し、グラフト重合
した。重合後、十分な量のエタノール溶液で洗浄し、余
分なオリゴマーを取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材
の水に対する接触角を測定したところ、すぐに水が浸漬
したため、0°とした。この時の親水化前後の接触角の
差は、70°であった。又グラフト前後の重量変化より
求めたグラフト率は、97%であった。この捕捉材を実
施例1と同様に捕捉材の厚みを1.5mmとし、入口と
出口のある容器(厚み1cm、断面積1.5×1.5c
m)に充填した。この時の充填密度は0.13g/cm
3 であった。この捕捉材を実施例1と同様の入口と出口
のある容器に充填し、牛新鮮血(抗凝固剤ACD−A)
にて、白血球捕捉試験を実施したところ、カラムの充填
液と血液が置換された時点を開始時とした時、開始時で
の白血球捕捉率は99.31%で、この時の血小板通過
率は、39%であった。溶出物試験は、実施例1と同様
の方法で行い、上記捕捉材の紫外吸収スペクトルは吸光
度0.088、蒸発残留物は0.83mgであった。
り、15重量%のメトキシトリエチレングリコールメタ
クリレート及び5重量%の2−ヒドロキシエチルメタク
リレートを含んだエタノール溶液中に、ポリブチレンテ
レフタレートの不織布(繊維直径1.7μm、目付け6
0g/m2 、厚み0.23mm、接触角70°)を浸漬
し、窒素バブリングを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置
換した。これにγ線を25kGy照射し、グラフト重合
した。重合後、十分な量のエタノール溶液で洗浄し、余
分なオリゴマーを取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材
の水に対する接触角を測定したところ、すぐに水が浸漬
したため、0°とした。この時の親水化前後の接触角の
差は、70°であった。又グラフト前後の重量変化より
求めたグラフト率は、97%であった。この捕捉材を実
施例1と同様に捕捉材の厚みを1.5mmとし、入口と
出口のある容器(厚み1cm、断面積1.5×1.5c
m)に充填した。この時の充填密度は0.13g/cm
3 であった。この捕捉材を実施例1と同様の入口と出口
のある容器に充填し、牛新鮮血(抗凝固剤ACD−A)
にて、白血球捕捉試験を実施したところ、カラムの充填
液と血液が置換された時点を開始時とした時、開始時で
の白血球捕捉率は99.31%で、この時の血小板通過
率は、39%であった。溶出物試験は、実施例1と同様
の方法で行い、上記捕捉材の紫外吸収スペクトルは吸光
度0.088、蒸発残留物は0.83mgであった。
【0045】
【実施例4】放射線グラフト法により、7.5重量%の
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、及び
0.5重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レートを含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製
の不織布(繊維直径2.5μm、目付け60g/m2 、
厚み0.24mm、接触角92°)を浸漬し、窒素バブ
リングを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これ
にγ線を25kGy照射し、グラフト重合した。重合
後、十分な量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴ
マーを取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対す
る接触角を測定したところ、すぐに水が浸漬したため、
0°とした。この時の親水化前後の接触角の差は、92
°であった。又グラフト前後の重量変化より求めたグラ
フト率は、93%であった。平均孔径は15.3μm、
全細孔容積が、0.88ml/ml、全細孔面積が0.
76m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体
の95%であった。この捕捉材を入口と出口のある容器
(厚み1cm、断面積が49×49mm)に充填し、捕
捉材の厚みを3.0mmとした。このカラムを用いてC
RC血(抗凝固剤CPD)にて、ペリスタポンプを用い
て流速1ml/分で白血球捕捉試験を実施したところ、
カラムの充填液と血液が置換された時点を開始時とした
時、開始での白血球捕捉率は、99.999%で、この
時の血小板通過率は55%であった。
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、及び
0.5重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レートを含んだエタノール溶液中に、ポリプロピレン製
の不織布(繊維直径2.5μm、目付け60g/m2 、
厚み0.24mm、接触角92°)を浸漬し、窒素バブ
リングを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置換した。これ
にγ線を25kGy照射し、グラフト重合した。重合
後、十分な量のエタノール溶液で洗浄し、余分なオリゴ
マーを取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材の水に対す
る接触角を測定したところ、すぐに水が浸漬したため、
0°とした。この時の親水化前後の接触角の差は、92
°であった。又グラフト前後の重量変化より求めたグラ
フト率は、93%であった。平均孔径は15.3μm、
全細孔容積が、0.88ml/ml、全細孔面積が0.
76m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が全体
の95%であった。この捕捉材を入口と出口のある容器
(厚み1cm、断面積が49×49mm)に充填し、捕
捉材の厚みを3.0mmとした。このカラムを用いてC
RC血(抗凝固剤CPD)にて、ペリスタポンプを用い
て流速1ml/分で白血球捕捉試験を実施したところ、
カラムの充填液と血液が置換された時点を開始時とした
時、開始での白血球捕捉率は、99.999%で、この
時の血小板通過率は55%であった。
【0046】
【比較例3】放射線グラフト法により、7.5重量%の
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート及び
0.5重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レートを含んだエタノール溶液中に、ポリブチレンテレ
フタレート製の不織布(繊維直径2.5μm、目付け6
0g/m2 、厚み0.24mm、接触角71°)を浸漬
し、窒素バブリングを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置
換した。これにγ線を25kGy照射し、グラフト重合
した。重合後、十分な量のエタノール溶液で洗浄し、余
分なオリゴマーを取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材
の水に対する接触角を測定したところ、すぐに水が浸漬
したため、0°とした。この時の親水化前後の接触角の
差は、71°であった。又グラフト前後の重量変化より
求めたグラフト率は、88%であった。平均孔径は1
7.3μm、全細孔容積が、0.81ml/ml、全細
孔面積が0.59m2 /ml、1〜30μmの孔径の細
孔容積が全体の70%であった。この捕捉材を、入口と
出口のある容器(厚み1cm、断面積が49×49m
m)に充填し、捕捉材の厚みを3.0mmとした。この
カラムを用いてCRC血(抗凝固剤CPD)にて、ペリ
スタポンプを用いて流速1ml/分で白血球捕捉試験を
実施したところ、カラムの充填液と血液が置換された時
点を開始時とした時、開始時での白血球捕捉率は99.
98%で、この時の血小板通過率は、39%であった。
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート及び
0.5重量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レートを含んだエタノール溶液中に、ポリブチレンテレ
フタレート製の不織布(繊維直径2.5μm、目付け6
0g/m2 、厚み0.24mm、接触角71°)を浸漬
し、窒素バブリングを行い、重合溶媒中の溶存酸素を置
換した。これにγ線を25kGy照射し、グラフト重合
した。重合後、十分な量のエタノール溶液で洗浄し、余
分なオリゴマーを取り除いた。真空乾燥後、この捕捉材
の水に対する接触角を測定したところ、すぐに水が浸漬
したため、0°とした。この時の親水化前後の接触角の
差は、71°であった。又グラフト前後の重量変化より
求めたグラフト率は、88%であった。平均孔径は1
7.3μm、全細孔容積が、0.81ml/ml、全細
孔面積が0.59m2 /ml、1〜30μmの孔径の細
孔容積が全体の70%であった。この捕捉材を、入口と
出口のある容器(厚み1cm、断面積が49×49m
m)に充填し、捕捉材の厚みを3.0mmとした。この
カラムを用いてCRC血(抗凝固剤CPD)にて、ペリ
スタポンプを用いて流速1ml/分で白血球捕捉試験を
実施したところ、カラムの充填液と血液が置換された時
点を開始時とした時、開始時での白血球捕捉率は99.
98%で、この時の血小板通過率は、39%であった。
【0047】
【実施例5】血液回路に血液ポンプ、ドリップチェンバ
ーを組み込み、実施例2と同様の方法で製造した不織布
の平均繊維直径は、1.7μm、平均孔径が9.4μ
m、全細孔容積が、0.81ml/ml、全細孔面積が
0.91m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が
全体の98%であった。この不織布を15cm×240
cmの大きさに切断し、これを円筒状に巻き、直径(内
径)5cm×15cmの円筒容器に充填し、上下両端を
ポリウレタンによって閉じ、血液の流れが外側から内側
へと流れるように血液の下流側の中央部に血液の出口の
流路を作った白血球捕捉装置を作成した。この時の充填
密度は、0.135g/cm3 これを血液ポンプ、ドリ
ップチェンバーを組み込んだ血液回路に接続し、実施例
1と同様の抗凝固剤にACD−Aを用いた血液4lを血
液プールより、流速50ml/分で流し、白血球捕捉を
行った。結果、白血球捕捉率は99.99%で、この時
の開始時の血小板通過率は、61%であった。
ーを組み込み、実施例2と同様の方法で製造した不織布
の平均繊維直径は、1.7μm、平均孔径が9.4μ
m、全細孔容積が、0.81ml/ml、全細孔面積が
0.91m2 /ml、1〜30μmの孔径の細孔容積が
全体の98%であった。この不織布を15cm×240
cmの大きさに切断し、これを円筒状に巻き、直径(内
径)5cm×15cmの円筒容器に充填し、上下両端を
ポリウレタンによって閉じ、血液の流れが外側から内側
へと流れるように血液の下流側の中央部に血液の出口の
流路を作った白血球捕捉装置を作成した。この時の充填
密度は、0.135g/cm3 これを血液ポンプ、ドリ
ップチェンバーを組み込んだ血液回路に接続し、実施例
1と同様の抗凝固剤にACD−Aを用いた血液4lを血
液プールより、流速50ml/分で流し、白血球捕捉を
行った。結果、白血球捕捉率は99.99%で、この時
の開始時の血小板通過率は、61%であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の白血球捕捉器及び白血球捕捉装
置を用いることで、血小板の粘着を開始時より抑制で
き、効率良く白血球の捕捉ができる。特に輸血分野で
は、濃厚血小板等からの血小板の損失を最小限にとど
め、白血球を選択的に捕捉できる。また、体外循環にお
いても体内に必要な血小板の損失が防げ、白血球捕捉が
できる。
置を用いることで、血小板の粘着を開始時より抑制で
き、効率良く白血球の捕捉ができる。特に輸血分野で
は、濃厚血小板等からの血小板の損失を最小限にとど
め、白血球を選択的に捕捉できる。また、体外循環にお
いても体内に必要な血小板の損失が防げ、白血球捕捉が
できる。
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭57−43744(JP,A)
特開 平4−272768(JP,A)
特開 昭60−193468(JP,A)
特開 昭61−226056(JP,A)
特開 昭63−255070(JP,A)
特開 平4−329965(JP,A)
国際公開87/5812(WO,A1)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A61M 5/165
Claims (2)
- 【請求項1】 表面にカチオン性基及び繰り返し単位2
〜15のポリエチレングリコール鎖を有するモノマー部
分が導入された繊維または連続孔を有する高分子多孔体
からなる、平均孔径が1〜30μm、全細孔容積が0.
40ml/ml以上0.95ml/ml以下で且つ孔径
1〜30μmの細孔部分の容積が全細孔容積の75%以
上である捕捉材を、充填密度0.05g/cm3 以上
0.5g/cm3 以下で内蔵することを特徴とする、
白血球の浮遊する液から白血球を捕捉する血小板通過性
に優れた白血球捕捉器。 - 【請求項2】 カチオン性基及び繰り返し単位2〜15
のポリエチレングリコール鎖を有するモノマー部分が導
入された親水性部及び炭化水素系の疎水性部を有する親
水性表面構造材が、主成分を炭化水素とする疎水性の基
材と疎水性部で結合している捕捉材を充填密度0.05
g/cm 3 以上0.5g/cm 3 以下で内蔵することを
特徴とする白血球の浮遊する液から白血球を捕捉する血
小板通過性に優れた白血球捕捉器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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