JP3362997B2 - 圧電音響装置 - Google Patents
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Description
器やその他の通話器のレシーバーのような音響装置とし
て用いられる圧電音響装置に関する。
中間部に段状の圧電要素支持部を有するトレイ状のケー
スに圧電要素を収納し、その振動板の周辺部を前記圧電
要素支持部に載せて接着剤で固定したものである。圧電
要素は、表面に電極を有する圧電膜が振動板の表面に形
成されたもので、圧電膜上の電極と振動板とに各々リー
ド線が接続され、このリード線が前記ケースから外部に
引き出されている。
と呼ばれる家庭用電話器の小型化が進み、それに伴っ
て、レシーバーとして使用される前記のような圧電音響
装置に対して益々小型化の要請が高まっている。前述し
たような従来の圧電音響装置は、振動板の直径が27φ
以上、具体的には32φ程度のものであったが、今日で
は振動板の直径が20φ以下のものが主流となってい
る。
動板の厚みをそのままにして、その直径を小さくする
と、それだけ周波数特性が高周波側にシフトし、低周波
数側での音圧が低下する。このため、前記のような構造
を有する従来の圧電音響装置であって、振動板の直径が
20φ以下のものでは、0.5kHz以下の周波数帯域
で高い音圧が得られない。このような周波数−音圧特性
を有する圧電音響装置を用いたレシーバーでは、ノイズ
やキンキンとした高い音のみが強調され、不自然で聞き
取りにくい再生音を生じるという欠点があった。
小さな圧電要素で比較的直径の大きな振動板を使用した
圧電音響装置と同等の音響特性を得るためには、圧電要
素の径を小さくした分だけその全体の厚みを薄くする必
要がある。しかしながら、圧電要素の厚みを全体的に薄
くするには、圧電セラミックと振動板の双方の薄形化が
必要であり、そのため圧電要素の強度低下を招く。すな
わち、強度低下により破損等のトラブルが起しやすくな
るため、歩留りが悪くなるなど、薄形化には自ずと限度
がある。本発明は、前記従来の課題に鑑み、直径の小さ
な圧電要素を用いた小形の圧電音響装置であっても、比
較的径の大きな圧電要素を用いたものと同等の共振周波
数が得られ、自然な再生音を発する圧電音響装置を提供
することを目的とする。
を達成するため、圧電要素2の振動板21の周辺部の全
体をケース1の内周面で直接支持することなく、ケース
1の内周面の数カ所で振動板21の周辺部を支持し、振
動板21の周辺部とケース1の内周面との間隙を弾性接
着剤14で閉塞するという構造を採用した。
ケース1と、このケース1の中に収納され、その内周面
中間部に周辺部が支持された圧電要素2とを備える圧電
音響装置において、前記ケース1の内周面に弾性接着剤
14を保持する段部12が設けられていると共に、前記
圧電要素2の振動板21の径は、前記段部12の内径と
ほぼ同じであり、ケース1円周方向に間隔をおいてその
内周面に設けた複数の支持突起15、15…で圧電要素
2の周辺部を支持すると共に、前記ケース1の円周方向
に間隔をおいてその内周面に設けた複数の突起13、1
3…で圧電要素2をケース1に対してセンタリングし、
圧電要素2の周辺部とケース1の内周面との間隙を弾性
接着剤14で閉塞したことを特徴とする。さらに、前記
ケース1の円周方向に間隔をおいてその内周面に設けた
複数の突起13、13…は、それらの先端が圧電要素2
の周辺に外接し、これによって圧電要素2のケース1に
対する径方向の移動を規制する。
しては、圧電要素の周辺部を完全に固定する、いわゆる
周辺固定方式と、圧電要素の周辺部を固定せずに、単に
支持する、いわゆる周辺支持方式とがある。前者は、圧
電要素2の振動板21の周辺部を固定することで、その
振動を完全に抑制し、固定された振動板21の周辺部が
傾くことがない状態をいう。後者は、圧電要素の振動板
21の周辺部の厚み方向及び平面方向のみの遊動を抑え
るだけであって、周辺部の振動は抑制されず、その傾き
は許容される状態をいう。
支持した状態で圧電要素2をケース1に組み込んだ場合
の共振周波数は、一般に次式で計算される。 ω1=α1 2hY1/2/a2{3ρ(1−σ2)}1/2 但し、ω1 は一次共振周波数、α1 は一次共振の基準常
数、hは振動板の厚み、Yは振動板の弾性係数、aは振
動板の半径、ρは振動板の密度、σはポアソン比であ
る。この共振周波数の式において、一次共振の基準常数
α1 は、前記周辺支持の場合が周辺固定の場合の約2倍
程となる。すなわち、圧電要素2の振動板21を周辺支
持とした場合は、周辺固定とした場合の約70%の振動
板21の直径で同じ共振周波数を得ることが出来ること
になる。
の振動板21の周辺部の全体をケース1の内周面で直接
支持することなく、ケース1の内周面の数カ所で振動板
21の周辺部を支持し、振動板21の周辺部とケース1
の内周面との間隙を弾性接着剤14で閉塞するという構
造を採用したことにより、圧電要素2の振動板21の周
辺部は、理想的な周辺支持に近い状態となる。すなわ
ち、振動板21の周辺部の振動は抑制されず、その傾き
が許容されるため、周辺支持とほぼ同様の状態となる。
これにより、直径の小さな振動板21を有する小形の圧
電要素2を用いたものであっても、従来と同等の共振周
波数が得られることになる。
について詳細且つ具体的に説明する。図1〜図4は、本
発明を圧電サウンダーに適用した実施例を示している。
ここでケース1は、樹脂等により、上面側が開口したト
レイ状に形成されたもので、底面中央に複数の小孔から
なる放音孔11が開設されている。このケース1の周壁
5の一部に、リード線引出溝4が設けられている。
部に、前記リード線引出溝4の部分を除く全周に亙って
段部12が形成され、この段部12の内周の4個所から
ケース1の中心方向に向かって支持突起15、15…が
突設されている。さらに、この段部12の上の周壁5の
内面から複数の圧電要素センタリング用の突起13、1
3…が突設されている。図示の実施例では、突起13、
13…と支持突起15、15…とが45°ずつずれてケ
ース1の周壁5の内面に各々90°間隔で4つずつ設け
られている。
ラミックの両主面に電極層を有する圧電膜22を、金属
製の振動板21の上に固着したもので、振動板21と圧
電膜22上の電極に各々リード線3が半田付けされてい
る。ここで、圧電要素2の振動板21の径は、前記段部
12の内径とほぼ同じであって、対向する突起13、1
3…の先端間隔よりごく僅かに小さく、対向する支持突
起15、15…の先端間隔よりやや大きいのが理想的で
ある。
壁5の内周側の前記段部12に沿って予めシリコーン系
接着剤等の弾性接着剤14を一様に塗布する。この弾性
接着剤14は、段部12に保持され、だれ落ちない。次
に、圧電要素2をケース1の内部に収納し、圧電要素2
の振動板21の周辺部を前記弾性接着剤14の中に埋め
込む。このとき、図3に示されたように、突起13、1
3…の先端によって圧電要素2がケース1の中心にセン
タリングされると共に、その振動板21の径方向の動き
が規制される。これにより、圧電要素2がケース1の中
に互いに中心が一致するよう収められる。また、図4に
示されたように、振動板21の周辺部は、前記支持突起
15、15…の上に弾性接着剤14を介して載せられて
いる。前記リード線3はケース1のリード線引出用溝4
からケース1の外部に導出する。図3はケース1の図2
におけるA部分の断面を、図4は同ケース1の図2にお
けるB部分の断面を各々示している。
の振動板21の周辺部がケース1の周壁5に固定されて
おらず、弾性接着剤14を介して突起13、13…及び
支持突起15、15…により数点が支持された支持構造
となる。このため、振動板21の周辺部の振動が抑制さ
れず、いわゆる理想の周辺支持方式に近い状態となる。
これによって、径の小さな振動板21でも、望ましい共
振周波数が得られる。
置とその比較例の音響特性を示す。実線は、直径15m
mの振動板21に、両面に電極を有する直径12mm、
厚み0.05mmのPZT圧電セラミックからなる圧電
膜22を貼りつけた圧電要素2を用い、これを図1〜図
4に示すようにケース1に取り付けた圧電受話器の周波
数−音圧レベルを示す。なお、周波数−音圧レベルは、
圧電受話器を音響的に最適化したイヤピースに取り付
け、IEC−318カプラーを用いて測定した。また、
破線は、比較例として、直径20mmの振動板に、両面
に電極を有する直径15mm、厚み0.05mmのPZ
T圧電セラミックからなる圧電膜を貼りつけた圧電要素
2を用い、これを周辺部固定方式でケースに取り付けた
圧電受話器の周波数−音圧レベルを示す。この結果から
明かなように、前記本発明の実施例による圧電受話器と
比較例による圧電受話器とでは、音圧レベルに差がみら
れるが、高い音圧レベルが得られる周波数帯域は、殆ど
同じであることがわかる。
響装置のケース1を示すものである。前述の実施例で
は、突起13、13…と支持突起15、15…とは45
°ずつずれていたが、この実施例ではこれら突起13、
13…と支持突起15、15…とがケース1の周壁5の
内側に何れも同じ90°間隔で同じ位置に設けられてい
る。さらにこの実施例による圧電音響装置のケース1に
は、その周壁5の下側外周部から放射状に2つの取付用
ブラケット16、16が形成されている。このケース1
の中に圧電要素(図7において図示せず)を取り付けた
状態で完成される圧電音響装置は、この取付用ブラケッ
ト16、16に設けたネジ孔により、このケース1を機
器に取り付けて使用する。突起13、13…と支持突起
15、15…とが同じ位置に設けられていることによ
り、段部12への弾性接着剤14の塗布作業がディスペ
ンサー等で連続して行なえる利点がある。
2の他の形状の例を示すものである。前述の実施例で
は、段部12がケース1の周壁5の内面に底面から立ち
上がった壁面と、この壁面と直交する円周状の面からな
っていた。既に述べたとおり、この段部12は、弾性接
着剤14を所定の位置に保持するためのものであり、こ
の図8に示したケース1では、各々凸状と凹溝とにより
そのような段部12を形成している。このような段部1
2は、ケース1の周壁5の内面の表面積を増大させ、そ
の部分に或る程度の粘性を有する弾性接着剤14を保持
し、定着するのに有効である。
3、13…の形状の例を示す。同図(a)は、矩形の突
起13、13…を設けた例を、同図(b)は、三角形の
山形の突起13、13…を設けた例を、同図(c)は、
台形の山形の突起13、13…を設けた例を、同図
(d)は、半円形の山形の突起13、13…を設けた例
を各々示す。突起13、13…は、仮にその先端が振動
板21の周辺部に接したとしても、できるだけ接触面積
が小さくなるような先端形状がよい。従って、前記図9
(a)〜(d)の中でも同図(b)のものは、突起1
3、13…が圧電要素2の振動板21の周辺に接したと
き、ほぼ点または線で接触するため、接触面積が小さ
く、最も好ましいといえる。こようなの突起は13、1
3…は、ケース1の周壁に沿ってできるだけ等間隔に3
個所以上設けるが、その数が多いと振動板21の周辺部
を拘束する力が強くなるので、6個所以下がよい。
るものではない。例えば、放音孔11は小孔を多数設け
たもの以外に、放音孔の無いもの、或は比較的大きな放
音孔を1つ設けたものや、その放音孔にメッシュを張っ
たもの等が例示できる。さらに、リード線引出用溝4に
代えて、リード線引出用の孔を設けたものや、そのよう
な溝や孔を設けず、ケース1の開口部からリード線3を
引き出すもの等も例示できる。
の小さい圧電要素を用いても、比較的径の大きな圧電要
素を用いた圧電音響装置と同等の共振周波数が得られる
ため、自然な音声が得られるという効果を奏する。これ
により、小形でも優れた音響特性を有する圧電音響装置
が歩留りよく製造できるという効果が得られる。
圧電要素を分離した状態の斜視図である。
面図である。
着剤で振動板の周辺を支持した状態の図2におけるA部
分の要部縦断側面図である。
着剤で振動板の周辺を支持した状態の図2におけるB部
分の要部縦断側面図である。
周波数−音圧特性を示すグラフである。
スと圧電要素を分離した状態の斜視図である。
面図である。
ースの周壁の段部の他の形状の例を示す弾性接着剤を塗
布した状態のケースの要部縦断側面図である。
ースの周壁の突起の他の形状の例を示すケースの要部平
面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ケース(1)と、このケース(1)の中
に収納され、その内周面中間部に周辺部が支持された圧
電要素(2)とを備える圧電音響装置において、前記ケ
ース(1)の内周面に弾性接着剤(14)を保持する段
部(12)が設けられていると共に、前記圧電要素2の
振動板21の径は、前記段部12の内径とほぼ同じであ
り、ケース(1)円周方向に間隔をおいてその内周面に
設けた複数の支持突起(15)、(15)…で圧電要素
(2)の周辺部を支持すると共に、前記ケース(1)の
円周方向に間隔をおいてその内周面に設けた複数の突起
(13)、(13)…で圧電要素(2)をケース(1)
に対してセンタリングし、圧電要素(2)の周辺部とケ
ース(1)の内周面との間隙を弾性接着剤(14)で閉
塞したことを特徴とする圧電音響装置。 - 【請求項2】 複数の突起(13)、(13)…の先端
が圧電要素(2)の周辺に外接することを特徴とする請
求項1に記載の圧電音響装置。
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