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JP3007681B2 - オルガノポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂およびその製造方法 - Google Patents

オルガノポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂およびその製造方法

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JP3007681B2
JP3007681B2 JP2336314A JP33631490A JP3007681B2 JP 3007681 B2 JP3007681 B2 JP 3007681B2 JP 2336314 A JP2336314 A JP 2336314A JP 33631490 A JP33631490 A JP 33631490A JP 3007681 B2 JP3007681 B2 JP 3007681B2
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organopolysiloxane
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polyester polyol
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隆三 三上
直 大川
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東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はオルガノポリシロキサン変性ポリウレタン樹
脂およびその製造方法に関し、詳しくは、海生物の付着
防止性に優れたオルガノポリシロキサン変性ポリウレタ
ン樹脂およびその製造方法に関する。
[従来技術および発明が解決しようとする課題] 有機官能性シリコーンポリマーとジイソシアネートと
の反応によるシリコーンウレタンコポリマーは公知であ
る。例えば、特公昭58−58123号公報には、両末端カル
ビノール官能性ポリジメチルシロキサンとジイソシアネ
ートとの反応によってシリコーンウレタンコポリマーを
得る方法が記載されている。また特開昭62−131007号公
報には、両末端アミノ変性オルガノポリシロキサン、ポ
リオールとジイソシアネートとの反応によってシリコー
ンウレタンコポリマーを得る方法が記載されている。
しかしながら、このような方法で得られたシリコーン
ウレタンコポリマーは、オルガノポリシロキサンがウレ
タンコポリマー主鎖にブロックで共重合されており、そ
の含有量の割に離型性が良くない。もちろん共重合させ
ない場合よりは、離型性が優れているが、用途によって
は更に離型性の良いものが求められている。例えば、無
毒性防汚塗料のバインダーとしてシリコーン系ポリマー
が注目されている。しかしながら、上記既知のコポリマ
ーを防汚塗料用のバインダーとして用いても、海生物付
着防止性が不十分で、すぐれた防汚性を得ることは出来
なかった。
本発明者らは上記問題点を解消するために鋭意研究し
た結果、本発明に到達した。
本発明の目的は海生物付着防止性を有するオルガノポ
リシロキサン変性ポリウレタン樹脂およびその製造方法
を提供するものである。
[課題を解決するための手段とその作用] 上記目的は 一分子中に少なくとも2個の水酸基を含有し、オルガ
ノポリシロキサン鎖がアルキレン基またはアルキレンオ
キシ基を介して結合してなるオルガノポリシロキサン側
鎖型ポリエステルポリオールと、一分子中に少なくとも
2個のイソシアネート基を含有する化合物とを反応させ
て成ることを特徴とする、オルガノポリシロキサン変性
ポリウレタン樹脂および、(A)一分子中に、少なくと
も2個の水酸基と少なくとも1個のアルケニル基または
アルケニルオキシ基を含有する平均分子量300〜15000の
ポリエステルポリオールと、一分子あたり1個のケイ素
原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンと
を、ヒドロシリル化反応用触媒の存在下で反応させて成
る、オルガノポリシロキサン鎖がアルキレン基またはア
ルキレンオキシ基を介して結合してなるオルガノポリシ
ロキサン側鎖型ポリエステルポリオールと、(B)一分
子中に少なくとも2個のイソシアネート基を含有する化
合物とを室温以上の温度で反応させることを特徴とする
オルガノポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂の製造方
法によって達成される。
これを説明すると、本発明では、オルガノポリシロキ
サンがアルキレン基またはアルキレンオキシ基を介して
側鎖に結合し、一分子中に少なくとも2個の水酸基を有
するポリエステルポリオールを用いることを特徴とす
る。このようなオルガノポリシロキサン側鎖型ポリエス
テルポリオールは、種々の方法で製造され得る。例え
ば、片末端ジカルビノール官能性オルガノシロキサンを
その他の多価アルコールとともにジカルボン酸またはそ
れらの酸クロライドとの縮合によって、あるいは縮合反
応で合成されたアルケニル基またはアルケニルオキシ基
を含有するポリエステルポリオールと、片末端にケイ素
原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンとの
ヒドロシリル化反応によって製造される。前者は縮合反
応に厳しい反応条件が必要になり、その際にシロキサン
の再配位反応が起こる恐れがある。より温和な条件で縮
合させるためには、ジカルボン酸クロライドを使用して
も良いが、この場合塩酸トラップ剤の使用が、また均一
系で反応するためには溶剤の使用が望ましい。工程的に
は、後者のアルケニル基またはアルケニルオキシ基を含
有するポリエステルポリオールを合成してから、このア
ルケニル基に、片末端にケイ素原子結合水素原子含有オ
ルガノポリシロキサンを触媒存在下でヒドロシリル化反
応させる方が有利である。
このようなアルケニル基またはアルケニルオキシ基含
有ポリエステルポリオールは、多価カルボン酸とアルケ
ニル基またはアルケニルオキシ基含有多価アルコールと
の縮合反応、または、多価アルコールとアルケニル基ま
たはアルケニルオキシ基含有多価カルボン酸との縮合反
応によって得られる。本発明の目的から、それらの原料
の大部分は二価カルボン酸もしくはその誘導体および二
価アルコールであることが好ましい。
二価カルボン酸としてはフタル酸,イソフタル酸,テ
レフタル酸,テトラヒドロフタル酸,テトラクロルフタ
ル酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,アジピン酸,セ
バシン酸,シクロペンタンジカルボン酸等が例示され、
二価アルコールとしては、エチレングリコール,プロピ
レングリコール,ブタンジオール,ヘキサメチレングリ
コール,水素化ビスフェノールA,ネオペンチルグリコー
ル,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,
ジプロピレングリコール等が例示される。
このポリエステルポリオールに含有されるアルケニル
基またはアルケニルオキシ基は、アルケニル基またはア
ルケニルオキシ基を含有する多価カルボン酸または多価
アルコール成分のいずれか一方、または両方を原料とし
て用いることにより導入される。このようなアルケニル
基含有成分としては、グリセリンモノアリルエーテル,
トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエ
リスリトールモノアリルエーテル,ペンタエリスリトー
ルジアリルエーテル等の多価アルコールやアリロキシイ
ソフタル酸、アリロキシテレフタル酸,アリルマロン酸
等の多価カルボン酸が例示される。以上の多価カルボン
酸成分は重縮合の方法に応じて、カルボン酸もしくはア
ルキルエステル,ハロゲン化物等の誘導体として適宜選
択して使用される。
重縮合によるポリエステルポリオールの製造法として
は多価カルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合による
方法、多価カルボン酸エステルと多価アルコールのエス
テル交換反応による方法、さらに多価カルボン酸ハロゲ
ン化物と多価アルコールとの塩基存在下での脱塩酸縮合
による方法が挙げられる。
このようにして得られたアルケニル基またはアルケニ
ルオキシ基含有ポリエステルポリオールの平均分子量
は、次に行なわれるケイ素原子結合水素原子含有オルガ
ノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応が効率よく行
なわれるために、300〜15000に限定される。アルケニル
基またはアルケニルオキシ基は、ポリエステルポリオー
ルの1分子あたり少なくとも1個含有されなければなら
ない。
ここで重要なことは、多価アルコールの当量と多価カ
ルボン酸の当量との比が1以上でなければならない。即
ち、アルケニル基またはアルケニルオキシ基含有ポリエ
ステルポリオールは、ジイソシアネートと反応し得るカ
ルビノール基を有することが必要である。末端のカルビ
ノール基は、次のヒドロキシル化反応でケイ素原子結合
水素原子との間で脱水素反応を起こす可能性があるが、
一般にその反応性はヒドロシリル化反応に比べて非常に
低いので特に問題とならない。もしこのような副反応を
完全に抑える必要があれば、既知シリル化剤で、末端の
水酸基を保護しておいてヒドロシリル化反応後、脱シリ
ル化して目的のオルガノポリシロキサン側鎖型ポリエス
テルポリオールを得ればよい。
オルガノポリシロキサン側鎖型ポリエステルポリオー
ルの原子であるオルガノポリシロキサンは、1分子あた
りに1個のケイ素原子結合水素原子を含有するものであ
れば、直鎖状、分岐状のいずれでもよいが、好ましくは
直鎖状のオルガノポリシロキサンの片末端にケイ素原子
結合水素原子を有するものであり、公知の方法によって
製造される。オルガノポリシロキサンの重合度は特に限
定されないが、オルガノポリシロキサン側鎖型ポリエス
テルポルオールとして、すぐれた海生物付着防止効果を
得るためには、その平均値が3〜500であることが好ま
しく、さらに好ましくは5〜200である。このオルガノ
ポリシロキサン成分のケイ素原子に結合する水素原子以
外の有機基としては、メチル基,エチル基,プロピル
基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,
オクチル基等のアルキル基;フェニル基,ナフチル基等
のアリール基,ベンジル基,フェネチル基等のアラルキ
ル基、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキ
シ基,ペンチルオキシ基,ヘキシルオキシ基,ヘプチル
オキシ基,オクチルオキシ基等のアルコキシ基、フェノ
キシ基,ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基等が例
示される。経済性および良好な特性を得るためにはケイ
素原子に結合した炭化水素基の半数以上はメチル基であ
ることが好ましい。
以上述べてきたアルケニル基またはアルケニルオキシ
基含有ポリエステルポリオールとケイ素原子結合水素原
子含有オルガノポリシロキサンとをヒドロシリル化触媒
の存在下でヒドロシリル化させて目的のオルガノポリシ
ロキサン側鎖型ポリエステルポリオールが得られる。こ
のようなヒドロシリル化反応用触媒の種類は特に限定さ
れるものではなく、白金,バラジウム,ロジウム,ルテ
ニウム,コバルト,ニッケル等公知の遷移金属錯体化合
物が使用される。特に、白金触媒はその触媒効果が高
く、副反応が少ないので好適に使用される。その使用量
は、上記ポリエステルポリオールとオルガノポリシロキ
サンの合計量100万部に対して、金属量で0.1〜500部が
望ましい。ヒドロシリル化反応は、室温から150℃の任
意の温度にて達成されるが、60〜150℃の範囲で行うの
が、反応時間の短縮および副反応を抑える意味からも望
ましい。また、この反応は溶媒を使用して行なうのが望
ましい。これはアルケニル基またはアルケニルオキシ基
含有ポリエステルポリオールとケイ素原子結合水素原子
含有オルガノポリシロキサンとの相溶性が低いのが一般
的であるため、反応を効率よく行なうために有効であ
る。使用される溶媒としては、両成分を溶解するもので
あればよく、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族
炭化水素類やジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等
のエーテル類が好適に使用される。反応後、必要であれ
ばこれら希釈溶剤を留去させてから、次のシリコーン変
性ウレタンコポリマー合成反応に用いる。
本発明で、使用されるジイソシアネートとしては、ト
リレンジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシア
ネート,ジアニシジンジイソシアネート,ジフェニルエ
ーテルジイソシアネート,ピトリレンジイソシアネー
ト,ナフタレンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイ
ソシアネート,イソホロンジイソシアネート,リジンジ
イソシアネートエチルエステル,メタキシレンジイソシ
アネート,2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、ダイマー酸ジイソシアネート,イソプロピリデ
ンビス・(4−シクロヘキシルイソシアネート),シク
ロヘキシルメタンジイソシアネート,メチルシクロヘキ
サンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート二量
体等があり、トリフェニルメタントリイソシアネート,
トリイソシアネートフェニルチオフォスフェートもしく
は上記ジイソシアネート類とトリメチロールプロパン,
トリメチロールエタン等の多価アルコールとのアダクト
等の三個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げ
ることが出来る。
その他、これらのイソシアネート基含有化合物と多価
アルコールもしくは二個以上のアミノ基を有する化合物
とのポレポリマーであって二個以上のイソシアネート基
を有する化合物を使用できる。これらのイソシアネート
基をフェノール類、オキシム類等の活性水素を有する化
合物でブロックしたいわゆるブロックイソシアネートも
使用できる。
次に、上記のようなオルガノポリシロキサン側鎖型ポ
リエステルポリオールと一分子中に2個のイソシアネー
ト基を有する化合物を反応させてオルガノポリシロキサ
ン変性ポリウレタン樹脂を製造する方法について説明す
る。この方法は基本的には、主原料であるイソシアネー
ト基含有化合物とポリシロキサン側鎖型ポリエステルポ
リオールとを同時に仕込んで加熱して一段階で反応させ
る方法と、ポリシロキサン側鎖型ポリエステルポリオー
ルと過剰のイソシアネート基含有化合物とを反応させて
イソシアネート基末端封鎖プレポリマーとした後、鎖延
長剤等と反応させる方法とがある。このような公知の鎖
延長剤としては、ヘキサメチレンジアミン,ブタンジオ
ール等が例示される。このような重合反応には溶剤の使
用が望ましい。イソシアネート基に対して不活性であ
り、ウレタンコポリマーを溶解させ得る溶剤としては、
モノクロロベンゼン,ジクロロベンゼン等の芳香族ハロ
ゲン化物、メチルイソブチルアセテート,メトキシブチ
ルアセテート等のエステル類、メチルイソブチルケト
ン,シクロヘキサノン等のケトン類、ジブチルエーテ
ル,ジオキサン,アニソール,テトラヒドロフラン,メ
トキシトルエン,プロピレングリコールジメチルエーテ
ル,ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテ
ル類、トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素類等が例
示される。
これら以外にも、一般のウレタン樹脂用原料であるポ
リエステルポリオール,ポリエーテルポリオールを、ま
た、アミノ基あるいはカルビノール基を両末端に有する
官能性オルガノポリシロキサン等を、必要に応じて共重
合させてもよい。
また、イソシアネート基とそれと反応し得るカルビノ
ール基等との反応を促進させるために触媒を使用しても
よい。このような触媒としては、ジブチル錫ジウラレー
トのような有機化合物およびトリエチルアミンのような
第三級アミン等がある。
種々の反応原料を反応器に仕込む順序は特に限定され
ないが、オルガノポリシロキサン側鎖型ポリエステルポ
リオールを上記の反応溶媒存在下で、必要に応じてその
他のポリオールまたはそれに類したポリマーと共に、当
量的に過剰のイソシアネート基含有化合物と反応させる
ことが一般的に好ましい。次に、得られる混合物を一時
間あるいはそれ以上加熱し、それから鎖延長剤を加え
る。最終反応混合物は50〜150℃の温度で所望の分子量
に達するまでに必要な時間加熱して本発明のオルガノポ
リシロキサン変性ポリウレタン樹脂が得られる。
[実施例] 以下、実施例,参考例,比較例にて、本発明をより詳
細に説明する。例中「部」とあるのは「重量部」のこと
である。
参考例1 (1)アルケニルオキシ基含有ポリエステルポリオール
の合成 撹拌装置、温度計、留出管付き還流冷却管、窒素導入
管を取り付けた1リットル四つ口フラスコに、アジピン
酸376.5部、ネオペンチルグリコール260.8部、グリセリ
ンモノアリルエーテル7.2部、更に約20ミリリットルの
キシレンを仕込んだ。徐々に220〜230℃まで消温し、留
出する水を系外に除きながら縮合反応を行った。定期的
に酸価を測定し、酸価が5以下になったところで反応を
停止した。減圧下で低沸点物を留去させて、アリルオキ
シ基含有ポリエステルポリオールを得た。このポリエス
テルポリオールのカルビノール基含有率は、2.0重量%
であった。
(2)ポリシロキサン側鎖型ポリエステルポリオールI
の合成 撹拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管を取り付
けた1リットル四つ口フラスコに、上記(1)で得られ
たアリルオキシ基含有ポリエステルオールを100部、 で示される分子量1821のジメチルポリシロキサン100
部、テトラヒドロフラン500部とを仕込み、還流温度ま
で昇温した。還流状態になった時、塩化白金酸と1,3−
ジビニルテトラメチルジシロキサンより調整した白金ビ
ニルシロキサン錯体(白金濃度4.4重量%)を0.02ミリ
リットル仕込んだ。還流状態で反応を続け、定期的に取
ったサンプルのテトラヒドロフランを揮発させて、残存
ポリマーの透明性を調べた。約30分間反応後、透明性が
得られたので更に2時間反応を続けた後、溶剤を留去さ
せて、ペースト状のポリシロキサン側鎖型ポリエステル
ポリオールI198部を得た。得られたポリシロキサン側鎖
型ポリエステルポリオールIのカルビノール基含有量
は、1.0重量%であった。この測定値は、理論値に一致
していた。
(3)ポリシロキサン側鎖型ポリエステルポリオールII
の合成 撹拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管を取り付
けた2リットル四つ口フラスコに、上記(1)で得られ
たアリルオキシ基含有ポリエステルポリオールを40部、 で示される分子量6250のジメチルポリシロキサン160
部、テトラヒドロフラン800部とを仕込み、還流温度ま
で昇温した。還流状態になった時、塩化白金酸と1,3−
ジビニルテトラメチルジシロキサンより調製した白金ビ
ニルシロキサン錯体(白金濃度4.4重量%)を0.04ミリ
リットル仕込んだ。還流状態で反応を続け、定期的に取
ったサンプルのテトラヒドロフランを揮発させて、存在
ポリマーの透明性を調べた。約30分間反応後、透明性が
得られたので更に2時間反応を続けた後、溶剤を留去さ
せて、ペースト状のポリシロキサン側鎖型ポリエステル
ポリオールII198部を得た。得られたポリシロキサン側
鎖型ポリエステルポリオールIIのカルビノール基含有量
は、0.4重量%であった。この測定値は、理論値と一致
していた。
比較例1 撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付
けた1リットル四つ口フラスコにジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート37.3部を秤取した。トルエン174
部、そして、 で表される分子量2826のアミノ変性ジメチルポリシロキ
サン38.9部、分子量1400のポリテトラメチレンオキサイ
ドグリコールのトルエン60%溶液76.4部、更にトルエン
325.2部を、上記フラスコに仕込んだ。反応触媒とし
て、10%ジブチル錫ジラウレート溶液0.018ミリリット
ルを加え、90℃まで昇温し、この温度で1〜2時間反応
させた。次いで、ブタンジオール8.3部を徐々に加えた
後、100℃まで昇温しこの温度で10時間反応させた。反
応後、フラスコからウレタンコポリマーAの溶液をガラ
ス皿に取り出し、減圧下でトルエンを留去した。得られ
た熱可塑性のウレタンコポリマーAを180℃、加圧下で
成形し、10平方センチメーターのシートを作成した。
比較例2 撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付
けた1リットル四つ口フラスコにジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート33.3部を秤取した。トルエン162.9
部、そして、 で表される分子量1909のアミノ変性ジメチルポリシロキ
サン36.1部、分子量2700のポリテトラメチレンオキサイ
ドグリコールのトルエン60%溶液13.5部、分子量1850の
ポリエチレンオキサイドグリコールのトルエン50%溶液
72.2部、更にトルエン277部を、上記フラスコに仕込ん
だ。反応触媒として、10%ジブチル錫ジラウレート溶液
0.01ミリリットルを加え、90℃まで昇温し、この温度で
1〜2時間反応させた。次いで、ブタンジオール7.45部
を徐々に加えた後、100℃まで昇温しこの温度で8時間
反応させた。反応後、フラスコからウレタンコポリマー
Bの溶液をガラス皿に取り出し、減圧下でトルエンを留
去した。得られた熱可塑性のウレタンコポリマーBを18
0℃、加圧下で成形し、10平方センチメーターのシート
を作成した。
実施例1 撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付
けた1リットル四つ口フラスコにジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート18.1部を秤取した。トルエン105部
と参考例1で得られたポリシロキサン側鎖型ポリエステ
ルポリオールII100部とからなる溶液を、滴下ロートか
ら仕込んだ。更に、10%ジブチル錫ジラウレートのトル
エン溶液0.1部とトルエン300部とを、仕込んだ後、還流
温度まで昇温した。還流状態で約2時間反応させた。そ
の後、ブタンジオール48部を徐々に仕込んだ。定期的に
取ったサンプルの赤外分光分析結果から、イソシアネー
ト基に起因する特性吸収が観察されなくなるまで、還流
状態で反応を続行した。反応後、フラスコからウレタン
コポリマーIIIの溶液をガラス皿に取り出し、減圧下で
トルエンを留去した。得られた熱可塑性のウレタンコポ
リマーIIIを150℃、加圧下で成形し、10平方センチメー
ターのシートを作成した。また、ゲルパーミェイション
クロマトグラフィー(以降GPCと省略)によって測定し
た分子量は、以下の通りであった。
数平均分子量 2.1×104 重量平均分子量 28.1×104 実施例2 撹拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ロートを取り付
けた0.5リットル四つ口フラスコにジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート12.1部を秤取した。トルエン51.6
部と参考例1で得られたポリシロキサン側鎖型ポリエス
テルポリオールI51.6部とからなる溶液を、滴下ロート
から仕込んだ。更に、10%ジブチル錫ジラウレートのト
ルエン溶液0.05部とトルエン50部とを、仕込んだ後、還
流温度まで昇温した。還流状態で約2時間反応させた。
その後、ブタジオール2.7部を徐々に仕込んだ。定期的
に取ったサンプルの赤外分光分析結果から、イソシアネ
ート基に起因する特性吸収が観察されなくなるまで、還
流状態で反応を続行した。反応後、フラスコからウレタ
ンコポリマーIVの溶液をガラス皿に取り出し、減圧下で
トルエンを留去した。得られた熱可塑性のウレタンコポ
リマーIVを150℃、加圧下で成形し、10平方センチメー
ターのシートを作成した。また、GPCによって測定した
分子量は、以下の通りであった。
数平均分子量 2.2×104 重量平均分子量 6.6×104 実施例3 実施例1および実施例2で得られたウレタンコポリマ
ーIIIおよびIVのシートを、アルミ製の型枠に固定し
て、千葉県市原市千種海岸の海水中に2ケ月間浸漬し
た。同時に比較のため、比較例1および2で得られたウ
レタンコポリマーAおよびBのシートを同じように試験
した。2ケ月浸漬後、水中より取り出したテストシート
への海生物の付着状況を観察し、その評価結果を後記す
る第1表に示した。これより、オルガノポリシロキサン
側鎖型ポリエステルポリオールを用いたウレタンコポリ
マーIII及びIVのシートには、殆ど海生物が付着してお
らず優れた防汚性を示した。オルガノポリシロキサンが
ブロックで共重合しているウレタンコポリマーA及びB
のシート表面には、ほやや貝等の海生物がシート全面に
わたって無数に付着していた。
[発明の効果] 本発明のオルガノポリシロキサン変性ポリウレタン樹
脂は、一分子中に少なくとも2個の水酸基を含有し、オ
ルガノポリシロキサン鎖がアルキレン基またはアルキレ
ンオキシ基を介して結合してなるオルガノポリシロキサ
ン側鎖型ポリエステルポリオールと一分子中に少なくと
も2個のイソシアネート基を含有する化合物とを反応さ
せているので、海生物付着防止性に優れ、例えば、防汚
塗料のバインダーとして有効である。また本発明の製造
方法はこのようなオルガノポリシロキサン変性ポリウレ
タン樹脂を容易に製造できるという特徴を有する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一分子中に少なくとも2個の水酸基を含有
    し、オルガノポリシロキサン鎖がアルキレン基またはア
    ルキレンオキシ基を介して結合してなるオルガノポリシ
    ロキサン側鎖型ポリエステルポリオールと、一分子中に
    少なくとも2個のイソシアネート基を含有する化合物と
    を反応させて成ることを特徴とする、オルガノポリシロ
    キサン変性ポリウレタン樹脂。
  2. 【請求項2】(A)一分子中に、少なくとも2個の水酸
    基と少なくとも1個のアルケニル基またはアルケニルオ
    キシ基を含有する平均分子量300〜15000ポリエステルポ
    リオールと、一分子あたり1個のケイ素原子結合水素原
    子を含有するオルガノポリシロキサンとを、ヒドロシリ
    ル化反応用触媒の存在下で反応させて成る、オルガノポ
    リシロキサン鎖がアルキレン基またはアルキレンオキシ
    基を介して結合してなるオルガノポリシロキサン側鎖型
    ポリエステルポリオールと、(B)一分子中に少なくと
    も2個のイソシアネート基を含有する化合物とを室温以
    上の温度で反応させることを特徴とする、特許請求の範
    囲第1項記載のオルガノポリシロキサン変性ポリウレタ
    ン樹脂の製造方法。
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