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JP3076154B2 - (3r,5s)−3,5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

(3r,5s)−3,5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体及びその製造方法

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JP3076154B2
JP3076154B2 JP04216070A JP21607092A JP3076154B2 JP 3076154 B2 JP3076154 B2 JP 3076154B2 JP 04216070 A JP04216070 A JP 04216070A JP 21607092 A JP21607092 A JP 21607092A JP 3076154 B2 JP3076154 B2 JP 3076154B2
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JP
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ethyl
tert
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和俊 桜井
茂 三橋
秀徳 雲林
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Takasago International Corp
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Takasago International Corp
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    • C07D319/00Heterocyclic compounds containing six-membered rings having two oxygen atoms as the only ring hetero atoms
    • C07D319/041,3-Dioxanes; Hydrogenated 1,3-dioxanes
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品の合成原料の中
間体として有用な新規化合物(3R,5S)−3,5,
6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】下記一
般式(1’)
【0003】
【化5】
【0004】(式中、R1'及びR4 は水素原子又は水酸
基の保護基を示し、R2'はエステル形成基を示す)で表
される、特定の立体配置を有する光学活性な化合物であ
る(3R,5S)−3,5,6−トリヒドロキシヘキサ
ン酸誘導体のうち幾つかは既に知られた化合物であり、
抗高脂血症剤として注目されているコンパクチン、メビ
ノリン等の化学構造のラクトン部分に容易に変換できる
ことが報告されている(K.Prasadら;Tetrahedron Let
t., Vol.25, No.32, pp.3391-3394 (1984) )。このラ
クトン部分は、高脂血症の原因であるコレステロール濃
度の上昇に関与する酵素の一つである3−ヒドロキシ−
3−メチルグルタリル補酵素A(以下、「HMG−Co
A」と略記する)還元酵素の阻害剤の活性部分であると
考えられており、このラクトン部分を有する多くの類縁
体が合成されている(J.R.Prous 編;Drugs of theFutu
re, Vol.12, No.5, pp.437-442 (1987))。
【0005】一般式(1’)で表される(3R,5S)
−3,5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体を合成
する方法は多数報告されている。これらのうち、2ヶ所
の不斉炭素原子を原料化合物に由来する方法としては、
天然の光学活性化合物であるD−グルコースから合成す
る方法(T.Lee ;Tetrahedron Lett., Vol.26, No.41,
pp.4995-4996 (1985) )があるが、この方法では目的化
合物までの反応工程が長いという欠点がある。また、2
ヶ所の水酸基を一度にsyn−ジオール体へ導く方法と
しては、アセト酢酸誘導体にアミド化合物を反応させて
3,5−ジオキソヘキサン酸誘導体を得、これを水素化
ホウ素ナトリウムとアルコキシジアルキルボランを用い
て−70〜−78℃で還元する方法(特開平1−165
547号公報、T.Hanamotoら;Tetrahedron Lett., Vo
l.29, No.49, pp.6467-6470 (1988) )があるが、この
方法ではジアステレオ面が決定されるだけで目的とする
光学活性体を得ることはできない。最も広く利用されて
いる方法は、2ヶ所の不斉炭素原子を一つずつ構築する
方法であり、以下の方法(イ)〜(ト)が報告されてい
る。
【0006】(イ)天然物であるL−リンゴ酸から合成
される下記一般式(5)
【0007】
【化6】
【0008】(式中、R1'及びR4 は前記と同じ意味を
有し、R5 は水素原子又はアルキル基を示す)で表され
る(S)−3,4−ジヒドロキシブタン酸エステル誘導
体から、下記一般式(2’)
【0009】
【化7】
【0010】(式中、R1’、R2’及びRは前記と
同じ意味を有する)で表される(S)−5,6−ジヒド
ロキシ−3−オキソヘキサン酸誘導体を得、これを水素
化ホウ素ナトリウムとトリアルキルボラン又はアルコキ
シジアルキルボランのような還元剤を用いて−70℃程
度の低温条件でジアステレオ選択的に還元する方法(特
開昭63−22056号公報、特開平1−199945
号公報、G.Wessら;Tetrahedron L
ett.,Vol.31,No.18,pp.2545
−2548(1990)、K.Prasadら;Tet
rahedron:Asymmetry,Vol.1,
No.5,pp.307−310(1990))。
【0011】(ロ)光学活性なブチロニトリル誘導体と
α−ハロ酢酸エステルとを亜鉛の存在下に反応させ化合
物(2’)を得、これを(イ)と同様にジアステレオ選
択的に還元する方法(特開平2−262537号公
報)。
【0012】(ハ)光学活性3−ヒドロキシプロピオン
アルデヒド誘導体から化合物(2’)を合成し、これを
(イ)と同様にジアステレオ選択的に還元する方法(M.
Fukuiら;Chem.Pharm.Bull., Vol.38, No.10, pp.2890-
2892 (1990))。
【0013】(ニ)3−(3−メトキシフェニル)−2
−プロペン−1−オールから化合物(2’)を合成し、
これを(イ)と同様にジアステレオ選択的に還元する方
法(D.A.Evans ら;J.Org.Chem., Vol.56, No.2, pp.74
1-750 (1991))。
【0014】尚、(イ)〜(ニ)に共通する化合物
(2’)のジアステレオ選択的還元反応は、K.Che
nら;Tetrahedron Lett.,Vol.
28,No.2,pp.155−158(1987)、
K.Chenら;Chemistry Lett.,p
p.1923−1926(1987)等にも報告されて
いる。また、F.G.Kathawalaら;Hel
v.Chim.Acta,Vol.69,pp.803
−805(1986)では、化合物(2’)のジアステ
レオ選択的還元反応に水素化ホウ素ナトリウムとトリア
ルキルボランを用いる場合、塩化第一鉄を用いる場合、
水素化ホウ素亜鉛を用いる場合等において、得られる化
合物(1’)のジアステレオ選択率を比較している。さ
らに、化合物(1’)の類似化合物である、一般式
(1’)において6位の水酸基の代わりにアリル基を有
する化合物やシアノ基を有する化合物においても、例え
ば不斉アルドール縮合によって得た基質に対してこのジ
アステレオ選択的還元反応を行い、場合によっては次い
で光学分割をすることによって、対応する光学活性3,
5−ジヒドロキシヘキサン酸誘導体を得ることができる
ことが報告されている(J.E.Lynchら;Tet
rahedron Lett,Vol.28,No.1
3,pp.1385−1388(1987)、N.Ba
lasubramanianら;J.Med.Che
m.,Vol.32,No.9,pp.2038−20
41(1989)、S.Y.Sitら;J.Med.C
hem.,Vol.33,No11,pp.2982−
2999(1990)、特表平3−502798号公
報)。
【0015】(ホ)アセト酢酸エステルのジアニオンに
アルデヒドを反応させて化合物(2’)を得、これを無
水エタノール中水素化ホウ素ナトリウムを用いて氷冷下
で反応させて還元する方法(特開昭55−59140号
公報)。
【0016】(ヘ)光学活性1−ベンジルオキシ−2,
3−エポキシ−4−ヒドロキシブタンを開環し、水酸基
に保護基を導入後酸化して化合物(5)を得、ブロモ酢
酸エチル及び亜鉛を用いてレフォルマトスキー反応を行
い合成する方法(K.Prasadら;Tetrahedron Lett., Vo
l.25, No.32, pp.3391-3394 (1984) )。
【0017】(ト)(3R,5R)−5−アミノ−3−
ヒドロキシ−ヘキサン酸誘導体を特定のシアン化物(Na
2Fe(CN)5NO)と炭酸カリウムを用いて反応せしめる方法
(G.J.McGarveyら;J.Org.Chem., Vol.51, No.20, pp.3
913-3915, (1986))。
【0018】以上の方法はそれぞれ次のような欠点を有
する。(ホ)の方法はラセミ体を得る方法であり、目的
とする光学活性体を得ることができない。(ヘ)の方法
は原料化合物である光学活性なエポキシドが入手困難で
あり、また、レフォルマトスキー反応では目的とするs
yn−ジオール体の選択性がない。(ト)の方法は原料
化合物の入手が困難であり、また、目的化合物の収率が
低い。
【0019】最も多く報告されている(イ)〜(ニ)に
利用されているジアステレオ選択的還元反応は、1ヶ所
の不斉点を利用してもう1ヶ所の不斉点を誘起させる方
法であり、(ホ)〜(ト)の方法に比べかなり高いsy
n−ジオール体選択性をもって目的化合物を得ることが
できるが、低温条件で反応を行わなければならないため
工業的規模で合成する場合には特殊な設備を必要とし、
また、高価な試薬も必要である。更に、(イ)の方法で
は原料化合物であるL−リンゴ酸が非常に高価である。
【0020】これらの欠点を改良する方法として、安価
に合成できる4−tert−ブトキシアセト酢酸エステ
ルを原料化合物とし、これをルテニウム−光学活性ホス
フィン錯体を触媒として不斉水素化を行い(S)−4−
tert−ブトキシ−3−ヒドロキシ酪酸エステルと
し、これに酢酸エステルのリチウムエノラートを反応さ
せて得られる(S)−6−tert−ブトキシ−5−ヒ
ドロキシ−3−オキソヘキサン酸エステルをルテニウム
−光学活性ホスフィン錯体を触媒として緩和な温度条件
でジアステレオ選択的不斉水素化して目的とする化合物
(1’)を得る方法が開示されている(特開平2−28
9537号公報)。
【0021】しかし、この方法は、原料化合物及び反応
条件の点では前記の欠点を克服することができるが、得
られる化合物(1’)の3位の水酸基のジアステレオ選
択性が60%de〜82%deとあまり高いものではな
い点において充分に満足のいく方法ではなかった。
【0022】尚、前記した方法のうち、ジアステレオ選
択的反応を行う方法では、化合物(2’)のRはいず
れも水素原子である。従って、得られる化合物(1’)
のRもまた水素原子である。その他の方法では、R
が水素原子又は水酸基の保護基である化合物(1’)が
合成されているが、具体的に開示されている水酸基の保
護基は、大変高価な試薬や過酷な反応条件を必要とする
等の理由から脱保護の困難な3置換シリル基及びフェニ
ルアミノカルボニル基のみである。
【0023】そこで、穏やかな反応条件下で、簡便に効
率よく5位水酸基の脱保護が容易な(3R,5S)−
3,5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体を得る方
法の開発が望まれていた。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み研究を重ねた結果、(S)−5,6−ジヒドロ
キシ−3−オキソヘキサン酸誘導体の5位の水酸基をテ
トラヒドロピラニル基で保護した新規化合物を得、これ
を特定のルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒と
してエナンチオ選択的に不斉水素化すれば、医薬の合成
原料の中間体として有用な(3R,5S)−3,5,6
−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体の5位の水酸基がテ
トラヒドロピラニル基で保護された新規化合物を安価
に、且つ、穏やかな反応条件で、簡便に効率よく、しか
も、syn−ジオール体:anti−ジオール体の生成
比が99.4:0.6という高い立体選択性をもって得
ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0025】すなわち、本発明は、下記一般式(1)
【0026】
【化8】
【0027】(式中、R1 はtert−ブチル基又はベ
ンジル基を示し、R2 は低級アルキル基を示し、THP
はテトラヒドロピラニル基を示す)で表される(3R,
5S)−3,5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体
を提供するものである。
【0028】さらに、本発明は、下記一般式(2)
【0029】
【化9】
【0030】(式中、R1 、R2 及びTHPは前記と同
じ意味を有する)で表される(S)−5,6−ジヒドロ
キシ−3−オキソヘキサン酸誘導体を下記一般式(3)
【0031】
【化10】
【0032】で表されるルテニウム−光学活性ホスフィ
ン錯体を触媒として不斉水素化することを特徴とする一
般式(1)で表される(3R,5S)−3,5,6−ト
リヒドロキシヘキサン酸誘導体の製造方法を提供するも
のである。
【0033】本明細書において「低級アルキル基」と
は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基をい
う。
【0034】本発明に用いられる(S)−5,6−ジヒ
ドロキシ−3−オキソヘキサン酸誘導体(2)は、5位
の水酸基がテトラヒドロピラニル基で保護されているこ
とを主要な特徴とする新規化合物であり、従来の3置換
シリル基又はフェニルアミノカルボニル基で保護した化
合物に比べ安価で、又、本発明方法により(3R,5
S)−3,5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体
(1)を製造する場合にそのsyn−ジオール体選択性
に優れている。更に、このテトラヒドロピラニル基を脱
保護する必要がある場合には、酸性条件下で容易に脱保
護し、元のアルコールへ変換することができる。
【0035】この化合物(2)は、例えば、特開平2−
289537号公報記載の方法を応用した以下に示す反
応式に従って合成すれば安価かつ容易に高い光学純度で
得ることができる。
【0036】
【化11】
【0037】(式中、R1 、R2 及びTHPは前記と同
じ意味を有し、R6 は低級アルキル基を示す)
【0038】すなわち、(A)市場で容易に入手できる
4−クロロアセト酢酸エステル(6)にD.Seebach ら;
Synthesis, pp.37-40 (1986)に記載の方法でアルコール
(7)を反応させて化合物(8)を得、(B)次いで、
特開昭62−265293号公報に開示されている方法
で得られるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体Ru[(R)
-R3-BINAP](O2CR7)2(R3 −BINAPは前記と同じ意
味を有し、R7 は低級アルキル基又はトリフロロメチル
基を示す)又は本発明で用いるルテニウム−光学活性ホ
スフィン錯体(3)を触媒として、特開昭63−310
847号公報に開示されている方法を応用して不斉水素
化を行い、(S)−3,4−ジヒドロキシブタン酸エス
テル誘導体(9)とし、
【0039】(C)この化合物(9)に公知の方法でジ
ヒドロピランを反応させ、3位の水酸基をテトラヒドロ
ピラニル基で保護した化合物(10)を得、(D)この
化合物(10)に特開平2−289537号公報記載の
方法で酢酸エステルのリチウムエノラートを反応させる
か、又は、化合物(10)を水酸化ナトリウムのような
アルカリで加水分解した後、特表平3−502798号
公報記載の方法を応用してマロン酸tert−ブチルカ
リウム、マロン酸エチルカリウムのようなマロン酸誘導
体を反応させて炭素数を2個増加せしめることによっ
て、化合物(2)を得る。
【0040】本発明に用いられるルテニウム−ホスフィ
ン錯体(3)は、特開昭61−63690号公報及びT.
Ikariya ら;J.Chem.Soc.,Chem.Commun., pp.922-924
(1985) に記載の方法により得ることができる。
【0041】すなわち、ハロゲン化ルテニウム(但し、
ハロゲンは塩素原子又は臭素原子)とシクロオクタ−
1,5−ジエン(以下、「COD」と略記する)をエタ
ノール溶媒中で反応させることにより得られる[RuX2(CO
D)]m(mは自然数を意味する)と(R)−R3 −BIN
APを、トリエチルアミンの存在下、トルエン又はエタ
ノール等の溶媒中で加熱反応させることにより製造され
る。
【0042】ルテニウム−ホスフィン錯体(3)の具体
例としては次のものが挙げられる。 Ru2Cl4[(R)-BINAP]2N(CH2CH3)3 (BINAPは2,2′−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)−1,1′−ビナフチルをいう。以下同様) Ru2Cl4[(R)-Tol-BINAP]2N(CH2CH3)3 (Tol−BINAPは2,2′−ビス(ジ−p−トリ
ルホスフィノ)−1,1′−ビナフチルをいう。以下同
様) Ru2Cl4[(R)-t-Bu-BINAP]2N(CH2CH3)3 (t−Bu−BINAPは2,2′−ビス(ジ−p−t
ert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,1′−ビナ
フチルをいう。以下同様) Ru2Br4[(R)-BINAP]2N(CH2CH3)3 Ru2Br4[(R)-Tol-BINAP]2N(CH2CH3)3 Ru2Br4[(R)-t-Bu-BINAP]2N(CH2CH3)3
【0043】本発明の製造方法は以下のごとくである。
すなわち、(S)−5,6−ジヒドロキシ−3−オキソ
ヘキサン酸誘導体(2)をメタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、tert−ブチルアルコール等のアル
コール溶媒に溶かしておき、この中にルテニウム−ホス
フィン錯体(3)を化合物(2)1モルに対して0.0
001〜0.002モル、好ましくは0.0001〜
0.001モル添加し、水素圧10〜120kg/cm2
好ましくは20〜50kg/cm2 、反応温度25〜100
℃、好ましくは30〜50℃で水素化を行い、溶媒を留
去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
で精製して、目的とする(3R,5S)−3,5,6−
トリヒドロキシヘキサン酸誘導体(1)を得る。
【0044】こうして得られる(3R,5S)−3,
5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体(1)は、5
位の水酸基がテトラヒドロピラニル基で保護された新規
化合物である。しかも該化合物(1)は前記したように
安価かつ、簡便に、さらに本発明の方法により高いsy
n−ジオール体選択性をもって得ることができる。
【0045】また、この化合物を原料として医薬品の合
成を行う場合にテトラヒドロピラニル基を脱保護する必
要があるときには容易に脱保護することができるという
点で優れている。本発明方法においても、精製の過程で
5位の水酸基が脱保護された化合物が副生する場合があ
るが、上記syn−ジオール体選択性に何ら影響を与え
るものではない。
【0046】また、例えば、特開平1−199945号
公報に記載されている方法に従って以下に示す反応を行
い3位及び5位の水酸基を同時に保護したイソプロピリ
デンアセタール(12)を得、これをHMG−CoA還
元酵素の阻害剤の活性部分の合成に利用することができ
るが、この場合、化合物(1)のテトラヒドロピラニル
基は外すことなく反応に用いることができ、また、化合
物(1)と同時に5位の水酸基が脱保護された化合物が
副生した場合は、これらの混合物のまま反応に用いるこ
とができる。
【0047】
【化12】
【0048】
【実施例】次に実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0049】尚、実施例中の分析は、次の分析機器を用
いて行った。 分子構造;赤外吸収スペクトル(IR):IR-810型(日本分
光工業株式会社製) 核磁気共鳴スペクトル(NMR) :AM-400型(400MHz)(ブル
ッカー社製) 内部標準物質:テトラメチルシラン 旋光度:DIP-370 型(日本分光工業株式会社製) 光学純度;高速液体クロマトグラフィー:日立液体クロ
マトグラフィー L-6000 (株式会社日立製作所製) カラム:Cosmosil 5SL, φ4.6mm ×250mm(ナカライテ
スク株式会社製) 展開溶媒:エーテル:ヘキサン=1:9(1ml/分) 検出器:UV検出器 L-4000(UV-254nm)(株式会社日立
製作所製) ガスクロマトグラフィー:5890A (ヒューレット パッ
カード社製) カラム:Neutra Bond 1 (ジーエルサイエンス株式会社
製) 温度:100 〜250 ℃(10℃/分で昇温)
【0050】参考例14−ベンジルオキシアセト酢酸エチル(8)の製造 500ml 容量の反応フラスコに60% 水素化ナトリウム8.0g
(0.2mol)及びテトラヒドロフラン150ml を入れ、窒素雰
囲気下ベンジルアルコール(7)10.8g(0.1mol) を40〜
50℃で滴下した。滴下終了後1時間攪拌し、これに4−
クロロアセト酢酸エチル(6)16.4g(0.1mol) を滴下し
室温で5時間反応させた。得られた反応溶液を50mlの氷
水中に加え、トルエン200ml を加えて抽出した。得られ
た有機層を乾燥した後、トルエン及びテトラヒドロフラ
ンを留去し、次いで蒸留して無色透明の液体として4−
ベンジルオキシアセト酢酸エチル(8)14.16g(0.06mo
l,収率60%)を得た。
【0051】沸点:135℃/1mmHg IR(neat)cm−l :2975,1740,1
730,1660,1500 H−NMR(CDCl)δppm :1.24(t
3H,J=7.2H),3.55(s,2H),4.
16(s2H),4.20(q,2H,J=7.2H
z),4.55(s2H),7.33(aromati
c,5H
【0052】参考例2(S)−4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ酪酸エチ
ル(9)の製造 あらかじめ窒素置換した100ml 容量のオートクレーブ
に、参考例1で得た4−ベンジルオキシアセト酢酸エチ
ル(8)4.72g(20.0mmol) を入れ、ここへRu2Cl4[(R)-T
ol-BINAP]2N(CH2CH3)335mg(0.02mmol)を塩化メチレン0.
1ml に溶解した溶液及びエタノール3.7ml を加え、水素
圧10〜11kg/cm2 、反応温度100 ℃で2時間攪拌して不
斉水素化反応を行った。反応終了後溶媒を留去し、残渣
を蒸留して無色透明の液体として(S)−4−ベンジル
オキシ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(9)4.24g(17.8mm
ol, 収率89%)を得た。
【0053】沸点:124℃/0.3mmHg [α] 25(c=1.1,CHCl):−11.5
° IR(neat)cm−1:3450,2975,17
40,1500 H−NMR(CDCl)δppm:1.24(t3
H,J=7.1H),2.55(d,2H,J=6.
3H),3.50(m, 2H),4.17(q2
H,J=7.1H),4.24(m,1H),4.6
8(s,2H),7.32(aromatic,5H
【0054】得られた(S)−4−ベンジルオキシ−3
−ヒドロキシ酪酸エチル(9)を、塩化メチレン中、
N,N′ージシクロヘキシルカルボジイミド及び触媒量
の4−ジメチルアミノピリジンの存在下で(R)−
(+)−α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニ
ル酢酸(以下、「MTPA」と略記する)と反応させて
MTPAエステル体を合成し、高速液体クロマトグラフ
ィーで分析を行った結果、このものは(S)−4−ベン
ジルオキシ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(9)99.1
5%と(R)−4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ酪
酸エチル0.85%の混合物であり、(S)−4−ベン
ジルオキシ−3−ヒドロキシ酪酸エチル(9)の光学純
度は98.3%e.e.であった。
【0055】参考例3(S)−4−ベンジルオキシ−3−テトラヒドロピラニ
ルオキシ酪酸エチル(10)の製造 参考例2で得た(S)−4−ベンジルオキシ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチル(9)4.0g(16.7mmol)にトルエン20ml
を加え、更にp−トルエンスルホン酸一水和物5mg(26.3
mmol) を加えた後、3,4−ジヒドロピラン1.6g(19.0m
mol)を室温で滴下し、同温度で2時間反応させた。得ら
れた反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液5ml で2回洗
浄し、乾燥した。溶媒を留去した後、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル
=9:1)により精製して無色透明の液体として(S)
−4−ベンジルオキシ−3−テトラヒドロピラニルオキ
シ酪酸エチル(10)4.83g(15.0mol,収率90%)を得た。
【0056】 IR(neat)cm-1:2940, 1735, 1500, 1030, 740, 7001 H-NMR(CDCl3)δppm :1.24(dt,3H,J=2.1Hz,7.2Hz), 1.
43 〜1.84(m,6H),2.62(m,2H), 3.46(m,1H), 3.54(d,1H,
J=5.0Hz),3.84(m,1H), 4.10(dq,2H,J=2.1Hz,7.2Hz),4.3
0(m,1H), 4.54(d,2H,J=2.1Hz), 4.78(m,1H),7.32(aroma
tic,5H)
【0057】参考例4(S)−6−ベンジルオキシ−5−テトラヒドロピラニ
ルオキシ−3−オキソヘキサン酸エチル(2)の製造 参考例3で得た(S)−4−ベンジルオキシ−3−テト
ラヒドロピラニルオキシ酪酸エチル(10)4.8g(14.9m
mol)及び水酸化ナトリウム0.656g(16.4mmol)をメタノー
ル20mlに溶解し2時間還流した。メタノールを留去した
後、氷水20mlを加えトルエン30mlで抽出した。水層を
得、これを冷却しながら1N硫酸をpH6 になるまで加えた
後、酢酸エチル50mlで抽出した。得られた有機層を乾燥
した後濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=95:5)により精
製して淡黄色透明の液体として(S)−4−ベンジルオ
キシ−3−テトラヒドロピラニルオキシ酪酸4.12g(14.0
mmol, 収率94%)を得た。
【0058】 IR(neat)cm-1:3400〜3500, 2950, 1715, 1600
【0059】次いで、得られた(S)−4−ベンジルオ
キシ−3−テトラヒドロピラニルオキシ酪酸4.0g
(13.6mmol)をテトラヒドロフラン30mlに
溶解し、1,1′−カルボニルジイミダゾール2.75
g(16.9mmol)を−l5℃で加えた。これを1
時間攪拌し室温に戻した後、塩化マグネシウム2.80
8(29mmol)、トリエチルアミン2.9g(29
mmol)及びマロン酸エチルカリウム塩4.22g
(25mmol)をテトラヒドロフラン30mlに懸濁
させた液中に加え、室温で6時間反応させた。得られた
反応溶液を濃縮した後、氷水20mlを加えて冷しなが
ら1N硫酸をpH6になるまで加えた後、酢酸エチル5
0mlで抽出した。得られた有機層を乾燥した後濃縮し
て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;
ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製して無色透
明の液体として(S)−6−ベンジルオキシ−5−テト
ラヒドロピラニルオキシ−3−オキソヘキサン酸エチル
(2)3.808(10.43mmol,(S)−4−
ベンジルオキシ−3−テトラヒドロピラニルオキシ酪酸
エチル(10)からの収率70%を得た。
【0060】 IR(neat)cm-1:2950, 1740〜1720, 1650, 1500, 11501 H-NMR(CDCl3)δppm :1.26(t,3H,J=7.2Hz), 1.50〜1.8
0(br,6H),2.80(m,2H), 3.45 〜3.5 (m,4H),4.26(q,2H,J
=7.2Hz), 4.52(s,2H),7.34(aromatic,5H)
【0061】参考例5(S)−6−ベンジルオキシ−5−テトラヒドロピラニ
ルオキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル
(2)の製造 200ml 容量の反応フラスコにテトラヒドロフラン40mlを
入れ、氷水中で冷却して0℃とし、これにリチウムジイ
ソプロピルアミド1.6Mのn−ヘキサン溶液60mlを加え、
更に、酢酸tert−ブチル11.06g(95.4mmol)をテトラ
ヒドロフラン10mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了
後30分間攪拌を続け、反応溶液を-20 ℃に冷却し、これ
に、参考例4で得た(S)−6−ベンジルオキシ−5−
テトラヒドロピラニルオキシ−3−オキソヘキサン酸エ
チル(2)12.3g(33.8mmol) をテトラヒドロフラン溶液
20mlに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後1時間攪拌
を続け、得られた反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶
液100ml 中に加え酢酸エチルで抽出した。得られた有機
層を乾燥した後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル
=95:5)により精製して淡黄色透明の液体として
(S)−6−ベンジルオキシ−5−テトラヒドロピラニ
ルオキシ−3−オキソヘキサン酸tert−ブチル
(2)9.46g(24.1mmol, 収率71%)を得た。
【0062】 IR(neat)cm-1:2950, 1740〜1720, 1650, 1500, 11501 H-NMR(CDCl3)δppm :1.47(9H), 1.50〜1.80(6H), 2.8
0(m,2H),3.45〜3.5 (m,4H), 4.52(s,2H),7.34(aromati
c,5H)
【0063】実施例1(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ
−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸エチル
(1)の製造 参考例4で得た(S)−6−ベンジルオキシ−5−テト
ラヒドロピラニルオキシ−3−オキソヘキサン酸エチル
(2)1.0g(2.75mmol)をエタノール2.0ml に溶解し、あ
らかじめ窒素置換した100ml 容量のオートクレーブに入
れた。これにRu 2Cl4[(R)-Tol-BINAP]2N(CH2CH3)3(3)
2.3mg(0.0013mmol) を塩化メチレン0.1ml に溶解した溶
液を加え、水素圧30kg/cm2 、反応温度35℃で18時間攪
拌して不斉水素化反応を行った。反応終了後溶媒を回収
した後残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展
開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により触
媒を除去すると同時に精製して無色透明の液体として
(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ
−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸エチル
(1)320mg(0.87mmol, 収率32%)を得た。
【0064】IR(neat)cm-1:3450, 2940, 1730, 1600,
1100, 740, 7001 H-NMR(CDCl3)δppm :1.28(t,3H,J=7.2Hz), 1.60〜1.8
0(m,6H),2.40(m,2H), 3.40(t,2H,J=5.6Hz), 3.50(m,2
H),3.65(m,1H), 4.18(m,2H), 4.25(q,2H,J=7.2Hz),4.54
(s,2H), 7.32(aromatic,5H)
【0065】得られた(3R,5S)−6−ベンジルオ
キシ−3−ヒドロキシ−5−テトラヒドロピラニルオキ
シヘキサン酸エチル(1)を参考例2と同様にMTPA
エステル体とし、高速液体クロマトグラフィーで分析を
行った結果、このものの光学純度は99%e.e. 以上であっ
た。尚、(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒ
ドロキシ−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸
エチル(1)の精製中に5位の水酸基の保護基のテトラ
ヒドロピラニル基が外れた(3R,5S)−6−ベンジ
ルオキシ−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸エチルの白
色結晶209mg(0.75mmol, 収率27% 、(3R,5S)−6
−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−5−テトラヒドロ
ピラニルオキシヘキサン酸エチル(1)との合計収率59
%)を得た。
【0066】融点:34〜35℃ IR(KBr)cm-1:3400, 2900, 1720, 1600, 735, 7001 H-NMR(CDCl3)δppm :1.26(t,3H,J=7.2Hz), 1.65(m,2
H), 2.46(m,2H),3.40(m,2H), 4.08(m,1H), 4.18(q,2H,J
=7.2Hz),4.29(m,1H), 4.55(s,2H), 7.32(aromatic,5H)
【0067】この(3R,5S)−6−ベンジルオキシ
−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸エチルをアセトンジ
メチルアセタールと反応させてイソプロピリデンアセタ
ールとしてガスクロマトグラフィーで分析を行った結
果、syn−ジオール体とanti−ジオール体の生成
比は99:1であり、syn−ジオール体の選択率は98%
d.e. であった。(3R,5S)−6−ベンジルオキシ
−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸エチルをエタノール
を用いて再結晶した後、同様に分析を行った結果、sy
n−ジオール体とanti−ジオール体の生成比は99.
4:0.6 であり、syn−ジオール体の選択率は98.8%d.
e. であった。
【0068】尚、比較のため、一般式(1)において、
5位の水素基の保護基のテトラヒドロピラニル基の代わ
りに、従来より公知の3置換シリル基であるtert−
ブチルジメチルシリル基を導入した化合物、(3R,5
S)−6−ベンジルオキシ−5−tert−ブチルジメ
チルシリルオキシ−3−ヒドロキシヘキサン酸エチルを
合成した。すなわち、(S)−6−ベンジルオキシ−5
−テトラヒドロピラニルオキシ−3−オキソヘキサン酸
エチル(2)の代わりに、(S)−6−ベンジルオキシ
−5−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−3−オ
キソヘキサン酸エチルを用いた以外は、前記反応条件と
全く同様にして不斉水素化を行ったところ、(3R,5
S)−6−ベンジルオキシ−5−trrt−ブチルジメ
チルシリルオキシ−3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、
及び、tert−ブチルジメチルシリル基が外れた(3
R,5S)−6−ベンジルオキシ−3,5−ジヒドロキ
シヘキサン酸エチルの混合物を得た。これを前記と同様
にしてイソプロピリデンアセタールに誘導してガスクロ
マトグラフィーで分析を行った結果、syn−ジオール
体とanti−ジオール体の生成比は96:4であり、
syn−ジオール体の選択率は92%d.e.であった。
【0069】この結果より、全く同一条件で反応を行っ
た場合、従来の保護基を導入した化合物よりも、本発明
の化合物の方が、ジアステレオマー過剰率が約6%高い
選択性をもって得られることがわかった。このsyn−
ジオール体選択性の差は、特に医薬品の合成において、
本発明の化合物が優れたものであることを意味するもの
である。
【0070】尚、上記(S)−6−ベンジルオキシ−5
−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−3−オキソ
ヘキサン酸エチルは以下のようにして得た。すなわち、
参考例2で得た(S)−4−ベンジルオキシ−3−ヒド
ロキシ酪酸エチル(9)を、酢酸エチル:トルエン=
1:1の混合溶媒中、1当量のイミダゾール及び触媒量
の4−ジメチルアミノピリジンの存在下、tert−ブ
チルジメチルシリルクロライドと反応させて、(S)−
4−ベンジルオキシ−3−tert−ブチルジメチルシ
リルオキシ酢酸エチルを得、次いで、参考例4に準じて
炭素数を2個増加し、目的とする(S)−6−ベンジル
オキシ−5−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−
3−オキソヘキサン酸エチルを得た。
【0071】実施例2(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ
−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸tert
−ブチル(1)の製造 参考例5で得た(S)−6−ベンジルオキシ−3−オキ
ソ−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸ter
t−ブチル(2)1.0g(2.55mmol)をメタノール2.0ml に
溶解し、実施例1と同様にしてRu2Cl4[(R)-Tol-BINAP]2
N(CH2CH3)3(3)を用いて水素圧30kg/cm2 、反応温度3
5〜40℃で18時間攪拌して不斉水素化反応を行った。反
応終了後溶媒を回収した後残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル
=85:15)により精製して無色透明の液体として(3
R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−5
−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸tert−ブ
チル(1)350mg(0.89mmol,収率35%)を得た。
【0072】IR(neat)cm-1:3450, 2950, 1730, 1600,
1100, 740, 7001 H-NMR(CDCl3)δppm :1.60(s,9H), 1.60〜1.80(m,6H),
2.40(m,2H),3.40(t,2H,J=5.6Hz), 3.50(m,2H), 3.65
(m,1H),4.18(m,2H), 4.54(s,2H), 7.32(aromatic,5H)
【0073】得られた(3R,5S)−6−ベンジルオ
キシ−3−ヒドロキシ−5−テトラヒドロピラニルオキ
シヘキサン酸tert−ブチル(1)を参考例2と同様
にMTPAと反応させてエステル体とし、高速液体クロ
マトグラフィーで分析を行った結果、このものの光学純
度は95%e.e.以上であった。尚、(3R,5S)
−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−5−テトラヒ
ドロピラニルオキシヘキサン酸tert−ブチル(1)
の精製中に5位の水酸基の保護基のテトラヒドロピラニ
ル基が外れた(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−
3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルの無
色透明の液体280mg(0.90mmol,収率35
%、(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロ
キシ−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸te
rt−ブチル(1)との合計収率70%を得た。
【0074】 IR(neat)cm-1 :3450, 2900, 1720, 1600, 735, 7001 H-NMR(CDCl3)δppm :1.60(br,9H), 1.65(m,2H), 2.45
(m,2H),3.40(m,2H),4.08(m,1H), 4.29(m,1H),4.55(s,2
H), 7.32(aromatic,5H)
【0075】この(3R,5S)−6−ベンジルオキシ
−3,5−ジヒドロキシヘキサン酸tert−ブチルを
アセトンジメチルアセタールと反応させてイソプロピリ
デンアセタールとしてガスクロマトグラフィーで分析を
行った結果、syn−ジオール体とanti−ジオール
体の生成比は91:9であり、syn−ジオール体の選択
率は82%d.e. であった。
【0076】実施例3(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ
−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸tert
−ブチル(1)の製造 参考例5で得た(S)−6−ベンジルオキシ−3−オキ
ソ−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸ter
t−ブチル(2)2.0g(5.10mmol)をtert−ブチルア
ルコール4.0ml に溶解し、あらかじめ窒素置換した100m
l 容量のオートクレーブに入れた。ここへRu2Cl4[(R)-T
ol-BINAP]2N(CH2CH3)3(3)4.6mg(0.0026mmol)を塩化
メチレン0.15mlに溶解した溶液を加え、水素圧30kg/cm
2 、反応温度45℃で18時間攪拌して不斉水素化反応を行
った。転化率は95% であった。反応終了後溶媒を回収し
た残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶
媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により触媒を
除去すると同時に精製して無色透明の液体として(3
R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ−5
−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸tert−ブ
チル(1)1.2g(3.05mmol,収率60%)を得た。得られた
(3R,5S)−6−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシ
−5−テトラヒドロピラニルオキシヘキサン酸tert
−ブチル(1)をアセトンジメチルアセタールと反応さ
せてイソプロピリデンアセタールとしてガスクロマトグ
ラフィーで分析を行った結果、syn−ジオール体とa
nti−ジオール体の生成比は90:10であり、syn−
ジオール体の選択率は80%d.e.であった。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、HMG−CoA還元酵
素の阻害剤の活性部分であるラクトン部分に容易に変換
できる有用な化合物である(3R,5S)−3,5,6
−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体を、穏やかな反応条
件で、簡便に、効率よく、高いsyn−ジオール体選択
性をもって得ることができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 309/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1 はtert−ブチル基又はベンジル基を示
    し、R2 は低級アルキル基を示し、THPはテトラヒド
    ロピラニル基を示す)で表される(3R,5S)−3,
    5,6−トリヒドロキシヘキサン酸誘導体。
  2. 【請求項2】 R2 がエチル基である請求項1記載の
    (3R,5S)−3,5,6−トリヒドロキシヘキサン
    酸誘導体。
  3. 【請求項3】 下記一般式(2) 【化2】 (式中、R1 はtert−ブチル基又はベンジル基を示
    し、R2 は低級アルキル基を示し、THPはテトラヒド
    ロピラニル基を示す)で表される(S)−5,6−ジヒ
    ドロキシ−3−オキソヘキサン酸誘導体を、下記一般式
    (3) 【化3】 で表されるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒
    として不斉水素化することを特徴とする下記一般式
    (1) 【化4】 (式中、R1 、R2 及びTHPは前記と同じ意味を有す
    る)で表される(3R,5S)−3,5,6−トリヒド
    ロキシヘキサン酸誘導体の製造方法。
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