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JP2938233B2 - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JP2938233B2
JP2938233B2 JP20731891A JP20731891A JP2938233B2 JP 2938233 B2 JP2938233 B2 JP 2938233B2 JP 20731891 A JP20731891 A JP 20731891A JP 20731891 A JP20731891 A JP 20731891A JP 2938233 B2 JP2938233 B2 JP 2938233B2
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和富 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ等の光ビームを
用いて磁気光学効果により情報の記録・再生を行なう光
磁気記録媒体に関し、更に詳しくは光磁気記録層の背後
に金属反射層を設けた光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は高密度・大容量の情報記録
媒体として種々の研究開発が行なわれている。特に情報
の書替えが可能な光磁気記録媒体は、応用分野が広く、
種々の材料・システムが発表されており、注目されてい
る。
【0003】その基本構成は、透明基板上に、膜面に対
し垂直な方向に磁化容易軸を有する、希土類−遷移金属
非晶質合金磁性膜からなる光磁気記録層を設けたもので
ある。
【0004】該非晶質合金磁性膜の光磁気記録層は、単
独では耐久性が悪く、またカー回転角が小さいため、再
生時に満足なC/N(搬送信号/ノイズ)が得られない
などの問題点を有する。そのため、それらの特性を改善
すべく、さまざまな提案が既になされている。
【0005】例えば、基板/第1の金属窒化物透明誘電
体層/記録層/第2の金属窒化物透明誘電体層/金属反
射層の順に積層した4層構成は、カー効果とファラデー
効果の併用と、誘電体によるエンハンス効果で高C/N
値が得られ、さらに誘電体として金属窒化物を用いるこ
とにより、耐久性面でも優れている。なお、金属反射層
を設けたことによりそれが無い場合に比べて記録感度が
低下するが、適当な記録感度を得る方法として、金属反
射層の膜厚調整もしくは、金属反射層に添加物を加える
などして、金属反射層の熱伝導を低くする方法が提案さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本発明者
らの検討では、前記4層構成で金属反射層の熱伝導を低
くすると、記録感度は良くなるが記録層からの熱の逃げ
が悪くなるため、さまざまな問題が生じる事がわかっ
た。例えば、情報の記録時には、隣接ビット同志が熱的
に影響し合い、ビットの書き込もうとする位置からのず
れが大きくなるという現象が生ずる。この位置のずれ
は、再生信号のピークシフトとして検出することができ
る。ビットのずれが大きいとピークシフトが増大し、再
生時のエラーが増大するという問題が生じる。さらに、
情報の消去時には高パワーのレーザ光が照射されるた
め、熱の逃げの悪い構成では記録層が加熱により劣化す
る恐れがある。実際、発明者らの検討では、高パワーの
レーザ光を連続で照射した場合、C/Nが低下すること
があった。つまり、レーザ光に対する長期安定性に問題
が生じるのである。
【0007】本発明は上記課題を解決することにより、
前述の透明誘電体層と金属反射層の特性を生かし、高C
/Nで、記録感度が良く、しかも、レーザ光に対する長
期安定性に優れた光磁気記録媒体を得ることを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたもので、基板上に光磁気記録層、金
属反射層が順次積層された光磁気記録媒体において、前
記光磁気記録層と前記金属反射層との間に、Al、Siの少
なくともいずれかよりなる窒化物、酸化物、あるいは窒
酸化物であって、Al−OH、Si−OHの少なくともいず
れかを含有する透明断熱層が設けられており、さらに金
属窒化物からなる透明誘電体層が光磁気記録層と透明断
熱層との間および/または光磁気記録層と基板との間に
設けられており、かつ前記金属反射層は熱伝導率×膜厚
の値が1.3μW/K以上であることを特徴としてい
る。
【0009】
【作用】前述した記録時のビットの位置のずれ、換言す
ればピークシフトの生じる原因の一つには、隣接ビット
間の熱的干渉が考えられる。つまり、光磁気記録層が書
き込みに必要な温度より高温に加熱された場合、その熱
が隣接ビットに影響すると考えられる。さらに、高パワ
ーのレーザ光を連続で照射した場合のC/Nの低下の原
因も、光磁気記録層が消去に必要な温度よりも高温に加
熱されるためと考えられる。
【0010】従って、それらを防止するためには、熱の
逃げを良くする構成が必要である。しかし単に金属反射
層の熱伝導率を高くしたり、膜厚を厚くしただけでは、
記録感度が低下してしまう。よって、記録感度を考慮に
入れれば、ピークシフトが小さく、高パワーのレーザ光
に対する長期安定性に優れた媒体を得るためには、ある
程度の温度(記録温度)までは、温度が上昇し易いが、
それ以上では温度が上昇しにくく、必要以上の高温にな
ることが防止される構成が必要である。
【0011】そして、かかる構成を実現するものについ
て鋭意検討した結果、記録感度が低下しないだけ充分に
断熱性のよい透明断熱層を金属反射層の前面に設ける一
方、光磁気記録層の過熱を防止するために熱の逃げの良
い金属反射層を用いる組合せ構成とすれば良いことを見
い出した。
【0012】そして、Al、Siの少なくともいずれかより
なる窒化物、酸化物、あるいは窒酸化物であって、Al−
OH、Si−OHの少なくともいずれかを含有する透明断
熱層を、金属反射層と光磁気記録層との間に設けるとと
もに、熱伝導率×膜厚の値が1.3μW/K以上である
金属反射層を用いてその熱伝導性を良くした構成とする
ことにより、高C/Nで記録感度が良く、しかも再生信
号のピークシフトが小さく、高パワーのレーザに対する
長期安定性に優れた光磁気記録媒体が得られることを確
認した。
【0013】上述の構成では、透明断熱層の熱伝導率が
著しく低いため、その断熱効果により、光磁気記録層の
温度が上昇し易くなる。しかも、金属反射層の熱伝導性
をかなり良くしても、高感度が保たれる。さらにその一
方で、金属反射層により余分な熱が逃がされることか
ら、過度の加熱が防止される。以上が、本発明により高
C/N、高感度、低ピークシフト、高パワーのレーザ光
に対する長期安定性が実現される理由と考えられる。
【0014】なお、光磁気記録層と透明断熱層、とりわ
け酸化物層が直接接した場合、作製方法によっては光磁
気記録層が酸化を受ける(例えば、プレスパッタ等の影
響)恐れがあり、それを防止する意味で、光磁気記録層
と透明断熱層の間に、金属窒化物からなる透明誘電体層
を設けることがさらに望ましい。そしてかかる窒化物透
明誘電体層としては、公知のSiN、AlN、およびそれら
の金属複合窒化物等が好ましい。しかし、透明性の良い
金属窒化物であれば、これに限定されるのではない。ま
たさらにその膜厚は、厚い方が保護性は良くなるが、フ
ァラデー効果のエンハンスメントを考えると、5〜30
nmが好ましい。そして以上の窒化物透明誘電体層は、
常法により形成される。それは例えば公知の真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング
法、CVD法等がある。
【0015】本発明における透明断熱層は、Al、Siの少
なくともいずれかよりなる窒化物、酸化物、あるいは窒
酸化物であって、Al−OH、Si−OHの少なくともいず
れかを含有する。ここでAl、Siはそれぞれ単独であって
も、両者の混合物でもよい。酸化物、窒化物、窒酸化物
は、透明性、耐候性、製膜のしやすさによつて適宜選択
される。
【0016】本発明の大きな特徴はこの透明断熱層の中
に、−OH基を含有することである。金属−OH基結合
が生じることにより、三次元構造の内部で結合が切断さ
れ、そこで格子振動による熱伝達がなくなるため、熱伝
導率が低下するものと考えられる。−OH基含有量が大
きくなりすぎると、膜の機械的強度、水分などの透湿性
が低下するため、耐候性に問題が生じる。そこで−OH
基の含有量は0.5〜30atom%、好ましくは1〜15
atom%の範囲が好適である。
【0017】これら透明断熱層の形成法としてはいくつ
かの方法があるが、その金属元素、もしくは酸化物、窒
化物ターゲットを用いて、Arガスの他にN2 、O2 、H
2 を混入させる反応性スパッタリング法が好適に用いら
れる。
【0018】なお、透明断熱層の膜厚は、厚い方が断熱
性が良くなるが、この層によるファラデー効果のエンハ
ンスメントも考えると、5〜50nmが好ましい。
【0019】本発明での金属反射層は、熱の放散を行な
うという重要な役割を有し、金属反射層の熱伝導性が良
い程、本発明の効果は大きくなる。金属反射層の熱伝導
性は、その熱伝導率が高く、また膜厚が厚い程良くな
る。本発明者らの検討では、光磁気記録媒体での金属薄
膜の熱伝導性は、ほぼ熱伝導率×膜厚の値に対応し、そ
の値で熱伝導性の比較を行う事ができる事がわかった。
そしてこの方法で、熱伝導性を定義した場合、本発明の
目的を達する金属反射層としては、熱伝導率×膜厚の値
が1.3μW/K以上である事が必要で、さらに好まし
くは2.0μW/K以上が必要である。
【0020】なお、ここでいう熱伝導率は以下のように
してもとめた値である。図1に示すように、金属薄膜2
はガラス基板1上に作製した。ただし、金属薄膜2の幅
aは10mm、膜厚dは100nmとした。次に金属薄
膜2上に図1のように4本のAu電極3〜6を等間隔に蒸
着より形成した。Au電極3〜6の間隔bは、4mmとし
た。以上のようなサンプルで、金属薄膜2の電気抵抗R
を4端子法により測定し、電気伝導率σ、熱伝導率λを
下式により求めた。ただし、Lはローレンツ数(Lorenz
number )、Tは測定温度であり、L=24.5nWΩ
/K2 、T=300Kとした。 σ=b/(a・d・R) λ=L・T・σ
【0021】Al膜の電気伝導率は1.6×107 Ω-1
-1、熱伝導率は1.2×102 W・m-1・K-1であ
り、Al92.7Au4.8 Ti2.5 合金膜の電気伝導率は1.8×
106 Ω-1・m-1、熱伝導率は1.3×10W・m-1
-1であった(添数字はatom%を示す)。
【0022】前述した理由から、金属反射層の材料とし
ては熱伝導性の良い金属が好ましく、Ag、Au、Al、Cu又
はこれを主体とした合金が好適に用いられる。これらの
金属では光の反射率も高いため、高いC/Nが得られる
という利点も有する。中でもAgAu合金、AlAu合金は反射
率、熱伝導率、耐久性といった観点から優れており、特
に更にTiを添加した反射層はこの点で更に好ましい。こ
の金属反射層の膜厚は、熱の放散を適当な範囲に制御す
るということから決定される。金属の熱伝導率が低い場
合には厚い膜厚を要するし、逆に高い場合には薄くて良
い。ただし、製造の能率やコストの面からは、膜厚が5
〜500nmであることが好ましい。これら金属反射層
は公知の真空蒸着法、スパッタリング法によって形成さ
れる。
【0023】また本発明の光磁気記録層としては、光熱
磁気効果により記録・再生・消去できるもの、具体的に
は膜面に垂直な方向に磁化容易方向を有し、任意の反転
磁区を作ることにより光熱磁気効果に基いて情報の記録
・再生・消去が可能な磁性金属薄膜であればよく、例え
ばTbFe、TbFeCo、GdTbFe、GdFeCo、NdDyFeCo、NdDyTbFe
Co、NdFe、PrFe、CeFe等の希土類元素と遷移金属元素と
の非晶質合金膜、交換結合を利用したそれらの二層膜、
Co/Pt、Co/Pd等の人工格子多層膜等が使用できる。
【0024】基板の材料としては、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、4−メチル−ペンテ
ン樹脂などまたそれらの共重合体等の高分子樹脂、アモ
ルファスポリオレフィンもしくはガラスなどが適用でき
る。中でも機械強度、耐候性、耐熱性、透湿性の点でポ
リカーボネート樹脂が好ましい。
【0025】以上本発明の基本構成を説明したが、本発
明の光磁気記録媒体の構成は、前述のものに限定されな
い。特に公知の基板と光磁気記録層の間にカー効果のエ
ンハンスメントを目的とした第2の透明誘電体層を有す
る構成が好ましい。かかる透明誘電体層は、高温高湿下
における耐久性が良好である事から、シリコン窒化物ま
たは、アルミニウム・シリコン窒化物である事が好まし
い。そしてその膜厚は、光磁気記録層と金属反射層との
間の誘電体層の膜厚とも関係するので、一義的に決める
ことはできないが、光磁気記録層と金属反射層との間の
誘電体層の膜厚が3〜60nm程度であり、基板と光磁
気記録層との間の第2の透明誘電体層の膜厚は30〜1
60nm程度であることが好ましい。
【0026】さらに、通常は金属反射層上に、前述の誘
電体等からなる無機保護層を介して又は直接に機械的保
護、更なる耐久性の向上等の目的で有機の光及び熱硬化
型樹脂あるいは熱可塑性樹脂からなる有機保護層を設け
るのが一般である。
【0027】以上の構成の光磁気記録媒体は、公知の通
り上記構成のままで、更に保護平板、保護フイルム等必
要な保護を付加して片面記録媒体として、あるいはその
2枚を金属反射層側で貼り合わせた両面記録媒体として
使用される。
【0028】以上の通り、本発明は透明断熱層と熱伝導
の良い金属反射層との組み合わせにより、ビットエラー
レイトに関係するピークシフトと記録感度の相反する両
特性を向上せしめ、且つ高C/Nで、レーザ光に対する
長期安定性にも優れた光磁気記録媒体を実現したもので
ある。
【0029】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
説明する。以下の通り、光磁気ディスクを作成し、その
最適記録レーザパワー、C/N及びピークシフトを評価
した。
【0030】さらに、レーザ光に対する長期安定性は、
ディスクの回転数を低くして、レーザ光を連続照射した
後C/Nのを測定し、初期値から2dBC/Nが低下する
までに、レーザ光を照射したディスク回転数により評価
した。
【0031】
【実施例】基板上に、第1の窒化物透明誘電体層、光磁
気記録層、第2の窒化物透明誘電体層、透明断熱層、金
属反射層を順次積層し、更に有機保護層を積層した構成
の光磁気ディスクを以下のように作製した。
【0032】直径130mm、厚さ1.2mmの円盤で
1.6μmピッチのグループを有するポリカーボネート
樹脂製のディスク基板(PC基板)を、3ターゲット設
置可能なマグネトロンスパッタ装置の真空槽内に配置
し、0.4μTorrになるまで排気した。
【0033】次にAr、N2 の混合ガス(Ar:N2 =7
0:30 vol%)を真空槽内に導入し、圧力10mTorr
になるように調整した。ターゲットとしては直径100
mm、厚さ5mmのAl30Si70の焼結体からなる円盤を用
い、放電電力500W、放電周波数13.56MHzで高
周波スパッタリングを行ない、PC基板を回転(自転)
させながら、第1の窒化物透明誘電体層としてAlSiN膜
を膜厚112.5nm堆積した。
【0034】形成したAlSiN膜の組成は、オージェ電子
分光装置(PHI社、SAM610)を用いて分析したところ
Al19Si3942であった。
【0035】続いて、直径100mm、厚さ4.5mm
のTb19Fe72.5Co8.5 合金ターゲットを用い、Arガス圧4
mTorr、放電電力150Wの条件でDCスパッタリング
を行ない、光磁気記録層としてTb20.5Fe70.9Co8.6 非晶
質合金膜を膜厚22.5nm堆積した。
【0036】さらに引続いて第2の窒化物透明誘電体層
として、第1の窒化物透明誘電体層と同様の条件で、Al
SiN膜を膜厚5nm堆積した。
【0037】次に、同じAl30Si70からなるターゲットを
用い、Ar、N2 、O2 、H2 (Ar:N2 :O2 :H2
70:15:5:10)の混合ガス10mmTorr雰囲気
で高周波スパッタリングを行ない、透明断熱層としてAl
SiONH膜を膜厚30nm堆積した。
【0038】さらに、直径100mm、厚さ5mmのAl
92.5Au4.5 Ti3.0 合金ターゲットを用い、Arガス圧1.
5mTorr、放電電力125WでDCスパッタリングを行
ない、金属反射層としてAl92.7Au4.8 Ti2.5 合金膜を膜
厚120nm堆積した。
【0039】これら各層の形成時において、PC基板は
20rpm で回転させた。
【0040】続いて、金属反射層上に、スピンコーター
で紫外線硬化型のフェノールノボラックエポキシアクリ
レート樹脂を塗布し、その後紫外線照射により硬化させ
た、約10μmの有機保護層を設けた。
【0041】
【比較例1】透明断熱層として、実施例におけるAlSiO
NH膜のかわりにAlSiN膜を、実施例の窒化物透明誘電
体層と同様の条件で膜厚30nm堆積し、また金属反射
層として、実施例のAl92.7Au4.8 Ti2.5 合金膜の膜厚を
60nmとした以外は、実施例と同様の方法で光磁気デ
ィスクを作製した。
【0042】
【比較例2】金属反射層として、比較例1のAl92.7Au
4.8 Ti2.5 合金膜の膜厚を120nmとした以外は、比
較例1と同様の方法で光磁気ディスクを作製した。
【0043】次に実施例、比較例1及び比較例2で得ら
れた光磁気ディスクを光磁気記録再生装置(パルステッ
ク工業製、DDU-1000型)を用い、下記条件でC/Nと最
適記録レーザパワーを評価した。書込み時の半導体レー
ザパワーを変化させ、再生信号の二次高調波が最小とな
る時が最適記録レーザパワーとした。
【0044】[記録条件] ディスク回転速度=180
0rpm 、記録トラック位置=半径30mm位置、記録周
波数=3.7MHz、記録時の印加磁界=250Oe、記録
パルス幅=90nsec 。
【0045】[再生条件] ディスク回転速度=180
0rpm 、読出レーザパワー=1.5mW。
【0046】さらに、ピークシフトを測定した。ここで
いうピークシフトは、図2に示す信号を記録、再生した
時に、記録しようとした信号のパルス間の時間T2 と、
実際に再生された信号のピーク間の時間T2 ′の平均値
<T2 ′>との差の絶対値とした。従って、ピークシフ
ト=|T2 −<T2 ′>|である。記録再生には、前記
光磁気再生装置を用いた。記録再生条件は下記する。再
生信号のピーク間の時間T2 ′は、ヒューレット パッ
カード(HEWLETT PACKARD )製、フリクエンシー アン
ド インターバル アナライザー(FREQUENCY AND INTE
RVAL ANALYZER )を用いて測定した。
【0047】[記録条件] ディスク回転速度=180
0rpm 、記録トラック位置=半径30mm位置、記録レ
ーザパワー=6mW、記録時の印加磁界=250Oe、記
録パルス幅=90nsec 。
【0048】[再生条件] ディスク回転速度=180
0rpm 、読出レーザパワー=1.5mW。
【0049】さらに、レーザ光に対する長期安定性を測
定した。判断基準は、回転させたディスクの半径30m
m位置の特定トラックにレーザを連続照射しながらディ
スクを適当な回転数だけ回転させた後C/Nを測定し、
初期値からのC/Nが2dB低下する回転数を求め、その
回数が多いもの程安定であると考えた。レーザの連続照
射時のディスクの回転速度は、光磁気記録層の温度上昇
を加速する意味で300rpm とし、連続照射するレーザ
パワーは6mWとした。C/N測定の方法及び記録・再
生条件は前述した通りである。
【0050】最適記録レーザパワー、C/N、ピークシ
フト、C/Nが2dB低下するレーザ照射回数の各測定結
果は次の通りである。
【0051】実施例では、最適記録レーザパワー=4.
5mW、C/N最大値=48.7dB、ピークシフト=
9.2nsec 、C/N2dB低下のレーザ照射回数=3.
8×103 回。
【0052】比較例1では、最適記録レーザパワー=
4.5mW、C/N最大値=48.4dB、ピークシフト
=12.8nsec 、C/N2dB低下のレーザ照射回数=
2.0×10回。
【0053】比較例2では、最適記録レーザパワー=
5.7mW、C/N最大値=48.3dB、ピークシフト
=10.8nsec 、C/N2dB低下のレーザ照射回数=
6.5×102 回。
【0054】AlSiONH膜を用いた実施例ではいずれの
特性とも良好であったが、比較例1ではピークシフト値
及びレーザ光に対する安定性が悪い。また金属反射層の
膜厚を厚くすると、ピークシフト及びレーザ光に対する
安定性が若干向上するが、最適記録パワーが増加し、記
録感度が低下する。
【0055】また実施例の光磁気ディスクを、80℃/
85%相対湿度下で2000時間放置したが特性の低下
は全くみられなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上詳述したごとく、透明誘電
体層と金属反射層の特性を生かし、高C/Nで、記録感
度が良く、しかも、レーザ光に対する長期安定性に優れ
た光磁気記録媒体を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱伝導率測定配置図
【図2】ピークシフト説明図
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 金属薄膜(サンプル) 3〜6 Au電極

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に光磁気記録層、金属反射層が順次
    積層された光磁気記録媒体において、前記光磁気記録層
    と前記金属反射層との間に、Al、Siの少なくともいずれ
    かよりなる窒化物、酸化物、あるいは窒酸化物であっ
    て、Al−OH、Si−OHの少なくともいずれかを含有す
    る透明断熱層が設けられており、さらに金属窒化物から
    なる透明誘電体層が光磁気記録層と透明断熱層との間お
    よび/または光磁気記録層と基板との間に設けられてお
    り、かつ前記金属反射層は熱伝導率×膜厚の値が1.3
    μW/K以上であることを特徴とする光磁気記録媒体。
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