JP2905241B2 - 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 - Google Patents
転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法Info
- Publication number
- JP2905241B2 JP2905241B2 JP5082590A JP5082590A JP2905241B2 JP 2905241 B2 JP2905241 B2 JP 2905241B2 JP 5082590 A JP5082590 A JP 5082590A JP 5082590 A JP5082590 A JP 5082590A JP 2905241 B2 JP2905241 B2 JP 2905241B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rolling
- fatigue life
- forging
- center
- bearing material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Forging (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、自動車、その他産業機械等に用いられる
転がり軸受の素材として好適な、優れた転動疲労寿命特
性を有する軸受用素材の製造方法に関するものである。
転がり軸受の素材として好適な、優れた転動疲労寿命特
性を有する軸受用素材の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 転がり軸受は、転動輪と転動体とから構成され、いず
れも転動接触面が均質であることが要求される。特に鋳
片中心部に発生するマクロ偏析(以下単に中心偏析と称
す)および共晶炭化物は、転動疲労寿命を劣化させるこ
とから、素材中心部を打ち抜いて廃材とするか、造塊法
または長時間の拡散処理の実施によりこれらを十分に消
散させてから用いられていた。なお共晶炭化物は打抜き
や切断時における割れも増大させる。従って生産性や素
材歩留りの低下を避けることができなかった。
れも転動接触面が均質であることが要求される。特に鋳
片中心部に発生するマクロ偏析(以下単に中心偏析と称
す)および共晶炭化物は、転動疲労寿命を劣化させるこ
とから、素材中心部を打ち抜いて廃材とするか、造塊法
または長時間の拡散処理の実施によりこれらを十分に消
散させてから用いられていた。なお共晶炭化物は打抜き
や切断時における割れも増大させる。従って生産性や素
材歩留りの低下を避けることができなかった。
このような弊害をもたらす中心偏析は、連続鋳造の場
合、凝固先端部の凝固収縮の他、凝固シェルのバルジン
グなどによって生じる空隙の真空吸引力が加わり、凝固
先端部にC,Cr等の濃化溶鋼成分が吸い込まれる結果、鋳
片の断面中心部に正偏析となって残留したもので、製品
加工時の熱処理により、過度の球状化炭化物の残留、残
留オースナイトの増大さらにはこれらミクロ組織の不均
一が生じて、転動疲労寿命を低下させる。
合、凝固先端部の凝固収縮の他、凝固シェルのバルジン
グなどによって生じる空隙の真空吸引力が加わり、凝固
先端部にC,Cr等の濃化溶鋼成分が吸い込まれる結果、鋳
片の断面中心部に正偏析となって残留したもので、製品
加工時の熱処理により、過度の球状化炭化物の残留、残
留オースナイトの増大さらにはこれらミクロ組織の不均
一が生じて、転動疲労寿命を低下させる。
その防止策としては、例えば2次冷却帯域における電
磁攪拌等が試みられたが、セミミクロ偏析までを軽減す
るまでには至らず、その効果は充分とはいえない。
磁攪拌等が試みられたが、セミミクロ偏析までを軽減す
るまでには至らず、その効果は充分とはいえない。
その他、凝固末期に一対のロールを用いて大圧下を施
すいわゆるインラインリダクション法{鉄と鋼 第60年
(1974)第7号875〜884頁}の適用も試みられたが、未
凝固層の大きい鋳片領域における圧下が不十分だと、凝
固界面に割れが発生し、逆に圧下が十分すぎる場合には
鋳片の厚み方向中心部に強い負偏析が生じるなどの問題
があった。
すいわゆるインラインリダクション法{鉄と鋼 第60年
(1974)第7号875〜884頁}の適用も試みられたが、未
凝固層の大きい鋳片領域における圧下が不十分だと、凝
固界面に割れが発生し、逆に圧下が十分すぎる場合には
鋳片の厚み方向中心部に強い負偏析が生じるなどの問題
があった。
この点につき、特開昭49−121738号公報では、鋳片の
凝固先端部付近でロール対による軽圧下を施し、該部分
の凝固収縮量を圧下により補償する方法が、また特開昭
52−54625号公報では、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完
了点近傍を大圧下する方法が、それぞれ提案されてい
る。
凝固先端部付近でロール対による軽圧下を施し、該部分
の凝固収縮量を圧下により補償する方法が、また特開昭
52−54625号公報では、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完
了点近傍を大圧下する方法が、それぞれ提案されてい
る。
しかしながらロールによる軽圧下の場合には、複数対
のロールによる数mm/mの圧下を施したとしても、ロール
ピッチ間で生じる凝固収縮やバルジングを十分に防止す
ることができず、また圧下位置が適切でなければかえっ
て中心偏析が悪化するといった問題があった。
のロールによる数mm/mの圧下を施したとしても、ロール
ピッチ間で生じる凝固収縮やバルジングを十分に防止す
ることができず、また圧下位置が適切でなければかえっ
て中心偏析が悪化するといった問題があった。
他方、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完了点近傍を大圧
下する場合は、インラインリダクション法の如きロール
による大圧下に比べて凝固界面が割れにくく、また負偏
析さらにはセミマクロ偏析をも飛躍的に改善できること
が明らかになってはいるけれども、依然として未凝固層
の大きい鋳片領域での圧下が不十分であると凝固界面に
割れが発生し、逆に圧下が十分すぎると鋳片の中心部に
強い負偏析を生じる不利があり、さらには未凝固厚の小
さい領域を圧下してもその効果が得られないことから、
最適な圧下条件を模索しているのが現状である。
下する場合は、インラインリダクション法の如きロール
による大圧下に比べて凝固界面が割れにくく、また負偏
析さらにはセミマクロ偏析をも飛躍的に改善できること
が明らかになってはいるけれども、依然として未凝固層
の大きい鋳片領域での圧下が不十分であると凝固界面に
割れが発生し、逆に圧下が十分すぎると鋳片の中心部に
強い負偏析を生じる不利があり、さらには未凝固厚の小
さい領域を圧下してもその効果が得られないことから、
最適な圧下条件を模索しているのが現状である。
(発明が解決しようとする課題) この発明、上記技術の問題点を有利に克服するもの
で、鍛造性ならびに転動疲労寿命特性に優れた軸受用素
材の有利な製造方法を提案することを目的とする。
で、鍛造性ならびに転動疲労寿命特性に優れた軸受用素
材の有利な製造方法を提案することを目的とする。
(課題を解決するための手段) すなわちこの発明は、 C:0.60〜1.50wt%(以下単に%で示す)、 Si:0.15〜2.00%、 Mn:0.15〜2.50%および Cr:1.00超〜3.00% を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼
を、鋳片内部が凝固を完了するクレータエンド近傍にて
圧下率5%以上の鍛圧加工を施し、ついで均熱処理後、
熱間圧延を施すことからなる転動疲労寿命に優れた軸受
用素材の製造方法(第1発明)である。
を、鋳片内部が凝固を完了するクレータエンド近傍にて
圧下率5%以上の鍛圧加工を施し、ついで均熱処理後、
熱間圧延を施すことからなる転動疲労寿命に優れた軸受
用素材の製造方法(第1発明)である。
またこの発明は、溶鋼の成分組成が、 C:0.06〜1.50%、 Si:0.15〜2.00%、 Mn:0.15〜2.50%および Cr:1.00超〜3.00% を含み、さらに Mo:0.05〜1.50%、 V:0.05〜0.50%、 Nb:0.05〜0.50%、 W:0.05〜0.50%、 Ni:0.10〜2.00%および Cu:0.05〜1.00% のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物の組成になる軸受用素材の製造
方法(第2発明)である。
Feおよび不可避的不純物の組成になる軸受用素材の製造
方法(第2発明)である。
さらにこの発明は、上記の第1および第2発明におい
て、均熱処理における処理条件を1100〜1250℃、2〜10
時間とした軸受用素材の製造方法(第3発明)である。
て、均熱処理における処理条件を1100〜1250℃、2〜10
時間とした軸受用素材の製造方法(第3発明)である。
(作用) まずこの発明において、素材の成分組成を上記の範囲
に限定した理由について説明する。
に限定した理由について説明する。
C:0.60〜1.50% Cは、基地に固溶することによって、強度、耐摩耗性
ひいては転動疲労寿命特性を向上させる有用元素であ
る。。しかしながらあまりに多すぎると巨大炭化物が生
成し、かえって転動疲労寿命を劣化させるだけでなく、
さらにその消散のため長時間の拡散焼鈍が必要となり生
産性の低下を招く。そこで上記の点を勘案してC量は0.
60〜1.50%の範囲で添加するものとした。
ひいては転動疲労寿命特性を向上させる有用元素であ
る。。しかしながらあまりに多すぎると巨大炭化物が生
成し、かえって転動疲労寿命を劣化させるだけでなく、
さらにその消散のため長時間の拡散焼鈍が必要となり生
産性の低下を招く。そこで上記の点を勘案してC量は0.
60〜1.50%の範囲で添加するものとした。
Si:0.15〜2.00% Siは、鋼の溶製時脱酸剤として作用するほか、基地に
固溶し焼戻しによる硬度低下を抑制して転動疲労寿命を
向上させる有用元素である。しかしながらあまりに多す
ぎると被削性ならびに鍛造性を劣化させるので、Siは0.
15〜2.00%の範囲で添加するものとした。
固溶し焼戻しによる硬度低下を抑制して転動疲労寿命を
向上させる有用元素である。しかしながらあまりに多す
ぎると被削性ならびに鍛造性を劣化させるので、Siは0.
15〜2.00%の範囲で添加するものとした。
Mn:0.15〜2.50% Mnは、鋼の焼入れ性を向上させることにより、基地靱
性の向上、ひいては鋼材の転動疲労寿命の向上に有効に
寄与する。しかしながら多すぎると被削性ならびに鍛造
性を劣化させるので、Mnは0.15〜2.50%の範囲で添加す
るものとした。
性の向上、ひいては鋼材の転動疲労寿命の向上に有効に
寄与する。しかしながら多すぎると被削性ならびに鍛造
性を劣化させるので、Mnは0.15〜2.50%の範囲で添加す
るものとした。
Cr:1.00超〜3.00% Crは、焼入れ性を向上させ基地の強度および靱性を高
めると共に、炭化物の球状化を促進する働きを持つ。か
かる効果を充分に発現させるためには1.00%を超える量
のCrが必要であるので、この発明では少なくとも1.00超
のCrを含有させるものとした。しかしながらあまりに多
量の添加は炭化物が粗大化し、被削性ならびに転動疲労
寿命の劣化を招くので、Cr含有量の上限は3.00%とし
た。
めると共に、炭化物の球状化を促進する働きを持つ。か
かる効果を充分に発現させるためには1.00%を超える量
のCrが必要であるので、この発明では少なくとも1.00超
のCrを含有させるものとした。しかしながらあまりに多
量の添加は炭化物が粗大化し、被削性ならびに転動疲労
寿命の劣化を招くので、Cr含有量の上限は3.00%とし
た。
この発明では、上記した基本成分の他、必要に応じて
Mo,V,Nb,WおよびCuのうちから選んだ1種または2種以
上を、強度向上成分として以下に述べる範囲で添加する
ことができる。
Mo,V,Nb,WおよびCuのうちから選んだ1種または2種以
上を、強度向上成分として以下に述べる範囲で添加する
ことができる。
Mo:0.05〜1.50%、W:0.05〜0.50% Moは、焼入れ性を高めるだけでなく、強い固溶強化、
析出硬化機能を有することから、強度ならびに転動疲労
寿命の向上に有効に寄与する。しかしながら多すぎると
切削性を劣化させると共に、添加コストの上昇を招く。
よってMoは0.05〜1.50%の範囲で添加するものとした。
析出硬化機能を有することから、強度ならびに転動疲労
寿命の向上に有効に寄与する。しかしながら多すぎると
切削性を劣化させると共に、添加コストの上昇を招く。
よってMoは0.05〜1.50%の範囲で添加するものとした。
V,Nb,W:0.05〜0.50%、 V,NbおよびWはそれぞれ、高温で安定した炭化物を形
成し、転動疲労寿命特性を向上させる。しかし、多すぎ
ると焼戻し後の硬度が低下し、かえって転動疲労寿命特
性を劣化させる。よってV,NbおよびWはそれぞれ、0.05
〜0.50%の範囲で添加するものとした。
成し、転動疲労寿命特性を向上させる。しかし、多すぎ
ると焼戻し後の硬度が低下し、かえって転動疲労寿命特
性を劣化させる。よってV,NbおよびWはそれぞれ、0.05
〜0.50%の範囲で添加するものとした。
Ni:0.10〜2.00% Niは、焼入れ性の向上に寄与するだけでなく、焼戻し
後の強度低下を抑制させることから、強度および転動疲
労寿命の向上に有用な元素である。しかしながらあまり
に多すぎると、残留オーステナイトが多量に生成し焼戻
し後の鋼材硬度を低下させる。よってNiは0.10〜2.00%
の範囲で添加するものとした。
後の強度低下を抑制させることから、強度および転動疲
労寿命の向上に有用な元素である。しかしながらあまり
に多すぎると、残留オーステナイトが多量に生成し焼戻
し後の鋼材硬度を低下させる。よってNiは0.10〜2.00%
の範囲で添加するものとした。
Cu:0.05〜1.00% Cuは、Niと同様、焼入れ性の向上に寄与するだけでな
く、焼戻し後の硬度低下を抑制させることから、強度お
よび転動疲労寿命の向上に有用な元素である。しかしな
がら含有量が多すぎる場合には鍛造性の劣化を招く。よ
ってCuは0.05〜1.00%の範囲で添加するものとした。
く、焼戻し後の硬度低下を抑制させることから、強度お
よび転動疲労寿命の向上に有用な元素である。しかしな
がら含有量が多すぎる場合には鍛造性の劣化を招く。よ
ってCuは0.05〜1.00%の範囲で添加するものとした。
なおその他、酸素量低減および介在物形態制御を目的
としたAl,Ca,Na,K,MgおよびZrのうちから選んだ1種ま
たは2種以上を、また被削性向上を目的としてS,Ca,Pb,
B,BiおよびREMのうちから選んだ1種または2種以上
を、さらに熱間強度向上を目的としてPおよびNのうち
から選んだ1種または2種を、またさらに脱炭低減を目
的としてSbをそれぞれ少量添加することもできる。
としたAl,Ca,Na,K,MgおよびZrのうちから選んだ1種ま
たは2種以上を、また被削性向上を目的としてS,Ca,Pb,
B,BiおよびREMのうちから選んだ1種または2種以上
を、さらに熱間強度向上を目的としてPおよびNのうち
から選んだ1種または2種を、またさらに脱炭低減を目
的としてSbをそれぞれ少量添加することもできる。
さて上述したような好適成分組成に調整した溶鋼を、
連続鋳造して鋳片とするが、この発明では、得られた連
続鋳造鋳片の内部溶鋼が凝固完了するクレータエンド近
傍にて圧化率:5%以上の鍛圧加工を施すことが肝要であ
り、かくして鋳片中心部における偏析の生成を防止する
のである。
連続鋳造して鋳片とするが、この発明では、得られた連
続鋳造鋳片の内部溶鋼が凝固完了するクレータエンド近
傍にて圧化率:5%以上の鍛圧加工を施すことが肝要であ
り、かくして鋳片中心部における偏析の生成を防止する
のである。
ここに、上記の如き鍛圧加工によって、鋳片中心に相
当する位置での偏析が改善される理由は、次のとおりと
考えられる。
当する位置での偏析が改善される理由は、次のとおりと
考えられる。
すなわち内部溶鋼の凝固末期には、合金元素の濃度の
高い溶鋼がクレータエンド近傍に存在するため、このま
ま凝固すれば中心偏析となるわけであるが、凝固前に鍛
圧加工を施すと、かような濃度溶鋼は上方に押し出され
るため、中心部の合金元素濃度はさほど上昇することは
なく、その結果、転動疲労寿命劣化の要因となる中心偏
析、共晶炭化物などの生成が防止される。
高い溶鋼がクレータエンド近傍に存在するため、このま
ま凝固すれば中心偏析となるわけであるが、凝固前に鍛
圧加工を施すと、かような濃度溶鋼は上方に押し出され
るため、中心部の合金元素濃度はさほど上昇することは
なく、その結果、転動疲労寿命劣化の要因となる中心偏
析、共晶炭化物などの生成が防止される。
そして上記したとおり中心偏析や共晶炭化物が効果的
に抑制される結果、従来均熱炉を用いて行われていた拡
散焼鈍処理時間が大幅に短縮されるのである。
に抑制される結果、従来均熱炉を用いて行われていた拡
散焼鈍処理時間が大幅に短縮されるのである。
第1図aに、1.00%C−0.45%Si−0.70%Mn−1.30%
Cr鋼の連続鋳造に際し、連続鋳造中に連続的に鍛圧加工
を行って得た鋳片、あるいは鍛圧加工を行わない従来法
により得られた鋳片をそれぞれ、1240℃,2hの均熱拡散
処理後、棒鋼圧延を施し、D/4部(D:棒鋼の直径)なら
びに中心部(棒鋼の中心が表面にくるように試験片を採
取)の転動疲労寿命L0について調べた結果を示す。
Cr鋼の連続鋳造に際し、連続鋳造中に連続的に鍛圧加工
を行って得た鋳片、あるいは鍛圧加工を行わない従来法
により得られた鋳片をそれぞれ、1240℃,2hの均熱拡散
処理後、棒鋼圧延を施し、D/4部(D:棒鋼の直径)なら
びに中心部(棒鋼の中心が表面にくるように試験片を採
取)の転動疲労寿命L0について調べた結果を示す。
また第1図bには、中心部の鋳造性について調べた結
果を示す。
果を示す。
同図より明らかなように、棒鋼中心部材の転動疲労寿
命特性は、圧下率が5%以上の鍛圧加工を施すことによ
って、かかる鍛圧加工を施さない従来法の5倍以上に向
上し、また割れ発生も完全に防止される。
命特性は、圧下率が5%以上の鍛圧加工を施すことによ
って、かかる鍛圧加工を施さない従来法の5倍以上に向
上し、また割れ発生も完全に防止される。
ここに、棒鋼中心部材あるいは線材を軸受鋼球用素材
として適用するには、中心部材の転動疲労寿命がD/4部
材と比較して同等あるいはそれ以上の特性を示せばよ
い。
として適用するには、中心部材の転動疲労寿命がD/4部
材と比較して同等あるいはそれ以上の特性を示せばよ
い。
従ってこの発明では、鍛圧加工による圧下率の下限を
5%としたのである。
5%としたのである。
しかしながら圧下率があまりに大きいと、圧延後の素
材精度が低下する点で問題が生じるので、圧下率は60%
以下程度とするのが好ましい。
材精度が低下する点で問題が生じるので、圧下率は60%
以下程度とするのが好ましい。
なお鍛圧加工法としては、発明者らが先に特開昭60−
82257号公報において開示した連続鍛圧法を利用した。
82257号公報において開示した連続鍛圧法を利用した。
次に第2図、1.0%C−0.45%Si−0.70%Mn−1.30%C
r鋼の連続鋳造に際し、種々の圧下率で鍛圧加工を行っ
たときの、圧下率と鋳片の中心部における共晶炭化物の
大きさ(1個当りの面積)との関係を示す。
r鋼の連続鋳造に際し、種々の圧下率で鍛圧加工を行っ
たときの、圧下率と鋳片の中心部における共晶炭化物の
大きさ(1個当りの面積)との関係を示す。
同図より明らかなように、共晶炭化物の大きさは鍛圧
加工における圧下率の増大に伴って小さくなる傾向にあ
り、圧下率を5%以上とすることによって鍛圧加工を施
さない場合の1/5以下にまで低減することができた。
加工における圧下率の増大に伴って小さくなる傾向にあ
り、圧下率を5%以上とすることによって鍛圧加工を施
さない場合の1/5以下にまで低減することができた。
また第3図には、鍛圧加工における圧下率を0%,2
%,5%,10%とした場合の、共晶炭化物の消散に必要な
均熱保持温度と保持時間との関係を示す。
%,5%,10%とした場合の、共晶炭化物の消散に必要な
均熱保持温度と保持時間との関係を示す。
均熱温度が1200℃以上あるいは均熱時間が5h以上の場
合には生産性ならびに材質の面から、圧延ラインに直結
した加熱炉を使用することができず、拡散焼鈍処理専用
の均熱炉が必要となる。
合には生産性ならびに材質の面から、圧延ラインに直結
した加熱炉を使用することができず、拡散焼鈍処理専用
の均熱炉が必要となる。
しかしながら、圧下率が5%以上の鍛圧加工を施せ
ば、加熱温度1100℃以上、保持時間2h以上程度の生産性
の非常に高い加熱、保持時間条件で共晶炭化物の消散を
行うことができる。
ば、加熱温度1100℃以上、保持時間2h以上程度の生産性
の非常に高い加熱、保持時間条件で共晶炭化物の消散を
行うことができる。
(実施例) 第1表に示す化学成分になる種々の溶鋼を、転炉→連
続鋳造法により、第2表に示す鍛圧条件下に処理して鋳
片とした。
続鋳造法により、第2表に示す鍛圧条件下に処理して鋳
片とした。
ついで第2表に示す条件で均熱処理後、熱間圧延を施
して65mmφの棒鋼としたのち、球状化焼鈍処理後に12mm
φ×22mm寸法の試験片をD/4部および中心部(棒鋼の中
心が試験片の表面にくるように採取)より採取し、焼入
れ、焼戻し後、転動疲労寿命特性について調べた結果を
第2表に併記する。
して65mmφの棒鋼としたのち、球状化焼鈍処理後に12mm
φ×22mm寸法の試験片をD/4部および中心部(棒鋼の中
心が試験片の表面にくるように採取)より採取し、焼入
れ、焼戻し後、転動疲労寿命特性について調べた結果を
第2表に併記する。
なお転動疲労寿命試験は、円筒型転動疲労寿命試験機
を用い、ヘルツ最大接触応力600kgf/mm2、繰り返し応力
数46240cpmの条件で行い、試験結果はワイブル分布に従
うものと仮定して確率紙上にまとめ、鋼材No.1の1240
℃,2h拡散焼鈍処理材のD/4部L10(累積破損確立が10%
のときの、はく離までの応力負荷回数)を1として、相
対的に評価した。
を用い、ヘルツ最大接触応力600kgf/mm2、繰り返し応力
数46240cpmの条件で行い、試験結果はワイブル分布に従
うものと仮定して確率紙上にまとめ、鋼材No.1の1240
℃,2h拡散焼鈍処理材のD/4部L10(累積破損確立が10%
のときの、はく離までの応力負荷回数)を1として、相
対的に評価した。
また第2表に示す条件で均熱処理後、熱間圧延を施し
て65mmφの棒鋼とし、中心部から鋳造試験へん採取(棒
鋼の中心が試験片の表面にくるように採取)し、鍛造性
について調べた結果を第2表に併記する。
て65mmφの棒鋼とし、中心部から鋳造試験へん採取(棒
鋼の中心が試験片の表面にくるように採取)し、鍛造性
について調べた結果を第2表に併記する。
なお鍛造性試験は、端面完全拘束の状態で圧縮率50%
の条件で行い、同じく鋼材No.1の20h拡散焼鈍処理材の
割れ発生率を1として相対的に評価した。
の条件で行い、同じく鋼材No.1の20h拡散焼鈍処理材の
割れ発生率を1として相対的に評価した。
第2表から明らかなように、成分組成が適正範囲を満
足し、かつ鍛圧加工時の圧下率:5%以上とした場合はい
ずれも、中心部の転動疲労寿命特性はD/4部と同等かあ
るいは若干優れており、したもD/4D部および中心部とも
転動疲労寿命特性が向上がしている。
足し、かつ鍛圧加工時の圧下率:5%以上とした場合はい
ずれも、中心部の転動疲労寿命特性はD/4部と同等かあ
るいは若干優れており、したもD/4D部および中心部とも
転動疲労寿命特性が向上がしている。
また鍛造性も、圧下率5%以上の鍛圧加工を加えるこ
とによって、従来例にくらべ短い均熱時間で著しい向上
がみられ、十分な性能が得られている。
とによって、従来例にくらべ短い均熱時間で著しい向上
がみられ、十分な性能が得られている。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、従来の連続鋳造鋳片にお
いて問題とされた横断面軸心部の非金属介在物の微細化
および共晶炭化物の低減を達成することができ、また均
熱、保持時間の大幅な簡略化が可能となり、鍛造性のみ
ならず転動疲労寿命特性に優れた軸受用素材が得ること
ができる。
いて問題とされた横断面軸心部の非金属介在物の微細化
および共晶炭化物の低減を達成することができ、また均
熱、保持時間の大幅な簡略化が可能となり、鍛造性のみ
ならず転動疲労寿命特性に優れた軸受用素材が得ること
ができる。
また、従来、中心偏析ならびに共晶炭化物の消散のた
め不可避とされた高温、長時間の拡散焼鈍を施す必要が
なくなり、専用の均熱炉が不要となる。
め不可避とされた高温、長時間の拡散焼鈍を施す必要が
なくなり、専用の均熱炉が不要となる。
さらに連続鋳造鋳片の全断面が軸受素材として適用可
能となることから、生産性ならびに材料歩留りの面でも
有利である。
能となることから、生産性ならびに材料歩留りの面でも
有利である。
【図面の簡単な説明】 第1図aは、鍛圧加工における圧下率と鋳片のD/4部お
よび中心部の転動疲労寿命L0との関係を示したグラフ、
同図bは、鍛圧加工における圧下率と鋳片中心部の鍛造
性およびL0との関係を示したグラフ、 第2図は、鍛圧加工における圧下率と鋳片の中心部にお
ける共晶炭化物の大きさとの関係を示したグラフ、 第3図は、共晶炭化物の消散に必要な均熱保持温度と保
持時間との関係を鍛圧加工における圧下率パラメータと
して示したグラフである。
よび中心部の転動疲労寿命L0との関係を示したグラフ、
同図bは、鍛圧加工における圧下率と鋳片中心部の鍛造
性およびL0との関係を示したグラフ、 第2図は、鍛圧加工における圧下率と鋳片の中心部にお
ける共晶炭化物の大きさとの関係を示したグラフ、 第3図は、共晶炭化物の消散に必要な均熱保持温度と保
持時間との関係を鍛圧加工における圧下率パラメータと
して示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/18 C22C 38/18 (56)参考文献 特開 平3−226337(JP,A) 特開 平2−92444(JP,A) 特開 昭48−71318(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/00 B21J 5/00 C22C 38/00 301 C22C 38/18
Claims (3)
- 【請求項1】C:0.06〜1.50wt%、 Si:0.15〜2.00wt%、 Mn:0.15〜2.50wt%および Cr:1.00超〜3.00wt% を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼
を、連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了するクレータエ
ンド近傍にて圧下率5%以上の鍛圧加工を施し、ついで
均熱処理後、熱間圧延を施すことを特徴とする転動疲労
寿命に優れた軸受用素材の製造方法。 - 【請求項2】溶鋼の成分組成が、 C:0.60〜1.50wt%、 Si:0.15〜2.00wt%、 Mn:0.15〜2.50wt%および Cr:1.00超〜3.00wt% を含み、さらに Mo:0.05〜1.50wt%、 V:0.05〜0.50wt%、 Nb:0.05〜0.50wt%、 W:0.05〜0.50wt%、 Ni:0.10〜2.00wt%および Cu:0.05〜1.00wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物の組成になる請求項1記載の軸
受用素材の製造方法。 - 【請求項3】均熱処理における処理条件が、1100〜1250
℃、2〜10時間である請求項1または2記載の軸受用素
材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5082590A JP2905241B2 (ja) | 1990-03-03 | 1990-03-03 | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5082590A JP2905241B2 (ja) | 1990-03-03 | 1990-03-03 | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03254339A JPH03254339A (ja) | 1991-11-13 |
JP2905241B2 true JP2905241B2 (ja) | 1999-06-14 |
Family
ID=12869548
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5082590A Expired - Fee Related JP2905241B2 (ja) | 1990-03-03 | 1990-03-03 | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2905241B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07127643A (ja) * | 1993-10-29 | 1995-05-16 | Nippon Seiko Kk | 転がり軸受 |
JP3303176B2 (ja) * | 1993-12-27 | 2002-07-15 | 光洋精工株式会社 | 軸受部品 |
KR100446649B1 (ko) * | 2000-12-26 | 2004-09-04 | 주식회사 포스코 | 침탄 질화용 베어링강 제조방법 |
JP2004131793A (ja) * | 2002-10-10 | 2004-04-30 | Daido Steel Co Ltd | ニオブ含有低合金耐熱鋼製の部品とその製造方法 |
WO2012073488A1 (ja) | 2010-11-29 | 2012-06-07 | Jfeスチール株式会社 | 球状化焼鈍後の加工性に優れ、かつ焼入れ・焼戻し後の耐水素疲労特性に優れる軸受鋼 |
WO2012073458A1 (ja) * | 2010-11-29 | 2012-06-07 | Jfeスチール株式会社 | 球状化焼鈍後の加工性に優れ、かつ焼入れ・焼戻し後の耐水素疲労特性に優れる軸受鋼 |
CN103717326B (zh) * | 2012-04-10 | 2015-05-13 | 新日铁住金株式会社 | 线材、使用该线材的钢丝以及钢坯 |
-
1990
- 1990-03-03 JP JP5082590A patent/JP2905241B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03254339A (ja) | 1991-11-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101520208B1 (ko) | 기소강 및 그의 제조 방법, 및 기소강을 이용한 기계 구조 부품 | |
JP4252837B2 (ja) | 転動疲労寿命の優れた鋼材及びその製造方法 | |
JP2007162128A (ja) | 鍛造性と結晶粒粗大化防止特性に優れた肌焼鋼およびその製造方法並びに浸炭部品 | |
JP2905243B2 (ja) | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 | |
JPH05214484A (ja) | 高強度ばね用鋼およびその製造方法 | |
JP2905241B2 (ja) | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 | |
JP2986829B2 (ja) | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 | |
JP3764627B2 (ja) | 浸炭時に異常組織を生成しない冷間鍛造用肌焼ボロン鋼とその製造方法 | |
JP3002392B2 (ja) | 遠心鋳造製複合ロールの製造方法 | |
JP2700591B2 (ja) | 遠心鋳造製複合ロール | |
JP2905242B2 (ja) | 転動疲労寿命に優れた低Cr軸受鋼素材の製造方法 | |
JP3217661B2 (ja) | 高強度ダクタイル鋳鉄材 | |
JP3007834B2 (ja) | 転動疲労特性に優れた軸受鋼 | |
JP3579558B2 (ja) | 耐焼割れ性に優れた軸受鋼 | |
JP7464821B2 (ja) | 軸受軌道用鋼材、および軸受軌道 | |
JP2900783B2 (ja) | 疲労強度にすぐれる圧延用中間ロール | |
JP3201711B2 (ja) | ダイカスト型用時効硬化鋼 | |
JPH09217143A (ja) | 冷間鍛造性、高周波焼入れ性および転動疲労特性に優れた機械構造用鋼 | |
CN110983202A (zh) | 一种抗热疲劳压铸模具钢及其制备方法 | |
JPH03258445A (ja) | 長寿命高強度軸受用素材の製造方法 | |
JPH05192744A (ja) | 引抜き加工性に優れた棒鋼の製造方法 | |
JP2003001307A (ja) | 圧延ロール | |
JP3019240B2 (ja) | 遠心鋳造製複合ロール | |
JP3620935B2 (ja) | 冷間鍛造性、高周波焼入れ性および転動疲労特性に優れた機械構造用鋼 | |
JPH03271319A (ja) | 長寿命高強度軸受用鋼の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |