JP2986829B2 - 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 - Google Patents
転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法Info
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- JP2986829B2 JP2986829B2 JP2050824A JP5082490A JP2986829B2 JP 2986829 B2 JP2986829 B2 JP 2986829B2 JP 2050824 A JP2050824 A JP 2050824A JP 5082490 A JP5082490 A JP 5082490A JP 2986829 B2 JP2986829 B2 JP 2986829B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、自動車、その他産業機械等に用いられる
転がり軸受の素材として好適な、優れた転動疲労寿命特
性を有する軸受用素材の製造方法に関するものである。
転がり軸受の素材として好適な、優れた転動疲労寿命特
性を有する軸受用素材の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、軸受用鋼としては、機械構造用炭素鋼、機械構
造用合金鋼および鋼炭素クロム軸受鋼などが使用されて
いる。
造用合金鋼および鋼炭素クロム軸受鋼などが使用されて
いる。
このうち高炭素クロム軸受鋼は、玉軸受、ころ軸受と
して自動車、産業機械等に最も多く使用されている。こ
の鋼は、1wt%(以下単に%で示す)程度の炭素と0.9〜
1.6%程度のクロムが添加されており、連続鋳造時、特
に鋳片軸心部においてマクロ偏析(以下中心偏析と称
す)ならびに共晶炭化物が生成し、切断、打ち抜き時に
おける割れ発生を増大させると共に転動疲労寿命特性を
劣化させることから、素材中心部を打ち抜いて廃材とす
るか、造塊法または長時間の拡散処理の実施により共晶
炭化物の消散を図ってから用いられていた。このため生
産性や素材歩留りの低下を避けることができなかった。
して自動車、産業機械等に最も多く使用されている。こ
の鋼は、1wt%(以下単に%で示す)程度の炭素と0.9〜
1.6%程度のクロムが添加されており、連続鋳造時、特
に鋳片軸心部においてマクロ偏析(以下中心偏析と称
す)ならびに共晶炭化物が生成し、切断、打ち抜き時に
おける割れ発生を増大させると共に転動疲労寿命特性を
劣化させることから、素材中心部を打ち抜いて廃材とす
るか、造塊法または長時間の拡散処理の実施により共晶
炭化物の消散を図ってから用いられていた。このため生
産性や素材歩留りの低下を避けることができなかった。
このような弊害をもたらす中心偏析および共晶炭化物
は、連続鋳造の場合、凝固先端部の凝固収縮のほか、凝
固シェルのバルジングなどによって生じる空隙の真空吸
引力が加わり、凝固先端部にC,Cr等の濃化溶鋼成分が吸
い込まれることによって形成されたもので、製品加工時
の熱処理により、大型の共晶炭化物または球状化炭化物
の残留、残留オーステナイト量の増大およびこれらミク
ロ組織の不均一などが生じて、転動疲労寿命を低下させ
る。
は、連続鋳造の場合、凝固先端部の凝固収縮のほか、凝
固シェルのバルジングなどによって生じる空隙の真空吸
引力が加わり、凝固先端部にC,Cr等の濃化溶鋼成分が吸
い込まれることによって形成されたもので、製品加工時
の熱処理により、大型の共晶炭化物または球状化炭化物
の残留、残留オーステナイト量の増大およびこれらミク
ロ組織の不均一などが生じて、転動疲労寿命を低下させ
る。
その防止策としては、例えば2次冷却帯域における電
磁撹拌等が試みられたが、セミミクロ偏析を軽減するま
でには至らず、また大型の共晶炭化物の消散には効果が
無い。
磁撹拌等が試みられたが、セミミクロ偏析を軽減するま
でには至らず、また大型の共晶炭化物の消散には効果が
無い。
その他、凝固末期に一対のロールを用いて大圧下を施
すいわゆるインラインリダクション法{鉄と鋼 第60年
(1974)第7号875〜884頁}の適用も試みられたが、未
凝固層の大きい鋳片領域における圧下が不十分だと、凝
固界面に割れが発生し、逆に圧下が十分すぎる場合には
鋳片の厚み方向中心部に強い負偏析が生じるなどの問題
があった。
すいわゆるインラインリダクション法{鉄と鋼 第60年
(1974)第7号875〜884頁}の適用も試みられたが、未
凝固層の大きい鋳片領域における圧下が不十分だと、凝
固界面に割れが発生し、逆に圧下が十分すぎる場合には
鋳片の厚み方向中心部に強い負偏析が生じるなどの問題
があった。
この点につき、特開昭49−121738号公報では、鋳片の
凝固先端部付近でロール対による軽圧下を施し、該部分
の凝固収縮量を圧下により補償する方法が、また特開昭
52−54625号公報では、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完
了点近傍を大圧下する方法が、それぞれ提案されてい
る。
凝固先端部付近でロール対による軽圧下を施し、該部分
の凝固収縮量を圧下により補償する方法が、また特開昭
52−54625号公報では、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完
了点近傍を大圧下する方法が、それぞれ提案されてい
る。
しかしながらロールによる軽圧下の場合には、複数対
のロールによる数mm/mの圧下を施したとしても、ロール
ピッチ間で生じる凝固収縮やバルジングを十分に防止す
ることができず、また圧下位置が適切でなければかえっ
て中心偏析が悪化するといった問題があった。
のロールによる数mm/mの圧下を施したとしても、ロール
ピッチ間で生じる凝固収縮やバルジングを十分に防止す
ることができず、また圧下位置が適切でなければかえっ
て中心偏析が悪化するといった問題があった。
他方、鍛造金型を用いて鋳片の凝固完了点近傍を大圧
下する場合は、インラインリダグション法の如きロール
による大圧下に比べて凝固界面が割れにくく、また負偏
析さらにはセミマクロ偏析をも飛躍的に改善できること
が明らかになってはいるけれども、依然として未凝固層
の大きい鋳片領域での圧下が不十分であると凝固界面に
割れが発生し、逆に圧下が十分すぎると鋳片の中心部に
強い負偏析を生じる不利があり、さらには未凝固厚の小
さい領域を圧下してもその効果が得られないことから、
最適な圧下条件を模索しているのが現状である。
下する場合は、インラインリダグション法の如きロール
による大圧下に比べて凝固界面が割れにくく、また負偏
析さらにはセミマクロ偏析をも飛躍的に改善できること
が明らかになってはいるけれども、依然として未凝固層
の大きい鋳片領域での圧下が不十分であると凝固界面に
割れが発生し、逆に圧下が十分すぎると鋳片の中心部に
強い負偏析を生じる不利があり、さらには未凝固厚の小
さい領域を圧下してもその効果が得られないことから、
最適な圧下条件を模索しているのが現状である。
(発明が解決しようとする課題) この発明は、上記技術の問題点を有利に解決するもの
で、成分調整に併せ、連鋳条件に工夫を加えることによ
り、高温長時間の均質化焼鈍を必要とすることなしに、
従来の高炭素クロム軸受鋼と同等以上の優れた転動疲労
寿命を有しかつ生産性の高い軸受用素材の有利な製造方
法を提案することを目的とする。
で、成分調整に併せ、連鋳条件に工夫を加えることによ
り、高温長時間の均質化焼鈍を必要とすることなしに、
従来の高炭素クロム軸受鋼と同等以上の優れた転動疲労
寿命を有しかつ生産性の高い軸受用素材の有利な製造方
法を提案することを目的とする。
(課題を解決するための手段) すなわちこの発明は、 C :0.60〜1.50wt%、 Si:0.15〜2.00wt%、 Mn:0.15〜2.50wt%、 Cr:0.05〜1.00wt%および Mo:0.50超〜1.50wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼
を、連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了するクレータエ
ンド近傍にて圧下率5%以上の鍛圧加工を施し、ついで
熱間圧延を施すことからなる転動疲労寿命に優れた軸受
用素材の製造方法(第1発明)である。
を、連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了するクレータエ
ンド近傍にて圧下率5%以上の鍛圧加工を施し、ついで
熱間圧延を施すことからなる転動疲労寿命に優れた軸受
用素材の製造方法(第1発明)である。
またこの発明は、溶鋼の成分組成が、 C :0.60〜1.50wt%、 Si:0.15〜2.00wt%、 Mn:0.15〜2.50wt%、 Cr:0.05〜1.00wt%および Mo:0.50超〜1.50wt% を含み、さらに V :0.05〜0.50wt%、 Nb:0.05〜0.50wt%、 W :0.05〜0.50wt%、 Ni:0.10〜2.00wt%および Cu:0.05〜1.00wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物の組成になる転動疲労寿命に優
れた軸受用素材の製造方法(第2発明)である。
Feおよび不可避的不純物の組成になる転動疲労寿命に優
れた軸受用素材の製造方法(第2発明)である。
(作 用) まずこの発明において、素材の成分組成を上記の範囲
に限定した理由について説明する。
に限定した理由について説明する。
C:0.60〜1.50% Cは、基地に固溶することによって、強度、耐摩耗性
ひいては転動疲労寿命特性を向上させる有用元素であ
る。しかしながらあまりに多すぎると巨大炭化物が生成
し、かえって転動疲労寿命を劣化させるだけでなく、さ
らにその消散のため長時間の拡散焼鈍が必要となり生産
性の低下を招く。そこで上記の点を勘案してC量は0.60
〜1.50%の範囲で添加するものとした。
ひいては転動疲労寿命特性を向上させる有用元素であ
る。しかしながらあまりに多すぎると巨大炭化物が生成
し、かえって転動疲労寿命を劣化させるだけでなく、さ
らにその消散のため長時間の拡散焼鈍が必要となり生産
性の低下を招く。そこで上記の点を勘案してC量は0.60
〜1.50%の範囲で添加するものとした。
Si:0.15〜2.00% Siは、鋼の溶製時脱酸剤として作用するほか、基地に
固溶し焼戻しによる硬度低下を抑制して転動疲労寿命を
向上させる有用元素である。しかしながらあまりに多す
ぎると被削性ならびに鍛造性を劣化させるので、Siは0.
15〜2.00%の範囲で添加するものとした。
固溶し焼戻しによる硬度低下を抑制して転動疲労寿命を
向上させる有用元素である。しかしながらあまりに多す
ぎると被削性ならびに鍛造性を劣化させるので、Siは0.
15〜2.00%の範囲で添加するものとした。
Mn:0.15〜2.50% Mnは、鋼の焼入れ性を向上させることにより、基地靭
性の向上、ひいては鋼材の転動疲労寿命の向上に有効に
寄与する。しかしながら多すぎると被削性ならびに鍛造
性を劣化させるので、Mnは0.15〜2.50%の範囲で添加す
るものとした。
性の向上、ひいては鋼材の転動疲労寿命の向上に有効に
寄与する。しかしながら多すぎると被削性ならびに鍛造
性を劣化させるので、Mnは0.15〜2.50%の範囲で添加す
るものとした。
Cr:0.05〜1.00% Crは、焼入れ性を向上させ基地の強度および靭性を高
めると共に、炭化物の形成を助長し耐摩耗性を向上させ
るのに有効である。かかる効果は、0.05%以上で顕著に
なるのでこの値を下限とする。しかしながら1.00%を超
えると耐摩耗性および切削性が劣化し、また添加コスト
が上昇する。さらに鋳造時共晶炭化物を生成して、転動
疲労寿命を低下させるばかりでなく、この悪影響を解消
するために、高温、長時間の均質化処理が必要となる。
よって、1.00%を上限とした。
めると共に、炭化物の形成を助長し耐摩耗性を向上させ
るのに有効である。かかる効果は、0.05%以上で顕著に
なるのでこの値を下限とする。しかしながら1.00%を超
えると耐摩耗性および切削性が劣化し、また添加コスト
が上昇する。さらに鋳造時共晶炭化物を生成して、転動
疲労寿命を低下させるばかりでなく、この悪影響を解消
するために、高温、長時間の均質化処理が必要となる。
よって、1.00%を上限とした。
Mo:0.50超〜1.50% Moは、焼入性を高めるだけでなく、強い固溶強化、析
出硬化機能を有することから、強度ならびに転動疲労寿
命の向上に有効に寄与する。しかしながら多すぎると切
削性を劣化させると共に、添加コストの上昇を招く。よ
ってMoは0.50超〜1.50%き範囲で添加するものとした。
出硬化機能を有することから、強度ならびに転動疲労寿
命の向上に有効に寄与する。しかしながら多すぎると切
削性を劣化させると共に、添加コストの上昇を招く。よ
ってMoは0.50超〜1.50%き範囲で添加するものとした。
この発明では、上記した基本成分の他、必要に応じ
て、V,Nb,W,NiおよびCuのうちから選んだ1種または2
種以上を、強度向上成分として以下に述べる範囲で添加
することができる。
て、V,Nb,W,NiおよびCuのうちから選んだ1種または2
種以上を、強度向上成分として以下に述べる範囲で添加
することができる。
V,Nb,W:0.05〜0.50% V,NbおよびWはそれぞれ、高温で安定した炭化物を形
成し、転動疲労寿命特性を向上させる。しかし、多すぎ
ると焼戻後の硬度が低下し、かえって転動疲労寿命特性
を劣化させる。よって、V,NbおよびWはそれぞれ、0.05
〜0.50%の範囲で添加するものとした。
成し、転動疲労寿命特性を向上させる。しかし、多すぎ
ると焼戻後の硬度が低下し、かえって転動疲労寿命特性
を劣化させる。よって、V,NbおよびWはそれぞれ、0.05
〜0.50%の範囲で添加するものとした。
Ni:0.10〜2.00% Niは、焼入れ性の向上に寄与するだけでなく、焼戻し
後の硬度低下を抑制させることから、強度および転動疲
労寿命の向上に有用な元素である。しかしながらあまり
に多すぎると、残留γが多量に生成し焼戻し後の鋼材硬
度を低下させる。よってNiは0.10〜2.00%の範囲で添加
するものとした。
後の硬度低下を抑制させることから、強度および転動疲
労寿命の向上に有用な元素である。しかしながらあまり
に多すぎると、残留γが多量に生成し焼戻し後の鋼材硬
度を低下させる。よってNiは0.10〜2.00%の範囲で添加
するものとした。
Cu:0.05〜1.00% Cuは、Niと同様、焼入れ性の向上に寄与するだけでな
く、焼戻し後の硬度低下を抑制させることから、強度お
よび転動疲労寿命の向上に有用な元素である。しかしな
がら含有量が多すぎる場合には鍛造性の劣化を招く。よ
ってCuは0.05〜1.00%の範囲で添加するものとした。
く、焼戻し後の硬度低下を抑制させることから、強度お
よび転動疲労寿命の向上に有用な元素である。しかしな
がら含有量が多すぎる場合には鍛造性の劣化を招く。よ
ってCuは0.05〜1.00%の範囲で添加するものとした。
なおその他、酸素量低減および介在物形態制御を目的
としてAl,Ca,Na,K,MgおよびZrのうちから選んだ1種ま
たは2種以上を、また被削性向上を目的としてS,Ca,Pb,
B,BiおよびREMのうちから選んだ1種または2種以上
を、さらに熱間強度向上を目的としてPおよびNのうち
から選んだ1種または2種を、またさらに脱炭低減を目
的としてSbをそれぞれ少量添加することもできる。
としてAl,Ca,Na,K,MgおよびZrのうちから選んだ1種ま
たは2種以上を、また被削性向上を目的としてS,Ca,Pb,
B,BiおよびREMのうちから選んだ1種または2種以上
を、さらに熱間強度向上を目的としてPおよびNのうち
から選んだ1種または2種を、またさらに脱炭低減を目
的としてSbをそれぞれ少量添加することもできる。
さて上述したような好適成分組成に調整した溶鋼を、
連続鋳造して鋳片とするが、この発明では、得られた連
続鋳造鋳片の内部溶鋼が凝固完了するクレータエンド近
傍にて圧下率:5%以上の鍛圧加工を施すことが肝要であ
り、かくして鋳片中心部における偏析の生成を防止する
のである。
連続鋳造して鋳片とするが、この発明では、得られた連
続鋳造鋳片の内部溶鋼が凝固完了するクレータエンド近
傍にて圧下率:5%以上の鍛圧加工を施すことが肝要であ
り、かくして鋳片中心部における偏析の生成を防止する
のである。
ここに、上記の如き鍛圧加工によって、鋳片中心に相
当する位置での偏析が改善される理由は、次のとおりと
考えられる。
当する位置での偏析が改善される理由は、次のとおりと
考えられる。
すなわち内部溶鋼の凝固末期には、大型の非金属介在
物を含んだ合金元素濃度の高い溶鋼がクレータエンド近
傍に存在するため、このまま凝固すると非金属介在物の
残存ならびに中心編析が生じるわけであるが、凝固前に
鍛圧加工を施すと、かような非金属介在物を含む濃化溶
鋼は上方に押し出されるため、中心部の非金属介在物量
ならびに合金元素量はさほど上昇することはなく、その
結果、中心部における転動疲労寿命特性は向上する。
物を含んだ合金元素濃度の高い溶鋼がクレータエンド近
傍に存在するため、このまま凝固すると非金属介在物の
残存ならびに中心編析が生じるわけであるが、凝固前に
鍛圧加工を施すと、かような非金属介在物を含む濃化溶
鋼は上方に押し出されるため、中心部の非金属介在物量
ならびに合金元素量はさほど上昇することはなく、その
結果、中心部における転動疲労寿命特性は向上する。
そして上記したとおり中心偏析や共晶炭化物が効果的
に抑制される結果、従来均熱炉を用いて行われていた拡
散焼鈍処理時間が大幅に短縮されるのである。
に抑制される結果、従来均熱炉を用いて行われていた拡
散焼鈍処理時間が大幅に短縮されるのである。
第1図に、C:1.01%、Si:0.80%、Mn:0.45%、Cr:0.2
5%およびMo:0.80%を含有する組成になる溶鋼の連続鋳
造に際し、連続鋳造中に種々の圧下率で鍛圧加工を行っ
て得た鋳片、および鍛圧加工を行わない従来法により得
られた鋳片をそれぞれ、2時間の拡散焼鈍後、棒鋼圧延
により65mmφ棒鋼とし、中心部(棒鋼の中心が試験片の
表面にくるように試験片を採取)およびD/4部(棒鋼の
表面と中心の中間の位置であり、このD/4部が試験片の
表面にくるように試験片を採取)における転動疲労寿命
特性について調べた結果を示す。
5%およびMo:0.80%を含有する組成になる溶鋼の連続鋳
造に際し、連続鋳造中に種々の圧下率で鍛圧加工を行っ
て得た鋳片、および鍛圧加工を行わない従来法により得
られた鋳片をそれぞれ、2時間の拡散焼鈍後、棒鋼圧延
により65mmφ棒鋼とし、中心部(棒鋼の中心が試験片の
表面にくるように試験片を採取)およびD/4部(棒鋼の
表面と中心の中間の位置であり、このD/4部が試験片の
表面にくるように試験片を採取)における転動疲労寿命
特性について調べた結果を示す。
なお、転動疲労寿命試験は、円筒型転動疲労寿命試験
機を用い、ヘルツ最大接触応力600kg/mm2、繰り返し応
力数46240cpmの条件で行い、試験結果はワイブル分布に
従うものと仮定して確率紙上にまとめ、従来法により得
られた鍛圧加工なしで2時間拡散焼鈍材の中心部のL10
寿命(累積破損確率が10%のときの、はく離までの応力
負荷回数)を1として、相対的に評価した。
機を用い、ヘルツ最大接触応力600kg/mm2、繰り返し応
力数46240cpmの条件で行い、試験結果はワイブル分布に
従うものと仮定して確率紙上にまとめ、従来法により得
られた鍛圧加工なしで2時間拡散焼鈍材の中心部のL10
寿命(累積破損確率が10%のときの、はく離までの応力
負荷回数)を1として、相対的に評価した。
同図より明らかなように、棒鋼中心部材の転動疲労寿
命特性は、圧下率が5%以上の鍛圧加工を施すことによ
って、かかる鍛圧加工を施さない従来法の5倍以上に向
上した。
命特性は、圧下率が5%以上の鍛圧加工を施すことによ
って、かかる鍛圧加工を施さない従来法の5倍以上に向
上した。
従ってこの発明では、鍛圧加工による圧下率につき、
5%以上の範囲に限定したのである。とはいえ圧下率が
60%を超えると圧延後の素材精度が低下するという問題
が生じるので、圧下率は60%以下とするのが好ましい。
5%以上の範囲に限定したのである。とはいえ圧下率が
60%を超えると圧延後の素材精度が低下するという問題
が生じるので、圧下率は60%以下とするのが好ましい。
(実施例) 第1表に示す化学成分になる種々の溶鋼を、転炉→連
続鍛造法により、第2表に示す条件下に処理して鋳片と
した。
続鍛造法により、第2表に示す条件下に処理して鋳片と
した。
ついで均熱炉について、1240℃、2hまたは20hの均質
化処理を施したのち、65mmφ棒鋼に熱間圧延後、球状化
焼鈍処理を行い、D/4部および中心部(棒鋼の中心が試
験片の表面にくるように採取)より転動疲労寿命試験片
を採取し、焼入れ、焼戻し後、転動疲労寿命試験を実施
した。
化処理を施したのち、65mmφ棒鋼に熱間圧延後、球状化
焼鈍処理を行い、D/4部および中心部(棒鋼の中心が試
験片の表面にくるように採取)より転動疲労寿命試験片
を採取し、焼入れ、焼戻し後、転動疲労寿命試験を実施
した。
転動疲労寿命試験は、円筒型転動疲労寿命試験機を用
い、ヘルツ最大接触応力600kgf/mm2、繰り返し応力数46
240cpmの条件で行い、試験結果はワイブル分布に従うも
のと仮定して確率紙上にまとめ、鋼材No.1の20h拡散焼
鈍処理材のD/4部のL10寿命(累積破損確率が10%のとき
の、はく離までの応力負荷回数)を1として、相対的に
評価した。
い、ヘルツ最大接触応力600kgf/mm2、繰り返し応力数46
240cpmの条件で行い、試験結果はワイブル分布に従うも
のと仮定して確率紙上にまとめ、鋼材No.1の20h拡散焼
鈍処理材のD/4部のL10寿命(累積破損確率が10%のとき
の、はく離までの応力負荷回数)を1として、相対的に
評価した。
得られた結果を第2表に併記する。
第2表より明らかなように、成分組成範囲および鍛圧
加工における圧下率がこの発明の適正範囲を満足するも
のはいずれも、転動疲労寿命特性は鋼材No.1の20h拡散
焼鈍処理材(従来材)に比べて格段に向上している。
加工における圧下率がこの発明の適正範囲を満足するも
のはいずれも、転動疲労寿命特性は鋼材No.1の20h拡散
焼鈍処理材(従来材)に比べて格段に向上している。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、高温長時間の均質化焼鈍
を施す必要なしに、従来の鋼材よりも優れた転動疲労寿
命を有する軸受用素材を得ることができる。
を施す必要なしに、従来の鋼材よりも優れた転動疲労寿
命を有する軸受用素材を得ることができる。
第1図は、鍛圧加工における圧下率と転動疲労寿命特性
との関係を示したグラフである。
との関係を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−199308(JP,A) 特開 平3−199309(JP,A) 特開 平3−254339(JP,A) 特開 平3−254341(JP,A) 特開 平3−254342(JP,A) 特開 平3−258445(JP,A) 特開 平1−218738(JP,A) 特開 昭61−162253(JP,A) 特開 昭63−268548(JP,A) 特開 昭63−183765(JP,A) 特開 昭60−121054(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 11/128 350 B23K 11/00 C21D 8/00 C22C 38/00 301 C22C 38/22
Claims (2)
- 【請求項1】C :0.60〜1.50wt%、 Si:0.15〜2.00wt%、 Mn:0.15〜2.50wt%、 Cr:0.05〜1.00wt%および Mo:0.50超〜1.50wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼
を、連続鋳造し、鋳片内部が凝固を完了するクレータエ
ンド近傍にて圧下率5%以上の鍛圧加工を施し、ついで
熱間圧延を施すことを特徴とする転動疲労寿命に優れた
軸受用素材の製造方法。 - 【請求項2】溶鋼の成分組成が、 C :0.60〜1.50wt%、 Si:0.15〜2.00wt%、 Mn:0.15〜2.50wt%、 Cr:0.05〜1.00wt%および Mo:0.50超〜1.50wt% を含み、さらに V :0.05〜0.50wt%、 Nb:0.05〜0.50wt%、 W :0.05〜0.50wt%、 Ni:0.10〜2.00wt%および Cu:0.05〜1.00wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物の組成になる請求項1記載の軸
受用素材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2050824A JP2986829B2 (ja) | 1990-03-03 | 1990-03-03 | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2050824A JP2986829B2 (ja) | 1990-03-03 | 1990-03-03 | 転動疲労寿命に優れた軸受用素材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH03254340A JPH03254340A (ja) | 1991-11-13 |
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