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JP2023052307A - 自律走行システム及び作業経路の生成方法 - Google Patents

自律走行システム及び作業経路の生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】オフセット型作業機を装着して行う作業に特に適した経路を用いて自律走行及び作業を行う自律走行システム及び作業経路の生成方法を提供する。【解決手段】この自律走行システム100は、トラクタ1を自律走行させる自律走行システム100であって、内側作業経路と、外側作業経路と、を作成する経路作成部を備える。内側作業経路は、トラクタ1を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う作業経路である。外側作業経路は、トラクタ1を、第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う作業経路である。【選択図】図3

Description

本発明は、主として、作業車両を自律走行させる自律走行システム及び作業経路の生成方法に関する。
オフセット型作業機とは、作業車両に対して車幅方向の何れかにオフセットした位置で作業を行う作業機である。特許文献1には、オフセット型作業機を装着した作業車両を自律走行させる走行経路を作成する自律走行経路作成システムが開示されている。
特開2017-211733号公報
ここで、オフセット型作業機を装着して作業を行う場合は、通常の(オフセットしない)作業機を装着した場合とは異なる観点で経路を作成することが好ましいことがある。しかし、特許文献1の自律走行経路作成システムは、経路作成を単純化するために、オフセットしない作業機を装着した場合の経路を利用して、オフセット型作業機を装着した場合の経路を作成する。そのため、特許文献1の方法では、オフセット型作業機に適した経路を作成することができない可能性がある。また、オフセット型作業機を装着した場合の経路は、様々な事情(例えば、装着したオフセット型作業機の種類やオペレータの好み等)に起因して最適な経路が1つに確定できない可能性がある。
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、オフセット型作業機を装着して行う作業に特に適した経路を用いて自律走行及び作業を行う自律走行システム及び作業経路の生成方法を提供することにある。
本発明の一態様に係る自律走行システムは、作業車両を自律走行させる自律走行システムにおいて、内側作業経路と、外側作業経路と、を作成する経路作成部を備える。前記内側作業経路は、前記作業車両を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う作業経路である。前記外側作業経路は、前記作業車両を、前記第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、前記内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う作業経路である。
本発明の一態様に係る作業経路の生成方法は、作業車両を自律走行させる作業経路の生成方法であって、内側作業経路と、外側作業経路と、を作成する。前記内側作業経路は、前記作業車両を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う作業経路である。前記外側作業経路は、前記作業車両を、前記第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、前記内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う作業経路である。
本発明の一実施形態に係る自律走行システムで用いられるトラクタの全体的な構成を示す側面図。 トラクタの平面図。 自律走行システムの主要な構成を示すブロック図。 作業経路を作成するフローチャート。 第1モードの外側作業経路を説明する図。 第1モードの第1内側作業経路を説明する図。 第1モードの第2内側作業経路の1周目を説明する図。 第1モードの第2内側作業経路の2周目以降を説明する図。 第1モードの外側作業経路から第1内側作業経路に移行する際の旋回方法を示す図。 第2モードの外側作業経路を説明する図。 第2モードの内側作業経路を説明する図。 第2モードの外側作業経路から内側作業経路に移行する際の旋回方法を示す図。 第3モードの内側作業経路を説明する図。 第3モードの外側作業経路の1周目を説明する図。 第3モードの外側作業経路の2周目以降を説明する図。 第3モードの内側作業経路から外側作業経路に移行する際の旋回方法を示す図。 内側領域が台形の場合に作業跡の過剰なズレが生じることを説明する図。 内側領域が台形の場合の内側領域の形状調整を説明する図。 内側領域を調整することで作業跡のズレが軽減されることを説明する図。
次に、本発明の実施形態である自律走行システムについて説明する。自律走行システムは、圃場(走行領域)で1台又は複数台の作業車両を自律的に走行させて、作業の全部又は一部を実行させるものである。本実施形態では、作業車両としてトラクタを例に説明するが、作業車両としては、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建設作業装置、除雪車等、乗用型作業機に加え、歩行型作業機も含まれる。本明細書において自律走行とは、トラクタが備える制御部(ECU)によりトラクタが備える走行に関する構成が制御されることで、予め定められた経路に沿うように少なくとも操舵が自律的に行われることを意味する。また、操舵に加え、車速又は作業機による作業等が自律的に行われる構成であってもよい。自律走行には、トラクタに人が乗っている場合と、トラクタに人が乗っていない場合が含まれる。
次に、図1から図3を参照して自律走行システム100について具体的に説明する。図1は、トラクタ1の全体的な構成を示す側面図である。図2は、トラクタ1の平面図である。図3は、自律走行システム100の制御系の主要な構成を示すブロック図である。
図1に示すトラクタ1は、自律走行システム100で用いられ、無線通信端末46との間で無線通信を行うことにより操作される。トラクタ1は、圃場内を自律走行することが可能な走行機体(車体部)2を備える。走行機体2には、例えば農作業を行うための作業機3が着脱可能に取り付けられている。
この作業機3としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機があり、これらの中から選択された作業機3が走行機体2に装着される。本実施形態では、作業機3として、図略の回転刃により草刈作業を行う草刈作業部3aを備える草刈機が用いられている。この草刈機は、草刈作業部3aをトラクタ1に対して車幅方向にオフセットさせた状態で作業を行うオフセット型作業機である。以下では、トラクタ1に対して作業機3が車幅方向の何れに位置しているかをオフセット方向と称する。図2に示すように、本実施形態の作業機3のオフセット方向は進行方向右側である。なお、オフセット方向は、進行方向左側であってもよい。
図2には、オフセット距離L1と、作業幅L2と、が示されている。オフセット距離L1は、トラクタ1に対する作業機3の車幅方向の距離である。詳細には、トラクタ1の車幅方向の基準位置と、作業機3(草刈作業部3a)に適宜設定された基準位置3cの車幅方向の離間距離がオフセット距離L1である。トラクタ1の基準位位置は、例えば車幅方向の中央の位置であるが、別の位置であってもよい。作業機3の基準位置3cは、例えば作業機3の車幅方向の中央の位置であるが、別の位置(例えば作業幅L2の車幅方向の中央の位置)であってもよい。作業幅L2とは、草刈作業部3aによって作業が行われる車幅方向の有効幅である。
トラクタ1の構成について、図1及び図2を参照してより詳細に説明する。トラクタ1の走行機体2は、図1に示すように、その前部が左右1対の前輪7,7で支持され、その後部が左右1対の後輪8,8で支持されている。
走行機体2の前部にはボンネット9が配置されている。このボンネット9内には、トラクタ1の駆動源であるエンジン10及び燃料タンク(図略)が収容されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成してもよい。また、駆動源としては、エンジンに加えて、又はこれに代えて、電気モータを使用してもよい。
ボンネット9の後方には、ユーザが搭乗するためのキャビン11が配置されている。このキャビン11の内部には、ユーザが操舵を行うためのステアリングハンドル(操舵具)12と、ユーザが着座可能な座席13と、各種の操作を行うための様々な操作具と、が主として設けられている。ただし、トラクタ1等の作業車両は、キャビン11を備えていてもよいし、キャビン11を備えていなくてもよい。
上記の操作具としては、図2に示すモニタ装置14、スロットルレバー15、複数の油圧操作レバー16、主変速レバー17等を例として挙げることができる。これらの操作装置は、座席13の近傍、又はステアリングハンドル12の近傍に配置されている。
モニタ装置14は、トラクタ1の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバー15は、エンジン10の回転速度を設定するための操作具である。油圧操作レバー16は、図略の油圧外部取出バルブを切換操作するための操作具である。主変速レバー17は、トラクタ1の走行速度を無段階で変更するための操作具である。
図1に示すように、走行機体2の下部には、トラクタ1のシャーシ20が設けられている。当該シャーシ20は、機体フレーム21、トランスミッション22、フロントアクスル23、及びリアアクスル24等から構成されている。
機体フレーム21は、トラクタ1の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン10を支持している。トランスミッション22は、エンジン10からの動力を変化させてフロントアクスル23及びリアアクスル24に伝達する。フロントアクスル23は、トランスミッション22から入力された動力を前輪7に伝達するように構成されている。リアアクスル24は、トランスミッション22から入力された動力を後輪8に伝達するように構成されている。
図3に示すように、トラクタ1は、制御部4を備える。制御部4は公知のコンピュータとして構成されており、図示しないCPU等の演算装置、不揮発性メモリ等の記憶装置、及び入出力部等を備える。記憶装置には、各種のプログラム及びトラクタ1の制御に関するデータ等が記憶されている。演算装置は、各種のプログラムを記憶装置から読み出して実行することができる。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、制御部4を走行制御部4a及び作業機制御部4bとして動作させることができる。走行制御部4aは、走行機体2の走行(前進、後進、停止、及び旋回等)を制御する。作業機制御部4bは、作業機3の動作(昇降、駆動、及び停止等)を制御する。なお、制御部4は、これら以外の制御を行うこともできる。また、制御部4は、1つのコンピュータから構成されていてもよいし、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
走行制御部4aは、トラクタ1の車速を制御する車速制御と、トラクタ1を操舵する操舵制御と、を行う。制御部4は、車速制御を行う場合、エンジン10の回転速度及びトランスミッション22の変速比の少なくとも一方を制御する。
具体的には、エンジン10には、当該エンジン10の回転速度を変更させる図略のアクチュエータを備えたガバナ装置41が設けられている。走行制御部4aは、ガバナ装置41を制御することで、エンジン10の回転速度を制御することができる。また、エンジン10には、エンジン10の燃焼室内に噴射(供給)するための燃料の噴射時期・噴射量を調整する燃料噴射装置45が付設されている。走行制御部4aは、燃料噴射装置45を制御することで、例えばエンジン10への燃料の供給を停止させ、エンジン10の駆動を停止させることができる。
また、トランスミッション22には、例えば可動斜板式の油圧式無段変速装置である変速装置42が設けられている。走行制御部4aは、変速装置42の斜板の角度を図略のアクチュエータによって変更することで、トランスミッション22の変速比を変更する。以上の処理を行うことにより、トラクタ1が目標の車速に変更される。
走行制御部4aは、位置情報取得部49からトラクタ1の位置を取得し、トラクタ1が予め定められた経路に沿って走行するように操舵制御を行う。具体的には、ステアリングハンドル12の回転軸(ステアリングシャフト)の中途部には、操舵アクチュエータ43が設けられている。走行制御部4aは、経路に沿ってトラクタ1が走行するようにステアリングハンドル12の適切な回動角度を計算し、得られた回動角度となるように操舵アクチュエータ43を駆動し、ステアリングハンドル12の回動角度を制御する。
作業機制御部4bは、作業実行条件を満たすか否かに基づいて、作業機3の駆動と停止を切り替える。また、作業機制御部4bは、作業機3の昇降を制御する。具体的には、トラクタ1は、作業機3を走行機体2に連結している3点リンク機構の近傍に、油圧シリンダ等からなる昇降アクチュエータ44を備えている。作業機制御部4bが昇降アクチュエータ44を駆動して作業機3を適宜に昇降動作させることにより、所望の高さで作業機3による作業を行うことができる。
上述のような制御部4を備えるトラクタ1は、ユーザがキャビン11内に搭乗して各種操作をしなくとも、当該制御部4により走行機体2及び作業機3を制御して、圃場内を自律走行しながら自律作業を行うことができる。
次に、自律走行を行うために必要な情報を取得する構成について説明する。具体的には、本実施形態のトラクタ1は、図3等に示すように、測位用アンテナ6、無線通信用アンテナ48、車速センサ53、及び舵角センサ52等を備える。また、これらに加えて、トラクタ1には、走行機体2の姿勢(ロール角、ピッチ角、ヨー角)を特定することが可能な慣性計測ユニット(IMU)が備えられている。
測位用アンテナ6は、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。図1に示すように、測位用アンテナ6は、トラクタ1のキャビン11のルーフ5の上面に取り付けられている。測位用アンテナ6で受信された測位信号は、図3に示す位置検出部としての位置情報取得部49に入力される。位置情報取得部49は、トラクタ1の走行機体2(厳密には、測位用アンテナ6)の位置情報を、例えば緯度・経度情報として算出し、取得する。当該位置情報取得部49で取得された位置情報は、制御部4に入力されて、自律走行に利用される。
なお、本実施形態ではGNSS-RTK法を利用した高精度の衛星測位システムが用いられているが、これに限るものではなく、高精度の位置座標が得られる限りにおいて他の測位システムを用いてもよい。例えば、相対測位方式(DGPS)、又は静止衛星型衛星航法補強システム(SBAS)を使用することが考えられる。
無線通信用アンテナ48は、ユーザが操作する無線通信端末46からの信号を受信したり、無線通信端末46への信号を送信したりするものである。図1に示すように、無線通信用アンテナ48は、トラクタ1のキャビン11が備えるルーフ5の上面に取り付けられている。無線通信用アンテナ48で受信した無線通信端末46からの信号は、図3に示す無線通信部40で信号処理された後、制御部4に入力される。また、制御部4等から無線通信端末46に送信する信号は、無線通信部40で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて無線通信端末46で受信される。
上記の車速センサ53は、トラクタ1の車速を検出するものであり、例えば前輪7,7の間の車軸に設けられる。車速センサ53で得られた検出結果のデータは、制御部4へ出力される。なお、トラクタ1の車速は車速センサ53で検出せずに、測位用アンテナ6に基づいて所定距離におけるトラクタ1の移動時間に基づいて算出してもよい。舵角センサ52は、前輪7,7の舵角を検出するセンサである。本実施形態において、舵角センサ52は前輪7,7に設けられた図示しないキングピンに備えられている。舵角センサ52で得られた検出結果のデータは、制御部4へ出力される。なお、舵角センサ52をステアリングシャフトに備える構成としてもよい。
図3に示すように、無線通信端末46は、ディスプレイ31及びタッチパネル32を備える。無線通信端末46は、タブレット端末であるが、スマートフォン又はノートPC等であってもよい。なお、トラクタ1にユーザが搭乗した状態でトラクタ1に自律走行を行わせる場合は、トラクタ1側(例えば制御部4)に無線通信端末46と同じ機能を持たせてもよい。ユーザは、無線通信端末46のディスプレイ31に表示された情報(例えば車速センサ53等からの情報)を参照して確認することができる。また、ユーザは、上記のタッチパネル32又は図略のハードウェアキー等を操作して、トラクタ1の制御部4に、トラクタ1を制御するための制御信号(例えば、一時停止信号等)を送信することができる。
無線通信端末46は、図示しないCPU等の演算装置、不揮発性メモリ等の記憶装置、及び入出力部等を備える。記憶装置には、各種のプログラム及び経路に関するデータ等が記憶されている。演算装置は、各種のプログラムを記憶装置から読み出して実行することができる。上記のハードウェアとソフトウェアの協働により、無線通信端末46を表示制御部33、圃場取得部34、設定部35、内側作業経路作成部36、外側作業経路作成部37、及びモード選択部38として動作させることができる(具体的な処理は後述)。
表示制御部33は、ディスプレイ31に表示する表示用データを作成し、表示内容を適宜に制御する。例えば、表示制御部33は、トラクタ1を経路に沿って自律走行させている間は、所定の監視画面、指示画面等をディスプレイ31に表示させる。
圃場取得部34は、トラクタ1が自律走行を行う対象となる圃場の位置及び形状を記憶装置から取得する。圃場の位置及び形状は、トラクタ1を圃場の外周に沿って走行させた際の測位用アンテナ6の位置情報の推移に基づいて作成されている。なお、トラクタ1を実際に走行させずに、例えばディスプレイ31に表示された地図上でユーザが範囲を指定することで、圃場の位置及び形状が作成されていてもよい。また、本実施形態では圃場に関する情報は無線通信端末46に記憶されているが、無線通信端末46と物理的に離れたサーバに記憶されていてもよい。この場合、圃場取得部34は、このサーバから圃場に関する情報を取得する。
設定部35は、経路を作成するために必要となる情報(以下、経路作成情報)を設定する。設定部35は、例えば経路作成情報を入力する画面を表示し、オペレータによる入力に応じて、経路作成情報を設定する。あるいは、設定部35は、記憶部又はサーバ等に記憶されている情報にアクセスして経路作成情報を取得して設定することもできる。経路作成情報は、例えば、トラクタ1の車幅W、オフセット距離L1、オフセット方向、及び作業幅L2である。車幅Wは、図2に示すようにトラクタ1全体の車幅方向の長さであるが、前輪7及び後輪8の車幅方向の長さであってもよい。
内側作業経路作成部36及び外側作業経路作成部37は、作業を行うためにトラクタ1を自律走行させる作業経路を作成する。本実施形態では、圃場を内側領域と、内側領域の周囲を囲む外側領域と、に区分する。内側作業経路作成部36は、内側領域に作業を行うための経路(内側作業経路)を作成する。外側作業経路作成部37は、外側領域に作業を行うための経路(外側作業経路)を作成する。また、詳細は後述するが、本実施形態では内側作業経路と外側業経路はともに圃場を周回する経路であり、内側作業経路の周回方向と、外側作業経路の周回方向と、が逆方向となるように経路が作成される。内側作業経路作成部36及び外側作業経路作成部37が作成した作業経路は、無線通信端末46に記憶される。
次に、作業経路を作成する処理の流れについて図4を参照して簡単に説明する。図4は、無線通信端末46が行う処理であるが、一部の処理をトラクタ1の制御部4が行ってもよい。初めに、圃場取得部34は、記憶装置から圃場の位置及び形状を取得する(S101)。次に、設定部35は、車幅W、オフセット距離L1、オフセット方向、及び作業幅L2の入力を受け付ける(S102)。上述したように、設定部35は、オペレータが入力した情報を設定する。次に、モード選択部38は、経路作成モードの選択を受け付ける(S103)。本実施形態では、複数の方法で作業経路を作成可能である。それぞれの方法は、長所及び短所があるため、オペレータが指示した経路作成モードに応じた方法で作業経路を作成する。なお、作業経路の作成毎にオペレータに問い合わせる方法に代えて、オペレータが事前に経路作成モードを選択しておき、事前に選択された経路作成モードで作業経路が毎回作成されてもよい。また、オペレータではなくモード選択部38が様々な条件(作業機3の種類及び圃場の形状等)に基づいて経路作成モードを選択してもよい。それぞれの経路作成モードの詳細は後述する。次に、内側作業経路作成部36及び外側作業経路作成部37は、入力された経路作成モードに応じた方法で、内側作業経路及び外側作業経路を作成する(S104)。また、入力された経路作成モードに応じた順序で、内側作業経路と外側作業経路の走行順序が決定される。以上により、作業経路の作成が完了する。
ユーザは、無線通信端末46を適宜操作して、内側作業経路作成部36及び外側作業経路作成部37が作成した作業経路の情報をトラクタ1の制御部4に入力(転送)する。その後、ユーザはトラクタ1を走行させて、トラクタ1を作業経路の開始位置に配置する。続いて、ユーザが無線通信端末46を操作し、自律走行の開始を指示する。これにより、トラクタ1が作業経路に沿って走行しながら作業を行う。
以下、3つの経路作成モードについて詳細に説明する。以下では、3つの経路作成モードをそれぞれ第1モード、第2モード、及び第3モードと称し、この順番に説明する。また、オフセット型作業機を用いて作業を行う場合、(1)未作業領域をできる限り走行しない、(2)既作業領域を再度作業することはできる限り避ける、(3)圃場の多くの面積を自律走行で作業する等を目標として作業経路が作成される。この目標は一例であり、3つのうち、全てが重視されるとも限られず、1つ又は2つのみが重視される場合もあるまた、ここで挙げた3つ以外の点が重視される場合もある。
次に、図5から図9を参照して、第1モードでの作業経路の作成方法について説明する。第1モードでは、図8に示すように、圃場を外側領域と内側領域(第1内側領域及び第2内側領域)に区分する。外側領域は、内側領域の外側を囲むように位置している。第1内側領域は、第2内側領域の外側を囲むように位置している。外側領域に作業を行うための経路が外側作業経路61である。第1内側領域に作業を行うための経路が第1内側作業経路62である。第2内側領域に作業を行うための経路が第2内側作業経路63である。トラクタ1は、外側作業経路61、第1内側作業経路62、及び第2内側作業経路63の順に走行して作業を行う。
初めに、図5を参照して外側作業経路61について説明する。図5の上側にはトラクタ1が外側作業経路61を走行する前の状態が示されており、図5の下側にはトラクタ1が外側作業経路61に沿って走行して作業が終了した後の状態が示されている。図5に示すように、外側作業経路61は、オフセット方向が外側となるようにして、トラクタ1を走行させる経路である。「オフセット方向が外側となるように」とは、作業機3(草刈作業部3a)がトラクタ1よりも圃場の外縁に近くなること(走行経路よりも作業跡が圃場の外縁に近くなること)である。
外側作業経路61は、作業機3を外側領域の外側の端部に位置させて、作業機3が外側領域の外縁に沿うようにトラクタ1を周回させる経路である。外側作業経路61の走行中において、トラクタ1は、旋回中を除いて作業を行う。従って、例えば圃場が矩形である場合、四辺全てに作業が行われる。また、オフセット方向を外側にして外側領域を走行させることで、圃場の端部まで作業を行うことができる。
図5の上側では、外側作業経路61を分かり易く示すために、圃場の四隅において、トラクタ1の向きを90度変化させるだけの簡単な旋回が示されている。このような旋回を行う場合、厳密には、圃場の四隅の近傍には作業が行われない。そのため、本実施形態では、実際には以下のように旋回が行われる。即ち、初めにトラクタ1の向きを90度変化させた後に、一度後退して作業機3を圃場の隅に合わせて、再び前進しながら作業を行う。なお、圃場の四隅の近傍の作業が不要な場合、トラクタ1の向きを90度変化させるだけの旋回を行ってもよい。あるいは、ここで説明した2つの方法は一例であり、それ以外の方法で旋回を行ってもよい。また、外側作業経路61に限られず、他の作業経路についても旋回の方法は特に限定されない。
外側作業経路61は、既作業領域の幅が車幅Wよりも広くなるまでトラクタ1を周回させる経路であることが好ましい。本実施形態では、作業幅L2が車幅Wと同じか、作業幅L2が車幅Wよりも長いため、トラクタ1を1周させるだけで、既作業領域の幅が車幅Wよりも広くなる。作業幅L2が車幅Wよりも短い場合は、トラクタ1を複数周回させることが好ましい。複数周回させる場合、基本的には経路の間隔は作業幅L2に一致する。また、この場合、内側から外側の順にトラクタ1を周回させることが好ましい(逆の順にトラクタ1を周回させてもよい)。
次に、図6を参照して、第1内側作業経路62について説明する。図6の上側にはトラクタ1が第1内側作業経路62を走行する前の状態が示されており、図6の下側にはトラクタ1が第1内側作業経路62に沿って走行して作業が終了した後の状態が示されている。図6に示すように、第1内側作業経路62は、オフセット方向が内側となるようにして、トラクタ1を走行させる経路である。つまり、外側作業経路61の周回方向を第1周回方向(本実施形態では反時計回り)とし、第1内側作業経路62の周回方向を第2周回方向(本実施形態では時計回り)とした場合、第1周回方向と第2周回方向は反対である。
第1内側作業経路62は、作業機3を内側領域の外側の端部に位置させて、作業機3を内側領域の外縁に沿うように(2周目以降は、その内側に沿うように)トラクタ1を周回させる経路である。第1内側作業経路62の走行中において、トラクタ1は、旋回中を除いて(即ち、圃場が矩形の場合は四辺全てについて)作業を行う。第1内側作業経路62は、既作業領域(外側作業経路61の既作業領域も含む)の幅が、後述の第2内側作業経路63の旋回を行うための幅よりも広くなるまでトラクタ1を周回させることが好ましい。本実施形態では、トラクタ1を2周させることで(外側領域も含めるとトラクタ1を合計で3周させることで)、既作業領域の幅が、第2内側作業経路63の旋回を行うための幅よりも広くなるものとする。
第1内側作業経路62は、外側から内側の順にトラクタ1を周回させる。また、外側と内側の経路の間隔は、基本的には作業幅L2に一致する。ここで、第1内側作業経路62の1周目の周回時において、トラクタ1は、外側領域(即ち、既作業領域)を走行する。また、外側領域の幅は車幅Wよりも広いため、トラクタ1が未作業領域を走行することはない。また、第1内側作業経路62の2周目において、トラクタ1は、外側領域、又は、第1内側作業経路62の1周目による既作業領域を走行する。そのため、第1内側作業経路62の2周目においても、トラクタ1が未作業領域を走行することはない(これ以降の周回時についても場合も同様)。
次に、図7及び図8を参照して、第2内側作業経路63について説明する。図7の上側にはトラクタ1が第2内側作業経路63の1周目を走行する前の状態が示されており、図7の下側にはトラクタ1が第2内側作業経路63の1周目に沿って走行して、1周目の作業が終了した後の状態が示されている。図8には、第2内側作業経路63の2周目以降について示されている。図7及び図8に示すように、第2内側作業経路63は、オフセット方向が内側となるようにして(即ち周回方向が第2周回方向となるようにして)、トラクタ1を走行させる経路である。
図8に示すように、第2内側作業経路63は、圃場長手方向に平行に直進する経路(非作業経路)と、圃場短手方向に平行に直進する経路(作業経路)と、を含んでいる。作業経路は、基本的には作業幅L2間隔で複数並べられている。トラクタ1は、非作業経路を走行する場合は作業を行わず、作業経路を走行する場合に作業を行う。図7に示すように、初めは、トラクタ1は、圃場長手方向の一側の端の作業経路に沿って走行する。次に、トラクタ1は、90度旋回して非作業経路を走行する。その後、トラクタ1は、90度旋回して、圃場長手方向の反対側の端の作業経路を走行する。次に、トラクタ1は、90度旋回して、非作業経路を走行する。以上により、第2内側作業経路63の1周目が完了する。2周目は、図8に示すように、圃場長手方向の端から2番目の2つの作業経路と、1周目と同じ非作業経路と、を走行する。3周目以降は、圃場長手方向の更に内側の作業経路と、1周目と同じ非作業経路と、を走行していき、圃場長手方向の中央の作業経路を走行することで、第2内側作業経路63の全体の走行が完了する。
このように外側から内側の順番で作業を行うことで、未作業領域をできる限り走行せずに、トラクタ1を走行させることができる。また、非作業経路を設定して非作業経路の走行時には作業を行わないため、既作業領域に重複して作業が行われることをできる限り避けることができる。なお、圃場長手方向の中央の作業経路を走行する場合のみ、既作業領域に重複して作業が行われる可能性がある。本実施形態では、圃場短手方向に平行に作業経路が作成される。これに代えて、圃場長手方向に平行に作業経路が作成されてもよい。
本実施形態では、外側作業経路61の周回方向と第1内側作業経路62の周回方向が異なるため、外側作業経路61を行った後に、トラクタ1の向きを反転させる(180度変化させる)必要がある。また、トラクタ1の旋回半径の関係上、外側作業経路61から右側に180度旋回して第1内側作業経路62に到達することはできない。以下、図9を参照して、トラクタ1の向きの反転方法について説明する。図9に示すように、この反転方法は、第1例と第2例がある。
第1例では、トラクタ1は、(1)に示すように外側作業経路61に沿って直進(前進)する。次に、トラクタ1は、(2)に示すように内側に(第1内側作業経路62から離れる側に、第1周回方向に)270度旋回(前進)した後に、その反対側に(第2周回方向に)90度旋回(前進)して第1内側作業経路62の進行方向に沿う向きとなる。次に、トラクタ1は、(3)に示すように第1内側作業経路62の開始位置まで直進(後進)した後に、(4)に示すように第1内側作業経路62に沿って直進(前進)する。なお、(2)に沿って走行する際に、作業機3が圃場の外縁を超える可能性があるが、圃場を登録する際には実際の圃場よりも少し内側を登録するため、作業機3が圃場の外縁を少し超えても問題は生じない。あるいは、(1)の走行後に少し後進した後に、同様の方法を行えばよい(第2例、及び第2モードにおいても同様)。
第2例では、トラクタ1は、(1)に示すように外側作業経路61に沿って直進(前進)する。次に、トラクタ1は、第1内側作業経路62から離れる側に(第1周回方向に)90度旋回(前進)する。次に、トラクタ1は、(3)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(4)に示すように内側に(第1周回方向に)180度旋回(前進)した後に、その反対側に(第2周回方向に)90度旋回(前進)して第1内側作業経路62に沿う向きとなる。次に、トラクタ1は、(5)に示すように第1内側作業経路62の開始位置まで直進(後進)した後に、(6)に示すように第1内側作業経路62に沿って直進(前進)する。
次に、図10から図12を参照して、第2モードでの作業経路の作成方法について説明する。第2モード以降の説明において、第1モードと共通する部分については説明を省略又は簡略化する。第2モードでは、図11に示すように、圃場を外側領域と内側領域に区分する。第1モードとは異なり、第2モードでは、内側領域は、2つに区分されない。外側領域に作業を行うための経路が外側作業経路71である。内側領域に作業を行うための経路が内側作業経路72である。トラクタ1は、外側作業経路71、内側作業経路72の順に走行して作業を行う。
初めに、図10を参照して外側作業経路71について説明する。図10の上側にはトラクタ1が外側作業経路71を走行する前の状態が示されており、図10の下側にはトラクタ1が外側作業経路71に沿って走行して作業が終了した後の状態が示されている。図10に示すように、外側作業経路71は、オフセット方向が外側となるようにして(即ち周回方向が第1周回方向となるようにして)、トラクタ1を走行させる経路である。
外側作業経路71は、作業機3を外側領域の内側の端部に位置させて、作業機3を外側領域の内縁に沿うように(2周目以降は、その外側に沿うように)トラクタ1を周回させる経路である。外側作業経路71の走行中において、トラクタ1は、旋回中を除いて(即ち、圃場が矩形の場合は四辺全てについて)作業を行う。外側作業経路71は、既作業領域の幅が、後述の内側作業経路72の旋回を行うための幅よりも広くなる回数分、トラクタ1を周回させることが好ましい。本実施形態では、トラクタ1を3周させることで、既作業領域の幅が、内側作業経路72の旋回を行うための幅よりも広くなるものとする。
外側作業経路71は、内側から外側の順にトラクタ1を周回させる。また、内側と外側の経路の間隔は、基本的には作業幅L2に一致する。本実施形態では、作業幅L2が車幅Wと同じか、作業幅L2が車幅Wよりも長いため、2周目以降の周回時において、トラクタ1が未作業領域を走行することはない。また、オフセット方向を外側にして外側領域を走行させることで、圃場の端部まで作業を行うことができる。
次に、図11を参照して内側作業経路72について説明する。図11の上側にはトラクタ1が内側作業経路72を走行する前の状態が示されており、図11の下側にはトラクタ1が内側作業経路72に沿って走行して、作業が終了した後の状態が示されている。図11に示すように、内側作業経路72は、オフセット方向が内側となるようにして(即ち周回方向が第2周回方向となるようにして)、トラクタ1を走行させる経路である。なお、内側作業経路72は、第2内側作業経路63と同じ経路であるため、これ以降の説明を省略する。
本実施形態では、外側作業経路71の周回方向と内側作業経路72の周回方向が異なるため、外側作業経路71を行った後に、トラクタ1の向きを反転させる(180度変化させる)必要がある。以下、図12を参照して、トラクタ1の向きの反転方法について説明する。図12に示すように、この反転方法は、第1例と第2例がある。
第1例では、トラクタ1は、(1)に示すように外側作業経路71に沿って圃場端まで直進(前進)する。次に、トラクタ1は、(2)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(3)に示すように内側に(第1内側作業経路62から離れる側に、第1周回方向に)270度旋回(前進)した後に、その反対側に(第1周回方向に)90度旋回(前進)して内側作業経路72の進行方向に沿う向きとなり、内側作業経路72に沿って直進(前進)する。
第2例では、トラクタ1は、(1)に示すように外側作業経路71に沿って圃場端まで直進(前進)する。次に、トラクタ1は、(2)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(3)に示すように内側作業経路72に近づく側に(第1周回方向に)90度旋回(前進)する。次に、トラクタ1は、(4)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(5)に示すように内側に(第1周回方向に)90度旋回(前進)して内側作業経路72の進行方向に沿う向きとなり、内側作業経路72に沿って直進(前進)する。
次に、図13から図16を参照して、第3モードでの作業経路の作成方法について説明する。第3モードでは、図15に示すように、圃場を内側領域と外側領域に区分する。内側領域に作業を行うための経路が内側作業経路81である。外側領域に作業を行うための経路が外側作業経路82である。トラクタ1は、内側作業経路81、外側作業経路82の順に走行して作業を行う。
初めに、図13を参照して内側作業経路81について説明する。図13の上側にはトラクタ1が内側作業経路81を走行する前の状態が示されており、図13の下側にはトラクタ1が内側作業経路81に沿って走行して作業が終了した後の状態が示されている。図13に示すように、内側作業経路81は、オフセット方向が内側となるようにして(即ち周回方向が第2周回方向となるようにして)、トラクタ1を走行させる経路である。内側作業経路81は第1内側作業経路62と類似するため、共通する部分の説明を省略する。内側作業経路81と第1内側作業経路62の相違点は、(1)作業経路が形成される向きが90度異なることと、(2)内側領域の大きさが異なることである。
この(1)に関し、内側作業経路81は、圃場長手方向に平行に直進する経路(作業経路)と、圃場短手方向に平行に直進する経路(非作業経路)と、を含んでいる。従って、圃場短手方向の端から中央の順番で、作業経路が行われる。なお、内側作業経路81において、圃場短手方向と平行に作業経路を作成してもよい。
上記の(2)に関し、第1モードでは、外側領域を最低限の大きさにして、残りを内側領域にして作業を行う。これに対し、第3モードでは、内側領域を最低限の大きさにして、残りを外側領域にして作業を行う。具体的には、第3モードでは、後述の外側作業経路82の1周目の旋回を行うための領域が確保できる本数の作業経路が作成される。本実施形態では、3本の作業経路が作成されている。
次に、図14及び図15を参照して、外側作業経路82について説明する。図14の上側にはトラクタ1が外側作業経路82の1周目を走行する前の状態が示されており、図14の下側にはトラクタ1が外側作業経路82の1周目に沿って走行して、1周目の作業が終了した後の状態が示されている。図15には、外側作業経路82の2周目以降について示されている。図14及び図15に示すように、外側作業経路82は、オフセット方向が外側となるようにして(即ち周回方向が第1周回方向となるようにして)、トラクタ1を走行させる経路である。
外側作業経路82は、作業機3を外側領域の内側の端部に位置させて、作業機3を外側領域の内縁に沿うように(2周目以降は、その外側に沿うように)トラクタ1を周回させる経路である。外側作業経路82の走行中において、トラクタ1は、旋回中を除いて(即ち、圃場が矩形の場合は四辺全てについて)作業を行う。
外側作業経路82は、内側から外側の順にトラクタ1を周回させる。また、内側と外側の経路の間隔は、基本的には作業幅L2に一致する。ここで、外側作業経路82の1周目の周回時において、トラクタ1は、内側領域(即ち、既作業領域)を走行する。また、内側領域は、外側作業経路82の1周目の周回を行うことができる大きさである。従って、外側作業経路82の1周目の周回時において、トラクタ1が未作業領域を走行することはない。また、外側作業経路82の2周目において、トラクタ1は、内側領域、又は、外側作業経路82の1周目による既作業領域を走行する。そのため、外側作業経路82の2周目においても、トラクタ1が未作業領域を走行することはない(これ以降の周回時についても場合も同様)。また、オフセット方向を外側にして外側領域を走行させることで、圃場の端部まで作業を行うことができる。
本実施形態では、内側作業経路81の周回方向と外側作業経路82の周回方向が異なるため、内側作業経路81を行った後に、トラクタ1の向きを反転させる(180度変化させる)必要がある。また、本実施形態では内側作業経路81と外側作業経路82は経路の位置が同じであるため、トラクタ1の向きを反転させることが困難である。以下、図16を参照して、トラクタ1の向きの反転方法について説明する。図16に示すように、この反転方法は、第1例と第2例がある。
第1例では、トラクタ1は、(1)に示すように内側作業経路81に沿って作業機が内側領域の端に位置するまで直進(前進)する。次に、トラクタ1は、(2)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(3)に示すように内側に(第1周回方向に)180度旋回(前進)する。次に、トラクタ1は、(4)に示すように外側作業経路82の開始位置まで直進(後進)した後に、(5)に示すように外側作業経路82に沿って直進(前進)する。
第2例では、トラクタ1は、(1)に示すように内側作業経路81に沿って作業機が内側領域の端に位置するまで直進(前進)する。次に、トラクタ1は、(2)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(3)に示すように内側に(第2周回方向に)90度旋回(前進)する。次に、トラクタ1は、(4)に示すように直進(後進)する。次に、トラクタ1は、(5)に示すように内側に(第2周回方向に)90度旋回(前進)して外側作業経路82の進行方向に沿う向きとなり、外側作業経路82に沿って直進(前進)する。
上記では、圃場が矩形の場合について説明したが、圃場は矩形に限られず、例えば台形であってもよい。また、圃場が台形の場合、内側領域も台形となることがある。以下では、内側領域が台形の場合において、第2内側作業経路63を作成する別の方法について説明する。なお、以下で説明する方法は、内側作業経路72及び外側作業経路82にも適用可能である。
初めに、図17を参照して、内側領域が台形の場合に生じる課題について説明する。図17及び図19では、図面を見易くするために、内側領域の上側の非作業経路の図示を省略している。内側領域が矩形の場合、作業経路は何れも同じ長さである。しかし、内側領域が台形の場合、位置によって作業経路の長さが異なる。特に、旋回を行う側の辺(非作業経路が作成される側の辺、圃場が矩形の場合の長辺)が斜辺である場合、全ての作業経路の長さが異なる。
ここで、走行経路は、作業機3ではなくトラクタ1に対して設定される。従って、オフセット型作業機の場合、実際に作業を行うべき範囲よりも小さい又は大きい範囲に対して作業が行われる。特に、第2内側作業経路63では、圃場長手方向の中央よりも一側と他側とで、トラクタ1の走行方向が180度異なる。従って、圃場長手方向の中央よりも一側(図17の右側)では作業を行うべき範囲よりも大きい範囲に作業が行われ、圃場長手方向の中央よりも他側(図17の左側)では作業を行うべき範囲よりも小さい範囲に作業が行われる。その結果、図17の下側に示すように、圃場長手方向の中央に、作業跡の過剰なズレ(大きな段差)が生じる。
この過剰なズレを軽減するために、本実施形態では、図18に示すように、圃場長手方向の中央(斜辺の中央、作業経路の並列方向の中央)に、圃場短手方向(作業経路に平行な方向)の長さが一定の領域(調整領域)を設ける。調整領域は、圃場長手方向の中央から一側と他側に作業幅L2ずつの範囲に設ける。言い換えれば、圃場長手方向の中央から、一側と他側に内側領域を拡張し、拡張した部分(調整領域)は、圃場短手方向の長さが一定である。以下、台形に調整領域が設けられた図形を調整後図形と称する。
次に、図19に示すように、調整後図形に対して第2内側作業経路63aを作成する。調整領域は、上述した作業跡の過剰なズレが生じる部分に形成されている。調整領域は圃場が矩形の場合と同じなので、作業を行うべき範囲に応じた範囲が作業されることになる。また、調整領域は、2工程分(作業幅L2の2倍)であるため、圃場長手方向の中央に隣接する2工程(更に言えば、トラクタ1の進行方向が異なる2工程)について、作業を行うべき範囲に応じた範囲が作業されることになる。以上により、調整領域を設けることで、作業跡のズレを軽減することができる。
以上に説明したように、自律走行システム100は、作業機3が装着されたトラクタ1を自律走行させる。この自律走行システム100は、設定部35と、内側作業経路作成部36と、外側作業経路作成部37と、モード選択部38と、を備える。設定部35は、トラクタ1に対する作業機3の車幅方向のオフセット距離L1及びオフセット方向を設定する。内側作業経路作成部36は、トラクタ1を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う内側作業経路62,63,72,81を作成する。外側作業経路作成部37は、トラクタ1を、第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う外側作業経路61,71,82を作成する。モード選択部38は、内側作業経路62,63,72,81の内容と、外側作業経路61,71,82の内容と、それらの走行順序と、を定めるための複数の経路作成モードから1の経路作成モードを選択する。
オフセット作業機を装着して作業を行う場合、周回方向に応じて、作業機3が車幅方向の何れにオフセットするかが変化する。従って、内側領域と外側領域で周回方向を変えることで、様々な事情に応じてオフセット作業機に適した経路を作成できる。また、このようにして作成される経路を選択可能とすることで、様々な事情に応じて最適な経路を用いて自律走行及び作業を行うことができる。
また、上記実施形態の自律走行システム100において、内側作業経路は、第1内側領域に作業を行う第1内側作業経路62と、第1内側領域よりも内側の第2作業領域に作業を行う第2内側作業経路63と、に区分されている。モード選択部38は第1モードを選択可能であり、当該第1モードでは、外側作業経路61、第1内側作業経路62、第2内側作業経路63の順序でトラクタ1を走行させる。
これにより、初めに外側領域を作業することで、後からトラクタ1が第1内側作業経路62又は第2内側作業経路63を走行する場合に、トラクタ1が未作業領域を走行しにくくなる。更に、初めに第1内側領域に作業を行うことで、後から作業車両が第2内側作業経路63を走行する際に、例えばトラクタ1が未作業領域を走行しにくくなる。
また、上記実施形態の自律走行システム100において、モード選択部38は第2モードを選択可能であり、当該第2モードでは、外側作業経路71、内側作業経路72の順序でトラクタ1を走行させる。
これにより、初めに外側領域を作業することで、後からトラクタ1が内側領域を走行する場合に、トラクタ1が未作業領域を走行しにくくなる。
また、上記実施形態の自律走行システム100において、モード選択部38は第3モードを選択可能であり、当該第3モードでは、内側作業経路81、外側作業経路82の順序でトラクタ1を走行させる。
これにより、初めに内側領域を作業することで、後からトラクタ1が外側領域を走行する場合に、トラクタ1が未作業領域を走行しにくくなる。
また、上記実施形態の自律走行システム100において、設定部35は、更に、作業機3の作業幅L2と、トラクタ1の車幅Wと、を設定する。外側作業経路61,71に沿って作業幅で作業を行うことで生成される既作業領域の幅が、車幅以下である。
これにより、例えばトラクタ1が外側作業経路61,71の走行後に(内側作業経路62,72を走行するために)既作業領域を走行する場合に、トラクタ1が未作業領域を走行しにくくなる。
また、上記実施形態の自律走行システム100において、内側作業経路作成部36は、作業機3が内側にオフセットする向きでトラクタ1を周回させる内側作業経路62,63,72,81を作成する。外側作業経路作成部37は、作業機3が外側にオフセットする向きでトラクタ1を周回させる外側作業経路61,71,82を作成する。
これにより、作業機3が内側にオフセットするようにして内側作業経路62,63,72,81を走行することで、未作業領域をあまり走行せずに作業を行ったりすることができる。また、作業機3が外側にオフセットするようにして外側作業経路61,71,82走行することで、例えば外側領域の外縁近傍まで自律走行による作業を行うことができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、設定部35が記憶装置又はサーバから経路作成情報を取得する場合は、ステップS102の処理を省略することができる。
上記実施形態では、外側作業経路は1つであるが、外側作業経路が複数に区分されていてもよい。また、上記実施形態では、内側作業経路ではオフセット方向が内側で、外側作業経路ではオフセット方向が外側であるが、逆であってもよい。例えば、内側領域で内側から外側の順にトラクタ1を周回させる場合等は、内側作業経路でオフセット方向が外側であってもよい。
<発明の付記>
本発明の観点によれば、以下の構成の自律走行システムが提供される。即ち、自律走行システムは、作業機が装着された作業車両を自律走行させる。この自律走行システムは、設定部と、内側作業経路作成部と、外側作業経路作成部と、モード選択部と、を備える。前記設定部は、前記作業車両に対する前記作業機の車幅方向のオフセット距離及びオフセット方向を設定する。前記内側作業経路作成部は、前記作業車両を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う内側作業経路を作成する。前記外側作業経路作成部は、前記作業車両を、前記第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、前記内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う外側作業経路を作成する。前記モード選択部は、前記内側作業経路の内容と、前記外側作業経路の内容と、前記内側作業経路と前記外側作業経路の走行順序と、を定めるための複数の経路作成モードから1の経路作成モードを選択する。
オフセット作業機を装着して作業を行う場合、周回方向に応じて、作業機が車幅方向の何れにオフセットするかが変化する。従って、内側領域と外側領域で周回方向を変えることで、様々な事情に応じてオフセット作業機に適した経路を作成できる。また、このようにして作成される経路を選択可能とすることで、様々な事情に応じて最適な経路を用いて自律走行及び作業を行うことができる。
前記の自律走行システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記内側作業経路は、第1内側領域に作業を行う第1内側作業経路と、前記第1内側領域よりも内側の第2作業領域に作業を行う第2内側作業経路と、に区分されている。前記モード選択部は第1モードを選択可能であり、当該第1モードでは、前記外側作業経路、第1内側作業経路、第2内側作業経路の順序で前記作業車両を走行させる。
これにより、初めに外側領域を作業することで、後から作業車両が第1内側作業経路又は第2内側作業経路を走行する場合に、作業車両が未作業領域を走行しにくくなる。更に、初めに第1内側領域に作業を行うことで、後から作業車両が第2内側作業経路を走行する際に、例えば作業車両が未作業領域を走行しにくくなる。
前記の自律走行システムにおいては、前記モード選択部は第2モードを選択可能であり、当該第2モードでは、前記外側作業経路、前記内側作業経路の順序で前記作業車両を走行させることが好ましい。
これにより、初めに外側領域を作業することで、後から作業車両が内側領域を走行する場合に、作業車両が未作業領域を走行しにくくなる。
前記の自律走行システムにおいては、前記モード選択部は第3モードを選択可能であり、当該第3モードでは、前記内側作業経路、前記外側作業経路の順序で前記作業車両を走行させることが好ましい。
これにより、初めに内側領域を作業することで、後から作業車両が外側領域を走行する場合に、作業車両が未作業領域を走行しにくくなる。
前記の自律走行システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記設定部は、更に、前記作業機の作業幅と、前記作業車両の車幅と、を設定する。前記外側作業経路に沿って前記作業幅で作業を行うことで生成される既作業領域の幅が、前記車幅以下である。
これにより、例えば作業車両が外側作業経路の走行後に既作業領域を走行する場合に、作業車両が未作業領域を走行しにくくなる。
前記の自律走行システムにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記内側作業経路作成部は、前記作業機が内側にオフセットする向きで前記作業車両を周回させる前記内側作業経路を作成する。前記外側作業経路作成部は、前記作業機が外側にオフセットする向きで前記作業車両を周回させる前記外側作業経路を作成する。
これにより、作業機が内側にオフセットするようにして内側作業経路を走行することで、未作業領域をあまり走行せずに作業を行ったりすることができる。また、作業機が外側にオフセットするようにして外側作業経路を走行することで、例えば外側領域の外縁近傍まで自律走行による作業を行うことができる。
1 トラクタ(作業車両)
2 走行機体
3 作業機
35 設定部
36 内側作業経路作成部
37 外側作業経路作成部
100 自律走行システム

Claims (3)

  1. 作業車両を自律走行させる自律走行システムにおいて、
    前記作業車両を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う内側作業経路と、
    前記作業車両を、前記第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、前記内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う外側作業経路と、を作成する経路作成部を備える、
    自律走行システム。
  2. 前記内側作業経路、前記外側作業経路の順序で前記作業車両を走行させることが可能である、
    請求項1に記載の自律走行システム。
  3. 作業車両を自律走行させる作業経路の生成方法であって、
    前記作業車両を、第1周回方向に周回させて内側領域に作業を行う内側作業経路と、
    前記作業車両を、前記第1周回方向とは反対の第2周回方向に周回させて、前記内側領域の外側を囲むように位置する外側領域に作業を行う外側作業経路と、を作成する、
    作業経路の生成方法。
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