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JP2021113308A - 熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物およびそれからなる成形体 Download PDF

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JP2021113308A JP2021002239A JP2021002239A JP2021113308A JP 2021113308 A JP2021113308 A JP 2021113308A JP 2021002239 A JP2021002239 A JP 2021002239A JP 2021002239 A JP2021002239 A JP 2021002239A JP 2021113308 A JP2021113308 A JP 2021113308A
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夕哉 正鋳
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Abstract

【課題】メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性に十分に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物およびそれより得られる成形体を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)とを含有し、熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が18/82〜82/18であり、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対してメタリック顔料(C)が0.8〜12.0質量部で含有されている熱伝導性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)とを含有し、クールタッチの性能を有し、メタリック調の外観を有する樹脂組成物およびそれからなる成形体に関するものである。
近年、軽量化の観点から金属から樹脂への代替が求められている。その中で意匠性の観点から金属と似たような外観を持つメタリック調の樹脂に注目が集まっている。しかし、メタリック調の樹脂組成物から形成された成形体の外観は金属に似た光沢感は得られるが、触ったときに感じる金属特有の冷たさ(クールタッチ)は得られない。手に触れるような部材では金属の冷たさが重視される場合があり、メタリック調かつ熱伝導性を有した樹脂組成物が求められている。樹脂成形材料に熱伝導性を付与する手段としては、熱伝導率の高い充填材料(窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、黒鉛等)を配合する方法が知られている。しかし、熱伝導性を得るためには熱伝導性フィラーの配合量が多く必要であるため外観を求めることは難しく、顔料を配合してもメタリック調の外観が発現しづらいという問題があった。
特開2000−086889号公報 特開2010−167649号公報 特開平05−093091号公報 特開昭62−131033号公報
本発明の発明者等は、以下の問題が生じることを見い出した。
メタリック調を有する樹脂組成物として、例えば、特許文献1〜3にはメタリック顔料またはアルミ顔料を含有した樹脂組成物が記載されているが、熱伝導率についての記載はなく、このような樹脂組成物から得られた成形体はクールタッチ特性に劣った。また、特許文献4には熱可塑性樹脂に黒鉛粉末を充填した熱伝導性樹脂成形品が記載されている。しかしながら、黒鉛のような黒色のフィラーを配合してしまうとメタリック調の外観を得ることはできなかった。さらに特許文献4に記載されるような熱伝導性樹脂成形品は配合されるフィラー量が多いため耐フローマーク特性に問題が生じることがあった。従って、従来の樹脂組成物を用いても、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性の全ての特性に十分に優れた成形体を得ることができなかった。
一方、樹脂組成物は、機械的特性に優れた成形体を得ることができること、および成形時において流動性に優れていることも要求されている。
本発明は、上記の問題点を解消するものであり、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性に十分に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物およびそれより得られる成形体を提供することを目的とする。
本発明はまた、メタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性および機械的特性に十分に優れた成形体を良好な流動性で得ることができる樹脂組成物およびそれより得られる成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂と絶縁熱伝導性充填材とメタリック顔料を特定の割合で配合することによって前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、下記の通りである。
(1) 熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)とを含有し、熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が18/82〜82/18であり、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対してメタリック顔料(C)が0.8〜12.0質量部で含有されている熱伝導性樹脂組成物。
(2) 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選択される1種以上のポリマーであることを特徴とする(1)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(3) 絶縁熱伝導性充填材(B)が、タルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素からなる群から選択される1種以上の充填材であることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱伝導性樹脂組成物。
(4) メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタンおよび銅からなる群から選択される1種以上の無機材料粒子であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(5) メタリック顔料(C)の平均粒子径が2〜200μmであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(6) さらにロジン(D)を、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対して10質量部以下で含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(7) 絶縁熱伝導性充填材(B)がタルクであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(8) 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(9) 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上のポリマーであり、
絶縁熱伝導性充填材(B)がタルクであり、
絶縁熱伝導性充填材(B)の平均粒子径が10〜60μmであり、
熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が30/70〜55/45であり、
メタリック顔料(C)がアルミ顔料であり、
メタリック顔料(C)の平均粒子径が8〜60μmであり、
絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の質量比が98/2〜80/20である、(1)〜(8)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(10) 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂であり、
絶縁熱伝導性充填材(B)がタルクであり、
絶縁熱伝導性充填材(B)の平均粒子径が10〜60μmであり、
熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が40/60〜52/48であり、
メタリック顔料(C)がアルミ顔料であり、
メタリック顔料(C)の平均粒子径が15〜60μmであり、
メタリック顔料(C)の含有量が、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対して、2.0〜12.0質量部であり、
絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の質量比が95/5〜80/20である、(1)〜(8)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
(11) (1)〜(10)のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体。
本発明によれば、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性に十分に優れた成形体を得ることができる樹脂組成物、およびそれより得られる成形体を提供することができる。
本発明の樹脂組成物はまた、メタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性および機械的特性に十分に優れた成形体を良好な流動性で得ることができる樹脂組成物およびそれより得られる成形体を提供することができる。
[熱伝導性樹脂組成物]
本発明の熱伝導性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある)は熱可塑性樹脂(A)、絶縁熱伝導性充填材(B)およびメタリック顔料(C)を含有する。
(熱可塑性樹脂)
本発明に用いる熱可塑性樹脂(A)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体);ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリビニルアセタール;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸);ポリスチレン;ポリブタジエン;ポリアクリロニトリル;スチレン−アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体;ポリフェニレンエーテル(PPE);変性PPE;ポリアミド樹脂;ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリエーテルイミド;ポリメタクリル酸;ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸;ポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステル;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;液晶ポリマー;およびこれらの混合物;ならびにこれらのポリマーからなる群から選択される2種以上のポリマー混合物が挙げられる。メタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上の観点から、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(特にポリ乳酸)およびポリオレフィン樹脂(特にポリプロプレン)からなる群から選択される1種以上のポリマーが好ましい。中でも、メタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上と成形加工性の向上の観点から、ポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂(特にポリ乳酸)からなる群から選択される1種以上のポリマーが好ましく、ポリアミド樹脂がより好ましい。
本明細書中、クールタッチ特性とは、成形体を触ったときに冷たさを感じさせ得る特性である。詳しくは熱浸透率が高いほど、クールタッチ特性が優れている。
メタリック特性とは、成形体の表面にメタリック色が発現する特性である。詳しくはフリップフロップ値が高いほど、メタリック特性が優れている。メタリック色とは、金属が有し得る色彩および色調のことである。
耐フローマーク特性は、成形体の表面において、メタリック色の色ムラの原因となるフローマークの発生を抑える特性のことである。フローマークは、成形時において溶融物が金型内で固化しながら流動することに起因して発生するスジ状の流動痕であり、例えば、射出成形時においてゲートの近傍によく発生する。
機械的物性は、成形体の機械的強度(例えば曲げ強さ、曲げ弾性率)に関する特性のことである。
流動性は、成形時(例えば溶融時)の流動のし易さに関する特性のことである。例えば、射出成形時の流動長が長いほど、流動性が優れている。
ポリアミドとしては、例えば、ラクタムや、アミノカルボン酸や、ジアミンとカルボン酸の重縮合によって得られるホモポリアミド、コポリアミドおよびこれらの混合物が挙げられる。ポリアミドの具体例としては、例えば、ポリカプラミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリウンデカミド(ポリアミド11)、ポリカプラミド/ポリウンデカミドコポリマー(ポリアミド6/11)、ポリドデカミド(ポリアミド12)、ポリカプラミド/ポリドデカミドコポリマー(ポリアミド6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ポリアミド116)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6T)、ポリカプラミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミドTMDT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド11T)およびこれらの混合物や共重合体が挙げられる。中でも、メタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上と、成形品としたときの耐熱性、加工性の向上の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましく、より好ましくはポリアミド6である。ポリアミドは、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
熱可塑性樹脂(A)の分子量は特に限定されず、メタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上ならびに成形体の耐熱性および成形加工性の向上の観点から、熱可塑性樹脂(A)の種類に応じて、以下の物性値を達成するような分子量であることが好ましい。
ポリアミド樹脂は、溶媒として96質量%濃硫酸を用いて温度が25℃で濃度が1g/dLの条件で測定した相対粘度が、1.6〜3.2特に1.8〜3.0の範囲であることが好ましい。
ポリ乳酸は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した重量平均分子量が、5万〜50万(特に10万〜30万)の範囲であることが好ましい。
(絶縁熱伝導性充填材)
本発明に用いる絶縁熱伝導性充填材(B)としては熱伝導性を向上させることができれば特に限定されないが、熱伝導率が5W/(m・K)以上のものが好ましい。「絶縁」とは、電気を通さなければ特に限定されるものではないが、例えば焼結体にした場合の体積抵抗率が1011Ω以上を示すものである。絶縁熱伝導性充填材(B)の具体例として、例えば、タルク(5〜10)、酸化アルミニウム(36)、酸化マグネシウム(60)、酸化亜鉛(25)、炭酸マグネシウム(15)、炭化ケイ素(160)、窒化アルミニウム(170)、窒化ホウ素(210)、窒化ケイ素(40)等の無機系充填材が挙げられる。括弧内の数値は、熱伝導率の代表値(単位:W/(m・K))を表す。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂(A)に配合した際の熱伝導率がより一層高くなることからタルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素を用いることが好ましく、メタリック特性およびクールタッチ特性のさらなる向上の観点から、好ましくはタルクである。熱可塑性樹脂(A)に配合した際の熱伝導率が高く、かつ経済性にも優れることから、タルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムを用いることが好ましい。
絶縁熱伝導性充填材(B)の形態(または形状)としては、例えば、球状、粉状、繊維状、針状、鱗片状、ウィスカ状、マイクロコイル状、ナノチューブ状が挙げられる。中でも、取り扱い性の観点から粉状、球状、鱗片状が好ましい。
絶縁熱伝導性充填材(B)の平均粒子径は、分散性の向上に基づくメタリック特性、クールタッチ特性、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上の観点から、1〜200μmであることが好ましく、メタリック特性の観点から、5〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましく、10〜50μmであることが特に好ましく、15〜45μmであることが最も好ましい。
絶縁熱伝導性充填材(B)の平均粒子径は、最大長の平均値のことであり、任意の100個の絶縁熱伝導性充填材(B)の平均値を用いている。例えば、絶縁熱伝導性充填材(B)が繊維状、針状、鱗片状、ウィスカ状、マイクロコイル状、ナノチューブ状を有する場合、平均粒子径は、長軸方向の最大長の平均値であってもよい。
絶縁熱伝導性充填材(B)は、熱可塑性樹脂(A)との密着性を向上させるため、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理を施されていてもよい。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン等のアミノシラン系;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリリシドキシプロピルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン系が挙げられる。チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートが挙げられる。カップリング剤は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)の質量比率(A/B)は、18/82〜82/18とすることが必要であり、メタリック特性、クールタッチ特性、機械的特性および流動性のさらなる向上の観点から、好ましくは30/70〜55/45、より好ましくは35/65〜52/48、さらに好ましくは40/60〜52/48、最も好ましくは42/58〜49/51である。熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)の合計量に対する絶縁熱伝導性充填材(B)の割合が低すぎると、成形品としたときに、十分な熱伝導性を得ることができず、熱浸透率が低くなり十分なクールタッチ特性が得られないため好ましくない。一方、前記割合が高すぎると、流動性が低下するため成形加工時の負荷が高くなりすぎ操業性が低下するので好ましくない。
(メタリック顔料)
本発明の樹脂組成物はメタリック顔料(C)を含有する。メタリック顔料(C)はメタリック粒子であってもよい。メタリック顔料(C)は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造に際し、メタリック粒子単独の形態で使用されてもよいし、またはメタリック粒子および分散媒を含むペーストまたは分散液の形態で使用されてもよい。メタリック顔料(C)がペーストまたは分散液の形態で使用される場合、当該熱伝導性樹脂組成物中においては通常、その製造過程の加熱(および混練)により分散媒は除去されている。分散媒は、メタリック粒子を流動または分散させ得る溶媒であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールであってもよい。
メタリック顔料(C)は、成形体にメタリック色を発現させ得る添加剤であれば、特に限定されるものではない。そのようなメタリック顔料(C)として、例えば、金属としてのアルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタンおよび銅;前記金属のうち2種以上の金属の合金からなる群から選択される1種以上の無機材料の粒子が挙げられる。中でも、比較的小さな比重に基づくメタリック特性およびクールタッチ特性のさらなる向上の観点から、アルミニウムが好ましい。
メタリック顔料(C)の形状は、特に限定されず、例えば、球状、板状等であってもよい。中でも、メタリック特性の観点から板状が好ましい。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は特に限定されず、例えば、2〜200μmであってもよい。メタリック顔料(C)の平均粒子径は、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性のさらなる向上の観点から、好ましくは2〜100μm、より好ましくは8〜60μm、さらに好ましくは15〜60μm、特に好ましくは25〜60μmである。
メタリック顔料(C)の平均粒子径は、最大長の平均値のことであり、任意の100個のメタリック顔料(C)の平均値を用いている。
メタリック顔料(C)が板状を有する場合、その平均厚みは特に限定されず、例えば、0.01〜1μmであってもよい。メタリック顔料(C)の平均厚みは、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性のさらなる向上の観点から、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.08〜0.8μm、さらに好ましくは0.3〜0.6μmである。
メタリック顔料(C)の平均粒子径および平均厚みは、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置、例えば、マイクロトラック2(日機装社製)により測定が可能である。例えば、メタリック顔料(C)の平均粒子径および平均厚みは任意の50個の粒子に関する単純平均により算出することができる。
メタリック顔料(C)の含有量は、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対して、0.8〜12.0質量部であることが必要であり、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性のさらなる向上の観点から、好ましくは2.0〜12.0質量部、より好ましくは2.0〜8.0質量部、さらに好ましく2.0〜7.5質量部である。メタリック顔料(C)の含有量が少なすぎると、成形品のメタリック特性が低下する。当該含有量が多すぎると、溶融混練時の装置への負荷が大きくなったり、かつ/または成形時にフィラーの配向が乱れることによるフローマークなどの外観不良が発生しやすくなる。
絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)との質量比率(B/C)は特に限定されず、例えば、98/2〜75/25であり、メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性のさらなる向上の観点から、好ましくは98/2〜80/20、より好ましくは95/5〜80/20である。
(ロジン)
本発明の樹脂組成物には、さらにロジン(D)を含有させてもよいし、または含有させなくてもよい。絶縁熱伝導性フィラー(B)の含有量が大きくなると、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、成形加工性が低下する傾向があるが、ロジン(D)を含有させることにより、流動性を向上させることができる。
ロジン(D)とは、樹脂酸(またはロジン酸)といわれるジテルペン酸系化合物である。ロジン(D)としては、例えば、天然ロジン、変性ロジン、重合ロジンが挙げられる。天然ロジンとは、マツ科植物から採取される樹脂酸の混合物であり、生産方法によりガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等に分けられる。該樹脂酸の主成分はアビエチン酸であり、さらに、ネオアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、レボピマール酸等が含まれる。変性ロジンとは、天然ロジンを変性したものであり、例えば、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸等の水素化ロジン、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸等の不均化ロジン、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸等により天然ロジンを変性した酸変性ロジン、これらのエステル体が挙げられる。そして、重合ロジンとは、天然ロジンまたは変性ロジン同士を反応させたものであり、それらの2量化物、3量化物が挙げられる。
ロジン(D)は、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上の観点から、酸変性ロジン、特にマレイン酸変性ロジン(すなわちマレイン化ロジン)が好ましい。
ロジン(D)の酸価は、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上の観点から、10mgKOH/g以上であることが好ましく、60mgKOH/g以上であることがより好ましく、100mgKOH/g以上であることがさらに好ましく、130mgKOH/g以上であることが特に好ましい。ロジン(D)の酸価は通常、300mgKOH/g以下、特に200mgKOH/g以下である。
ロジン(D)の酸価は、JIS K 5902に準拠して、測定された値を用いている。
ロジン(D)の軟化温度は、ロジンの分解抑制および成形体からのブリードアウト抑制の観点から、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。ロジン(D)の軟化温度は通常、220℃以下である。
ロジン(D)の軟化温度はJIS K 7206:1999に基づいて測定された値を用いている。
ロジン(D)の含有量は、成形加工時の流動性の観点からは、ポリアミド樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)との合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上である。ロジン(D)の含有量は、耐フローマーク特性、機械的特性および流動性のさらなる向上の観点からは、ポリアミド樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)との合計100質量部に対して、10質量部以下(すなわち0〜10質量部)であり、好ましくは8質量部以下(すなわち0〜8質量部)、より好ましくは5質量部以下(すなわち0〜5質量部)、さらに好ましくは3質量部以下(すなわち0〜3質量部)である。
(他の添加剤)
本発明の樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限り、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核材等を添加してもよい。
顔料としては、メタリック顔料(C)以外の顔料が使用可能である。顔料の具体例として、例えば、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤が好ましく、環境面から、非ハロゲン系難燃剤がより好ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属化合物、メラミン系、グアニジン系等の窒素含有化合物、硼酸塩、モリブデン化合物等の無機系化合物が挙げられる。
充填材は、無機充填材、有機充填材いずれもでもよい。無機充填材としては、絶縁熱伝導性充填材(B)およびメタリック顔料(C)以外の無機充填材が使用可能である。そのような無機充填材の具体例として、例えば、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、ガラス繊維、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられる。有機充填材としては、例えば、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーおよびこれらの変性品、アラミド繊維。ビニロン繊維などが挙げられる。
結晶核材は、無機結晶核材、有機結晶核材いずれでもよい。無機結晶核材としては、例えば、カオリンが挙げられる。有機結晶核材としては、例えば、ソルビトール化合物、安息香酸およびその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物が挙げられる。
[熱伝導性樹脂組成物の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、絶縁熱伝導性充填材(B)およびメタリック顔料(C)、ならびに必要に応じてロジン(D)および/または各種添加物を、一般的な押出機、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いて溶融混練することにより製造することができる。このとき、混練状態を良好とするため、二軸押出機を用いることが好ましい。また、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも好ましい。原料は、ぞれぞれ、ホッパーから、または、サイドフィーダーから添加してもよい。本発明の樹脂組成物は、いわゆるペレットの形態を有していてもよい。
本発明の樹脂組成物の製造に際し、絶縁熱伝導性充填材(B)、メタリック顔料(C)、ロジン(D)および各種添加物はそれぞれ独立して、マスターバッチの形態で使用されてもよいし、またはそのままの形態で使用されてもよい。マスターバッチの形態とは、予め、熱可塑性樹脂(特に熱可塑性樹脂(A))と混合された形態のことである。詳しくは、絶縁熱伝導性充填材(B)、メタリック顔料(C)、ロジン(D)および各種添加物はそれぞれ独立して、予め、熱可塑性樹脂(特に熱可塑性樹脂(A))と混合され、溶融、混練、冷却および粉砕されてなるマスターバッチの形態で使用されてもよい。この場合、各マスターバッチ形態の成分は、成形加工時に他の成分と混合されてもよい。
[成形体の製造方法]
本発明の樹脂組成物は、射出成形、圧縮成形、押出成形、トランスファー成形、シート成形等の通常の公知の溶融成形法を用いて所望の形状に成形して成形体(または成形品)を得ることができる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品の具体例としては、例えば、ソケット、リレー部品、コイルボビン、光ピックアップ、発振子、コンピュータ関連部品等の電気・電子部品;VTR、テレビ、アイロン、エアコン、ステレオ、掃除機、冷蔵庫、炊飯器、照明器具等の家庭電気製品部品;放熱シートやヒートシンク、ファン等の電子部品からの熱を外部に逃すための放熱部材;ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング等の照明器具部品;コンパクトディスク、レーザーディスク(登録商標)、スピーカー等の音響製品部品;光ケーブル用フェルール、携帯電話機、固定電話機、ファクシミリ、モデム等の通信機器部品、分離爪、ヒータホルダー等の複写機;印刷機関連部品、インペラー、ファン歯車、ギヤ、軸受け、モーター部品及びケース等の機械部品、自動車用機構部品;エンジン部品、エンジンルーム内部品、電装部品、内装部品等の自動車部品;マイクロ波調理用鍋、耐熱食器等の調理用器具;航空機;宇宙機;宇宙機器用部品;センサー類部品が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例および比較例の樹脂組成物の評価に用いた測定法は次のとおりである。
A.評価方法
(1)ポリアミドの相対粘度
96%硫酸に溶解し、濃度1g/dLの試料溶液を作製した。続いて、ウベローデ型粘度計を用い、25℃の温度で試料溶液および溶媒の落下時間を測定し、以下の式を用いて相対粘度を求めた。
相対粘度=(試料溶液の落下時間)/(溶媒のみの落下時間)
(2)ポリ乳酸の重量平均分子量
示差屈折率計を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液とし、分子量はポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として換算した。
(3)密度
電子比重計(京都電子工業社製)を用いて、温度20℃で測定した。
(4)酸価
JIS K 5902に準拠して、測定した。
(5)軟化温度
JIS K 7206:1999に準拠して、測定した。
(6)流動長
十分に乾燥した樹脂組成物を、幅20mm、厚さ1mmのバーフロー試験金型(スパイラル状)を取り付けた射出成形機(日精樹脂工業社製:NEX110−12E)を用いて10回射出成形して、その平均をバーフロー流動長とした。シリンダー温度、金型温度は、表1〜表3のバーフロー流動長の欄に記載の温度とし、射出圧力は150MPaとした。
◎:200mm≦流動長(最良);
○:150mm≦流動長<200mm(良);
△:80mm≦流動長<150mm(実用上問題なし);
×:流動長<80mm(実用上問題あり)。
(7)曲げ強さ、曲げ弾性率
十分に乾燥した樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業社製:NEX110−12E)を用いて10回射出成形して、成形片を作製した。シリンダー温度、金型温度は、表1〜表3の成形条件の欄に記載の温度とし、射出圧力は220MPaとした。
得られた成形片を用いて、ISO規格178に準拠して測定した。成形片はISO規格178に準拠して作製されたものである。
曲げ強さ:
◎:100MPa≦曲げ強さ(最良);
○:80MPa≦曲げ強さ<100MPa(良);
△:55MPa≦曲げ強さ<80MPa(実用上問題なし);
×:曲げ強さ<55MPa(実用上問題あり)。
曲げ弾性率:
◎:10GPa≦曲げ弾性率(最良);
○:8GPa≦曲げ弾性率<10GPa(良);
△:5GPa≦曲げ弾性率<8GPa(実用上問題なし);
×:曲げ弾性率<5GPa(実用上問題あり)。
(8)熱伝導率
熱伝導率λは、熱拡散率α、密度ρおよび比熱Cpを下記方法により求め、その積として次式で算出した。
λ=αρCp
λ:熱伝導率(W/m・K)
α:熱拡散率(m/sec)
ρ:密度(g/m
Cp:比熱(J/g・K)
熱拡散率αは(7)で作製した曲げ試験片の樹脂流れ方向について、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置TC−7000(アルバック理工社製)を用いて、レーザーフラッシュ法にて測定した。
密度ρは電子比重計ED−120T(ミラージュ貿易社製)を用いて測定した。
比熱Cpは示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(9)メタリック特性(フリップフロップ値)
メタリック間の指標として90mm×50mmで厚み2mmの寸法のプレートサンプルを用いて、BYK−mac i(BYK Additives & Instruments)によりフリップフロップ値を測定した。プレートサンプルは、上記寸法とすること以外、前記した曲げ強さ、曲げ弾性率の測定方法における成形片と同様の方法により作製されたものである。フリップフロップ値は下記式により算出される。
2.69(L*15−L*110)^1.11/L*45^0.86
フリップフロップ値は大きいほどメタリック感が高いことを意味し、2.0以上の場合、合格であると判断した。メタリック特性を以下の基準に基づいて評価した。
◎:5.5≦フリップフロップ値(最良);
○:4.0≦フリップフロップ値<5.5(良);
△:2.0≦フリップフロップ値<4.0(実用上問題なし);
×:フリップフロップ値<2.0(実用上問題あり)。
(10)クールタッチ特性(熱浸透率)
クールタッチの指標として熱浸透率εを計算した。熱浸透率は大きいほど触ったときに冷たく感じることを意味し、熱浸透率が1400以上を合格とした。また、熱浸透率は以下の式により算出した。熱伝導率λは(8)で算出した値の流動方向の値を用い、密度ρおよび比熱Cpは熱伝導率を算出するときに用いた値を使用した。
ε=(λ×ρCp)1/2
λ:熱伝導率(W/m・K)
ρ:密度(kg/m
Cp:比熱(J/kg・K)
クールタッチ特性を以下の基準に基づいて評価した。
◎:2400≦熱浸透率(最良);
○:2200≦熱浸透率<2400(良);
△:1400≦熱浸透率<2200(実用上問題なし);
×:熱浸透率<1400(実用上問題あり)。
(11)耐フローマーク特性
90×50mmで厚み2mmの寸法のプレートサンプルを成形し目視により判定した。プレートサンプルは、上記寸法とすること以外、前記した曲げ強さ、曲げ弾性率の測定方法における成形片と同様の方法により作製されたものである。判定基準は以下とした。
◎:フローマークは全く発生せず、良好な外観が得られた;
△:フローマークは僅かに発生したが、実用上問題のない外観が得られた;
×:フローマークが明らかに発生し、成形条件での改善ができなかった。
(12)視覚および触覚的総合評価
メタリック特性、クールタッチ特性および耐フローマーク特性の評価結果に基づいて、総合的に評価した。
◎:上記した特性についての全ての評価結果が◎であった;
○:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が○であった;
△:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が△であった;
×:上記した特性についての全ての評価結果のうち、最も低い評価結果が×であった。
B.原料
本発明の実施例と比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)熱可塑性樹脂(A)
・PA6:ポリアミド6(相対粘度2.6、密度1.13g/cm
・PA66:ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重合によって得られるポリアミド66樹脂(相対粘度2.8、密度1.14g/cm
・PLA:ポリ乳酸、重量平均分子量190,000、密度1.25g/cm
・PP:ポリプロピレン、日本ポリプロ社製MA1B、密度0.9g/cm
(2)絶縁熱伝導性充填材(B)
・TC−1:鱗片状タルク(平均粒子径1μm、熱伝導率5〜10W/(m・K)、密度2.70g/cm
・TC−2:鱗片状タルク(平均粒子径5μm、熱伝導率5〜10W/(m・K)、密度2.70g/cm
・TC−3:鱗片状タルク(平均粒子径25μm、熱伝導率5〜10W/(m・K)、密度2.70g/cm
・TC−4:鱗片状タルク(平均粒子径50μm、熱伝導率5〜10W/(m・K)、密度2.70g/cm
・MgO:球状酸化マグネシウム(平均粒子径30μm、熱伝導率50W/(m・K)、密度3.58g/cm
・BN:六方晶系鱗片状窒化ホウ素(平均粒子径15μm、熱伝導率210W/(m・K)、密度2.26g/cm
・AlO:酸化アルミニウム(平均粒子径10μm、熱伝導率32、密度3.95g/cm
(3)メタリック顔料(C)
・C−1:アルミペースト(旭化成社製「シルビーズM050−AP」(平均粒子径5μm、平均厚み0.1μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−2:アルミペースト(旭化成社製「シルビーズM100−BP」(平均粒子径10μm、平均厚み0.2μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−3:アルミペースト(旭化成社製「シルビーズM350−BP」(平均粒子径35μm、平均厚み0.4μm、アルミ成分90%、ポリエチレングリコール10%)
・C−4:アルミペースト(Silberline社製「SILVET 760-20-E」(平均粒子径55μm、平均厚み0.6μm、アルミ成分80%、ポリエチワックス20%)
・C−5:アルミペースト(Silberline社製「SILVET 430-30-E1」(平均粒子径170μm、平均厚み0.6μm、アルミ成分70%、ポリエチレンワックス30%)
(4)ロジン(D)
・D1:マレイン化ロジン(荒川化学工業社製、マルキードNo.31、酸価188mgKOH/g、軟化温度141℃)
・D2:マレイン化ロジン(荒川化学工業社製、マルキードNo.32、酸価138mgKOH/g、軟化温度134℃)
・D3:マレイン化ロジン(荒川化学工業社製、マルキードNo.8、酸価38mgKOH/g、軟化温度133℃)
実施例1
ポリアミド6樹脂(PA6)47質量部とタルク(TC)50質量部を軸押出機(東芝機械製:TEM26SS、スクリュ径26mm)の主ホッパーに供給し、260℃で溶融した。途中サイドフィーダーより、メタリック顔料(C)3質量部を供給し、十分に溶融混練しストランド状に押出して冷却固化した後、それをペレタイザーでカッティングして樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを日精樹脂社製の成形機(NEX110−12E)を用いて所定の形状に成形した。
実施例2〜32および比較例1〜4
樹脂組成、混練条件、成形条件を表1〜表3に示すように変更した以外は実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂組成物のペレットを得た。メタリック顔料(C)は、途中サイドフィーダーにより供給した。
比較例5
樹脂組成、混練条件、成形条件を表3に示すように変更した以外は樹脂組成実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得たが、樹脂組成物の粘度が高すぎるため射出成形ができなかったため成形サンプルが得られなかった。
実施例1〜32の樹脂組成物は本発明の要件を満たしているため、メタリック調の外観を有しかつ触れた時に冷たく感じるクールタッチ特性も有する成形体を得ることができた。実施例6〜12は酸価のより高いロジンを配合しているため絶縁性熱伝導性充填材(B)が同量配合されている実施例1よりバーフロー流動長が優れていた。
実施例1と実施例18〜19とを対比すると、タルクを用いた場合が最もメタリック特性が高いことがわかる。
実施例1および20と実施例21〜22とを対比すると、ポリアミドを用いた場合がメタリック特性およびクールタッチ特性が最も高いことがわかる。
実施例1および27と実施例14〜15および30とを対比すると、メタリック顔料として粒径15〜60μmのものを用いた場合に、メタリック特性およびクールタッチ特性がより一層、高くなることがわかる。
実施例1および29と実施例16〜17とを対比すると、熱伝導性充填材として粒径10〜60μmのものを用いた場合に、メタリック特性およびクールタッチ特性がより一層、高くなることがわかる。
実施例1と実施例4、5、23〜26および28を対比すると、A/B=40/60〜52/48とした場合に、メタリック特性およびクールタッチ特性がより一層、高くなることがわかる。
比較例1〜2はメタリック顔料(C)が含有されていないか配合量が少ないため、フリップフロップ値が小さくメタリック特性を得ることができなかった。
比較例3はメタリック顔料(C)の配合量が多いため、プレート成形品のフローマークが発生し外観が悪かった。
比較例4は絶縁性熱伝導性充填材(B)の配合量が少ないため熱伝導率が小さく、熱浸透率も小さくなり、クールタッチを得ることができなかった。
比較例5は絶縁性熱伝導性充填材(B)の配合量が多すぎるため、成形することができなかった。
Figure 2021113308
Figure 2021113308
Figure 2021113308
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、あらゆる分野において金属から構成されていた部品または部材の製造に有用である。
詳しくは、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、あらゆる分野において金属から構成されていた部品または部材に代替可能な部品または部材を構成する樹脂組成物として有用である。
より詳しくは、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、前記した成形品の具体例として例示した部品または部材の製造に有用である。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)とを含有し、熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が18/82〜82/18であり、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対してメタリック顔料(C)が0.8〜12.0質量部で含有されている熱伝導性樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂およびポリオレフィン樹脂からなる群から選択される1種以上のポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 絶縁熱伝導性充填材(B)が、タルク、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素からなる群から選択される1種以上の充填材であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. メタリック顔料(C)が、アルミニウム、鉄、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛、インジウム、チタンおよび銅からなる群から選択される1種以上の無機材料粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. メタリック顔料(C)の平均粒子径が2〜200μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  6. さらにロジン(D)を、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対して10質量部以下で含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  7. 絶縁熱伝導性充填材(B)がタルクであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  8. 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  9. 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂およびポリエステル樹脂からなる群から選択される1種以上のポリマーであり、
    絶縁熱伝導性充填材(B)がタルクであり、
    絶縁熱伝導性充填材(B)の平均粒子径が10〜60μmであり、
    熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が30/70〜55/45であり、
    メタリック顔料(C)がアルミ顔料であり、
    メタリック顔料(C)の平均粒子径が8〜60μmであり、
    絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の質量比が98/2〜80/20である、請求項1〜8のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  10. 熱可塑性樹脂(A)がポリアミド樹脂であり、
    絶縁熱伝導性充填材(B)がタルクであり、
    絶縁熱伝導性充填材(B)の平均粒子径が10〜60μmであり、
    熱可塑性樹脂(A)と絶縁系熱伝導性充填材(B)の質量比が40/60〜52/48であり、
    メタリック顔料(C)がアルミ顔料であり、
    メタリック顔料(C)の平均粒子径が15〜60μmであり、
    メタリック顔料(C)の含有量が、熱可塑性樹脂(A)と絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の合計量100質量部に対して、2.0〜12.0質量部であり、
    絶縁熱伝導性充填材(B)とメタリック顔料(C)の質量比が95/5〜80/20である、請求項1〜8のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物からなる成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024070250A1 (ja) * 2022-09-26 2024-04-04 デクセリアルズ株式会社 熱伝導組成物、熱伝導シート、熱伝導組成物の製造方法及び熱伝導シートの製造方法

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