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JP2021074026A - 貯血槽 - Google Patents

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竜士 平口
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Abstract

【課題】内管から流出した血液に渦流が発生するのを抑制することができる貯血槽を提供する。【解決手段】貯血槽1は、内部空間10aを有するハウジング10と、血液を濾過するフィルタ体31を備え、ハウジングの内部空間に収納された濾過部30と、濾過部30の内周側に配置され、濾過部30との間に濾過空間70を形成する内管60と、を有し、内管は、血液を導くための内腔60aと、内腔の周辺に配置され、濾過空間を流れる血液に渦流が発生するのを抑制する渦流抑制部65と、を有し、濾過部の長手方向に直交した断面において、フィルタ体の内面31aの輪郭と、内管60の外面62aの輪郭とが略相似形状であり、渦流抑制部は、内管の管壁により形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、貯血槽に関する。
先天性心疾患や虚血性心疾患、大血管疾患等の外科的治療を行う際、心臓を止めて手術を行うことが多いが、その間一時的に心臓と肺の機能を代行する目的で、体外循環回路を含む人工心肺システムが用いられる。人工心肺システムには、患者の静脈から脱血された静脈血や、術野に溢れた心内血(吸引血)などの血液を一時的に貯留するための貯血槽が備えられる(例えば、下記特許文献1を参照)。貯血槽内に流入した血液は、フィルタを通過して異物や気泡が除去された後、流出ポートから貯血槽外に流出して、人工肺等を通過して患者に返血される。
特開2003−111835号公報
上記特許文献1に記載された貯血槽は、フィルタ体(濾過膜)による濾過がなされる前の血液が通る内管の外面の断面形状(内管の長手方向と直交する断面の形状)が血液の流れ方向(内管の先端側)に向けて狭まっている。内管を通過した血液は、内管の外面とフィルタ体が組み付けられた支持部材を備える濾過部との間に形成される濾過空間内に流入し、その後、フィルタ体を通過して濾過される。例えば、内管の断面形状が上記のように先端側で狭まったものになっていると、濾過空間の断面形状(流路の断面形状)は内管の長手方向の各部で異なる形状になる。そのため、内管の先端に設けられた開口部から流出した血液は、開口部付近から開口部よりも内管の基端側(濾過後の血液が流れる下流側)へ向けて流れる際、その流れが乱れるため、渦流が発生してしまうことがある。血液に渦流が発生すると、気泡が発生するリスクが高まる。その結果、血液から気泡を十分に除去することができなくなる虞がある。
本発明は、内管から流出した血液に渦流が発生するのを抑制することができる貯血槽を提供することを目的とする。
上記目的を達成する貯血槽は、内部空間を有するハウジングと、血液を濾過するフィルタ体を備え、前記内部空間に収納された濾過部と、前記濾過部の内周側に配置され、前記濾過部との間に濾過空間を形成する内管と、を有し、前記内管は、前記血液を導くための内腔と、前記内腔の周辺に配置され、前記内管と前記濾過部との間で前記血液に渦流が発生するのを抑制する渦流抑制部と、を有し、前記濾過部の長手方向に直交した断面において、前記フィルタ体の内面の輪郭と、前記内管の外面の輪郭とが略相似形状であり、前記渦流抑制部は、前記内管の管壁により形成されている、貯血槽。
上記のように構成した貯血槽によれば、渦流抑制部により、内管から濾過空間へ流出した血液に渦流が発生するのを抑制できる。
本発明の一実施形態に係る貯血槽の概略構成を示した斜視図である。 本発明の一実施形態に係る貯血槽の内部構成を簡略化して示す側面図である。 図2に示す矢印3A−3A線に沿う貯血槽の概略断面図である。 図3に示す矢印4A−4A線に沿う貯血槽の概略断面図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る貯血槽1の説明に供する図である。各図に付したX軸は、貯血槽1の「前後方向」を示し、Y軸は、貯血槽1の「幅方向」を示し、Z軸は、貯血槽1の「高さ方向」を示す。
本実施形態に係る貯血槽1は、患者の静脈から脱血した静脈血を一時的に貯留しておく貯血槽(静脈リザーバ)と、術野(心臓の外部)から吸引した心内血(吸引血)を一時的に貯留しておく貯血槽(カーディオトミーリザーバ)が一体になった一体型の貯血槽である。
貯血槽1は、例えば、心臓外科手術で用いられる体外循環回路に組み込まれて、静脈血や心内血を濾過、消泡して一時的に貯血するために用いられる。
図1〜図3に示すように、概説すると、貯血槽1は、内部空間10aを有するハウジング10と、血液を濾過するフィルタ体31を備え、ハウジング10の内部空間10aに収納された濾過部30と、濾過部30の内周側に配置され、濾過部30との間に濾過空間70を形成する内管60と、を有している。
図1〜図3に示すように、ハウジング10は、内部空間10aが形成されたハウジング本体11と、ハウジング10の上部側に取り付けられる蓋体12と、を有している。
ハウジング10の蓋体12には、内部空間10aへ血液を流入させる流入ポート20が設けられている。ハウジング10の底部には、濾過された血液を内部空間10aの外部へ流出させる流出ポート50が設けられている。
蓋体12には、静脈血流入ポート21および心内血流入ポート22以外に、内部空間10aにベント血を流入可能なベント血ポート、薬液等を血液に混入するための薬液注入ポート、貯血槽1内の圧力を調整するための排気ポートや圧力調整弁等を設けてもよい。
図2に示すように、流入ポート20は、静脈血が流入する静脈血流入ポート21と、心内血が流入する心内血流入ポート22と、を有する。
静脈血流入ポート21には、患者の静脈から脱血を行う脱血ラインのチューブが接続される。心内血流入ポート22には、術野から心内血を吸引する吸引ラインのチューブが接続される。
図3に示すように、内管60は、血液が流入可能な内腔60aを備える。内管60の内腔60aは、静脈血流入ポート21と連通している。内管60の先端(ハウジング10の底部側)には、内管60の内腔60aに連通する開口部61が形成されている。
図2および図3に示すように、濾過部30は、フィルタ体31を支持する支持部材32を備えている。支持部材32は、その側面に複数の開口を有する格子状に形成している。支持部材32の先端部(図2の下側の端部)には、ハウジング本体11に嵌合等により固着される壁部80を設けている。
フィルタ体31は、例えば、インサート成形により、支持部材32の開口部(図示省略)に取り付けることができる。なお、フィルタ体31は、支持部材32と一体的に形成される構成に限定されず、例えば、支持部材32とは別体の袋状に形成してもよい。この場合、フィルタ体31の外部において血栓の形成や異物の混入を防止する観点から、フィルタ体31は、支持部材32の外側を覆うように配置されることが好ましい。
フィルタ体31としては、例えば、多数の微細な開口を有する織布や不織布等を用いた公知の濾過用フィルタを適宜選択して使用することができる。フィルタ体31の構成材料は、特に限定されないが、例えば、PET、PBTのようなポリエステル、ポリアミド、テトロン、レーヨン、ポリプロピレン、ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の高分子材料、あるいはこれらのうちの2以上を組み合わせたものが挙げられる。
なお、フィルタ体31の目開き、厚み、開口面積等の具体的な構成は特に限定されない。また、濾過部30は、消泡剤を備えていてもよいし、フィルタ体31にシリコーン等をコーティングして気泡の消泡機能を付与してもよい。
図2に示すように、濾過部30と内管60との間には濾過空間70が設けられている。静脈血流入ポート21から流入した血液は、内管60の内腔60aに流入し(図2および図3の矢印a1を参照)、内管60の開口部61まで到達すると、開口部61から内管60の外部へ流出する。内管60の開口部61から流出した血液は、ハウジング本体11の底部11aに衝突し、内管60に対して外方へ向けて広がるように誘導される。血液は、内管60の外方へ向けて流れつつ、濾過空間70内に流入する。濾過空間70内に流入した血液は、静脈血流入ポート21を通じて内管60の内腔60a内に流入する血液の容積が増加するのに伴って濾過空間70を上方に向けて流れる。濾過空間70に流入した血液は、濾過部30が備えるフィルタ体31を通ることにより濾過される(図2および図3の矢印a2を参照)。濾過された血液は、ハウジング10の底部側に設けられた流出ポート50へ向けて流れる(図2を参照)。
ハウジング10の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。
また、ハウジング10は、内部空間10aに貯留された血液の量や状態を目視で確認することができる程度に、実質的に透明、半透明、有色透明であるのが好ましい。
図2に示すように、ハウジング10の内部空間10aには、カーディオトミー部40を配置している。カーディオトミー部40としては、例えば、袋状のフィルタや当該フィルタに収容された消泡部材を備える公知のものを用いることができる。
図2に示すように、患者の術野から吸引された心内血は、心内血流入ポート22を通過してカーディオトミー部40内に流入する(図2の矢印b1を参照)。心内血に混入していた気泡は、カーディオトミー部40が備える消泡部材に接触して破泡する。カーディオトミー部40内の心内血は、カーディオトミー部40が備える消泡部材およびフィルタを通過する。これにより、心内血に含まれる肉片、脂肪、凝血塊などの異物や気泡は除去される。その後、心内血は、ハウジング本体11の内部空間10aに貯留される。
次に、渦流抑制部65について説明する。
図3および図4に示すように、内管60は、内管60の内腔60aの周辺に配置された渦流抑制部65を備えている。渦流抑制部65は、濾過空間70を流れる血液(濾過空間70内の上方に向けて流れる血液)に渦流が発生するのを抑制する機能を持つ。本実施形態に係る貯血槽1において、渦流抑制部65は内管60の管壁(管肉)により形成されている。
図4は、図3の矢印4A−4A線に沿う断面(濾過部30の長手方向に直交した断面)を示している。図4に示す断面において、フィルタ体31の内面31aの輪郭と、内管60の外面62aの輪郭とは略相似形状である。そのため、貯血槽1は、フィルタ体31の内面31aと内管60の外面62aとの間のクリアランスを適切に保つことができる。また、これにより、貯血槽1は、濾過部30の長手方向に直交した断面において、内管60とフィルタ体31との間に形成される濾過空間70の断面形状を、濾過部30の長手方向(図2の上下方向)に略一定の形状にすることができる。
なお、本明細書中における「略」の記載は、比較対象である両者が厳密に「同一」であることのみを意味するものではない。例えば、製造公差に基づく形状差等は「略」の範囲に含まれるものとする。
上記のように濾過空間70の断面が濾過部30の長手方向に略一定の形状となっているため、濾過空間70を流路として上方側に流れる血液には、濾過部30の長手方向における濾過空間70の不均一な断面形状に起因した流れの乱れが生じにくくなる。したがって、濾過空間70を流れる血液に渦流が発生するのを好適に防止することができる。
また、内管60の管壁において渦流抑制部65を形成する部分は、濾過部30(フィルタ体31および支持部材32)よりも肉厚に形成されている。渦流抑制部65が形成された内管60は、濾過空間70の内部容積を低減させるスペーサーとしての役割を持つ。そのため、貯血槽1は、濾過部30が備えるフィルタ体31の面積を小さくすることなく、内管60に形成した渦流抑制部65により濾過空間70の内部容積を低減させることができる。これにより、内管60の内腔60aの容積と濾過空間70の内部容積の差が過度に大きくなるのを防止することができる。そして、内管60および濾過空間70に血液が流れている間、内管60の内腔60aの容積と濾過空間70の内部容積との間における容積差に起因して、内管60の内腔60aと濾過空間70との間に大きな圧力差が生じるのを防止できる。それにより、渦流抑制部65が形成された内管60は、いわゆるホールドアップ現象が生じるのを好適に防止することができる。
なお、フィルタ体31の内面31aの輪郭は、図4に示す断面において、例えば、略楕円形状に形成することができる。また、内管60の外面62aの輪郭は、図4に示す断面において、例えば、略楕円形状に形成することができる。フィルタ体31の内面31aの輪郭および内管60の外面62aの輪郭が楕円形状に形成されることにより、濾過空間70を上方に流れる血液は、フィルタ体31の内面31aの輪郭および内管60の外面62aに沿って円滑に移動する。図示省略するが、フィルタ体31を支持する支持部材32は、フィルタ体31と略同一の断面形状で形成している。
以上、実施形態を通じて本発明に係る貯血槽を説明したが、本発明は明細書内で説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、実施形態の説明では、静脈血が流入する静脈血貯血槽と、心内血が流入する心内血貯血槽が一体になった貯血槽について説明したが、本発明を適用することができる貯血槽はこれに限定されず、公知の貯血槽に適用することができる。例えば、心内血が流入せずに静脈血が流入する静脈血貯血槽であってもよい。
また、内管の外面の輪郭とフィルタ体の内面の輪郭は、楕円形状に限定されることはない。
1 貯血槽、
10 ハウジング、
10a 内部空間、
11 ハウジング本体、
11a ハウジング本体の底部、
30 濾過部、
31 フィルタ体、
31a フィルタ体の内面、
32 支持部材、
40 カーディオトミー部、
60 内管、
60a 内管の内腔、
61 開口部、
62a 内腔の外面、
65 渦流抑制部(内管の管壁)、
70 濾過空間、
80 壁部。

Claims (3)

  1. 内部空間を有するハウジングと、
    血液を濾過するフィルタ体を備え、前記内部空間に収納された濾過部と、
    前記濾過部の内周側に配置され、前記濾過部との間に濾過空間を形成する内管と、を有し、
    前記内管は、前記血液を導くための内腔と、前記内腔の周辺に配置され、前記濾過空間を流れる前記血液に渦流が発生するのを抑制する渦流抑制部と、を有し、
    前記濾過部の長手方向に直交した断面において、前記フィルタ体の内面の輪郭と、前記内管の外面の輪郭とが略相似形状であり、
    前記渦流抑制部は、前記内管の管壁により形成されている、貯血槽。
  2. 前記フィルタ体の内面の輪郭は、前記濾過部の長手方向に直交した断面において、略楕円形状を有し、
    前記内管の外面の輪郭は、前記濾過部の長手方向に直交した断面において、略楕円形状を有している、請求項1に記載の貯血槽。
  3. 前記内管の管壁において前記渦流抑制部を形成する部分は、前記濾過部よりも肉厚に形成されている、請求項1または請求項2に記載の貯血槽。
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