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JP2020510060A - γ−ヒドロキシブチレート組成物及び障害の治療のためのそれらの使用 - Google Patents

γ−ヒドロキシブチレート組成物及び障害の治療のためのそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本明細書で提供されるものは、γ−ヒドロキシブチレート(GHB)の混合塩を含む医薬組成物及び製剤である。また、本明細書で提供されるものは、該医薬組成物及び製剤を製造する方法、並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害の治療のためのそれらの使用の方法である。【選択図】図1

Description

(1.発明の分野)
本明細書で提供されるものは、γ-ヒドロキシブチレート(GHB)の塩を含む医薬組成物及び製剤である。一実施態様において、該塩は、2種類以上のカチオンを包含する。また、本明細書で提供されるものは、該医薬組成物及び製剤を製造する方法、並びに線維筋痛症及び睡眠障害を含む障害の治療の方法である。また、そのような医薬組成物及び製剤が、線維筋痛症及び睡眠障害を含む疾患又は障害を治療するためのものであることも本明細書に記載される。そのような睡眠障害には、無呼吸、睡眠時間障害(sleep time disturbance)、ナルコレプシー、カタプレキシー、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスが含まれる。
(2.発明の背景)
Xyrem(登録商標)(Jazz Pharmaceuticals)として商業的に販売されているナトリウムオキシベート(Na・GHB)は、ナルコレプシー患者における過度の日中の眠気及びカタプレキシーの治療用に承認されている。また、Na・GHBが、線維筋痛症候群の患者において疼痛を緩和し機能を向上させるために有効であり(Scharfらの文献, 2003, J. Rheumatol. 30: 1070; Russellらの文献, 2009, Arthritis. Rheum. 60: 299を参照されたい)、かつパーキンソン病患者の過度の日中の眠気及び疲労を軽減し、ミオクローヌス及び本態性振戦を改善し、かつ遅発性ジスキネジア及び双極性障害を低減するのに有効であること(Ondoらの文献, 2008, Arch. Neural. 65: 1337; Fruchtらの文献, 2005, Neurology 65: 1967; Bernerの文献, 2008, J. Clin. Psychiatry 69: 862を参照されたい)も報告されている。
ナルコレプシー患者に使用するためのXyrem(登録商標)は、高レベルの該薬物を必要とする長期にわたり用いられる製品である。該薬物からのナトリウム摂取の量は、患者の一日あたりのナトリウム摂取をかなり増加させる。このことは、高血圧症、心疾患、腎疾患の患者、又は脳卒中のリスクがある患者には望ましくない。
Xyrem(登録商標)は、広範囲の集団に投与されるため、特に、高血圧症、心疾患、腎疾患の患者、又は脳卒中のリスクがある患者において、ナトリウムの望ましくない副作用を最小化するが、それでも別の塩の存在からの追加の健康上の利益を提供するGHB製剤が必要とされている。安全、有効、かつ一貫した用量を患者に提供するため、また許容し得る薬力学的性質及び薬物動態学的性質を発揮するために、そのような修飾された製剤は、良好な溶解性、安定性、及び純度を提供することが望ましい。それらの全体が引用により組み込まれている、米国特許第8,591,922号;第8,901,173号;及び第9,132,107号を参照されたい。
(3.発明の概要)
本明細書で提供されるものは、GHBに反応性の状態、例えば、線維筋痛症並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、過度の日中の眠気(EDS)、カタプレキシー、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害の治療に有用な、γ-ヒドロキシブチレート(「GHB」)の塩を含む医薬組成物及び製剤である。
本明細書で提供される一実施態様は、ナトリウム含量が減少したGHB製剤である。本明細書で提供される別の実施態様は、減少したナトリウム含量を有し、かつXyrem(登録商標)と生物学的に等価であるGHB製剤である。ある実施態様において、ナトリウム含量の減少は、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの別のカチオンの使用を伴う。
さまざまな塩組成物を同じオキシベート又はGHBモル用量で比較する便宜上、本出願において百分率として表される組成は、オキシベート又はGHBのそれぞれの塩のモル当量百分率(%モル当量)を指す。通常、これは、wt/wt%として表されるであろう組成に近いが、同じではない。本明細書で使用される「オキシベート」及び「GHB」という用語は、互換的に使用される。
従って、一態様において、本明細書で提供されるものは、GHBの塩を含む医薬組成物及び製剤である。一実施態様において、該製剤は、2種以上のGHBの塩の混合物を含むGHBの医薬組成物であって、該混合物が、少なくとも50%のγ-ヒドロキシブチレートのナトリウム塩(Na・GHB)を含み、かつ該混合物が、γ-ヒドロキシブチレートのカリウム塩(K・GHB)及びγ-ヒドロキシブチレートのカルシウム塩(Ca・(GHB)2)のうちの1種以上をさらに含む、前記医薬組成物である。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に、約50%で、及び最高で55%、60%、70%、又は80%で存在する。ある実施態様において、前記医薬組成物は、実質的な量のγ-ヒドロキシブチレートのマグネシウム塩(Mg・(GHB)2)を含まない。
別の実施態様において、前記医薬組成物は、25〜100mL、25〜75mL、又は55〜65mLの体積の水溶液中で患者に与えられる。
別の実施態様において、前記医薬組成物は、患者に投与される場合、80%〜125%の範囲内で、Na・GHBの平均最高GHB血漿濃度(Cmax)及びCmaxの平均最高GHB血漿曲線下面積(AUC)と生物学的に等価である。
別の実施態様において、前記医薬組成物は、GHBの3種の塩の混合物を含み、該混合物は、少なくとも50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB及びCa・(GHB)2をさらに含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、3種のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、50〜60%のNa・GHBを含み、かつ20〜40%のK・GHB及び10〜20%のCa・(GHB)2をさらに含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、3種のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、各GHB塩について、約50%のNa・GHB、34%のK・GHB、及び16%のCa・(GHB)2を含む。
別の実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物及び/又は製剤を使用して、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される疾患又は状態を治療することができる。
別の実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物は、100mL未満の水溶液を含み、該水溶液は、2種以上のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、40%〜50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む。ある実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物は、実質的な量のCa・(GHB)2)もMg・(GHB)2も含まない。
別の実施態様において、前記医薬組成物は、約8%のNa・GHB、23%のK・GHB、48%のCa・(GHB)2、及び21%のMg・(GHB)2を含む。ある実施態様において、この医薬組成物を使用して、上で列挙した疾患又は疾病を治療することができる。
別の実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物及び/又は製剤は、患者に投与される場合に、Na・GHBの平均最高GHB血漿濃度(Cmax)よりも低いCmaxを有する。
本明細書で開示されるXyrem(登録商標)は、100%ナトリウムオキシベート(Na・GHB)からなる市販の製品であり、ナルコレプシー患者における過度の日中の眠気及びカタプレキシーの治療のために1晩に2回の使用に処方される。従って、別の態様において、本明細書で提供されるものは、50%未満のNa・GHBを含む第1の医薬組成物及び/又は製剤の第1の用量、及び50%超のNa・GHBを含む第2の医薬組成物及び/又は製剤の第2の用量である。別の実施態様は、前記用量を、逆の順番で有し、さらなる実施態様は、おのおのの製剤の類似の用量を用いる。ある実施態様において、前記第1の用量を、食事後4時間以内に投与することができ、Na・GHBのCmaxよりも低いGHB Cmaxを生じさせるが、それほど食品作用を有さないであろう。
別の態様において、本明細書で提供される医薬組成物及び製剤を使用して、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される疾患又は状態を治療することができる。一実施態様において、本明細書で提供される製剤及び医薬組成物を使用して、GHBに反応性の状態、例えば、線維筋痛症、並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、過度の日中の眠気(EDS)、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害を治療することができる。
本明細書で開示される医薬組成物及び製剤は、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される疾患又は状態を治療する方法における使用のためのものである。ある実施態様において、本明細書で開示される製剤及び医薬組成物は、GHBに反応性の状態、例えば、線維筋痛症、並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、過度の日中の眠気(EDS)、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害を治療する方法に用いられる。
別の態様において、本明細書で提供されるものは、GHBでの治療に適した患者において、疾患又は状態を治療する方法であって、本明細書で開示される医薬組成物及び製剤を該患者に投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、前記疾患又は状態は、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される。ある実施態様において、前記疾患又は状態は、線維筋痛症、並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、過度の日中の眠気(EDS)、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害からなる群から選ばれる。
別の実施態様において、本明細書で開示される治療の方法は、以下のこと:(i)2種以上のGHB塩の混合物であって、50%未満のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、前記混合物を含む水溶液を希釈して、GHB塩の第1の用量を提供すること;(ii)2種以上のGHB塩の混合物であって、約50%〜約80%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、前記混合物を含む水溶液を希釈して、GHB塩の第2の用量を提供すること;(iii)GHBでの治療に適した疾患又は状態を有する患者に、該第1の用量を経口投与すること;及び(iv)該第1の用量の後2.5〜4時間の範囲内で該患者に該第2の用量を経口投与すること、の1つ以上の工程を含む。
本明細書で開示される医薬組成物及び製剤は、GHBでの治療に適した患者において疾患又は状態を治療する方法であって、本明細書で開示される医薬組成物及び製剤を該患者に投与することを含む、前記方法における使用のためのものである。
ある実施態様において、本明細書で開示される医薬組成物及び製剤は、以下のこと:(i)2種以上のGHB塩の混合物であって、50%未満のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、前記混合物を含む水溶液を希釈して、GHB塩の第1の用量を提供すること;(ii)2種以上のGHB塩の混合物であって、約50%〜約80%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、前記混合物を含む水溶液を希釈して、GHB塩の第2の用量を提供すること;(iii)GHBでの治療に適した疾患又は状態を有する患者に、前記第1の用量を経口投与すること;及び(iv)該第1の用量の後2.5〜4時間の範囲内で、前記第2の用量を該患者に経口投与すること、の1つ以上の工程をさらに含む、患者において疾患又は状態を治療する方法における使用のためのものである。
別の態様において、本明細書で提供されるものは、本明細書で開示される医薬組成物を製造する方法である。
(4.図面の簡単な説明)
図1は、摂食又は絶食状態のいずれかで与えられ、Xyrem(登録商標)(「X」)と比較された、時間に対する製剤「O」(8%のNa・GHB、23%のK・GHB、48%のCa・(GHB)、及び21%のMg・(GHB)2)の血漿GHB濃度を示す(
Figure 2020510060
、Xyrem(登録商標)絶食;
Figure 2020510060
、製剤「O」絶食;
Figure 2020510060
Xyrem(登録商標)摂食;
Figure 2020510060
、製剤「O」摂食)。目的は、製剤「O」のXyrem(登録商標)との生物学的等価性を評価することであった。
図2は、それぞれ、100%Xyrem(登録商標)、44%Xyrem(登録商標)、及び17%Xyrem(登録商標)の比率での製剤「O」とXyrem(登録商標)(「X」)との混合物の時間に対する血漿GHB濃度を示す(
Figure 2020510060
、絶食での4.5gの「X」;
Figure 2020510060
、絶食での2.5gの「O」+2.0gの「X」;
Figure 2020510060
、絶食での3.75gの「O」+0.75gの「X」)。目的は、どのくらいの量のナトリウム(又はXyrem(登録商標))が、絶食状態において生物学的等価性を達成するのに必要とされるかを決定することであった。
図3は、絶食状態でXyrem(登録商標)と比較した、さまざまな混合オキシベート塩製剤についての時間に対する血漿GHB濃度を示す(ここで、双方は、60mLのより少ない投与体積で与えられる)(
Figure 2020510060
、Xyrem(登録商標)(100%のNa);
Figure 2020510060
、製剤507D(50%のNa、34%のK、16%のCa、0%のMg);
Figure 2020510060
、507C(33%のNa、0%のK、48%のCa、19%のMg);
Figure 2020510060
、507A(33%のNa、34%のK、33%のCa、0%のMg);
Figure 2020510060
、507G(23%のNa、19%のK、40%のCa、18%のMg))。
図4A〜4Bは、60mL又は240mLの水とともに絶食で与えられる場合又は60mLの水とともに摂食で与えられる場合の、Xyrem(登録商標)及び製剤「O」を比較する。図4A.(左)Xyrem(登録商標)が、60mL又は240mLの水とともに与えられた場合(絶食)、又はXyrem(登録商標)が、60mLの水とともに与えられた場合(摂食)の血漿GHB濃度(
Figure 2020510060
、絶食240mL;
Figure 2020510060
、絶食60mL;
Figure 2020510060
、摂食60mL)。図4B(右)製剤「O」が、60mL又は240mLの水とともに与えられた場合(絶食)、又は製剤「O」が、60mLの水とともに与えられた場合(摂食)の血漿GHB濃度(
Figure 2020510060
、絶食240mL;
Figure 2020510060
、絶食60mL;
Figure 2020510060
、摂食60mL)。
図5A〜5Bは、240mLの水性体積(aqueous volume)又は60mLの水性体積のいずれかで投与された場合の、絶食状態PK評価を受けた実施例製剤の、Cmax比(対Xyrem(登録商標))とカルシウム含量又はナトリウム含量との関係を示す。図5A.(上)240mLの水性体積のいずれかで投与された場合の、絶食状態PK評価を受けた実施例製剤のCmax比(対Xyrem(登録商標))とカルシウム含量との関係(
Figure 2020510060
、Cmax、60mL;
Figure 2020510060
、Cmax、240mL)。図5B(下)240mLの水性体積のいずれかで投与された場合の、絶食状態PK評価を受けた実施例製剤のCmax比(対Xyrem(登録商標))とナトリウム含量との関係(
Figure 2020510060
、Cmax、60mL;
Figure 2020510060
、Cmax、240mL)。
図6は、4時間空けて与えられる均等に分割された用量の一部として、別々の製剤を摂取して期待される挙動を示すグラフである(
Figure 2020510060
、第1の用量Xyrem(登録商標)摂食、第2の用量Xyrem(登録商標)絶食;
Figure 2020510060
、第1の用量製剤「O」摂食、第2の用量製剤507D絶食)。製剤「O」が、初めに与えられ、その後、製剤「507D」が4時間遅れて与えられる。これを、両方の時刻に与えられるXyrem(登録商標)と比較する。
(5.発明の詳細な説明)
「オキシベート」としても知られるγ-ヒドロキシブチレート(GHB)は、哺乳動物の脳などの人体組織にみられる催眠性を有する内在性化合物である。脳においては、最高GHB濃度が視床下部及び大脳基底核でみられ、GHBは神経伝達物質として機能すると仮定されている(Snead及びMorleyの文献, 1981, Brain Res. 227(4): 579-89を参照されたい)。GHBの神経薬理学的作用には、脳アセチルコリンの増加、脳ドーパミンの増加、GABA-ケトグルタル酸トランスアミナーゼの阻害、及び脳における酸素消費の低下を伴わないグルコース利用の低下が含まれる。GHBによる治療は、ナルコレプシーの兆候及び症状、すなわち、日中の眠気、カタプレキシー、睡眠時麻痺、及び入眠時幻覚を実質的に減少させる。加えて、GHBは、総睡眠時間及びREM睡眠を増加させ、かつそれは、REM潜時(REM latency)を低減させ、睡眠時無呼吸を減少させ、かつ全身麻酔を改善する(例えば、各々がその全体として引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第6,472,431号;第6,780,889号;第7,262,219号;第7,851,506号;第8,263,650号;第8,324,275号;及び第8,772,302号を参照されたい)。
Xyrem(登録商標)は、100%ナトリウムオキシベート(Na・GHB)から構成される市販の製品であり、ナルコレプシー患者における過度の日中の眠気及びカタプレキシーの治療用に承認されている。また、Na・GHBは、線維筋痛症候群の患者において疼痛を緩和し機能を改善するために有効であり、かつパーキンソン病患者において過度の日中の眠気及び疲労を軽減すること、ミオクローヌス及び本態性振戦を改善すること、及び遅発性ジスキネジア及び双極性障害を低減することに有効であると報告されている。米国特許第6,472,431号の最後に組み込まれている引例を参照されたい。さらに、処方された通りに使用された場合の安全性の一般記録にもかかわらず、Xyrem(登録商標)の乱用及び誤用のリスクが存在し、これは、発作、意識消失、昏睡、及び死を含む重大な医学的問題を引き起こす可能性がある(例えば、その全体が、引用により組み込まれている、2006年11月13日付のNDAのFDA製品ラベル、第021196号(FDA product label dated 11/13/2006 for NDA no. 021196)を参照されたい)。
ナルコレプシー患者に使用するためのXyrem(登録商標)は、高レベルの該薬物を必要とする長期にわたり用いられる製品である。該薬物からのナトリウム摂取の量は、患者の一日あたりのナトリウム摂取をかなり増加させ、このことは、高血圧症、心疾患、腎疾患の患者、又は脳卒中のリスクがある患者には望ましくない。従って、特に、高血圧症、心疾患、腎疾患の患者、又は脳卒中のリスクがある患者のために、本明細書で提供されるものなどの、より低いナトリウムを有するが、それでも別の塩の存在からの追加の健康上の利益を提供するGHB製剤が必要とされている。
しかしながら、71.4mEq/日(9gのナトリウムオキシベート)の治療用量は、十分に高く、ナトリウムから別のカチオンへと変えることは、別のカチオンの許容1日摂取量の限度を超える可能性があり、一部の患者に別の問題を引き起こす可能性がある。例えば、カリウムは、空の胃に与えられる高用量の溶液で認容性が劣り、腎障害の患者に問題になることもある。従って、別のカチオンについての懸念のレベルを超えることなく、ナトリウムを減少させるか又はそれを無くす製剤が、特に望ましい。
Xyrem(登録商標)は、リンゴ酸でpH調整された500mg/mLのナトリウムオキシベート(Na・GHB)からなる経口溶液として提供される。Xyrem(登録商標)は、空の胃に与えられる場合、急速かつ良好に吸収される。2.25g及び4.45gのナトリウムオキシベート用量の絶対的バイオアベイラビリティは、IV投与と比較して、88%である。Xyrem(登録商標)製品添付文書を参照されたい。その結果、ナトリウムオキシベートは通常、高溶解性、高透過性の薬物であると考えられている(Yuらの文献, Pharm. Res. 19 (7) 921-925を参照されたい)。そのため、ナトリウム以外のカチオンを含むが同程度の溶解度を有するものなどのGHBの代替製剤には、生物学的等価性が期待されるであろうし、薬物動態学的評価が免除されるであろう。連邦規則集第21巻(21 CFR)、パート320.22、サブパートB、パラグラフb(3)を参照されたい。
しかしながら、本明細書で開示されるように、ナトリウムオキシベートの見たところ迅速な吸収、その水溶液としての体裁、及び吸収挙動を変えることが期待されるいかなる他の成分も存在しないことにもかかわらず、同じGHB濃度を有する製剤は、Xyrem(登録商標)と等価な薬物動態を示さない。さらに、本明細書でも開示されるように、そのような製剤の薬物動態学的挙動は、存在するナトリウム及び/又は別のカチオンの量、及び製剤中の水の量次第で決まるようである。従って、本開示の目的の1つは、Xyrem(登録商標)と生物学的に等価であるGHBの代替製剤を提供することである。本明細書で提供されるものは、驚くべきことに所望の生物学的等価性を示すそのような代替製剤である。
本出願の全体にわたって参照される以下の特許及び出願は、以下のもの:米国特許第6,472,431号;第7,895,059号;第8,461,197号;第8,591,922号;第8,759,394号;第8,771,735号;第8,772,306号;第8,778,301号;第8,778,398号;第8,952,029号;及び第9,050,302号;並びに米国公報第2012/0076865号を含めて、あらゆる目的のためにそれら全体として引用により本明細書に組み込まれている。
本明細書に記載される方法及び組成物の目的、特徴、及び利点が、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、本発明の主旨及び範囲内のさまざまな変更及び修正が、本詳細な説明から当業者には明らかとなるであろうから、詳細な説明及び具体例は、特定の実施態様を示すものの、例示としてのみ与えられることが理解されるべきである。
(5.1定義)
本明細書で使用される、「γ-ヒドロキシブチレート」(GHB)又は「オキシベート」という用語は、γ-ヒドロキシ酪酸の負に荷電した又は陰イオンの形態(共役塩基)を指す。理論によって制限されないが、GHBは、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「γ-ヒドロキシ酪酸」という用語は、γ-ヒドロキシブチレートのプロトン化された形態(共役酸)を指す。理論によって制限されないが、γ-ヒドロキシ酪酸は、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「ナトリウムγ-ヒドロキシブチレート」(Na・GHB)又は「ナトリウムオキシベート」(Na・オキシベート)という用語は、126.09の分子量を有するγ-ヒドロキシ酪酸のナトリウム塩形態を指す。いかなる理論によっても制限されないが、Na・GHBは、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「カリウムγ-ヒドロキシブチレート」(K・GHB)又は「カリウムオキシベート」(K・オキシベート)という用語は、142.19の分子量を有するγ-ヒドロキシ酪酸のカリウム塩形態を指す。いかなる理論によっても制限されないが、K・GHBは、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「マグネシウムγ-ヒドロキシブチレート」(Mg・(GHB)2)又は「マグネシウムオキシベート」(Mg・オキシベート)という用語は、230.50の分子量を有するγ-ヒドロキシ酪酸のマグネシウム塩形態を指す。理論によって制限されないが、Mg・(GHB)2は、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「カルシウムγ-ヒドロキシブチレート」(Ca・(GHB)2)又は「カルシウムオキシベート」(Ca・オキシベート)という用語は、246.27の分子量を有するγ-ヒドロキシ酪酸のカルシウム塩形態を指す。理論によって制限されないが、Ca・(GHB)2は、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「γ-ブチロラクトン」(GBL)という用語は、無色の油状液体を指す。理論によって制限されないが、GBLは、以下の構造:
Figure 2020510060
を有すると考えられている。
本明細書で使用される、「患者」という用語は、哺乳動物、特にヒトを指す。
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」、又は「治療」という用語は、疾患及び/又はその付随症状を軽減又は抑止する方法を指す。
本明細書で使用される、「約」又は「ほぼ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容し得る誤差を意味し、これは、一部に、どのように該値が測定又は決定されるかに依存する。ある実施態様において、「約」又は「ほぼ」という用語は、所与の値から10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%の範囲内を意味する。
「実質的な量」という用語は、1%超を意味するものとする。
「医薬として許容し得る」によって、活性成分、カチオン、塩、希釈剤、賦形剤、又は担体が、製剤のその他の成分と適合性でなければならず、かつ過度に有害であってはならないこと、例えば、該活性成分、カチオン、塩、希釈剤、賦形剤、又は担体が、適宜、動物、又はヒトに投与される場合に、有害反応も、アレルギー反応も、他の不都合反応も生じさせないことが意味される。
本明細書で使用される「塩(1又は複数)」という用語は、酸と塩基との相互作用によって形成される化合物を指し、該酸の水素原子は、該塩基の正のイオン又はカチオンによって置き換えられる。医薬として許容し得る塩には、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、又はリンゴ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸が含まれる。形成される塩を、例えば、ナトリウム、カリウム、ケイ酸塩、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。ある好ましい実施態様において、前記塩は、金属、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、又はアルミニウム、又は亜鉛である無機塩基から形成される。別の塩は、アンモニウムを含んでもよい。リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属を、好ましくは、酸と共に用いて、pH調整剤を形成してもよい。医薬として許容し得る塩基付加塩の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、又は水酸化アンモニウムなどのような無機塩基から誘導されるものが挙げられる(例えば、Bergeらの文献, 1977, J. Pharm. Sci. 66: 1を参照されたい)。
本明細書で使用される「GHBの塩」という用語は、本明細書で使用される場合、塩基、例えば、NaOH、KOH、Mg(OH)2、及びCa(OH)2などとのγ-ヒドロキシ酪酸(GHBの共役酸)の相互作用によって形成される化合物を指し、該酸の水素原子は、該塩基の陽イオン又はカチオンによって置き換えられる。そのような塩としては、例えば、Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2などが挙げられる。そのような塩が、固体形態であり得るか、又はそのような塩が、例えば、水性媒体に溶解させた場合のような、部分的又は完全に溶媒和された形態であり得ることが当業者により理解されるであろう。さらに、Ca・(GHB)2の溶解平衡について以下:
Figure 2020510060
に例示されるように、水性媒体中の塩の溶解性によって、該塩が、該水性媒体中に、溶媒和されたカチオン及びアニオンとしてか、又は沈殿した固体として存在し得ることが当業者により理解されるであろう。
本明細書で使用される、「塩の混合物」又は「塩混合物」という用語は、2種以上の異なるカチオンが、組成物中に互いに組み合わされて存在するGHBの塩を指す。そのような塩の混合物としては、例えば、Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2からなる群から選択される2種以上の塩が挙げられる。
Xyrem(登録商標)は、500mg/mLのNa・GHBを含有する。異なるカチオンを有するGHB塩の混合物に言及する場合、mg/mLでの濃度は、同じGHB強度の製剤及び/又は医薬組成物の間で異なるであろう。本明細書で使用される場合、409mg/mLのGHB濃度は、500mg/mLのNa・GHB中のGHB含量と等価である。
本明細書で使用される、「wt/wt%」という用語は、塩混合物中の特定の塩の規格化された重量パーセントを指す。wt/wt%の計算の実例を、本開示の実施例1で提供する。
本明細書で使用される「wt/wt%比」という用語は、塩の混合物中のwt/wt%値の比を指す。例えば、塩Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2が、それぞれ、8%、32%、20%、及び40%のwt/wt%で存在する場合、該混合物中のNa・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2のwt/wt%比は、8%:32%:20%:40%である。
本明細書で使用される、「%モル当量」及び「% mol. equiv.」という用語は、GHB(又は「オキシベート」)当量のパーセントとして表される塩のモル組成を指す。例えば、本明細書に記載される製剤及び/又は医薬組成物は、Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2の%モル当量(% mol. equiv.)として表される、オキシベートのさまざまな百分率の混合物を含む。当業者は、各GHB単位が、1モル当量であると考えられるために、一価のカチオンNa+及びK+が、1つの塩あたり1モル当量を有し、二価のカチオンMg+2及びCa+2が、1つの塩あたり2モル当量を有することを理解するであろう。% mol. equiv.の計算の実例を、本開示の実施例で提供する。さまざまな塩組成物を同じオキシベートモル用量で比較する便宜上、本出願において百分率として表される組成は、各オキシベート塩のモル当量百分率(%モル当量)を指す。通常、これはwt/wt%として表される組成に近いが、同じではない。
本明細書で使用される、「緩衝剤」という用語は、溶液のpHを、別の酸性又は塩基性化合物の添加後に、選択されたpH値近くに維持するのに用いられる弱酸又は弱塩基を指す。そのような薬剤の機能は、酸又は塩基を溶液に加えた場合のpHの変化を防ぐことである。そのような薬剤は、酸、塩基、又はそれらの組合せであり得る。
本明細書で使用される、「調整剤」という用語は、溶液のpHを選択されたpH値に変化させるのに用いられる酸又は塩基を指す。そのような薬剤の機能は、酸性又は塩基性化合物の添加に続き、溶液のpHを所望の値に変化させることである。
本明細書で使用される、「酸」という用語は、1組の電子の共有を受け入れる物質を指す。そのような物質としては、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、ホウ酸、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸、スルホン酸、硝酸などが挙げられる。
本明細書で使用される、「塩基」という用語は、1組の電子を共有に供する物質を指す。そのような物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
本明細書で使用される、「化学的に安定な」という用語は、特定の環境において特に反応性ではなく、それに期待される有用性の時間スケールでその有用な性質を保持する化合物を指す。具体的には、該化合物の有用性は、空気、水分、又は熱の存在下で維持される。逆に言えば、特定の環境の条件下で分解する場合は、該化合物は化学的安定性を欠く。ある実施態様において本明細書で使用される「化学的に安定な」は、GHBのその既知又は未知の分解要素への分解に対して抵抗性であることを意味する場合がある。許容し得るGBLのレベルは、有効期間決定のICHガイドラインのとおり、最高で製剤の0.15%とすることができる。
本明細書で使用される、「微生物」という用語は、単一の細胞、細胞クラスター、又は多細胞生物のいずれかを含む顕微鏡的生物を指す。
本明細書で使用される、「微生物の増殖に対して抵抗性の」又は「微生物負荷に対して抵抗性の」という用語は、組成物又は製剤が、水性基材又はビヒクルを用いて製造される製品について食品医薬品局及び米国薬局方によって設定される基準を満たすことを意味し、これは、細菌に対しては、14日目で初期カウント値から1.0 log以上減少すること及び28日目で14日目のカウント値からの増加がないことを意味し、酵母及びカビについては、14日目及び28日目で初期計算カウント値からの増加がないことを意味する。
本明細書で使用される、「防腐剤」という用語は、食品、医薬品、塗料、生体試料、木材などに添加して、微生物の増殖による分解又は化学的分解を予防することができる、天然に存在するか又は合成的に製造される物質を指す。
本明細書で使用される、「製剤」という用語は、本明細書で開示される医薬組成物の安定かつ医薬として許容し得る調製物を指す。
本明細書で使用される、「液体製剤」という用語は、水ベースの製剤、特に、水溶液である製剤を指す。
本明細書で使用される、「低体積」又は「低水性体積」又は「減少した体積」という用語は、約100mL以下の水溶液を指す。
ここで使用される「投与の体積」という用語は、製剤及び/又は医薬組成物が摂取されるか嚥下される前又は直後を含む、本明細書で開示されるようなGHB塩を含む製剤及び/又は医薬組成物を摂取するか又は嚥下するのに用いられる水性材料の体積を指す。この量は、例えば、本明細書で開示される製剤及び/又は医薬、並びに該製剤及び/又は医薬組成物を希釈するか、それを流し落とすか、又はそれに続けて飲むために用いられる任意の追加の水性材料を含むことができる。追加の水性材料としては、例えば、水及び風味をつけた飲料が挙げられる。
本明細書で使用される、「食事」という用語は、固体又は液剤食品物質によってカロリー及び/又は栄養素を摂取するか又は消費することを指す。
本明細書で使用される、「カタプレキシー」という用語は、多くの場合情動をきっかけとして、患者が突発性かつ一過性の筋緊張の喪失を示す状態を指す。
本明細書で使用される、「日中の眠気」という用語は、患者が、見かけ上十分な夜間睡眠の後でさえ、持続性の眠気、及び多くの場合エネルギーの全般的な欠乏を示す状態を指す。
本明細書で使用される、「ナルコレプシー」という用語は、不適当な時間での過度の眠気及び睡眠発作を特徴とする慢性睡眠障害を指す。
本明細書で使用される、「無呼吸」という用語は、患者が、外呼吸を一時停止する状態を指す。
本明細書で使用される、「睡眠時間障害」という用語は、患者が、異常な睡眠パターンを示す状態を指す。睡眠時間障害は、正常な身体的、精神的、及び感情的な機能を妨げるのに十分なほど重篤となることもある。
本明細書で使用される、「睡眠時麻痺」という用語は、入眠しつつあるか又は覚醒しつつある患者が、動くことができなくなる睡眠体験を形成する状態を指す。これは、完全な筋力低下を特徴とする覚醒と休止との間の遷移状態である。
本明細書で使用される、「入眠時幻覚」という用語は、患者が鮮明な幻覚を経験する覚醒と睡眠との間の遷移状態を指す。
本明細書で使用される、「睡眠覚醒」という用語は、患者が眠っていながら性的行為にふける状態を指す。
本明細書で使用される、「不眠症」という用語は、患者が、入眠し睡眠を維持するのが難しい状態を指す。
本明細書で使用される、「夜間ミオクローヌス」という用語は、患者が、睡眠時又は覚醒時でさえ発作と混同されることもある手足の運動を繰り返す状態を指す。
本明細書で使用される、「香味剤(flavoring)」又は「香味料(flavoring agent)」という用語は、経口消費の間の組成物の風味を変化させる物質を指す。「香味料」の1つのタイプは、甘味料であろう。
本明細書で使用される、「着色剤(coloring)」又は「着色料(coloring agent)」という用語は、組成物の色を変化させる物質を指す。
本明細書で使用される、「生物学的に等価な」という用語は、「生物学的等価性試験に対するFDA手引書;バイオ医薬品クラス不問(FDA Guidance on Bioequivalence Testing; regardless of biopharmaceutical class)」(http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/03/briefing/3995B1_07_GFI-BioAvail-BioEquiv.pdfを参照されたく、またhttps://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/06/briefing/2006-4241B1-02-23-FDA-Bioequiv%20OGD%20Oct%206%202006%20Background.pdfも参照されたい)に従う薬物動態学的評価において同条件下で投与される場合に、参照製品(例えば、Xyrem(登録商標))と治療的に等価な製剤及び/又は医薬組成物を記述する。本明細書で使用される、「生物学的に等価な」値は、実質的に類似の薬物動態学的プロファイル又は治療効果を示す薬物動態学的な値(例えば、本明細書に記載される製剤のCmax又はAUC)を言うものとする。生物学的等価性は、いくつかのインビボ及びインビトロ方法によって実証され得る。これらの方法としては、例えば、薬物動態学的研究、薬力学的研究、臨床研究、及びインビトロ研究が挙げられる。ある実施態様において、生物学的等価性は、負荷投与量、定常状態用量、薬物の初期又は定常状態濃度、生物学的半減期、排出速度、曲線下面積(AUC)、クリアランス、ピーク血中又は血漿中濃度(Cmax)、ピーク濃度までの時間(Tmax)、バイオアベイラビリティ、及びポテンシーを含む、当技術分野において公知の、任意の適当な薬物動態学的尺度又は薬物動態学的尺度の組合せを用いて実証され得る。ある実施態様において、値は、AUC及び/又はCmaxの幾何平均が、参照の薬物動態学的な値の80%〜125%(例えば、90%信頼区間で)である場合に、参照の薬物動態学的な値と生物学的に等価である。
ある実施態様において、同条件下で投与されたときに、医薬組成物が、参照医薬組成物のCmax及び/又はAUCと実質的に同じである平均Cmax及び/又はAUCを生じさせる場合に、該医薬組成物は、参照医薬組成物と生物学的に等価である。ある実施態様において、同条件下で投与されたときに、医薬組成物が、参照医薬組成物のCmax及び/又はAUCの80%〜125%の範囲内であるCmax及び/又はAUCを生じさせる場合に、該医薬組成物は、参照医薬組成物と生物学的に等価である。例えば、同条件下で投与されたときに、医薬組成物が、Xyrem(登録商標)のCmax及び/又はAUCの80%〜125%である平均Cmax及び/又はAUCを生じさせる場合に、該医薬組成物は、Xyrem(登録商標)と生物学的に等価である。
本明細書で使用される、「本質的に〜からなる」という表現は、混合物又は組成物中に、特定のさらなる成分、すなわち、該混合物又は組成物の本質的な特徴に実質的に影響を及ぼさないものが、存在し得ることを意味する。
(5.2 GHBの塩混合物を含む医薬組成物)
ある態様において、本明細書で提供されるものは、γ-ヒドロキシブチレート(GHB)及び1種以上の医薬として許容し得るアルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンを含む医薬組成物である。本明細書で使用される、「アルカリ金属」は、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどの、周期表のIA族にある元素のいずれかを意味する。本明細書で使用される、「アルカリ土類金属」は、例えば、マグネシウム及びカルシウムなどの周期表のII族にある元素のいずれかを意味する。
ある実施態様において、医薬組成物は、GHB及び2種以上の医薬として許容し得るアルカリ金属又はアルカリ土類金属のカチオンを含む。
ある実施態様において、医薬組成物は、GHB、並びにNa+、K+、Mg+2、及びCa+2からなる群から選択される1種よりも多い(2種以上の)カチオンを含む。ある実施態様において、該医薬組成物は、GHB、並びにNa+、K+、及びCa+2からなる群から選択される3種のカチオン全てを含む。ある実施態様において、医薬組成物は、特に、高血圧症、心疾患、腎疾患の患者、又は脳卒中のリスクがある患者においてナトリウムの量を最小化するため、又は該組成物の味を向上させるために、100%未満のNa+カチオンを含む。ある実施態様において、医薬組成物は、約50%〜約80%のNa+カチオンを含む。別の実施態様において、医薬組成物は、約0%〜約40%のNa+カチオンを含む。それぞれの実施態様は、異なる利点を有する。
ある態様において、本明細書で提供されるものは、GHBの塩を含む医薬組成物である。本明細書で使用される、「GHBの塩(単数)」又は「GHBの塩(複数)」という用語は、「カチオン」という用語と互換的に使用される。例えば、GHB並びに4種のカチオンNa+、K+、Mg+2、及びCa+2 を含む医薬組成物はまた、塩Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2を含む医薬組成物も意味するものと当業者により理解されるであろう。そのような塩が、固体形態であり得るか、又は例えば、水性媒体に溶解させた場合のように、部分的又は完全に溶媒和された形態であり得ることも当業者により理解されるであろう。さらに、水性媒体中の塩の溶解性によって、該塩が、該水性媒体中に、溶媒和されたカチオン及びアニオンとしてか、又は沈殿した固体として存在し得ることが当業者により理解されるであろう。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、2種以上のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、Na・GHBを含み、かつK・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2からなる群から選択される塩のうちの任意の1種をさらに含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHB、K・GHB、及びCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHB及びCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHB及びK・GHBを含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHB、K・GHB、及びMg・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHB及びMg・(GHB)2を含む。
以下のカチオンの量は、さまざまな範囲で記載されている。該カチオンは、米国特許第8,591,922号;第8,901,173号;及び第9,132,107号に記載される範囲で存在し得る。
ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、少なくとも50%の百分率で前記混合物中に存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約50%〜約80%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約50%〜約70%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約50%〜約60%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約50%〜約55%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、40%〜50%で存在し、別の実施態様においては、5%〜45%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約5%〜35%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約5%〜25%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、約5%〜10%で存在する。
ある実施態様において、前記混合物は、40%〜50%のNa・GHBを含み、別の実施態様においては、45%〜50%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約5%〜45%のNa・GHBを含む。
ある実施態様において、前記混合物は、少なくとも50%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜約80%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜約70%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜約60%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜約55%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、40%〜50%のNa・GHBを含み、別の実施態様においては、5%〜45%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約5%〜35%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約5%〜25%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約5%〜10%のNa・GHBを含む。
ある実施態様において、前記混合物は、40%〜50%のNa・GHBを含み、別の実施態様においては、45%〜50%のNa・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約5%〜45%のNa・GHBを含む。
ある実施態様において、残りの1種、2種、もしくは3種、又はそれを超えるカチオンが、前記製剤及び/又は医薬組成物中のカチオンの残部を埋め合わせる量で前記混合物中に存在する。それぞれの量は、Na+の量及び別のカチオンの量次第である。例えば、Na+が50%で存在し、かつCa+2及びK+も存在する場合には、Ca+2及びK+はそれぞれ、足し合わせて該残りの50%となる5〜40%で変化する量で存在することができる。Mg+2も該混合物中に存在する場合には、非ナトリウム成分の50%が、3つの部分に分けられる。ある実施態様において、該混合物は、有意な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まず、従って、前記製剤及び/又は医薬組成物は、有意な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まない。任意の特定のカチオン濃度を患者にとって許容し得るレベルに調整するよう注意を払うこともできる。一般に、任意のカチオンを、患者にとって不利となり得るレベルまで添加することは、好ましくない可能性がある。例えば、カリウムは、空の胃に与えられる高用量の溶液中で劣った認容性を有しており、腎障害の患者に問題である可能性がある。
ある実施態様において、Na+が50%で存在し、かつCa2+及びK+も存在する場合には、Ca2+及びK+はそれぞれ、足し合わせて残りの50%となる5〜45%で変化する量で存在することができる。
ある実施態様において、K・GHB、Mg・(GHB)2又はCa・(GHB)2塩は、前記混合物中に、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、又は約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、又は約95%〜約100%で存在する。ある実施態様において、K・GHB、Mg・(GHB)2、又はCa・(GHB)2塩は、存在しない。
ある実施態様において、前記混合物は、K・GHB、Mg・(GHB)2、又はCa・(GHB)2を、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、又は約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、又は約95%〜約100%で含む。ある実施態様において、前記混合物は、約0%のK・GHBを含む。ある実施態様において、前記混合物は、約0%のMg・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、約0%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記混合物は、K・GHBを、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、又は約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、又は約95%〜約100%で含む。ある実施態様において、前記混合物は、約0%のK・GHBを含む。
ある実施態様において、前記混合物は、Mg・(GHB)2を約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、又は約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、又は約95%〜約100%で含む。ある実施態様において、前記混合物は、約0%のMg・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記混合物は、Ca・(GHB)2を、約1%〜約5%、約5%〜約10%、約10%〜約15%、約15%〜約20%、約20%〜約25%、約25%〜約30%、約30%〜約35%、又は約35%〜約40%、約40%〜約45%、約45%〜約50%、約50%〜約55%、約55%〜約60%、約60%〜約65%、約65%〜約70%、約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、又は約95%〜約100%で含む。ある実施態様において、前記混合物は、約0%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、Na・GHB塩が、前記混合物中に約50%〜約80%で存在する前記医薬組成物は、Xyrem(登録商標)と比べて減少したナトリウムを含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、2種以上のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、少なくとも50%のNa・GHBのナトリウム塩を含み、かつ以下の塩K・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2のうちの1種以上をさらに含む。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に、約50%〜80%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に、約50%〜70%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に、約50%〜60%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に、約50%〜55%で存在する。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、2種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、少なくとも50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB及びCa・(GHB)2のうちの1種以上をさらに含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、2種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、本質的に、少なくとも50%のNa・GHB、並びにK・GHB及びCa・(GHB)2のうちの1種以上からなる。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、実質的な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まない。ある実施態様において、前記混合物は、実質的な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まない。ある実施態様において、前記混合物は、50%〜80%のNa・GHB、少なくとも10%のK・GHB、及び少なくとも10%のCa・(GHB)2からなる。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、50%〜80%のNa・GHB、30%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、50%〜80%のNa・GHB、10%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、本質的に、50%〜80%のNa・GHB、10%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2からなる。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、約50%〜80%のNa・GHB、約30%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜80%のNa・GHB、約10%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、本質的に、約50%〜80%のNa・GHB、約10%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2からなる。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、約50%〜80%のNa・GHB、約30%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜80%のNa・GHB、約10%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、本質的に、約50%〜80%のNa・GHB、約10%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2からなる。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、50%〜60%のNa・GHB、20%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、50%〜60%のNa・GHB、10%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、約50%〜約60%のNa・GHB、約20%〜約40%のK・GHB、及び約10%〜約20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜60%のNa・GHB、約10%〜40%のK・GHB、及び約10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記組成物は、3種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、約50%〜約60%のNa・GHB、約20%〜約40%のK・GHB、及び約10%〜約20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、約50%〜約60%のNa・GHB、約10%〜約40%のK・GHB、及び約10%〜約20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記混合物は、45%〜55%のNa・GHB、30%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、48%〜52%のNa・GHB、32%〜36%のK・GHB、及び14%〜18%のCa・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記混合物は、実質的な量のMg・(GHB)2を含まない。別の実施態様において、前記混合物は、実質的な量のCa・(GHB)2を含まない。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、3種のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、少なくとも50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB及びCa・(GHB)2をさらに含み、ある実施態様において、該混合物は、50%〜60%のNa・GHB、10%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、実質的な量のMg・(GHB)2を含まない。ある実施態様において、前記混合物は、実質的な量のMg・(GHB)2を含まない。ある実施態様において、前記Na・GHB、K・GHB、及びCa・(GHB)2塩は、約50%:34%:16%の比率で前記混合物中に存在する。
ある実施態様において、前記GHBの医薬組成物は、100mL未満の水溶液を含み、該水溶液は、2種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は、40%〜50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む。
ある実施態様において、前記混合物は、約40%〜約50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む。ある実施態様において、前記混合物は、約40%〜約50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む。
ある実施態様において、前記GHBの医薬組成物は、100mL未満の水溶液を含み、該水溶液は、2種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物は本質的に、約40%〜約50%のNa・GHBからなり、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、40%〜50%のNa・GHBを含有する混合物を含み、該組成物は、25〜100mLの水溶液中で患者に提供される。ある実施態様において、前記医薬組成物は、40〜75mLの水溶液中に溶解又は分散させた前記混合物を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、55〜65mLの水溶液中に溶解又は分散させた前記混合物を含む。
ある実施態様において、前記水溶液は、約25mL〜約100mLの体積を有する。ある実施態様において、前記水溶液は、約40mL〜約75mLの体積を有する。ある実施態様において、前記水溶液は、約55mL〜約65mLの体積を有する。ある実施態様において、前記水溶液は、約60mLの体積を有する。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、25〜75mLの水溶液中に溶解又は分散させた前記混合物を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、約60mLの水溶液を含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、25〜100mLの水溶液を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、40〜75mLの水溶液を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、55〜65mLの水溶液を含む。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、約25mL〜約100mLの体積を有する水溶液である。ある実施態様において、前記医薬組成物は、約40mL〜約75mLの体積を有する水溶液である。ある実施態様において、前記医薬組成物は、約55mL〜約65mLの体積を有する水溶液である。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHBであるXyrem(登録商標)と生物学的に等価である。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHBの平均最高GHB血漿濃度(Cmax)と実質的に同じCmaxを生じさせる。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHBのCmaxの80%〜125%の範囲内であるCmaxを生じさせる。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHBと実質的に同じ平均最高GHB血漿曲線下面積(AUC)及びCmaxを生じさせる。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHBのAUCの80%〜125%であるAUCを生じさせる。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、患者に投与されたときに、約100%のNa・GHBを含む医薬組成物と生物学的に等価である。
ある実施態様において、患者に投与されたときに、前記平均最高GHB血漿濃度(Cmax)は、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のCmaxの10%の範囲内である。ある実施態様において、患者に投与されたときに、前記AUCは、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のAUCの10%の範囲内である。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、液体製剤として製剤化され、前記Na・GHB塩は、40%未満で存在する。これらの実施態様において、該医薬組成物は、食品作用に対してより抵抗性であり、かつNa・GHBと比べて低いCmaxを有する。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、2種以上のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、40%未満のNa・GHBを含み、かつ以下の塩K・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2のうちの1種以上をさらに含む。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に約0%〜30%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に約5%〜25%で存在する。ある実施態様において、前記Na・GHB塩は、前記混合物中に約5%〜10%で存在する。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、3種以上のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、少なくとも10%のK・GHB、少なくとも10%のCa・(GHB)2、及び少なくとも10%のMg・(GHB)2を含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、Na・GHBに加えて2種又は3種のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、20〜80%のK・GHB、Ca・(GHB)2、又はMg・(GHB)2をさらに含む。ある実施態様において、前記医薬組成物は、3種以上のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、非ナトリウム塩について、10〜50%のK・GHB、10〜50%のCa・(GHB)2、及び10〜50%のMg・(GHB)2を含む。
ある実施態様において、前記Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2塩は、それぞれ、約8%:23%:21%:48%の比率で前記混合物中に存在する。
(5.2.1 濃度及びpH値)
ある実施態様において、前記医薬組成物は、水溶液を含む。
ある実施態様において、前記溶液中の前記GHBの塩の混合物の濃度は、約250mg/mL〜約750mg/mL、約350mg/mL〜約650mg/mL、約400mg/mL〜約600mg/mL、約450mg/mL〜約550mg/mLである。ある実施態様において、前記溶液中の前記GHBの塩の混合物の濃度は、500mg/mL Na・GHBと一致する409mg/mL GHB前後を中心とする。その全体が、引用により組み込まれている米国特許第6,472,431号を参照されたい。
GHBの最大溶解度が、前記水性媒体のpHによって影響を受けることが理解されるであろう。例えば、約pH4では、溶解させることができるNa・GHBの最大量は、約450mg/mLである。GHB溶解性に貢献するpHの値はより高く、750mg/mL GHBを溶解させることとなる最低のpHが、およそpH 6.8であることが分かった。
従って、ある実施態様において、前記医薬組成物は、約7.0〜約9.0、約7.0〜約8.5、約7.3〜約8.5のpHを有する。
ある実施態様において、前記医薬組成物は、化学的に安定かつ微生物の増殖に対して抵抗性である。ある実施態様において、前記医薬組成物は、防腐剤を含まない。
また、前記水溶液のpHが、例えば、500mg/mL Na・GHBと一致する、約409mg/mL GHBでの医薬組成物の微生物の増殖に対する抵抗性に影響を及ぼすことも理解されるであろう。例えば、該濃度(500mg/mL)のNa・GHBは、水性媒体中では、pHが約pH 5〜pH9である場合に、微生物の増殖に対して抵抗性である。約pH 6〜約pH 7.5の組成物は、微生物の増殖に対して特に抵抗性である。しかしながら、約pH 7.5超での約750mg/mLを超えるGHBの濃度では、微生物の増殖に対する抵抗性は減少する。米国特許第6,472,431号を参照されたい。
GHBの化学的安定性が、pHによって影響を受けることがさらに理解されるであろう。従って、本明細書に記載されるような、特に、具体例に開示されるような、GHBを調製するための方法は、pHとともに変化する。pHが約6以下であると、不純物ガンマブチロラクトン(GBL)が、実質的に生成し始める。約6.0超のpHの組成物が、化学的に安定なGHBの製剤を製造するのに好ましい。したがって、化学的に安定なGHBに好ましい範囲は、約pH 6〜約pH 9であろう。しかしながら、臨床的に許容し得る量のGBLが存在する任意のpH又はpH値の範囲もまた、好ましいものとして想定され、かつ本発明に包含される。
ある実施態様において、pH調整又は緩衝剤を、前記組成物に添加してもよい。pH調整又は緩衝剤の選択は、微生物負荷に対する抵抗性及び/又はアッセイ可能なGHBの減少によって測定されるGHBの安定性に影響を及ぼし得る。リンゴ酸又は他の酸でpH調整又は緩衝されたGHBの組成物は、微生物の増殖及びGHBの化学的分解の双方に対して抵抗性であり、好ましい。別のpH調整又は緩衝剤が選択されてもよい。これに基づき選択されるpHを調整する薬剤は、味覚試験研究を受けてもよい。しかしながら、本明細書で開示されるか又は当業者に公知であろう任意のpH調整又は緩衝剤が、本明細書で開示される組成物又は製剤から有用であると想定される。勿論、本明細書に記載されるか又は当業者に公知であろう任意の塩、香味料、賦形剤、又は他の医薬として許容し得る添加物が、本明細書で開示される組成物又は製剤に有用であると想定される。それぞれがその全体として引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,472,431号、及びRemingtonの文献「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第22版、2013年を参照されたい。
ある実施態様において、前記pH調整又は緩衝剤は、酸である。ある実施態様において、前記pH調整又は緩衝剤は、無機酸又は有機酸である。ある実施態様において、前記pH調整又は緩衝剤は、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、ホウ酸、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸、スルホン酸、及び硝酸からなる群から選択される。ある実施態様において、前記pH調整又は緩衝剤は、リンゴ酸である。米国特許第6,472,431号を参照されたい。
(5.2.2 製剤)
本明細書で開示される水溶液は、通常、医薬として許容し得る担体及び/又は水性媒体中に溶解又は分散されていてもよい有効量の本明細書で開示されるようなGHB、又はGHBの塩もしくは塩の混合物を含む。
本明細書で使用される、「医薬として許容し得る担体」には、任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張性吸収遅延剤(isotonic and absorption delaying agent)などが含まれる。医薬活性物質に対するそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒体又は薬剤が、活性成分と不適合である限り、該治療用組成物におけるそれの使用は、適切ではない。補完の適合性の活性成分を、前記組成物に組み込むことができる。ヒトへの投与のためには、調製物は、食品医薬品局(FDA)によって要求される無菌性、発熱性、一般的安全性、及び純度標準を満たすべきである。Remingtonの文献「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第22版、2013年を参照されたい。
ある実施態様において、本明細書で開示される組成物は、製剤、好ましくは、液体製剤中に提供されるが、固体製剤もまた想定される。製剤の賦形剤、着色料、香味料、又は他の成分の何らかの例については; Remingtonの文献「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第22版、2013年を参照されたい。
ある実施態様において、前記製剤は、化学的に安定かつ微生物の増殖に対して抵抗性である。ある実施態様において、前記製剤は、防腐剤を必要とせず、それを含まなくてもよい。ある実施態様において、γ-ブチロラクトン(GBL)のレベルは、前記製剤の0.1%以下である。しかしながら、防腐剤が添加される場合には、それらとしては、キシリトール、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、没食子酸プロピルBP、ソルビン酸、クロロブタノール、ジヒドロ酢酸、モノチオグリセロール、安息香酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、アルコール、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、エチレンジアミン、エチルパラベン、エチルバニリン、グリセリン、次亜リン酸、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピルパラベン、サッサフラス油、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、チメロサール、及びソルビン酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい防腐剤は、キシリトール、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びソルビン酸カリウムを含むが、これらに限定されない群から選択され得る。本明細書で開示される一部の組成物では、キシリトールが特に好ましい。これは、キシリトールが、防腐剤及び甘味料として働き、う蝕予防剤であり、他の甘味料よりも緩下作用が低く、糖尿病患者に推奨されるためである。それぞれがその全体として引用により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,324,275号及び第8,952,062号、並びにRemingtonの文献「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」、第22版、2013年を参照されたい。
ある実施態様において、前記製剤は、経口投与に適する。
ある実施態様において、前記製剤は、香味料をさらに含む。好ましい甘味料又は香味料は、微生物によって代謝可能ではないものであろう。特に好ましい甘味料又は香味料は、キシリトール及びソルビトールなどの炭水化物であろう。このような香味料としては、アカシアシロップ、アネトール、アニス油、芳香エリキシル、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドエリキシル-コンパウンド、キャラウェー、キャラウェー油、カルダモン油、カルダモンシード、カルダモンスピリット、カルダモンチンキ-コンパウンド、サクランボ果汁、サクランボシロップ、シナモン、シナモン油、シナモン水、クエン酸、クエン酸シロップ、チョウジ油、コカ、コカシロップ、コリアンダー油、ブドウ糖、エリオディクティオン、エリオディクティオン流エキス、エリオディクティオンシロップ-芳香性、酢酸エチル、エチル、バニリン、フェンネル油、ショウガ、ショウガ流エキス、ショウガオレオレジン、グルコース、グリセリン、カンゾウ、カンゾウエリキシル、カンゾウエキス、カンゾウエキス-純粋なもの(glycyrrhiza extract-pure)、カンゾウ流エキス、カンゾウシロップ、ハチミツ、非アルコール性エリキシル、ラベンダー油、柑橘エキスもしくは油、レモン油、レモンチンキ、マンニトール、サリチル酸メチル、ナツメグ油、オレンジ-ビター-エリキシル、オレンジ-ビター-油、オレンジ花油、オレンジ花水、オレンジ油、オレンジピール-ビター、オレンジ-ピール-スウィート-チンキ、オレンジスピリット-コンパウンド、コンパウンド、オレンジシロップ、ペパーミント、ペパーミント油、ペパーミントスピリット、ペパーミント水、フェニルエチルアルコール、ラズベリー果汁、ラズベリーシロップ、ローズマリー油、バラ油、バラ水、サッカリン、サッカリンカルシウム、サッカリンナトリウム、サルサパリラシロップ、ソルビトール溶液、スペアミント、スペアミント油、スクラロース、スクロース、シロップ、タイム油、トルーバルサム、トルーバルサムシロップ、バニラ、バニラチンキ、バニリン、又は野生サクランボシロップが挙げられるが、これらに限定されない。
ある実施態様において、前記製剤は、着色料をさらに含む。好ましい着色料は、微生物によって代謝可能ではないものであろう。
ある実施態様において、前記製剤は、単一又は複数の投与レジメンで投与される。
上記の製剤はいずれも、経口投与前に水性媒体と混合するための粉末化又は乾燥形態として調製されかつ/又は包装されてもよく、又はこれらは、水性媒体中に調製され、包装されてもよい。水性媒体との混合の後に、好ましくは、溶液を調製するために、これらの製剤は、微生物の増殖及びGHBのGBLへの化学変換の双方に対して抵抗性であり、それにより、GHBの治療用製剤又は水性媒体中でのGHBの塩もしくは塩の混合物の有効期間を増加させる。その後、これらの製剤は、患者に投与されるべきGHB、又はGHBの塩もしくは塩の混合物の投薬量を測定するために、容易に用量設定可能な(titratable)液体媒体を提供する。組成物及び調製の方法の追加の実施態様は、以下及び実施例で記載される。
特に、Na・GHB量が40%〜50%である、ある実施態様において、前記製剤は、低体積の水溶液中に存在する。本明細書に記載される、「低体積」では、単一のGHB用量の投与のための、前記水性媒体及びいかなる洗浄用又は続けて飲むための体積を含めて、約100mL以下の水溶液を含むことが意図される。好ましくは、該低体積は、約25mL〜75mL、又は55mL〜65mLの患者に与えられる総水性体積である。ある実施態様、例えば、減少したナトリウムを有する製剤において、該製剤は、Na・GHBのGHB製剤と比較すると、摂取するのにより少ない水性体積を必要とし、より口当たりが良く、より良好な患者の服薬遵守を提供し、より容認できるものであり、かつ/又は生物学的に等価である。25〜100mL(又は約1〜3オンス)の流体が、GHB塩を摂取し、味を向上させ、かつ/又は「流し落とす」ために、本明細書で開示される製剤を希釈するのに許容し得る量の水性溶媒であることが、当業者により理解されるべきである。ある個人には、投与のための減少した体積を有することは、夜尿症、不穏状態、及び/又は他の睡眠時間障害などの、就寝時間前に液体を消費することに伴う望まれない副作用を軽減し得る向上した夜間投薬レジメンを提供する。
本明細書で開示されるGHB、又はGHBの塩もしくは塩の混合物を、適切な場合には、所望のビヒクル又は媒体中へのより便利な製剤化のために凍結乾燥してもよい。また、GHB又はその塩は、非経口投与用に製剤化されてもよく、例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、病巣内、腹腔内、又は別の非経口経路による注射用に製剤化されてもよい。活性成分又は材料としてGHB又はその塩を含有する水溶液を含む医薬組成物の調製は、本開示を踏まえれば、当業者には公知であろう。通常、そのような組成物は、注射剤として、液体の溶液又は懸濁液のいずれかとして調製することができる。注射の前に液体を添加して溶液又は懸濁液を調製するのに用いるのに適した固体形態を調製することもでき;該調製物を、乳化させることもできる。
注射用途に適した医薬形態としては、無菌の水溶液又は分散液;例えば、水性プロピレングリコールを含む製剤;及び無菌の注射用溶液又は分散液の要時調製用の無菌の粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、かつ容易にシリンジで扱える性質(syringability)が存在する程度まで流動性でなければならない。それは、製造及び保管条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。
遊離酸又は薬理学的に許容し得る塩としての活性化合物の溶液を、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又は医薬として許容し得る界面活性剤と適切に混合された水中に調製することができる。また、分散液を、グリセロール、液状ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中に、並びに油中に調製することもでき。通常の保管及び使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖をさらに予防するために防腐剤を含有していてもよい。
また、前記担体を、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコールなど)、適当なそれらの混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒とすることもできる。例えば、レシチン(例えば、コーティング剤)などの物質の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の防止を、さまざまな抗細菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどを含む本明細書に記載されるか又は当業者に公知であろう防腐剤のいずれかによってもたらすことができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖類又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期の吸収を、吸収を遅らせる薬剤、例えば、アルミニウムモノステアレートを組成物中に用いることによってもたらすことができる。
無菌の注射用溶液は、必要に応じて上記したさまざまな他の成分と共に活性化合物を必要とされる量で適切な溶媒中に組み込み、それに続き濾過滅菌することで、調製される。一般に、分散剤は、さまざまな滅菌された活性成分を、基礎となる分散媒及び上記したもののうちで必要とされる他の成分を含有する無菌のビヒクル中に組み込むことによって調製される。無菌の注射用溶液の調製用の無菌の粉末の場合には、調製の好ましい方法は、活性成分及び任意の追加の所望の成分の粉末を既に滅菌濾過されたそれの溶液から生じさせる真空乾燥及び凍結乾燥技術である。また、直接的注射用のさらに又は高度に濃縮された溶液の調製も想定され、その場合、DMSOの溶媒としての使用(但し、現在ではDMSOは許容されるヒト薬物ではない可能性がある)が、非常に迅速な透過をもたらし、高濃度の該活性薬剤が狭いエリアに送達されると想定される
製剤後すぐに、溶液は、投薬製剤と適合性のやり方でかつ治療上有効な量で投与されるであろう。該製剤は、上述の注射用溶液のタイプなどの種々の剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセル剤などを採用することもできる。
水溶液中での非経口投与には、例えば、該溶液は、必要であれば適切に緩衝されているべきであり、液体希釈剤はまず、十分な生理食塩水又はグルコースで等張とされているべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に適している。これに関連して、採用することができる無菌の水性媒体は、本開示を考慮すれば当業者には分かるであろう。例えば、1回投薬量を、1mLの等張NaCl溶液に溶解させて、1000mLの流体に添加するか又は提案された注入の部位に注射するかのいずれかを行うことができる(例えば、「Remingtonの薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第15版、1035頁〜1038頁及び1570頁〜1580頁を参照されたい)。治療中の対象の状態に応じて、いくつかの投薬量のバリエーションが必然的に生じるであろう。いかなる場合でも、投与担当者は、個々の対象に対して適切な用量を決定するであろう。
GHBは、本明細書で開示される製剤及び/又は医薬組成物中に、患者に投与される用量あたり約100〜約10,000ミリグラムが含まれるように調製されてもよい。典型的な用量範囲は、おおよそ4.5〜9g/日である;Xyrem(登録商標)製品添付文書を参照されたい。別の用量範囲としては、6〜8g/日が挙げられ、複数回又は単回投与を実施することができるが、1日あたり2回に分けた用量を与えることが典型的である。Xyrem(登録商標)の説明書は、2回に均等に分割された用量を推奨した。
静脈内又は筋肉内注射などの非経口投与用に製剤化された医薬組成物に加えて、別の医薬として許容し得る形態としては、例えば、錠剤又は他の固体;リポソーム製剤;ビーズ、ペレット、又は樹脂を含む、時間放出カプセル剤(time release capsule)、例えば、持続性又は遅延放出形態;及び後に経口投与用に水性媒体と混ぜ合わせされてもよい、クリーム剤を含む現在用いられている任意の他の形態が挙げられる。
また、本明細書で開示される医薬組成物及び/又は製剤と共に点鼻液、又はスプレー剤、エアロゾル剤、もしくは吸入剤を用いてもよい。点鼻液は、通常、液滴又はスプレーで鼻道に投与されるように設計された水溶液である。点鼻液は、それらが多くの点で鼻の分泌物に類似しており、その結果正常な繊毛作用が維持されるように調製される。したがって、水性点鼻液は、通常、等張であり、かつ5.5〜6.5のpHを維持するよう僅かに緩衝されているが、本明細書で開示される別のpH範囲、pH 3〜約pH 9、又はpH 6〜約7.5などの具体例が想定される。加えて、点眼用調製物で用いられるものと類似の防腐剤及び、必要であれば、適切な薬物安定化剤を、製剤中に含めてもよい。さまざまな商業的な経鼻用調製物が公知であろう、例えば、抗生物質及び抗ヒスタミン薬が挙げられ、喘息予防のために使用される。
好ましい経口製剤は、例えば、医薬グレードのキシリトール、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの通常採用される賦形剤を含み得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出製剤、又は水性媒体と混ぜ合わせされる粉末の形態をとることができる。ある明確な実施態様において、経口医薬組成物は、不活性な希釈剤又は吸収可能な食用担体を含むであろうし、又はそれらは、硬質又は軟質シェルゼラチンカプセル剤に封入されていてもよく、又はそれらは、錠剤に固められていてもよく、又は前記GHB又はその塩は、本明細書に記載される賦形剤、塩、香味料、又は任意の他の成分とは別にか又はそれらと組み合わせて包装されて、経口用又は注射用製剤用の水性媒体と混ぜ合わされてもよく、又はそれらは、食事の食品(すなわち飲料)に直接組み込まれてもよい。
経口の治療的投与のために、前記活性化合物を、賦形剤に組み込んで、錠剤、バッカル錠又はバッカルタブ(buccal tablets or tabs)、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハース剤などの形態で用いて、水性媒体と混ぜ合わせてもよい。そのような組成物及び調製物は、少なくとも0.1%の前記活性化合物を含有すべきである。勿論、組成物及び調製物の百分率を変更してもよく、好都合には、単位の重量の約2〜約75%であり、又は好ましくは25〜60%である。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、適当な投薬量が得られるであろうようなものである。
また、前記錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、以下のもの:トラガカントガム、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、もしくはゼラチンなどの天然の結合剤又はポリ酢酸ビニルなどの合成の結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;並びにスクロース、ラクトース、もしくはサッカリンなどの甘味剤又は天然又は合成の香味料を含有し得る。単位剤形が、ある特定の体積の水性媒体と混ぜ合わせるためのカプセル剤である場合、それは、上記の種類の材料に加えて液体の担体を含有していてもよい。さまざまな他の材料が、コーティングとしてか、又は投与単位の物理的形態を別のやり方で修飾するために存在していてもよい。例えば、錠剤、丸剤、又はカプセル剤は、糖、天然又は合成のポリマー、又は双方で被覆されていてもよい。シロップ剤又はエリキシル剤は、前記活性化合物、甘味剤としてのスクロース、防腐剤、色素、及び/又は香味料を含有していてもよい。
本明細書で開示される製剤の一実施態様は、異なる放出性を有する固体とすることができる。一実施態様は、比較的低い重量百分率の賦形剤総量と組み合わされた、比較的高い重量百分率のナトリウムオキシベートを含む即時放出用の錠剤である単位剤形である。これにより、該錠剤が、液体形態のものと類似の送達プロファイルで、各錠剤中の医薬として有効な量のナトリウムオキシベートを含有/送達することが可能となる。該錠剤は、該液体形態と生物学的に等価である。米国特許第8,771,735号及び第8,778,398号を参照されたい。別の実施態様は、GHB又はその塩の送達のための制御放出剤形を提供する。該制御放出剤形は、1回単位剤形中に制御放出及び即時放出製剤の双方を組み込んでもよい。米国公報第2012/0076865号を参照されたい。別の実施態様は、一緒に混合されるか又は交互の即時放出及び制御放出形態の双方の使用を含む。一実施態様において、即時放出部分を、10〜50%、又は20〜30%とすることができ、制御放出部分は、残りの量を含む。ある実施態様において、異なる塩の量を、即時放出部分又は制御放出部分のそれぞれで異ならせることができる。
さらに、上記又は実施例に記載のもの、又は本明細書に記載される任意の医薬として許容し得る組成物又は担体中のもの、又は当業者に公知であろうもののうちの任意の賦形剤、塩、酸、pH媒介性、調整性、もしくは緩衝性化合物もしくは薬剤、香味料、溶液、溶媒、分散液、グリセロール、グリコール、油、抗細菌及び抗真菌剤、抗生物質及び抗ヒスタミン薬、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、又は任意の他の添加剤又は成分が、本明細書で開示される医薬組成物の水性媒体又は固体形態中での使用に想定される。これらの組成物のうちの1つ以上が、GHB又はその塩とともに包装されてもよく、又は消費される前は、GHB又はその塩とは別に包装されてもよい。別々に包装される場合、有用な医薬組成物は、消費される前に、水性媒体を用いて、GHB又はその塩を他の成分と混合することによって得てもよい。そのような成分は、以下に記載するキット内に包装されていてもよい。
また、本明細書で提供されるものは、本明細書で開示されるようなGHB、又はGHBの塩もしくは塩の混合物を含む治療用キットである。通常、そのようなキットは、適当な容器内に、GHB又はその塩の医薬として許容し得る製剤を含有するであろう。該キットは、単一の容器を有してもよく、又はそれは、各成分のための別個の容器、又は成分のさまざまな組合せのための別個の容器を有してもよい。
キットの成分が、1つ以上の液体製剤で提供される場合、該液体製剤は、水性媒体であり、無菌の水溶液が特に好ましい。また、医薬組成物は、シリンジで扱うことができる(syringeable)組成物に製剤化されてもよい。その場合、容器手段は、それ自体が、そこから前記製剤を身体の感染した領域へ適用することができるか、動物内に注射することができるか、又はさらには該キットの別の成分に適用しそれと混合することができる、シリンジ、ピペット、バイアル、アンプル、又は他の同様な装置であってもよい。
しかしながら、キットの成分は、乾燥された粉末として提供されてもよい。試薬又は成分が、乾燥粉末として提供される場合には、該粉末を、適当な溶媒の添加によって再構成することができる。溶媒も、別の容器手段中に提供され得ることが想定される。
通常、前記容器手段は、その中に前記製剤又はその成分が入り、好ましくは、適切に割り当てられる、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、パウチシリンジ、又は他の容器手段を含むであろう。また、前記キットは、無菌の、医薬として許容し得る緩衝液又は他の希釈剤を入れるための第2の容器手段を含み得る。
また、通常、前記キットは、その中に所望のバイアルが保持される、例えば、射出成型又はブロー成型されたプラスチック容器などの、市販するためにバイアルを密閉して格納するための手段も含むであろう。
ある実施態様において、前記キットには、GHB又はその塩を含む液体製剤の1つ以上の瓶、子どもが操作できない蓋を備える2つの投薬カップ、液体測定装置、及び医薬品ガイドが入っている。
ある実施態様において、前記キットには、別々の瓶の中の2種の異なるGHB製剤が入っている。ある実施態様において、前記キットには、GHB又はその塩を含む液体製剤の2本の瓶が入っており、2種の異なる製剤が、少なくとも2本の別々の瓶の中に提供される。ある実施態様において、前記キットには、GHB又はその塩を含む液体製剤の2本以上の瓶が入っており、2種の異なる製剤が、少なくとも2本の別々の瓶の中に提供され、また、子どもが操作できないキャップを備えた2つの投薬カップ、1つ以上の液体測定装置、及び医薬品ガイドが提供される。好ましくは、該2種の異なる製剤は、第1用量製剤及び第2用量製剤であり、該第1用量製剤は水溶液を含み、該水溶液は、2種以上のGHB塩の混合物であり、該混合物は、50%未満のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含み、該第2用量製剤は、50%〜約80%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む水溶液を含む。
容器の数や種類とは無関係に、前記キットはまた、動物の体内での医薬組成物の注入/投与又は配置を助けるための機器を含んでいてもよいか、又はそれで包装されていてもよい。そのような機器は、飲用カップ、シリンジ、ピペット、又は任意のそのような医学的に承認された送達媒体であってもよい。さらに2つの製剤が、キットで提供される場合には、任意に、前記機器又は製剤のうちの1つ以上を、2つの用量のうちのどちらがその中に入っているかを示すように色を合わせるか又は標識することができる。さらに、薬物製品容器を、色、形状又は他の識別用の特徴によって区別することができる。容器は、置き違いを最小限とするか又は2回の投薬に1つの製品を調剤してしまうことを思いとどまらせるように、一緒に束ねる(例えば、シュリンク包装によって)か、又はキットに組み立てることができる。2つ以上の製剤が、顆粒剤又は他の急速溶解する剤形として提供される場合、穴の開いた分割部を有する対をなす分包によって、用量の調製を容易にすることができる。これらは、例えば、「第1の用量」及び「第2の用量」として標識することができる。
さらに、かつ投与前に調製された製剤を区別するために、前記製剤の一方又は双方は、それを他方から実質的に異なるようにするために、着香料、付臭剤、又は着色料を含むことができる。また、該添加物は、それを、各製剤を調剤する直前又は後のいずれかに水へ添加できるようにキット内で別々に提供されてもよい。また、各用量のための投与装置は、患者が各用量を容易に投与できるように、色、形状などのいくつかの特徴に基づいて区別されてもよい。
(5.2.3 治療の方法)
本明細書で提供される全ての医薬組成物及び製剤を、本明細書で提供される全ての方法で使用することができる。例えば、本明細書で提供される医薬組成物及び製剤を、本明細書で提示される全ての疾患、障害、又は状態を治療するための方法の全てで使用することができる。したがって、本明細書で提供される医薬組成物及び製剤は、薬物としての使用のためのものである。ある実施態様において、本明細書で提供される医薬組成物及び製剤は、ナルコレプシーと診断されている患者におけるカタプレキシー又は日中の眠気を治療するための方法における使用のためのものである。ある実施態様において、本明細書で提供される医薬組成物及び製剤は、ナルコレプシーと診断されている患者におけるカタプレキシー又は日中の眠気を治療するための方法における使用のためのものである。ある実施態様において、本明細書で提供される医薬組成物及び製剤は、本明細書で開示される医薬組成物又は製剤を投与することを含む、GHBによる治療に適した対象における疾患又は状態を治療するための方法における使用のためのものである。
本明細書で開示されるGHBの混合塩を含む医薬組成物及び製剤も、患者におけるこれらの障害又は状態のいずれかの治療に有用であると想定される。また、GHBは、末期がんの患者において麻酔薬として単独で用いられている。GHBは、麻酔としての使用のために、他の鎮痛薬、神経遮断薬とか、又は閾値下のバルビツレート用量と用いられている。本明細書で開示される医薬組成物及び製剤を、麻酔薬、睡眠薬としてか、又は催眠薬として用い得ることも想定される。さらに、本明細書で開示されるGHBの混合塩を含む医薬組成物及び製剤を、麻酔としての使用に鎮痛薬、神経遮断薬、又はバルビツレートと組み合わせて用い得ることも想定される。米国特許第6,472,431号の最後に記載される方法を参照されたい。
本明細書で開示されるGHBの混合塩を含む医薬組成物及び製剤は、本明細書に記載される手段、特に、「製剤」セクション及び実施例に記載されているもののうちのいずれか、又は当業者に公知であろう任意の手段によって調製され投与され得る。
従って、ある態様において、本明細書で開示される混合塩GHBを含む医薬組成物又は製剤の患者への投与を含む治療の方法が提供される。
ある実施態様において、本明細書で開示されるGHBの混合塩を含む医薬組成物又は製剤は、ナルコレプシーと診断されている患者におけるカタプレキシー又は日中の眠気の治療に有用なものである。
ある実施態様において、本明細書で開示されるGHBの混合塩を含む医薬組成物又製剤は、GHBに反応性の状態、例えば、無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、過度の日中の眠気(EDS)、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害の治療に有用なものである。
従って、ある実施態様において、本明細書で提供されるものは、本明細書で開示される医薬組成物又は製剤を投与することを含む、GHBによる治療に適した対象における疾患又は状態を治療するための方法である。
ある実施態様において、GHBでの治療に適した疾患又は状態を治療する方法であって、患者へ50%〜約80%のNa・GHBを含む医薬組成物投与することを含み、該医薬組成物が、経口剤形であり、かつ該医薬組成物の投与が、Na・GHBのCmaxと生物学的に等価であるGHB Cmaxを生じさせる、前記方法も本明細書で提供される。ある実施態様において、前記医薬組成物は、実質的な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まない。ある実施態様において、前記疾患又は状態は、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される。好ましい実施態様において、前記疾患は、カタプレキシー及び/又はナルコレプシーである。ある実施態様において、前記疾患又は状態は、線維筋痛症、並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、過度の日中の眠気(EDS)、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害からなる群から選択される。
ある実施態様において、約50%〜約80%のNa・GHBを含む前記塩の混合物は、K・GHB及びCa・(GHB)2からなる群から選択される1種以上の塩をさらに含む。
ある実施態様において、GHBでの治療に適した疾患又は状態を治療する方法であって、100mL未満の水溶液を含むGHBの医薬組成物を患者へ投与することを含み、該水溶液が、2種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物が、40%〜50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、前記方法も本明細書で提供される。ある実施態様において、前記疾患は、カタプレキシー及び/又はナルコレプシーである。
ある実施態様において、患者に投与される場合に、前記医薬組成物は、Na・GHBのCmaxの10%の範囲内であるGHB Cmaxを生じさせる。ある実施態様において、患者に投与される場合に、前記Cmaxは、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のCmaxの10%の範囲内である。ある実施態様において、患者に投与される場合に、前記医薬組成物は、Na・GHBのCmaxと生物学的に等価であるGHB Cmaxを生じさせる。ある実施態様において、前記医薬組成物は、患者に投与される場合に、約100%のNa・GHBを含む医薬組成物と生物学的に等価である。ある実施態様において、患者に投与される場合に、AUCは、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のAUCの10%の範囲内である。ある実施態様において、前記医薬組成物は、実質的な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まない。ある実施態様において、前記疾患又は状態は、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される。好ましい実施態様において、前記疾患は、カタプレキシー及び/又はナルコレプシーである。ある実施態様において、前記疾患又は状態は、線維筋痛症、並びに無呼吸、睡眠時間障害、ナルコレプシー、カタプレキシー、過度の日中の眠気(EDS)、睡眠時麻痺、入眠時幻覚、睡眠覚醒、不眠症、及び夜間ミオクローヌスなどの睡眠障害からなる群から選択される。
ある実施態様において、前記治療の方法は、本明細書で開示される混合塩GHBを含む前記医薬組成物又は製剤の投与を含む。
ある実施態様において、前記方法は、本明細書で開示される混合塩GHBを含む前記医薬組成物又は製剤の、複数の投与レジメンでの経口投与を含む。
ある実施態様において、前記複数の投与レジメンは、以下:(i)約409mg/mLのγ-ヒドロキシブチレート(GHB)を含む水溶液を、水性媒体で希釈することで、前記塩の混合物の第1の用量を提供すること;(ii)約409mg/mLのGHBを含む水溶液を、水性媒体で希釈することで、前記塩の混合物の第2の用量を提供すること;(iii)ナルコレプシーの患者に該1の用量を経口投与すること;及び(iv)該第1の用量の後の2.5〜4時間のうちに該ナルコレプシーの患者に該第2の用量を経口投与すること、のような1つ以上の工程を含む。前記第1の用量及び/又は第2の用量は、適宜、ラベル上の説明書に従い投与することができる。
ある実施態様において、GHB又はその塩の2回の夜間用量が、前記患者に投与される。
ある実施態様において、前記GHB塩の第1の用量は、2種以上のGHB塩の混合物の水溶液を含むGHBの医薬組成物であり、該混合物は、40%未満のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種、2種、3種、又はそれを超える塩をさらに含み、該第1の用量は、食事後4時間以内に投与され、かつNa・GHBのCmax未満であるGHB Cmaxを生じさせ;かつ前記GHB塩の第2の用量は、2種以上のGHB塩の混合物を含むGHBの医薬組成物であり、該混合物は、少なくとも50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含み、かつ該第2の用量は、Na・GHBのCmaxと実質的に等価なGHB Cmaxを生じさせる。ある実施態様において、前記複数の投与レジメンは、以下:(i)0%〜40%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、2種以上のGHB塩の混合物を含む水溶液を、水性媒体で希釈することによって、GHB塩の第1の用量を提供すること;(ii)約50%〜約80%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、2種以上のGHB塩の混合物を含む水溶液を希釈して、GHB塩の第2の用量を提供すること;(iii)該第1の用量をGHBでの治療に適した患者に経口投与すること;及び(iv)該第1の用量の後の2.5〜4時間のうちに、該第2の用量を該患者に経口投与すること、のような1つ以上の工程を含む。好ましい実施態様において、前記GHBでの治療に適した患者は、カタプレキシー又はナルコレプシーの患者である。
ある実施態様において、前記第1の用量は、40%未満のNa・GHB、並びにK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2の群から選択される少なくとも2種の他のGHB塩を含む医薬組成物を含む。ある実施態様において、前記第1の用量は、食事後4時間以内に投与される。ある実施態様において、前記混合物は、K・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2からなる群から選択される2種以上の塩をさらに含む。
ある実施態様において、前記疾患又は状態は、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害、内分泌障害、組織の低酸素症又は無酸素症、及び増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される。
ある実施態様において、前記GHB塩の第1の用量は、100mL未満の水溶液を含むGHBの医薬組成物であり、該水溶液は、3種のGHB塩の混合物を含み、該混合物は、50%未満のNa・GHBを含み、かつ10〜60%のK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含み、かつ該第1の用量は、食事後4時間以内に投与され、Na・GHBのCmax未満であるGHB Cmaxを生じさせる。
ある実施態様において、前記GHB塩の第2の用量は、水溶液を含むGHBの医薬組成物であり、該水溶液は、50%〜約80%のNa・GHB、及び10〜60%のK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2を含み、かつ該第2の用量の投与は、Na・GHBのCmaxと実質的に生物学的に等価であるGHB Cmaxを生じさせる。ある実施態様において、前記GHB塩の第2の用量は、50%〜約80%のNa・GHBの混合物を含む水溶液を含むGHBの医薬組成物であり、かつ該第2の用量の投与は、Na・GHBを含む組成物と実質的に生物学的に等価であるGHB Cmaxを生じさせる。
ある実施態様において、4.5及び9グラム/日が、2回に分けられた用量で前記患者に投与される。
ある実施態様において、6及び8グラム/日が、2回に分けられた用量で前記患者に投与される。
ある実施態様において、前記疾患又は状態は、睡眠障害、薬物乱用、アルコール及びオピエート離脱、減少したレベルの成長ホルモン、不安、鎮痛、神経障害(例えば、パーキンソン病及びうつ状態)、内分泌障害、組織の低酸素症もしくは無酸素症(例えば、脳卒中又は心筋梗塞によるもの)、又は増加したレベルの頭蓋内圧からなる群から選択される。
しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベル及び投薬の頻度が、さまざまに変化し得ること、並びに代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与の様式及び時間、排泄の速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度、及び療法の受け手を含む種々の因子次第であろうことが理解されるであろう。
(5.2.4 製造の方法)
ある態様において、本明細書で提供されるものは、本明細書で開示される混合塩GHBを含む前記組成物又は製剤を製造するいくつかの例示的な方法である。いくつかの異なる製造の方法が文献に報告されている(例えば、それぞれがその全体として引用により組み込まれている、米国特許第4,393,236号;第4,983,632号;第6,472,431号;第8,461,203号;第8,591,922号;第8,901,173号;及び第9,132,107号;並びに米国公報第2016/0058720号を参照されたい;また、Ferris及びWentの文献, 2012, Forensic Science International 216: 158-162も参照されたい)。当業者は、これらの方法を、本明細書で開示される混合塩GHBを含む前記組成物又は製剤の製造に組み込むことができることを認識しているであろう。他の方法は、当業者に公知であろう。
ある実施態様において、GHB塩の混合物を、GBLの以下の塩基:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムのうちの1種以上の水性混合物との直接的な反応によって製造することができる。反応後、該混合物を、続いて、穏やかな真空下で濾過してもよい。
ある実施態様において、水などの溶媒が、前記GHB塩混合物を所望の濃度まで、例えば、該混合物中の水の量を調整することによって溶解させるのに用いられる。
ある実施態様において、GHB塩溶液の濃度は、エバポレーター、逆浸透法、及び当業者に公知の類似の技術などの標準的な方法を用いて、前記混合物を濃縮することによって調整される。
ある実施態様において、前記製造の方法は、γ-ブチロラクトン(GBL)を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムからなる群から選択される1種以上の塩基と反応させることを含む。
別の実施態様において、前記製造の方法は、例えば、GBLを炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、又は炭酸マグネシウムのうちの1種以上と反応させることによって、ナトリウム、カリウム、及びマグネシウムオキシベート(Na・GHB、K・GHB、及びMg・(GHB)2)混合物を提供することを含む。そのような実施態様は、ナトリウム、カリウム、及び/又はマグネシウムの炭酸塩が採用される場合に、炭酸カルシウムの析出を回避するのに特に好適である。
さらに別の実施態様において、カルシウムオキシベートの溶液を、所望のカチオンを載せた陽イオン交換樹脂の混合物を用いて交換することで、オキシベート塩の混合物へと変換することができる。あるいは、カルシウム塩が、実質的に不溶である場合には、カルシウムオキシベートの溶液を、別のカチオンの酸塩の混合物を用いる析出によって、オキシベート塩の混合物に変換することができる。沈殿したカルシウム塩又は交換した陽イオン交換樹脂を取り除く濾過又は別の手段の後に、混合オキシベート塩溶液が得られる。
別の実施態様において、オキシベートと会合したカチオンの混合物は、プロトンを含み得る。このことは、それぞれ、H型陽イオン交換樹脂又は析出アニオンの遊離酸もしくは部分的に中和された塩が採用されることを除けば、上述の陽イオン交換又は置換析出(displacement precipitation)と類似のやり方で達成することができる。理想的には、化学的安定性を向上させるために、そのような実施態様は、固体形態で製造され、投与時に水に懸濁又は溶解させるべきである。さらに別の実施態様において、前記不溶固体(交換されたカチオン性樹脂又は沈殿した塩)は、どちらも胃腸管内で感知できるほどに溶解しないのであれば、前記用量と共に摂取することができる。
ある実施態様において、前記反応は、単一の容器内で行われる。例えば、Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2の混合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムの水性混合物が入った単一の容器内へのGBLの直接添加によって製造され得る。
ある実施態様において、前記反応は、複数の容器内で行われ、その後、生成物が、合わせられる。例えば、Ca・(GHB)2を、水性水酸化ナトリウムへのGBLの直接添加によって製造し、生成物を、Mg・(GHB)2と合わせてもよい。
ある実施態様において、前記製造の方法は、本明細書で開示される医薬組成物及び製剤を製造する方法を含む。
以下の実施例を、本発明の好適な実施態様を実証するために含めた。以下の実施例に開示されている技術が、本発明の実践においてうまく機能することが本発明者によって発見された技術を示し、従って、その実践のための好適な形態を構成するものと考えることができることを当業者は認識すべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮の上、開示された特定の実施態様において多くの変更を行うことができ、かつ、それでもなお、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、同様な又は類似の結果を得ることができることを認めるべきである。
(6. 実施例)
(実施例1: 混合オキシベート溶液の合成)
以下の合成例は、オキシベート塩の混合物の例示的な合成を提供する。オキシベートの追加の塩を合成する方法を含む、オキシベート塩の混合物を合成する代替方法を、以下に記載する;さらに別の代替合成方法は、当業者にとって明らかであろう。それぞれがその全体として引用により組み込まれている、米国特許第8,461,203号;第8,591,922号;第8,901,173号;及び第9,132,107号;並びに米国公報第2016/0058720号も参照されたい。
混合オキシベート塩溶液は、少なくとも2つの方法によって都合よく製造することができる。複数の異なる製剤が所望される場合、当業者は、同じモルオキシベート濃度を有する個々の塩の溶液を混合して、所望のカチオン混合物に到達することができる。一方で、商業的な実施又は単一バッチ生産のために、GBL及び所望のカチオン比の2種以上の塩基とのワンポット反応を行うことができる。双方の方法を、以下に記載する。
また、塩混合物のモル当量及び%wt/wtの計算例も、以下の表1に示す。
表1: 計算例
Figure 2020510060
(実施例1.1: 混合塩溶液の生産)
等しいオキシベート強度(409mg/mL)の4種の個々のオキシベート塩溶液を、以下のように製造した:
マグネシウムオキシベート(Mg・(GHB)2)溶液は、磁気的に撹拌された250mLの四角いガラス瓶中で124.6gの水及び20.36gの水酸化マグネシウムを合わせることによって製造した。その後、58.04gのGBLを、該塩基懸濁液に添加し、次いで、撹拌しながら80℃まで加熱した。4時間後、pHでの確認により、反応の完結が示された(pH 8.5)。蒸発を埋め合わせるために、水を加えた。その後、反応混合物を遠心分離し、上清を、真空下0.45μのPVDF Stericupで濾過した。濾液のpHは、8.1であった。収量:177.4gの溶液。アッセイ(HPLC-UV):100.1%
カリウムオキシベート(K・GHB)溶液は、磁気的に撹拌された250mLの四角いガラス瓶中で、60.10gの水酸化カリウムを144.01gの水に加えることにより製造した。完全な溶解の後に、78.52gのGBLを、別のガラスビーカー内に秤量した。初めは即座の反応を伴って該GBLの約半分を加え、その後、該溶液を、氷水中で約30℃に冷却した。その後、前記GBLの残りを、撹拌しながら加え、該溶液を、60℃で2.5時間維持した。pHは、13.5であった。その後、10% HCl溶液を加えることにより、pHを8.1に調整した。水を加えて、初めの反応質量を回復させた。その後、該溶液を、真空下0.45μのPVDF Stericupで濾過した。収量:281.8gの溶液。アッセイ(HPLC-UV):98.6%。
カルシウムオキシベート(Ca・(GHB)2)溶液は、磁気的に撹拌された500mLの四角いガラス瓶中で210.5gの水及び45.41gの水酸化カルシウムを合わせることによって製造した。次に、102.41gのGBLを撹拌しながらゆっくりと加え、その後、温度制御されたホットプレート(表面設定温度〜183℃)上で80℃で反応を継続させた。2時間後、該混合物を、冷却し、蒸発を埋め合わせるために水を加えた。該溶液を遠心分離し、その後、上清を真空下0.45μ PVDF Stericupで濾過した。濾液の初期pHは、10.5であり、10% HCl溶液の添加によって7.9に調整した。収量:328.6gの溶液。アッセイ(HPLC-UV):99.0%
ナトリウムオキシベート(Na・GHB)溶液は、磁気的に撹拌された500mLの四角いガラス瓶内で46.6gの水酸化ナトリウムを200.1gの水に加えることにより製造した。99.00gのGBLを、別のビーカー内に秤量した。水酸化ナトリウムの完全な溶解の後に、該GBLの約半分を、反応混合物に加えると、それは発熱した。氷水中で約30℃まで冷却した後に、残りのGBLを加え、その後、撹拌しながら、ホットプレート上で60℃で2時間反応させた。反応後のpHは、12.36であり、10% HCl溶液の添加によって8.13に調整した。水を加えて、初めの反応質量を回復させた。その後、該溶液を、真空下0.45μのPVDF Stericupで濾過した。収量:340.3g。アッセイ(HPLC-UV):100.6%。
以下のそれぞれの所望のオキシベート塩混合物について、個々の溶液を、撹拌しながら250mLのガラスビーカー中に経口投薬シリンジを用いて用量測定的に混合した。適用可能な場合、混合の順序は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びその後マグネシウムオキシベートであった。その後、178mgのスクラロースを添加し溶解させた。標的とするカチオン混合物(当量で)及び用いた個々の溶液の体積を、以下の表2に示す。
(表2: 標的とするカチオン混合物及び例示的な溶液の体積)
Figure 2020510060
実施例1.2: さまざまな混合物を得るための直接的ワンポット反応法
オキシベート塩の任意の組合せを達成するために、化学量論計算を、(a)個々の塩基の強度及び(b)最も弱い塩基(カルシウム又はマグネシウム)に対しての過剰分の使用を反映するように調整する。上記実施例において用いた塩基の強度は、99.7%(NaOH)、86.0%(KOH)、99.0%(Ca(OH)2)、及び98.5%(Mg(OH)2)であった。1%の過剰分が、存在する最も弱い二価の塩基(カルシウム又はマグネシウム、この優先順位で)として適用される。アッセイ値の信頼度のレベル又はプロセスへの分配の再現性に応じてより大きい又は小さい過剰分も正当化され得る。より大きな過剰分は、反応が完結する信頼度を増加させるであろうが、より多くの濾過負荷量を招く。より少ない過剰分は、反応の完結が不十分となる恐れがあり、所望のものよりも高いGBLレベルをもたらす。
実施例1.1のものと組成がほぼ等価な150mLのバッチを製造するには、化学量論は、以下の表3に示されるようなものである。
(表3: 例示的な溶液に使用される塩基の化学量論)
Figure 2020510060
水を、撹拌子を備えた容器重量を差し引いた250mLビーカーに秤量する。次に、塩基を秤量し、該当する場合は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの順番で添加する。水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが添加された後に、混合物を、完全な溶解が観察されるまで撹拌する。必要とされる過剰分を、それぞれの塩基が仕込まれるのと同時に添加する。次に、51.27gのGBLを、温度をモニターし撹拌しながらゆっくりと添加する。温度が、約80℃を超える場合には、GBLの添加を、温度が約60℃に下がるまで減速する。GBLの添加が終了した後に、装置を、60℃の人工気候室に移し、反応を完結させる。(あるいは、温度制御されたホットプレートを採用することができる)。水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムは、GBLとほとんど即座に反応する。Ca(OH)2は、60℃で反応するのに約1時間を必要とし、Mg(OH)2は、80℃で約3時間又は60℃で1晩(12時間)を必要とする。従って、Mg(OH)2がない混合物(507-A及び507-D)は、60℃で約1時間保持される。混合物507-G及び507-Cは、60℃で1晩又は80℃で3時間保持される。
反応後、蒸発を埋め合わせ元の反応質量(正味178.5g)を回復させるために、水を添加する。その後、反応混合物を遠心分離し、それに続き0.45μのPVDF Stericupで真空濾過する。最後に、pHを、必要に応じて、10% HCl溶液で8.0の値に調整する。マグネシウムを含有する混合物については、pHが9よりも低ければ調整は必要ではない。最後に、0.18gのスクラロースを該溶液に加え、溶解させる。
(実施例2: 製剤の薬物動態学的試験)
本実施例は、本明細書で開示される製剤の生物学的等価性試験のプロトコール及び結果を提供する。4組の生物学的等価性試験を、参照としてのXyrem(登録商標)と比較して、さまざまな混合塩製剤を用いて行った。別段の記載がない限り、本実施例及び後続の実施例は、「モル当量パーセント」基準で述べられるオキシベート塩濃度を有する。さらに、表及び図中で、該当するのであれば:
・「治療」は、製剤及び4.5gのナトリウムオキシベートと等価な用量でさまざまな製剤が試験された投薬レジメン(摂食又は絶食)を指す。
・「N」は、評価可能な結果が得られた対象の数を指す。
・「Vol」は、9mL用量の薬物製品と共に与えられた投与の体積(mL)を指す。
・「Cmax」は、個々の患者で達成された最高血漿濃度(オキシベートのmg/L又はug/mLでのもの)の平均を指す。
・「Cmax比」は、百分率として表される、絶食状態Xyrem(登録商標)のCmax値と比較したCmax値の比を指す。
・「AUC」は、濃度が定量化の限界を上回ったか又は無限大時間まで突き出た最後の時点のいずれかの、時間*mg/Lの単位で表される、血漿対時間の曲線下面積を指す。
・「AUC比」は、百分率として表される、絶食状態Xyrem(登録商標)のAUCに対するAUCの比を指す。
・「Na」、「K」、「Ca」、及び「Mg」はそれぞれ、与えられた製剤のモル当量%でのナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムのカチオン含量を指す。
実施例2.1: 製剤「O」の試験
製剤「O」を、409mg/mLの混合塩濃度又は409mg/mLのオキシベートで、(当量%)8%ナトリウム、23%カリウム、48%カルシウム、及び21%マグネシウムオキシベートとして生産した。4種の塩基を、水に懸濁又は溶解させ、その後ガンマブチロラクトンを加え、反応混合物を、80℃で約3時間保持した。それに続き、混合物を冷却し、次いで、深層濾過、炭素濾過し、次いで、ポリッシングフィルターを通した。最後に、スクラロースを、最終溶液中に0.1%w/vのレベルまで加えた。
製剤「O」を、Xyrem(登録商標)(製剤「X」、「O」と同じモル濃度かつ同程度のpHの商業的なナトリウムオキシベート溶液)と比較して、かつ絶食状態及び摂食状態で生物学的等価性について試験した。研究は、全体として参照によって本明細書に組み込まれている食品作用研究のFDAの手引書(「産業用手引書:食品作用バイオアベイラビリティ及び摂食生物学的等価性研究(Guidance for Industry: Food-Effect bioavailability and Fed Bioequivalence Studies)」、FDA、2002年12月)に準拠した。絶食及び摂食治療の双方において、該ガイダンスは、該薬物製品が、240mLの水とともに投与されるべきであることを示す。36名の患者が募集され、34名の患者が、成功裏に完了した。結果を、以下の図1及び表4に示す。
(表4: 240mLの液体体積を用いる研究13-010における条件及び結果)
Figure 2020510060
実施例2.2: Xyrem(登録商標)と製剤「O」との混合物の試験
実施例2.1に記載した研究の延長として、3種の非ナトリウムカチオンの比率は同じであるがより高いナトリウム含量で生物学的等価性が達成できるかどうかを決定するために、同じ製剤「O」及びXyrem(登録商標)参照を2つの異なる比率で試験した。単回投与クロスオーバー研究のために新たな患者が募集されたが、該研究は、その他の点では、より少数の患者が評価されたことを除き、実施例2.1と同等のやりかたで実施された。結果を、平均値として表して図2及び表5に示す。生物学的等価性は、49%のナトリウムでさえも達成されなかった(該製剤の信頼区間は、73.8〜97.5%であった)。
(表5: 240mLの液体体積を用いる研究13-010パート2での条件及び結果)
Figure 2020510060
実施例2.3: 代替カチオン混合物の試験
あるカチオンの負の作用を試験するため、また別の4種カチオン混合物を調査するために実施例1.1の製剤を、35名の患者が参加するクロスオーバー絶食状態生物学的等価性研究において試験した。前記2つの実施例とは対照的に、投与の体積を、60mLに減少させた。結果を、図3及び表6に示す。
驚くべきことに、図3及び表6に示されるように、50%ナトリウムの製剤507-Dは、Xyrem(登録商標)と比べて、92%のCmax比及びほぼ同一の平均血漿プロファイルを有していたために、生物学的等価性基準を満たした。対照的に、双方とも33%ナトリウムであるが、カリウム又はマグネシウムのいずれかの排除によって異なる製剤507-A及び507-Cは、ほとんど同一でより低いCmax値(それぞれ78%及び76%)を有し、従って、生物学的等価性基準を満たさなかった。
(表6: 60mLの液体体積を用いた研究15-008における条件及び結果、患者(n=35))
Figure 2020510060
実施例2.4: 希釈体積の効果の試験
50%ナトリウムを有し60mLの体積で試験された製剤507-Dは、Xyrem(登録商標)と生物学的に等価であったが、49%ナトリウムを有し240mLの体積で試験された実施例2.2の4種カチオン混合物は、生物学的に等価ではなかった。2つの結果の間の差は、統計学的に有意であり有意義である。投与の体積が、製剤の挙動に影響を及ぼすかどうか又はそれはどのようにかを決定するために、3種の治療−与えられた60mLの体積とともに絶食で、240mLの体積とともに絶食で、及び60mLの体積とともに摂食で−において製剤「O」を試験し、Xyrem(登録商標)と比較した。したがって、6種の治療が、食品作用生物学的等価性研究において33名の患者が参加するクロスオーバー様式で実施された。結果を、図4及び表7に示す。
投与の体積の結果として主要PKパラメーター(Cmax及びAUC)にほとんど差はない;しかしながら、絶食で与えられる場合2つの体積でXyrem(登録商標)の平均血漿プロファイルに差があるようである(図4)。
(表7: 研究JZP258-101の結果、患者(n=33))
Figure 2020510060
単一の研究では、食品作用に対する希釈体積の作用が直接疑われることはなかったが、2つのクロスオーバー研究からのデータの比較が、製剤「O」及びXyrem(登録商標)について可能である。表8は、60mLの希釈体積の研究JZP258-101から及び240mLの希釈体積の研究13-010パート1からのデータの比較を示す。該結果は、製剤「O」が、Xyrem(登録商標)と比べて低い食品作用を有すること、及び双方の例において、より高い希釈体積が、より少ない食品作用を有することを示す。
(表8: 60mL及び240mL希釈での食品作用の比較)
Figure 2020510060
類似のやり方で、研究全体の絶食データの比較を行うことができる。図5Aは、製剤中のカルシウムのパーセントの関数としてのCmax比を示す。図5Bは、製剤中のナトリウムのパーセントの関数としてのCmax比を示す。カルシウムモデルは、JMPソフトウェア(SAS Institute)を用いる、主作用及びカルシウム%と投与の体積との相互作用の段階的な回帰によって達成された。投与の体積及びその相互作用は双方とも、無意味な項として除外された(体積依存性である、カルシウム%及び希釈された濃度を採用する代替のモデルプロセスは、より良好ではない適合性を提供した)。結果は、著しい適合性の不足を有していた。
一方で、ナトリウムレベル及びナトリウム希釈濃度(及び相互作用)を考慮する場合、かなりより良好な結果への適合性が得られた。全ての3つの項は、90%の信頼度以上で有意であったが、希釈されたナトリウム濃度の主要な作用が、3つのうちで最も有意ではなかった)。ナトリウムレベル及び希釈されたナトリウム濃度とのその相互作用は、それぞれ、高度に有意であった)。そのモデルへの適合を、図5Bに示す。
(実施例3: 4時間空けて投与される2つの製剤の期待される薬物動態)
以下の提案された試験治療は、前述の実施例の製剤「O」を投与すること、及び第2の用量の製剤「507-D」を4時間遅れて投与することからなる。参照治療は、同じやり方で与えられるXyrem(登録商標)からなる。試験治療及び参照治療は、同じオキシベート用量を有し、夜に夕食の約2時間後に60mLの水中で投与される。血漿は、上述の実施例と同じ間隔で採取される。
結果は、上述の実施例において提供された単回投与PK評価に基づく各用量からの相加的な寄与を仮定することによって推定することができる。期待される結果を、同条件下で与えられる参照Xyrem(登録商標)のそれと比較して、図6に示す。
(実施例4: 微生物負荷)
本実施例は、低いナトリウムを有する混合オキシベート塩が、微生物の増殖に対して満足できる抵抗性を示すことを実証する。pH値が8でありかつ総濃度が409mg/mLオキシベート塩である、モル当量基準で、8%のナトリウム、23%のカリウム、48%のカルシウム、及び21%のマグネシウムオキシベート塩(Na・GHB、K・GHB、Mg・(GHB)2、及びCa・(GHB)2)を含む溶液を、米国薬局方<51>による抗微生物有効性について試験した。個々の試料に、5つの微生物のそれぞれを接種し、20〜25℃で28日間保管した。7、14、及び28日目に、微生物計数試験は、以下の表9に示されるように、全ての菌種について効果的な減少を明らかなものとした。
(表9: 409mg/mLでの8%のNa・GHB、23%のK・GHB、48%のCa・(GHB)2、及び21%のMg・(GHB)2の微生物有効性試験)
(コロニー形成単位/mLでの対数減少)
Figure 2020510060

Claims (31)

  1. γ-ヒドロキシブチレート(GHB)の2種以上の塩の混合物を含むγ-ヒドロキシブチレートの医薬組成物であって、該混合物が、少なくとも50%のγ-ヒドロキシブチレートのナトリウム塩(Na・GHB)を含み、かつγ-ヒドロキシブチレートのカリウム塩(K・GHB)及びγ-ヒドロキシブチレートのカルシウム塩(Ca・(GHB)2)のうちの1種以上をさらに含む、前記医薬組成物。
  2. 前記混合物が、約50%〜約80%のNa・GHBを含む、請求項1記載の医薬組成物。
  3. 前記混合物が、約50%〜約70%のNa・GHBを含む、請求項1記載の医薬組成物。
  4. 前記混合物が、約50%〜約60%のNa・GHBを含む、請求項1記載の医薬組成物。
  5. 前記混合物が、約50%〜約55%のNa・GHBを含む、請求項1記載の医薬組成物。
  6. 実質的な量のγ-ヒドロキシブチレートのマグネシウム塩(Mg・(GHB)2)もγ-ヒドロキシブチレートのカルシウム塩(Ca・(GHB)2)も含まない、請求項1記載の医薬組成物。
  7. 約25mL〜約100mLの体積を有する水溶液である、請求項1記載の医薬組成物。
  8. 約40mL〜約75mLの体積を有する水溶液である、請求項1記載の医薬組成物。
  9. 約55mL〜約65mLの体積を有する水溶液である、請求項1記載の医薬組成物。
  10. 3種以上のGHBの塩の混合物を含む、請求項1記載の医薬組成物であって、該混合物が、50%〜80%のNa・GHB、10%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む、前記医薬組成物。
  11. 患者に投与される場合に、約100%のNa・GHBを含む医薬組成物と生物学的に等価である、請求項1記載の医薬組成物。
  12. 患者に投与される場合に、平均最高GHB血漿濃度(Cmax)が、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のCmaxの10%の範囲内である、請求項1記載の医薬組成物。
  13. 患者に投与される場合に、平均最高GHB血漿曲線下面積(AUC)が、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のAUCの10%の範囲内である、請求項1記載の医薬組成物。
  14. GHBの3種の塩の混合物を含む、請求項1記載の医薬組成物であって、該混合物が、少なくとも50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB及びCa・(GHB)2をさらに含む、前記医薬組成物。
  15. 50%〜60%のNa・GHB、20%〜40%のK・GHB、及び10%〜20%のCa・(GHB)2を含む、請求項14記載の医薬組成物。
  16. 前記混合物が、約50%のNa・GHB、約34%のK・GHB、及び約16%のCa・(GHB)2を含む、請求項15記載の医薬組成物。
  17. 100mL未満の水溶液を含むGHBの医薬組成物であって、該水溶液が、2種以上のGHBの塩の混合物を含み、該混合物が、約40%〜約50%のNa・GHBを含み、かつK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2から選択される1種以上の塩をさらに含む、前記医薬組成物。
  18. 患者に投与される場合に、Cmaxが、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のCmaxの10%の範囲内である、請求項17記載の医薬組成物。
  19. 前記水溶液が、約25mL〜約75mLの体積を有する、請求項17記載の医薬組成物。
  20. 前記水溶液が、約55mL〜約65mLの体積を有する、請求項17記載の医薬組成物。
  21. 前記水溶液が、約60mLの体積を有する、請求項17記載の医薬組成物。
  22. Na・GHB及びK・GHBを含む、請求項17記載の医薬組成物。
  23. 液体製剤として製剤化される、請求項17記載の医薬組成物。
  24. 患者に投与される場合に、約100%のNa・GHBを含む医薬組成物と生物学的に等価である、請求項17記載の医薬組成物。
  25. 患者に投与される場合に、AUCが、ほぼ同じ量の100%のNa・GHBを含む医薬組成物のAUCの10%の範囲内である、請求項17記載の医薬組成物。
  26. 実質的な量のMg・(GHB)2もCa・(GHB)2も含まない、請求項17記載の医薬組成物。
  27. 薬物としての使用のための、請求項1〜26のいずれか1項記載の医薬組成物。
  28. GHBによる治療に適した患者における疾患又は状態を治療するための方法における使用のための、請求項1〜26のいずれか1項記載の医薬組成物であって、該方法が、該患者に請求項1〜26のいずれか1項記載の医薬組成物を投与することを含む、前記の医薬組成物。
  29. 前記疾患が、カタプレキシー又はナルコレプシーである、請求項28記載の使用のための医薬組成物。
  30. GHBを必要とする患者を治療する方法における使用のための、請求項1〜26のいずれか1項記載の医薬組成物であって、該方法が、GHB又はその塩の2回の夜間用量を該患者に投与することを含み、第1の用量が、40%未満のNa・GHB並びにK・GHB、Ca・(GHB)2、及びMg・(GHB)2の群から選択される少なくとも2種の他のGHB塩を含む医薬組成物を含み、かつ第2の用量が、請求項1〜26のいずれか1項記載の医薬組成物を含む、前記医薬組成物。
  31. 前記第1の用量が、食事後4時間以内に投与される、請求項30記載の使用のための医薬組成物。
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