JP2020159912A - 時計用部品、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents
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Abstract
Description
前記構成によれば、ひげぜんまいをカシメ固定する場合と異なり、ひげぜんまいの形状にばらつきが生じた場合でも、ひげぜんまいをひげ玉に固定することができる。よって、ひげぜんまいの形状に応じて複数のひげ玉を選択使用する必要はなく、製造が容易である。
以下では、まず実施形態に係る機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)およびこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)について説明したあと、時計用部品の詳細について説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図2に示すように、機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板102を有している。地板102の巻真案内穴102aには、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり190、かんぬき192、かんぬきばね194および裏押さえ196を含む切換装置によって、軸線方向の位置が決められている。
巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
がんぎ車130の外周には歯130aが形成されている。アンクル142は、地板102とアンクル受164との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯130aに係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんぷ10は、一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯130aに、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。
図3は、第1実施形態に係る時計用部品15を備えたてんぷ10の平面図である。図3に示すように、てんぷ10は、主にてん輪20と、てん真30と、時計用部品15と、を備えている。
てん輪20は、例えば真鍮等の金属により形成されており、略円環状に形成されたてん輪本体部21を備えている。てん輪本体部21の中心軸は、てんぷ10の回転中心である中心軸Oと一致している。中心軸Oに沿う方向を「軸方向」という。
てん輪本体部21の内周面21aからは、中心軸Oに向かって径方向に沿うように四本のアーム部23(23a〜23d)が延設されている。四本のアーム部23a〜23dは、てん輪本体部21の周方向に90°ピッチとなるように、略等間隔に形成されている。四本のアーム部23a〜23dは、中心軸O近傍で連結されている。四本のアーム部23a〜23dの連結部25には、中心軸Oと同軸の嵌合孔(図示略)が形成されている。
てんぷ10は、中心軸Oと同軸上に、てん真30を備えている。てん真30は、例えば真鍮等の金属により形成された棒状の部材である。てん真30は、中心軸Oまわりに回転可能となっている。てん輪20とてん真30とは一体的に動作する。
図4は、時計用部品15の一部を示す平面図である。図5は、時計用部品の一部を示す側面図である。図4および図5に示すように、時計用部品15は、ひげぜんまい40と、ひげ玉50とを備える。
以下、図5に即して上下の位置関係を仮に定める。すなわち、図5において上に向かう方向は上方であり、下に向かう方向は下方である。ここで定めた位置関係は時計用部品15の使用時の姿勢を限定しない。上下方向を高さ方向ともいう。中心軸Oは上下方向に平行である。
図3に示すように、ひげぜんまい40は、ひげぜんまい本体41と、円弧部42とを備える。ひげぜんまい本体41は、例えば鉄、ニッケル等の金属で構成された薄板ばねである。ひげぜんまい40は、厚さ方向に湾曲して形成されている。ひげぜんまい本体41は、複数の巻き数をもつ渦巻状に形成されている。円弧部42は、ひげぜんまい本体41の外周側の端部に連設されている。円弧部42の外周側端部42aは、ひげ持106に固定されている。
図4に示すように、ひげ玉50は、本体部51と、規制凸部52とを備えている。ひげ玉50は、例えばニッケル、ニッケル合金等により形成されている。本体部51は、外嵌固定部53と、複数の支持部54とを備える。外嵌固定部53は、てん真30に外嵌可能な開口53aを有する。支持部54は、外嵌固定部53の外周面から外嵌固定部53の径方向の外方に突出して形成されている。支持部54は、径方向外方に向かって幅(外嵌固定部53の軸回り方向の寸法)が小さくなる形状とされている。複数の支持部54は、外嵌固定部53の軸周り方向に位置を違えて形成されている。複数の支持部54は、例えば、中心軸O回り方向に等ピッチで形成されている。本実施形態では支持部54の数は4であり、4つの支持部54は、中心軸O周り方向に90°ピッチで形成されている。
図7は、第2実施形態の時計用部品115の一部を示す平面図である。図8は、時計用部品115の一部を示す側面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、中心軸Oの周り方向のうち、ひげぜんまい40の内周側端部43に近づく方向を「内周り方向D1」という。中心軸Oの周り方向のうち、内周り方向D1とは反対の方向を「外周り方向D2」という。
図8に示すように、第2規制凸部152Bは、中心軸Oに直交する板状に形成されている。第2規制凸部152Bは、ひげぜんまい40より低い位置に形成されている。第2規制凸部152Bの対向面152Ba(上面)は、中心軸Oに直交する面であり、ひげぜんまい40の下縁40aに対面する。対向面152Baは、ひげぜんまい40の下縁40aに当接または近接する。
なお、規制凸部の数は1または2に限らず、3以上の任意の数であってもよい。
時計用部品115では、ひげぜんまい40の形状にばらつきが生じた場合でもひげぜんまい40をひげ玉150に固定することができるため、製造が容易である。
図9は、第3実施形態の時計用部品215の一部を示す平面図である。図10は、時計用部品215の一部を示す側面図である。図11は、時計用部品215の一部を示す断面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
時計用部品215では、複数の規制凸部252(252A,252B)を備えるため、中心軸O周り方向の広い範囲でひげぜんまい40の傾動を規制できる。よって、ひげぜんまい40を正しい姿勢(軸方向に垂直な姿勢)でひげ玉250に固定することができる。
図12は、第4実施形態の時計用部品315の一部を示す平面図である。図13は、時計用部品315の一部を示す側面図である。図14は、時計用部品315の一部を示す断面図である。既出の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
時計用部品315は、第3規制凸部352を有する点で、図7および図8に示す第2実施形態の時計用部品115と異なる。
時計用部品315では、複数の規制凸部352(352A,352B)を備えるため、中心軸O周り方向の広い範囲でひげぜんまい40の傾動を規制できる。よって、ひげぜんまい40を正しい姿勢(軸方向に垂直な姿勢)でひげ玉350に固定することができる。
規制凸部の外形形状は特に限定されず、例えば、軸方向から見て矩形状、半円状、半楕円状、多角形状などとすることができる。
実施形態では、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接する方法として、レーザ溶接を例示したが、溶接方法はレーザ溶接に限られることはない。例えば、アーク溶接や、抵抗溶接、摩擦攪拌接合等により、ひげ玉50にひげぜんまい40を溶接してもよい。
図12に示す時計用部品315の第3規制凸部352の数は1つであるが、第3規制凸部の数は2以上の任意の数でもよい。
Claims (7)
- てん真に外嵌固定されるひげ玉と、前記ひげ玉に固定されたひげぜんまいと、を備え、
前記ひげ玉は、前記ひげぜんまいの中心軸が傾く方向の前記ひげぜんまいの姿勢変化を規制する規制凸部を有する、時計用部品。 - 前記規制凸部は、複数設けられ、
前記複数の規制凸部は、第1規制凸部と、前記中心軸に沿う軸方向から見て前記第1規制凸部より前記ひげぜんまいの内端側に位置する第2規制凸部とを含む、請求項1記載の時計用部品。 - 前記規制凸部に、前記ひげぜんまいが前記ひげ玉の径方向外方に移動するのを規制する係止部が形成されている、請求項1または2記載の時計用部品。
- 前記規制凸部は、複数設けられ、
前記複数の規制凸部のうち少なくとも1つは、前記ひげぜんまいに対して前記ひげ玉の軸方向の一端側に形成され、
この規制凸部以外の規制凸部のうち少なくとも1つは、前記ひげぜんまいに対して前記ひげ玉の軸方向の他端側に形成されている、請求項1記載の時計用部品。 - 前記複数の規制凸部は、軸方向から見て位置を違えて設けられている、請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の時計用部品。
- 請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の時計用部品が組み込まれた時計用ムーブメント。
- 請求項6に記載の時計用ムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
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