JP2020066590A - 水性眼科用組成物及び保存効力向上方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、上記問題を解決するために、亜硫酸塩又はチオ硫酸塩と、非イオン性界面活性剤とを含む組成物に、流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上を配合することで、目的とする保存効力が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
1.(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上、
(B)非イオン性界面活性剤、及び
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を含有する水性眼科用組成物。
2.水性眼科用組成物中のエマルションの平均粒子径が100nm以下である1記載の水性眼科用組成物。
3.(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と、(B)非イオン性界面活性剤とを含有する水性眼科用組成物に、
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を配合する、水性眼科用組成物の保存効力向上方法。
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の亜硫酸塩としては、製剤上許容される亜硫酸塩が挙げられる。例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム(無水亜硫酸ナトリウム)、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。本発明のチオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムが挙げられる。中でも、保存効力が良好である観点から、乾燥亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムが好ましい。特に、日本薬局方に収載されたものが好適である。
本発明の(B)成分は、非イオン性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(POEPOPグリコール)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましい。
ポリオキシエチレンヒマシ油又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合する場合、その配合量は、組成物中0.001〜10w/v%が好ましく、0.01〜5w/v%がより好ましく、0.1〜1w/v%がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを配合する場合、その配合量は、組成物中0.005〜10w/v%が好ましく、0.05〜5w/v%がより好ましく、0.5〜1w/v%がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合する場合、その配合量は、組成物中0.002〜10w/v%が好ましく、0.02〜5w/v%がより好ましく、0.2〜1w/v%がさらに好ましい。
本発明の(C)成分は、流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(C)成分により、(A)亜硫酸塩又はチオ硫酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤とを含む組成物の保存効力が向上する。
上記炭化水素の炭素鎖長に特に制限はないが、15以上のものが好適に用いられる。また、炭化水素における二重結合の有無について特に制限はないが、飽和炭化水素を多く含むものが好適に用いられる。さらに、炭素鎖は直鎖、分岐及び環状のいずれであってもよいが、大部分が分岐鎖を有するパラフィン(イソパラフィン)である。
ワセリンとしては、日本薬局方に収載された白色ワセリン及び黄色ワセリンが好適である。なお、安定剤として適当な型のトコフェロールを含んでいてもよい。
流動パラフィンを配合する場合、0.001〜1w/v%が好ましく、0.005〜0.5w/v%がより好ましく、0.01〜0.2w/v%がさらに好ましい。
ワセリンを配合する場合、0.0001〜0.1w/v%が好ましく、0.001〜0.05w/v%がより好ましく、0.001〜0.01w/v%がさらに好ましい。
[(B)/(A)]
1.5≦(B)/(A)≦100が好ましく、1.8≦(B)/(A)≦37.5がより好ましく、3.0≦(B)/(A)≦15がさらに好ましい。下限未満になると、亜硫酸塩により点眼時に刺激感を感じる可能性が高くなり、上限を超えると、保存効力及び(B)成分の分解物抑制効果が低下する。
(C)が流動パラフィンの場合、0.5≦(B)/(C)≦100が好ましく、3≦(B)/(C)≦75がより好ましく、5≦(B)/(C)≦50がさらに好ましい。
(C)がワセリンの場合、5≦(B)/(C)≦1,000が好ましく、10≦(B)/(C)≦100がより好ましい。下限未満になると組成物に白濁が生じやすくなり、上限を超えると、点眼時に刺激感を生じる可能性が高くなる。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、眼科用組成物に配合されるその他の成分を適量配合することができる。その他の成分としては、油成分、防腐剤、糖類、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、安定化剤、清涼化剤、多価アルコール、粘稠剤、薬物等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。下記に示す成分の配合量は、配合する場合の好ましい範囲である。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(C)成分等の油性成分と、(B)成分等の界面活性剤成分の混合溶液を、(A)成分等の水性成分を含む水溶液と混合し、混合して乳化させ、pH調整後、総体積を水により調製することにより得ることができる。各液体の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各液体の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40〜95℃の範囲から適宜選定される。
本発明の組成物は、「水性眼科用組成物」である。本発明において、「水性眼科用組成物」とは、媒質が水である眼科用組成物をいう。水性眼科用組成物にすることにより、涙液と組成物の混合を容易にし、(C)成分による涙液油層安定性を高めることができる。なお、水の配合量は、組成物中90.0〜99.3w/v%が好ましく、93.0〜99.0w/v%がより好ましく、95.0〜97.5w/v%がさらに好ましい。
本発明は、亜硫酸塩又はチオ硫酸塩と、非イオン性界面活性剤とを含む組成物に、流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上を配合することで、目的とする保存効力が得られることから、以下のような発明を提供する。
(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上及び(B)非イオン性界面活性剤を含有する水性眼科用組成物配合用であって、(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上を含有する防腐剤組成物。
好適な成分、配合量等は上記と同じである。
本発明は、
(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と、(B)非イオン性界面活性剤とを含有する水性眼科用組成物に、
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を配合する、水性眼科用組成物の保存効力向上方法を提供する。好適な成分、配合量等は上記と同じである。
(A)成分及び各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃15分間加温混合して水性成分水溶液を得た。同時に、(C)等の油性成分と(B)非イオン性界面活性剤のプレミックスを作製し、90℃15分間加熱混合した。次に、プレミックスを上記水性成分水溶液に所定量加え、さらに90℃15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、全量が100mLになるように水を加えた。
(A)成分及び各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃15分間加温混合して水性成分水溶液を得た。同時に、(C)等の油性成分と(B)非イオン性界面活性剤のプレミックスを作製し、90℃15分間加熱混合した。次に、プレミックスを上記水性成分水溶液に所定量加え、さらに90℃15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、全量が100mLになるように水を加えた。さらに、高圧乳化機(スターバーストミニ、(株)スギノマシン)を用い、噴射圧200MPa背圧3MPaにて5回処理を行ない、水性眼科用組成物を調製した。得られた水性眼科用組成物について、下記評価を行った。
表1に示す実施例1、比較例1について、第17改正日本薬局方・参考情報の保存効力試験法に準じて保存効力試験を実施した。被検菌株は以下に示す細菌及び真菌の5種を用い、各例の試料1mLあたりが105個になるように菌を加え、25℃に静置した。7日後に各試料1mLをカンテン培地にて5日間培養し、生菌数を測定した。
初発菌数(105個/mL)に対する残存率(%)を算出した。操作は無菌的に行った。表2の判定基準を満たすものを適合、満たさないものを不適合とした。
以上のことから、(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と(B)非イオン性界面活性剤とを含有する組成物の保存効力の判定には、黄色ブドウ球菌が最適と判断され、下記表に示す組成の実施例及び比較例について、黄色ブドウ球菌のみで評価した。
下記実施例については、下記方法で保存後の分解物量を評価した。
各水性眼科用組成物を調製し、20mLのガラス製アンプルに充填後密閉し、70℃で6日間保存した。保存後のホルムアルデヒド量を、以下の方法に従って定量した。
<ホルムアルデヒド定量法>
保存後の水性眼科用組成物中のホルムアルデヒド含量を、高速液体クロマトグラフィー法(カラム:内径約4.6mm,長さ約15cmのステンレス管に約5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリコーンポリマー被覆シリカゲルを充填、移動相:水/アセトニトリル混液(4:1)、検出器:紫外吸光光度計(測定波長:413nm))により測定し、ホルムアルデヒド含量を算出した。
流動パラフィン:第17改正日本薬局法第1法(37.8℃)粘度76.6mm2/s(74〜88mm2/s)(KAYDOL、島貿易社製)
白色ワセリン(日本薬局方 白色ワセリン、健栄製薬社製)
精製ラノリン(日本薬局方 精製ラノリン、健栄製薬社製)
レチノールパルミチン酸エステル(レチノールパルミチン酸エステル、DSM社製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60(医薬用)、日本サーファクタント工業社製)
POEヒマシ油:ポリオキシエチレンヒマシ油35(ユニオックスC35、日油社製)
POEソルビタン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレン(20)ソルビタン脂肪酸エステル(レオドール TW−O120V、花王社製)
POEPOPグリコール:ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(LutrolF127、BASFジャパン社製)
ホウ酸(関東化学社製)
ホウ砂(小堺製薬社製)
塩化ナトリウム(富田製薬社製)
塩化カリウム(赤穂化成社製)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)
乾燥亜硫酸ナトリウム(乾燥亜硫酸ナトリウム「製造専用」(日本薬局方)、国産化学社製)
亜硫酸水素ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム「製造専用」(日本薬局方)、富士フイルム和光純薬社製)
本発明者らは、上記問題を解決するために、亜硫酸塩又はチオ硫酸塩と、非イオン性界面活性剤とを含む組成物に、流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上を配合することで、目的とする保存効力が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
1.(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上、
(B)非イオン性界面活性剤、及び
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を含有する水性眼科用組成物。
2.水性眼科用組成物中のエマルションの平均粒子径が100nm以下である1記載の水性眼科用組成物。
3.(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と、(B)非イオン性界面活性剤とを含有する水性眼科用組成物に、
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を配合する、上記水性眼科用組成物の保存効力向上方法。
[(A)成分]
本発明の(A)成分は、亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の亜硫酸塩としては、製剤上許容される亜硫酸塩が挙げられる。例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム(無水亜硫酸ナトリウム)、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。本発明のチオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムが挙げられる。中でも、保存効力が良好である観点から、乾燥亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムが好ましい。特に、日本薬局方に収載されたものが好適である。
本発明の(B)成分は、非イオン性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(POEソルビタン脂肪酸エステル)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(POEPOPグリコール)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールが好ましい。
ポリオキシエチレンヒマシ油又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合する場合、その配合量は、組成物中0.001〜10w/v%が好ましく、0.01〜5w/v%がより好ましく、0.1〜1w/v%がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを配合する場合、その配合量は、組成物中0.005〜10w/v%が好ましく、0.05〜5w/v%がより好ましく、0.5〜1w/v%がさらに好ましい。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合する場合、その配合量は、組成物中0.002〜10w/v%が好ましく、0.02〜5w/v%がより好ましく、0.2〜1w/v%がさらに好ましい。
本発明の(C)成分は、流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(C)成分により、(A)亜硫酸塩又はチオ硫酸塩と、(B)非イオン性界面活性剤とを含む組成物の保存効力が向上する。
上記炭化水素の炭素鎖長に特に制限はないが、15以上のものが好適に用いられる。また、炭化水素における二重結合の有無について特に制限はないが、飽和炭化水素を多く含むものが好適に用いられる。さらに、炭素鎖は直鎖、分岐及び環状のいずれであってもよいが、大部分が分岐鎖を有するパラフィン(イソパラフィン)である。
ワセリンとしては、日本薬局方に収載された白色ワセリン及び黄色ワセリンが好適である。なお、安定剤として適当な型のトコフェロールを含んでいてもよい。
流動パラフィンを配合する場合、0.001〜1w/v%が好ましく、0.005〜0.5w/v%がより好ましく、0.01〜0.2w/v%がさらに好ましい。
ワセリンを配合する場合、0.0001〜0.1w/v%が好ましく、0.001〜0.05w/v%がより好ましく、0.001〜0.01w/v%がさらに好ましい。
[(B)/(A)]
1.5≦(B)/(A)≦100が好ましく、1.8≦(B)/(A)≦37.5がより好ましく、3.0≦(B)/(A)≦15がさらに好ましい。1.5未満になると、亜硫酸塩により点眼時に刺激感を感じる可能性が高くなる。
(C)が流動パラフィンの場合、0.5≦(B)/(C)≦100が好ましく、3≦(B)/(C)≦75がより好ましく、5≦(B)/(C)≦50がさらに好ましい。
(C)がワセリンの場合、5≦(B)/(C)≦1,000が好ましく、10≦(B)/(C)≦100がより好ましい。上記好ましい範囲の下限未満になると組成物に白濁が生じやすくなり、上記好ましい範囲の上限を超えると、点眼時に刺激感を生じる可能性が高くなる。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、眼科用組成物に配合されるその他の成分を適量配合することができる。その他の成分としては、油成分、防腐剤、糖類、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、安定化剤、清涼化剤、多価アルコール、粘稠剤、薬物等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合することができる。下記に示す成分の配合量は、配合する場合の好ましい範囲である。
本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、(C)成分等の油性成分と、(B)成分等の界面活性剤成分の混合溶液を、(A)成分等の水性成分を含む水溶液と混合し、混合して乳化させ、pH調整後、総体積を水により調整することにより得ることができる。各液体の混合方法は、一般的な方法でよく、パルセーター、プロペラ羽根、パドル羽根、タービン羽根等を用いて適宜行われるが、回転数は特に限定されず、激しく泡立たない程度に設定することが好ましい。各液体の混合温度は特に限定しないが、油性成分と界面活性剤成分が共に融解温度以上であることが好ましく、具体的には40〜95℃の範囲から適宜選定される。
本発明の組成物は、「水性眼科用組成物」である。本発明において、「水性眼科用組成物」とは、媒質が水である眼科用組成物をいう。水性眼科用組成物にすることにより、涙液と組成物の混合を容易にし、(C)成分による涙液油層安定性を高めることができる。なお、水の配合量は、組成物中90.0〜99.3w/v%が好ましく、93.0〜99.0w/v%がより好ましく、95.0〜97.5w/v%がさらに好ましい。
本発明は、亜硫酸塩又はチオ硫酸塩と、非イオン性界面活性剤とを含む組成物に、流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上を配合することで、目的とする保存効力が得られることから、以下のような発明を提供する。
(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上及び(B)非イオン性界面活性剤を含有する水性眼科用組成物配合用であって、(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上を含有する防腐剤組成物。
好適な成分、配合量等は上記と同じである。
本発明は、
(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と、(B)非イオン性界面活性剤とを含有する水性眼科用組成物に、
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を配合する、上記水性眼科用組成物の保存効力向上方法を提供する。好適な成分、配合量等は上記と同じである。
(A)成分及び各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃15分間加温混合して水性成分水溶液を得た。同時に、(C)等の油性成分と(B)非イオン性界面活性剤のプレミックスを作製し、90℃15分間加熱混合した。次に、プレミックスを上記水性成分水溶液に所定量加え、さらに90℃15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、全量が100mLになるように水を加えた。
(A)成分及び各水性成分を90mLの水に溶解し、90℃15分間加温混合して水性成分水溶液を得た。同時に、(C)等の油性成分と(B)非イオン性界面活性剤のプレミックスを作製し、90℃15分間加熱混合した。次に、プレミックスを上記水性成分水溶液に所定量加え、さらに90℃15分間加熱混合した。その後、室温まで冷却し、pH調整を行い、全量が100mLになるように水を加えた。得られたものに、高圧乳化機(スターバーストミニ、(株)スギノマシン)を用いて、噴射圧200MPa背圧3MPaにて5回処理を行ない、水性眼科用組成物を調製した。得られた水性眼科用組成物について、下記評価を行った。
表1に示す実施例1、比較例1について、第17改正日本薬局方・参考情報の保存効力試験法に準じて保存効力試験を実施した。被検菌株は以下に示す細菌及び真菌の5種を用い、各例の試料1mLあたり105個になるように菌を加え、25℃に静置した。7日後に各試料1mLをカンテン培地にて5日間培養し、生菌数を測定した。
初発菌数(105個/mL)に対する残存率(%)を算出した。操作は無菌的に行った。表2の判定基準を満たすものを適合、満たさないものを不適合とした。
以上のことから、(A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と(B)非イオン性界面活性剤とを含有する組成物の保存効力の判定には、黄色ブドウ球菌が最適と判断され、下記表に示す組成の実施例及び比較例について、黄色ブドウ球菌のみで評価した。
下記実施例については、下記方法で保存後の分解物量を評価した。
各水性眼科用組成物を調製し、20mLのガラス製アンプルに充填後密閉し、70℃で6日間保存した。保存後のホルムアルデヒド量を、以下の方法に従って定量した。
<ホルムアルデヒド定量法>
保存後の水性眼科用組成物中のホルムアルデヒド含量を、高速液体クロマトグラフィー法(カラム:内径約4.6mm,長さ約15cmのステンレス管に約5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリコーンポリマー被覆シリカゲルを充填、移動相:水/アセトニトリル混液(4:1)、検出器:紫外吸光光度計(測定波長:413nm))により測定し、ホルムアルデヒド含量を算出した。
流動パラフィン:第17改正日本薬局方第1法(37.8℃)粘度76.6mm2/s(74〜88mm2/s)(KAYDOL、島貿易社製)
白色ワセリン(日本薬局方 白色ワセリン、健栄製薬社製)
精製ラノリン(日本薬局方 精製ラノリン、健栄製薬社製)
レチノールパルミチン酸エステル(レチノールパルミチン酸エステル、DSM社製)
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60(医薬用)、日本サーファクタント工業社製)
POEヒマシ油:ポリオキシエチレンヒマシ油35(ユニオックスC35、日油社製)
POEソルビタン脂肪酸エステル:ポリオキシエチレン(20)ソルビタン脂肪酸エステル(レオドール TW−O120V、花王社製)
POEPOPグリコール:ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(LutrolF127、BASFジャパン社製)
ホウ酸(関東化学社製)
ホウ砂(小堺製薬社製)
塩化ナトリウム(富田製薬社製)
塩化カリウム(赤穂化成社製)
水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)
乾燥亜硫酸ナトリウム(乾燥亜硫酸ナトリウム「製造専用」(日本薬局方)、国産化学社製)
亜硫酸水素ナトリウム(亜硫酸水素ナトリウム「製造専用」(日本薬局方)、富士フイルム和光純薬社製)
Claims (3)
- (A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上、
(B)非イオン性界面活性剤、及び
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を含有する水性眼科用組成物。 - 水性眼科用組成物中のエマルションの平均粒子径が100nm以下である請求項1記載の水性眼科用組成物。
- (A)亜硫酸塩及びチオ硫酸塩から選ばれる1種以上と、(B)非イオン性界面活性剤とを含有する水性眼科用組成物に、
(C)流動パラフィン及びワセリンから選ばれる1種以上
を配合する、水性眼科用組成物の保存効力向上方法。
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