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JP2019216383A - 通信装置、通信方法及びプログラム - Google Patents

通信装置、通信方法及びプログラム Download PDF

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JP2019216383A JP2018113453A JP2018113453A JP2019216383A JP 2019216383 A JP2019216383 A JP 2019216383A JP 2018113453 A JP2018113453 A JP 2018113453A JP 2018113453 A JP2018113453 A JP 2018113453A JP 2019216383 A JP2019216383 A JP 2019216383A
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Abstract

【課題】受信側からフィードバックされる受信状況のモニタリング結果等を用いるリアルタイムフィードバック手法を取らずに、天候に応じた減衰分のマージンを有効に活用して高速大容量のデータ通信を実現すること。【解決手段】通信装置10は、人工衛星に搭載される。通信装置10は、送信方式の制御パラメータである変調方式が可変可能で、無線通信により受信局3にデータを送信する送信部20と、天候情報を取得する取得部30と、取得部30により取得された天候情報から受信局3との間の電波4の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、推定した減衰量に応じて制御パラメータである変調方式を制御する制御部40とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、人工衛星と地上局との通信に好適な通信装置、通信方法及びプログラムに関する。
通信データ容量の増大化のためには使用周波数を高くして伝送帯域を拡大する必要があるが、周波数が高くなるにつれて気候・天候による減衰(降雨減衰や雲減衰、大気吸収損等)や自由空間損失など、通信路の環境による電波の減衰が大きくなる。特にKa帯以上を使用する地球周回衛星通信に関しては、地上局の運用仰角が低いほど前述の減衰がより大きくなる。
通常、通信回線設計では最も回線成立性の低い条件、つまり最低運用仰角運用時の条件において搭載アンテナ、RF送信電力等の制御パラメータを決定するが、低仰角時にて各減衰量が大きい場合ほど、回線成立性の高い条件、つまり高運用仰角運用時の条件においては、通信回線設計上、余剰な電力(マージン)が発生する。
高仰角運用時には電力束密度の制限が厳しいことから、受信レベルに応じて出力レベルを低減することが考えられる。しかし、大容量通信のための地上局は受信専用局を用いることが多いため、地上局にアップリンク用送信機能を追加することはコスト、運用面双方において大きな負担となる。
このようなマージンが生じ、かつアップリンク回線を所持できない条件下において更なる高速大容量化を実現する技術として、特許文献1の技術が提案されている。
特許文献1には、可変符号化変調(Variable Coding & Modulation:VCM)技術が開示されている。この技術は、送信時に人工衛星の仰角に応じて計画的に誤り訂正符号化方式及び変調方式を変更する。また、特許文献1には、地上にある制御局が受信局における降雨減衰量から受信局の受信品質を推定し、その受信品質推定値を無線回線経由で人工衛星に搭載された送信局に伝え、サイトダイバシティ等を行わせる技術が開示されている。
WO2016/174774号公報(請求項1、請求項9、段落0016、図1など参照)
特許文献1に記載された技術は、以下の課題がある。
特許文献1では、人工衛星の運用仰角に応じて誤り訂正符号化方式及び変調方式を変更する技術が提案されているが、気候・天候による減衰(以下、天候減衰と呼ぶ)分を含めた状態で、つまり雨天時の条件にて回線が成立するように回線設計を実施しているため、晴天時は天候減衰分のマージン(以下、天候マージンと呼ぶ)が生じている。この天候マージンは、運用仰角によるマージンと比べても大きいため、天候マージンが活用できない特許文献1の手法では、VCMの効果を最大限に発揮できていない。
天候マージンは、大容量伝送に応えるために広帯域信号が使用可能な周波数を高くするほど、また可視時間の長い低運用仰角運用時ほど大きくなり、伝送速度の低下及び可視エリアの高仰角化といったデメリットが生じる。この影響は、上述の地球観測衛星のような単体衛星のシステム効率低下のほかに、衛星コンステレーションのような複数衛星同時運用時においても、衛星機数の増加等につながるため、双方において大きな課題となっている。
また、天候マージンを有効活用する手法として、特許文献1に記載された技術に基づき受信状況のモニタリングによる天候減衰量のフィードバック補償が考えられるが、地球周回衛星では搭載機器の制約等によりフィードバック系を持つことが難しいため、この手法は導入できないと考えられる。ゆえにリアルタイムフィードバック手法を取らずに天候減衰量を予測し、その情報をもとに天候マージンを有効活用する技術が求められている。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、受信側からフィードバックされる受信状況のモニタリング結果等を用いるリアルタイムフィードバック手法を取らずに、天候に応じた減衰分のマージンを有効に活用して高速大容量のデータ通信を実現できる通信装置、通信方法及びプログラムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る通信装置は、典型的には人工衛星に搭載される通信装置であって、送信方式の制御パラメータが可変可能で、無線通信により受信局にデータを送信する送信部と、天候情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された天候情報から前記受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、前記推定した減衰量に応じて前記制御パラメータを制御する制御部とを具備する。
本発明では、取得した天候情報から受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、推定した減衰量に応じて、送信部における送信方式の制御パラメータを制御しているので、受信側からフィードバックされる受信状況のモニタリング結果等を用いるリアルタイムフィードバック手法を取らずに、天候に応じた天候減衰分のマージンを有効に活用して高速大容量のデータ通信を実現できる。
前記取得部は、予め、天候データを取得し、取得した天候データから所定の各エリアの高度ごと(ゾーンごと)の天候情報を予測し、その予測した天候情報をデータベースとして保持してもよい。これにより、受信側からフィードバックされる受信状況のモニタリング結果等を用いるリアルタイムフィードバック手法を取らずに、非リアルタイム情報を利用した通信が実現できる。
前記取得部は、前記受信局との間の電波の伝搬経路の天候状況を観測するセンサを有し、前記制御部は、予め保持する天候に関するデータを用いて前記センサでの観測結果を評価し、評価結果から前記受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定してもよい。これにより、受信側からフィードバックされる受信状況のモニタリング結果等を用いるリアルタイムフィードバック手法を取らずに、リアルタイム情報を利用した通信が実現できる。
本発明の一形態に係る通信装置では、前記送信部は、前記送信方式の制御パラメータのうち変調方式が可変可能であり、前記制御部は、前記推定した減衰量に応じて、好ましくは前記変調方式だけを制御する。
ここで、人工衛星では、スペクトラム波形の周波数変動に合わせて受信系を追従させる機能(キャリアロック)によって、スペクトラムの安定した受信状態を保持している。可視時間中にキャリアロックが外れると、その間通信が遮断されデータが伝送できなくなる。特に可視時間が限定されている地球周回衛星にとっては、これが非常に大きな問題となる。キャリアロックは、スペクトラムが急峻に変動することによって外れることがある。ゆえに衛星通信においては、スペクトラムを変動させない運用が求められている。
衛星通信系においては、シンボルレートやロールオフ率が変わることでスペクトラムの周波数変動が発生する。また符号化方式(符号化率)が変わる場合でも、データフレーム長を固定にしない限りシンボルレートが可変となるため、同じくスペクトラムの変動が発生してしまう。
特許文献1では、符号化方式(符号化率)および変調方式を同時に制御しており、VCMによって通信方式、特に符号化方式を変更する際、(データフレーム長が変動して)スペクトラムが急峻に変動する可能性が高く、それによってキャリアロックが外れる、ということが課題となる。データ伝送容量を増加させるために多値数を増加させる、またより低Eb/Noで運用させるほど、スペクトラムの周波数変動によるキャリアアンロックはより発生しやすくなる。ゆえに昨今の地球周回衛星では、スペクトラムの周波数特性を一定に保ったままVCM制御を実施する手法の確立が求められている。
これに対して、本発明の一形態に係る通信装置では、典型的には、天候よる推定減衰量に応じて、通信方式のうち変調方式だけを制御しているので、キャリアロックの発生を低減することができる。しかし、本発明は、変調方式だけでなく、前記送信部を、更に、前記送信方式の制御パラメータのうち符号化方式、符号化率及び送信電力のうち少なくとも1つを可変可能に構成し、前記制御部は、前記変調方式に加えて、前記符号化方式、前記符号化率及び前記送信電力のうち少なくとも1つを前記推定した減衰量に応じて制御するように構成してもよい。制御パラメータのうち変調方式の制御がデータ通信量の変動に与える影響が、他の制御パラメータよりも大きい方が好ましいと考えられる。
本発明は、人工衛星に搭載される通信装置にあって、前記制御部は、前記受信局との間の仰角に応じて前記の制御パラメータを制御するように構成してもかまわない。
本発明の一形態に係る通信方法は、天候情報を取得し、前記取得した天候情報から受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、前記推定した減衰量に応じて送信方式の制御パラメータを決定し、前記決定した送信方式の制御パラメータによって前記受信局にデータを送信する。
本発明の一形態に係るプログラムは、天候情報を取得し、前記取得した天候情報から受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、前記推定した減衰量に応じて送信部の送信方式の制御パラメータを決定し、前記決定した送信方式の制御パラメータによって前記送信部から前記受信局にデータを送信させるステップをコンピュータに実行させる。
本発明によれば、リアルタイムフィードバック手法を取らずに、天候に応じた天候減衰分のマージンを有効に活用して高速大容量のデータ通信を実現できる。
本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。 図1に示した通信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る天候及び天候による推定減衰量と変調方式との関係を規定するテーブルである。 本発明の一実施形態に係る伝搬経路の伝搬エリア及び高度の天候情報を基に伝搬経路の天候を推定する手法の説明図である。 16APSKの信号空間ダイヤグラムを示す図である。 本発明の一実施形態に係る通信装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る通信装置における運用計画の一例を示す表である。 本発明の他の実施形態に係る通信装置を含む通信システムの構成を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る通信装置の動作を示すフローチャートである。 16QAMの信号空間ダイヤグラムを示す図である。 本発明の更なる実施形態に係る通信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の更なる実施形態に係る天候及び天候による推定減衰量と変調方式と符号化方式と符号化率と送信電力の関係を規定するテーブルである。 本発明に係る静止衛星と航空機との間で通信を行う通信システムの説明図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<非リアルタイム情報を利用した通信装置>
まず、予め天候(晴天/曇天/雨天等)に応じて運用時刻毎の通信方式を個別に計画しておき、天候や仰角に応じて通信方式の制御パラメータを適切にスケジューリングする実施形態を以下に示す。
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1に示すように、通信システム1は、人工衛星2に搭載された通信装置10と、地上に設置され、通信装置10から送信されたデータを受信する地上局である受信局3とを含む。なお、本発明は、静止衛星も含めた人工衛星に適用可能であるが、本実施形態でいう人工衛星2は地球周回衛星である。図1において、符号4は通信装置10から受信局3に送信される電波を示している。
図2は通信装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、通信装置10は、送信方式の制御パラメータである変調方式が可変可能で、無線通信により受信局3にデータを送信する送信部20と、天候情報を取得する取得部30と、取得部30により取得された天候情報から受信局3との間の典型的には視線方向の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、推定した減衰量に応じて、送信方式の制御パラメータを制御する制御部40とを有する。
送信部20は、誤り訂正符号化回路21と、変調処理回路22と、送信周波数をアップする周波数コンバータ23と、送信電力を増幅する増幅器24と、指向性を有し、所定の制御のもとで指向方向が可変可能な例えばアンテナ25とを有する。
誤り訂正符号化回路21は、送信データをシリアル−パラレル変換するS/P変換部211と、パラレル変換された送信データから誤り訂正符号を生成する誤り訂正符号化部212と、これらの送信データをインターリーブするインターリーブ部213とを有する。
変調処理回路22は、入力されたデータをシリアル−パラレル変換し並列化するS/P変換部221と、並列化されたデータからI−ch及びQ−chのシンボルを生成するシンボルマッピング部222I,222Qと、パルス整形フィルタ部223I,223Qと、APSK変調部224と、合成部225とを有する。
取得部30は、典型的には人工衛星の運用開始前に予めTT&C(Tracking Telemetry & Command)回線を介して気象衛星の天候データを取得し、時刻ごと伝搬エリアごと高度ごと(ゾーンごと)の天候情報を予測し、その予測した天候情報を気象データベースとして保持する。空間の状態は高度によって変化するため、例えば気象衛星の天候データ及び過去の観測データから、高度毎の重み付けを決定し、天候情報に反映させることが好ましい。
制御部40は、図3に示すように、少なくとも仰角θごと(例えば5°ごと)に天候及び天候による推定減衰量と変調方式との関係を規定するテーブルを有する。なお、図3に示したテーブルは運用計画の一例にすぎず、本発明はこれに限定されない。
視線方向の電波4の伝搬経路は、図4に示すように、仰角θから地上局(受信局3)の位置と人工衛星2の位置の2点が決まると、その2点を結ぶ直線Lとして一意に決まる。制御部40は、取得部30の気象データベースから、これらの間の伝搬経路の伝搬エリア及び高度(A〜A、H〜H)の天候情報を基に、伝搬経路の天候、例えば「晴れ」、「曇り」、「雨」を推定する。
ここで、衛星通信に用いられる電波は高周波であってビームが非常に細いため、この直線L上のみを電波4は伝搬するとみなしてよい。このため、この電波の伝搬経路における物理パラメータ(2点間の距離及びこれらの間の天候)を推定することで、天候による減衰量を推定することが可能となる。
なお、ゲリラ豪雨等突発的な天候変化を除けば、天候が短時間で変化することはほとんどないため、1回の運用時間が短い地球周回衛星では、天候データを人工衛星の運用開始前に予めTT&C回線にて伝送しておくだけでよく、パス中にデータを書き換えるような運用は必要ない。ゆえに本発明の適用により、リアルタイム天候フィードバックシステムを持たずとも、天候マージンの大部分を容易に有効利用することが可能となる。
本実施形態では、制御部40の制御のもとで、送信方式の一つである変調方式を可変することができる。例えば、変調方式として、APSK(Amplitude & Phase Shift Keying:振幅位相変調)である場合には、QPSK,16APSK,32APSK,64APSK,・・・のいずれかに可変可能であり、制御部40の制御のもとで、取得部30により取得された天候情報などに応じて、図3に示したテーブルからQPSK,16APSK,32APSK,64APSKから一つの制御パラメータが選択される。
送信部20では、誤り訂正符号化回路21におけるS/P変換部211及びインターリーブ部213が前記の制御情報に応じて処理を実行し、変調処理回路22におけるS/P変換部221及びシンボルマッピング部222I,222Qが前記の制御情報に応じて処理を実行する。例えば、制御情報が図5に示す16APSKに応じた情報であるとき、S/P変換部211では4bitのデータがシリアル−パラレル変換され、インターリーブ部213ではその長さに応じてインターリーブ処理が施され、S/P変換部221ではインターリーブされたデータがシリアル−パラレル変換され、シンボルマッピング部222I,222Qでは16APSKに応じたシンボルが生成される。
次に、通信装置10の動作を図6に示すフローチャートに基づき説明する。なお、本実施形態では、運用に先立ち、時刻に応じた仰角及び制御パラメータ(変調方式)を求めて予め運用計画を作成し、運用計画に基づき運用を行っているが、運用中に逐次仰角及び制御パラメータを求めるようにしてもよい。
まず、運用に先立ち、制御部40は、運用計画を作成する。
制御部40は、運用計画の作例を開始すると(時刻T=T)、時刻Tでの当該人工衛星2の位置情報(x、y、z)を決定し(ステップ601)、仰角θを算出する(ステップ602)。
伝搬経路は衛星軌道から推測可能なため、事前に各仰角θにおける伝搬経路と、伝搬経路がエリアを通過する際の高度が導出できる。この伝搬経路情報と各エリア、高度の天候予測データと照らし合わせることで、伝搬経路中の物理パラメータを推定し、減衰量を算出できる。従って、制御部40は、取得部30から非リアルタイム環境情報である気象データベースを取得し(ステップ603)、仰角θによって一意に決まる人工衛星2と地上局(受信局3)との間の伝搬経路(直線)の伝搬エリア及び高度(A〜A、H〜H)の天候情報を基に、伝搬経路の天候、例えば「晴れ」、「曇り」、「雨」を推定する。この伝搬経路における物理パラメータ(2点間の距離及びこれらの間の天候)を推定することで、時刻Tにおける天候による減衰量を推定する(ステップ604)。なお、上記の伝搬エリア及び高度は所定の領域をそれぞれ4つ分割しているが、本発明はその分割の数に限定されず、分割数は4よりも小さくてもよいし、4よりも大きくてもよい。
制御部40は、図3に示したテーブルから、仰角情報及び推定減衰量に基づき制御パラメータ(送信方式)を決定し、その決定結果をその時刻における制御パラメータとして保存する(ステップ605,606)。
以下、制御部40は、運用終了予定時刻までの時刻ごとの制御パラメータを決定し、保存する(ステップ607,608,609)。図7にこのようにして作成された運用計画の一例を示す。
次に、制御部40は、作成した運用計画に従って通信を運用する(ステップ610)。
制御部40は、通信の運用を開始すると(時刻T=T)、時刻Tを設定し(ステップ611)、時刻Tにおける制御パラメータ(変調方式)を運用計画から呼び出し(ステップ612)、その制御パラメータに応じた制御情報を送信部20に出力する(ステップ613)。具体的には、制御情報は、制御部40から、誤り訂正符号化回路21におけるS/P変換部211及びインターリーブ部213、並びに変調処理回路22におけるS/P変換部221及びシンボルマッピング部222I,222Qに出力される。送信部20は、この制御情報に応じた変調方式により送信データを送信する。
以下、制御部40は、運用終了時刻まで以上のステップ611〜613の処理を実行する(ステップ614,615)。
<リアルタイム情報を利用した通信装置>
本発明の一形態に係る通信装置では、人工衛星から光学センサや電波センサ等の観測センサを用いて静的または動的に伝搬経路の状況を取得し、人工衛星の通信装置内でその情報を処理することで、地上局(受信局)方向を見たときの伝搬経路の物理パラメータをリアルタイムに推定してもよい。これにより、フィードバック系を持たずにリアルタイムな天候推定ができる。
図8は、このようなリアルタイム情報を利用した通信装置を含む通信システムの構成を示す図である。
図8に示すように、通信システム100は、人工衛星2に搭載された通信装置10の取得部が観測センサ101である点が、上記の実施形態に係るシステムと構成が異なる。
観測センサ101は、電波の伝搬経路方向、つまり地上局(受信局3)方向に向けて天候状況を観測する。これにより減衰の発生する伝搬経路そのものの状況を把握することができる。観測センサ101としては、光学センサや電波センサなどを用いることができる。
観測センサ101として、例えば光学センサを使用する場合には、晴天時は伝搬経路には遮る物がないため、地上の状況がそのまま観測されるが、曇天・雨天時は伝搬経路上に雲が存在するため、データに雨雲が映りこむことになる。通信装置10の制御部40は典型的な晴天時と曇天・雨天時のデータをデータベースに保持し、このデータを用いて取得部である観測センサ101で取得した天候情報を評価することで、経路中の雲量を導出し、伝搬経路の物理パラメータである天候による電波の減衰量を推定する。なお、2点間の距離は所定時刻の仰角及び軌道高度から導き出せる。
なお、観測センサ101で取得したデータを保存しておき、定期的にダウンリンクし、地上局の受信強度情報との照らし合わせを実施することでより正確な典型的な晴天時と曇天・雨天時のデータとすることができる。この結果を定期的に人工衛星にアップリンクし、人工衛星側のデータベースを更新することで、人工衛星側の処理負担を増やさず、高精度な推定を実現することが可能となる。
次に、このようなリアルタイム情報を利用した通信装置10の動作を図9に示すフローチャートに基づき説明する。
制御部40は、運用が開始されると(このときの時刻T=T)、現在の時刻Tでの当該人工衛星2の位置情報(x、y、z)を決定し(ステップ901)、仰角θを算出する(ステップ902)。
制御部40は、取得部30からリアルタイム環境情報である観測センサ101の観測結果を取得する(ステップ903)。
制御部40は、観測センサ101で取得したデータを評価することで、現在時刻Tにおける天候よる減衰量を推定する(ステップ904)。
制御部40は、図3に示したテーブルから、仰角情報及び推定減衰量に基づき制御パラメータ(送信方式の制御パラメータ)を決定し(ステップ905)、その制御パラメータに応じた制御情報を送信部20に出力する(ステップ906)。送信部20は、この制御パラメータに応じた変調方式により送信データを送信する。
以下、制御部40は、運用終了時刻まで以上のステップ901〜907の処理を実行する(ステップ907,908)。
<変調方式の他の例>
上記の実施形態では、制御パラメータが可変可能な変調方式としてAPSK(Amplitude & Phase Shift Keying:振幅位相変調)を用いていたが、他の変調方式であってもよい。例えば、変調方式としてQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅位相変調)を用いてもよい。図10にその一例として16QAMの信号空間ダイヤグラムを示す。
この場合も上記の実施形態と同様に、制御部40の制御のもとで、天候などによる推定減衰量に応じて、16QAM,32QAM,64QAM,・・・のうち一つを変調方式として選択し、その制御パラメータで送信部20からデータを送信するように構成すればよい。
<小括>
本実施形態に係る通信装置10では、天候情報を取得し、それをもとに天候に応じた適切な運用を行うことで、フィードバック系を持たずに天候減衰を予測可能になるため、人工衛星2側で自律的に送信方式を設定することが可能となり、天候マージンの有効活用が実現できる。そして、VCM運用の際にその天候マージンを利用することで、変調方式の多値数を増加させることができ、またはより低い運用仰角から多値数の増加を進めることができるようになり、通信データ伝送容量の更なる増大化が達成される。
Ka帯では降雨減衰の影響が非常に大きい。特に低仰角時においては、晴天時と降雨時で回線マージンに大きな開きがある。なお、回線マージン仕様とは、システムが要求するC/No に対する当該回線で得られる受信 C/ Noの比である。
天候情報に応じたスケジューリングを行った場合、晴天時においては降雨減衰がなくなるため、雨天時よりも多くの回線マージンを確保できる。従って、より多値の変調方式を採用したスケジューリングを実行できる。
加えて、本実施形態に係る通信装置10では、振幅情報のみで可変パラメータが制御可能となり、非常にシンプルな変調処理が実施できるため、天候情報を計画・管理するためのメモリを十分に確保することが可能となる。
更に、変調方式のみを可変とし、その他の制御パラメータをすべて固定とすることで、システムリソースの増加を最小限に抑えた状態でVCMが実施できる。すなわち、変調方式を制御する変調処理回路に関しては、変調方式に応じたシンボルの振幅及び位相パラメータによって決定される信号の振幅(電圧)情報のみを制御することで変調方式が変更可能である。ゆえに変調方式のみを利用した場合、スペクトラム波形の周波数特性を変化させずに(データフレーム長も変更せずに)、つまりキャリアアンロックを起こさずに、伝送容量の増大を実現することができる。
天候マージンを活用する場合、従来のシステムと比べてより高い多値数の変調方式が採用されるようになる。しかし特許文献1に記載の技術のような符号化方式及び変調方式を変更パラメータとしたVCMの場合、誤り訂正符号化回路において変調処理が複雑化し、それに伴って回路規模も大幅に増加する、といった課題が生じる。符号化率/符号化方式を可変としたVCMを実施する場合、データ処理の関係から符号化率//符号化方式の数だけ誤り訂正符号化回路を並列に並べる必要があるため、回路規模の大幅増加が見込まれる。符号化情報記憶部をその都度書き換える手法をとれば回路を並列に並べなくて済むが、天候情報を活用する本発明ではリアルタイムなデータの符号化が必要とされるため、搭載リソースの制約から、現状の地球周回衛星では困難と考えられる。
これに対して、本発明の如く変調方式を可変する回路に関しては、信号の振幅情報のみを制御することで変調方式が変更可能であるため、多値数が増加した場合でも回路構成や処理内容をほとんど変更させることなく通信方式の切り替えが実施できる。ゆえに、変調方式のみを可変パラメータとし、符号化方式等他のパラメータは不変とすることで、より小さいシステムリソースで効率のよりデータ通信を実施することが可能となる。
<制御パラメータの他の例>
上記の実施形態では、送信方式の制御パラメータのうち変調方式を制御していたが、他の制御パラメータ、例えば符号化方式や符号化率、送信電力なども推定した天候による減衰量などに応じて制御してもよい。この場合に、変調方式に加えて他の制御パラメータを制御してもよいし、変調方式以外の制御パラメータを制御してもよい。
図11は複数の制御パラメータを制御する実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図11に示すように、通信装置10では、制御部40から送信部20に変調方式に加えて符号化方式、符号化率及び送信電力を制御するための制御情報を送る点が上記の実施形態とは異なる。
制御部40は、図12に示すように、仰角θごと(例えば5°ごと)に天候及び天候による推定減衰量と変調方式と符号化方式と符号化率と送信電力の関係を規定するテーブルを有する。ここで、符号化方式とは、低密度パリティ検査(Low-Density Parity Check : LDPC)符号 やリード・ソロモン符号(Reed-Solomon Coding:R-S)、ターボ符号等がある。
運用時に、制御部40は、既に説明した非リアルタイム情報又はリアルタイム情報を利用して、その運用時刻Tにおいて、制御パラメータ(変調方式と符号化方式と符号化率と送信電力)に応じた制御情報を送信部20に出力する。送信部20は、この制御情報に応じた変調方式、符号化方式、符号化率及び送信電力により送信データを送信する。
<他の通信システムへの適用例など>
上記の実施形態は、地球周回衛星に本発明に係る通信装置を適用した通信システムを例にとり説明したが、例えば静止衛星と航空機との間で通信を行う通信システムにも本発明を適用できる。図13にその例を示す。
図13に示すように、航空機204は雲よりも低く飛行する場合がある。この条件下では静止衛星201と航空機204との間の通信環境が天候によってリアルタイムに大きく変化する。そこで、この通信システム200では、静止衛星201に本発明に係る通信装置(図示を省略)を搭載する。これにより、静止衛星201から航空機204への通信容量を増大させることができる。図中、符号203は静止衛星201が搭載する本発明に係る通信装置のアンテナ、符号202は本発明に係る通信装置の観測センサを示している。また、符号205は航空機204が搭載する通信用のアンテナを示している。
航空機204のように移動経路が予め予測できる移動体と静止衛星201との間の通信では、静止衛星201が持つ観測センサ202によって航空機204が次に移動する場所(未来のサービス地域)の環境情報を直前に容易に取得できるため、リアルタイムに回線マージンを管理可能であり、伝送容量の最大化を図ることができる。
例えば、通信装置は、T秒の時に静止衛星201と航空機204との間の直線伝搬経路における環境情報(天候情報)を取得するのではなく、T秒の時にT+X秒後の航空機204の位置を予め予測して、静止衛星201と航空機204の予測位置との間の直線伝搬経路における環境情報(天候情報)を取得し、保持する。
通信装置は、T+X秒後に、予め取得した環境情報(天候情報)を使って、制御パラメータ(変調方式)を決定し、その制御パラメータに応じた変調方式などにより送信データを送信する。
なお、上記の例は静止衛星が本発明に係る通信装置を搭載していたが、上記のシステムにおいて航空機側が本発明に係る通信装置を搭載してもよい。
また、本発明に係る通信装置は、地上のP2P通信にも適用可能である。
例えば、船舶等で用いられる海上通信を考える。特に遠洋での海洋通信の場合、伝搬環境は見通し、かつ長距離通信となる。現状そのような環境では、回線設計は降雨時・高波時等のワースト条件にて実施されており、衛星通信と同様、晴天時や凪時は、大幅な回線マージンが生じている。
そこで、このような通信に本発明に係る通信装置を適用する。本発明に係る通信装置を適用によって、エリアごと環境ごとの降雨減衰量が推定可能となるため、降雨時のワースト条件にて回線設計をする必要がなくなり、回線マージンの有効活用が可能となる。
更に、本発明に係る通信装置の取得部によって得られた天候情報は、直接通信及び中継通信を用いることで、他の人工衛星の通信装置で使用することも可能である。直接通信及び中継通信は、大容量データ伝送回線とは異なる回線を用いて伝送してもよい。衛星コンステレーション等に適用すれば、全ての人工衛星の通信装置が天候情報を取得する機能を持つ必要がなくなり、例えばある1機の人工衛星の通信装置からの伝搬経路の情報を他の人工衛星の通信装置が利用することも可能となる。
<その他>
本発明は上記の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内で変形や応用して実施することが可能であり、その実施の範囲も本発明の技術的範囲に属する。
本発明に係る変調方式の可変や制御とは、変調方式を可変や制御することばかりでなく、変調方式自体を可変や制御したりすることなども含む。変調方式自体の可変や制御とは、例えばAPSK(Amplitude & Phase Shift Keying:振幅位相変調)とQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交位相振幅変調)とを切り替えるようなことをいう。
上記の実施形態で示した変調方式や符号化方式、符号化率、送信電力などは例示にすぎず、本発明では他の変調方式や符号化方式、符号化率、送信電力などを用いてもよい。
上記の本実施形態では、送信方式として変調方式や符号化方式、符号化率、送信電力を例示したが、データの送信能力を調整できる制御パラメータであれば本発明に係る送信方式に含まれる。
上記実施形態では、使用周波数帯域としてKa帯を例にして説明したが、Ka帯以外の他の周波数帯域にも本発明を適用できる。特に、Q/V帯等のKa帯よりも高い周波数では更に減衰量が増加するので、本発明をこのような帯域の通信に適用すれば本発明に係る効果は大きくなる。
本発明に係る制御部や取得部、送信部、その他の処理部は、専用のハードウェアであっても、メモリとメモリに格納されるプログラムを実行するCPUとを備える制御回路であってもよい。これらは、専用のハードウェアとして実現される場合、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プロセッサ化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。
1 :通信システム
2 :人工衛星
3 :受信局
10 :通信装置
20 :送信部
30 :取得部
40 :制御部
100 :通信システム
101 :観測センサ
200 :通信システム
201 :静止衛星
202 :観測センサ
204 :航空機

Claims (8)

  1. 送信方式の制御パラメータが可変可能で、無線通信により受信局にデータを送信する送信部と、
    天候情報を取得する取得部と、
    前記取得部により取得された天候情報から前記受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、前記推定した減衰量に応じて前記制御パラメータを制御する制御部と
    を具備する通信装置。
  2. 前記取得部は、予め、天候データを取得し、取得した天候データから所定の各エリアの高度ごとの天候情報を予測し、その予測した天候情報をデータベースとして保持する
    請求項1に記載の通信装置。
  3. 前記取得部は、前記受信局との間の電波の伝搬経路の天候状況を観測するセンサを有し、
    前記制御部は、予め保持する天候に関するデータを用いて前記センサでの観測結果を評価し、評価結果から前記受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定する
    請求項1に記載の通信装置。
  4. 前記送信部は、前記送信方式の制御パラメータのうち変調方式が可変可能であり、
    前記制御部は、前記推定した減衰量に応じて、前記変調方式を制御する
    請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の通信装置。
  5. 前記送信部は、更に、前記送信方式の制御パラメータのうち符号化方式、符号化率及び送信電力のうち少なくとも1つを可変可能に構成され、
    前記制御部は、前記変調方式に加えて、前記符号化方式、前記符号化率及び前記送信電力のうち少なくとも1つの制御パラメータを前記推定した減衰量に応じて制御する
    請求項4に記載の通信装置。
  6. 前記制御部は、前記受信局との間の仰角に応じて前記制御パラメータを制御する
    請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の通信装置。
  7. 天候情報を取得し、
    前記取得した天候情報から受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、
    前記推定した減衰量に応じて送信方式の制御パラメータを決定し、
    前記決定した送信方式の制御パラメータによって前記受信局にデータを送信する
    通信方法。
  8. 天候情報を取得し、
    前記取得した天候情報から受信局との間の電波の伝搬経路の天候による減衰量を推定し、
    前記推定した減衰量に応じて送信部の送信方式の制御パラメータを決定し、
    前記決定した送信方式の制御パラメータによって前記送信部から前記受信局にデータを送信させる
    ステップをコンピュータに実行させるプログラム。
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