JP2019004064A - マルチビーム型半導体レーザ素子およびマルチビーム型半導体レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、マルチビーム型半導体レーザ装置において、半導体チップの表面電極の上面に形成された導電層の幅(電極幅)よりも、サブマウント電極の表面に形成された半田の幅(半田幅)を広くする点が開示されている。このように、半田幅を電極幅よりも広くすることで、溶融接合時に余分な半田が発生しても、電極と接触しない半田領域全体に亘って余剰な半田を広げ、局所的なはみ出しを抑制し、半田玉を発生し難くしている。これにより、半田玉が隣接するエミッタの電極と接触しショートしてしまうことを抑制している。
そこで、本発明は、狭ピッチで、かつビームの独立駆動を安定して行うことができるマルチビーム型半導体レーザ素子およびマルチビーム型半導体レーザ装置を提供することを課題としている。
このように、導電層を第1導電層と第2導電層との少なくとも2段構造とした場合、第2導電層をリッジ部の上方からずらし、実装時にリッジ部に応力が及び難くすることができる。その結果、上記応力による偏光角回転や偏光角のビーム間相対差を小さくすることが可能となり、光学特性を安定させることができる。また、この場合、第2導電層がリッジ部の上方がずれた位置となるために、第2導電層が隣接するエミッタに近づくことになるが、第2導電層に凹状部が形成されているため、実装時における半田玉の形成を適切に抑制することができ、エミッタ間のショートを適切に抑制することができる。
この場合、実装時に凹状部に引きこまれた半田が凹状部の端面から押し出されることを防止することができる。これにより、凹状部の端面から押し出された半田がレーザ光の出射面を遮蔽してしまうといった事態を回避することができる。
さらに、上記のマルチビーム型半導体レーザ素子において、前記開口部は、前記光の出射方向に対して直交する方向に対向する2つの側面のうち、電気的に導通している前記リッジ部に近い側の側面に形成されていてもよい。この場合、凹状部に引きこまれた半田が開口部から押し出されてしまった場合であっても、当該半田は、電気的に導通している電極等に接触することになり、隣接するエミッタ間で電気的にショートすることはない。
さらに、上記のマルチビーム型半導体レーザ素子において、前記導電層のサブマウントに接合されるべき面における前記凹状部の周囲は、前記凹状部の内表面に対して半田の濡れ性の悪い材料により構成されていてもよい。この場合、凹状部に半田が引きこみ易くなり、より適切に半田玉の形成を抑制することができる。
さらに、上記のマルチビーム型半導体レーザ装置において、前記光の出射方向に対して直交する方向において、前記半田層の幅が前記導電層の幅以下であってもよい。これにより、更なる狭ピッチ化に対応することができる。
これにより、狭ピッチで、かつビームの独立駆動を安定して行うことができるマルチビーム型半導体レーザ素子を製造することができる。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下に説明する図面において、同一または機能的に同様の構成要素については同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。さらに、各図面は、以下の説明と併せて参照したときに分かりやすいように示したものであり、必ずしも一定の比率の縮尺で描かれていない。
半導体レーザ装置100は、サブマウント10と、マルチビーム型半導体レーザ素子(以下、「半導体チップ」という。)20と、を備える。
サブマウント10は、半導体チップ20を支持するための支持基板である。サブマウント10は、例えばAlN、SiC等のセラミックにより構成することができる。半導体チップ20は、ジャンクションダウン方式によりサブマウント10に実装される。
ヒートシンク部40は、高放熱金属材料(例えはCuなど)により構成されており、発光時に半導体チップ20が発する熱は、サブマウント10を介してヒートシンク部40に伝達され、放熱される。
図2は、半導体チップ20の具体的構成を示す要部断面図である。この図2に示すように、半導体チップ20は、半導体基板21と、半導体基板21の主面上に積層された複数の半導体層とを備える。ここで、半導体基板21は、例えばGaAs基板とすることができる。また、半導体層は、例えば有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法によって堆積されたn型クラッド層22、活性層23、p型第1クラッド層24、p型第2クラッド層25およびp型コンタクト層26を含む。ここで、n型クラッド層22が第1クラッド層に対応し、p型第1クラッド層24およびp型第2クラッド層25が第2クラッド層に対応している。
n型クラッド層22は、例えばAlGaInPにより構成されている。活性層23は、例えばAlGaInPからなる障壁層とGaInP層からなる井戸層とを交互に積層した多重量子井戸( Multi Quantum Well:MQW)構造により構成されている。p型第1クラッド層24およびp型第2クラッド層25は、それぞれ例えばAlGaInPにより構成され、p型コンタクト層26は、例えばGaAsにより構成されている。
リッジ部27は、前方端面から後方端面に亘り光の出射方向(共振器方向)に沿って延伸するとともに、p型第2クラッド層25上の平面内において、上記光の出射方向(共振器方向)に直交する方向に沿って順に並んで形成されている。
p型コンタクト層26は、リッジ部27を構成するp型第2クラッド層25のそれぞれの上部に形成されている。すなわち、リッジ部27は、p型第2クラッド層25とp型コンタクト層26との2層構造になっている。
半導体チップ20の表面電極29と、サブマウント10のサブマウント電極12とは、半田層13と第2導電層31とを溶融接合することによって電気的に接続される。
ただし、開口部32aは、図5に示すように、共振器方向に直交する方向に対向する2つの側面のうち、第2導電層31が電気的に導通しているリッジ部27に近い側の側面に形成されていることが好ましい。この場合、開口部32aから空気とともに半田が押し出された場合であっても、ショート不良の問題は発生しない。このように、開口部32aを、第2導電層31が電気的に導通しているリッジ部27に近い側の側面に形成する場合、共振器方向の両端が閉じていれば、例えば、上記側面の全面が開口していてもよい。
図6は、p型第2クラッド層25にくぼみ25aを形成して凹状部32を形成する場合の概念図である。この図6に示すように、くぼみ25aが形成されたp型第2クラッド層25上に第1導電層30を成膜することで、第1導電層30に、くぼみ25aを反映したくぼみ30aを形成する。そして、くぼみ30aが形成された第1導電層30上に第2導電層31を成膜することで、第2導電層31に、くぼみ30aを反映した凹状部32を形成するようにしてもよい。
このように、凹状部32の共振器方向に直交する断面形状は、図2に示すような半月状に限定されるものではなく、図6および図7に示すような矩形状または略矩形状であってもよい。なお、当該断面形状は上記に限定されるものではなく、任意の形状であってよい。
この場合、例えば図8(a)に示すように、まず、第2導電層31上に、第2導電層31を構成する材料(例えばAu)よりも濡れ性の悪い材料31a(例えば、Pt、Ti、Niなど)を成膜し、凹状部32の形成領域以外をレジストRで覆い、エッチングにより凹状部32を形成する。そして、レジストRを除去すれば、図8(b)に示すように、上記接合面における凹状部32の周囲に濡れ性の悪い材料31aが配置された構成とすることができる。
また、さらにフォトリソグラフィとエッチングとを行い、図8(c)に示すように、第2導電層31の底面部の濡れ性の悪い材料31aを除去してもよい。
はじめに、半導体チップ20の製造方法について説明する。半導体チップ20の製造に際しては、まずMOCVDやLPE(Liquid Phase Epitaxy)法などを用い、半導体基板21上にn型クラッド層22、活性層23、p型第1クラッド層24、p型第2クラッド層25およびp型コンタクト層26を順次積層成膜する。
次に、p型コンタクト層26上に酸化膜を成膜し、フォトリソグラフィとエッチングのプロセスを用いて酸化膜をパターン化し、そのパターンに沿ってp型第2クラッド層25およびp型コンタクト層26をエッチングする。これにより、複数(本実施形態では4個)のリッジ部27が形成される。
最後に、ウェハをチップ化することで本実施形態に係る半導体チップ20が完成する。
なお、裏面電極33の形成後、裏面電極33上にも導電層(厚膜電極)を形成してもよい。このように、裏面電極33上にも導電層を形成することで、デバイス面側が極端に多層かつ厚膜構造となることに起因するウェハやチップの反りを低減する効果が得られる。
まず、サブマウント10のサブマウント電極12上に、半田層13を所定の形状に形成する。このとき、半田層13の幅Lは、第2導電層31の幅Wと同等またはそれ以下とする。
サブマウント10に半導体チップ20を実装する際には、CCDカメラ等を用いてサブマウント10に形成された認識パターンと半導体チップ20に形成された認識パターンとを認識する。そして、認識した両者の認識パターンの位置合わせを行って、半導体チップ20をジャンクションダウン方式でサブマウント10に実装する。サブマウント10のサブマウント電極12は、半導体チップ20の第2導電層31に対向する位置にそれぞれ形成されており、これら第2導電層31がサブマウント電極12上に形成された半田層13に接合されることで、半導体チップ20の表面電極29とサブマウント電極12とが電気的に接続される。
つまり、図9に示すように、狭ピッチの半導体レーザ装置において、本実施形態のような凹状部32が形成されていない第2導電層131を用いた場合、余剰な半田が半田玉となって隣接するエミッタの電極等(図9では第1導電層30)と接触しショートしてしまう。
このように、狭ピッチ化とビームの安定した独立駆動とを実現することができる。本実施形態において、互いに隣接するリッジ部27間の距離であるビームピッチは、20μm〜50μmとすることができる。ここで、キャビティ長は300μm〜600μm、第2導電層の幅Wは7μm〜10μm、凹状部の幅は5μm程度である。
また、第1導電層30の厚さは2μm程度、第2導電層31の厚さは5μm程度、パッシベーション膜28の厚さは0.5μm程度、表面電極29の厚みは0.5μm程度、半田層13の厚みは3μm程度である。
また、この場合、第2導電層31がリッジ部27の上方からずれた位置となるために、第2導電層31が隣接するエミッタに近づくことになる。しかし、第2導電層31に凹状部32が形成されているため、実装時における半田玉の形成を適切に抑制することができ、エミッタ間のショートを適切に抑制することができる。つまり、導電層を2段構造とし、第2導電層31が隣接するエミッタに近いほど凹状部32の必要性は大きい。
なお、上記実施形態においては、導電層が第1導電層30と第2導電層31との2段構造である場合について説明したが、サブマウント10と接合されるべき面に、余剰な半田を収納可能な凹状部が形成されていればよく、導電層は1段構造であってもよい。
図10では、サブマウント10のサブマウント電極12における半田層13と接する面に、凹状部14が形成されている例を示している。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。つまり、接合時に発生し得る余剰な半田を収納可能な凹状部は、半導体チップ20の第2導電層31の半田層13と接する面、およびサブマウント10のサブマウント電極12の半田層13と接する面の少なくとも一方に形成されていればよい。
なお、サブマウント電極12に凹状部14を形成する場合、図11に示すように、くぼみ10aが形成されたサブマウント10上にサブマウント電極12を成膜することで、サブマウント電極12に、くぼみ10aを反映した凹状部14を形成するようにしてもよい。
Claims (10)
- 半導体基板上に形成された、第1クラッド層、活性層および第2クラッド層を含む半導体層を具備するマルチビーム型半導体レーザ素子であって、
前記第2クラッド層に形成された、前方端面から後方端面に亘り光の出射方向に沿って延伸するとともに、前記出射方向に直交する方向に沿って順に並んで形成される複数のリッジ部と、
前記複数のリッジ部上にそれぞれ形成された複数の導電層と、
前記導電層のサブマウントに接合されるべき面に、前記光の出射方向に沿って形成された凹状部と、を備えることを特徴とするマルチビーム型半導体レーザ素子。 - 前記導電層は、第1導電層と、該第1導電層上に形成された第2導電層とを含み、
前記凹状部は、前記第2導電層に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチビーム型半導体レーザ素子。 - 前記凹状部は、前記前方端面側および前記後方端面側の少なくとも一方に閉塞部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマルチビーム型半導体レーザ素子。
- 前記凹状部の側面に開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチビーム型半導体レーザ素子。
- 前記開口部は、前記光の出射方向に対して直交する方向に対向する2つの側面のうち、電気的に導通している前記リッジ部に近い側の側面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のマルチビーム型半導体レーザ素子。
- 前記半導体基板および前記半導体層の少なくとも一方に、前記凹状部に対応する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマルチビーム型半導体レーザ素子。
- 前記導電層のサブマウントに接合されるべき面における前記凹状部の周囲は、前記凹状部の内表面に対して半田の濡れ性の悪い材料により構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のマルチビーム型半導体レーザ素子。
- マルチビーム型半導体レーザ素子と、該マルチビーム型半導体レーザ素子が半田層を介して搭載されたサブマウントと、を備えるマルチビーム型半導体レーザ装置であって、
前記マルチビーム型半導体レーザ素子は、
半導体基板上に形成された、第1クラッド層、活性層および第2クラッド層を含む半導体層と、
前記第2クラッド層に形成された、前方端面から後方端面に亘り光の出射方向に沿って延伸するとともに、前記出射方向に直交する方向に沿って順に並んで形成される複数のリッジ部と、
前記複数のリッジ部上にそれぞれ形成された複数の導電層と、を備えており、
前記サブマウントは、
前記複数のリッジ部にそれぞれ対応して形成され、前記半田層を介して前記導電層と接合される複数の電極部を備え、
前記導電層の前記半田層と接する面および前記電極部の前記半田層と接する面の少なくとも一方に凹状部が形成されていることを特徴とするマルチビーム型半導体レーザ装置。 - 前記光の出射方向に対して直交する方向において、前記半田層の幅が前記導電層の幅以下であることを特徴とする請求項8に記載のマルチビーム型半導体レーザ装置。
- 半導体基板上に形成された、第1クラッド層、活性層および第2クラッド層を含む半導体層を具備するマルチビーム型半導体レーザ素子の製造方法であって、
前記第2クラッド層に、前方端面から後方端面に亘り光の出射方向に沿って延伸するとともに、前記出射方向に直交する方向に沿って順に並んだ複数のリッジ部を形成する工程と、
前記複数のリッジ部上にそれぞれ導電層を形成する工程と、
前記導電層のサブマウントに接合されるべき面に、前記光の出射方向に沿って凹状部を形成する工程と、を含むことを特徴とするマルチビーム型半導体レーザ素子の製造方法。
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