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JP2019094792A - 燃焼排ガスからの熱回収発電設備及びその制御方法 - Google Patents

燃焼排ガスからの熱回収発電設備及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】減圧ボイラが最大使用圧力を超えることなく安定した状態で連続運転できる熱回収発電設備を提供する。【解決手段】燃焼排ガスGで熱媒水Hを加熱して蒸気を発生させる減圧ボイラ4と、蒸発部26が減圧蒸気室22を設置し、蒸発部26内を流れる低沸点の冷媒Rを減圧蒸気室22内の蒸気で加熱蒸発した蒸気でタービン28を回して発電するバイナリー発電装置8と、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力をそれぞれ検出する温度検出器23又は圧力検出器24と、減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に設置され、冷却媒体Wが流れる受熱部34と、受熱部34へ冷却媒体Wを供給する冷却媒体供給管35と、圧力検出器24からの検出信号により制御される制御弁37と、を備え、圧力検出器24からの検出信号に基づいて制御弁37を開放して受熱部34へ冷却媒体Wを供給し、減圧ボイラ4内の圧力を低下させる。【選択図】図2

Description

本発明は、硫黄成分を含む下水汚泥や都市ごみ等の廃棄物を燃焼炉(例えば、焼却炉)で燃焼させ、発生した燃焼排ガスから減圧ボイラで熱回収し、この熱回収した熱をバイナリー発電装置で使用して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備及びその制御方法に関するものであり、特に、硫黄酸化物(SOx)等の腐食性ガスを含む燃焼排ガスから熱回収して発電するのに適している。
一般に、下水汚泥や都市ごみ等の廃棄物を燃焼処理する燃焼設備においては、焼却炉等の燃焼炉で廃棄物を燃焼し、発生した燃焼排ガスからボイラで熱回収し、ボイラから発生する蒸気を用いて蒸気タービン及び発電機で発電するようにしている。
しかし、前記燃焼設備においては、ボイラにより水を大気圧以上で蒸発させているため、ボイラ及び蒸気タービンを設置するには、設置者にボイラ・タービン主任技術者が必要となり、運転者に資格が必要になるうえ、設備も発電量からすると、大掛かりな設備となる。
また、前記燃焼設備においては、燃焼排ガスが硫黄酸化物(SOx)を含んでいるため、SOの結露(SOの濃度にもよるが、露点は130℃程度)による硫酸腐食対策が必要である。
一方、本件出願人は、ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になると共に、腐食性の燃焼排ガスから熱回収しても腐食を引き起こさないようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備を開発した(特許文献1参照)。
即ち、前記燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、図示していないが、燃焼炉内で発生した燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラと、低沸点の液状の冷媒を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置とを備えており、前記減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSOガスの露点以上となる水溶液(臭化リチウム水溶液)とし、また、前記バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、減圧蒸気室内の蒸気でバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させるようにしたものである。
前記燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、内部圧が大気圧以下に保持されて内部の熱媒水が大気圧以下で蒸発する減圧ボイラにより熱回収し、減圧ボイラの沸点がSOガスの露点以上となる熱媒水を用いて燃焼排ガスから熱回収するようにしているため、ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になると共に、減圧ボイラの熱吸収部での硫酸腐食を防止できる等の利点を有する。
尚、ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になる減圧ボイラとしては、上述した減圧ボイラの他に特開57−33701号公報(特許文献2参照)に記載された低圧ボイラが知られている。
前記低圧ボイラは、熱媒水に臭化リチウム水溶液を使用し、大気圧以下の運転圧力で沸点がSOの結露温度(130℃)以上となるようにしている。また、低圧ボイラ内に予熱器及びこれに接続された熱交換器を設け、予熱器内及び熱交換器内を流れる作動流体(冷媒)を予熱、沸騰させるランキンサイクルを採用している。
しかし、前記低圧ボイラは、上述した燃焼排ガスからの熱回収発電設備のように下水汚泥等の廃棄物の燃焼により発生した燃焼排ガスから熱回収発電するものではなく、バーナによる燃焼排ガスからの熱回収発電であり、燃焼排ガスの量や温度が変動した場合の減圧ボイラ内の圧力維持、温度維持については全く記載されていない。
また、低温の熱源から熱を回収して発電を行うバイナリー発電装置としては、特開2013-181398号公報(特許文献3参照)に記載されたバイナリー発電装置が知られている。
前記バイナリー発電装置は、温水を熱源とし、蒸発器から排出される温水の温度を所定の温度に調整した上で発電量を最大にするようにしたものである。
しかし、前記バイナリー発電装置は、このバイナリー発電装置を上述した燃焼排ガスからの熱回収発電設備に用いると、燃焼排ガスの量や温度が急激に変化した場合に、冷媒の循環量の制御だけでは減圧ボイラの圧力、温度を許容範囲内に収めることができない。
一方、上述した燃焼排ガスからの熱回収発電設備においては、燃焼炉に投入する廃棄物の量やカロリーの変化により燃焼排ガスの量や温度が変動した場合、第1の吸熱側である減圧ボイラの圧力と温度が変動し、この変動を第2の吸熱側であるバイナリー発電装置が吸収する方向に作動するようになっている。
しかしながら、前記燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、バイナリー発電装置の応答が敏速でないので、燃焼排ガスの変動が大きい場合やバイナリー発電装置の発電機が定格点(定格出力)に達した場合、対応できないと言う問題があった。
例えば、燃焼排ガスの量と温度が急激に増える方に変動した場合、減圧ボイラの内部圧力が上がり、熱媒水の温度と蒸発水の温度が上がる。このとき、バイナリー発電装置側で冷媒の循環量を上げて吸熱量を増やすようにしている。
ところが、バイナリー発電装置の応答が遅いので、減圧ボイラの内部圧力が上がり、最後は最大使用圧力(大気圧よりもやや小さい圧力)に設定された安全装置(安全弁等)が作動し、減圧ボイラの内部が大気と連通状態となり、大気が減圧ボイラ内に流入して減圧ボイラの内部圧力が大気と同じ圧力になる。
このように、安全装置が作動すると、一旦熱回収発電設備の運転を停止し、減圧ボイラの内部を真空ポンプにより所定の真空になるまで吸引しなくてはならず、再運転するまでに時間がかかり、運転効率や発電効率が著しく低下すると言う問題がある。
特許第6009009号公報 特開昭57−33701号公報 特開2013-181398号公報
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、減圧ボイラに流入する燃焼排ガスの量が増大したり、燃焼排ガスの温度が上昇したりした場合でも、減圧ボイラが最大使用圧力を超えることなく安定した状態で連続運転できるようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備及びその制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の発明は、廃棄物を燃焼処理する燃焼炉から排出されて煙道内を流れる腐食成分を含む燃焼排ガスから熱回収して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備であって、燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラと、蒸発部が減圧ボイラの減圧蒸気室に設置され、蒸発部内を流れる低沸点の液状の冷媒を減圧蒸気室内の蒸気により加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置と、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力をそれぞれ検出する温度検出器又は圧力検出器と、減圧ボイラの減圧蒸気室に設置され、冷却媒体が流れる受熱部と、受熱部へ冷却媒体を供給する冷却媒体供給管と、冷却媒体供給管に介設され、圧力検出器からの検出信号により制御される制御弁と、を備えており、前記温度検出器又は圧力検出器からの検出信号に基づいて減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイナリー発電装置の低沸点の冷媒を循環させる冷媒循環ポンプを制御して発電量を制御すると共に、前記減圧ボイラ内の圧力が設定値を超えたときに、圧力検出器からの検出信号に基づいて制御弁を開放して受熱部へ冷却媒体を供給し、減圧ボイラ内の圧力を低下させる構成としたことに特徴がある。
本発明の第2の発明は、前記第1の発明において、減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSOガスの露点以上となる水溶液とし、また、冷却媒体を、常温の水としたことに特徴がある。
本発明の第3の発明は、前記第1の発明又は第2の発明において、減圧ボイラの熱媒水中に過熱管を配設すると共に、当該過熱管と減圧蒸気室の蒸発部とを接続し、蒸発部で加熱された冷媒を過熱管に導き、ここで減圧ボイラの熱媒水により更に過熱するようにしたことに特徴がある。
本発明の第4の発明は、前記第1の発明、第2の発明又は第3の発明の何れかに記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備の制御方法であって、圧力検出器により減圧ボイラ内の圧力を検出し、減圧ボイラ内の圧力が設定値を超えたときに、制御弁を開放して受熱部へ冷却媒体を供給し、減圧ボイラ内の圧力を低下させるようにしたことに特徴がある。
本発明の第5の発明は、前記第4の発明において、減圧ボイラ内の圧力が設定圧力以下になれば、制御弁を徐々に閉めて行くようにしたことに特徴がある。
本発明によれば、減圧ボイラの蒸気減圧室内に冷却媒体が流れる受熱部を設置し、当該受熱部に冷却媒体供給管により冷却媒体を供給すると共に、前記冷却媒体供給管に減圧ボイラ内の圧力を検出する圧力検出器からの検出信号に基づいて制御される制御弁を介設し、減圧ボイラ内の圧力が設定値を超えたときに、圧力検出器からの検出信号に基づいて制御弁を開放して受熱部へ冷却媒体を供給し、減圧ボイラ内の圧力を低下させるようにしているため、減圧ボイラに流入する燃焼排ガスの量が大幅に増大したり、燃焼排ガスの温度が急激に上昇したりした場合でも、減圧ボイラが最大使用圧力を超えることなく安定した状態で連続運転することができる。
また、本発明によれば、バイナリー発電装置側にトラブル(例えば、冷媒循環ポンプの故障)が発生し、冷媒を循環させることができないような場合でも、受熱部に冷却媒体を供給し、受熱部の受熱容量をバイナリー発電装置側の受熱容量以上とすることで設備自体の運転を停止することなく、廃棄物の燃焼処理を行うことができる。
更に、本発明によれば、受熱部へ供給される冷却媒体を常温の水としているため、減圧ボイラの減圧蒸気室との温度差を大きく取れ、受熱部が燃焼排ガスと減圧ボイラや減圧ボイラと冷媒よりも早く受熱することができる。
更に、本発明によれば、減圧ボイラ内の圧力が設定圧力以下になれば、制御弁を徐々に閉めて行くようにしているため、バイナリー発電装置側の冷媒循環ポンプによる冷媒の循環量制御が追い付き、減圧ボイラの内部の圧力は常用圧力で運転されることになる。
本発明の一実施形態に係る燃焼排ガスからの熱回収発電設備を設置した燃焼設備の概略系統図である。 図1に示す燃焼排ガスからの熱回収発電設備の拡大概略系統図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る燃焼排ガスGからの熱回収発電設備を設置した燃焼設備を示し、当該燃焼設備は、燃焼炉1(焼却炉)からの燃焼排ガスGを燃焼用空気予熱器2、白煙防止空気予熱器3、減圧ボイラ4、集塵装置5、洗煙装置6の順に通し、煙道7内を流れる燃焼排ガスGから減圧ボイラ4により熱回収すると共に、回収した熱をバイナリー発電装置8に供給して発電に利用し、減圧ボイラ4を経た燃焼排ガスGを集塵装置5及び洗煙装置6により排ガス処理した後、誘引通風機9を介して煙突10から大気中へ放出するようにしたものである。
前記燃焼炉1は、下水汚泥や都市ごみ等の廃棄物を燃焼処理するものであり、この燃焼炉1には、ストーカ11上で廃棄物を乾燥、燃焼、後燃焼させる従来公知のストーカ式の焼却炉が使用されている。
尚、上記の実施形態においては、燃焼炉1にストーカ式の焼却炉を使用したが、他の実施形態においては、燃焼炉1に流動床式の焼却炉を使用するようにしても良い。
前記燃焼用空気予熱器2は、燃焼炉1の下流側の煙道7に設置されており、燃焼用空気ファン12から供給された燃焼用空気を燃焼排ガスGにより予熱し、予熱した燃焼用空気を燃焼用空気供給ダクト13により焼却炉1のストーカ11下へ供給するようになっている。
前記白煙防止空気予熱器3は、燃焼用空気予熱器2の下流側の煙道7に設置されており、白煙防止ファン14から供給された白煙防止用空気を燃焼排ガスGにより加熱し、加熱した白煙防止用空気を白煙防止用空気供給ダクト15により誘引通風機9の下流側の煙道7に流すようになっている。
前記集塵装置5は、燃焼用空気予熱器2、白煙防止空気予熱器3及び減圧ボイラ4を経て熱回収された燃焼排ガスG中の煤塵を除去するものであり、この集塵装置5には、従来公知のバグフィルターが使用されている。
尚、上記の実施形態においては、集塵装置5にバグフィルターを使用したが、他の実施形態においては、電気集塵機やセラミック集塵機等を使用するようにしても良い。
前記洗煙装置6は、装置内部に導入された燃焼排ガスGをノズル16から散水される水と接触させることにより燃焼排ガスG中の酸性ガスを除去するものであり、洗煙水を循環させる洗煙水循環ポンプ17と、汚れた洗煙水を排出する洗煙水排出ポンプ18と、新しい洗煙水を供給する洗煙水供給ポンプ19とを備えている。
そして、本発明に係る燃焼排ガスGからの熱回収発電設備は、図2に示す如く、燃焼排ガスGを流す煙道7(白煙防止空気予熱器3とバグフィルター5との間の煙道7)に設置され、燃焼排ガスGを通して燃焼排ガスGから熱回収すると共に、熱媒水Hを加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラ4と、蒸発部26が減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に設置され、蒸発部26内を流れる低沸点の液状の冷媒Rを減圧蒸気室22内の蒸気により加熱、蒸発させてその蒸気でタービン28を回して発電するバイナリー発電装置8と、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力をそれぞれ検出する温度検出器23又は圧力検出器24と、減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に設置され、冷却媒体Wが流れる受熱部34と、受熱部34へ冷却媒体Wを供給する冷却媒体供給管35と、冷却媒体供給管35に介設され、圧力検出器24からの検出信号により制御される制御弁37と、を備えており、前記温度検出器23又は圧力検出器24からの検出信号に基づいて減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイナリー発電装置8の低沸点の冷媒Rを循環させる冷媒循環ポンプ31を制御して発電量を制御すると共に、減圧ボイラ4内の圧力が設定値(最大使用圧力と常用使用圧力の中間値)を超えたときに、圧力検出器24からの検出信号に基づいて制御弁37を開放して受熱部34へ冷却媒体Wを供給し、減圧ボイラ4内の圧力を低下させるようにしたものである。
具体的には、前記減圧ボイラ4は、図2に示す如く、煙道7に接続され、内部圧が大気圧以下に保持されて熱媒水Hを貯留した缶体20と、缶体20の熱媒水Hを貯留した部分に貫通状に架設され、煙道7内の燃焼排ガスGが通過する複数の煙管21と、缶体20内の上部側空間に形成された減圧蒸気室22と、熱媒水Hの温度を検出する温度検出器23と、減圧蒸気室22の圧力を検出する圧力検出器24と、減圧蒸気室22の内部圧力が最大使用圧力(大気圧よりもやや小さい圧力)も高くなったときに減圧蒸気室22を大気に開放する安全装置25(例えば、安全弁)等を備えており、缶体20内の熱媒水Hを複数の煙管21内を通過する燃焼排ガスGとの間接熱交換により加熱して蒸発させ、発生した水蒸気を減圧蒸気室22に設置したバイナリー発電装置8の蒸発部26に接触させて凝縮液化させると共に、蒸発部26内を流れる冷媒Rを気化させるようにしている。
尚、缶体20は、上部缶体20aと下部缶体20bとを連結管20cを介して連通状に接続した構造であり、下部缶体20b内に熱媒水Hが貯留されていると共に、下部缶体20bに煙管21が架設され、また、上部缶体20a内の空間と下部缶体20b内の上部空間と連絡管20cの空間とが減圧蒸気室22となっている。
また、熱媒水Hには、大気圧以下で100℃以上の沸点を持つ水溶液が使用されている。この水溶液の沸点は、燃焼排ガスG中に含まれているSOが通過する煙管21内部で結露しない温度としている。この実施形態においては、SOの露点が130℃程度であるので、水溶液の沸点を130℃とし、55Wt%の臭化リチウム水溶液を熱媒水Hとして使用している。
前記バイナリー発電装置8は、図2に示す如く、蒸発部26、過熱管27、タービン28、発電機29、凝縮部30、冷媒循環ポンプ31、冷媒循環用配管32及び制御盤33等を備えており、前記蒸発部26、過熱管27、タービン28、凝縮部30及び冷媒循環ポンプ31を冷媒循環用配管32により閉ループ状に接続し、閉ループ内で低沸点の冷媒R(例えば、ペンタンやアンモニア等)を蒸発部26、過熱管27、タービン28、凝縮部30、冷媒循環ポンプ31の順に循環させて蒸発部26に戻すようにしている。
このバイナリー発電装置8は、その蒸発部26が減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に設置されており、減圧蒸気室22内の蒸気により蒸発部26内の低沸点の液状の冷媒Rを気化させ、この気化した冷媒Rを過熱管27に導いてここで130℃の熱媒水Hにより更に過熱し、この過熱された冷媒Rでタービン28を回して発電機29で発電するようになっている。タービン28を回した蒸気は、凝縮部30で冷却されて液状の冷媒Rとなって蒸発部26に戻る。蒸発部26に戻った液状の冷媒Rは、ここで減圧蒸気室22内の蒸気により再び加熱されて気化し、過熱管27に流入してここで熱媒水Hにより更に過熱された後、タービン28に供給されてタービン28を回す。
このように、前記バイナリー発電装置8では、タービン28を回す役目を果たす冷媒Rが蒸気と液化を繰り返しながら閉ループ内を循環するようになっている。尚、減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に設置される蒸発部26は、折り曲げ形成した蒸発管26aを減圧蒸気室22に配設することにより構成されている。
また、前記バイナリー発電装置8は、減圧ボイラ4に設けた温度検出器23又は圧力検出器24により減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力をそれぞれ検出し、これらの検出信号に基づいて減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるように制御盤33により低沸点の冷媒Rを循環させる冷媒循環ポンプ31を制御し、発電量を制御するように構成されている。
前記受熱部34は、折り曲げ形成した受熱管34aを減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に配設することにより形成されており、この受熱部34の入口側の受熱管34aには、受熱部34へ冷却媒体Wを供給する冷却媒体供給管35が接続され、受熱部34の出口側の受熱管34aには、受熱された冷却媒体Wを排出するための冷却媒体排出管36が接続されている。尚、冷却媒体Wには、常温の水が使用されている。ここで常温の水とは、加熱も冷却もしていない水を意味する。また、この水は、スケール障害や腐食障害を引き起こす成分が取り除かれている。
冷却媒体Wを供給する冷却媒体供給管35には、制御弁37が介設されている。この制御弁37は、減圧ボイラ4内の圧力が設定値(最大使用圧力と常用使用圧力の中間値)を超えたときに、圧力検出器24からの検出信号に基づいて制御盤33により開放制御されるようになっている。これにより、冷却媒体Wは、冷却媒体供給管35から受熱部34へ供給され、ここで減圧蒸気室22内の蒸気から受熱し、減圧ボイラ4内の圧力を安全装置25が作動しない圧力まで低下させる。尚、受熱部34を通過して加熱された冷却媒体W(加熱されて温水となった水)は、他のプロセス(例えば、温水プール等)において2次利用されている。
次に、上述した燃焼排ガスWから熱回収発電設備を設置した燃焼設備を用いて下水汚泥を燃焼処理する場合について説明する。
燃焼炉1内に供給された下水汚泥は、ストーカ11上で乾燥、燃焼、後燃焼されて炉外へ排出される。尚、下水汚泥の含水率は、70%とした。
燃焼により発生した燃焼排ガスGは、燃焼炉1から排出されて燃焼用空気予熱器2及び白煙防止空気予熱器3で熱回収されてその温度が約650℃になる。燃焼用空気予熱器2により予熱された燃焼用空気は、燃焼用空気供給ダクト13によりストーカ11下へ供給されて燃焼に使用され、白煙防止空気予熱器3により予熱された白煙防止用空気は、白煙防止用空気供給ダクト15により誘引通風機9の下流側の煙道7に供給される。
白煙防止空気予熱器3を通過した燃焼排ガスGは、煙道7を通って減圧ボイラ4に流入し、煙管23内を通過する間に熱吸収されて約180℃で集塵装置5に送られ、ここで燃焼排ガスG中に含まれる煤塵が除去される。
煤塵が除去された燃焼排ガスGは、煙道7を通って洗煙装置6に送られ、ここで水噴霧により燃焼排ガスG中に含まれる酸性ガスが除去された後、誘引通風機9を経て白煙防止用空気と混合されて煙突10から大気中へ放出される。
そして、熱回収発電設備の減圧ボイラ4においては、缶体20内が大気圧以下に保たれており、熱媒水Hが満たされている。この熱媒水Hは、大気圧以下で100℃以上の沸点を持っており、燃焼排ガスG中に含まれているSOが通過する減圧ボイラ4の煙管23内部で結露しない温度としている。この実施形態においては、SOの露点が130℃であるので、熱媒水Hの沸点を130℃としている。このときの減圧ボイラ4の煙管21の表面温度は、約140℃となり、腐食が防止される。
減圧ボイラ4の煙管21を介して燃焼排ガスGから受熱した熱媒水Hは、沸騰して90℃の蒸気を発生する。この発生した蒸気は、減圧ボイラ4の減圧蒸気室22に設置したバイナリー発電装置8の蒸発部26の蒸発管26aに接触して凝縮し、蒸発管28a内を流れる冷媒Rに熱を与える。尚、蒸発部26での熱交換により凝縮したドレン水は、下部缶体20aに貯留されている熱媒水H側へ流下する。
蒸発部26の蒸発管26a内を流れる冷媒Rは、受熱することにより液体から気体へと気化する。この気化した冷媒Rは、過熱管27に導かれ、ここで減圧ボイラ4の130℃の熱媒水Hから受熱して120℃に過熱されてバイナリー発電装置8のタービン28に送られ、タービン羽根を回転させて発電機29で発電させる。
タービン28から排出された気化した冷媒Rは、凝縮部30に送られてここで冷却水により冷却されて液状の冷媒Rとなり、冷媒循環ポンプ31により蒸発部26へ戻る。
以下、上述したサイクルを繰り返す。
次に、熱回収発電設備の減圧ボイラ4の制御について説明する。
下水汚泥の燃焼量や発熱量が低下したときには、減圧ボイラ4の入口温度と燃焼排ガスGの流量が低下するので、減圧ボイラ4での吸収熱量も低下する。そのとき減圧ボイラ4の内部圧力(減圧蒸気室22の圧力)も低下する。減圧ボイラ4の内部圧力が低下すると、熱媒水Hの飽和温度も低下するので減圧ボイラ4の煙管21内部の温度が低下する。そのため、煙管21内部の温度がSOの露点以下となる。その結果、減圧ボイラ4の煙管21がSOの結露による硫酸腐食を引き起こすことがある。
この現象(煙管21の硫酸腐食)を防止するため、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力を温度検出器23又は圧力検出器24によりそれぞれ検出し、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力が設定値以下になると、温度検出器23又は圧力検出器24からの検出信号がバイナリー発電装置8の制御盤33に送られて発電量を下げる。発電量を下げるには、制御盤33により冷媒循環ポンプ31の回転数を下げて冷媒Rの循環量を落とす。冷媒Rの循環量が下がると、蒸発部26での吸収熱量が下がっても、タービン28の入口冷媒条件は保たれる。
反対に、下水汚泥の燃焼量や発熱量が上昇したときには、減圧ボイラ4の入口温度と燃焼排ガスGの流量が上昇するので、減圧ボイラ4の吸収熱量も上昇する。そのとき減圧ボイラ4の内部圧力(減圧蒸気室22の圧力)も上昇する。
減圧ボイラ4の内部圧力が上昇して設定圧力以上になると、安全装置25(安全弁)が開く方向に作動して減圧ボイラ4内の圧力を逃がし、大気圧と減圧ボイラ4の内部圧力が同じになる。
しかし、この場合、減圧ボイラ4の再起動時に減圧ボイラ4の内部を減圧して大気圧以下にするために真空ポンプ(図示省略)が必要になる。
このような作業や手間をかけると、費用と時間がかかるので出来るだけ避けたい。この現象を防止するために、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力を温度検出器23又は圧力検出器24によりそれぞれ検出し、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室22の圧力が設定値以上になると、温度検出器23又は圧力検出器24からの検出信号がバイナリー発電装置8の制御盤33に送られて発電量を上げる。発電量を上げるには、制御盤33により冷媒循環ポンプ31の回転数を上げて冷媒Rの循環量を増やす。冷媒Rの循環量が増えると、蒸発部26での吸収熱量が上っても、タービン28の入口冷媒条件は保たれる。
このように、下水汚泥の燃焼量や発熱量が変化した場合、バイナリー発電装置8の冷媒Rの循環量による制御は、バイナリー発電装置8側の受熱速度が減圧ボイラ4側の受熱速度と同等か又はそれ以上の場合に成り立つものであり、減圧ボイラ4側の受熱速度が大きく、減圧ボイラ4内の熱媒水Hの保有量が少ない場合には、減圧ボイラ4の圧力が上昇することになる。また、燃焼排ガスGの量や温度の変動が大きい場合には、減圧ボイラ4内の圧力が最大使用圧力(大気圧よりやや小さい圧力)を超える場合がある。その結果、安全装置25が作動することになる。
そこで、燃焼排ガスGの量や温度の変動が大きい場合、即ち、燃焼排ガスGの量が増大したり、燃焼排ガスGの温度が上昇したりした場合、受熱部34及び制御弁37等を制御して減圧ボイラ4の安全制御を行う。
燃焼排ガスGの量や温度が変動して減圧ボイラ4内の圧力が設定値(最大使用圧力と常用使用圧力の中間値)を超えた場合、圧力検出器24からの検出信号が制御盤33に入力され、制御盤33により制御弁37が開放制御される。
これにより、冷却媒体Wが冷却媒体供給管35を通して受熱部34の受熱管34aへ供給され、ここで減圧蒸気室22内の蒸気から受熱し、減圧蒸気室22内の温度を下げると共に、減圧ボイラ4内の圧力を安全装置25が作動しない圧力まで低下させる。このとき、受熱部34の受熱管34aは、自然対流や強制対流による伝熱よりも熱伝達率が高い凝縮熱伝達を伴い、また、受熱管34aを流れている受熱体である冷却媒体Wに常温の水を使用しているため、減圧蒸気室22との温度差も大きく取れ、燃焼排ガスGと減圧ボイラ4(第1の受熱部)や減圧ボイラ4と冷媒R(第2の受熱部)よりも早く受熱することができる。
減圧蒸気室22に設置した受熱部34により受熱し、減圧ボイラ4内の圧力が設定圧力以下になれば、制御盤33により制御弁37を徐々に閉じて行く。このとき、制御弁37を徐々に閉じて行くので、バイナリー発電装置8側の冷媒循環ポンプ31による冷媒Rの循環量制御が追い付き、減圧ボイラ4の内部の圧力は常用圧力で運転されることになる。最終的には、制御弁37を完全に閉塞し、受熱部34への冷却媒体Wの供給を停止する。
このように、上述した熱回収発電設備によれば、減圧ボイラ4内の圧力が設定値(最大使用圧力と常用使用圧力の中間値)を超えたときに、圧力検出器24からの検出信号に基づいて制御弁37を開放して受熱部34へ冷却媒体Wを供給し、減圧ボイラ4内の圧力を低下させるようにしているため、減圧ボイラ4に流入する燃焼排ガスGの量が大幅に増大したり、燃焼排ガスGの温度が急激に上昇したりした場合でも、減圧ボイラ4が最大使用圧力を超えることなく安定した状態で連続運転することができる。
また、バイナリー発電装置8側にトラブル(例えば、冷媒循環ポンプ31の故障)が発生し、冷媒Rを循環させることができないような場合でも、受熱部34に冷却媒体Wを供給し、受熱部34の受熱容量をバイナリー発電装置8側の受熱容量以上とすることで設備自体の運転を停止することなく、廃棄物の燃焼処理を行うことができる。
1は焼却炉、2は燃焼用空気予熱器、3は白煙防止空気予熱器、4は減圧ボイラ、5は集塵装置、6は洗煙装置、7は煙道、8はバイナリー発電装置、9は誘引通風機、10は煙突、11はストーカ、12は燃焼用空気ファン、13は燃焼用空気供給ダクト、14は白煙防止ファン、15は白煙防止用空気供給ダクト、16はノズル、17は洗煙水循環ポンプ、18は洗煙水排出ポンプ、19は洗煙水供給ポンプ、20は缶体、20aは上部缶体、20bは下部缶体、20cは連絡管、21は煙管、22は減圧蒸気室、23は温度検出器、24は圧力検出器、25は安全装置、26は蒸発部、26aは蒸発管、27は過熱管、28はタービン、29は発電機、30は凝縮部、31は冷媒循環ポンプ、32は冷媒循環用配管、33は制御盤、34は受熱部、34aは受熱管、35は冷却媒体供給管、36は冷却媒体排出管、37は制御弁、Gは燃焼排ガス、Hは熱媒水、Rは冷媒、Wは冷却媒体。

Claims (5)

  1. 廃棄物を燃焼処理する燃焼炉から排出されて煙道内を流れる腐食成分を含む燃焼排ガスから熱回収して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備であって、燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラと、蒸発部が減圧ボイラの減圧蒸気室に設置され、蒸発部内を流れる低沸点の液状の冷媒を減圧蒸気室内の蒸気により加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置と、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力をそれぞれ検出する温度検出器又は圧力検出器と、減圧ボイラの減圧蒸気室に設置され、冷却媒体が流れる受熱部と、受熱部へ冷却媒体を供給する冷却媒体供給管と、冷却媒体供給管に介設され、圧力検出器からの検出信号により制御される制御弁と、を備えており、前記温度検出器又は圧力検出器からの検出信号に基づいて減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイナリー発電装置の低沸点の冷媒を循環させる冷媒循環ポンプを制御して発電量を制御すると共に、前記減圧ボイラ内の圧力が設定値を超えたときに、圧力検出器からの検出信号に基づいて制御弁を開放して受熱部へ冷却媒体を供給し、減圧ボイラ内の圧力を低下させる構成としたことを特徴とする燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  2. 減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSOガスの露点以上となる水溶液とし、また、冷却媒体を、常温の水としたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  3. 減圧ボイラの熱媒水中に過熱管を配設すると共に、当該過熱管と減圧蒸気室の蒸発部とを接続し、蒸発部で加熱された冷媒を過熱管に導き、ここで減圧ボイラの熱媒水により更に過熱するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3の何れかに記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備の制御方法であって、圧力検出器により減圧ボイラ内の圧力を検出し、減圧ボイラ内の圧力が設定値を超えたときに、制御弁を開放して受熱部へ冷却媒体を供給し、減圧ボイラ内の圧力を低下させるようにしたことを特徴とする燃焼排ガスからの熱回収発電設備の制御方法。
  5. 減圧ボイラ内の圧力が設定圧力以下になれば、制御弁を徐々に閉めて行くようにしたことを特徴とする請求項4に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備の制御方法。
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