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JP2014009877A - 排煙処理装置と方法 - Google Patents

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JP2014009877A JP2012146373A JP2012146373A JP2014009877A JP 2014009877 A JP2014009877 A JP 2014009877A JP 2012146373 A JP2012146373 A JP 2012146373A JP 2012146373 A JP2012146373 A JP 2012146373A JP 2014009877 A JP2014009877 A JP 2014009877A
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考司 村本
Atsushi Katagawa
篤 片川
Hiroshi Ishizaka
浩 石坂
Takayuki Saito
隆行 斎藤
Hiroyuki Nosaka
浩之 野坂
Takanori Nakamoto
隆則 中本
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Abstract

【課題】火力発電所のボイラ等から排出される燃焼排ガスを浄化する浄化システムにおける排出ガスの廃熱の有効利用を図り、かつ前記排ガスを効果的に利用する排煙脱硫装置と方法を提供すること。
【解決手段】排煙処理装置にはボイラ1からの排ガスの流路に脱硝装置2、空気予熱器3、ガス冷却器4、集塵装置5及び脱硫装置7を順次設け、ガス冷却器4には熱媒流量制御弁19付きの熱媒循環ライン29を設け、該ライン29で回収した排ガスの熱を利用するバイナリー発電設備17と制御弁19と冷却器4を迂回して、熱媒をバイナリー発電設備17との間で循環させる熱媒バイパスライン30を熱媒循環ライン29に接続し、冷却器4の出口の排ガス温度が所定値になるように冷却器4の出口の排ガス温度に応じて、冷却器4へ供給する熱媒循環ライン29内の熱媒の供給量とバイパスライン30内の熱媒の供給量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、火力発電所や工場等に設置されるボイラ等の燃焼設備から排出される排ガスを浄化するための排煙処置装置と方法に関し、ボイラ等の燃焼設備からの廃熱を有効利用するバイナリー発電設備を有し、廃熱利用による発電を行いつつ、安定した運用が可能な排煙処理装置と方法に関するものである。
ボイラ等から排出される排ガスの廃熱回収手段として、ボイラからの排ガス系統にガス冷却器を設け、かつ、バイナリー発電設備を有する系統を図5に示す。なお、各図において同一機器には同一番号を付すこととする。
図5において、火力発電所や工場等に設置されるボイラ1等から排出される排ガスは、脱硝装置2とボイラ空気予熱器3を経て集塵装置5に流入する。集塵装置5に流入した排ガス中からダストを除去した後、排ガスは排ガスファン6により昇圧され、吸収塔7に導入される。その後、排ガスは廃熱回収用熱交換器8を通り、最終的に煙突9より大気中に排出される。なお、廃熱回収用熱交換器8はバイナリー発電用タービン11と配管12により閉ループを構成するように接続している。
ここで、ボイラ1等から排出した排ガス中に含まれる煤塵は、集塵装置5において除去された後、吸収塔7に流入する。吸収塔7では、吸収液が吸収塔内を循環しており、排ガスとの気液接触により排ガス中の硫黄酸化物や塩化水素、フッ化水素等の酸性ガスが除去される。ここで、吸収塔7内では排ガスは吸収液との気液接触により飽和ガス温度まで低下しており、吸収塔7から排出した排ガスは、一般には50℃程度の温度を有する。
廃熱回収用熱交換器8には、例えば、間接式熱交換器が用いられ、廃熱回収用熱交換器8内を流れる熱交換媒体を吸収塔7の出口排ガスと間接接触させることにより蒸発させる。ここで蒸発した熱交換媒体は、バイナリー発電設備循環ライン12を経由して、例えばベイパー加熱器26において発電ボイラで得られる蒸気ライン13の抽気を用いてさらに昇温されて過熱蒸気となり、この過熱蒸気はバイナリー発電用タービン11に供給して発電機27で利用される。なお、バイナリー発電用タービン11を通過した熱交換媒体はコンデンサ14に送られ、該コンデンサ14において海水等の冷却水を水ライン15等により冷却、凝縮され、バイナリー発電設備循環配管12を経由してバイナリー発電熱媒循環ポンプ16により昇圧された後、再び廃熱回収用熱交換器8に流入する。
図6には、他の従来技術のボイラ1等からの排ガス処理システムの構成を示す。
図6において、ボイラ1等から排出した排ガスは、脱硝装置2に導入されて排ガス中の窒素酸化物が除去された後、ボイラ空気予熱器3においてボイラ1へ送られる燃焼用空気と熱交換される。次に、排ガスはガス冷却器4に導入されて冷却された後、電気集塵装置5に導入され、排ガス中の煤塵の大半が除去される。その後、排ガスは排ガスファン6により昇圧されて吸収塔7に導入され、気液接触により排ガス中の硫黄酸化物や塩化水素、フッ化水素等の酸性ガスが除去される。吸収塔7において飽和ガス温度まで冷却された排ガスは、その後、ガス冷却器4において回収した廃熱を用いてガス再加熱器10により昇温され、煙突9より大気中に排出される。
なお、ガス冷却器4とガス再加熱器10は配管により閉ループで接続されており、内部を媒体として温水が循環している。ガス冷却器4により昇温された媒体は、ガス再加熱器10に流入し、吸収塔7出口の低温ガスとの熱交換により温度が低下し、再度、ガス冷却器4に流入する。
上述の通り、ボイラ1等から排出される排ガスの廃熱を回収する手段として、例えば、図5に示す吸収塔7の出口排ガス煙道に廃熱回収用熱交換器8を設置し、かつ、ここで回収した熱をバイナリー発電設備17の熱源とするシステム自体は公知であり、例えば特開平6−26310号公報等で提案されている。
また、図6に示すガス冷却器4により回収した熱を、吸収塔7出口に設置されたガス再加熱器10により排ガスの再加熱に再利用する技術は公知であり、既に実用化されている。
また、過熱蒸気の潜熱で間接加熱される低品位炭乾燥装置から発生する蒸気で間接加熱される熱媒を発電システムから排出する排ガスの予熱に用いて、予熱された熱媒をバイナリーサイクルの発電に有効利用し、発電効率を従来以上に向上させる技術が特開2011−214559号公報に記載されている。
さらに特開平5−18212号公報には、熱水ポンプから送り出される熱水を熱水系統を通って複数の予熱器の一次側に流し、複数の予熱器の二次側に流れる媒体を熱水で間接加熱して媒体タービンで利用し、その後、前記予熱器の二次側に流れる媒体を冷却水が流れる凝縮器で凝縮して媒体ポンプへ循環させる構成が開示されており、媒体タービンの入口に設けられた温度検出器の検出値が規定値になるように、前記予熱器の一次側を流れる熱源を調節弁により流量が調節されることが記載されている。
特開平6−26310号公報 特開2011−214559号公報 特開平5−18212号公報
上記図5に示す従来技術においては、廃熱回収用熱交換器8の入口排気ガスは、比較的低温であるため、熱交換媒体のさらなる昇温のために、発電ボイラからの抽気13を用いる必要があり、プラント効率が悪くなる等の問題があった。また、ボイラ1などから排出される排煙処理装置自体の性能向上につながるまでに至っていない。
また、図6に示すガス冷却器4にて回収した熱を吸収塔7の出口に設置したガス再熱器10で排ガスの再加熱に利用する技術は既に実用化されているが、吸収塔7の出口ガスは腐食性ガスであり、ガス再加熱器10に使用する材料は、耐腐食性を考慮した高価な材質の選定が必要となり、設備コストが増加する等の問題がある。
さらに、上記特許文献2には低品位炭の乾燥システムで発生する蒸気により予熱された熱媒をバイナリーサイクルの発電に有効利用し、発電効率を従来以上に向上させる技術が開示されているが、この技術は排煙浄化処理システムに用いられるものではない。また上記技術文献3には熱媒タービンに供給される熱媒の温度に応じて熱媒の予熱器への流量を調節することが開示されているが、この技術も排煙浄化処理システムに用いられるものではない。
本発明の課題は、火力発電所のボイラ等から排出される燃焼排ガスを浄化する浄化システムにおける排出ガスの廃熱の有効利用を図り、かつ前記排ガスを効果的に利用する排煙処理装置と方法を提供することである。
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、燃焼装置(1)から排出される排ガスを流す排ガス流路の上流側から下流側に向けて脱硝装置(2)、燃焼装置用空気予熱器(3)、ガス冷却器(4)、集塵装置(5)及び脱硫装置(7)を順次設けた排煙処理装置において、
前記ガス冷却器(4)には前記燃焼装置(1)から排出される排ガスの熱を回収する熱媒循環ライン(29)を配置し、該熱媒循環ライン(29)で回収した前記排ガスの熱を利用するバイナリー発電設備(17)を熱媒循環ライン(29)に接続し、前記熱媒循環ライン(29)のバイナリー発電設備(17)の入口部と出口部に熱媒温度を測定する温度測定手段(24a,24b)をそれぞれ設け、前記ガス冷却器(4)の出口の排ガス流路にはガス冷却器(4)出口の排ガス温度を測定する温度測定手段(21)を設け、前記熱媒循環ライン(29)のガス冷却器(4)入口部には熱媒流量制御弁(19)を設け、また該熱媒流量制御弁(19)とガス冷却器(4)を迂回して熱媒をバイナリー発電設備(17)との間で循環させるガス冷却器熱媒バイパスライン(30)を熱媒循環ライン(29)に接続したことを特徴とする排煙処理装置である。
請求項2記載の発明は、ガス冷却器熱媒バイパスライン(30)とガス冷却器(4)を迂回してバイナリー発電設備(17)に熱媒を循環するバイナリー発電設備熱媒循環ライン(23)を熱媒循環ライン(29)に接続し、該バイナリー発電設備熱媒循環ライン(23)と接続される熱媒循環ライン(29)の接続箇所よりバイナリー発電設備入口側の熱媒循環ライン(29)に熱媒流量制御弁(22)を設けたことを特徴とする請求項1記載の排煙処理装置である。
請求項3記載の発明は、熱媒循環ライン(29)に冷却水供給ライン(15)と蒸気供給ライン(13)を有する熱媒温度調整用の熱交換器(25)を配置したことを特徴とする請求項2記載の排煙処理装置である。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の排煙処理装置におけるガス冷却器(4)出口の排ガス温度が所定値になるように、ガス冷却器(4)出口の排ガス温度に応じて、ガス冷却器(4)へ供給する熱媒循環ライン(29)内の熱媒の供給量とガス冷却器熱媒バイパスライン(30)内の熱媒の供給量を制御することを特徴とした排煙処理方法である。
請求項5記載の発明は、請求項2記載の排煙処理装置におけるガス冷却器(4)出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備(17)の入口部又は出口部の熱媒温度が所定値になるように、ガス冷却器(4)出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備(17)の入口部又は出口部の熱媒温度に応じて、ガス冷却器(4)へ供給する熱媒循環ライン(29)内の熱媒の供給量及び/又はバイナリー発電設備(17)へ供給するバイナリー発電設備熱媒循環ライン(23)内の熱媒量を制御することを特徴とした排煙処理方法である。
請求項6記載の発明は、請求項3記載の排煙処理装置におけるガス冷却器(4)出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備(17)の入口部又は出口部の熱媒温度が所定値になるように、ガス冷却器(4)出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備(17)の入口部又は出口部の熱媒温度に応じて、ガス冷却器(4)へ供給する熱媒循環ライン(29)内の熱媒の供給量及び/又はバイナリー発電設備(17)への熱媒の供給量を制御するか、又は熱媒温度調整用の熱交換器(25)へ供給する水量又は蒸気量を調整することを特徴とした排煙処理方法である。
(作用)
一般に、電気集塵装置における集塵性能は、ダスト粒径、ダスト組成、ダストの電気抵抗値、電気集塵装置での荷電量等の複数の因子により決定されるが、ダスト粒径、ダスト組成は、使用する石炭等の燃料固有の特性に依存する。一方、ダストの電気抵抗値は、運転温度等によっても異なり、電気集塵装置の一般的な運転温度域においては、電気抵抗値の低下により電気集塵装置の集塵性能は向上する。
図3に、電気集塵装置におけるガス温度と排ガス中に含まれる煤塵の電気抵抗値の相関関係の一例(石炭種により数値は異なる)を示すが、石炭焚きボイラにおける電気集塵装置の一般的な運転温度域においては、ガス温度の低下により、煤塵の電気抵抗値が低下し、これにより電気集塵装置における集塵性能はガス温度が高い場合に比較して向上する。
但し、電気集塵装置入口のガス温度が低下すると、電気集塵装置内部へのダストの固着、詰まり及び回収した灰の搬送が困難になるといった問題があり、一般に、電気集塵装置入口のガス温度は80℃〜85℃以上で運用を行う必要がある。
図4には、バイナリー発電設備において外部熱源となる熱媒温度と発電量の相関関係の一例(石炭種により数値は異なる)を示す。バイナリー発電設備に供給される外部熱源温度が高い程、発電量も大きくなり、より効果的な廃熱利用が可能となる。
なお、バイナリー発電設備内を循環する熱交換媒体の特性にもよるが、外部熱源である熱媒は、例えば80℃〜120℃の温度で供給することが望ましく、熱媒温度が80℃程度以下となると、バイナリー発電設備内を循環する熱交換媒体の蒸発効率が悪く、設備の運用を停止する必要がある。逆に、外部熱媒温度が120℃程度以上となると、バイナリー発電設備内を循環する熱交換媒体が分解する等の問題が生じ、バイナリー発電設備の運用を停止する必要がある。
ボイラ等から排出される排ガスの廃熱回収を行う手段として、ガス冷却器を電気集塵装置上流側(前側)に設置し、かつ、バイナリー発電設備とを循環する熱媒循環ラインを設けたシステム構成において、本発明で採用するガス冷却器出口ガス温度(電気集塵装置入口ガス温度)と熱媒循環系内の熱媒温度に応じてガス冷却器及びバイナリー発電設備へ供給する熱媒量を制御可能な構成とすることにより、排煙処理装置自体の性能向上と廃熱有効利用による高性能で省エネ型のシステムの安定した運用が可能となる。
請求項1,4記載の発明によれば、排煙処理装置におけるガス冷却器4出口の排ガス温度が所定値になるように、ガス冷却器4出口の排ガス温度に応じて、ガス冷却器4へ供給する熱媒循環ライン29内の熱媒の供給量とガス冷却器熱媒バイパスライン30内の熱媒の供給量を制御することができるため、ボイラ1などの燃焼装置から排出される排ガスの環境規制、環境装置性能を十分満足しつつ、かつ、廃熱の有効利用による発電も行うことができるので、高排煙処理性能と省エネ型システムの安定した運用が可能となる。
請求項2,5記載の発明によれば、ガス冷却器4出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備17の入口部又は出口部の熱媒温度が所定値になるように、ガス冷却器4出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備17の入口部又は出口部の熱媒温度に応じて、ガス冷却器4へ供給する熱媒循環ライン29内の熱媒の供給量及び/又はバイナリー発電設備17へ供給するバイナリー発電設備熱媒循環ライン23内の熱媒量を制御することができるので、前記請求項1,4記載の発明の効果に加えてより精度よく高排煙処理性能と省エネ型システムの安定した運用が可能となる。
より、具体的にはボイラ1等の燃焼装置の起動時における熱媒循環ライン29内の熱媒温度が十分高くない場合、又はバイナリー発電設備17が不具合の場合には、熱媒流量制御弁22を閉じて熱媒をバイナリー発電設備17内に熱媒を流さないようにし、さらにバイナリー発電設備17出口の熱媒温度が低すぎる時には、熱媒流量制御弁22の開度調整によりバイナリー発電設備17への熱媒の流入量を調整することができる。
請求項3,6記載の発明によれば、ガス冷却器4出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備17の入口部又は出口部の熱媒温度が所定値になるように、ガス冷却器4出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備17の入口部又は出口部の熱媒温度に応じて、ガス冷却器4へ供給する熱媒循環ライン29内の熱媒の供給量及び/又はバイナリー発電設備17への熱媒の供給量を制御するか、又は熱媒温度調整用の熱交換器25へ供給する水量又は蒸気量を調整するので、請求項2,5記載の発明の効果に加えてより精度よく高排煙処理性能と省エネ型システムの安定した運用が可能となる。
本発明の一実施例になるガス冷却器とバイナリー発電設備を循環する熱媒循環ラインを設けた排煙処理装置を示す構成図である。 本発明の一実施例になるガス冷却器とバイナリー発電設備を循環する熱媒循環ラインを設けた排煙処理装置を示す構成図である。 本発明の一実施例になる電気集塵装置におけるガス温度と排ガス中煤塵の電気抵抗値の相関の一例を示す図である。 本発明の一実施例になるバイナリー発電設備において外部熱源となる熱媒温度と発電量の相関の一例を示す図である。 従来技術における、ボイラ等から排出される排ガスの廃熱回収を行う手段としてボイラからの排ガス系統に廃熱回収用熱交換器とバイナリー発電設備を設けた構成図である。 従来技術における、ボイラ等から排出される排ガスの廃熱回収を行う手段としてボイラからの排ガス系統にガス冷却器を設け、かつ、回収した熱を吸収塔出口のガスの再加熱に使用する一例を示す図である。
本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1はボイラ等の燃焼装置から排出される排ガスの廃熱回収を行う手段としてボイラ1からの排ガス流路にガス冷却器4を設け、かつバイナリー発電設備17を有し、該ガス冷却器4とバイナリー発電設備17を循環する熱媒循環ライン29を設けたシステム構成において、ガス冷却器4の出口ガス温度と熱媒循環ライン29内の熱媒温度に応じて循環する熱媒量の制御が可能である設備構成及びその流量制御(運用)に関する実施例を示すものである。
火力発電所や工場等に設置されるボイラ1から排出される排ガスは、脱硝装置2、ボイラ空気予熱器3を経てガス冷却器4に導入される。ガス冷却器4においてガス温度が低下した排ガスは電気集塵装置5に導入され、排ガス中のダストが除去される。その後、排ガスは排ガスファン6により昇圧され、吸収塔7を経て最終的に煙突9より排出される。
また、ガス冷却器4とバイナリー発電設備17は、熱媒が循環する熱媒循環ライン29により閉ループを形成して接続されており、熱媒循環ライン29にはガス冷却器熱媒循環ポンプ18を設けている。また、熱媒循環ライン29の前記ガス冷却器4の入口側に熱媒流量制御弁19を設け、さらに熱媒循環ライン29には熱媒流量制御弁19とガス冷却器4を迂回するガス冷却器熱媒バイパスライン30を設け、該ガス冷却器熱媒バイパスライン熱媒流量制御弁20を配置している。
前記熱媒流量制御弁19とガス冷却器熱媒バイパスライン熱媒流量制御弁20により、熱媒循環ライン29からガス冷却器4への熱媒供給量を制御できる系統構成としている。また、バイナリー発電設備17の入口側と出口側の熱媒循環ライン29には熱媒循環温度計24a,24bをそれぞれ設ける。
図5に示す従来技術においては、廃熱回収用熱交換器8の入口排ガス温度は比較的低温であるため、熱交換媒体の更なる昇温のために発電ボイラ1からの抽気13を用いる必要があり、プラント効率が悪くなる等の問題があった。また、ボイラ1等から排出される排煙処理装置自体の性能向上につながるまでには至っていない。
火力発電所や工場等に設置されるボイラ1等から排出される排ガス温度は、使用する燃料によっても異なるが、石炭焚きボイラの場合には電気集塵装置5の入口において、通常は120℃〜160℃と比較的高温である。電気集塵装置5での集塵性能は、図3に運転温度と煤塵の電気抵抗値の相関を示す通り、ガス温度が低くなることにより、煤塵の電気抵抗値が低減し、電機集塵装置5での集塵性能は向上する。
また、図1に例示されるバイナリー発電設備17においては、バイナリー発電設備17内を循環する熱交換媒体の特性にもよるが、外部熱源である熱媒は、例えば80℃〜120℃の温度で供給することが望ましく、電気集塵装置5の入口にガス冷却器4を設置し、ここで回収した熱をバイナリー発電設備17の熱源として利用することは効果的である。
図1において、火力発電所や工場等に設置されるボイラ1等から排出される排ガスは脱硝装置2とボイラ空気予熱器3を経てガス冷却器4に導入される。該ガス冷却器4は、例えば多管式の熱交換器で構成されており、管外面を排ガスが、管内面を熱媒(内部熱媒)が流れる構造としており、ボイラ1等からの排ガスは管内面を流れる熱媒との熱交換によりガス温度が低下し、電気集塵装置5に導入され、排ガス中のダストが除去される。
ガス冷却器4とバイナリー発電設備17は熱媒循環ライン29によって接続されており、熱媒循環ライン29にはガス冷却器熱媒循環ポンプ18を設け、閉ループで熱媒を循環させることで工業用水等の熱媒の連続的な使用は不要であり、かつ、熱媒として工業用水を使用することで、ガス冷却器4の熱交換器及び熱媒循環ライン29は安価な炭素鋼材料を使うことができる。
ガス冷却器4においてボイラ1等の排ガスの廃熱を回収するが、電気集塵装置5の入口ガス温度が一定値以下に低下した場合には、電気集塵装置5内へのダストの固着及び電気集塵装置5で捕集されたダストの搬送が困難になる等の問題が挙げられる。
ボイラ1等の発電設備の運用状態によっては、ボイラ1等から排出される排ガス量、排ガス温度は変動するため、ガス冷却器4への熱媒量を制御しない場合、ガス冷却器4の出口の排ガス温度は排ガス量に応じて成り行きの温度となる。ガス冷却器4へ供給する熱媒循環量を制御することによって、ガス冷却器4の出口の排ガス温度(温度計21で計測)を所定値に保つことができ、排煙処理装置の安定運用が可能となる。すなわち、ガス冷却器4の出口の排ガス温度が所定値以下になると、電気集塵装置5内での灰の固着、灰の湿潤化による灰の搬送(払い出し)ができなくなり、排煙処理装置の運転が困難になるので、このようなことのないように、ガス冷却器4の出口の排ガス温度を所定値に保つことが必要となる。
また、これらの設備に加えて熱媒循環ライン29に設けたガス冷却器熱媒循環ポンプ18を流量可変式とすることや、該ポンプ18を複数台設置し、熱媒循環ライン29の系内全体を流れる熱媒量をガス冷却器4の出口ガス温度に応じて制御する運用も有効な手段となる。
ガス冷却器4でボイラ1等の廃熱との間接接触により昇温された熱媒は、バイナリー発電設備17へ供給され、バイナリー発電設備17の熱源として利用され、その後、温度が低下した熱媒は、ガス冷却器熱媒循環ポンプ18によって、ガス冷却器4へ供給される。
図2に本発明のその他の実施例を示す。図2に示す設備、部材で図1に示す設備、部材と同一機能を有するものは同一番号を付して、その説明を省略する。
ボイラ1等のプラント発電設備の運用状態によっては、ボイラ1等から排出される排ガス量、排ガス温度は変動するため、ガス冷却器4でボイラ1等の廃熱との間接接触により昇温された熱媒温度も、ボイラ1等のプラント発電設備の運用状態によっても異なっている。
上述した通り、バイナリー発電設備17内を循環する熱交換媒体の特性にもよるが、外部熱源である熱媒温度としては、例えば80℃〜120℃の温度で供給することが望ましく、熱媒温度が80℃程度以下となると、バイナリー発電設備17内を循環する熱交換媒体の蒸発性能が悪く、設備の運用を停止する必要がある。逆に、外部熱媒温度が120℃程度以上になると、熱交換媒体が分解する等の問題が生じ、設備の運用を停止する必要がある。
図2においては、ガス冷却器4とバイナリー発電設備17とを循環する熱媒循環ライン29を設けたシステム構成において、バイナリー発電設備17の入口側の熱媒循環ライン29とバイナリー発電設備17の出口側の熱媒循環ライン29の間に、ガス冷却器4を迂回するバイナリー発電設備熱媒バイパスライン23を設ける。なお、バイナリー発電設備熱媒バイパスライン23は、ガス冷却器熱媒バイパスライン30と並列位置に配置されるが、ガス冷却器熱媒バイパスライン30よりバイナリー発電設備17により近い位置でバイナリー発電設備17の入口側と出口側の各熱媒循環ライン29とそれぞれ接続している。
また、バイナリー発電設備熱媒循環ライン23と熱媒循環ライン29の接続箇所よりバイナリー発電設備17入口に近い側の熱媒循環ライン29に熱媒流量制御弁22を設け、さらにバイナリー発電設備熱媒バイパスライン23には熱媒流量制御弁32を設けてバイナリー発電設備17への熱媒供給量を制御できる系統構成としている。
前記熱媒流量制御弁22とバイナリー発電設備熱媒バイパスライン23を設けることにより次のような機能が達成される。すなわち
(1)ボイラ起動時には、ボイラ1の出口排ガス温度が低く、ボイラ廃熱の回収ができないので、ガス冷却器4内の熱媒温度が低く、バイナリー発電設備17に熱媒を供給する意味が無く、このような場合には熱媒流量制御弁22を閉じてバイナリー発電設備熱媒バイパスライン23を利用してバイナリー発電設備17を迂回させて熱媒を循環させる。
(2)バイナリー発電設備17で不具合が発生した場合にも熱媒流量制御弁22を閉じて、排煙処理装置の運転を継続することができる。
(3)バイナリー発電設備17出口の熱媒温度(熱媒温度計24bにより計測)の温度が低くなりすぎた場合には、バイナリー発電設備17への熱媒量(バイパス量)を熱媒流量制御弁22の開閉制御により、容易に調整することができる。
また、熱媒循環ライン29には熱媒温度制御用熱交換器25を設けており、該熱媒温度制御用熱交換器25には熱媒温度昇温用として蒸気ライン13と熱媒温度冷却用として水ライン15が接続している。
なお、熱媒温度制御用熱交換器25に接続する水ライン15に代えて、バイナリー発電設備17の入口側の熱媒循環ライン29に直接水を供給するライン(図示せず)を接続し、バイナリー発電設備17の出口側の熱媒循環ライン29から水を排出するライン(図示せず)を接続してもよい。
ここで、バイナリー発電設備17の入口熱媒温度が、例えば80℃程度以下となった場合には、熱媒温度制御用熱交換器25に蒸気ライン13から蒸気を供給し、バイナリー発電設備17の運用に適した温度まで熱媒を昇温させることで運用が可能となる。なお、外部からの蒸気供給が困難な場合あるいは蒸気供給量を低減させる目的として、バイナリー発電設備17への熱媒供給を止めることも一つの手段であるが、こうした場合には、ガス冷却器4で昇温した熱媒温度を低下させる手段がなくなり、ガス冷却器4でのガス温度の低下が不可能となり、電気集塵装置5の入口ガス温度が増加する。上述した通り、電気集塵装置5の集塵性能はガス温度に依存するため、要求の除塵性能が満足できなくなるといった問題が挙げられる。
図2に示す設備構成では、熱媒循環ライン29には熱媒温度制御用熱交換器25を設けており、該熱媒温度制御用熱交換器25に水ライン15から水を供給することで、ガス冷却器4へ供給する熱媒温度を所定値以下に低減することが可能となり、バイナリー発電設備17の運転有無に関わらず、ボイラ1等から排出される排ガスの環境規制値を満足した、安定した運用が可能となる。
1 ボイラ 2 脱硝装置
3 ボイラ空気予熱器 4 ガス冷却器
5 電気集塵装置 6 排ガスファン
7 吸収塔 8 廃熱回収用熱交換器
9 煙突 10 ガス再加熱器
11 バイナリー発電用タービン 12 配管
13 蒸気ライン 14 コンデンサ
15 水ライン
16 バイナリー発電熱媒循環ポンプ
17 バイナリー発電設備 18 熱媒循環ポンプ
19,22 熱媒循環ライン熱媒流量制御弁
20 ガス冷却器熱媒バイパスライン熱媒流量制御弁
21 排ガス温度計
23 バイナリー発電設備熱媒バイパスライン
24a,24b 熱媒循環温度計 25 熱媒温度制御用熱交換器
26 ベイパー加熱器 27 発電機
29 熱媒循環ライン 30 ガス冷却器熱媒バイパスライン
32 バイナリー発電設備熱媒バイパスライン熱媒流量制御弁

Claims (6)

  1. 燃焼装置から排出される排ガスを流す排ガス流路の上流側から下流側に向けて脱硝装置、燃焼装置用空気予熱器、ガス冷却器、集塵装置及び脱硫装置を順次設けた排煙処理装置において、
    前記ガス冷却器には前記燃焼装置から排出される排ガスの熱を回収する熱媒循環ラインを配置し、該熱媒循環ラインで回収した前記排ガスの熱を利用するバイナリー発電設備を熱媒循環ラインに接続し、
    前記熱媒循環ラインのバイナリー発電設備の入口部と出口部に熱媒温度を測定する温度測定手段をそれぞれ設け、
    前記ガス冷却器の出口の排ガス流路にはガス冷却器出口の排ガス温度を測定する温度測定手段を設け、
    前記熱媒循環ラインのガス冷却器入口部には熱媒流量制御弁を設け、また該熱媒流量制御弁とガス冷却器を迂回して熱媒をバイナリー発電設備との間で循環させるガス冷却器熱媒バイパスラインを熱媒循環ラインに接続したことを特徴とする排煙処理装置。
  2. ガス冷却器熱媒バイパスラインとガス冷却器を迂回してバイナリー発電設備に熱媒を循環するバイナリー発電設備熱媒循環ラインを熱媒循環ラインに接続し、該バイナリー発電設備熱媒循環ラインと接続される熱媒循環ラインの接続箇所よりバイナリー発電設備入口側の熱媒循環ラインに熱媒流量制御弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の排煙処理装置。
  3. 熱媒循環ラインに冷却水供給ラインと蒸気供給ラインを有する熱媒温度調整用の熱交換器を配置したことを特徴とする請求項2記載の排煙処理装置。
  4. 請求項1記載の排煙処理装置におけるガス冷却器出口の排ガス温度が所定値になるように、ガス冷却器出口の排ガス温度に応じて、ガス冷却器へ供給する熱媒循環ライン内の熱媒の供給量とガス冷却器熱媒バイパスライン内の熱媒の供給量を制御することを特徴とした排煙処理方法。
  5. 請求項2記載の排煙処理装置におけるガス冷却器出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備の入口部又は出口部の熱媒温度が所定値になるように、ガス冷却器出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備の入口部又は出口部の熱媒温度に応じて、ガス冷却器へ供給する熱媒循環ライン内の熱媒の供給量及び/又はバイナリー発電設備へ供給するバイナリー発電設備熱媒循環ライン内の熱媒量を制御することを特徴とした排煙処理方法。
  6. 請求項3記載の排煙処理装置におけるガス冷却器出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備の入口部又は出口部の熱媒温度が所定値になるように、ガス冷却器出口の排ガス温度及び/又はバイナリー発電設備の入口部又は出口部の熱媒温度に応じて、ガス冷却器へ供給する熱媒循環ライン内の熱媒の供給量及び/又はバイナリー発電設備への熱媒の供給量を制御するか、又は熱媒温度調整用の熱交換器へ供給する水量又は蒸気量を調整することを特徴とした排煙処理方法。
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