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JP6009009B2 - 燃焼排ガスからの熱回収発電設備 - Google Patents

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JP6009009B2 JP2015026767A JP2015026767A JP6009009B2 JP 6009009 B2 JP6009009 B2 JP 6009009B2 JP 2015026767 A JP2015026767 A JP 2015026767A JP 2015026767 A JP2015026767 A JP 2015026767A JP 6009009 B2 JP6009009 B2 JP 6009009B2
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Description

本発明は、下水汚泥や都市ごみ等の廃棄物を燃焼し、発生した燃焼排ガスから熱回収して発電する燃焼排ガスからの熱回収発電設備に係り、特に、下水汚泥等のように水分の多い廃棄物を燃焼処理する燃焼設備や小型の燃焼設備に設置され、燃焼設備の焼却炉から排出されて煙道を流れている燃焼排ガスから減圧ボイラを用いて熱回収し、その熱をバイナリー発電装置で使用して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備に関するものである。
一般に、下水汚泥や都市ごみ等の廃棄物を燃焼処理する燃焼設備においては、焼却炉で廃棄物を燃焼し、発生した燃焼排ガスからボイラで熱回収し、ボイラから発生する蒸気を用いて発電機で発電するようにしている。この燃焼設備においては、燃焼排ガスが硫黄酸化物(SOx)を含んでいるため、SOの結露(SOの濃度にもよるが、露点は130℃程度)による硫酸腐食対策が必要である。
図4は燃焼排ガスから熱回収して発電する燃焼設備の一例を示し、この焼却設備は、焼却炉41から排出された燃焼排ガスを空気予熱器42、ボイラ43、バグフィルター44、洗煙装置45に順次通し、排ガス処理した燃焼排ガスを誘引通風機46を介して煙突47から大気中へ放出すると共に、ボイラ43で発生した蒸気により蒸気タービン48を回して発電機49で発電するようにしたものである。
しかし、図4に示す焼却設備は、燃焼排ガスが持つエネルギー量が少ないため、市販の蒸気タービン46が規格以下となることが殆どである。また、ボイラ43は、大気圧以上で水が蒸発するため、ボイラ43及び蒸気タービン48を設置するには、設置者にボイラ・タービン主任技術者が必要となり、運転者に資格が必要になる。更に、設備も発電量からすると、大掛かりな設備となる。しかも、小規模の燃焼設備には、ボイラ42及び蒸気タービン48等を設置できない。
また、図5に示す焼却設備は、図4の蒸気タービン48及び発電機49に替えてバイナリー発電装置50(蒸発部50a、タービン50b、発電機50c、凝縮部50d、冷媒循環ポンプ50e等から成る発電装置)を設置し、ボイラ42で発生した蒸気をバイナリー発電装置50の蒸発部50aに供給し、蒸気の熱を蒸発部50aの熱源として利用するようにしたものである。
しかし、図5に示す焼却設備も、図4の焼却設備と同様に、ボイラ43及びタービン50bを設置するには、設置者にボイラ・タービン主任技術者が必要になり、運転者に資格が必要になると共に、設備も発電量からすると、大掛かりな設備となる。
更に、図6に示す燃焼設備は、バイナリー発電装置50の蒸発部50aを燃焼排ガスが流れる煙道内に直接設置し、燃焼排ガスから直接熱回収して発電するようにしたものである。
しかし、図6に示す焼却設備は、バイナリー発電装置50に用いる冷媒には、低沸点(100℃以下)の冷媒が使用されているため、煙道内に設置した蒸発部50aのパイプ上で燃焼排ガス中のSOが結露し、蒸発部50aが低温腐食を引き起こして長期の運転が不可能になる。
更に、図7に示す焼却設備は、熱媒油O(沸点が約300℃)を循環用ポンプ53により循環させる循環路51の一部を煙道内に直接挿入し、燃焼排ガスと循環している熱媒油Oとで熱交換させて熱回収し、回収した熱を熱交換器52を介してバイナリー発電装置50の蒸発部50aで利用するようにしたものである。
しかし、図7に示す焼却設備は、熱媒油Oが液体状で熱交換するため、顕熱での熱回収となる。そのため、熱交換器52の入口、出口の温度差が大きく取れなくて熱媒油Oの循環流量が大きくなる。その結果、熱媒油Oの熱交換器52が大きくなってコストが嵩み、また、熱媒油Oの循環用ポンプ53の消費電力も大きくなる。
更に、図8に示す焼却設備は、図7の熱媒油Oに替えて空気Aを循環用ファン54により循環させる循環路55の一部を煙道内に直接挿入し、燃焼排ガスと循環している空気Aとで熱交換させて熱回収し、回収した熱を熱交換器52を介してバイナリー発電装置50の蒸発部50aで利用するようにしたものである。
しかし、図8に示す焼却設備は、循環用の空気Aによる熱回収が気体同士の熱交換であるため、伝熱特性が悪く、大きな熱交換器52となってコストが嵩むと共に、空気Aの循環用ファン54の動力が大きくなる。
更に、図示していないが、特許文献1には、焼却炉から排出された燃焼排ガスを空気予熱器、白煙防止空気予熱器、集塵装置、排煙洗浄塔の順に通して排ガス処理し、排煙洗浄塔から排出される洗煙排水を白煙防止空気予熱器で燃焼排ガスから熱回収した白煙防止空気の保有熱により昇温させてから排熱発電システム(バイナリー発電装置)に供給して排熱発電を行うようにした技術が記載されている。
しかし、特許文献1に記載された技術は、白煙防止空気が排熱発電システムの熱交換器を通過するため、白煙防止用ファンの消費動力が増加し、また、排煙洗浄塔から排出される洗煙排水を排熱発電システムの蒸発部を通過させているため、排水ポンプの消費動力も増加し、コストアップにつながる。
特許第5271100号公報
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になると共に、腐食性の燃焼排ガスから熱回収しても腐食せず、動力の削減を図れて発電した電力を有効に使用できるようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の発明は、焼却炉からの燃焼排ガスを白煙防止空気予熱器、集塵装置、洗煙装置の順次に通すようにした焼却設備に設置され、煙道内を流れる燃焼排ガスから熱回収して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備であって、燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラと、低沸点の液状の冷媒を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置とを備えており、前記減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSO ガスの露点以上となる水溶液とし、また、前記バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、減圧蒸気室内の蒸気でバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させるようにしたことに特徴がある。
本発明の第2の発明は、前記第1の発明において、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力をそれぞれ検出する温度検出器又は圧力検出器を設け、温度検出器又は圧力検出器からの検出信号に基づいて減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイナリー発電装置の制御盤により低沸点の冷媒を循環させる冷媒循環ポンプを制御して発電量を制御するようにしたことに特徴がある。
本発明の第3の発明は、前記第1の発明において、減圧ボイラの入口側の煙道に水を噴霧する水噴霧手段を設けると共に、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力をそれぞれ検出する温度検出器又は圧力検出器を設け、温度検出器又は圧力検出器からの検出信号に基づいて減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるように制御器により水噴霧手段を制御して減圧ボイラの入口側の燃焼排ガスの温度を一定にするようにしたことに特徴がある。
本発明の第4の発明は、前記第1の発明において、煙道に減圧ボイラを迂回するバイパスダクトを接続すると共に、当該バイパスダクトにバイパスダンパーを設け、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイパスダンパーを開閉制御して燃焼排ガスの一部又は全てをバイパスダクト側へバイパスするようにしたことに特徴がある。
本発明の第5の発明は、前記第1の発明、第2の発明、第3の発明又は第4の発明において、減圧ボイラの熱媒水中に過熱管を配設すると共に、当該過熱管とバイナリー発電装置の蒸発部とを接続し、蒸発部で加熱された冷媒を過熱管に導き、ここで減圧ボイラの熱媒水により更に過熱するようにしたことに特徴がある。
本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、内部圧が大気圧以下に保持されて内部の熱媒水が大気圧以下で蒸発する減圧ボイラにより熱回収するようにしているため、ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になる。
本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、減圧ボイラの沸点がSOガスの露点以上となる熱媒水を用いて燃焼排ガスから熱回収しているため、減圧ボイラの熱吸収部での硫酸腐食を防止することができる。また、バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、バイナリー発電装置の冷媒が減圧ボイラ内の蒸気から受熱するため、蒸発部の腐食を防止することができる。
本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置してバイナリー発電装置の冷媒を加熱するようにしているため、図7及び図8の燃焼設備に示すように、バイナリー発電装置の冷媒を加熱するのに熱媒油の循環用ポンプや空気の循環用ファンを必要としない。その結果、本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、循環用ポンプや循環用ファンを必要とせず、これらを動かすための動力が不要となり、バイナリー発電装置で発電した電力を有効に使用できる。
本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、白煙防止用空気をバイナリー発電装置を経由せずに煙突へ導くことができるため、特許文献1に記載された従来の焼却設備に比較して白煙防止用ファンの動力を低減することができる。
本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、洗煙装置からの排水をバイナリー発電装置を経由せずに排水することができるため、特許文献1に記載された従来の焼却設備に比較して洗煙排水ポンプの動力を低減することができる。
本発明の燃焼排ガスからの熱回収発電設備は、減圧ボイラの熱媒水中に過熱管を配設すると共に、当該過熱管とバイナリー発電装置の蒸発部とを接続し、蒸発部で加熱された冷媒を過熱管に導き、ここで減圧ボイラの熱媒水により更に過熱するようにしているため、冷媒の気体温度を上げることができ、バイナリー発電装置による発電量が上げることができる。
本発明の一実施形態に係る燃焼排ガスからの熱回収発電設備を設置した燃焼設備の概略系統図である。 図1に示す熱回収発電設備の拡大概略系統図である。 本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガスからの熱回収発電設備の拡大概略系統図である。 従来の熱回収発電設備を設置した燃焼設備のブロック図である。 同じく従来の熱回収発電設備を設置した燃焼設備のブロック図である。 同じく従来の熱回収発電設備を設置した燃焼設備のブロック図である。 同じく従来の熱回収発電設備を設置した燃焼設備のブロック図である。 同じく従来の熱回収発電設備を設置した燃焼設備のブロック図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る燃焼排ガスGからの熱回収発電設備を設置した燃焼設備を示し、当該燃焼設備は、焼却炉1からの燃焼排ガスGを燃焼用空気予熱器2、白煙防止空気予熱器3、減圧ボイラ4、集塵装置5、洗煙装置6の順に通し、煙道7内を流れる燃焼排ガスGから減圧ボイラ4により熱回収すると共に、回収した熱をバイナリー発電装置8に供給して発電に利用し、減圧ボイラ4を経た燃焼排ガスGを集塵装置5及び洗煙装置6により排ガス処理した後、誘引通風機9を介して煙突10から大気中へ放出するようにしたものである。
前記焼却炉1は、下水汚泥や都市ごみ等の廃棄物を焼却処理するものであり、この焼却炉1には、ストーカ11上で廃棄物を乾燥、燃焼、後燃焼させる従来公知のストーカ式の焼却炉1が使用されている。
尚、上記の実施形態においては、焼却炉1にストーカ式の焼却炉1を使用したが、他の実施形態においては、焼却炉1に流動床式の焼却炉1を使用するようにしても良い。
前記燃焼用空気予熱器2は、焼却炉1の下流側の煙道7に設置されており、燃焼用空気ファン12から供給された燃焼用空気を燃焼排ガスGにより予熱し、予熱した燃焼用空気を燃焼用空気供給ダクト13により焼却炉1のストーカ11下へ供給するようになっている。
前記白煙防止空気予熱器3は、燃焼用空気予熱器2の下流側の煙道7に設置されており、白煙防止ファン14から供給された白煙防止用空気を燃焼排ガスGにより加熱し、加熱した白煙防止用空気を白煙防止用空気供給ダクト15により誘引通風機9の下流側の煙道7に流すようになっている。
前記集塵装置5は、燃焼用空気予熱器2、白煙防止空気予熱器3及び減圧ボイラ4を経て熱回収された燃焼排ガスG中の煤塵を除去するものであり、この集塵装置5には、従来公知のバグフィルターが使用されている。
尚、上記の実施形態においては、集塵装置5にバグフィルターを使用したが、他の実施形態においては、電気集塵機やセラミック集塵機等を使用するようにしても良い。
前記洗煙装置6は、装置内部に導入された燃焼排ガスGをノズル16から散水される水と接触させることにより燃焼排ガスG中の酸性ガスを除去するものであり、洗煙水を循環させる洗煙水循環ポンプ17と、汚れた洗煙水を排出する洗煙水排出ポンプ18と、新しい洗煙水を供給する洗煙水供給ポンプ19とを備えている。
そして、本発明に係る燃焼排ガスGからの熱回収発電設備は、図2に示す如く、燃焼排ガスGを流す煙道7(白煙防止空気予熱器3とバグフィルター5との間の煙道7)に設置され、燃焼排ガスGを通して燃焼排ガスGから熱回収すると共に、熱媒水Hを加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラ4と、低沸点の液状の冷媒Rを加熱、蒸発させてその蒸気でタービン29を回して発電するバイナリー発電装置8と、減圧ボイラ4の入口側の煙道7に水を噴霧する水噴霧手段20と、減圧ボイラ4の上流側の煙道7及び下流側の煙道7に接続されて燃焼排ガスGの一部又は全てを減圧ボイラ4を迂回するように流すバイパスダクト21等を備えており、前記バイナリー発電装置8の蒸発部28を減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置し、減圧蒸気室24内の蒸気でバイナリー発電装置8の蒸発部28内の冷媒Rを気化させるようにしたものである。
即ち、前記減圧ボイラ4は、図2に示す如く、煙道7に接続され、内部圧が大気圧以下に保持されて熱媒水Hを貯留した缶体22と、缶体22の熱媒水Hを貯留した部分に貫通状に架設され、煙道7内の燃焼排ガスGが通過する複数の煙管23と、缶体22内の上部側空間に形成された減圧蒸気室24と、熱媒水Hの温度を検出する温度検出器25と、減圧蒸気室24の圧力を検出する圧力検出器26と、減圧蒸気室24の内部圧力が大気圧よりも高くなったときに減圧蒸気室24を大気に開放する安全装置27(例えば、安全弁)等を備えており、缶体22内の熱媒水Hを複数の煙管23内を通過する燃焼排ガスGとの間接熱交換により加熱して蒸発させ、発生した水蒸気を減圧蒸気室24に設置したバイナリー発電装置8の蒸発部28に接触させて凝縮液化させると共に、蒸発部28内を流れる冷媒Rを気化させるようにしている。
尚、缶体22は、上部缶体22aと下部缶体22bとを連結管22cを介して連通状に接続した構造であり、下部缶体22b内に熱媒水Hが貯留されていると共に、下部缶体22bに煙管23が架設され、また、上部缶体22a内の空間と下部缶体22b内の上部空間と連絡管22cの空間とが減圧蒸気室24となっている。
また、熱媒水Hには、大気圧以下で100℃以上の沸点を持つ水溶液が使用されている。この水溶液の沸点は、燃焼排ガスG中に含まれているSOが通過する煙管23内部で結露しない温度としている。この実施形態においては、SOの露点が130℃程度であるので、水溶液の沸点を130℃とし、55Wt%の臭化リチウム水溶液を熱媒水Hとして使用している。
前記バイナリー発電装置8は、図2に示す如く、蒸発部28、タービン29、発電機30、凝縮部31、冷媒循環ポンプ32、冷媒循環用配管33及び制御盤34等を備えており、前記蒸発部28、タービン29、凝縮部31及び冷媒循環ポンプ32を冷媒循環用配管33により閉ループ状に接続し、閉ループ内で低沸点の冷媒R(例えば、ペンタンやアンモニア等)を蒸発部28、タービン29、凝縮部31、冷媒循環ポンプ32の順に循環させて蒸発部28に戻すようにしている。
このバイナリー発電装置8は、その蒸発部28が減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置されており、減圧蒸気室24内の蒸気により蒸発部28内の低沸点の液状の冷媒Rを蒸発させ、その蒸気でタービン29を回して発電機30で発電するようになっている。タービン29を回した蒸気は、凝縮部31で冷却されて液状の冷媒Rとなって蒸発部28に戻る。蒸発部28に戻った液状の冷媒Rは、ここで減圧蒸気室24内の蒸気により再び加熱されて蒸発し、タービン29に供給されてタービン29を回す。
このように、前記バイナリー発電装置8では、タービン29を回す役目を果たす冷媒Rが蒸気と液化を繰り返しながら閉ループ内を循環するようになっている。尚、減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置される蒸発部28は、折り曲げ形成した蒸発管28aを減圧蒸気室24に配設することにより構成されている。
また、前記バイナリー発電装置8は、減圧ボイラ4に設けた温度検出器25又は圧力検出器26により減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力をそれぞれ検出し、これらの検出信号に基づいて減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるように制御盤34により低沸点の冷媒Rを循環させる冷媒循環ポンプ32を制御し、発電量を制御するように構成されている。
前記水噴霧手段20は、バイナリー発電装置8の定格運転時において減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度や減圧蒸気室24の圧力が上昇する場合に使用するものであり、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにするものである。
即ち、水噴霧手段20は、減圧ボイラ4の上流側の煙道7に接続された水供給管35と、水供給管35に介設した水噴霧弁36と、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力をそれぞれ検出する温度検出器25′又は圧力検出器26′からの検出信号に基づいて水噴霧弁36を制御する制御器37とを備えており、温度検出器25′又は圧力検出器26′からの検出信号に基づいて制御器37により水噴霧弁36を開閉制御して煙道7内の水噴霧量を制御し、減圧ボイラ4の入口温度を一定にするようにしている。これにより、減圧ボイラ4の温度又は圧力が所定の温度又は圧力に保たれる。
前記バイパスダクト21は、バイナリー発電装置8の定格運転時において減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度や減圧蒸気室24の圧力が上昇する場合に使用するものであり、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにするものである。
即ち、バイパスダクト21は、減圧ボイラ4の上流側の煙道7及び下流側の煙道7に接続されて燃焼排ガスGの一部又は全てを減圧ボイラ4を迂回するように流すものであり、バイパスダクト21に設けたバイパスダンパー38を開閉制御し、燃焼排ガスGの一部又は全てをバイパスダクト21側へバイパスすることにより減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力を所定の温度又は圧力に保つようにしたものである。尚、燃焼排ガスGを全量バイパスダクト21側へ流す場合には、減圧ボイラ4の出口側の煙道7に設けたダンパー39を閉鎖する。
次に、上述した熱回収発電設備を設置した燃焼設備を用いて下水汚泥を燃焼処理する場合について説明する。
焼却炉1内に供給された下水汚泥は、ストーカ11上で乾燥、燃焼、後燃焼されて炉外へ排出される。尚、下水汚泥の含水率は、70%とした。
燃焼により発生した燃焼排ガスGは、焼却炉1から排出されて燃焼用空気予熱器2及び白煙防止空気予熱器3で熱回収されてその温度が約650℃になる。燃焼用空気予熱器2により予熱された燃焼用空気は、燃焼用空気供給ダクト13によりストーカ11下へ供給されて燃焼に使用され、白煙防止空気予熱器3により予熱された白煙防止用空気は、白煙防止用空気供給ダクト15により誘引通風機9の下流側の煙道7に供給される。
白煙防止空気予熱器3を通過した燃焼排ガスGは、煙道7を通って減圧ボイラ4に流入し、煙管23内を通過する間に熱吸収されて約180℃で集塵装置5に送られ、ここで燃焼排ガスG中に含まれる煤塵が除去される。
煤塵が除去された燃焼排ガスGは、煙道7を通って洗煙装置6に送られ、ここで水噴霧により燃焼排ガスG中に含まれる酸性ガスが除去された後、誘引通風機9を経て白煙防止用空気と混合されて煙突10から大気中へ放出される。
そして、熱回収発電設備の減圧ボイラ4においては、缶体22内が大気圧以下に保たれており、熱媒水Hが満たされている。この熱媒水Hは、大気圧以下で100℃以上の沸点を持っており、燃焼排ガスG中に含まれているSOが通過する減圧ボイラ4の煙管23内部で結露しない温度としている。この実施形態においては、SOの露点が130℃であるので、熱媒水Hの沸点を130℃としている。そのため、減圧ボイラ4の煙管23の表面温度は、約140℃となり、腐食が防止される。
減圧ボイラ4の煙管23を介して燃焼排ガスGから受熱した熱媒水Hは、沸騰して90℃の蒸気を発生する。この発生した蒸気は、減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置したバイナリー発電装置8の蒸発部28の蒸発管28aに接触して凝縮し、蒸発管28a内を流れる冷媒Rに熱を与える。尚、蒸発部28での熱交換により凝縮したドレン水は、下部缶体22aに貯留されている熱媒水H側へ流下する。
蒸発部28の蒸発管28a内を流れる冷媒Rは、受熱することにより液体から気体へと気化し、約85℃の蒸気となってタービン29へ送られ、ここでタービン29の羽根を回転させて発電機30で発電させる。
タービン29から排出された蒸気は、凝縮部31で冷却水により冷却されて液状の冷媒Rとなり、冷媒循環ポンプ32により蒸発部28へ戻される。
以下、上述したサイクルを繰り返す。
次に、熱回収発電設備の減圧ボイラ4の制御について説明する。
下水汚泥の燃焼量や発熱量が低下したときには、減圧ボイラ4の入口温度と燃焼排ガスGの流量が低下するので、減圧ボイラ4の吸収熱量も低下する。そのため、減圧ボイラ4の減圧蒸気室24の内部圧力が低下すると共に、これに伴って熱媒水Hの飽和温度も低下する。その結果、減圧ボイラ4の煙管23内部の温度が低下してSOの露点以下になり、煙管23が腐食することがある。
そこで、煙管23の腐食を防止するため、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力を温度検出器25又は圧力検出器26によりそれぞれ検出し、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力が設定値以下になると、温度検出器25又は圧力検出器26からの検出信号がバイナリー発電装置8の制御盤34に送られて発電量を下げる。発電量を下げるには、制御盤34により冷媒循環ポンプ32の回転数を下げて冷媒Rの循環量を落とす。冷媒Rの循環量が下がると、蒸発部28での吸収熱量が低下しても、タービン29の入口冷媒条件は保たれる。
反対に、下水汚泥の燃焼量や発熱量が上昇したときには、減圧ボイラ4の入口温度と燃焼排ガスGの流量が上昇するので、減圧ボイラ4の吸収熱量も上昇する。そのため、減圧ボイラ4の減圧蒸気室24の内部圧力が上昇する。
減圧ボイラ4の内部圧力が上昇して設定圧力以上になると、安全装置27が開く方向に作動して大気圧と減圧ボイラ4の内部圧力が同じになる。
しかし、この場合、減圧ボイラ4の再起動時に減圧ボイラ4の内部を大気圧以下にするために真空ポンプ(図示省略)が必要になる。
そこで、このような作業や手間を省略して費用と時間がかかるのを避けるため、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力を温度検出器25又は圧力検出器26によりそれぞれ検出し、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力が設定値以上になると、温度検出器25又は圧力検出器26からの検出信号がバイナリー発電装置8の制御盤34に送られて発電量を上げる。発電量を上げるには、制御盤34により冷媒循環ポンプ32の回転数を上げて冷媒Rの循環量を増やす。冷媒Rの循環量が増えると、蒸発部28での吸収熱量が上っても、タービン29の入口冷媒条件は保たれる。
そして、バイナリー発電装置8の定格運転時において、減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度や減圧蒸気室24の圧力が上昇する場合には、次の(1)〜(4)の何れかに記載の方法を講じる。
(1)焼却炉1内に投入する下水汚泥の投入量を低下させ、下水汚泥の焼却量を下げて燃 焼排ガスGの発生量を減らす。
(2)水噴霧手段20により減圧ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力を 一定に保つ。即ち、温度検出器25′又は圧力検出器26′からの検出信号に基づい て制御器37により水噴霧弁36を開閉制御して煙道7内の水噴霧量を制御し、減圧 ボイラ4の熱媒水Hの温度又は減圧蒸気室24の圧力を一定にする。
(3)バイパスダクト21及びバイパスダンパー38を用いて煙道7内の燃焼排ガスGの 一部又は全てを減圧ボイラ4を迂回するように流し、減圧ボイラ4の煙管23内に流 れる燃焼排ガスGの量を制御し、減圧ボイラ4の入口温度を一定にする。
(4)上述した(1)〜(3)の方法を適宜に組み合わせて用いる。
前記熱回収発電設備においては、焼却炉1で含水率が70%の下水汚泥を一日に100ton燃焼処理すると、バイナリー発電装置8の効率を5%とした場合、115kW発電することができる。
上述した熱回収発電設備を設置した燃焼設備は、内部圧が大気圧以下に保持されて内部の熱媒水Hが大気圧以下で蒸発する減圧ボイラ4により熱回収するようにしているため、ボイラ・タービン主任技術者等の資格が不要になる。
また、熱回収発電設備を設置した燃焼設備は、減圧ボイラ4の沸点がSOガスの露点以上となる熱媒水Hを用いて燃焼排ガスGから熱回収しているため、減圧ボイラ4の熱吸収部での硫酸腐食を防止することができる。また、バイナリー発電装置8の蒸発部28を減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置し、バイナリー発電装置8の冷媒Rが減圧ボイラ4内の蒸気から受熱するため、蒸発部28の腐食を防止することができる。
更に、熱回収発電設備を設置した燃焼設備は、バイナリー発電装置8の蒸発部28を減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置してバイナリー発電装置8の冷媒Rを加熱するようにしているため、図7及び図8に示すようにバイナリー発電装置の冷媒Rを加熱するための熱媒油の循環用ポンプや空気の循環用ファンを必要とせず、これらを動かすための動力が不要となり、バイナリー発電装置8で発電した電力を有効に使用できる。
更に、熱回収発電設備を設置した燃焼設備は、白煙防止用空気をバイナリー発電装置8を経由せずに煙突10へ導くことができるため、白煙防止用ファンの動力を低減することができる。
更に、熱回収発電設備を設置した燃焼設備は、洗煙装置6からの排水をバイナリー発電装置8を経由せずに排水することができるため、洗煙排水ポンプの動力を低減するとこができる。
ところで、図1に示す熱回収発電設備においては、バイナリー発電装置8の気化した冷媒Rは、減圧ボイラ4で発生した90℃の蒸気からの受熱であるので90℃以上に上がらない。一方、気化した冷媒Rを熱源として発電するバイナリー発電装置8は、気化した冷媒Rの温度が高い程、発電効率が上がって発電量が増える。
図3は本発明の他の実施形態に係る燃焼排ガスGからの熱回収発電設備を示し、当該熱回収発電設備は、過熱管40を用いて発電効率を上げるようにしたものである。
即ち、前記熱回収発電設備は、図3に示す如く、燃焼排ガスGを流す煙道7に設置され、燃焼排ガスGを通して燃焼排ガスGから熱回収すると共に、熱媒水Hを加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラ4と、低沸点の液状の冷媒Rを加熱、蒸発させてその蒸気でタービン29を回して発電するバイナリー発電装置8と、減圧ボイラ4の入口側の煙道7に水を噴霧する水噴霧手段20と、減圧ボイラ4の上流側の煙道7及び下流側の煙道7に接続されて燃焼排ガスGの一部又は全てを減圧ボイラ4を迂回するように流すバイパスダクト21と、減圧ボイラ4の熱媒水H中に配設された過熱管40等を備えており、前記バイナリー発電装置8の蒸発部28を減圧ボイラ4の減圧蒸気室24に設置すると共に、前記蒸発部28と熱媒水H中の過熱管40とを接続し、減圧蒸気室24内の蒸気でバイナリー発電装置8の蒸発部28内の冷媒Rを気化させ、この気化した冷媒Rを過熱管40に導いてここで減圧ボイラ4の130℃の熱媒水Hにより更に加熱するようにしたものである。尚、図2に示す熱回収発電設備と同じ部位・部材には、同一の参照番号を付している。
前記熱回収発電設備によれば、バイナリー発電装置8の蒸発部28の蒸発管28aから出た約85℃の気化した冷媒Rは、熱媒水H中の過熱管40に入り、ここで130℃の熱媒水Hから受熱して120℃に過熱されてバイナリー発電装置8のタービン29に送られる。気化した冷媒Rの温度を120℃に上げることによりバイナリー発電装置8の発電量が10%上がる。
上述した熱回収発電設備を設置した燃焼設備は、図1に示す燃焼設備と同様の作用効果を奏することができる。特に、前記熱回収発電設備は、減圧ボイラ4の熱媒水H中に過熱管40を配設すると共に、当該過熱管40とバイナリー発電装置8の蒸発部28とを接続し、蒸発部28で加熱された冷媒Rを過熱管40に導き、ここで減圧ボイラ4の熱媒水Hにより更に過熱するようにしているため、冷媒Rの気体温度を上げることができ、バイナリー発電装置8による発電量が上がる。
1は焼却炉、2は燃焼用空気予熱器、3は白煙防止空気予熱器、4は減圧ボイラ、5は集塵装置、6は洗煙装置、7は煙道、8はバイナリー発電装置、9は誘引通風機、10は煙突、11はストーカ、12は燃焼用空気ファン、13は燃焼用空気供給ダクト、14は白煙防止ファン、15は白煙防止用空気供給ダクト、16はノズル、17は洗煙水循環ポンプ、18は洗煙水排出ポンプ、19は洗煙水供給ポンプ、20は水噴霧手段、21はバイパスダクト、22は缶体、22aは上部缶体、22bは下部缶体、22cは連絡管、23は煙管、24は減圧蒸気室、25,25′は温度検出器、26,26′は圧力検出器、27は安全装置、28は蒸発部、28aは蒸発管、29はタービン、30は発電機、31は凝縮部、32は冷媒循環ポンプ、33は冷媒循環用配管、34は制御盤、35は水供給管、36は水噴霧弁、37は制御器、38はバイパスダンパー、39はダンパー、40は過熱管、Gは燃焼排ガス、Hは熱媒水、Rは冷媒。

Claims (5)

  1. 焼却炉からの燃焼排ガスを白煙防止空気予熱器、集塵装置、洗煙装置の順次に通すようにした焼却設備に設置され、煙道内を流れる燃焼排ガスから熱回収して発電するようにした燃焼排ガスからの熱回収発電設備であって、燃焼排ガスを流す煙道に設置され、燃焼排ガスを通して燃焼排ガスから熱回収すると共に、熱媒水を加熱して蒸気を発生させる内部圧が大気圧以下に保持された減圧ボイラと、低沸点の液状の冷媒を加熱、蒸発させてその蒸気でタービンを回して発電するバイナリー発電装置とを備えており、前記減圧ボイラの熱媒水を、大気圧以下で沸点が燃焼排ガス中に含まれているSO ガスの露点以上となる水溶液とし、また、前記バイナリー発電装置の蒸発部を減圧ボイラの減圧蒸気室に設置し、減圧蒸気室内の蒸気でバイナリー発電装置の蒸発部内の冷媒を気化させるようにしたことを特徴とする燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  2. 減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力をそれぞれ検出する温度検出器又は圧力検出器を設け、温度検出器又は圧力検出器からの検出信号に基づいて減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイナリー発電装置の制御盤により低沸点の冷媒を循環させる冷媒循環ポンプを制御して発電量を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  3. 減圧ボイラの入口側の煙道に水を噴霧する水噴霧手段を設けると共に、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力をそれぞれ検出する温度検出器又は圧力検出器を設け、温度検出器又は圧力検出器からの検出信号に基づいて減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるように制御器により水噴霧手段を制御して減圧ボイラの入口側の燃焼排ガスの温度を一定にするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  4. 煙道に減圧ボイラを迂回するバイパスダクトを接続すると共に、当該バイパスダクトにバイパスダンパーを設け、減圧ボイラの熱媒水の温度又は減圧蒸気室の圧力が所定の温度又は圧力に保たれるようにバイパスダンパーを開閉制御して燃焼排ガスの一部又は全てをバイパスダクト側へバイパスするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
  5. 減圧ボイラの熱媒水中に過熱管を配設すると共に、当該過熱管とバイナリー発電装置の蒸発部とを接続し、蒸発部で加熱された冷媒を過熱管に導き、ここで減圧ボイラの熱媒水により更に過熱するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の燃焼排ガスからの熱回収発電設備。
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