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JP2018136170A5 - - Google Patents

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三次元空間における音の振る舞いを測定する手法としては、以下に例示する方法が知られている。
例えば、直交する3軸方向(x,y,zの軸方向)に対する音響インテンシティーを測定し、その測定結果を利用することにより、どの方向からどのタイミングでどのような音が到来しているかというようにコンサートホールの反射音などを解析する方法1(下記非特許文献1、図15参照)がある
一方、音響インテンシティーではなく音圧を測定することにより、コンサートホールの反射音などを解析する方法2(下記非特許文献2、図16参照)と方法3(下記非特許文献3、図17参照)もある
この検出方法4を試行したときの結果の一例を図20に示す。
この結果の一例では、推定対象としている実音源S1を、図20に示されるようにy軸上(x=0,z=0となる位置)に配置した設定としている。このため、このときのx方向とz方向における音響インテンシティーIx,Izは、本来Ix=0、Iz=0になるはずである。
ところが、測定の結果では、音響インテンシティーIx,Izに多少の残差波形が確認されている。
したがって、この「ピーク検知」を用いた検出方法4では、それらの残差波形のピークをx方向及び方向の座標として誤って認識することになる。この結果、最終的には、図20に示されるように、検出(推定)した音源S1の位置(黒丸)が、y軸上にあるはずの実音源S1の正規の位置(白丸)からずれた場所に推定されてしまうことになる。このような結果は、音源位置の推定精度としては低い結果であると言わざるを得ない。
この発明(A1)音源の検出方法は、
音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定工程と(√()は括弧内の値の平方根を示す。以下同様。)、
前記測定工程で得た合計値の音響インテンシティー波形におけるピークが音源を表していると仮定して、そのピークを時間窓幅ごとに抽出し、その抽出されたピークから音源の大きさ及び距離を算出する音源の第1抽出工程と、
記測定工程で得た合計値のピーク幅を推定して、そのピーク幅に対応する前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の大きさの符号付の平均値を算出し、前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の符号付の平均値と前記第1抽出工程で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第1推定工程と、
を備えるものである。
一方、この発明(B1)の音源の検出装置は、
音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定手段と、
前記測定手段で得た合計値の音響インテンシティー波形におけるピークが音源を表していると仮定して、そのピークを時間窓幅ごとに抽出し、その抽出されたピークから音源の大きさ及び距離を算出する音源の第1抽出手段と、
記測定手段で得た合計値のピーク幅を推定して、そのピーク幅に対応する前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の大きさの符号付の平均値を算出し、前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の符号付の平均値と前記第1抽出手段で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第1推定手段と、
を備えるものである。
また、この発明(B2)の音源の検出装置は、
音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定手段と、
前記測定手段で得た合計値の音響インテンシティーを音源インテンシティー成分と浮遊インテンシティー成分に区別する空間移動速度の閾値を設定し、前記合計値の音響インテ
ンシティーから前記閾値以下の空間移動速度になる音源インテンシティー成分を切り出すか、又は、前記合計値の音響インテンシティーを音圧で除して得られる音響粒子速度の合計値から前記閾値以下の空間移動速度になる当該音響粒子速度の到来時間と対応する音源インテンシティー成分を前記合計値の音響インテンシティーから切り出し、その切り出された一片として含まれる音源インテンシティー成分の強さ及び到来時間の平均値を算出して音源の大きさ及び距離とする音源の第2抽出手段と、
前記第2抽出手段で切り出された音源インテンシティー成分の一片と同じ時間幅に含まれる音響インテンシティーIx,Iy,Izを切り出し、その切り出した音響インテンシティーIx,Iy,Izの符号付の大きさの平均値を算出し、前記音響インテンシティーIx,Iy,Izの符号付の平均値と前記第2抽出手段で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第2推定手段と、
を備えるものである。
(音源位置の第1推定手段及び第1推定工程)
音源位置の第1推定手段4Aは、図1に示されるように、測定手段及びその測定工程で得た合計値Iallのピーク幅を推定する推定部41と、そのピーク幅に対応する音響インテンシティーIx,Iy,Izにおけるピーク幅内の符号付の大きさの平均値を算出する算出部42と、音響インテンシティーIx,Iy,Izにおけるピーク幅内の符号付の大きさの平均値と第1抽出手段3A及び工程で得た音源の距離とから音源の座標を推定
する推定部43とを有している。
また、音源の検出方法では、図2に示されるように、この推定部41の処理と算出部42の処理と推定部43の処理とをステップ14〜16(S14〜S16)としてこの順で行い、このステップ14〜16で示す3つの処理工程を併せて音源位置の第1推定工程としている。
推定部41は、音響インテンシティーの合計値Iallのピーク幅を推定する処理を行う部分である。
このピーク幅の推定は、例えば、合計値の音響インテンシティー波形において、時間窓幅Δtの間隔ごとに抽出される各ピークの前後で盛り上がる波形部分の始点と終点の間をピーク幅として推定する。具体的には、上記音響インテンシティー波形において、時間窓幅Δtの間隔ごとの各ピークから時間軸上を前後に移動させたときに波形の変化量(傾きなど)が再度緩やかになる前後2箇所の時刻を解析し、その前後2箇所の時刻で挟まれる波形部分をピーク幅として得ることができる。
この推定部41の推定処理により、図3の右側部分の上部や図5の中央部に示されるように、一点鎖線で挟まれる部分が、時間窓幅Δtの間隔ごとの各ピークに対するピーク幅としてそれぞれ求められる。
(音源位置の検出結果)
図5の右側部分に示されている一部の結果から、実施の形態1に係る音源の検出方法(その検出装置1A)、すなわち別称の「改良型ピーク検知」を用いて音響インテンシティーから音源情報を検出する方法によれば、次のことがわかる。
すなわち、この検出方法では、x方向及びz方向の音響インテンシティーIx,Izに測定誤差による残差波形が存在するものの(図5の中央部分)、前述した「ピーク検知」を用いて音響インテンシティーから音源情報を検出する方法4とは異なり、ピーク幅の大きさの平均値を適用しているため、x方向及び方向の音響インテンシティーIx,Izがいずれも、その残差波形における特定の値に支配されることがなく、ほぼゼロの値(座標)として認識できていることがわかる。
この結果、このときに検出(推定)した音源S1の位置(黒丸)は、図5の右側部分に一部の結果として示されているとおり、y軸上にあるはずの音源S1の正規の位置(白丸)とほぼ一致した場所に推定されるようになる。つまり、この検出方法によれば、上記検出する方法4の場合(図20参照)に比べて、音源S1の位置が精度よくy軸上に推定されており、音源の座標の推定精度が改善されていることがわかる。
したがって、この検出方法及びその検出装置1Aでは、音源の位置を的確に検出することができる。
(音源の第2抽出手段及び第2抽出工程)
第2抽出手段3Bは、図6に示されるように、測定手段2及びその測定工程で得た合計値Iallの音響インテンシティーを前記仮定の音源インテンシティー成分と浮遊インテンシティー成分に区別する空間移動速度の閾値Vsを設定する設定部35と、合計値Iallの音響インテンシティーから閾値Vs以下の空間移動速度になる音源インテンシティー成分を切り出すか、又は、合計値Uallの音響粒子速度から閾値Vs以下の空間移動速度になる当該音響粒子速度の到来時間と対応する音源インテンシティー成分を合計値Iallの音響インテンシティーから切り出す切り出し部36と、その切り出された一片として含まれる音源インテンシティー成分の強さ及び到来時間の平均値を算出して音源の大きさ及び距離とする算出部37とを有している
また、音源の検出方法では、図7に示されるように、この設定部35の処理と切り出し部36の処理と算出部37の処理とをステップ22〜24(S22〜S24)としてこの順で行い、このステップ22〜24で示す3つの処理工程を併せて音源の第2抽出工程としている。
切り出し部36は、合計値Iallの音響インテンシティーから閾値Vs以下になる音源インテンシティー成分を切り出す処理を行う部分である。
この音源インテンシティー成分の切り出しは、以下のように行われる。
はじめに、合計値Iallの音響インテンシティー又は音響粒子速度の合計値Uallから閾値Vs以下の空間移動速度になる音響インテンシティー又は音響粒子速度の到来時間、すなわち音源インテンシティー成分の到来時間を抽出する。
この音源インテンシティー成分の到来時間の抽出に際しては、まず、音響インテンシティーの合計値Iallにおける或る時刻の座標から次の時刻の座標への移動距離、又は音響
粒子速度の合計値Uallにおける或る時刻の座標から次の時刻の座標への移動距離を算出する。例えば、サンプリン周波数が48,000[Hz]の条件で測定を実施した場合、ある時刻から次の時刻への最小の時間間隔は1/48,000[秒]となる。
続いて、上記移動距離を移動時間で除して音響インテンシティー又は音響粒子速度の空間移動速度を算出する。この算出で得られる空間移動速度が閾値Vs以下の小さい値になった場合、そのときの時刻を「ts」とする。また、上記音響インテンシティー又は音響粒子速度の空間移動速度の算出を同様に続ける。この続けた算出で得られる空間移動速度が閾値Vsよりも大きい値になった場合、そのときの時刻を「te」とする。このときの時刻tsから時刻teまでの時間が上記抽出すべき音源インテンシティー成分の到来時間になる。
最後に、この抽出された上記時刻tsから上記時刻teまでの到来時間に含まれる音響インテンシティーの合計値Iallを切り出す。
ここで、この切り出された合計値Iall群を「合計値Iallの音響インテンシティーの一片」と呼ぶこととする。また、このときの合計値Iallの音響インテンシティーの一片は、全て音源インテンシティー成分で構成されており、或る一つの音源を表していることになる。
算出部37では、このようにして算出された音源インテンシティー成分の強さ及び到来時間の平均値を、最終的に各音源(S1,S2,S3,S4,・・・)の大きさ及び距離とす
る。ここでいう音源の大きさ及び距離とは、実施の形態1における音源の第1抽出手段3及びその抽出工程で算出されるときの音源の大きさ及び距離と同じ概念のものである。
図9には、各音源(S1,S2,S3,S4,・・・)の大きさ(強度の平均値)を「○」の白丸で示している。
推定部47は、算出部46で得た音響インテンシティーIx,Iy,Izの大きさの平均値と第2抽出手段3B及びその抽出工程で得た音源の距離とから音源の座標を推定する処理を行う部分である。
音源の座標の推定は、例えば、音源S1に対応するx,y,z方向のIx,Iy,Izの符号付の平均値として、それぞれ+x1、+y1、+z1が得られている場合、原点からの方位(+x1、+y1、+z1)に対して、算出部37で算出した音源S1の到来時間の平均taveに音速を乗した値、すなわち音源距離ほど離れた地点として推定される。
この推定部47の推定処理により、図10の右側部分に一部の結果が示されるように、
推定対象の実音源S1の推定した座標(図中の黒丸)は、実音源S1の正規の位置(白丸)であるy軸上の2mの位置(x=0、z=0)とほぼ一致していることがわかる。
この試験では、コンサートホールのステージに設置した全指向性スピーカー(実音源)から周波数掃引音(スイープ正弦波)を再生し、実音源から観客席に設置した受音点へのインパルス応答を測定し、上記P−P法により3軸方向の音響インテンシティーを算出した。そして、その音響インテンシティーの測定結果(図14の左端部分に示す結果)を同様に利用して上記各検出方法により音源(虚音源)の位置をそれぞれ推定した。この推定された複数の音源の位置を、図14の左端を除く右側部分のx−y平面における円形の内外に併せて示している。

Claims (4)

  1. 音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定工程と(√()は括弧内の値の平方根を示す。以下同様。)、
    前記測定工程で得た合計値の音響インテンシティー波形におけるピークが音源を表していると仮定して、そのピークを時間窓幅ごとに抽出し、その抽出されたピークから音源の大きさ及び距離を算出する音源の第1抽出工程と、
    記測定工程で得た合計値のピーク幅を推定して、そのピーク幅に対応する前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の大きさの符号付の平均値を算出し、前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の符号付の平均値と前記第1抽出工程で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第1推定工程と、
    を備える音源の検出方法。
  2. 音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定工程と、
    前記測定工程で得た合計値の音響インテンシティーを音源インテンシティー成分と浮遊インテンシティー成分に区別する空間移動速度の閾値を設定し、前記合計値の音響インテンシティーから前記閾値以下の空間移動速度になる音源インテンシティー成分を切り出すか、又は、前記合計値の音響インテンシティーを音圧で除して得られる音響粒子速度の合計値から前記閾値以下の空間移動速度になる当該音響粒子速度の到来時間と対応する音源インテンシティー成分を前記合計値の音響インテンシティーから切り出し、その切り出された一片として含まれる音源インテンシティー成分の強さ及び到来時間の平均値を算出して音源の大きさ及び距離とする音源の第2抽出工程と、
    前記第2抽出工程で切り出された音源インテンシティー成分の一片と同じ時間幅に含まれる音響インテンシティーIx,Iy,Izを切り出し、その切り出した音響インテンシティーIx,Iy,Izの符号付の大きさの平均値を算出し、前記音響インテンシティーIx,Iy,Izの符号付の平均値と前記第2抽出工程で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第2推定工程と、
    を備える音源の検出方法。
  3. 音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定手段と、
    前記測定手段で得た合計値の音響インテンシティー波形におけるピークが音源を表していると仮定して、そのピークを時間窓幅ごとに抽出し、その抽出されたピークから音源の大きさ及び距離を算出する音源の第1抽出手段と、
    記測定手段で得た合計値のピーク幅を推定して、そのピーク幅に対応する前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の大きさの符号付の平均値を算出し、前記音響インテンシティーx,Iy,Izにおけるピーク幅内の符号付の平均値と前記第1抽出手段で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第1推定手段と、
    を備える音源の検出装置。
  4. 音場において受音点で直交する3軸方向(x,y,z)の音響インテンシティーIx,Iy,Iz[W/m2]を測定し、それらの合計値であるIall=√(Ix 2+Iy 2+Iz 2)を算出する音響インテンシティーの測定手段と、
    前記測定手段で得た合計値の音響インテンシティーを音源インテンシティー成分と浮遊インテンシティー成分に区別する空間移動速度の閾値を設定し、前記合計値の音響インテ
    ンシティーから前記閾値以下の空間移動速度になる音源インテンシティー成分を切り出すか、又は、前記合計値の音響インテンシティーを音圧で除して得られる音響粒子速度の合計値から前記閾値以下の空間移動速度になる当該音響粒子速度の到来時間と対応する音源インテンシティー成分を前記合計値の音響インテンシティーから切り出し、その切り出された一片として含まれる音源インテンシティー成分の強さ及び到来時間の平均値を算出して音源の大きさ及び距離とする音源の第2抽出手段と、
    前記第2抽出手段で切り出された音源インテンシティー成分の一片と同じ時間幅に含まれる音響インテンシティーIx,Iy,Izを切り出し、その切り出した音響インテンシティーIx,Iy,Izの符号付の大きさの平均値を算出し、前記音響インテンシティーIx,Iy,Izの符号付の平均値と前記第2抽出手段で得た音源の距離とから音源の座標を推定する音源座標の第2推定手段と、
    を備える音源の検出装置。
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