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JP2018121028A - 半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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JP2018121028A JP2017013382A JP2017013382A JP2018121028A JP 2018121028 A JP2018121028 A JP 2018121028A JP 2017013382 A JP2017013382 A JP 2017013382A JP 2017013382 A JP2017013382 A JP 2017013382A JP 2018121028 A JP2018121028 A JP 2018121028A
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Abstract

【課題】半導体発光素子の反りを抑制する。【解決手段】半導体発光素子10は、第1主面20aと、第1主面20aとは反対側の第2主面20bとを有する基板20と、第1主面20a上に設けられ、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料の活性層26を含み、波長360nm以下の深紫外光を発する発光構造38と、第2主面20b上に設けられる第1裏面層42と、第1裏面層42上に設けられる第2裏面層44とを含む裏面構造40と、を備える。基板20と第2裏面層44の間の格子不整合率は、基板20と第1裏面層42の間の格子不整合率より大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法に関する。
近年、深紫外光を出力する半導体発光素子の開発が進められている。深紫外光用の発光素子は、基板上に順に積層される窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系のn型クラッド層、活性層、p型クラッド層を有する。基板上に積層されるAlGaN層は、800〜1100℃程度の高温でエピタキシャル成長されるため、室温に冷却する過程において基板とAlGaN層の熱膨張率差に起因した熱応力が発生し、反りが生じる。反りを防ぐため、活性層が形成される側とは反対側の基板上に熱膨張係数の小さい酸化亜鉛(ZnO)を形成し、熱応力に起因する基板の反りを防ぐ技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−22283号公報
波長360nm以下の深紫外光を出力する半導体発光素子では、基板が光取出面として用いられることがある。上述の酸化亜鉛(ZnO)は、波長360nm以下の深紫外光を吸収するため、基板の光取出面に用いることはできない。また、冷却後の基板の反りのみならず、発光素子の製造工程中の基板の反りも低減できることが好ましい。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、半導体発光素子の反りを抑制する技術を提供することにある。
本発明のある態様の半導体発光素子は、第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面とを有する基板と、第1主面上に設けられ、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料の活性層を含み、波長360nm以下の深紫外光を発する発光構造と、第2主面上に設けられる第1裏面層と、第1裏面層上に設けられる第2裏面層とを含む裏面構造と、を備える。基板と第2裏面層の間の格子不整合率は、基板と第1裏面層の間の格子不整合率より大きい。
この態様によると、発光構造が設けられる第1主面とは反対側の第2主面に基板とは格子定数の異なる第1裏面層および第2裏面層を設けることで、格子定数差に起因する応力を発生させることができる。これにより、第1主面側と第2主面側の応力差を低減し、基板の反りを小さくできる。また、第1裏面層よりも基板との格子不整合率が大きい第2裏面層を設けることで、応力差を低減する効果を高め、第1裏面層のみを設ける場合と比べて基板の反りの抑制効果を高めることができる。
第1主面と発光構造の間に設けられるバッファ層をさらに備えてもよい。第1裏面層の厚さは、バッファ層の厚さの0.2倍以上2倍以下であってもよい。
発光構造は、基板と活性層の間に設けられるクラッド層を含み、活性層は、クラッド層上の一部領域に設けられてもよい。第2裏面層の厚さは、クラッド層の厚さの0.2倍以上2倍以下であってもよい。
裏面構造は、発光構造が発する波長の深紫外光の透過率が90%以上であってもよい。
基板は、サファイア(Al)基板であり、第1裏面層は、窒化アルミニウム(AlN)層であり、第2裏面層は、活性層よりもAlNのモル分率が高いAlGaN層であってもよい。
本発明の別の態様は、半導体発光素子の製造方法である。この方法は、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料の活性層を含み、波長360nm以下の深紫外光を発する発光構造を基板の第1主面上に形成する工程と、基板の第1主面とは反対側の第2主面上に第1裏面層を形成する工程と、第1裏面層上に第2裏面層を形成する工程と、を備える。基板と第2裏面層の間の格子不整合率は、基板と第1裏面層の間の格子不整合率より大きい。
この態様によると、発光構造が設けられる第1主面とは反対側の第2主面に基板とは格子定数の異なる第1裏面層および第2裏面層を設けることで、格子定数差に起因する応力を発生させることができる。これにより、第1主面側と第2主面側の応力差を低減し、基板の反りを小さくできる。また、第1裏面層よりも基板との格子不整合率が大きい第2裏面層を設けることで、応力差を低減する効果を高め、第1裏面層のみを設ける場合と比べて基板の反りの抑制効果を高めることができる。
第2裏面層を形成する工程の後に発光構造上に電極を形成する工程をさらに備えてもよい。
本発明によれば、半導体発光素子の反りを抑制できる。
実施の形態に係る半導体発光素子の構成を概略的に示す断面図である。 半導体発光素子の製造方法を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の発光素子の寸法比と一致しない。
図1は、実施の形態に係る半導体発光素子10の構成を概略的に示す断面図である。半導体発光素子10は、中心波長λが200nm以上360nm以下となる「深紫外光」を発するように構成されるLED(Light Emitting Diode)チップである。このような波長の深紫外光を出力するため、半導体発光素子10は、バンドギャップが約3.4eV以上となる窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料で構成される。本実施の形態では、特に、中心波長λが約240nm〜350nmの深紫外光を発する場合について示す。
本明細書において、「AlGaN系半導体材料」とは、主に窒化アルミニウム(AlN)と窒化ガリウム(GaN)を含む半導体材料のことをいい、窒化インジウム(InN)などの他の材料を含有する半導体材料を含むものとする。したがって、本明細書にいう「AlGaN系半導体材料」は、例えば、In1−x−yAlGaN(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)の組成で表すことができ、AlN、GaN、AlGaN、窒化インジウムアルミニウム(InAlN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)を含むものとする。
また「AlGaN系半導体材料」のうち、AlNを実質的に含まない材料を区別するために「GaN系半導体材料」ということがある。「GaN系半導体材料」には、主にGaNやInGaNが含まれ、これらに微量のAlNを含有する材料も含まれる。同様に、「AlGaN系半導体材料」のうち、GaNを実質的に含まない材料を区別するために「AlN系半導体材料」ということがある。「AlN系半導体材料」には、主にAlNやInAlNが含まれ、これらに微量のGaNが含有される材料も含まれる。
半導体発光素子10は、基板20と、バッファ層22と、p側電極34と、n側電極36と、発光構造38と、裏面構造40とを備える。発光構造38は、n型クラッド層24と、活性層26と、電子ブロック層28と、p型クラッド層30と、p型コンタクト層32とを有する。裏面構造40は、第1裏面層42と、第2裏面層44とを有する。
基板20は、半導体発光素子10が発する深紫外光に対して透光性を有する基板であり、例えば、サファイア(Al)基板である。基板20は、第1主面20aと、第1主面20aの反対側の第2主面20bを有する。第1主面20aは、バッファ層22より上の各層を成長させるための結晶成長面となる一主面である。第2主面20bは、活性層26が発する深紫外光を外部に取り出すための光取出面となる一主面である。基板20の厚さは、100μm〜1000μmであり、例えば、300μm〜600μm程度である。
バッファ層22は、基板20の第1主面20aの上に形成される。バッファ層22は、n型クラッド層24より上の各層を形成するための下地層(テンプレート層)である。バッファ層22は、例えば、アンドープのAlN層であり、具体的には高温成長させたAlN(HT−AlN;High Temparature AlN)層である。バッファ層22は、AlN層上に薄く形成されるアンドープのAlGaN層(u−AlGaN層)を含んでもよい。バッファ層22に含まれるu−AlGaN層は一層であってもよいし、多層であってもよい。例えば、AlN組成の異なる複数のu−AlGaN層を積層させることにより超格子構造が形成されてもよい。
バッファ層22の厚さtは、0.3μm〜10μmであり、好ましくは、1μm〜3μmであり、例えば、2μmである。バッファ層22の厚さtのうち90%以上がAlN層であり、残りの10%未満がAlGaN層である。例えば、バッファ層22のAlN層が2μm程度であるのに対し、バッファ層22のAlGaN層は、10〜200nm程度である。
n型クラッド層24は、バッファ層22の上に形成される。n型クラッド層24は、n型のAlGaN系半導体材料層であり、例えば、n型の不純物としてシリコン(Si)がドープされるAlGaN層である。n型クラッド層24は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択され、例えば、AlNのモル分率が30%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように形成される。n型クラッド層24は、活性層26が発する深紫外光の波長よりも大きいバンドギャップを有し、例えば、バンドギャップが4.3eV以上となるように形成される。n型クラッド層24は、AlNのモル分率が80%以下、つまり、バンドギャップが5.5eV以下となるように形成されることが好ましく、AlNのモル分率が70%以下(つまり、バンドギャップが5.2eV以下)となるように形成されることがより望ましい。n型クラッド層24の厚さtは、0.5μm〜4μmであり、好ましくは、1μm〜3μmであり、例えば、2μmである。
活性層26は、AlGaN系半導体材料で構成され、n型クラッド層24と電子ブロック層28の間に挟まれてダブルへテロ接合構造を形成する。活性層26は、単層または多層の量子井戸構造を有してもよく、例えば、アンドープのAlGaN系半導体材料で形成されるバリア層と、アンドープのAlGaN系半導体材料で形成される井戸層の積層体で構成されてもよい。活性層26は、波長360nm以下の深紫外光を出力するためにバンドギャップが3.4eV以上となるように構成され、例えば、波長310nm以下の深紫外光を出力できるようにAlN組成比が選択される。活性層26は、n型クラッド層24の上に形成されるが、n型クラッド層24の全面に形成されず、n型クラッド層24の一部領域上にのみ形成される。つまり、n型クラッド層24の露出面24aの上には活性層26が設けられない。
電子ブロック層28は、活性層26の上に形成される。電子ブロック層28は、アンドープのAlGaN系半導体材料層であり、例えば、AlNのモル分率が40%以上、好ましくは、50%以上となるように形成される。電子ブロック層28は、AlNのモル分率が80%以上となるように形成されてもよく、実質的にGaNを含まないAlN系半導体材料で形成されてもよい。電子ブロック層28は、1nm〜10nm程度の厚さを有し、例えば、2nm〜5nm程度の厚さを有する。なお、電子ブロック層28は、アンドープ層ではなく、マグネシウム(Mg)がドープされるp型層であってもよい。
p型クラッド層30は、電子ブロック層28の上に形成されるp型半導体層である。p型クラッド層30は、p型のAlGaN系半導体材料層であり、例えば、p型の不純物としてMgがドープされるAlGaN層である。p型クラッド層30は、AlNのモル分率が50%以上となるように形成される。p型クラッド層30は、水素(H)濃度が5×1018/cm以下となるように形成され、好ましくは、1×1018/cm以下となるように形成される。p型クラッド層30は、10nm〜100nm程度の厚さを有し、例えば、20nm〜50nm程度の厚さを有する。
p型コンタクト層32は、p型クラッド層30の上に形成されるp型半導体層である。p型コンタクト層32は、p型のGaN系半導体材料層またはp型のAlGaN系半導体材料層であり、p型クラッド層30よりもAlNのモル分率が低くなるように形成される。p型コンタクト層32は、AlNのモル分率が30%以下となるように形成され、好ましくは20%以下または10%以下となるように形成される。p型コンタクト層32は、300nm〜1μm程度の厚さを有し、例えば、400nm〜600nm程度の厚さを有する。
p側電極34は、p型コンタクト層32の上に形成される。p側電極34は、p型コンタクト層32の上に順に積層されるニッケル(Ni)/金(Au)の多層膜で形成される。n側電極36は、n型クラッド層24の一部領域である露出面24a上に形成される。n側電極36は、n型クラッド層24の上に順にチタン(Ti)/アルミニウム(Al)/Ti/金(Au)が順に積層された多層膜で形成される。
裏面構造40は、基板20の第2主面20bの上に設けられる。裏面構造40は、半導体発光素子10の光取出面となるため、活性層26が発する深紫外光の透過率が高い材料で構成される。裏面構造40は、活性層26が発する深紫外光に対して透明となるように、活性層26よりもバンドギャップの大きい材料で構成される。裏面構造40は、例えば、活性層26よりもAlNのモル分率が高いAlGaN系半導体材料またはAlN系半導体材料で構成される。裏面構造40は、活性層26が発する深紫外光の透過率が80%以上となるように構成され、好ましくは、90%以上となるように構成される。
第1裏面層42は、基板20の第2主面20bの上に設けられる。第1裏面層42は、アンドープのAlN層であり、例えば、高温成長させたHT−AlN層である。第1裏面層42は、深紫外光の透過率が90%以上となるように構成される。第1裏面層42の厚さtは、0.3μm〜10μmであり、好ましくは、1μm〜3μmであり、例えば、2μmである。第1裏面層42の厚さtは、バッファ層22の厚さtの0.2倍以上2倍以下であることが好ましく、例えば、バッファ層22の厚さtの0.5倍以上1.5倍以下であってもよい。
第2裏面層44は、第1裏面層42の上に設けられる。第2裏面層44は、アンドープまたはn型のAlGaN系半導体材料層である。第2裏面層44は、活性層26が発する深紫外光を透過するように組成比が選択され、例えば、AlNのモル分率が30%以上、好ましくは、40%以上または50%以上となるように形成される。第2裏面層44の厚さtは、0.5μm〜4μmであり、好ましくは、1μm〜3μmであり、例えば、2μmである。第2裏面層44の厚さtは、n型クラッド層24の厚さtの0.2倍以上2倍以下であることが好ましく、例えば、n型クラッド層24の厚さtの0.5倍以上1.5倍以下であってもよい。
第1裏面層42のAlN層と、第2裏面層44のAlGaN層とを比較すると、サファイアである基板20に対する格子不整合率は、第1裏面層42よりも第2裏面層44の方が大きい。ここで、基板20に対する格子不整合率とは、基板20の実質的な格子定数と、第1裏面層42または第2裏面層44の格子定数との差に相当する。サファイアの格子定数は約4.76Åであり、AlNの格子定数は約3.11Åである。また、GaNの格子定数は約3.18Åであり、AlGaNの格子定数は約3.11〜3.18Åである。サファイア基板とAlNの間の格子定数差は非常に大きいため、サファイア基板上にAlNを成長させた場合、サファイアの結晶方位に対してAlNの結晶方位が約30°回転してずれるように結晶成長されることが分かっている。サファイア基板上にAlGaNを成長させる場合も同様である。この場合、サファイア基板上で成長するAlNまたはAlGaNは、サファイアに含まれるアルミニウム(Al)原子同士の間隔である約2.75Åを実質的な格子定数であるとみなして成長する。その結果、サファイアである基板20に対するAlN層の格子不整合率は約13%となり、基板20に対するAlGaN層の格子不整合率は13%〜16%となる。この格子不整合率の値は、AlGaN層のAlN組成が低くなるほど大きくなる。したがって、基板20と第2裏面層44の間の格子不整合率は、基板20と第1裏面層42の間の格子不整合率よりも大きい。
本実施の形態では、裏面構造40として、第1裏面層42のみならず第2裏面層44を設けることで、基板20の第2主面20bに加わる応力を大きくしている。これにより、基板20の第1主面20aに加わる第1応力と、基板20の第2主面20bに加わる第2応力との差を低減し、基板20の反りを低減させることができる。また、基板20の第1主面20a側に形成されるバッファ層22および発光構造38の構造と対応させて、基板20の第2主面20b側に第1裏面層42および第2裏面層44を形成することで、第1主面20a側の応力と第2主面20b側の応力をより容易に均一化できる。これにより、半導体発光素子10の反りの制御性を高めて、反りのより少ない素子構造を実現できる。
つづいて、半導体発光素子10の製造方法について説明する。図2は、半導体発光素子10の製造方法を示すフローチャートである。まず、基板20の第2主面20bの上に第1裏面層42を形成する(S10)。基板20は、サファイア(Al)基板である。第1裏面層42は、サファイア基板の(0001)面上に形成される。第1裏面層42は、高温成長させたAlN(HT−AlN)層であり、有機金属化学気相成長(MOVPE)法や、分子線エピタキシ(MBE)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
次に、第1裏面層42の上に第2裏面層44を形成する(S12)。第2裏面層44は、アンドープまたはn型のAlGaN系半導体材料層である。第2裏面層44は、有機金属化学気相成長(MOVPE)法や、分子線エピタキシ(MBE)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
つづいて、基板20の第1主面20aの上にバッファ層22を形成する(S14)。基板20は、サファイア(Al)基板であり、AlGaN系半導体材料を形成するための成長基板である。例えば、サファイア基板の(0001)面上にバッファ層22が形成される。バッファ層22は、例えば、高温成長させたAlN(HT−AlN)層と、アンドープのAlGaN(u−AlGaN)層とを含む。
つづいて、バッファ層22の上に発光構造38を形成する(S16)。バッファ層22の上に、n型クラッド層24、活性層26、電子ブロック層28、p型クラッド層30、p型コンタクト層32を順に形成する。n型クラッド層24、活性層26、電子ブロック層28、p型クラッド層30およびp型コンタクト層32は、AlGaN系半導体材料またはAlN系半導体材料で形成される層であり、有機金属化学気相成長(MOVPE)法や、分子線エピタキシ(MBE)法などの周知のエピタキシャル成長法を用いて形成できる。
つづいて、p型コンタクト層32の上にp側電極34が形成される(S18)。また、n型クラッド層24の一部領域が露出面24aとなるように、活性層26、電子ブロック層28、p型クラッド層30およびp型コンタクト層32の一部が除去され、n型クラッド層24の露出面24aの上にn側電極36が形成される。p側電極34およびn側電極36は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタリング法などの周知の方法により形成することができる。これにより、図1に示す半導体発光素子10ができあがる。
本実施の形態によれば、基板20の第2主面20bに裏面構造40を設けることにより、基板20の反りを緩和することができる。比較例において、基板の厚さが400μm、バッファ層の厚さtが2μm、n型クラッド層の厚さtが2μmであり、裏面構造40が設けられない場合、基板の曲率半径が8m程度となる。これは、基板として直径50mmのウェハを用いた場合、基板20の中央部と周縁部の厚み方向の位置ずれが150μm程度となることを意味する。具体的には、基板20の第1主面20aの中央部が凸となるように反りが生じる。
一方、ある実施例において、基板20の厚さが400μm、バッファ層22の厚さtが2μm、n型クラッド層24の厚さtが2μmであり、第1裏面層42の厚さtが2μm、第2裏面層44の厚さtが2μmである場合、基板20の曲率半径が60m程度に改善された。これは、基板20として直径50mmのウェハを用いた場合、基板20の中央と周縁部の厚み方向の位置ずれが20μm以下となることを意味する。本実施の形態によれば、半導体発光素子10の基板20の平坦性を向上させることができる。
本実施の形態に係る半導体発光素子10は、一枚の大きなウェハである基板20上に多数(数十または数百程度)形成される素子をダイシングし、個片化することでできあがる。半導体発光素子10の製造過程において、基板20に反りが発生してしまうと、ウェハの中央部と周縁部とで高さ位置が異なることになり、ウェハ面内でのプロセスの均一性に影響が生じる。また、発光構造38の一部を除去してn型クラッド層24の露出面24aを形成する工程や、p側電極34およびn側電極36を形成する工程では、ウェハ上にマスクを設けてパターニングする必要がある。パターニング時にウェハに大きな反りが生じていると、意図した場所に設計通りのパターンを形成することが困難となり、歩留まりの低下につながる。
一方、本実施の形態によれば、パターニングが必要となる電極形成工程よりも前に裏面構造40を設けることで、電極形成工程における基板20の反りを低減することができる。また、発光構造38を構成する各層を形成する前に裏面構造40を設けることで、基板20の両面での応力差が低減された平坦性の高い状態で活性層26を形成することができる。したがって、本実施の形態によれば、プロセスの安定性および均一性を高めることができ、半導体発光素子10の製造歩留まりを向上させることができる。
本実施の形態によれば、裏面構造40を設けることにより、平坦性の高い基板20の上に発光構造38を設けることができるため、半導体発光素子10の完成後の状態において、活性層26を含む発光構造38に加わる応力を緩和することができる。これにより、半導体発光素子10の通電使用に伴って、発光構造38を構成する各層にクラック等が生じて発光強度が低下するまでの時間を長くすることができる。したがって、本実施の形態によれば、半導体発光素子10の寿命を長くし、半導体発光素子10の信頼性を高めることができる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
上述の実施の形態では、第1裏面層42および第2裏面層44の形成後にバッファ層22および発光構造38を形成する製造方法について示した。変形例においては、これらの工程が異なる順序で実行されてもよい。例えば、第1裏面層42を形成し、次にバッファ層22を形成し、次に第2裏面層44を形成し、次に発光構造38を形成してもよい。また、バッファ層22を形成し、次に第1裏面層42を形成し、次に第2裏面層44を形成し、次に発光構造38を形成してもよい。その他、バッファ層22および発光構造38を形成した後に第1裏面層42および第2裏面層44を形成してもよい。
10…半導体発光素子、20…基板、20a…第1主面、20b…第2主面、22…バッファ層、26…活性層、38…発光構造、40…裏面構造、42…第1裏面層、44…第2裏面層。

Claims (7)

  1. 第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面とを有する基板と、
    前記第1主面上に設けられ、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料の活性層を含み、波長360nm以下の深紫外光を発する発光構造と、
    前記第2主面上に設けられる第1裏面層と、前記第1裏面層上に設けられる第2裏面層と、を含む裏面構造と、を備え、
    前記基板と前記第2裏面層の間の格子不整合率は、前記基板と前記第1裏面層の間の格子不整合率より大きいことを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第1主面と前記発光構造の間に設けられるバッファ層をさらに備え、
    前記第1裏面層の厚さは、前記バッファ層の厚さの0.2倍以上2倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記発光構造は、前記基板と前記活性層の間に設けられるクラッド層を含み、前記活性層は、前記クラッド層上の一部領域に設けられ、
    前記第2裏面層の厚さは、前記クラッド層の厚さの0.2倍以上2倍以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記裏面構造は、前記発光構造が発する波長の深紫外光の透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光素子。
  5. 前記基板は、サファイア(Al)基板であり、
    前記第1裏面層は、窒化アルミニウム(AlN)層であり、
    前記第2裏面層は、前記活性層よりもAlNのモル分率が高いAlGaN層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  6. 窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)系半導体材料の活性層を含み、波長360nm以下の深紫外光を発する発光構造を基板の第1主面上に形成する工程と、
    前記基板の前記第1主面とは反対側の第2主面上に第1裏面層を形成する工程と、
    前記第1裏面層上に第2裏面層を形成する工程と、を備え、
    前記基板と前記第2裏面層の間の格子不整合率は、前記基板と前記第1裏面層の間の格子不整合率より大きいことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  7. 前記第2裏面層を形成する工程の後に前記発光構造上に電極を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子の製造方法。
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