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JP2017531013A - グルココルチコイドおよびミネラル・コルチコイドレセプターアンタゴニストを使用する脂肪肝疾患の処置 - Google Patents

グルココルチコイドおよびミネラル・コルチコイドレセプターアンタゴニストを使用する脂肪肝疾患の処置 Download PDF

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Abstract

本発明は、ピリミジンジオンシクロヘキシル化合物のクラスを使用する、脂肪肝疾患の処置を提供する。一実施形態において、本発明は、脂肪肝疾患を処置する方法を提供する。本方法は、治療有効量の式Iの化合物を、脂肪肝疾患の処置を必要とする被験体に投与し、それによって脂肪肝疾患を処置する工程であって、式Iの化合物が構造(I)を有する、工程を包含する。一実施形態において、本発明は、脂肪肝疾患を処置する方法を提供する。本方法は、脂肪肝疾患の処置を必要とする被験体に、治療有効量の式Iの化合物を投与し、それによって脂肪肝疾患を処置する工程を包含し、式Iの化合物は本願明細書中に記載の構造を有する。【選択図】図4

Description

関連出願の相互参照
本願は、2014年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/092,041号、および2014年10月15日に出願された米国仮特許出願第62/064,358号の優先権を主張する。前述の仮出願の内容全体は、本明細書中に参照によって組み込まれる。
発明の背景
肝臓障害は、アルコール誘発性脂肪肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、薬物もしくはアルコール関連肝疾患、ウイルス性疾患、免疫媒介性肝疾患、代謝性肝疾患、ならびに肝不全および/もしくは肝移植に関連する合併症などの、疾患の様々な群に分類され得る。非アルコール性脂肪肝疾患は、ほとんどもしくは全くアルコールを消費しない個体において、アルコール誘発性脂肪肝疾患と類似した、組織学的特徴を有する、一般的な肝障害である。脂肪肝疾患は、肝細胞内に脂質(脂肪)が異常滞留したことによる。
AFLDおよびNAFLDの有効な処置は、不十分なままである。現在まで、このような患者に対する治療的薬物処置は確立されていない。脂肪肝疾患を対処するための新規な治療的選択肢が必要とされている。
ヒトを含め、ほとんどの種において、生理的グルココルチコイドは、コルチゾール(ヒドロコルチゾン)である。グルココルチコイドは、ACTH(コルチコトロピン)に応答して分泌され、ACTHは、概日リズム変動、ならびにストレスおよび食物に応じた上昇の両方を示す。コルチゾールレベルは、多くの身体的ストレスおよび精神的ストレス(外傷、外科手術、運動、不安および鬱病が挙げられる)に対して数分以内に応答する。コルチゾールは、ステロイドであり、細胞内のグルココルチコイドレセプター(GR)に結合することによって、作用する。ヒトにおいて、グルココルチコイドレセプターは、2つの形態において存在する:777アミノ酸のリガンド結合GR−α;および50カルボキシ末端残基を欠くGR−βアイソフォーム。50カルボキシ末端残基は、リガンド結合性ドメインを含んでいるので、GR−βは、天然リガンドに結合することはできず、核に構成的に局在化している。GRは、GR IIとしても公知である。
コルチゾールおよび他のグルココルチコイドはまた、ミネラル・コルチコイドレセプター(MR)上でも作用することができ、この場合、それらは、ミネラル・コルチコイドもしくはミネラル・コルチコイドレセプターアンタゴニスト(MRA)と呼ばれる。ミネラル・コルチコイドレセプターは、主に、身体中の塩濃度を調節している。MRは、ミネラル・コルチコイドおよびグルココルチコイドに対して実質的に等しい親和性を有することができる。
コルチゾールの生物学的効果(高コルチゾール血症によって引き起こされるものを含む)は、レセプター調節因子(modulator)(例えば、アゴニスト、部分アゴニストおよびアンタゴニスト)を使用して、GRレベルにおいて調節され得る。因子(agent)のいくつかの異なるクラスが、GRアゴニスト結合の生理学的効果をブロックし得る。これらアンタゴニストは、GRへの結合によって、アゴニストが上記GRに効率的に結合するおよび/もしくは活性化する能力をブロックする組成物を含む。1つのこのような公知のGRアンタゴニストであるミフェプリストンは、ヒトにおける有効な抗グルココルチコイド因子であることが見いだされた(非特許文献1)。ミフェプリストンは、解離定数(K)10−9Mで、高親和性で上記GRに結合する(非特許文献2)。
コルチゾールに加えて、他のステロイドの生物学的効果は、レセプター調節因子(例えば、アゴニスト、部分アゴニストおよびアンタゴニスト)を使用して、上記GRレベルにおいて調節され得る。それを必要とする被験体に投与される場合、ステロイドは、意図された治療効果(例えば、グルココルチコイドレセプターのトランス抑制(transrepression)を刺激することによって)、ならびに負の副作用(例えば、慢性のグルココルチコイドレセプタートランス活性化によって)の両方を提供し得る。
Bertagna(1984)J.Clin.Endocrinol.Metab.59:25 Cadepond(1997)Annu.Rev.Med.48:129
当該分野で必要とされることは、脂肪肝疾患を処置するためのGRレセプターを調節するための新たな組成物および方法である。驚くべきことに、本発明は、これらおよび他の必要性を満たす。
発明の簡単な要約
一実施形態において、本発明は、脂肪肝疾患を処置する方法を提供する。本方法は、脂肪肝疾患の処置を必要とする被験体に、治療有効量の式Iの化合物を投与し、それによって脂肪肝疾患を処置する工程を包含し、式Iの化合物は構造:
を有する。式Iの化合物において、破線は、存在しないかもしくは結合である。Xは、OもしくはSである。Rは、1〜3個のR1a基で必要に応じて置換された、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。各R1aは、独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル−OR1b、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアロキシ、−OR1b、−NR1b1c、−C(O)R1b、−C(O)OR1b、−OC(O)R1b、−C(O)NR1b1c、−NR1bC(O)R1c、−SO1b、−SONR1b1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。R1bおよびR1cは、各々、HもしくはC1−6アルキルである。Rは、H、C1−6アルキル、C1−6アルキル−OR1b、C1−6アルキル−NR1b1cもしくはC1−6アルキレン−ヘテロシクロアルキルである。Rは、HもしくはC1−6アルキルである。Arは、1〜4個のR基で必要に応じて置換されたアリールである。各Rは、H、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6ハロアルキルもしくはC1−6ハロアルコキシである。Lは、結合もしくはC1−6アルキレンである。下付文字nは、0〜3の整数である。本明細書に記載される化合物の塩および異性体もまた、含まれる。
図1は、高脂肪餌およびビヒクルの投与を受けた対照マウスに対する、高脂肪餌および化合物1(60mg/kg/日)の投与を受けたマウスに由来する、Oil Red O染色した肝臓における、脂肪(脂質滴)の割合を示す。
図2Aおよび2Bは、高脂肪(「HF」)餌および化合物1(図2A)の投与を受けたマウス、ならびに高脂肪餌およびビヒクルの投与を受けた対照マウス(図2B)に由来する肝臓からの脂質滴のOil Red O染色を示す。
図3は、高脂肪餌およびビヒクルの投与を受けた対照マウスに対する、高脂肪餌、およびミフェプリストンもしくは化合物1(60mg/kg/日)のいずれかの投与を受けたマウスに由来する、Oil Red O染色した肝臓における、脂肪(脂質滴)の割合を示す。p<0.05「CTRL」と比較した「化合物1」。
図4は、通常の餌を与えられたマウス(「CHOW」群)、3週間、高脂肪餌を与えられたマウス(「HF−3週間」群)、6週間、高脂肪餌を与えられたマウス(「HF−6週間」群)、6週間、高脂肪餌および化合物1を与えられたマウス(「HF+118335−6週間」群)、ならびに6週間高脂肪餌を与えられ、最後の3週間だけ、化合物1を投与されたマウス(「HF−118335 rev」群)の肝臓中のトリグリセリドレベルを示す。**p<0.01「CHOW」との比較、p<0.05、「HF−6週間」との比較、##p<0.01「HF−6週間」との比較。
発明の詳細な説明
I.(一般)
本発明は、脂肪肝疾患に罹患している患者に、本発明の化合物を投与することによって、脂肪肝疾患を処置するための化合物および方法を提供する。いかなる理論にも拘泥しないが、本発明の化合物がグルココルチコイドレセプターに特異的に結合するという当該分野において容認されている理解とは対照的に、本発明における脂肪肝疾患の処置は、ミネラル・コルチコイドレセプターおよびプロゲステロンレセプターなどの他の核レセプターよりもグルココルチコイドレセプターに特異的に結合するよりもむしろ、グルコルチコイド(glucorticoid)レセプターおよびミネラル・コルチコイドレセプターの両方に結合することによって達成される。
II.(定義)
本明細書で使用される略語は、化学分野および生物学分野内のそれらの従来の意味を有する。
置換基が、左から右に書かれたそれらの従来の化学式によって特定される場合、それらは、その構造を右から左に書くことから生じる化学的に同一な置換基を等しく包含する(例えば、−CHO−は、−OCH−に等しい)。
「アルキル」とは、示された炭素原子数を有する、直鎖もしくは分枝鎖の、飽和脂肪族ラジカルをいう。例えば、C−Cアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「アルキレン」とは、1〜7個の炭素原子の直鎖もしくは分枝鎖のアルキレン(すなわち、1〜7個の炭素原子の二価の炭化水素ラジカル)のいずれかをいう;例えば、直鎖アルキレンは、式−(CH−(ここでnは、1、2、3、4、5、6もしくは7である)の二価ラジカルである。好ましくは、アルキレンは、1〜4個の炭素原子の直鎖アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンもしくはブチレン鎖、またはC−C−アルキル(好ましくは、メチル)によって一置換されたか、またはC−C−アルキル(好ましくは、メチル)によって同じかもしくは異なる炭素原子上で二置換されたメチレン、エチレン、プロピレンもしくはブチレン鎖(炭素原子の総数は、最大7個までであり、7個を含む)を表す。当業者は、上記アルキレンの単一の炭素が、二価であり得ること(−CH((CHCH)−(ここでn=0〜5である)におけるように)を認識する。
「アルケニル」は、2〜6個の炭素原子の、少なくとも1個の二重結合を有する、直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素のいずれかをいう。アルケニル基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ビニル、プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブテニル、ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、イソペンテニル、1,3−ペンタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,5−ヘキサジエニル、2,4−ヘキサジエニル、もしくは1,3,5−ヘキサトリエニル。アルケニル基はまた、2〜3個、2〜4個、2〜5個、3〜4個、3〜5個、3〜6個、4〜5個、4〜6個および5〜6個の炭素を有し得る。上記アルケニル基は、代表的には、一価であるが、例えば、上記アルケニル基が2つの部分を一緒に連結する場合は、二価であり得る。
「アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子の、少なくとも1個の三重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖の炭化水素のいずれかをいう。アルキニル基の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、イソブチニル、sec−ブチニル、ブタジイニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、イソペンチニル、1,3−ペンタジイニル、1,4−ペンタジイニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、1,3−ヘキサジイニル、1,4−ヘキサジイニル、1,5−ヘキサジイニル、2,4−ヘキサジイニル、もしくは1,3,5−ヘキサトリイニル。アルキニル基はまた、2〜3個、2〜4個、2〜5個、3〜4個、3〜5個、3〜6個、4〜5個、4〜6個および5〜6個の炭素を有し得る。上記アルキニル基は、代表的には、一価であるが、例えば、上記アルキニル基が2つの部分を一緒に連結する場合は、二価であり得る。
「アルコキシ」は、別の炭化水素に共有結合する能力がある酸素置換基をも有する、上記で記載されるとおりのアルキルラジカル(例えば、メトキシ、エトキシもしくはt−ブトキシ基)をいう。
「ハロゲン」とは、別段示されなければ、単独でもしくは別の置換基の一部としての、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子を意味する。
「ハロアルキル」とは、上記で定義されたとおりのアルキルであって、水素原子のうちのいくつかもしくは全てがハロゲン原子で置換されているものをいう。ハロゲン(ハロ)は、好ましくは、クロロもしくはフルオロを表すが、ブロモもしくはヨードであってもよい。例えば、ハロアルキルとしては、トリフルオロメチル、フルオロメチル、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−フェニルなどが挙げられる。用語「ペルフルオロ」は、少なくとも2個の利用可能な水素がフッ素で置換された化合物もしくはラジカルを定義する。例えば、ペルフルオロメタンとは、1,1,1−トリフルオロメチルに言及する。
「ハロアルコキシ」とは、上記で定義されたとおりのアルコキシであって、水素原子のうちのいくつかもしくは全てがハロゲン原子で置換されているものをいう。「ハロアルコキシ」は、モノハロアルキル(オキシ)およびポリハロアルキル(オキシ)を含むことが意味される。
「アルキルアミン」とは、中で定義されるとおりのアルキル基であって、1個以上のアミノ基を有するものをいう。上記アミノ基は、一級、二級もしくは三級であり得る。上記アルキルアミンは、ヒドロキシ基でさらに置換され得る。本発明において有用なアルキルアミンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミンおよびエタノールアミン。上記アミノ基は、上記アルキルアミンを、該化合物の残りの部分との結合点に連結して、上記アルキル基のω位に存在し得るか、または上記アミノ基は、上記アルキル基の少なくとも2個の炭素原子を一緒に連結し得る。当業者は、他のアルキルアミンが本発明において有用であることを認識する。
「シクロアルキル」とは、3〜12個の環原子を含むか、もしくは示された原子の数を含む、飽和もしくは部分不飽和の、単環式か、縮合二環式かもしくは橋架け多環式の環アセンブリをいう。例えば、C−Cシクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。シクロアルキルはまた、ノルボルニルおよびアダマンチルを含む。
「ヘテロシクロアルキル」とは、3個の環員〜約20個の環員および1〜約5個のヘテロ原子(例えば、N、OおよびS)を有する環系をいう。さらなるヘテロ原子もまた有用であり得る(B、Al、SiおよびPが挙げられるが、これらに限定されない)。上記ヘテロ原子はまた、酸化され得る(例えば、−S(O)−および−S(O)−が挙げられるが、これらに限定されない)。例えば、複素環としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、インドリニル、キヌクリジニルおよび1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル。
「アルキレン−ヘテロシクロアルキル」とは、ヘテロシクロアルキル基(上記で定義されるとおり)であって、アルキレンによって別の基に連結されるものをいう。上記ヘテロシクロアルキルおよび上記ヘテロシクロアルキルがアルキレンによって連結される基は、上記アルキレンの同じ原子もしくは異なる原子に連結され得る。
「アリール」とは、別段示されなければ、ポリ不飽和の、芳香族炭化水素置換基であって、単一の環、または一緒に縮合されるかもしくは共有結合的に連結される複数の環(好ましくは、1〜3個の環)であり得るものを意味する。例としては、フェニル、ビフェニル、ナフチル、およびベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
「ヘテロアリール」とは、N、O、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む(ここで上記窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて酸化され、上記窒素原子(複数可)は、必要に応じて四級化される)アリール基(もしくは環)をいう。ヘテロアリール基は、炭素もしくはヘテロ原子を介して上記分子の残りの部分に結合され得る。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的例としては、以下が挙げられる:フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリル。上記で示されたアリール環系およびヘテロアリール環系の各々についての置換基は、以下で記載される受容可能な置換基の群から選択される。
簡潔さのために、用語「アリール」とは、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)との組み合わせにおいて使用される場合、上記で定義されるとおりのアリール環およびヘテロアリール環の両方を含む。従って、用語「アリールアルキル」とは、アリール基がアルキル基に結合されているそれらのラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)であって、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子によって置換されたそれらのアルキル基を含むもの(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むことが意図される。同様に、用語「ヘテロアリールアルキル」とは、ヘテロアリール基がアルキル基に結合されるそれらのラジカルを含むことが意味される。
上記用語の各々(例えば、「アルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)は、示されたラジカルの置換された形態および置換されていない形態の両方を含むことが意味される。ラジカルの各タイプについての置換基の例は、以下に提供される。
上記アルキルラジカルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしばいわれるそれらの基を含む)についての置換基は、以下から選択されるが、これらに限定されない種々の基のうちの1個以上であり得る:−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NR(SO)R’、−CNおよび−NO(ゼロから(2m’+1)までの範囲の数において、ここでm’は、このようなラジカル中の炭素原子の総数である)。R’、R”、R”’およびR””は、各々、好ましくは、独立して、水素、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール)、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基をいう。本発明の化合物が1個より多くのR基を含む場合、例えば、上記R基の各々は、R’、R”、R’”およびR””基のうちの1個より多くが存在する場合に、これら基各々であるように独立して選択される。R’およびR”が、同じ窒素原子に結合される場合、それらは、上記窒素原子と組み合わされて、4員環、5員環、6員環、もしくは7員環を形成し得る。例えば、−NR’R”は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むが、これらに限定されないことが意味される。置換基の上記の考察から、当業者は、用語「アルキル」が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCH)など)に結合された炭素原子を含む基を含むことが意味されることを理解する。
上記アルキルラジカルに関して記載された置換基に類似して、上記アリール基およびヘテロアリール基についての置換基は様々であり、例えば、以下から選択される:芳香族環系の空いている原子価(open valence)のゼロから総数までの範囲の数につき、ハロゲン、−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR’”、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NR(SO)R’、−CNおよび−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、およびフルオロ(C−C)アルキル;およびここでR’、R”、R”’およびR””は、好ましくは、水素、置換されたかもしくは置換されていないアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されたかもしくは置換されていないアリールおよび置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリールから独立して選択される。本発明の化合物が1個より多くのR基を含む場合、例えば、上記R基の各々は、R’、R”、R’”およびR””基のうちの1個より多くが存在する場合に、これら基各々であるように独立して選択される。
2個の置換基が、「必要に応じて一緒に結合されて、環を形成する」場合、上記2個の置換基は、上記2個の置換基が結合される1個の原子または複数の原子と一緒になって共有結合して、置換されたかもしくは置換されていないアリール環、置換されたかもしくは置換されていないヘテロアリール環、置換されたかもしくは置換されていないシクロアルキル環、または置換されたかもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル環を形成する。
「塩」とは、本発明の方法において使用される化合物の酸塩もしくは塩基塩をいう。薬学的に受容可能な塩の例示的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。上記薬学的に受容可能な塩は、非毒性であることが理解される。適切な薬学的に受容可能な塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985(これは、本明細書に参考として援用される)において見いだされ得る。
「水和物」とは、少なくとも1個の水分子と複合体化している化合物をいう。本発明の化合物は、1〜10個の水分子と複合体化し得る。
「異性体」とは、同じ化学式を有するが、構造的には区別可能である化合物をいう。
「互変異性体」とは、平衡状態で存在しかつ一方の形態から他方の形態に容易に変換される2種以上の構造異性体のうちの一方をいう。
「薬学的に受容可能な賦形剤」および「薬学的に受容可能なキャリア」とは、活性薬剤の被験体への投与および被験体による吸収を補助する物質をいい、上記患者に対して著しく有害な毒物学的影響を引き起こすことなく、本発明の組成物に含まれ得る。薬学的に受容可能な賦形剤の非限定的例としては、水、NaCl、生理食塩液、乳酸加リンゲル液(lactated Ringer’s)、標準の(normal)スクロース、標準のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング、甘味剤、矯味矯臭剤および着色剤などが挙げられる。当業者は、他の薬学的賦形剤が本発明において有用であることを認識する。
「処理する、処置する(treat)」、「処理すること、処置すること(treating)」、および「処理、処置(treatment)」とは、傷害、病状もしくは状態の処置もしくは改善(任意の客観的もしくは主観的なパラメーター(例えば、緩和;軽減;症状を減らすこと、または傷害、病状もしくは状態を患者にとってより耐容性にすること;変性もしくは減退の速度が遅くなること;変性の最終点をより衰弱しないようにすること;患者の肉体的もしくは精神的な福祉を改善することが挙げられる)における増進の任意の特徴をいう。症状の処置もしくは改善は、客観的もしくは主観的なパラメーターに基づき得る;これらパラメーターとしては、身体検査、神経精神病学的検査、および/もしくは精神医学的評価の結果が挙げられる。
「核レセプター」とは、ステロイドおよび甲状腺ホルモン、ならびに合成ホルモンおよび化合物を感知およびそれらに応答することに関与するタンパク質のクラスをいう。とりわけ、甲状腺ホルモンレセプター様、レチノイドXレセプター様、エストロゲンレセプター様および神経成長因子IB様を含む、いくつかのサブファミリーが存在する。このサブファミリーである、エストロゲンレセプター様としては、エストロゲンレセプター、エストロゲン関連レセプターおよび3−ケトステロイドレセプターのファミリーが挙げられる。3−ケトステロイドレセプターファミリーとしては、これらに限定されないが、グルココルチコイドレセプター(GR)、ミネラル・コルチコイドレセプター(MR)、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)およびアンドロゲンレセプター(AR)などの多数のレセプターが挙げられる。
「グルココルチコイドレセプター」(「GR」)とは、コルチゾールおよび/もしくはコルチゾールアナログに特異的に結合する細胞内レセプターのファミリーをいう。上記グルココルチコイドレセプターは、コルチゾールレセプターともいわれる。上記用語は、GRのアイソフォーム、組換えGRおよび変異したGRを含む。「グルココルチコイドレセプター」(「GR」)とは、デキサメタゾンなどの、コルチゾールおよび/もしくはコルチゾールアナログに特異的に結合するタイプII GRをいう(例えば、TurnerおよびMuller、J Mol Endocrinol 2005年10月1日、35巻、283〜292頁を参照のこと)。ヒト核レセプターに対する本発明の化合物の阻害定数(K)は、0.0001nM〜1,000nMの間、好ましくは0.0005nM〜10nMの間、および最も好ましくは0.001nM〜1nMの間である。
「核レセプターを調節する」とは、グルココルチコイド、グルココルチコイドアンタゴニスト、アゴニストおよび部分アゴニストに対するグルココルチコイドレセプター、ならびにミネラル・コルチコイド、MRアンタゴニスト、アゴニストおよび部分アゴニストに対するミネラル・コルチコイドレセプターの応答を調整するための方法をいう。上記方法は、GRおよびMRと有効量のアンタゴニスト、アゴニストもしくは部分アゴニストのいずれかとを接触させる工程、ならびにGR活性、もしくはGRおよびMR活性の変化を検出する工程を包含する。
「核レセプター調節因子」とは、GRへのグルココルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、コルチゾール、またはコルチゾールアナログ(合成もしくは天然))の結合を調節する、およびMRへのMRアゴニスト(例えば、アルドステロンもしくはそのアナログ)の結合を調節する、任意の組成物もしくは化合物をいう。上記調節は、GRへのGRアゴニストの結合、および/もしくはMRへのMRアゴニストの結合を部分的にもしくは完全に阻害する(拮抗する)ことを包含し得る。
「拮抗する」とは、レセプター分子におけるアゴニストの結合をブロックするか、またはレセプター−アゴニストによって生成されるシグナルを阻害することをいう。レセプターアンタゴニストは、アゴニスト媒介性応答をブロックするかもしくは低下させる。
「グルココルチコイドレセプターアンタゴニスト」とは、GRへのグルココルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、コルチゾール、またはコルチゾールアナログ(合成もしくは天然))の結合を部分的にもしくは完全に阻害する(拮抗する)任意の組成物もしくは化合物をいう。
「特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニスト」もしくは「特異的ミネラル・コルチコイドレセプターアンタゴニスト」とは、アゴニストへのGRおよび/またはMRの結合と関連する任意の生物学的応答を阻害する任意の組成物もしくは化合物をいう。「特異的」によって、本発明者らは、上記薬物が、他の核レセプター(例えば、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)もしくはアンドロゲンレセプター(AR))よりむしろ、上記GRおよび/もしくはMRに優先的に結合することを意図する。
「ミネラル・コルチコイドレセプター」とは、実質的に等しい親和性で、アルドステロンなどのミネラル・コルチコイド、およびコルチゾールなどのグルココルチコイドに結合する、細胞内レセプターのファミリーをいう。ミネラル・コルチコイドレセプター(MR)は、アルドステロンレセプターもしくは核レセプターサブファミリー3の群Cのメンバー2(NR3C2)ともいわれる。MRは、サイトゾルレセプターファミリーに属する。MRは、アルドステロンおよびその前駆体であるデオキシコルチコステロンなどのミネラル・コルチコイド、ならびにコルチゾールのようなグルココルチコイドによって活性化される。
「ミネラル・コルチコイドレセプターアンタゴニスト」とは、MRへのミネラル・コルチコイドレセプター(MR)アゴニスト(例えば、アルドステロン、またはアルドステロンアナログ(合成もしくは天然))の結合を部分的にもしくは完全に阻害する(拮抗する)任意の組成物もしくは化合物をいう。
「患者」もしくは「被験体」とは、本明細書で提供されるとおりの薬学的組成物の投与によって処置され得る状態に罹患しているか、上記状態に罹りやすい生きた生物をいう。非限定的な例としては、ヒト、他の哺乳動物および他の非哺乳動物が挙げられる。
「治療上有効な量」とは、同定された疾患もしくは状態を処置もしくは改善するために、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すために有用な結合体化された機能剤もしくは薬学的組成物の量に言及する。上記効果は、当該分野で公知の任意のアッセイ方法によって検出され得る。
用語「a」、「an」、もしくは「a(n)」とは、本明細書において置換基の群もしくは「置換基」を参照して使用される場合、少なくとも1個を意味する。例えば、化合物が「1個の」アルキルもしくはアリールで置換される場合、上記化合物は、少なくとも1個のアルキルおよび/もしくは少なくとも1個のアリールで必要に応じて置換され、ここで各アルキルおよび/もしくはアリールは、必要に応じて、異なる。別の例において、化合物が「1個の」置換基で置換されている場合、上記化合物は、少なくとも1個の置換基で置換され、ここで各置換基は、必要に応じて異なる。
「脂肪肝疾患」とは、少なくとも部分的に、異常な肝脂質沈着によって引き起こされる、疾患もしくは病理学的状態をいう。脂肪肝疾患としては、例えば、アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患および急性妊娠脂肪肝が挙げられる。脂肪肝疾患は、例えば、大滴性脂肪変性もしくは小滴性脂肪変性であり得る。
「アルコール関連肝疾患」もしくは「ARLD」とは、アルコールの過剰消費よって完全にもしくは部分的に引き起こされる、またはそれに起因する肝臓の疾患をいう。ARLDには、アルコール性脂肪肝(AFL、脂肪肝疾患のサブタイプ)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、アルコール誘発性肝硬変およびアルコール性肝細胞がんという、4つの主なタイプがある。本明細書で使用される場合、「アルコールの過剰消費」とは、一般に、約15〜30g/日を超えるエタノールの消費をいう。
肝機能もしくは疾患に及ぼすアルコール消費の生理学的影響は、個体の感受性およびARLDの臨床的経過の両方を改変する、様々な遺伝的および非遺伝的因子に依存する。したがって、ある患者では、ARLDは、少なくとも約12g/日、約15g/日、約20g/日、約25g/日もしくはそれ超の消費を含む、はるかに少ない量のアルコール消費でも発症する恐れがある。さらに、一部の患者では、アルコールの1日あたりの消費推定量は、多量のアルコール消費期間およびほとんどもしくは全くアルコール消費がない期間を含む平均値であることが理解される。このような平均値は、少なくとも約1週間、約2週間、約1ヶ月間、約3ヶ月間、約6ヶ月間、約9ヶ月間、約1年間、約2年間、約3年間もしくは約4年間、またはそれ超にわたる、アルコール消費の平均を含むことができる。いくつかの場合において、肝機能異常がARLDであるかどうかの決定は、以下:アルコール飲料の消費量およびタイプ(例えば、ビールもしくは蒸留酒)、アルコールの乱用の期間、飲酒行動のパターン(例えば、短期間での大量の飲酒、食事と一緒に消費しない飲酒など)、性別、民族性、メタボリックシンドロームもしくは糖尿病、鉄過剰負荷、または肝炎ウイルスによる感染、遺伝のマーカーなどの共存する疾患の状態、家族歴、肝酵素レベル、炎症誘発性サイトカインレベル、遺伝子もしくはタンパク質発現分析、または肝組織もしくは細胞の病理組織検査を含むが、これらに限定されない様々な因子に対する参照に基づく。
「アルコールの過剰摂取に関連しない肝臓障害」は、ARLDと区別される肝臓障害である。したがって、このような障害は、アルコール消費によって引き起こされない幅広い肝疾患をいう。例えば、肝炎は、ウイルス感染によって引き起こされ得る。過剰アルコール消費および他の因子によって引き起こされる肝臓障害は、アルコールの過剰摂取と無関係な肝臓障害というよりはむしろ、ARLDと見なされる。対照的に、過剰アルコール消費によって単に悪化した肝臓障害は、アルコールの過剰摂取に無関係な肝臓障害と見なされる。
「非アルコール性脂肪肝疾患」もしくは「NAFLD」とは、肝臓における脂肪(脂質)の存在、および実質的な炎症もしくは肝臓損傷がないことによって特徴付けられる脂肪肝疾患をいう。NAFLDは、非アルコール性脂肪性肝炎に、次に、非可逆な、増悪した肝瘢痕化もしくは肝硬変へと進行する恐れがある。
「非アルコール性脂肪性肝炎」もしくは「NASH」とは、アルコール性肝疾患に似ているが、ほとんどもしくは全くアルコールを飲まない人に起こる、脂肪肝疾患をいう。NASHにおける主な特徴は、炎症および損傷に加えて、肝臓に脂肪があることである。NASHは、肝硬変をもたらす恐れがあり、この場合、肝臓は恒久的に損傷を受けて瘢痕化し、もはや適性に機能することができない。NASHとNAFLDとの診断区別は、肝生検によって決定することができる。
本発明の化合物の記載は、当業者に公知の化学結合の原理によって制限される。よって、基が、多くの置換基のうちの1個以上によって置換され得る場合、このような置換は、化学結合の原理と適合し、本質的に不安定でなく、そして/または周囲条件(例えば、水性、中性、もしくは生理学的条件)下でおそらく不安定であると当業者に公知である化合物を与えるように、選択される。
III.(脂肪肝疾患)
脂肪肝疾患(FLD、脂肪肝としても公知)は、脂質が肝細胞に蓄積すると、発生する、広く行き渡っている肝臓状態である。脂質の蓄積により、細胞傷害が引き起こされ、肝臓はさらなる傷害に影響を受けやすくなる。脂肪肝疾患は、肝細胞における、一般に、肝細胞による脂質の異常滞留(すなわち、脂肪変性)によって引き起こされる、肝細胞における過剰脂肪(脂質)の形成によって特徴付けられる。脂肪に加えて、タンパク質および水が肝細胞に滞留し、これにより、肝細胞の膨張をもたらす恐れがある。肝臓における脂肪の蓄積は、肝細胞および脂肪細胞の脂質代謝において、以下:(1)肝臓への遊離脂肪酸送達の増加、(2)肝臓内での遊離脂肪酸合成の増大、(3)脂肪酸のβ−酸化の低下、および(4)超低密度リポタンパク質合成もしくは分泌の低下の工程のうちの1つの逸脱に起因し得る。(Baconら、Gastroenterology、1994年、107巻:1103〜1109頁)。
FLDは、インスリン抵抗性、肥満および高血圧に関連するものなどの、過剰アルコール消費および代謝性障害を含む、いくつかの原因から発生し得る。上記の疾患は、肥満個体もしくは糖尿病を有する個体に最も広く行き渡っている。アルコール誘発性脂肪肝疾患(AFL)では、最初に、肝細胞において脂肪が蓄積するが、次に、この疾患は、アルコール性肝炎へと進行する恐れがあり、このアルコール性肝炎は、個体がアルコールの消費を継続すると、肝臓の腫れおよび損傷状態を引き起こす。個体は、アルコール性肝硬変もしくは肝臓の瘢痕化を発症することもあり、ひいては、肝不全を引き起こし得る。多量飲酒者は、経時的に、AFLからアルコール性肝炎、アルコール性肝硬変へと進行する恐れがある。
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、AFLの組織学的特徴を有するが、ほとんどもしくは全くアルコールを消費しない個体における、肝臓障害である。AFLのように、NAFLDは、肝細胞による脂肪(脂質)の異常滞留による。他の脂肪肝疾患は、これらに限定されないが、慢性ウイルス性C型肝炎(HCV)、慢性ウイルス性B型肝炎(HBV)、慢性自己免疫肝炎(AIH)、糖尿病およびウィルソン病などの他のタイプの肝疾患を有する患者において発症し得る。脂肪肝はまた、薬物、例えば胃腸障害(例えば、腸内細菌の成長、胃不全麻痺および過敏性腸症候群)、化学療法、肥満に対する胃腸の外科手術、栄養失調、および脂質を処理するタンパク質における遺伝的欠損による障害などの脂質代謝における乱れによって引き起こされる適応症にも関連し得る。
いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は、アルコール関連肝疾患(ARLD)もしくは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。いくつかの例において、アルコール関連肝疾患は、アルコール脂肪肝疾患(AFL)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)もしくはアルコール性肝硬変である。いくつかの例において、非アルコール性脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)もしくは非アルコール性肝硬変である。
A.(アルコール関連肝疾患(ARLD))
アルコール関連肝疾患(ARLD)は、アルコール誘発性脂肪肝疾患(AFL)、アルコール性肝炎およびアルコール性肝硬変を含む、アルコール関連もしくはアルコール誘発性の、肝臓病変のファミリーを記載する。アルコールの慢性および多量の消費者である人は事実上全て、AFLを発症するであろう。さらに、一般集団における肥満、糖尿病およびメタボリックシンドロームなどの複雑な因子が高度に広く行き渡っているため、アルコールの慢性的な多量消費者の基準を満たさない多数の個体は、AFLの発症の影響を受けやすい。
AFLは、超音波によって診断することができる。通常、AFLを有する患者の肝臓は、「エコー源性」として現れ、画像化音波に対して通常よりも密であることを意味する。さらに、肝臓は、腫れおよび大量の脂肪の存在のために、通常、肥大している。
AFLはまた、1つもしくは複数の症状もしくはリスク因子(例えば、肥満、糖尿病、飲酒行動など)の現れによって示され、こうしてそれらにより診断され得る。脂肪肝疾患は、疲労、筋力低下、腹部不快感、体重減少および混乱などの症状を示し得る。しかし、脂肪肝疾患は、通常、明白な身体症状を示さない。脂肪肝疾患はまた、肝臓の炎症もしくは肝線維症を伴うか、もしくはこれらに先行し得る。脂肪肝疾患を有する患者は、一般に、高い血清の肝酵素レベルを示す。さらに、いくつかの肝臓酵素の相対レベルが変化する。AFLは、一般に、血清において、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)のレベルよりも高いアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを示す。これにより、ALTがASTよりも高い、非アルコール性脂肪肝疾患とは区別される。
AFLには、4つの主な病原性因子が存在する:(1)脂肪酸およびトリグリセリド合成が有利となり、かつ脂肪酸のミトコンドリアによるβ−酸化を阻害する、アルコールの酸化によって引き起こされるNADHの生成の増加、(2)脂肪組織に由来する遊離脂肪酸、および腸粘膜に由来するカイロミクロンの肝臓への流入の増大、(3)ペルオキシソーム増殖活性化レセプターα(PPARα)を阻害し、ステロール調節エレメント結合タンパク質1c(SREBP1c)を刺激することによって、脂質生成の増加および脂質分解の低下をもたらす、アデノシン一リン酸活性化キナーゼ(AMPK)活性のエタノール媒介性阻害、ならびに(4)それぞれ、NADH酸化の低下およびVLDLの蓄積をもたらす、アセトアルデヒドによるミトコンドリアおよび微小管への損傷。
AFLの成功を収めた処置は、1つもしくは複数の臨床的症状、実験室的症状もしくは組織病理学的症状の改善によって示される。例えば、成功を収めた処置は、例えば、超音波試験によって示されるとおり、脂肪肝の体積の減少によって示すことができる。別の例として、成功を収めた処置は、疲労、脱力感、もしくは体重減少の停止などの1つもしくは複数の臨床症状の減少によって示すことができる。別の例として、成功を収めた処置は、肝酵素レベルの正常化もしくは相対レベルの正常化(例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/アラニンアミノトランスフェラーゼ比の正常化)によって示すことができる。
アルコール性肝炎もしくはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)は、AFLの後のARLDの次のステージである。したがって、AFLは、ASHの発症の前提要件である。アルコールの解毒のために入院した患者の全ての肝生検の17パーセントはASHであることが明らかになり、アルコール性肝硬変を有する患者の40%が、硬変した肝臓においてASHをやはり有する。患者の25パーセントが、肝不全および肝性脳症の臨床的徴候を有する、過度な肝壊死を発症している。重度の場合、ASHは、深刻な肝損傷、血流への耐性増大を引き起こすことがあり、予後不良と関連する。重度のASHの急性死亡率は、約15%〜25%の間である。ASHは、肝臓の炎症によって特徴付けられる。(1)アセトアルデヒド誘発性毒性作用、(2)活性酸素種(ROS)の生成およびその結果生成する脂質過酸化、(3)炎症誘発性サイトカインのアップレギュレーション、ならびに(4)ユビキチン−プロテアソーム経路の機能の障害を含む、様々な因子が、ASHの発症の一因となり得る。
アセトアルデヒドは、タンパク質およびDNAに結合して、機能的変質およびタンパク質付加物をもたらす。このような付加物は、自己抗原の形成によって免疫系を活性化することができる。アセトアルデヒドはまた、ミトコンドリアの損傷を誘発し、グルタチオンの機能を損ない、酸化ストレスおよびアポトーシスに至らしめる。
ROSの主要源はCYP2E1依存性ミトコンドリアの電子伝達、NADH依存性シトクロムレダクターゼ、およびキサンチンオキシダーゼである。慢性アルコール摂取は、ROS生成を悪化させる、CYP2E1を著しくアップレギュレートする。さらに、CYP2E1は、エタノールを代謝してアセトアルデヒドにし、タンパク質およびDNAのさらなる変質をもたらす。
アルコール代謝産物およびROSは、肝臓の常在細胞における、NF−κB、STAT−JAKおよびJNKによって媒介されるものなどのシグナル伝達経路を刺激し、TNFαおよびCXCケモカイン(例えば、インターロイキン−8)、ならびにオステオポンチンなどの炎症性メディエータの局所合成をもたらす。アルコール乱用は、結腸の微生物相の変化、および腸透過性の増大ももたらし、CD14/TLR4によってクップフェル細胞中の炎症作用を誘発するリポポリサッカライドの血清レベルの上昇に至る。アルコール性肝臓において得られた炎症環境により、多形核白血球(PMN)の浸潤、ROS形成および肝細胞損傷に至る。
ASHの組織病理学は、壊死を伴う肝細胞の気球状変性、アポトーシスの増大、および多くの場合、マロリーデンク体(MDB)の発生によって特徴付けられ得る。ASHの組織病理学はまた、多形核細胞、T−リンパ球もしくはナチュラルキラー細胞を含む、免疫細胞の浸潤も示し得る。MDBは、予後不良に関係する。MDBに加えて、ASHを有する患者の肝細胞において巨大ミトコンドリアを観察することができる。ASHのさらなる組織病理学的特徴としては、大滴性脂肪変性、小滴性脂肪変性、小葉性肝炎、核液胞、細胆管増生、肝細胞周囲性線維症および線維症、もしくは肝硬変が挙げられる。
ASHを有する患者は、進行性線維症を発症することがある。ARLDでは、繊維性組織は、周心領域および類洞周囲領域に通常、位置している。増悪ステージでは、コラーゲンバンドが明白であり、架橋性線維症を発症する。この状態は、再生結節および肝硬変の発症に先行する。ARLDにおける線維症の細胞および分子機構は、完全には理解されていない。アセトアルデヒドなどのアルコール代謝産物は、傷害を受けた肝臓における主なコラーゲン産生細胞である、肝星細胞(HSC)を直接、活性化することができる。HSCはまた、損傷を受けた肝細胞、活性化されたクップフェル細胞および浸潤性PMN細胞によって、パラクリン的に(paracrinally)活性化することもできる。これらの細胞は、増殖因子(TGF−β1、PDGF)、サイトカイン(レプチン、アンジオテンシンII、インターロイキン−8およびTNFα)、可溶性メディエータ(一酸化窒素)およびROSなどの線維形成メディエータを放出する。重要なことに、ROSは、ERK、PI3K/AKTおよびJNKによって媒介されるものを含む、HSCにおける線維形成促進性細胞内シグナル伝達経路を刺激する。それらは、またTIMP−1をアップレギュレーションし、メタロプロテイナーゼの作用を低下させ、それによってコラーゲン蓄積を促進する。HSC以外の細胞も、ARLDにおいてコラーゲンを合成することができる。それらは、門脈線維芽細胞および骨髄由来細胞を含む。
ASHは、幅広い主観的および客観的な臨床知見の強度および頻度により、軽度、中等度および重度の形態に分類することができる。ASHの臨床症状としては、多くの場合、発熱および黄疸を伴う、非特異性の右上腹部疼痛、吐き気および嘔吐が挙げられる。他の症状としては、以下が挙げられる:疲労、ドライマウスおよび口渇の増大、もしくは食道の下部壁における拡張静脈からの出血。ASHであることを示す他の皮膚状態としては、以下が挙げられる:皮膚上の小さな赤いクモ様静脈、非常に黒いかもしくは青白い皮膚、足もしくは手の赤み、またはかゆみ。ASHを有する患者は、アルコールの離脱症状および栄養失調の徴候を示すこともある。さらなる臨床マーカーとしては、肝臓肥大、腹水、食欲不振、脳症、脾腫、体重減少、すい臓炎もしくは胃腸の出血が挙げられる。重度の場合、患者は、思考、記憶および気分、失神もしくは頭部ふらふら感、または脚および足の無感覚に関する問題を示し得る。
ASHの血清および血液マーカーとしては、アラニンアミノトランスフェラーゼよりも高いレベルのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを伴う、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼの活性の上昇が挙げられる。通常、ガンマグルタミルペプチダーゼも、ASH患者において上昇する。高いガンマグルタミルペプチダーゼは一般に、エタノールによる酵素誘導によるものと考えられている。しかし、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼレベルは、肝細胞損傷のマーカーと考えられている。患者の40〜80%がやはり、高いアルカリホスファターゼ活性レベルを示す。重度のASHでは、ベータおよびガンマグロブリンレベルが上昇する。さらに、ASHは、中毒性顆粒形成および発熱を伴う白血球数の増加を示し得る。ASHに関する血液異常としては、大球性低色素性貧血および血小板増加が挙げられる。重度のASHはまた、プロトロンビン時間、血清ビリルビンもしくは血清アルブミンなどの一次肝機能を示すパラメータの低下も示し得る。いくつかの場合において、ASHは、尿ビリルビンの存在によって検出することができる。
ASHは、一般に、超音波により、AFLとは判別不能である。しかし、超音波は、肝外胆汁うっ滞を除外するのに有用になり得、この肝外胆汁うっ滞は、類似した臨床症状(例えば、黄疸)を示し得る。臨床マーカー、血清もしくは血液マーカー、および超音波の検査によって診断を確立することができない場合、肝生検が行われることがある。肝生検はまた、疾患の重症度を決定する、もしくは薬理学的インターベンションを導く一助になり得る。
ASHの成功を収めた処置は、1つもしくは複数の臨床的症状、実験室的症状もしくは組織病理学的症状の改善によって示される。例えば、成功を収めた処置は、例えば、超音波試験によって示されるとおり、脂肪肝の体積の減少によって示すことができる。別の例として、成功を収めた処置は、疲労、脱力感、体重減少の停止などの1つもしくは複数の臨床症状の減少によって示すことができる。別の例として、成功を収めた処置は、肝酵素レベルの正常化もしくは相対レベルの正常化(例えば、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/アラニンアミノトランスフェラーゼ比の正常化)によって示すことができる。さらに別の例として、成功を収めた処置は、ベータおよびガンマグロブリンレベルもしくはアルカリホスファターゼレベルの低下によって示すことができる。別の例として、プロトロンビン時間、血清もしくは尿ビリルビン、および血清アルブミンなどの一次肝機能のパラメータの回復もしくは改善が成功を収めた処置を示し得る。さらにもう1つの例として、成功を収めた処置は、肝臓肥大、腹水、食欲不振、脳症、脾腫、体重減少、すい臓炎もしくは胃腸の出血のうちの1つもしくは複数の改善もしくは停止により示され得る。
アルコール性肝硬変は、炎症、腫れ、線維症、損傷を受けた細胞膜、瘢痕化および壊死によって示される、重篤な肝疾患の末期である。多量飲酒者の約10%〜約20%の間が、肝硬変を発症するであろう。肝硬変の症状としては、黄疸、肝腫大、ならびに疼痛および圧痛が挙げられるが、これらに限定されない。成功を収めた処置は、肝機能悪化の進行速度のいかなる低下によっても示され得る。
B.(非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD))
NAFLDとしては、肝臓の炎症、脂肪変性、肝細胞の乱れによる壊死および線維症によって特徴付けられる、肝臓脂肪症および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含むある範囲の組織学的形態が挙げられる。NAFLDに関連する状態は様々であり、これには、2型糖尿病、肥満、脂質代謝異常、メタボリックシンドローム、肝毒性薬物による処置、毒素、感染性因子、もしくは他の外因性原因が挙げられる。例えば、NAFLDは、例えば、ガラクトース血症、糖原病、ホモシスチン尿症およびチロシン血症(tyrosemia)などの代謝性障害、ならびに栄養失調、完全非経口高栄養、飢餓および栄養過多などの食事条件に起因し得る。特定の場合において、NAFLDは、空腸のバイパス手術に伴う。他の原因としては、例えば炭化水素溶媒などの特定の化学物質、および例えば、アミオダロン、エストロゲン(例えば、合成エストロゲン)、タモキシフェン、マレート、メトトレキセート、ヌクレオシドアナログおよびペルヘキシリンなどの特定の医薬品への曝露が挙げられる。急性脂肪肝状態は、妊娠中にも発生し得る。
NAFLDは、通常、良性の非進行性臨床経過をたどるが、NASHは潜在的に重篤な状態である。NASH患者の25%もの多くが、増悪線維症、肝硬変へと進行し、門脈高血庄症、肝不全および肝細胞癌の合併症を経験する恐れがある(YehおよびBrunt、Am J Clin Pathol、2007年、128巻(5号):837〜47頁)。
NAFLDを有する個体は、無症候性となることがあるが、臨床の実験室試験は、高い肝酵素レベルを示すことができる。個体は、腹部不快感(例えば、右上腹部の不快感)、黒色表皮腫、腸運動不全、昏睡、便秘、播種性血管内凝固症候群、心窩部痛、疲労、不快感、肝臓肥大(一般に、触診時の滑らかで堅い表面を伴う)、低血糖症、黄疸、脂肪腫症、脂肪組織萎縮、リポジストロフィー、吐き気、神経学的欠損、手掌紅斑、脂肪織炎、臍部痛、小腸細菌の過剰成長、クモ状血管腫、脾腫、亜急性肝不全および嘔吐などのNAFLDの症状を示し得る。アルコール関連脂肪肝疾患を除外するための臨床評価としては、個体が過剰のアルコール(例えば、過去5年以内に、男性の場合、>60g/日、および女性の場合、>20g/日)を消費するかどうかを判断することを挙げることができる。個体がNAFLDを有することを示すため、抗C型肝炎抗体および血清セルロプラスミンレベルの存在もしくはレベルを使用することができる。
生化学および代謝の非侵入的評価を使用して、NAFLDおよびNASHを診断することができる。血液、血漿もしくは血清などの生物的試料の使用によって、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(AP)および/もしくはγグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)などの酵素のレベルが高いこと、ならびに肝臓起源の他のタンパク質(ハプトグロビン、総ビリルビン、アルファ−2−マイクログロブリン、レジスチン、開裂もしくは無傷のサイトケラチン−18を含む)の存在が、血清グルコースおよびインスリン抵抗性パラメータに加えて、一般に測定される。ALT活性のレベルが、多くの場合、NASH患者において上昇するので(AnguloおよびLindor、Best Pract Res Clin Gastroenterol、2002年、16巻(5号):797〜810頁)、この基準は、肝臓の傷害を評価するためのサロゲートマーカーと見なされる。
NAFLDもしくはNASHを有することが疑われる個体では、血清のベースライン試験は、AST、ALT、総ビリルビンおよび直接型ビリルビン、ならびに空腹時血清グルコース、ならびに脂質パネルのレベルを測定もしくは決定することを包含し得る。例えば、脂肪変性は、他の原因(例えば、急性肝炎、自己免疫疾患、慢性肝炎、肝硬変、劇症肝炎、肝細胞癌、転移性癌、右心不全およびウイルス性肝炎)が排除された場合、肝酵素(例えば、AST、ALT、GGTおよびアルカリホスファターゼ)の血清中レベルが高い(多くの場合、適度に高い、例えば、正常レベルの約2、3、4、5、6、7、9、10、11もしくは12倍高い)ことによって示され得る。例えば、血清1リットルあたり32、24もしくは56単位を超えるか、または正常値の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12倍もしくはそれ超のALT値が、あるいは血清1リットルあたり40単位を超えるか、または正常値の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12倍もしくはそれ超のAST値によって、肝臓の脂質沈着に関連する障害の指標となり得る。血清中のアミノトランスフェラーゼレベルが軽度から中等度の高さが、最も一般に見いだされる(平均範囲100〜200IU/L)。AST/ALTの比は、NAFLDでは1未満であることが多いが、アルコール性肝疾患もしくは増悪肝疾患を有する患者では、または患者が線維症まで進行している場合、1を超えることがある。GGTレベルもかなり高く、例えば、正常で健常な個体によって定義される正常値の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12倍もしくはそれ超になり得る。肝酵素レベルは、NAFLDを有する大部分の患者では正常になり得、したがって、正常なASTもしくはALTレベルは、増悪疾患の存在を排除しない。血清アルカリホスファターゼおよびGGTレベルは、軽度に異常となり得る。NAFLDを有する患者の80%超がメタボリックシンドロームのある構成要素を有するとすると、空腹時コレステロールおよびトリグリセリド、ならびに空腹時グルコースおよびインスリンの血清中レベルを決定することができる。アルブミン、ビリルビンおよび血小板レベルは、この疾患が肝硬変に発展していなければ、正常となり得る。NAFLDを有する一部の患者は、自己免疫抗体(例えば、抗核および抗平滑筋抗体)の力価が低く、フェリチンが高い(Careyら、「Nonalcoholic Fatty Liver Disease」、Current Clinical Medicine、第2版、Elsevier、New York)。いくつかの実施形態において、1より大きいAST/ALT比により、一層増悪な脂肪肝疾患を予期することができる。
これらに限定されないが、X線画像法、超音波検査、コンピューター断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)および磁気共鳴分光法などの放射線法を使用して、NAFLDを検出することができる。超音波検査により、腎臓と比較した肝臓のエコー源性の増大が、肝臓の脂肪変性を示し得る。
NASHは、肝臓試料(例えば、生検)について、組織病理学的方法を使用して診断され、大滴性脂肪変性、気球状変性、肝細胞壊死、小葉性炎症、巨大ミトコンドリア、炎症細胞の浸潤、アポトーシスおよび線維症を判断することができる(例えば、BruntおよびTiniakos、World J Gastroenterol、2010年、16巻(42号):5286〜8296頁を参照のこと)。肝細胞の膨張は、細胞の腫れおよび腫大、ならびに時としてマロリーデンク体を含有する細胞質の変質の出現によって特徴付けられる。最初に、肝細胞周囲性/中心静脈周囲性(pervenular)線維症、ならびに最終的に、門脈−中心静脈架橋性線維症(portal−central bridging fibrosis)および肝硬変として、線維症も経時的に進展する恐れがある。
ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)、マソントリクローム、Oil Red Oおよび免疫組織化学的染色、ならびに当業者に公知の他の標準的な組織学的方法を行い、組織および細胞の特徴を分析することができる。1つもしくは複数の組織学的特徴を含むスコアリングシステム(例えば、NAFLD活性スコア)を使用して、NASHを含む、NAFLDをスコアリングおよび診断することができる。いくつかの実施形態において、NASH臨床的研究ネットワークの病理委員会(Pathology Committee of the NASH Clinical Research Network)により開発された、NASH臨床的研究ネットワークのスコアリングシステム(NASH Clinical Research Network Scoring System)(例えば、Kleinerら、Hepatology、2005年、41巻(6号):1313〜1321頁を参照のこと)を使用して、個体がNAFLDもしくはNASHを有するかどうかを予期することができる。米国消化器学会(American Gastroenterological Association)、米国肝臓病学会(American Association for the Study of Liver Diseases)および米国消化器病学会(American College of Gastroenterology)により刊行された診療ガイドライン(Chalasaniら、Gastroenterology、2012年、142巻:1592〜1609頁)に従い、臨床医により、非アルコール性脂肪肝、NASHおよびNASH関連性肝硬変を含む、NAFLDを診断もしくはモニタリングし得る。
個体の肝臓は、生検により少なくとも5〜10w/w%の脂肪沈着が明らかになると、脂肪肝であると見なされ得る(例えば、Clarkら、J.Am.Med.Assoc.、2003年、289巻:3000〜3004頁(2003年)およびAdamsら、Can.Med.Assoc.J.、2005年、172巻:899〜905頁を参照のこと)。最大25%(w/w)を含んで脂肪沈着している肝臓は、軽度の脂肪肝と見なすことができ、25%(w/w)より多くを含んで脂肪沈着している肝臓は、重度の脂肪肝と見なすことができる。
NASHを含むNAFLDの処置としては、運動、体重減少、および肝毒素もしくは肝臓を損傷する恐れのある任意の物質の回避が挙げられる。いくつかの実施形態において、治療法は、抗酸化剤、細胞保護剤、抗糖尿病剤、インスリン抵抗性改善剤(例えばメトホルミン)、抗高脂血症剤、他の化学化合物(フィブラート、チアゾリジンジオン(すなわち、ロシグリタゾンもしくはピオグリタゾン)、ビグアニド、スタチン、カンナビノイドなど)、および核レセプター、アンジオテンシンレセプター、カンナビノイドレセプターもしくはHMG−CoAレダクターゼを標的とする他の治療用化合物もしくは分子の投与が挙げられる。
処置の有効性は、疾患の1つもしくは複数の症状または臨床的徴候、ならびに診断に関する上記の試験のいずれかの低下を検出することにより決定することができる。
IV.(化合物)
いくつかの実施形態において、本発明は、式Iの化合物:
を提供し、
ここで上記破線は、存在しないかまたは結合である。Xは、OもしくはSである。Rは、1〜3個のR1a基で必要に応じて置換された、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。各R1aは、独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル−OR1b、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアロキシ、−OR1b、−NR1b1c、−C(O)R1b、−C(O)OR1b、−OC(O)R1b、−C(O)NR1b1c、−NR1bC(O)R1c、−SO1b、−SONR1b1c、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールもしくはヘテロアリールである。R1bおよびR1cは、各々、HもしくはC1−6アルキルである。Rは、H、C1−6アルキル、C1−6アルキル−OR1b、C1−6アルキル−NR1b1cもしくはC1−6アルキレン−ヘテロシクロアルキルである。Rは、HもしくはC1−6アルキルである。Arは、1〜4個のR基で必要に応じて置換されたアリールである。各Rは、H、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6ハロアルキルもしくはC1−6ハロアルコキシである。Lは、結合もしくはC1−6アルキレンである。下付文字nは、0〜3の整数である。本明細書に記載される化合物の塩および異性体もまた、含まれる。
いくつかの他の実施形態において、本発明は、式Iaを有する化合物:
を提供する。
いくつかの実施形態において、Lは、メチレンである。他の実施形態において、Arは、フェニルである。
いくつかの実施形態において、本発明は、式Ibを有する化合物:
を提供する。
いくつかの他の実施形態において、本発明は、式Icを有する化合物:
を提供する。
いくつかの他の実施形態において、本発明は、式Idを有する化合物:
を提供する。
いくつかの実施形態において、R1a、RおよびRは各々、式Iに関して上記で定義されたとおりである。いくつかの実施形態において、式Idの化合物は、各R1aが、独立して、H、C1−6アルキル、ハロゲンもしくはC1−6ハロアルキルであり、RがHもしくはC1−6アルキルであり、各Rが、H、C1−6アルキル、ハロゲンもしくはC1−6ハロアルキルであるものである。
いくつかの実施形態において、本発明は、Rがアリールもしくはヘテロアリールである化合物を提供する。他の実施形態において、Rは、フェニル、ピリジル、ピリミジン、およびチアゾールからなる群より選択される。いくつかの他の実施形態において、各R1aは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6ハロアルキル、−NR1b1c、もしくは−SO1bである。さらに他の実施形態において、各R1aは、C1−6ハロアルキルである。いくつかの他の実施形態において、各R1aは、独立して、H、Me、Et、−OMe、F、Cl、−CF、−NMe、もしくは−SOMeである。いくつかの実施形態において、各R1aは、独立して、H、Me、Et、F、Cl、または−CFである。他の実施形態において、各R1aは、−CFである。いくつかの他の実施形態において、Rは、HもしくはC1−6アルキルである。他の実施形態において、Rは、Hである。
いくつかの実施形態において、本発明は、以下から選択される化合物:
を提供する。
いくつかの実施形態において、化合物は、以下:
である。
いくつかの他の実施形態において、本発明は、以下の式を有する化合物:
を提供する。
本発明の化合物は、塩として存在し得る。本発明は、このような塩を包含する。適用可能な塩形態の例としては、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、スルフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タートレート(例えば、(+)−タートレート、(−)−タートレートもしくはこれらの混合物(ラセミ混合物を含む))、スクシネート、ベンゾエート、ならびにアミノ酸(例えば、グルタミン酸)との塩が挙げられる。これらの塩は、当業者に公知の方法によって調製され得る。塩基付加塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩)もまた、含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩が、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望の酸とを、そのまま(neat)もしくは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、得ることができる。受容可能な酸付加塩の例としては、以下が挙げられる:無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogencarbonic acid)、リン酸、一水素リン酸(monohydrogenphosphoric acid)、二水素リン酸(dihydrogenphosphoric acid)、硫酸、一水素硫酸(monohydrogensulfuric acid)、ヨウ化水素酸(hydriodic acid)、もしくは亜リン酸など)から得られる塩、ならびに有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)から得られる塩。アルギネートなどのようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのような有機酸の塩もまた、含まれる。特定の具体的な本発明の化合物は、上記化合物が塩基付加塩もしくは酸付加塩のいずれかに変換され得るように、塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
他の塩は、本発明の方法において使用される化合物の酸塩もしくは塩基塩を含む。薬学的に受容可能な塩の例示的な例は、鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸など)の塩、有機酸(酢酸、プロピオン酸、グルタミン酸、クエン酸など)の塩、および四級アンモニウム(ヨウ化メチル、ヨウ化エチルなど)の塩である。上記薬学的に受容可能な塩は、非毒性であることが理解される。適切な薬学的に受容可能な塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985(これは、本明細書に参考として援用される)に見いだされ得る。
薬学的に受容可能な塩は、本明細書に記載される化合物で見いだされる特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸もしくは塩基を用いて調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩が、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望の塩基とを、そのままもしくは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、得ることができる。薬学的に受容可能な塩基付加塩の例としては、以下が挙げられる:ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩が、このような化合物の中性形態と、十分な量の所望の酸とを、そのままもしくは適切な不活性溶媒中のいずれかで接触させることによって、得ることができる。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、以下が挙げられる:無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、もしくは亜リン酸など)から得られる塩、ならびに比較的非毒性の有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)から得られる塩。アルギネートなどのようなアミノ酸の塩、およびグルクロン酸もしくはガラクツロン酸などのような有機酸の塩もまた、含まれる(例えば、Berge et al.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19を参照のこと)。特定の具体的な本発明の化合物は、上記化合物が塩基付加塩もしくは酸付加塩のいずれかに変換され得るように、塩基性官能基および酸性官能基の両方を含む。
上記化合物の中性形態は、好ましくは、上記塩と、塩基もしくは酸とを接触させ、従来の様式で親化合物を単離することによって、再生される。上記化合物の親形態は、特定の物理的特性(例えば、極性溶媒中での溶解度)において種々の塩形態とは異なる。
特定の本発明の化合物は、非溶媒和形態、ならびに溶媒和形態(水和形態を含む)において存在し得る。一般に、上記溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含される。特定の本発明の化合物は、複数の結晶形態もしくは非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明によって企図される使用に関しては等価であり、本発明の範囲内にあることが意図される。
特定の本発明の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)もしくは二重結合を有し、そのエナンチオマー、ラセミ混合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、立体異性形態(絶対立体化学の観点において、(R)−もしくは(S)−として、アミノ酸に関しては、(D)−もしくは(L)−として定義され得る)、および個別の異性体は、本発明の範囲内に包含される。本発明の化合物は、不安定すぎて、合成および/もしくは単離もできないことが当該分野で公知である化合物を含まない。本発明は、ラセミ形態および光学的に純粋な形態の化合物を含むことが意味される。光学的に活性な(R)−および(S)−、または(D)−および(L)−異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来の技術を使用して分割され得る。
異性体は、同じ数および種類の原子を有する化合物、従って、同じ分子量を有するが、原子の構造的配置もしくは立体配置(configuration)に関して異なる化合物を包含する。
特定の本発明の化合物が、互変異性形態において存在し得、上記化合物の全てのこのような互変異性形態が、本発明の範囲内にあることは、当業者に明らかである。互変異性体は、平衡状態において存在しかつ一方の異性形態から他方の異性形態へと容易に変換される2種以上の構造異性体のうちの1つをいう。
別段示されなければ、本明細書に示される構造はまた、上記構造の全ての立体化学形態(すなわち、各不斉中心に対するR配置およびS配置)を含むことが意味される。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー混合物およびジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内にある。
別段示されなければ、本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する原子のうちの1個以上において異常な割合の原子同位体を含み得る。例えば、本発明の化合物は、放射性同位体(例えば、重水素(H)、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)、炭素−13(13C)、もしくは炭素−14(14C))などで放射標識され得る。本発明の化合物の全ての同位体バリエーションは、放射性であろうとそうでなかろうと、本発明の範囲内に包含される。
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態にある化合物を提供する。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で化学的変化を容易に受けて、本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エキソビボ環境において、化学的方法もしくは生化学的方法によって、本発明の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素もしくは化学的試薬とともに、経皮パッチレザバ中に置かれた場合、本発明の化合物へとゆっくりと変換され得る。
本発明の化合物は、当該分野で公知の様々な方法によって調製することができる。例えば、その全体において参考として援用される、米国特許第8,685,973号を参照のこと。
V.(医薬組成物)
いくつかの実施形態において、本発明は、薬学的に受容可能な賦形剤および本発明の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
本発明の化合物は、調製され得、種々様々な経口、非経口および局所の剤形で投与され得る。経口調製物としては、上記患者による摂取に適切な、錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ロゼンジ、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などが挙げられる。本発明の化合物はまた、注射(すなわち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、もしくは腹腔内)によって投与され得る。また、本明細書に記載される化合物は、吸入によって、例えば、鼻内に投与され得る。さらに、本発明の化合物は、経皮的に投与され得る。本発明のGR調節因子はまた、眼内経路、膣内経路、および直腸内経路によって投与され得る(坐剤、吹入剤(insufflation)、散剤およびエアロゾル製剤が挙げられる(例えば、ステロイド吸入薬のもの。Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995を参照のこと)。よって、本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤、および式(I)の化合物、または式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩のいずれかを含む薬学的組成物を提供する。
薬学的組成物を本発明の化合物から調製することに関しては、薬学的に受容可能なキャリアは、固体もしくは液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、および分散性の顆粒剤が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、矯味矯臭剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても働き得る、1種以上の物質であり得る。製剤化および投与のための技術に関する詳細は、科学文献および特許文献に十分に記載されている(例えば、最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences,Maack Publishing Co,Easton PA(「Remington’s」)を参照のこと)。
散剤において、上記キャリアは、微細固体であり、これは、微細活性成分(active component)と混合した状態にある。錠剤において、上記活性成分は、適切な割合において必要な結合特性を有するキャリアと混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。
上記散剤および錠剤は、好ましくは、5%もしくは10%〜70%の上記活性化合物を含む。適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などである。用語「調製」は、他のキャリアありもしくはなしで上記活性成分が、キャリアによって囲まれる(よって、上記活性成分はキャリアと会合した状態にある)カプセル剤を提供する、キャリアとしての封入材料での上記活性化合物の製剤化を含むことが意図される。同様に、カシェ剤およびロゼンジが含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、およびロゼンジは、経口投与用に適した固体剤形として使用され得る。
適切な固体賦形剤は、炭水化物もしくはタンパク質充填剤であり、これらとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:糖(ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトールが挙げられる);デンプン(トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、もしくは他の植物に由来する);セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウム);およびガム(アラビアガムおよびトラガカントガムが挙げられる);ならびにタンパク質(例えば、ゼラチンおよびコラーゲン)。所望であれば、崩壊剤および可溶化剤が添加され得る(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、アルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)。
糖衣錠コアは、適切なコーティング(例えば、濃縮糖溶液)を有して提供され、これはまた、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含み得る。染料もしくは色素は、産物識別のために、または活性化合物の量(すなわち、投与量)を特徴付けるために、上記錠剤もしくは糖衣錠に添加され得る。本発明の薬学的調製物はまた、ゼラチンから作製される、例えば、プッシュフィットカプセル剤(push−fit capsule)、ならびにゼラチンおよびコーティング(例えば、グリセロールもしくはソルビトール)から作製される軟質密封カプセル剤を使用して、経口的に使用され得る。プッシュフィットカプセル剤は、充填剤もしくは結合剤(例えば、ラクトースもしくはデンプン)、滑沢剤(例えば、タルクもしくはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて、安定化剤とともに混合された、GR調節因子を含み得る。軟質カプセル剤において、上記GR調節因子化合物は、安定化剤ありもしくはなしで、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、もしくは液体ポリエチレングリコール)中に溶解もしくは懸濁され得る。
坐剤を調製するために、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物もしくはカカオ脂)は、最初に融解され、上記活性成分が、例えば撹拌によって、そこに均一に分散させられる。次いで、その融解した均一な混合物が、慣習的なサイズの型に注がれ、冷却され、それによって固化される。
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤、およびエマルジョン(例えば、水もしくは水/プロピレングリコール溶液)が挙げられる。非経口注射に関しては、液体調製物が、水性ポリエチレングリコール溶液中の液剤に製剤化され得る。
経口使用に適した水性液剤は、上記活性成分を水に溶解し、適切な着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、および所望であれば増粘剤を添加することによって、調製され得る。経口使用に適した水性懸濁剤は、微細活性成分を、水中で粘性物質(例えば、天然もしくは合成のガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガム)、および分散剤もしくは湿潤剤、例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから得られる部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られる部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、とともに分散させることによって、作製され得る。上記水性懸濁剤はまた、1種以上の保存剤(例えば、エチルもしくはn−プロピル p−ヒドロキシベンゾエート)、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤および1種以上の甘味剤(例えば、スクロース、アスパルテームもしくはサッカリン)を含み得る。製剤は、容量オスモル濃度について調整され得る。
固体形態調製物もまた、含まれ、これは、使用直前に、経口投与のための液体形態調製物に変換されることが、意図される。このような液体形態としては、液剤、懸濁剤、およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、上記活性成分に加えて、着色剤、矯味矯臭剤、安定化剤、バッファー、人工および天然の甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
油懸濁剤は、本発明の化合物を、植物性油(例えば、落花生油、オリーブ油、胡麻油もしくは椰子油)中に、または鉱油(例えば、流動性パラフィン);もしくはこれらの混合物中に懸濁することによって、製剤化され得る。上記油懸濁剤は、増粘剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィンもしくはセチルアルコール)を含み得る。甘味剤は、口に合う経口調製物を提供するために添加され得る(例えば、グリセロール、ソルビトールもしくはスクロース)。これらの製剤は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)の添加によって保護され得る。注射用油ビヒクルの例としては、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997を参照のこと。本発明の薬学的製剤はまた、水中油型エマルジョンの形態にあり得る。その油相は、植物性油もしくは鉱油(上記に記載)、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然に存在するガム(例えば、アカシアガムおよびトラガカントガム)、天然に存在するホスファチド、例えば、大豆レシチン、脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られるエステルもしくは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ならびにこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、が挙げられる。上記エマルジョンはまた、シロップ剤およびエリキシル剤の製剤化におけるように、甘味剤および香味剤を含み得る。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、もしくは着色剤を含み得る。
本発明の化合物は、アプリケータースティック、液剤、懸濁剤、エマルジョン、ゲル、クリーム剤、軟膏、パスタ剤、ゼリー、塗布剤(paints)、散剤、およびエアロゾルとして製剤化されて、経皮的に、局所経路によって送達され得る。
本発明の化合物および組成物はまた、身体での遅延放出のためにマイクロスフェアとして送達され得る。例えば、マイクロスフェアは、ゆっくりと皮下に放出する薬物含有マイクロスフェアの皮内注射(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645,1995を参照のこと)を介して;生分解性かつ注射用のゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857−863,1995を参照のこと);または経口投与のためのマイクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997を参照のこと)投与され得る。経皮経路および皮内経路の両方が、数週間もしくは数ヶ月間にわたって一定の送達を提供する。
本発明の薬学的製剤は、塩として提供され得、多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない)とともに形成され得る。塩は、その対応する遊離塩基形態である水性もしくは他のプロトン性溶媒中に、より溶解性である傾向にある。他の場合には、上記調製物は、使用前に緩衝液と組み合わせられる、1mM〜50mM ヒスチジン、0.1%〜2% スクロース、2%〜7% マンニトール(4.5〜5.5のpH範囲において)中の凍結乾燥粉末であり得る。
別の実施形態において、本発明の製剤は、細胞膜と融合するか、またはエンドサイトーシスされるリポソームの使用によって(すなわち、細胞の表面膜タンパク質レセプターに結合してエンドサイトーシスを生じる、上記リポソームに結合したかまたはオリゴヌクレオチドに直接結合される、リガンドを使用することによって)送達され得る。リポソームを使用することによって、特に、リポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを有するか、別の方法で特定の器官に優先的に向けられる場合、上記GR調節因子をインビボで上記標的細胞へと送達することに焦点が当てられ得る(例えば、Al−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989を参照のこと)。
上記薬学的調製物は、好ましくは、単位剤形にある。このような形態において、上記調製物は、上記活性成分の適切な量を含む単位用量へとさらに小分けされる。上記単位剤形は、パッケージされた調製物であり得、そのパッケージは、別個の量の調製物(例えば、パックされた錠剤、カプセル剤、およびバイアルもしくはアンプルに入った散剤)を含む。また、上記単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、もしくはロゼンジ自体であり得るか、またはパッケージされた形態にある、これらのうちのいずれかの適切な数であり得る。
単位用量調製物中の活性成分の量は、特定の適用および上記活性成分の有効性に従って、0.1mg〜10000mg、より代表的には、1.0mg〜1000mg、最も代表的には、10mg〜500mgで変動もしくは調整され得る。上記組成物はまた、必要であれば、他の適合性の治療剤を含み得る。
投薬レジメンはまた、当該分野で周知の薬物動態パラメーター(すなわち、吸収速度、バイオアベイラビリティー、代謝、クリアランスなど)を考慮に入れる(例えば、Hidalgo−Aragones(1996)J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611−617;Groning(1996)Pharmazie 51:337−341;Fotherby(1996)Contraception 54:59−69;Johnson(1995)J.Pharm.Sci.84:1144−1146;Rohatagi(1995)Pharmazie 50:610−613;Brophy(1983)Eur.J.Clin.Pharmacol.24:103−108;最新版Remington’s(前出)を参照のこと)。当該分野の技術水準は、医師が個々の患者、GR調節因子および処置される疾患もしくは状態のために投薬レジメンを決定することを可能にする。
製剤の単一もしくは複数回の投与は、上記患者によって必要とされかつ許容される場合、投与量および頻度に依存して、投与され得る。上記製剤は、上記疾患状態を効率的に処置するために十分な量の活性薬剤を提供するべきである。従って、一実施形態において、本発明の化合物を経口投与するための上記薬学的製剤は、約0.5〜約20mg/kg 体重/日の間の一日量にある。代替の実施形態において、投与量は、約1mg〜約4mg/kg 体重/患者/日であり、これが使用される。より低い投与量が使用され得、特に、上記薬物が、解剖学上隠れた部位(例えば、脳脊髄液(CSF)腔)に、経口投与されるのとは対照的に、血流へ、体腔へもしくは器官の管腔へ、投与される場合に使用され得る。実質的により高い投与量は、局所投与において使用され得る。非経口投与可能な製剤を調製するための実際の方法は、公知であるか、または当業者に明らかであり、Remington’s(前出)などの刊行物においてより詳細に記載されている。Nieman,In「Receptor Mediated Antisteroid Action,」Agarwal,et al.,eds.,De Gruyter,New York (1987)もまた参照のこと。
本明細書に記載される化合物は、グルココルチコイドレセプターを調節するにあたって有用であることが公知の他の活性薬剤とともに、または単独では有効でないことがあるが、上記活性薬剤の効力に寄与し得る補助剤とともに、互いと組み合わせて使用され得る。
いくつかの実施形態において、共投与は、ある活性薬剤を、第2の活性薬剤の0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、もしくは24時間以内に投与することを包含する。共投与は、2種の活性薬剤を同時に、ほぼ同時に(例えば、互いに約1分、5分、10分、15分、20分、もしくは30分以内に)、または任意の順序で逐次的に投与することを包含する。いくつかの実施形態において、共投与は、共製剤化(co−formulation)(すなわち、両方の活性薬剤を含む単一の薬学的組成物を調製すること)に付随し得る。他の実施形態において、上記活性薬剤は、別個に製剤化され得る。別の実施形態において、上記活性薬剤および/もしくは補助的薬剤は、連結されてもよいし、互いに結合体化されてもよい。
本発明のGR調節因子を含む薬学的組成物が、受容可能なキャリア中に製剤化された後、それは、適切な容器中に入れられ、そして示された状態の処置のために表示され得る。本発明の化合物の投与のために、このような表示は、例えば、投与の量、頻度および方法に関する指示を含む。
本発明の薬学的組成物は、塩として提供され得、多くの酸(塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて形成され得る。塩は、その対応する遊離塩基形態であるものよりも、水性もしくは他のプロトン性溶媒に、より溶解性である傾向にある。他の場合には、上記調製物は、使用前に緩衝液と組み合わされる、1mM〜50mM ヒスチジン、0.1%〜2% スクロース、2%〜7% マンニトール(4.5〜5.5のpH範囲において)中の凍結乾燥粉末であり得る。
別の実施形態において、本発明の組成物は、非経口投与(例えば、静脈内(IV)投与または体腔もしくは器官の管腔への投与のため)に有用である。投与のための製剤は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア中に溶解された本発明の組成物の溶液を含む。使用され得る上記受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水およびリンゲル溶液、等張性塩化ナトリウムがある。さらに、滅菌不揮発性油が、慣習的なことには、溶媒もしくは懸濁媒体として使用され得る。この目的のために、任意の穏やかな不揮発性油が使用され得る(合成のモノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる)。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射剤の調製において同様に使用され得る。これら溶液は無菌であり、一般に、所望でない物質を含まない。これらの製剤は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。上記製剤は、適切な生理学的状態に必要とされる場合、薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH調整剤および緩衝化剤、張度調整剤(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど))を含み得る。これら製剤中の本発明の組成物の濃度は、種々様々であり得、主に、液体容積、粘度、体重などに基づいて、特定の選択される投与様式および患者のニーズに従って、選択される。IV投与のために、上記製剤は、滅菌注射用調製物(例えば、滅菌注射用水性もしくは油性懸濁剤)であり得る。この懸濁剤は、それらの適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知の技術に従って製剤化され得る。上記滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤もしくは溶媒中の滅菌注射用液剤もしくは懸濁剤(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)であり得る。
VI.(脂肪肝疾患の処置方法)
いくつかの実施形態において、本発明は、グルココルチコイドレセプターを調節することを介して、障害もしくは状態を処置する方法を提供し、上記方法は、このような処置を必要とする被験体に、治療上有効な量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。
いくつかの他の実施形態において、本発明は、グルココルチコイドレセプターに拮抗することを介して、障害もしくは状態を処置する方法を提供し、上記方法は、このような処置を必要とする被験体に、有効量の式Iの化合物を投与する工程を包含する。
別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載される技術を使用して、核レセプター活性を調節する方法を提供する。例示的実施形態において、上記方法は、GRおよびMRと有効量の本発明の化合物(例えば、式Iの化合物)とを接触させる工程、およびGR活性およびMR活性の変化を検出する工程を包含する。
例示的な実施形態において、核調節因子は、GRおよびMR活性のアンタゴニストである。核レセプターアンタゴニストとは、本明細書で使用される場合、GRへのグルココルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、コルチゾール、および合成もしくは天然コルチゾールアナログ)の結合を部分的にもしくは完全に阻害する(拮抗する)、およびMRへのミネラル・コルチコイドレセプター(MR)アゴニスト(例えば、アルドステロン、および合成もしくは天然アルドステロンアナログ)の結合を部分的にもしくは完全に阻害する(拮抗する)任意の組成物もしくは化合物をいい、これによって、アゴニストへのGRおよびMRの結合と関連するいかなる生物学的応答も阻害する。いくつかの実施形態において、核レセプターアンタゴニストは、エストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター(PR)および/もしくはアンドロゲンレセプター(AR)よりもGRおよび/もしくはMRに優先的に結合する。ER、PRおよび/もしくはARよりもGRおよび/もしくはMRに対する核レセプターアンタゴニストへの優先性は、少なくとも10:1よりも大きくなり得る。例えば、その優先性は、少なくとも10:1、50:1、100:1、500:1もしくは少なくとも1000:1となり得る。いくつかの実施形態において、核レセプターアンタゴニストは、ER、PRおよび/もしくはARよりも、少なくとも100:1、GRおよび/もしくはMRに優先的に結合する。
いくつかの実施形態において、本発明の核レセプターアンタゴニストは、1つもしくは複数の処置と組み合わせて使用されて、脂肪肝疾患の1つもしくは複数の症状を改善または軽減することができる。核アンタゴニストは、体重減少のレジメンもしくはカロリー制限の採用、運動の増加、および/またはアルコールもしくは肝毒素の回避などの生活スタイルの改変を受けている最中もしくは受けたことがある、脂肪肝疾患を有する患者に投与され得る。患者は、体重の減少手術(肥満手術)を受けるもしくは受けたことがあってもよい。いくつかの実施形態において、特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、これらに限定されないが、プロピルチオウラシル、インフリキシマブ、インスリン、グルカゴン、カルシウムチャネル遮断薬、抗酸化剤(例えば、ビタミンE)、S−アデノシル−L−メチオニン(SAMe)、シリマリンおよびペントキシフィリンなどの治療剤と組み合わせて個体に投与されて、AFLおよびASHを含むアルコール関連脂肪肝疾患が処置される。他の実施形態において、特異的グルココルチコイドレセプターアンタゴニストは、これらに限定されないが、セロトニン再取込み阻害剤、シブトラミン、オルリスタット、インスリン抵抗性改善剤(例えば、チアゾリジンジオン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、脂質低下剤(例えば、プロブコール)、抗酸化剤(例えば、ビタミンE、ペントキシフィリン、ベタインおよびN−アセチルシステイン)、肝保護治療(例えば、ウルソデオキシコール酸)、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン−レセプターブロック剤、メトホルミン、モノ不飽和脂肪酸、ポリ不飽和脂肪酸およびそれらの組合せなどの治療剤と共に個体に投与されて、NASHを含む非アルコール性脂肪肝疾患が処置される。
VII.(脂肪肝疾患を処置するための試験化合物のアッセイおよび方法)
本発明の化合物は、それらの抗グルココルチコイド特性に関して試験することができる。グルココルチコイドレセプター活性を調節し得る化合物をアッセイする方法は、本明細書で提示される。代表的には、本発明の化合物は、GRおよびMRなどの核レセプターに結合することによって、もしくはGRおよびMRのリガンドが、対応するGRおよびMRに結合するのを阻止することによって、核レセプター活性を調節し得る。いくつかの実施形態において、上記化合物は、ほとんどもしくは全く細胞毒性効果を示さない。
A.結合アッセイ
いくつかの実施形態において、核レセプター調節因子は、核レセプターのリガンド(例えば、デキサメタゾン)と競合する分子をスクリーニングすることによって同定される。当業者は、競合的結合アッセイを行うために多くの方法が存在することを認識する。いくつかの実施形態において、核レセプターは、標識された核レセプターリガンドとともに予めインキュベートされ、次いで、試験化合物と接触させられる。このタイプの競合的結合アッセイはまた、本明細書において結合置換アッセイといわれ得る。核レセプターに結合したリガンドの量の変化(例えば、減少)は、上記分子が潜在的核レセプター調節因子であることを示す。あるいは、核レセプターへの試験化合物の結合は、標識された試験化合物で直接測定され得る。この後者のタイプのアッセイは、直接結合アッセイといわれる。
直接結合アッセイおよび競合的結合アッセイの両方が、種々の異なる様式において使用され得る。上記様式は、イムノアッセイおよびレセプター結合アッセイにおいて使用されるものに類似であり得る。競合的結合アッセイおよび直接結合アッセイを含め、結合アッセイに関する異なる様式の説明については、Basic and Clinical Immunology 7th Edition(D.Stites and A.Terr ed.)1991;Enzyme Immunoassay,E.T.Maggio,ed.,CRC Press,Boca Raton,Florida (1980);および「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」,P.Tijssen,Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers B.V.Amsterdam(1985)(その各々が、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
固相競合的結合アッセイにおいて、例えば、上記サンプル化合物は、固体表面に結合した結合因子上の特異的結合部位に関して、標識された分析物と競合し得る。このタイプの様式において、上記標識された分析物は、核レセプターリガンドであり得、上記結合因子は、固相に結合した核レセプターであり得る。あるいは、上記標識された分析物は、標識された核レセプターであり得、上記結合因子は、固相核レセプターリガンドであり得る。捕捉因子に結合された標識分析物の濃度は、試験化合物が上記結合アッセイにおいて競合する能力に逆比例する。
あるいは、上記競合的結合アッセイは、液相において行われ得、当該分野で公知の種々の技術のうちのいずれかが、結合していない標識タンパク質から上記結合した標識タンパク質を分離するために使用され得る。例えば、いくつかの手順が、結合したリガンドと過剰な結合したリガンドとの間を、または結合した試験化合物と過剰な結合していない試験化合物との間を区別するために開発された。これらは、スクロース勾配、ゲル電気泳動、もしくは等電点電気泳動における沈降分離;硫酸プロタミンとのレセプター−リガンド複合体の沈降もしくはヒドロキシルアパタイトに対する吸着;およびデキストラン被覆木炭(DCC)に対する吸着もしくは固定化抗体への結合による結合していない化合物もしくはリガンドの除去による、上記結合した複合体の同定を包含する。分離の後、結合したリガンドもしくは試験化合物の量が、決定される。
あるいは、均質結合アッセイが、行われ得、このアッセイにおいて、分離工程は必要とされない。例えば、上記核レセプター上の標識は、上記核レセプターの、そのリガンドもしくは試験化合物への結合によって変化させられ得る。上記標識核レセプターにおけるこの変化は、標識によって発せられるシグナルの減少もしくは増大を生じる。その結果、上記結合アッセイの最後での上記標識の測定は、結合した状態における上記核レセプターの検出もしくは定量を可能にする。種々様々な標識が使用され得る。上記成分は、いくつかの方法のうちのいずれか1つによって標識され得る。有用な放射性標識としては、H、125I、35S、14C、もしくは32Pを組み込んだものが挙げられる。有用な非放射性標識としては、蛍光団、化学発光因子、リン光性因子、電気化学発光因子などを組み込んだものが挙げられる。蛍光因子は、タンパク質構造におけるシフト(例えば、蛍光異方性および/もしくは蛍光分極)を検出するために使用される分析技術において特に有用である。標識の選択は、必要とされる感度、上記化合物との結合体化の容易さ、安定性要件、および利用可能な機器に依存する。使用され得る種々の標識もしくはシグナル生成システムの総説については、米国特許第4,391,904号(これは、全ての目的のためにその全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。上記標識は、当該分野で周知の方法に従って、上記アッセイの所望の成分に直接的にもしくは間接的に連結され得る。
ハイスループットスクリーニング法は、多数の潜在的な調節因子化合物をアッセイするために使用され得る。このような「化合物ライブラリー」は、次いで、所望の特徴的活性を示すそれらのライブラリーメンバー(特に化学種もしくはサブクラス)を同定するために、本明細書に記載されるように、1種以上のアッセイにおいてスクリーニングされる。化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者に周知である。化学ライブラリーの調製のためのデバイスは、市販されている(例えば、357 MPS,390 MPS,Advanced Chem Tech,Louisville KY、Symphony,Rainin,Woburn,MA、433A Applied Biosystems,Foster City,CA、9050 Plus,Millipore, Bedford,MAを参照のこと)。
B.細胞ベースのアッセイ
細胞ベースのアッセイは、本発明の化合物によって核レセプターの結合もしくは活性の調節をアッセイするために、核レセプターを含む全細胞もしくは細胞画分を必要とする。本発明の方法に従って使用され得る例示的細胞タイプとしては、例えば、任意の哺乳動物細胞(好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、マスト細胞、およびリンパ球(例えば、T細胞およびB細胞)のような白血球、白血病、バーキットリンパ腫、腫瘍細胞(マウス乳腺腫瘍ウイルス細胞を含む)、内皮細胞、線維芽細胞、心臓細胞、筋細胞、乳房腫瘍細胞、卵巣癌、子宮頸癌、神経膠芽腫、肝細胞、腎臓細胞、および神経細胞が挙げられる)、ならびに真菌細胞(酵母が挙げられる)が挙げられる。細胞は、初代細胞または腫瘍細胞、または他のタイプの不死化細胞株であり得る。当然のことながら、核レセプターは、核レセプターの内因性バージョンを発現しない細胞において発現され得る。
いくつかの場合において、核レセプターのフラグメント、ならびにタンパク質融合物は、スクリーニングのために使用され得る。核レセプターリガンドとの結合に関して競合する分子が所望される場合、上記使用される核レセプターフラグメントは、上記リガンド(例えば、デキサメタゾン)を結合し得るフラグメントである。あるいは、核レセプターの任意のフラグメントは、核レセプターを結合する分子を同定するために標的として使用され得る。核レセプターフラグメントは、例えば、少なくとも20個、30個、40個、50個のアミノ酸の任意のフラグメント(最大で核レセプターの1個のアミノ酸を除いて全てを含むタンパク質)を含み得る。代表的には、リガンド結合フラグメントは、膜貫通領域および/または核レセプターの細胞外ドメインのうちの大部分もしくは全てを含む。
いくつかの実施形態において、核レセプター活性化によって誘発されるシグナル伝達は、核レセプター調節因子を同定するために使用される。核レセプターのシグナル伝達活性は、多くの方法において決定され得る。例えば、下流の分子事象は、シグナル伝達活性を決定するためにモニターされ得る。下流の事象としては、核レセプターレセプターの刺激の結果として起こるそれらの活性もしくは発現が挙げられる。不変の細胞における転写活性化および拮抗の機能的評価において有用な例示的な下流の事象は、多くの応答エレメント(RE)依存性遺伝子(PEPCK、チロシンアミノトランスフェラーゼ、アロマターゼ)のアップレギュレーションを含む。さらに、核レセプター活性化を受けやすい特異的細胞タイプが使用され得る(例えば、グルココルチコイドによってダウンレギュレートされる骨芽細胞におけるオステオカルシン発現;PEPCKおよびグルコース−6−ホスファターゼ(phospahte)(G−6−Pase)の核媒介性アップレギュレーションを示す初代肝細胞)。RE媒介性遺伝子発現はまた、周知のRE調節配列を使用してトランスフェクトされた細胞株において示された(例えば、レポーター遺伝子構築物の上流にトランスフェクトされたマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター(MMTV))。有用なレポーター遺伝子構築物の例は、ルシフェラーゼ(luc)、アルカリホスファターゼ(ALP)およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を含む。転写抑制の機能的評価は、単球もしくはヒト皮膚線維芽細胞のような細胞株において行われ得る。有用な機能的アッセイとしては、IL−1β刺激性IL−6発現;コラゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ−2および種々のケモカイン(MCP−1、RANTES)のダウンレギュレーション;またはトランスフェクトされた細胞株におけるNFκBもしくはAP−1転写因子によって調節される遺伝子の発現を測定するものが挙げられる。
代表的には、全細胞アッセイにおいて試験される化合物はまた、細胞傷害性アッセイにおいて試験される。細胞傷害性アッセイは、識別される調節効果が、非核レセプター結合細胞効果に起因する程度を決定するために使用される。例示的実施形態において、上記細胞傷害性アッセイは、構成的に活性な細胞と試験化合物とを接触させることを包含する。細胞活性における任意の減少は、細胞傷害性効果を示す。
C.特異性
本発明の化合物は、特異性アッセイ(本明細書において選択性アッセイといわれる)に供せられ得る。代表的には、特異性アッセイは、インビトロで、または非核レセプタータンパク質に結合する程度についての細胞ベースのアッセイにおいて核レセプターに結合する化合物を試験することを包含する。選択性アッセイは、上記のように、インビトロでまたは細胞ベースの系において行われ得る。核レセプター結合は、任意の適切な非核レセプタータンパク質(抗体、レセプター、酵素などが挙げられる)に対して試験され得る。例示的実施形態において、上記非核レセプター結合タンパク質は、細胞表面レセプターもしくは核レセプターである。別の例示的実施形態において、上記非核レセプタータンパク質は、ステロイドレセプター(例えば、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、もしくはアンドロゲンレセプター)である。
本明細書において使用される用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用され、このような用語および表現の使用において、示されかつ記載される特徴の等価物、またはその一部を排除するという意図はなく、種々の改変が、特許請求される発明の範囲内で可能であることが認識される。さらに、本発明の任意の実施形態のうちのいずれか1つ以上の特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の任意の他の実施形態のうちの任意の1つ以上の他の特徴と組み合わされ得る。例えば、上記核レセプター調節因子化合物の特徴は、疾患状態を処置する方法および/もしくは本明細書に記載される薬学的組成物に等しく適用可能である。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のためにそれらの全体において参考として援用される。
VIII.実施例
(実施例1)
SW1353/MMTV−5細胞を使用する、GRレポーター遺伝子アッセイ
SW1353/MMTV−5は、内因性グルココルチコイドレセプターを含む接着性ヒト軟骨肉腫細胞株である。これを、ウイルスプロモーター(マウス乳腺腫瘍ウイルスの長末端反復)に由来するグルココルチコイド応答性エレメント(GRE)の後ろに位置するホタルルシフェラーゼをコードするプラスミド(pMAMneo−Luc)でトランスフェクトした。安定な細胞株SW1353/MMTV−5を、ジェネティシン(これは、このプラスミドを維持するために必要とされる)で選択した。従って、この細胞株は、ルシフェラーゼの発現をもたらすグルココルチコイド(デキサメタゾン)に対して感受性である(EC50 dex 10nM)。このデキサメタゾン誘導性応答は、経時的に徐々に失われた。そしてより早い継代に由来する新しい培養を、3ヶ月ごとに(低温保存したアリコートから)開始した。
化合物1などのGR−アンタゴニストについて試験するために、SW1353/MMTV−5細胞を、5xEC50 dex(50nM)の存在下で上記化合物のいくつかの希釈物とともにインキュベートし、誘導されるルシフェラーゼ発現の阻害を、Topcount(Britelite Plus kit,Perking Elmer)で検出される発光を使用して測定した。各アッセイに関して、試験化合物(例えば化合物1)のIC50からKを計算するために必要とされるEC50 dexを決定するために、デキサメタゾンについての用量応答曲線を作製した。
SW1353/MMTV−5細胞を96ウェルプレートにまき、24時間にわたって培地(ジェネティシンなし)中でインキュベートした。培地+50nM デキサメタゾン中の上記試験化合物の希釈物を添加し、上記プレートを、さらに24時間にわたってさらにインキュベートし、その後、ルシフェラーゼ発現を測定する。
化合物1は、(E)−6−(4−フェニルシクロヘキシル)−5−(3−トリフルオロメチルベンジル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオンもしくは6−((1r,4r)−4−フェニルシクロヘキシル)−5−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)ピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンという名称であり、以下に示される化学構造を有する。
化合物1は、グルココルチコイドレセプター(GR II)のアンタゴニストである。レポーター遺伝子アッセイでは、化合物1は、GRに対して24nMのKを有する。
(実施例2)
T47D/MMTV−5細胞を使用する、MRおよびPRレポーター遺伝子アッセイ
T47D/MMTV−5は、内因性ミネラル・コルチコイドおよびプロゲステロンレセプター(PR)を含有する接着性ヒト乳癌細胞株である。上記のSW1353細胞株について記載されるように、T47D細胞に同じpMAMneo−Lucプラスミドをトランスフェクトし、安定株をジェネティシンで選択した。アルドステロン(EC50 100nM)およびプロゲステロン(EC50 10nM)に応答し、ルシフェラーゼの発現をもたらす細胞株T47D/MMTV−5を単離した。MRもしくはPRアンタゴニストを試験するため、T47D/MMTV−5細胞を、EC50の5倍のアゴニストであるアルドステロンもしくはプロゲステロンの存在下で、上記化合物のいくつかの希釈物とともにインキュベートした。各アッセイに関して、アルドステロン(aldostreone)およびプロゲステロンの両方について、用量応答曲線を作製した。
T47D/MMTV−5細胞を、RPMI640培地+活性炭でストリッピングしたFCS10%中、96ウェルプレート(100μl)にまいた。細胞を24時間にわたってCOのオーブン中でインキュベートした。培地+アゴニスト(500nMアルドステロン、50nMプロゲステロン)中の化合物希釈物100μlの容積を添加し、これらのプレートをさらに24時間にわたってインキュベートし、その後、ルシフェラーゼ発現を測定した。
化合物1は、ミネラル・コルチコイドレセプター(MR、GRI)のアンタゴニストである。レポーター遺伝子アッセイにおいて、化合物1は、MRに対して148nMのKを有する。化合物1は、プロゲステロンレセプターレポーター遺伝子アッセイにおいて不活性である。
(実施例3)
高脂肪餌を給餌したマウスにおける肝脂質の決定
3週間、C57B16/Jマウス(群あたりn=8)に高脂肪餌(60%脂肪)を与え、次いで、犠牲にした。肝臓を採集し、秤量した。肝臓の薄片を調製し、Oil Red O染色により脂質レベルを分析した(図1および3)。マウスの一群は、餌(60mg/kg/日)中に混合された化合物1を摂取した一方、マウスの別の群は、餌中に混合されたビヒクルを摂取した。化合物1を給餌されたマウスの肝臓は、脂肪滴が全くないかもしくは低いレベルを有した(図2A)一方、対照マウスは、より多くの脂質滴を有した(図2B)。別の一群は、餌中にミフェプリストン(RU−486、60mg/kg/日)を摂取した。化合物1は、GRアンタゴニスト活性およびある程度のMRアンタゴニスト活性を有する。これらのデータにより、ミフェプリストンは、対照と比べて、脂肪肝の増大を引き起こすことが示される。化合物1は、反対の作用を有しており、脂肪肝を誘発しなかった。
個別の実験(図4)において、高脂肪餌(60%脂肪)を給餌され、次いで犠牲にされたマウスの肝臓における脂肪の蓄積を、肝臓をホモジナイズしトリグリセリドを抽出することにより決定した。この実験は、5群のマウスを含んだ:
群1(「CHOW」):6週間の通常の餌
群2(「HF−3週間」):3週間の高脂肪餌
群3(「HF−6週間」):6週間の高脂肪餌
群4(「HF+118335−6週間」):6週間の高脂肪餌および化合物1
群5(「HF−118335 rev」):3週間の高脂肪餌、その後に3週間の高脂肪餌および化合物1
(実施例4)
GRタンパク質:タンパク質相互作用アッセイ
タンパク質:タンパク質相互作用アッセイを使用して、試験化合物がグルココルチコイドレセプターおよび/もしくはミネラル・コルチコイドレセプターのアンタゴニストとして作用する能力を決定した。これらのアッセイは、DiscoveRx Corp.(Fremont、CA)によって提供される市販のアッセイプラットフォームを利用するものである。DiscoveRxの技術は、発光生成(luminogenic)基質を使用する、β−ガラクトシダーゼ酵素フラグメントの補完に基づくものである。手短に言うと、チャイニーズハムスターの卵巣細胞(CHO−K1)を遺伝子操作し、PGC1α(ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターガンマコアクチベータ1α)と呼ばれるステロイド応答性コアクチベータタンパク質(SRCP)と一緒に、ヒト組換えGRもしくはMRのいずれか一方を発現させた。上記アッセイは、GRもしくはMR活性化の正味の結果、すなわち細胞質からの核転座、および細胞核におけるGRもしくはMRとコアクチベータPGC1αとの相互作用を測定するものである。上記アッセイはアゴニストおよびアンタゴニストのモードのいずれでも構成することができる。
細胞(100μl)を96ウェルプレートにプレート培養し、37℃、5%COのインキュベータ中に24時間、置いた。インキュベータから細胞を取り出した後に、試験化合物もしくはビヒクル5μlを各ウェルに添加し、これらのプレートを37℃、5%COで1時間にわたって、インキュベートした。デキサメタゾン(792nM溶液を5μl)もしくはビヒクルをプレートの各ウェルに添加し、これらのプレートを37℃、5%COで6時間にわたって、インキュベートした。検出用試薬をウェルあたり55μl添加し、これらのプレートを混合することなく、暗所で室温でインキュベートした。プレートは、EnVision(登録商標)プレートリーダー(3時間の読み取り)を使用して、蛍光を読み取った。蛍光値を36nMデキサメタゾンの阻害率(%阻害)として表し、K値をCheng−Prusoff方程式を使用して、実験的に決定したIC50値から算出した。このアッセイでは、化合物1は、118nMのKを有すると決定した。
(実施例5)
MRタンパク質:タンパク質相互作用アッセイ
細胞(100μl)を96ウェルプレートにプレート培養し、37℃、5%COのインキュベータ中に24時間、置いた。インキュベータから細胞を取り出した後に、試験化合物もしくはビヒクル5μlを各ウェルに添加し、これらのプレートを37℃、5%COで1時間にわたって、インキュベートした。アルドステロン(88nM溶液を5μl)もしくはビヒクルをプレートの各ウェルに添加し、これらのプレートを37℃、5%COで6時間にわたって、インキュベートした。検出用試薬をウェルあたり55μl添加し、これらのプレートを混合することなく、暗所で室温でインキュベートした。プレートは、EnVision(登録商標)(Perkin Elmer、Walthan、MA)プレートリーダー(3時間の読み取り)を使用して、蛍光を読み取った。蛍光値を4nMアルドステロンの阻害率(%阻害)として表し、K値をCheng−Prusoff方程式を使用して、実験的に決定したIC50値から算出した。このアッセイでは、化合物1は、125nMのKを有すると決定した。
前述の発明は、理解を明瞭にする目的で、図示および例示によっていくぶん詳細に記載されてきたが、当業者は、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることを認識する。さらに、本明細書で提供される各参考文献は、各参考文献が個々に参考として援用されるかのように同程度まで、その全体において参考として援用される。本願と、本明細書に提供される参考文献との間に矛盾があれば、本願が優先するものとする。

Claims (10)

  1. 治療有効量の式Idの化合物を、脂肪肝疾患の処置を必要とする被験体に投与して、それによって前記脂肪肝疾患を処置する工程を包含する、前記脂肪肝疾患を処置する方法であって、前記式Idの化合物が構造:
    (式中、
    各R1aは、独立して、H、C1−6アルキル、ハロゲンもしくはC1−6ハロアルキルであり、
    は、HもしくはC1−6アルキルであり、
    各Rは、H、C1−6アルキル、ハロゲンもしくはC1−6ハロアルキルである)
    ならびにその塩および異性体を有する、方法。
  2. 前記脂肪肝疾患が、アルコール関連肝疾患(ARLD)もしくは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルコール関連肝疾患が、アルコール脂肪肝疾患(AFL)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)もしくはアルコール性肝硬変である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記非アルコール性脂肪肝疾患が、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)もしくは非アルコール性肝硬変である、請求項2に記載の方法。
  5. 各R1aは、C1−6ハロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
  6. 各R1aは、H、Me、Et、F、Cl、または−CFからなる群より独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
  7. 各R1aは、−CFである、請求項1に記載の化合物。
  8. はHである、請求項1に記載の化合物。
  9. からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  10. 式:
    を有する、請求項1に記載の方法。
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