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JP2017206410A - シリカ系複合微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

シリカ系複合微粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリカ膜、Siウェハや難加工材であっても高速で研磨ができ、同時に高面精度を達成できるシリカ系複合粒子分散液の製造方法の提供。【解決手段】下記の工程を含むシリカ系複合微粒子分散液及びその製造方法。二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[D2/DS]が1.0より大きいシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を撹拌し、温度とpHを特定範囲内に維持しながら、ここへセリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子を含む前駆体粒子分散液を得る工程。前記前駆体粒子分散液を乾燥させ、400〜1200℃で焼成し、得られた焼成体を処理して焼成体解砕分散液を得る工程。前記焼成体解砕分散液を相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することによりシリカ系複合微粒子分散液を得る工程。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイス製造に使用される研磨剤として好適なシリカ系複合微粒子分散液の製造方法に関し、特に基板上に形成された被研磨膜を、化学機械的研磨(ケミカルメカニカルポリッシング、CMP)で平坦化するためのシリカ系複合微粒子分散液の製造方法に関する。また、該製造方法から得られるシリカ系複合微粒子分散液、該シリカ系複合微粒子分散液を含む研磨用スラリーに関する。
半導体基板、配線基板などの半導体デバイスなどは、高密度化・微細化することで高性能化を実現している。この半導体の製造工程においては、いわゆるケミカルメカニカルポリッシング(CMP)が適用されており、具体的にはシャロートレンチ素子分離、層間絶縁膜の平坦化、コンタクトプラグやCuダマシン配線の形成などに必須の技術となっている。
一般にCMP用研磨剤は、砥粒とケミカル成分とからなり、ケミカル成分は対象被膜を酸化や腐食などさせることにより研磨を促進させる役割を担う。一方で砥粒は機械的作用により研磨する役割を持ち、コロイダルシリカやヒュームドシリカ、セリア粒子が砥粒として使われる。特にセリア粒子は酸化ケイ素膜に対して特異的に高い研磨速度を示すことから、シャロートレンチ素子分離工程での研磨に適用されている。
シャロートレンチ素子分離工程では、酸化ケイ素膜の研磨だけではなく、窒化ケイ素膜の研磨も行われる。素子分離を容易にするためには、酸化ケイ素膜の研磨速度が高く、窒化ケイ素膜の研磨速度が低い事が望ましく、この研磨速度比(選択比)も重要である。
従来、このような部材の研磨方法として、比較的粗い1次研磨処理を行った後、精密な2次研磨処理を行うことにより、平滑な表面あるいはスクラッチなどの傷が少ない極めて高精度の表面を得る方法が行われている。
このような仕上げ研磨としての2次研磨に用いる研磨剤に関して、従来、例えば次のような方法等が提案されている。
例えば、特許文献1には、硝酸第一セリウムの水溶液と塩基とを、pHが5〜10となる量比で攪拌混合し、続いて70〜100℃に急速加熱し、その温度で熟成することを特徴とする酸化セリウム単結晶からなる酸化セリウム超微粒子(平均粒子径10〜80nm)の製造方法が記載されており、更にこの製造方法によれば、粒子径の均一性が高く、かつ粒子形状の均一性も高い酸化セリウム超微粒子を提供できると記載されている。
また、非特許文献1は、特許文献1に記載の酸化セリウム超微粒子の製造方法と類似した製造工程を含むセリアコートシリカの製造方法を開示している。このセリアコートシリカの製造方法は、特許文献1に記載の製造方法に含まれるような焼成―分散の工程を有さないものである。
さらに、特許文献2には、非晶質のシリカ粒子Aの表面に、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む結晶質の酸化物層Bを有することを特徴とするシリカ系複合粒子が記載されている。また、好ましい態様として、非晶質のシリカ粒子Aの表面に、アルミニウム等の元素を含む非晶質の酸化物層であって、非晶質のシリカ層とは異なる非晶質の酸化物層Cを有し、さらに、その上にジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む結晶質の酸化物層Bを有することを特徴とするシリカ系複合粒子が記載されている。そして、このようなシリカ系複合粒子は、非晶質のシリカ粒子Aの表面に、結晶質の酸化物層Bを有するために、研磨速度を向上させることができ、かつ、シリカ粒子に前処理をすることにより、焼成時に粒子同士の焼結が抑制され研磨スラリー中での分散性を向上させることができ、さらに、酸化セリウムを含まない、あるいは酸化セリウムの使用量を大幅に低減することができるので、安価であって研磨性能の高い研磨材を提供することができると記載されている。また、シリカ系粒子Aと酸化物層Bの間にさらに非晶質の酸化物層Cを有するものは、粒子の焼結抑制効果と研磨速度を向上させる効果に特に優れると記載されている。
特許第2746861号公報 特開2013−119131号公報
Seung−Ho Lee, Zhenyu Lu, S.V.Babu and Egon Matijevic、"Chemical mechanical polishing of thermal oxide films using silica particles coated with ceria"、Journal of Materials Research、Volume 17、Issue 10、2002、pp2744−2749
しかしながら、特許文献1に記載の酸化セリウム超微粒子について、本発明者が実際に製造して検討したところ、研磨速度が低く、さらに、研磨基材の表面に欠陥(面精度の悪化、スクラッチ増加、研磨基材表面への研磨材の残留)を生じやすいことが判明した。
これは、焼成工程を含むセリア粒子の製造方法(焼成によりセリア粒子の結晶化度が高まる)に比べて、特許文献1に記載の酸化セリウム超微粒子の製法は、焼成工程を含まず、液相(硝酸第一セリウムを含む水溶液)から酸化セリウム粒子を結晶化させるだけなので、生成する酸化セリウム粒子の結晶化度が相対的に低く、また、焼成処理を経ないため酸化セリウムが母粒子と固着せず、酸化セリウムが研磨基材の表面に残留することが主要因であると、本発明者は推定している。
また、非特許文献1に記載のセリアコートシリカは焼成していないため、現実の研磨速度は低いと考えられ、また、研磨基材の表面への粒子の残留も懸念される。
さらに、特許文献2に記載の酸化物層Cを有する態様のシリカ系複合粒子を用いて研磨すると、アルミニウム等の不純物が半導体デバイスの表面に残留し、半導体デバイスへ悪影響を及ぼすこともあることを、本発明者は見出した。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、シリカ膜、Siウェハや難加工材であっても高速で研磨することができ、同時に高面精度(低スクラッチ、基板上の砥粒残が少ない、基板Ra値の良化等)を達成でき、半導体基板、配線基板などの半導体デバイスの表面の研磨に好ましく用いることができるシリカ系複合微粒子分散液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(4)である。
(1)下記の工程1〜工程3を含むことを特徴とするシリカ系複合微粒子分散液の製造方法。
工程1:二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きい、非球状のシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を撹拌し、温度を5〜98℃、pHを範囲7.0〜9.0に維持しながら、ここへセリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子を含む前駆体粒子分散液を得る工程。
工程2:前記前駆体粒子分散液を乾燥させ、400〜1,200℃で焼成し、得られた焼成体に、次の(i)又は(ii)の処理をして焼成体解砕分散液を得る工程。
(i)乾式で解砕・粉砕処理し、溶媒を加えて溶媒分散処理する。
(ii)溶媒を加えて、湿式で解砕・粉砕処理する。
工程3:前記焼成体解砕分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することによりシリカ系複合微粒子分散液を得る工程。
(2)前記シリカ微粒子に含まれる不純物の含有割合が、次の(a)及び(b)のとおりであることを特徴とする請求項1記載のシリカ系複合微粒子分散液の製造方法。
(a)Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有率が、それぞれ100ppm以下。
(b)U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ10ppm以下。
(3)二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きい、非球状のシリカ微粒子の表面の一部がシリカに被覆された結晶性セリアに被覆されたシリカ微粒子分散液。
(4)上記(3)に記載のシリカ微粒子分散液を含む研磨スラリー。
本発明によれば、シリカ膜、Siウェハや難加工材であっても高速で研磨することができ、同時に高面精度(低スクラッチ、被研磨基板の表面粗さ(Ra)が低いこと等)を達成でき、半導体基板、配線基板などの半導体デバイスの表面の研磨に好ましく用いることができるシリカ系複合微粒子分散液の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法によって得られるシリカ系複合微粒子分散液は、半導体デバイス表面の平坦化に有効であり、特にはシリカ絶縁膜が形成された基板の研磨に好適である。
図1(a)は実施例1において得られたシリカ系複合微粒子分散液のSEM像(倍率:100,000倍)であり、図1(b)は実施例1において得られたシリカ系複合微粒子分散液のTEM像(倍率:100,000倍)であり、図1(c)は実施例1において得られたシリカ系複合微粒子分散液のSEM像(倍率:300,000倍)である。 実施例1において得られたX線回折パターンである。 図3(a)は実施例1において原料として使用したヒュームドシリカSEM像(倍率:100,000倍)であり、図3(b)は実施例1において原料として使用したヒュームドシリカのTEM像(倍率:100,000倍)であり、図3(c)は実施例1において原料として使用したヒュームドシリカのSEM像(倍率:300,000倍)である。
本発明について説明する。
本発明は、下記の工程1〜工程3を含むことを特徴とするシリカ系複合微粒子分散液の製造方法である。
工程1:二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きい、非球状のシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を撹拌し、温度を5〜98℃、pHを範囲7.0〜9.0に維持しながら、ここへセリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子を含む前駆体粒子分散液を得る工程。
工程2:前記前駆体粒子分散液を乾燥させ、400〜1,200℃で焼成し、得られた焼成体に、次の(i)又は(ii)の処理をして焼成体解砕分散液を得る工程。
(i)乾式で解砕・粉砕処理し、溶媒を加えて溶媒分散処理する。
(ii)溶媒を加えて、湿式で解砕・粉砕処理する。
工程3:前記焼成体解砕分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することによりシリカ系複合微粒子分散液を得る工程。
このようなシリカ系複合微粒子分散液の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
<本発明のシリカ系複合微粒子分散液の製造方法>
本発明のシリカ系複合微粒子分散液の製造方法について説明する。(以下、本発明の
シリカ系複合微粒子分散液の製造方法を「本発明の製造方法」ともいう。
本発明の製造方法は、以下に説明する工程1〜工程3を備える。
<本発明の製造方法>
<工程1>
工程1では二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きい、非球状のシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を用意する。
ここで原料として使用するシリカ微粒子分散液に含まれるシリカ微粒子の形状は非球状である。この場合、二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きくなる。この比[(D2)/(DS)]の値が1より大きくなるに従い、シリカ微粒子の形状が球状から乖離していく。すなわち、この比[(D2)/(DS)]の値は、シリカ微粒子の形状が球状から乖離した度合いを示す。
なお、二次粒子径(D2)および比表面積換算粒子径(DS)の測定方法は、後記した。
前記比[(D2)/(DS)]の上限値は、格別に制限されるものではないが、通常は11000以下である。なお、前記シリカ微粒子は、比表面積換算粒子径(DS)が5nm〜100nmであるものが好ましい。また、前記シリカ微粒子の二次粒子径(D2)は、0.1μm〜60μmであるものが好ましい。
前記シリカ微粒子は、D2/DS比を満たし、さらに好ましくは前記二次粒子径が上記範囲内であれば特別に限定されるものではなく、ヒドロゲル、キセロゲルなどが用いられるが、キセロゲル破砕品あるいはヒュームドシリカであることが好ましい。一例として用いた、ヒュームドシリカとは、アモルファスかつ球状で、一次粒子からなるシリカ微粒子が連結した構造を意味する。ヒュームドシリカは、例えば、四塩化ケイ素を気化し、高温の水素炎中で気相反応を行う方法により得られる。キセロゲル破砕品あるいはヒュームドシリカからなるシリカ微粒子は、通常、一次粒子の凝集粒子として存在する。本願における前記二次粒子径(D2)は、この凝集粒子の粒子径を意味する。
本願における二次粒子径(D2)の測定方法は、後述したとおり、動的光散乱法またはレーザー回折散乱法で測定された値を意味する。
ここでいうキセロゲル粉砕シリカとは、水硝子由来のシリガゲル、ホワイトカーボン、アルコキシド由来のシリカゲル等空気を包含した多次粒子から構成されたゲルおよびそれらが粉砕された粒子群を指す。なお、水に分散したキセロゲル破砕品およびヒュームドシリカはもちろんであるが、乾燥工程を経ていないヒドロゲルの破砕品も使用可能である。
本発明の製造方法にて使用する原料のシリカ微粒子として、具体的には、[(D2)/(DS)]の値が1より大きく、11000以下の範囲にあり、比表面積換算粒子径(DS)が5nm〜100nmの範囲、二次粒子径(D2)が0.1μm〜60μmの範囲にあるキセロゲルシリカからなる非球状のシリカ微粒子が好適に使用される。
本発明の製造方法にて使用する原料のシリカ微粒子は、前述の二次粒子径及びD2/DSの範囲を満たしていれば特別に限定されるものではないが、ディフェクトの低減のために、事前に粗粒の含有量を低減化させることが望ましい。粗粒を低減する方法として、ろ過処理や遠心分離や解砕などが挙げられるが、粗粒を低減できればこれらに限定されない。
なお、本発明において「ディフェクト」とは、本発明の製造方法で得られたシリカ系複合微粒子分散液を研磨用途に適用した場合に、被研磨物に生じる研磨傷(スクラッチ)を意味する。
本発明の製造方法により、半導体デバイスなどの研磨に適用するシリカ系複合微粒子分散液を調製しようとする場合は、シリカ微粒子分散液として、アルコキシシランの加水分解により製造したシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を用いることが好ましい。なお、従来公知のシリカ微粒子分散液(水硝子を原料として調製したシリカ微粒子分散液等)を原料とする場合は、シリカ微粒子分散液を酸処理し、更に脱イオン処理して使用することが好ましい。この場合、シリカ微粒子に含まれるNa、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が少なくなり、具体的には、100ppm以下となり得るからである。
なお、具体的には、工程1で使用する原料であるシリカ微粒子分散液中のシリカ微粒子として、次の(a)と(b)の条件を満たすものが好適に使用される。
(a)Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有率が、それぞれ100ppm以下。
(b)U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ10ppm以下。
前記シリカ微粒子は、比表面積が30〜500m2/gであることが好ましく、35〜410m2/gであることがより好ましい。
ここで、比表面積(BET比表面積)の測定方法について説明する。
まず、乾燥させた試料(0.2g)を測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、試料の比表面積を測定する。
このようなBET比表面積測定法(窒素吸着法)は、例えば従来公知の表面積測定装置を用いて行うことができる。
本発明において比表面積は、特に断りがない限り、このような方法で測定して得た値を意味するものとする。
工程1では、上記のような非球状のシリカ微粒子が溶媒に分散したシリカ微粒子分散液を撹拌し、温度を5〜98℃、pH範囲を7.0〜9.0に維持しながら、ここへセリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子を含む前駆体粒子分散液を得る。
前記シリカ微粒子分散液における分散媒は水を含むことが好ましく、水系のシリカ微粒子分散液(水ゾル)を使用することが好ましい。
前記シリカ微粒子分散液における固形分濃度は、SiO2換算基準で1〜40質量%であることが好ましい。この固形分濃度が低すぎると、製造工程でのシリカ濃度が低くなり生産性が悪くなり得る。
また、陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂、あるいは鉱酸、有機酸等で不純物を抽出し、限外ろ過膜などを用いて、必要に応じて、シリカ微粒子分散液の脱イオン処理を行うことができる。脱イオン処理により不純物イオンなどを除去したシリカ微粒子分散液は表面にケイ素を含む水酸化物を形成させやすいのでより好ましい。なお、脱イオン処理はこれらに限定されるものではない。
工程1では、上記のようなシリカ微粒子分散液を撹拌し、温度を5〜98℃、pH範囲を7.0〜9.0に維持しながら、ここへセリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加する。
セリウムの金属塩の種類は、限定されるものではないが、セリウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属アルコキシドなどを用いることができる。具体的には、硝酸第一セリウム、炭酸セリウム、硫酸第一セリウム、塩化第一セリウムなどを挙げることができる。なかでも、硝酸第一セリウムや塩化第一セリウムが好ましい。
硝酸第一セリウム又は塩化第一セリウムの金属塩の水溶液は、シリカ微粒子分散液に添加され、中和と同時に過飽和となった溶液から、結晶性セリウム酸化物が生成し、それらは、速やかにシリカ微粒子表面に凝集沈着し、シリカ微粒子表面に強固に付着するので、工程における反応の効率としては好ましいといえる。
しかし、先に挙げた各種金属塩の一部に含まれる硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオンなどは、腐食性を示すので、これらのイオンを比較的多く含有するセリウム金属塩(セリウムの硫酸塩、セリウムの塩化物、セリウムの硝酸塩等)は、本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液の主用途(半導体基板等の研磨用途)には適さない。原料に由来するこれら硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオンなど腐食性を示すイオンの影響を抑制するために、本発明の製造方法の工程1で得られる前駆体粒子分散液又は本発明の製造方法で得られたシリカ系複合微粒子分散液を洗浄し、前記各イオン濃度を5ppm以下に低減させることが好ましい。
なお、炭酸セリウム等の炭酸塩の場合、炭酸は炭酸ガスとして工程中で放出されるので、改めて除去の必要性が少ないので好ましい。また、セリウムのアルコキシドの場合、アルコキシドは分解してアルコールとなり、例えば、前記工程2の乾燥又は焼成中に揮発するため、同じく改めて除去の必要性が少ないので好ましい。
本発明の製造方法においては、原料として使用するシリカ微粒子分散液のシリカ微粒子に対し、セリウム金属塩を酸化物換算で、例えば、100:11〜316の範囲で添加することにより、シリカとセリアの質量比が100:11〜316のシリカ系複合微粒子が溶媒に分散してなるシリカ系複合微粒子分散液を調製することができる。なお、後述したとおり、本発明の製造方法において、使用したセリアやシリカが溶解し除去されない限り、使用したセリアやシリカの使用量と、最終生成物であるシリカ系複合微粒子分散液に含まれるシリカ系複合微粒子との分析値が良い一致を示している。
シリカ微粒子分散液にセリウムの金属塩を添加した後、撹拌する際の温度は5〜98℃であることが好ましく、10〜95℃であることがより好ましい。この温度が低すぎるとシリカの溶解度が著しく低下するため、セリアの結晶化が制御されなくなり、粗大なセリアの結晶性酸化物が生成して、シリカ微粒子への付着が起こり難くなる事が考えられる。さらには、溶解度が低すぎるためにシリカ微粒子分散液の解膠が進みにくくなることにより、本発明であるシリカ系複合微粒子分散液の粒度分布が大きくなるためにスクラッチ等の研磨特性が十分でなくなることが考えられる。
逆に、この温度が高すぎるとシリカの溶解度が著しく増し、結晶性のセリア酸化物の生成が抑制される事が考えられる。更に、反応器壁面にスケールなどが生じやすくなり好ましくない。
また、撹拌する際の時間は0.5〜24時間であることが好ましく、0.5〜18時間であることがより好ましい。この時間が短すぎると結晶性の酸化セリウムが十分に形成できないため好ましくない。逆に、この時間が長すぎても結晶性の酸化セリウムの形成はそれ以上反応が進まず不経済となる。なお、前記セリウム金属塩の添加後に、所望により5〜98℃で熟成しても構わない。熟成により、セリウム化合物が母粒子に沈着する反応をより促進させることができる。
またセリウム化合物はシリカ母粒子表面に沈着する際に、シリカ母粒子の一部を溶解し珪酸セリウム化合物を形成していると推定している。これは調合工程途中または調合工程が終了した粒子を電子顕微鏡写真で観察すると、粒子表面に数ナノメーターの微粒子が存在し、その内側の一部に空隙が観察され、更にシリカ母粒子の大きさが元の大きさよりも小さくなってることから明らかである。またこの段階でX線回折で結晶子径を測定すると数ナノメーターの結晶子径が確認されることから、数ナノメーターのセリア結晶粒子及び珪酸セリウム化合物が共存した形態で表面に沈着していると推定している。
また、シリカ微粒子分散液にセリウムの金属塩を添加し、撹拌する際のシリカ微粒子分散液のpH範囲は7.0〜9.0とするが、7.6〜8.6とすることが好ましい。この際、アルカリ等を添加しpH調整を行うことが好ましい。このようなアルカリの例としては、公知のアルカリを使用することができる。具体的には、アンモニア水溶液、水酸化アルカリ、アルカリ土類金属、アミン類の水溶液などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シリカ微粒子分散液にセリウムの金属塩を添加する際に、シリカ微粒子分散液とセリウムの金属塩を含む調合液について、充分な撹拌処理、酸化剤(過酸化水素等)の添加またはエアーの吹き込み等の手段をとることにより、セリウム化合物がシリカ微粒子表面に沈着せずにセリウム単独粒子が生成することを抑制することができる。なお、前記手段で処理した前記調合液は、通常、酸化還元電位が正の値に保たれる。
このような工程1によって、本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれるシリカ系複合微粒子の前駆体である粒子(以下、「前駆体粒子」ともいう。)を含む分散液(以下、「前駆体粒子分散液」ともいう。)が得られる。
工程1で得られた前駆体粒子分散液を、工程2に供する前に、純水やイオン交換水などを用いて、さらに希釈あるいは濃縮して、次の工程2に供してもよい。
なお、前駆体粒子分散液における固形分濃度は1〜27質量%であることが好ましい。
また、所望により、前駆体粒子分散液を、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜、イオン交換膜、遠心分離などを用いて脱イオン処理してもよい。
<工程2>
工程2では、前駆体粒子分散液を乾燥させた後、400〜1,200℃で焼成する。
乾燥する方法は特に限定されない。従来公知の乾燥機を用いて乾燥させることができる。具体的には、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライアー等を使用することができる。
なお、好適には、さらに乾燥前の前駆体粒子分散液のpHを6.0〜7.0とすることが推奨される。乾燥前の前駆体粒子分散液のpHを6.0〜7.0とした場合、表面活性を抑制できるからである。
乾燥後、焼成する温度は400〜1200℃であるが、1050〜1200℃であることが好ましく、1100〜1200℃であることがより好ましい。このような温度範囲において焼成すると、セリアの結晶化が十分に進行し、また、セリア微粒子の表面に存在するシリカ被膜が、適度に厚膜化し、最終的には後述するシリカ系複合微粒子における母粒子(シリカ微粒子)と子粒子(セリア微粒子)との強固な結合を形成することができる。
またこのような温度範囲で焼成することにより、調合工程で生成した数ナノメーターのセリア結晶が核となり珪酸セリウム化合物が拡散して結晶成長し、セリアの結晶成長と同時にセリア結晶へのSiの侵入型固溶が生じる。Siがセリア結晶中に固溶することで結晶が歪み、酸素欠陥が生じ、SiO2膜に対する化学反応性が増すため研磨速度が高くなると発明者は推定している。なお焼成法ではセリア結晶へのSiの侵入型固溶が容易に起きるが、Siが侵入型置換されれば焼成法に限定されず、例えば液相法でも良い。
さらにセリアの結晶成長と共に珪酸セリウム化合物からシリカが分層するが、このシリカはセリアの表面の一部を被覆するとともに母粒子とセリアの界面に析出してセリアを母粒子に強固に結合させる。
前記焼成温度が1200℃を超えるに従い、セリアの結晶が異常成長し後述する本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子の粒子径が大きくなりすぎることにより、研磨特性の低下を招く傾向がある。また、セリア微粒子上のシリカ被膜がより厚くなることで、セリア微粒子(子粒子)とシリカ微粒子(母粒子)の結合がより強固になるものの、シリカ被膜が過度に厚くなることにより、シリカ系複合微粒子同士の融着を招く可能性もある。
工程2では、焼成して得られた焼成体に次の(i)又は(ii)の処理をして焼成体解砕分散液を得る。
(i)乾式で解砕・粉砕処理し、溶媒を加えて溶媒分散処理する。
(ii)溶媒を加えて、湿式で解砕・粉砕処理する。
乾式の解砕・粉砕装置としては従来公知の装置を使用することができるが、例えば、アトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等を挙げることができる。
湿式の解砕・粉砕装置としても従来公知の装置を使用することができるが、例えば、バスケットミル等のバッチ式ビーズミル、横型・縦型・アニュラー型の連続式のビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル等、ロータ・ステータ式ホモジナイザー、超音波分散式ホモジナイザー、分散液中の微粒子同士をぶつける衝撃粉砕機等の湿式媒体攪拌式ミル(湿式解砕機)が挙げられる。湿式媒体攪拌ミルに用いるビーズとしては、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石等を原料としたビーズを挙げることができる。
前記(i)又は前記(ii)の何れの処理においても、溶媒としては、水及び/又は有機溶媒が使用される。例えば、純水、超純水、イオン交換水のような水を用いることが好ましい。また、(i)又は(ii)の処理により得られる焼成体解砕分散液の固形分濃度は、格別に制限されるものではないが、例えば、0.3〜50質量%の範囲にあることが好ましい。(i)又は(ii)の処理のうち、実用上は(ii)の湿式による処理がより好適に用いられる。このように解砕処理を行うことで、所望の粒子径に調整すると同時にディフェクトの原因となる粗大粒子の低減化ができる。
本発明の製造方法では、以下に説明する工程3をさらに備える。
<工程3>
工程3では、工程2において得られた焼成体解砕分散液について、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去し、シリカ系複合微粒子分散液を得る
具体的には、前記焼成体解砕分散液について、遠心分離処理による分級を行う。遠心分離処理における相対遠心加速度は300G以上とする。遠心分離処理後、沈降成分を除去し、シリカ系複合微粒子分散液を得ることができる。相対遠心加速度の上限は格別に制限されるものではないが、実用上は10,000G以下で使用される。
なお、ここで相対遠心加速度とは、地球の重力加速度を1Gとして、その比で表したものである。
工程3では、上記の条件を満たす遠心分離処理を備えることが必要である。遠心加速度が上記の条件に満たない場合は、シリカ系複合微粒子分散液中に粗大粒子が残存するため、シリカ系複合微粒子分散液を用いた研磨材などの研磨用途に使用した際に、スクラッチが発生する原因となる。
工程3にて行う処理を2回以上繰り返し行ってもよい。繰り返し処理を行うことで乾燥及び焼成工程で発生した粗大粒子を効果的に低減でき、ディフェクトを低減化できるからである。さらに粗粒は研磨時に研磨パッドの目詰まりを生じ、研磨スラリーが連続的に送りにくくなるため、研磨速度の安定性を悪くさせる。そのため粗粒を除去することで、研磨パッド−基板間でのスラリーの流動性が良くなり、研磨速度の安定性が増す。
本発明では、上記の製造方法によって得られるシリカ系複合微粒子分散液を、更に乾燥させて、シリカ系複合微粒子を得ることができる。乾燥方法は特に限定されず、例えば、従来公知の乾燥機を用いて乾燥させることができる。
このような本発明の製造方法によって、シリカ系複合微粒子分散液を得ることができる。
本発明の製造方法によって、以下に説明するシリカ系複合微粒子分散液を製造することができる。
前記シリカ系複合微粒子分散液は、非晶質シリカを主成分とする母粒子の表面上に結晶性セリアを主成分とする子粒子を有し、さらにその子粒子の表面にシリカ被膜を有している、下記[1]から[3]の特徴を備える平均粒子径50nm〜350nmのシリカ系複合微粒子を含む、シリカ系複合微粒子分散液である。
[1]前記シリカ系複合微粒子は、シリカとセリアとの質量比が100:11〜316であること。
[2]前記シリカ系複合微粒子は、X線回折に供すると、セリアの結晶相のみが検出されること。
[3]前記シリカ系複合微粒子において、画像解析法で測定された短径/長径比が0.80以下である。
本発明の分散液において、前記シリカ系複合微粒子に含まれる不純物の含有割合が、次の(a)及び(b)のとおりであることが好ましい。
(a)Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有率が、それぞれ100ppm以下。
(b)U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ10ppm以下。
所望により本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液は、そのpH値を3〜8の範囲とした場合に、カチオンコロイド滴定を始める前、すなわち、滴定量がゼロである場合の流動電位がマイナスの電位となるものであることが好ましい。これは、調合工程で生成した珪酸セリウム化合物が、焼成工程で分層しシリカ系複合微粒子表面の一部または全部をシリカで被覆されるためである。この流動電位がマイナスの電位を維持する場合、同じくマイナスの表面電位を示す研磨基材への砥粒(シリカ系複合微粒子)の残留が生じ難いからである。
以下では、本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれるシリカ系複合微粒子を「本発明の製造方法で得られる複合微粒子」ともいう。
本発明の製造方法で得られる複合微粒子について説明する。
<母粒子>
本発明の製造方法で得られる複合微粒子において、母粒子は非晶質シリカを主成分とする。
本発明の製造方法の工程1で原料として使用するシリカ微粒子分散液に含まれるシリカ微粒子が、前記複合微粒子の母粒子となる。前記シリカ微粒子が非晶質であることは、例えば、次の方法で確認することができる。母粒子(シリカ微粒子)を含む分散液(シリカ微粒子分散液)を乾燥させた後、乳鉢を用いて粉砕し、例えば、従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)によってX線回折パターンを得ると、Cristobaliteのような結晶性シリカのピークは現れない。このことから、母粒子(シリカ微粒子)に含まれるシリカは非晶質であることを確認できる。
また「主成分」とは、含有率が90質量%以上であることを意味する。すなわち、母粒子において、非晶質シリカの含有率は90質量%以上である。この含有率は95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、99.5質量%以上であることがより好ましい。
以下に示す本発明の説明において「主成分」の文言は、このような意味で用いるものとする。
母粒子は非晶質シリカを主成分とし、その他のもの、例えば、結晶性シリカや不純物元素を含んでもよい。
例えば、前記母粒子(シリカ微粒子)において、Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの各元素(以下、「特定不純物群1」と称する場合がある)の含有率が、それぞれ100ppm以下であることが好ましい。さらに50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましく、1ppm以下であることがよりいっそう好ましい。また、前記母粒子(シリカ微粒子)におけるU、Th、Cl、NO3、SO4及びFの各元素(以下、「特定不純物群2」と称する場合がある)の含有率は、それぞれ10ppm以下であることが好ましい。
一般に水硝子を原料として調製したシリカ微粒子は、原料水硝子に由来する前記特定不純物群1と前記特定不純物群2を合計で数千ppm程度含有する。
このようなシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液の場合、イオン交換処理を行って前記特定不純物群1と前記特定不純物群2の含有率を下げることは可能であるが、その場合でも前記特定不純物群1と前記特定不純物群2が合計で数ppmから数百ppm残留する。そのため水硝子を原料としたシリカ粒子を用いる場合は、酸処理等で不純物低減させることも行われている。
これに対し、アルコキシシランを原料として合成したシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液の場合、通常、前記特定不純物群1及び前記特定不純物群2における各元素と各陰イオンの含有率は、それぞれ20ppm以下である。
また、一般的に四塩化ケイ素を原料として合成したヒュームドシリカは、紛体の状態においても原料四塩化ケイ素に由来する前記特定不純物群1及び前記特定不純物群2の含有率は合計で20ppm程度である。
なお、本発明において、母粒子(シリカ微粒子)におけるNa、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの各々の含有率は、それぞれ次の方法を用いて測定して求めた値とする。
・Na及びK:原子吸光分光分析
・Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U及びTh:ICP(誘導結合プラズマ発光分光分析)
・Cl:電位差滴定法
・NO3、SO4及びF:イオンクロマトグラフ
後述のとおり本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液におけるシリカ系複合微粒子の平均粒子径は、50nm〜350nm(動的光散乱法又はレーザー回折散乱法で測定された値による)の範囲にあり、その母粒子(シリカ微粒子)の平均粒子径は、通常、350nmより小さいものとなる。
本発明の製造方法において原料として使用するシリカ微粒子分散液に含まれるシリカ微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法又はレーザー回折散乱法で測定された値を意味する。具体的には、次の方法で測定して得た値を意味するものとする。シリカ微粒子を水等に分散させ、シリカ微粒子分散液を得た後、このシリカ微粒子分散液を、公知の動的光散乱法による粒子径測定装置(例えば、日機装株式会社製マイクロトラックUPA装置や、大塚電子社製PAR−III)あるいはレーザー回折散乱法による測定装置(例えば、HORIBA社製LA―950)を用いて測定する。
なお、測定装置は各工程の目的や想定される粒子径や粒度分布に応じて使い分けられる。具体的には約100nm以下で粒度の揃った原料の単分散シリカ微粒子はPAR−IIIを用い、100nm以上とサイズが大きな単分散の原料シリカ微粒子はLA−950で測定し、解砕によりミクロンメーターからナノメーターまで粒子径が幅広く変化する解砕工程では、マイクロトラックUPAやLA−950を用いることが好ましい。
本発明の製造方法の工程1で原料として使用するシリカ微粒子分散液に含まれるシリカ微粒子としては、非球状のシリカ微粒子が好適に使用される。ここで非球状の例としては、俵状、短繊維状、四面体状(三角錐型)、六面体状、八面体状、板状または不定形状などを挙げることができる。この様な非球状のシリカ微粒子であれば、その表面に疣状突起を有するものや、金平糖状のものであっても構わないが、これらに限定されるものではない。
前記工程1で原料として使用するシリカ微粒子分散液に含まれるシリカ微粒子の形状は非球状であることが好ましい。この場合、二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きくなる。この比[(D2)/(DS)]の値が大きくなると、シリカ微粒子の形状が球状から乖離していく。すなわち、この比[(D2)/(DS)]の値は、シリカ微粒子の形状が球状から乖離した度合いを示す。
なお、二次粒子径(D2)および比表面積換算粒子径(DS)の測定方法は、後述する実施例の説明において記す。
この比[(D2)/(DS)]の上限値は11000であってよい。なおこのような非球形のシリカ母粒子を原料として使用するとシリカ系複合微粒子も非球形となり、非球形粒子は基板との接触面積が大きくなるため研磨速度が高くなる。またシリカ母粒子の形状を選択することで、シリカ系複合微粒子の形状の制御も容易となる。
本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれる複合微粒子は、上記のような母粒子の表面上に子粒子を有する。ここで、母粒子の表面に子粒子が結合していることが好ましい。また、例えば、シリカ被膜が全体を被覆している子粒子が、シリカ被膜を介して母粒子に結合していてもよい。このような態様であっても、母粒子の表面上に子粒子が存在する態様であり、本発明の技術的範囲に含まれる。
前記複合微粒子において、子粒子は結晶性セリアを主成分とする。
前記子粒子が結晶性セリアであることは、例えば、本発明の分散液を、乾燥させたのち乳鉢を用いて粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)によって得たX線回折パターンにおいて、セリアの結晶相のみが検出されることから確認できる。なお、セリアの結晶相としては、Cerianite等が挙げられる。
子粒子は結晶性セリア(結晶性Ce酸化物)を主成分とし、その他のもの、例えばセリウム以外の元素を含んでもよい。
ただし、上記のように、本発明の複合微粒子をX線回折に供するとセリアの結晶相のみが検出される。すなわち、セリア以外の結晶相を含んでいたとしても、その含有率は少ないため、X線回折による検出範囲外となる。
なお、「主成分」の定義は前述の通りである。
前記子粒子は、結晶性セリアであれば、好適に使用することができる。このような結晶性セリアとして、例えば、本発明の複合微粒子をX線回折に供して測定される、結晶性セリアの(111)面(2θ=28度近傍)の結晶子径が10〜25nmの範囲が望ましい。セリアの結晶子径が大きいほど、基板との接触面積が増大し研磨速度が速くなると考えられるが、あまり大きくなり過ぎると解砕時または研磨時にセリアの結晶が母粒子から脱落するため、かえって研磨速度が低下する。上記範囲であれば、セリア粒子が十分に接触し、且つセリア粒子の脱落が防止できる。
なお、結晶性セリアの(111)面(2θ=28度近傍)の結晶子径は、次に説明する方法によって得られる値を意味するものとする。
初めに、本発明の複合微粒子を、乳鉢を用いて粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気(株)製、RINT1400)によってX線回折パターンを得る。そして、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面のピークの半価幅を測定し、下記のScherrerの式により、結晶子径を求めることができる。
D=Kλ/βcosθ
D:結晶子径(オングストローム)
K:Scherrer定数
λ:X線波長(1.7889オングストローム、Cuランプ)
β:半価幅(rad)
θ:反射角
子粒子の大きさは、母粒子より小さく、平均粒子径11〜26nmであることが好ましく、12〜23nmであることがより好ましい。子粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡を用いて30万倍に拡大した写真投影図において、任意の50個の子粒子について平均粒子径を測定し、これらを単純平均して得た値を意味する。
<シリカ被膜>
本発明の複合微粒子は、前記母粒子の表面上に前記子粒子を有し、さらにその子粒子の表面にシリカ被膜を有している。ここで、前記母粒子の表面に前記子粒子が結合しており、さらにそれらを覆うシリカ被膜を有していることが好ましい。すなわち、前記母粒子の表面に前記子粒子が結合してなる複合粒子の一部又は全体をシリカ被膜が覆っていることが好ましい。よって、本発明の複合微粒子の最表面にはシリカ被膜が存在している。
本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれる複合微粒子について透過型電子顕微鏡を用いて観察して得られる像(TEM像)では、母粒子の表面に子粒子の像が濃く現れるが、その子粒子の外側、すなわち、本発明の複合微粒子の表面側には、相対的に薄い像として、シリカ被膜が現れる。また、子粒子(セリア微粒子)が母粒子(シリカ微粒子)と結合している態様であることが好ましく、シリカ被膜が全体または一部を被覆している子粒子が、シリカ被膜を介して母粒子に結合していてもよい。
また、前記複合微粒子をEDS分析に供し、元素分布を得ると、粒子の表面側にCe濃度が高い部分が現れるが、さらにその外側にSi濃度が高い部分が現れる。
また、上記のように透過型電子顕微鏡によって特定した前記シリカ被膜の部分に電子ビームを選択的に当てたEDS測定を行って当該部分のSi原子数%及びCe原子数%を求めると、Si原子数%が非常に高いことを確認することができる。具体的には、Ce原子数%に対するSi原子数%の比(Si原子数%/Ce原子数%)が0.9以上となる。
このようなシリカ被膜は、子粒子(セリア結晶粒子)と母粒子(シリカ微粒子)の結合(力)を助長すると考えられる。よって、例えば、本発明の分散液を得る工程で、焼成して得られたシリカ系複合微粒子について湿式による解砕・粉砕を行うことで、シリカ系複合微粒子分散液が得られるが、シリカ被膜により、子粒子(セリア結晶粒子)が母粒子(シリカ微粒子)から外れる事を防ぐ効果があるものと考えられる。この場合、局部的な子粒子の脱落は問題なく、また、子粒子の表面の全てがシリカ被膜で覆われていなくても良い。子粒子が解砕・粉砕工程で母粒子から外れない程度の強固さがあれば良い。
このような構造により、本発明の分散液を研磨剤として用いた場合、研磨速度が高く、面精度やスクラッチの悪化が少ないと考えられる。また、結晶化しているため粒子表面の−OH基が少なく、研磨基板表面の−OH基との相互作用が少ないため研磨基板表面への付着が少ないと考えられる。
また、セリアはシリカや研磨基板、研磨パッドとは電位が異なり、pHはアルカリ性から中性付近でマイナスのゼータ電位が減少して行き、弱酸性領域では逆のプラスの電位を持つ。そのため電位の大きさの違いや極性の違いなどで研磨基材や研磨パッドに付着し、研磨基材や研磨パッドに残り易い。一方、本発明のシリカ系複合微粒子は、子粒子であるセリアがシリカ被膜でその少なくとも一部が覆われているため、pHがアルカリ性から酸性までマイナスの電位を維持するため、研磨基材や研磨パッドへの砥粒残りが起きにくい。
シリカ被膜の厚さは、TEM像やSEM像から母粒子上のセリアの子粒子のシリカ被膜による被覆具合で概ね求められる。つまり、上記のように、TEM像では、母粒子の表面に粒子径が約20nm前後の子粒子の像が濃く現れ、その子粒子の外側に相対的に薄い像としてシリカ被膜が現れるので、子粒子の大きさと対比する事で、シリカ被膜の厚さを概ね求めることができる。この厚さは、SEM像から子粒子が凹凸としてハッキリ確認できて、TEM像からシリカ系複合微粒子の輪郭に凹凸が見られるのならば、シリカ被膜の厚さは20nmをはるかに下回る事が考えられる。
なお、上記のように、最外層(母粒子側の反対)のシリカ被膜は、子粒子(セリア微粒子)の全体を完全に覆っていなくてもよい。すなわち、本発明の複合微粒子の最表面にはシリカ被膜が存在しているが、シリカ被膜が存在していない部分があってもよい。また、シリカ系複合微粒子の母粒子が露出する部分が存在しても構わない。
<本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれる複合微粒子>
本発明の複合微粒子は、上記のように、母粒子の表面に、上記のような子粒子を有している。
本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれる複合微粒子において、シリカとセリアとの質量比は100:11〜316であり、100:30〜316であることが好ましく、100:30〜316であることがより好ましく、100:110〜316であることがさらに好ましい。シリカとセリアとの質量比は、概ね、母粒子と子粒子との質量比と同程度と考えられる。母粒子に対する子粒子の量が少なすぎると、母粒子同士が結合し、粗大粒子が発生する場合がある。この場合に本発明の分散液を含む研磨剤(研磨スラリー)は、研磨基材の表面に欠陥(スクラッチの増加などの面精度の低下)を発生させる可能性がある。また、シリカに対するセリアの量が多すぎても、コスト的に高価になるばかりでなく、資源リスクが増大する。さらに、粒子同士の融着が進む。その結果、基板表面の粗度が上昇(表面粗さRaの悪化)したり、スクラッチが増加する、更に遊離したセリアが基板に残留する、研磨装置の廃液配管等への付着といったトラブルを起こす原因ともなりやすい。
なお、前記質量比を算定する場合の対象となるシリカとは、次の(I)と(II)の両方を含むものである。
(I)母粒子を構成するシリカ成分。
(II)母粒子に子粒子(セリア成分)が結合してなる複合微粒子を、覆ってなるシリカ被膜に含まれるシリカ成分。
本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれる複合微粒子におけるシリカ(SiO2)とセリア(CeO2)の含有率(質量%)は、まず本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子の分散液(本発明の分散液)の固形分濃度を、1000℃灼熱減量を行って秤量により求める。
次に、所定量の本発明の複合微粒子に含まれるセリウム(Ce)の含有率(質量%)をICPプラズマ発光分析により求め、CeO2質量%に換算する。そして、本発明の複合微粒子を構成するCeO2以外の成分はSiO2であるとして、SiO2質量%を算出することができる。
なお、本発明の製造方法においては、シリカとセリアの質量比は、本発明の分散液を調製する際に投入したシリカ源物質とセリア源物質との使用量から算定することもできる。これは、セリアやシリカが溶解し除去されるプロセスとなっていない場合に適用でき、そのような場合はセリアやシリカの使用量と分析値が良い一致を示す。
本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液に含まれる複合微粒子はシリカ微粒子(母粒子)の表面に粒子状の結晶性セリア(子粒子)が焼結等して結合したもの等であるので、凹凸の表面形状を有している。
すなわち、母粒子と子粒子との少なくとも一方(好ましくは双方)が、それらの接点において、焼結結合し、強固に結合していることが好ましい。ただし、シリカ被膜の覆われた子粒子が、そのシリカ被膜を介して母粒子と結合している場合もある。
前記複合微粒子の形状は、格別に制限されるものではないが、実用上は、異方形状をもつことが好ましい。異方形状とは、後述の方法により測定される短径/長径比が1よりも小さいことを意味する。
異方形状であると基板との接触面積を多くとることができるため、研磨エネルギーを効率良く基板へ伝えることができる。そのため、研磨速度が高い。また、粒子当たりの研磨圧力が単粒子よりも低くなるためスクラッチも少ない。
前記複合微粒子において、画像解析法で測定された短径/長径比が0.80以下(好ましくは0.67以下)である粒子の個数割合は50%以上であることが好ましい。ここで、画像解析法で測定された短径/長径比が0.80以下である粒子は、原則的に粒子結合型のものと考えられる。
画像解析法による短径/長径比の測定方法を説明する。透過型電子顕微鏡により、本発明の複合微粒子を倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とする。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DB)とする。これより、短径/長径比(DB/DL)を求める。そして、写真投影図で観察される任意の50個の粒子において、短径/長径比が0.80以下である粒子の個数割合(%)を求める。
前記複合微粒子では、短径/長径比が0.80以下(好ましくは0.67以下)である粒子の個数割合が55%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。この範囲の本発明の複合微粒子は、研磨材として使用した際に、研磨速度が高くなり好ましい。
前記複合微粒子は前述の異方形状であることがより好ましいが、その他の形状のもの、例えば球状粒子を含んでいてもよい。
前記複合微粒子は、比表面積が4〜100m2/gであることが好ましく、30〜60m2/gであることがより好ましい。
前記複合微粒子の平均粒子径は50nm〜350nmであることが好ましく、170nm〜260nmであることがより好ましい。本発明の複合微粒子の平均粒子径が50nm〜350nmの範囲にある場合、研磨材として適用した際に研磨速度が高くなり好ましい。
前記複合微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法又はレーザー回折散乱法で測定された値を意味する。具体的には、次の方法で測定して得た値を意味するものとする。本発明の複合微粒子を水に分散させ、この複合微粒子分散液を、公知の動的光散乱法による粒子径測定装置(例えば、日機装株式会社製マイクロトラックUPA装置や、大塚電子社製PAR−III)あるいはレーザー回折散乱法による測定装置(例えば、HORIBA社製LA―950)を用いて測定する。
前記複合微粒子において、前記特定不純物群1の各元素の含有率は、それぞれ100ppm以下であることが好ましい。さらに50ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましく、1ppm以下であることがよりいっそう好ましい。また、本発明の複合微粒子における前記特定不純物群2の各元素の含有率は、それぞれ10ppm以下であることが好ましい。本発明の複合微粒子における特定不純物群1及び前記特定不純物群2それぞれの元素の含有率を低減させる方法については、母粒子(シリカ微粒子)について述べた方法が適用できる。
なお、前記複合微粒子における前記特定不純物群1と前記特定不純物群2の各々の元素の含有率は、ICP(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて測定して求める値とする。
<本発明の分散液>
本発明の分散液について説明する。
本発明の分散液は、本発明の製造方法によって得られたシリカ系複合微粒子分散液を含む。もちろん、本発明の分散液はそのシリカ系複合微粒子分散液そのものであってもよい。
本発明の分散液は、上記のような本発明の複合微粒子が分散溶媒に分散しているものである。
本発明の分散液は分散溶媒として、水及び/又は有機溶媒を含む。この分散溶媒として、例えば純水、超純水、イオン交換水のような水を用いることが好ましい。さらに、本発明の分散液は、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、pH調整剤及びpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
また、本発明の分散液を備える分散溶媒として、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などの有機溶媒を用いることができる。これらを水と混合して用いてもよい。
本発明の分散液に含まれる固形分濃度は0.3〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
本発明の分散液は、そのpH値を3〜8の範囲とした場合に、カチオンコロイド滴定を始める前、すなわち、滴定量がゼロである場合の流動電位がマイナスの電位となるものであることが好ましい。これは、この流動電位がマイナスの電位を維持する場合、同じくマイナスの表面電位を示す研磨基材への砥粒(シリカ系複合微粒子)の残留が生じ難いからである。
<研磨用スラリー>
本発明の分散液を含む液体は、研磨スラリー(以下では「本発明の研磨用スラリー」ともいう)として好ましく用いることができる。特にはSiO2絶縁膜が形成された半導体基板の平坦化用の研磨スラリーとして好適に使用することができる。
本発明の研磨用スラリーは半導体基板などを研磨する際の研磨速度が高く、また研磨時に研磨面のキズ(スクラッチ)が少ない、基板への砥粒の残留が少ないなどの効果に優れている。
本発明の研磨用スラリーは分散溶媒として、水及び/又は有機溶媒を含む。この分散溶媒として、例えば純水、超純水、イオン交換水のような水を用いることが好ましい。さらに、本発明の研磨用スラリーは、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤及びpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を含んでいてもよい。
<研磨促進剤>
本発明に係る研磨用スラリーには、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素など及びこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
研磨促進剤の別の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩及びこれらの混合物などを挙げることができる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
本発明に係る研磨用スラリーが研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
<界面活性剤及び/又は親水性化合物>
研磨用スラリーの分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤又は親水性化合物を添加することができる。界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤及び/又は親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられ、エーテル型として、ポリオキシエチレンアルキル及びアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられ、エーテルエステル型として、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型として、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤としては陰イオン界面活性剤もしくは非イオン系界面活性剤が好ましく、また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩及びカリウム塩が好ましい。
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステル及びアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等のビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は、何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板などの場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
本発明に係る研磨用スラリーが界面活性剤及び/又は親水性化合物を含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用スラリーの1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性化合物の含有量は、充分な効果を得る上で、研磨用スラリーの1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
界面活性剤又は親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
<複素環化合物>
本発明の研磨用スラリーについては、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層又は溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る研磨用スラリーに複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001〜1.0質量%であることが好ましく、0.001〜0.7質量%であることがより好ましく、0.002〜0.4質量%であることがさらに好ましい。
<pH調整剤>
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸又は塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
研磨用スラリーをpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
研磨用スラリーをpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸類の様な、塩酸、硝酸などの鉱酸が使用される。
<pH緩衝剤>
研磨用スラリーのpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水などのリン酸塩及びホウ酸塩又は有機酸などを使用することができる。
また、本発明の研磨用スラリーの分散溶媒として、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などの有機溶媒を用いることができる。これらを水と混合して用いてもよい。
本発明の研磨用スラリーに含まれる固形分濃度は、必要とする研磨速度が得られる限り格別限定されるものではない。通常は、0.3〜50質量%の範囲にあることが好ましい。この固形分濃度が低すぎると研磨速度が低下する可能性がある。
本発明の製造方法で得られるシリカ系複合微粒子分散液は、カチオンコロイド滴定を行った場合に、下記式(1)で表される流動電位変化量(ΔPCD)と、クニックにおけるカチオンコロイド滴定液の添加量(V)との比(ΔPCD/V)が―110.0〜―15.0となる流動電位曲線が得られるものであることが好ましい。
ΔPCD/V=(I−C)/V・・・式(1)
C:前記クニックにおける流動電位(mV)
I:前記流動電位曲線の開始点における流動電位(mV)
V:前記クニックにおける前記カチオンコロイド滴定液の添加量(ml)
ここで、カチオンコロイド滴定は、固形分濃度を1質量%に調整した本発明の分散液80gにカチオンコロイド滴定液を添加することで行う。カチオンコロイド滴定液として、0.001Nポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム溶液を用いる。
このカチオンコロイド滴定によって得られる流動電位曲線とは、カチオン滴定液の添加量(ml)をX軸、本発明の分散液の流動電位(mV)をY軸に取ったグラフである。
また、クニックとは、カチオンコロイド滴定によって得られる流動電位曲線において急激に流動電位が変化する点(変曲点)である。この変曲点における流動電位をC(mV)とし、点Aにおけるカチオンコロイド滴定液の添加量をV(ml)とする。
滴定前の前記シリカ系複合微粒子分散液における流動電位を流動電位曲線の開始点とし、通常は、カチオンコロイド滴定液の添加量が0である点を開始点とする。また、開始点における流動電位をI(mV)とする。
前記のΔPCD/Vの値が−110.0〜−15.0であると、本発明の製造方法でえられたシリカ系複合微粒子分散液を研磨剤として用いた場合、研磨剤の研磨速度がより向上する。このΔPCD/Vは、本発明の製造方法で得られた複合微粒子表面におけるシリカ被膜の被覆具合及び/又は複合微粒子の表面における子粒子の露出具合あるいは脱離しやすいシリカの存在を反映していると考えられる。ΔPCD/Vの値が上記範囲内であると、湿式による解砕・粉砕時において子粒子は脱離する事が少なく、研磨速度も高いと本発明者は推定している。逆にΔPCD/Vの値が−110.0よりもその絶対値が大きい場合は、複合微粒子表面がシリカ被膜で全面覆われているため解砕・粉砕工程にて子粒子脱落は起き難いが研磨時にシリカが脱離しがたく研磨速度が低下する。一方、−15.0よりもその絶対値が小さい場合は脱落が起きやすいと考えられる。上記範囲内であると、研磨時において子粒子表面が適度に露出して子粒子の脱落が少なく、研磨速度がより向上すると本発明者は推定している。ΔPCD/Vは、−100.0〜−15.0であることがより好ましく、−100.0〜−20.0であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法で得られたシリカ系複合微粒子分散液は、そのpH値を3〜8の範囲とした場合に、カチオンコロイド滴定を始める前、すなわち、滴定量がゼロである場合の流動電位がマイナスの電位となるものであることが好ましい。これは、この流動電位がマイナスの電位を維持する場合、同じくマイナスの表面電位を示す研磨基材への砥粒(シリカ系複合微粒子)の残留が生じ難いからである。
なお、本発明の製造方法の工程2・(ii)の湿式による解砕・粉砕を行う場合は、溶媒のpHを8.6〜10.8に維持しながら湿式による解砕・粉砕を行うことが好ましい。pHをこの範囲に維持すると、カチオンコロイド滴定を行った場合に、前記式(1)で表される、流動電位変化量(ΔPCD)と、クニックにおけるカチオンコロイド滴定液の添加量(V)との比(ΔPCD/V)が−110.0〜−15.0となる流動電位曲線が得られるシリカ系複合微粒子分散液を、最終的により容易に得ることができる。
すなわち、前述の好ましい態様に該当する本発明の分散液が得られる程度に、解砕・粉砕を行うことが好ましい。前述のように、好ましい態様に該当する本発明の分散液を研磨剤に用いた場合、研磨速度がより向上するからである。これについて本発明者は、本発明の複合微粒子表面におけるシリカ被膜が適度に薄くなること、及び/又は複合微粒子表面の一部に子粒子が適度に露出することで、研磨速度がより向上し、且つセリアの子粒子の脱落を制御できると推定している。また、シリカ被膜が薄いか剥げた状態であるため、子粒子が研磨時にある程度脱離しやすくなると推定している。ΔPCD/Vは、−100.0〜−15.0であることがより好ましく、−100.0〜−20.0であることがさらに好ましい。
以下、本発明について実施例に基づき説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
<実験1>
初めに、実施例及び比較例における各測定方法及び試験方法の詳細について説明する。各実施例及び比較例について、以下の各測定結果及び試験結果を第1表に記す。
[成分の分析]
[シリカ微粒子(母粒子)]
後述するヒュームドシリカのSiO2重量について、1000℃灼熱減量を行って秤量により求めた。また、シリカ微粒子分散液のSiO2重量について、珪酸ナトリウムを原料としたシリカ微粒子の場合は1000℃灼熱減量を行って秤量により求めた。またアルコキシシランを原料としたシリカ微粒子の場合は、シリカ微粒子分散液を150℃で1時間乾燥させた後に秤量して求めた。
[シリカ系複合微粒子]
各元素の含有率は、以下の方法によって測定するものとする。
初めに、シリカ系複合微粒子分散液からなる試料約1g(固形分20質量%)を白金皿に採取する。リン酸3ml、硝酸5ml、弗化水素酸10mlを加えて、サンドバス上で加熱する。乾固したら、少量の水と硝酸50mlを加えて溶解させて100mlのメスフラスコにおさめ、水を加えて100mlとする。この溶液でNa、Kは原子吸光分光分析装置(例えば日立製作所社製、Z−2310)で測定する。次に、100mlにおさめた溶液から分液10mlを20mlメスフラスコに採取する操作を5回繰り返し、分液10mlを5個得る。そして、これを用いて、Al、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U及びThについてICPプラズマ発光分析装置(例えばSII製、SPS5520)にて標準添加法で測定を行う。ここで、同様の方法でブランクも測定して、ブランク分を差し引いて調整し、各元素における測定値とする。
以下、特に断りがない限り、本発明におけるNa、Al、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U及びThの成分の含有率(含有量)は、このような方法で測定して得た値を意味するものとする。
各陰イオンの含有率は、以下の方法によって測定するものとする。
<Cl>
シリカ系複合微粒子分散液からなる試料20g(固形分20質量%)にアセトンを加え100mlに調整し、この溶液に、酢酸5ml、0.001モル塩化ナトリウム溶液4mlを加えて0.002モル硝酸銀溶液で電位差滴定法(京都電子製:電位差滴定装置AT−610)で分析を行う。
別途ブランク測定として、アセトン100mlに酢酸5ml、0.001モル塩化ナトリウム溶液4mlを加えて0.002モル硝酸銀溶液で滴定を行った場合の滴定量を求めておき、試料を用いた場合の滴定量から差し引き、試料の滴定量とした。
<NO3、SO4、F>
シリカ系複合微粒子分散液からなる試料5g(固形分20質量%)を水で希釈して100mlにおさめ、遠心分離機(日立製 HIMAC CT06E)にて4000rpmで20分遠心分離して、沈降成分を除去して得た液をイオンクロマトグラフ(DIONEX製 ICS−1100)にて分析した。
<SiO2、CeO2
シリカ系複合微粒子におけるシリカとセリアの含有率を求める場合、まずシリカ系複合微粒子の分散液の固形分濃度を、1000℃灼熱減量を行って秤量により求める。次にCeについて、Al〜Th等と同様にICPプラズマ発光分析装置(例えば、SII製、SPS5520)を用いて標準添加法で測定を行い、得られたCe含有率からCeO2質量%を算出する。そして、本発明の複合微粒子を構成するCeO2以外の成分はSiO2であるとして、SiO2質量%を算出する。
なお、シリカ微粒子(母粒子)における各元素又は各陰イオンの含有率は、上記シリカ系複合微粒子の分析方法において、試料をシリカ系複合微粒子分散液に代えて、シリカ微粒子分散液を用いることにより行った。
[X線回折法、結晶子径の測定]
前述の方法に則り、実施例及び比較例で得られたシリカ系複合微粒子分散液を従来公知の乾燥機を用いて乾燥し、得られた粉体を乳鉢にて10分粉砕し、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)によってX線回折パターンを得て、結晶型を特定した。
また、前述のように、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面(2θ=28度近傍)のピークの半価幅を測定し、Scherrerの式により、結晶子径を求めた。
<平均粒子径(D2)>
実施例及び比較例で得られたシリカ微粒子分散液及びシリカ系複合微粒子分散液について、これに含まれる粒子の平均粒子径(D2)を前述の方法で測定した。
具体的にはシリカ母粒子はHORIBA社製LA950を用い、シリカ系複合微粒子については日機装株式会社製マイクロトラックUPA装置を用いた。
<比表面積換算粒子径(DS)>
前述のBET比表面積測定法(窒素吸着法)によって、シリカ微粒子の比表面積(Sa)を測定し、このSaを次の式に代入してDSを求めた。
DS=6000/(ρ×Sa)
ここでρは試料の密度であり、シリカ試料の場合は2.2とした。
なお、二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]の値は、二次粒子径(D2)、比表面積換算粒子径(DS)の両者の単位を同じくして
算定した。
<短径/長径比率>
実施例及び比較例で得られたシリカ微粒子分散液及びシリカ系複合微粒子分散液が含む各粒子について、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;日立製作所社製、型番:S−5500)を用いて倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とした。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DB)とした。そして、比(DB/DL)を求めた。この測定を任意の50個の粒子について行い、単一粒子としての短径/長径比が0.8以下の粒子の個数比率(%)を求めた。
[研磨試験方法]
<SiO2膜の研磨>
実施例及び比較例の各々において得られたシリカ系複合微粒子分散液を含むスラリー(研磨用スラリー)を調整した。ここで固形分濃度は0.6質量%で硝酸を添加してpHは5.0とした。
次に、被研磨基板として、熱酸化法により作製したSiO2絶縁膜(厚み1μm)基板を準備した。
次に、この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「IC-1000/SUBA400同心円タイプ」)を使用し、基板荷重0.5MPa、テーブル回転速度90rpmで研磨用スラリーを50ml/分の速度で1分間供給して研磨を行った。
そして、研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
また、研磨基材の表面の平滑性(表面粗さRa)を原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
なお研磨傷の観察は、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察することで行った。
<アルミハードディスクの研磨>
実施例及び比較例の各々において得られたシリカ系複合微粒子分散液を含むスラリー(研磨用スラリー)を調整した。ここで固形分濃度は9質量%で硝酸を添加してpHを2.0に調整した。
アルミハードディスク用基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「ポリテックスφ12」)を使用し、基板負荷0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨スラリーを20ml/分の速度で5分間供給して研磨を行い、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製、製品名:Maicro―Max)を使用し、Zoom15にて全面観察し、65.97cm2に相当する研磨処理された基板表面に存在するスクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計し、次の基準に従って評価した。
線状痕の個数 評 価
50個未満 「非常に少ない」
50個以上80個未満 「少ない」
80個以上 「多い」
少なくとも80個以上で総数をカウントできないほど多い 「※」
<実施例1>
[シリカ微粒子分散液の調製]
超純水5778.7gとヒュームドシリカ(日本アエロジル社製 AEROSIL50)180g、3%アンモニア41.3gを混合し、SiO2固形分濃度3質量%のA液6000gを得た。(以下、シリカ系複合微粒子分散液の製造工程において、後記B液に対してシリカ微粒子分散液を「A液」とする。)
このA液(シリカ微粒子分散液)に含まれるシリカ微粒子は、堀場製作所社製のLA−950v2により測定した平均粒子径(D2)が46.8μm(46,800nm)であった。また、比表面積換算粒子径(DS)は53nmであった。したがって、D2/DSは883と算出された。
また、このシリカ微粒子について、前記測定方法で測定したNa、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、Zr、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率は何れも1ppm以下であった。この結果を表1に記す。(以下の実施例及び比較例も同様)
次に、硝酸セリウム(III)6水和物(関東化学社製、4N高純度試薬)にイオン交換水を加え、CeO2換算で2.5質量%のB液を得た。(以下、セリウム金属塩分散液を「B液」とする。)
次に、A液(6000g)を50℃まで昇温して、撹拌しながら、ここへB液(8453g、SiO2の100質量部に対して、CeO2が117.4質量部に相当)を18時間かけて添加した。この間、液温を50℃に維持しておき、また、必要に応じて3%アンモニア水を添加して、pH7.85を維持するようにした。
そして、B液の添加が終了したら、液温を93℃へ上げて4時間熟成を行った。熟成終了後に室内に放置することで放冷し、室温まで冷却した後に、限外膜にてイオン交換水を補給しながら洗浄を行った。洗浄を終了して得られた前駆体粒子分散液は、固形分濃度が7質量%、pHが8.7(25℃にて)、電導度が26μs/cm(25℃にて)であった。
次に得られた前駆体粒子分散液に5質量%酢酸を加えてpHを6.5に調整して、120℃の乾燥機中で16時間乾燥させた後、1070℃のマッフル炉を用いて2時間焼成を行い、粉体(焼成体)を得た。
得られた粉体125gにイオン交換水375gを加え、さらに3%アンモニア水溶液を用いてpHを10に調整した後、φ0.25mmの高純度シリカビーズ(大研化学工業株式会社製)、バッチ式卓上型サンドミルを用いて湿式解砕、粉砕を行い、イオン交換水を用いて希釈後、高純度シリカビーズと分離して固形分濃度5質量%のシリカ系複合微粒子分散液2500gを得た。
次いで得られた微粒子分散液を遠心分離装置(日立工機株式会社製、型番「CR21G」)にて、相対遠心加速度675Gで3分間遠心分離処理し、沈降成分を除去し、シリカ系複合微粒子分散液を得た。得られたシリカ系複合微粒子分散液は、レーザー回折散乱法(HORIBA社製LA−950)で測定した粒子径は0.130μmであった。
得られたシリカ系複合微粒子分散液が含むシリカ系複合微粒子について、各種元素又はイオン種の分析結果(含有率)を第1表に記す。(以下の実施例及び比較例も同様)
得られたシリカ系複合微粒子分散液が含むシリカ系複合微粒子についてX線回折法によって測定したところ、Cerianiteの回折パターンが見られた。
次に、研磨試験を行った。また、研磨スラリーに含まれるシリカ系複合微粒子の短径/長径比を測定した。結果を第1表に示す。
また、シリカ系複合微粒子の平均粒子径は、堀場製作所社製のLA−950v2を用いて測定したところ133nmであった。
また、実施例1で得られたシリカ系複合微粒子分散液が含むシリカ系複合微粒子についてSEM,TEMを用いて観察した。SEM像とTEM像(100,000倍)を図1(a)、(b)に示す。
また、子粒子の粒子径を測定したSEM画像(300,000倍)を図1(c)に示す。
さらに、実施例1で得られたシリカ系複合微粒子分散液に含まれるシリカ系複合微粒子のX線回折パターンを図2に示す。
図2のX線回折パターンでは、かなりシャープなCerianiteの結晶であり、TEMやSEM像からセリア結晶粒子がシリカ表面と強く焼結しているように見える。
また、図1からは、シリカ系複合微粒子の最表面に、薄いシリカ被膜が覆うように存在している様子が観察された。
<実施例2>
[シリカ微粒子分散液の調製]
実施例1で用いたヒュームドシリカ300gにイオン交換水3986gを加え、φ0.25mmの高純度シリカビーズ(大研化学工業株式会社製)、アシザワファインテック社製ビーズミルLMZ06を用い、湿式解砕、粉砕を行い、固形分濃度7質量%のシリカ微粒子分散液4286gを得た。このシリカ微粒子分散液に含まれる粒子は、堀場製作所社 8y76製のLA−950v2により測定した平均粒子径(D2)が0.12μm(120nm)であった。また、比表面積換算粒子径(DS)は45nmであった。したがって、D2/DSは2.7と算出された。
上記得られたシリカ微粒子分散液2571gに超純水3387.7gと3%アンモニア29.7gを混合し、SiO2固形分濃度3質量%のA液6000gを得た。そして、実施例1と同じ条件にしてシリカ・セリア複合酸化物を含むシリカ系複合粒子分散液を調製した。実施例1と同様の操作を行い、同様の測定を行った。結果を第1表に示す。なお、実施例2で得られたシリカ系複合微粒子の平均粒子径は125nmであった。
<実施例3>[1]合成シリカコア(アルコキシドからのゲルを原料とした場合)
[シリカ微粒子分散液の調製]
三菱化学社製合成石英粉 MKCシリカ300gにイオン交換水3986gを加え、φ0.25mmの高純度シリカビーズ(大研化学工業株式会社製)、アシザワファインテック社製ビーズミルLMZ06を用い、湿式解砕、粉砕を行い、固形分濃度7質量%のシリカ微粒子分散液4286gを得た。このシリカ微粒子分散液に含まれる粒子は、堀場製作所社製のLA−950v2により測定した平均粒子径(D2)が0.20μm(200nm)であった。また、比表面積換算粒子径(DS)は5nmであった。したがって、D2/DSは40と算出された。
上記得られたシリカ微粒子分散液2571gに超純水3387.7gと3%アンモニア29.7gを混合し、SiO2固形分濃度3質量%のA液6000gを得た。そして、実施例1と同じ条件にしてシリカ・セリア複合酸化物を含むシリカ系複合粒子分散液を調製した。実施例1と同様の操作を行い、同様の測定を行った。結果を第1表に示す。なお、実施例3で得られたシリカ系複合微粒子の平均粒子径は220nmであった。
<実施例4>[2]ヒドロゲルコア
[シリカ微粒子分散液の調製]
SiO2濃度が24%重量の珪酸ナトリウム水溶液(SiO2/Na2Oモル比が3.1)をイオン交換水で希釈して、SiO2濃度が5重量%の珪酸ナトリウム水溶液(pH11.3)を8kg調製した。
この珪酸ナトリウム水溶液のpHが6.5になるように、硫酸を加えて中和し、常温で1時間保持して、シリカヒドリゲルを調製した。このシリカヒドロゲルをオリバーフィルターにて28%アンモニア水溶液(SiO2固形分の約120倍相当量)で十分に洗浄し、塩類を除去した。洗浄後の硫酸ナトリウム濃度は、SiO2固形分に対して、0.01%未満だった。
さらに、得られた洗浄シリカヒドロゲルをイオン交換水で希釈して、SiO2濃度が5重量%のシリカヒドロゲル分散液8kg調製し、その中に陽イオン交換樹脂(ローム&ハース社製:デュオライトC255LFH)を2460g投入した。投入後10分間撹拌した後、ステンレス金網(メッシュサイズ:325)を用いて樹脂を分離した。分離した状態で、続いて樹脂に押水として純水200gをかけ入れ、同様に回収した。引き続き、陽イオン交換処理を行ったシリカヒドロゲル分散液中に陰イオン交換樹脂(ローム&ハース社製:デュオライトUP5000)580gを投入し10分間撹拌した後、ステンレス金網(メッシュサイズ:325)を用いて樹脂を分離した。分離した状態で、続いて樹脂に押水として純水400gをかけ入れ、同様に回収し、シリカ系微粒子分散液を得た。
上記得られたシリカ微粒子分散液2571gに超純水3387.7gと3%アンモニア29.7gを混合し、SiO2固形分濃度3質量%のA液6000gを得た。そして、実施例1と同じ条件にしてシリカ・セリア複合酸化物を含むシリカ系複合粒子分散液を調製した。実施例1と同様の操作を行い、同様の測定を行った。結果を第1表に示す。なお、実施例4で得られたシリカ系複合微粒子の平均粒子径は220nmであった。
<比較例1>
実施例1で用いられたのと同様な母粒子について(すなわち、ヒュームドシリカの平均粒子径46.8μmの母粒子をシリカ系複合微粒子として扱って)、研磨試験を行った。結果を第1表に示す。
<比較例2>
実施例2で得られた母粒子について(すなわち、ヒュームドシリカを湿式解砕した平均粒子径0.12μmの母粒子をシリカ系複合微粒子として扱って)、研磨試験を行った。
結果を第1表に示す。
<比較例3>
《シリカ微粒子分散液(シリカ微粒子の平均粒子径60nm)》の調製
エタノール12,090gと正珪酸エチル6,363.9gとを混合し、混合液a1とした。
次に、超純水6,120gと29%アンモニア水444.9gとを混合し、混合液b1とした。
次に、超純水192.9gとエタノール444.9gとを混合して敷き水とした。
そして、敷き水を撹拌しながら75℃に調整し、ここへ、混合液a1及び混合液b1を、各々10時間で添加が終了するように、同時添加を行った。添加が終了したら、液温を75℃のまま3時間保持して熟成させた後、固形分濃度を調整し、SiO2固形分濃度19質量%、レーザー回折・散乱法大塚電子社製のPAR−IIIにより測定されたシリカ微粒子の平均粒子径60nmのシリカ微粒子分散液を9,646.3g得た。
《シリカ微粒子分散液(シリカ微粒子の平均粒子径108nm)》の調製
メタノール2,733.3gと正珪酸エチル1,822.2gとを混合し、混合液a2とした。
次に、超純水1,860.7gと29%アンモニア水40.6gとを混合し、混合液b2とした。
次に、超純水59gとメタノール1,208.9gとを混合して敷き水として、前工程で得たシリカ微粒子の平均粒子径60nmのシリカ微粒子分散液922.1gを加えた。
そして、シリカ微粒子分散液を含んだ敷き水を撹拌しながら65℃に調整し、ここへ、混合液a2及び混合液b2を、各々18時間で添加が終了するように、同時添加を行った。添加が終了したら、液温を65℃のまま3時間保持して熟成させた後、固形分濃度(SiO2固形分濃度)を19質量%に調整し、3,600gの高純度シリカ微粒子分散液を得た。
この高純度シリカ微粒子分散液の含まれる粒子は大塚電子社製のPAR−IIIにより測定した平均粒子径が108nmであった。
また、ICP測定によるアルカリ金属、アルカリ土類金属等の含有率は1ppm以下であった。母粒子に含まれる各種元素又はイオン種の分析結果を第1表に記す。
次に、この高純度シリカ微粒子分散液1,053gに陽イオン交換 三菱化学社製SK−1BH)114gを徐々に添加して30分間攪拌し樹脂を分離した。この時のpHは5.1であった。
得られたシリカ微粒子分散液に超純水を加えて、SiO2固形分濃度3質量%のA液6,000gを得た。
そして、実施例1と同じ条件にしてシリカ・セリア複合酸化物を含むシリカ系複合粒子分散液を調製した。実施例1と同様の操作を行い、同様の測定を行った。結果を第1表に示す。
なお、実施例1のシリカ系複合微粒子分散液が含むシリカ系複合微粒子では、解砕・粉砕による子粒子(セリア結晶粒子)の脱落が僅かに確認された。
また、実施例1のシリカ系複合微粒子は、シリカとセリア(セリア結晶粒子)との質量比が100:11〜316の範囲内であった。
本発明の複合微粒子は、不純物を含まないため、半導体基板、配線基板などの半導体デバイスの表面の研磨に好ましく用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記の工程1〜工程3を含むことを特徴とするシリカ系複合微粒子分散液の製造方法。
    工程1:二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きい、非球状のシリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ微粒子分散液を撹拌し、温度を5〜98℃、pHを範囲7.0〜9.0に維持しながら、ここへセリウムの金属塩を連続的又は断続的に添加し、前駆体粒子を含む前駆体粒子分散液を得る工程。
    工程2:前記前駆体粒子分散液を乾燥させ、400〜1,200℃で焼成し、得られた焼成体に、次の(i)又は(ii)の処理をして焼成体解砕分散液を得る工程。
    (i)乾式で解砕・粉砕処理し、溶媒を加えて溶媒分散処理する。
    (ii)溶媒を加えて、湿式で解砕・粉砕処理する。
    工程3:前記焼成体解砕分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することによりシリカ系複合微粒子分散液を得る工程。
  2. 前記シリカ微粒子に含まれる不純物の含有割合が、次の(a)及び(b)のとおりであることを特徴とする請求項1記載のシリカ系複合微粒子分散液の製造方法。
    (a)Na、Ag、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn及びZrの含有率が、それぞれ100ppm以下。
    (b)U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ10ppm以下。
  3. 二次粒子径(D2)と比表面積換算粒子径(DS)との比[(D2)/(DS)]が1.0より大きい、非球状のシリカ微粒子の表面の一部がシリカに被覆された結晶性セリアに被覆されたシリカ微粒子分散液。
  4. 請求項3に記載のシリカ微粒子分散液を含む研磨スラリー。
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