JP2020023408A - セリア系微粒子分散液、その製造方法およびセリア系微粒子分散液を含む研磨用砥粒分散液 - Google Patents
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Abstract
Description
シャロートレンチ素子分離工程では、酸化ケイ素膜の研磨だけではなく、窒化ケイ素膜の研磨も行われる。素子分離を容易にするためには、酸化ケイ素膜の研磨速度が高く、窒化ケイ素膜の研磨速度が低い事が望ましく、この研磨速度比(選択比)も重要である。
このような仕上げ研磨としての2次研磨に用いる研磨剤に関して、従来、例えば次のような方法等が提案されている。
これは、焼成工程を含むセリア粒子の製造方法(焼成によりセリア粒子の結晶化度が高まる)に比べて、特許文献1に記載の酸化セリウム超微粒子の製法は、焼成工程を含まず、液相(硝酸第一セリウムを含む水溶液)から酸化セリウム粒子を結晶化させるだけなので、生成する酸化セリウム粒子の結晶化度が相対的に低く、また、焼成処理を経ないため砥粒の密度が低いため研磨速度が低く、さらに酸化セリウムが母粒子と固着せず、酸化セリウムが研磨基材の表面に残留することが主要因であると、本発明者は推定している。
本発明は以下の(1)〜(10)である。
(1)下記[1]から[4]の特徴を備える平均粒子径5〜500nmのセリア系微粒子を含む、セリア系微粒子分散液。
[1]前記セリア系微粒子は、原料セリア微粒子と、前記原料セリア微粒子の表面上の易溶解性のシリカを含む層とを有し、前記原料セリア微粒子は結晶性のセリアを主成分とすること。
[2]前記セリア系微粒子の質量D2に対する易溶解性のシリカを含む層に含まれる易溶解性シリカの質量D1の割合D(D=D1/D2×100)が0.005〜10%であること。
[3]前記セリア系微粒子は、X線回折に供すると、セリアの結晶相のみが検出されること。
[4]前記セリア系微粒子は、X線回折に供して測定される、前記結晶性セリアの平均結晶子径が3〜300nmであること。
(2)pH値を3〜8とした場合に流動電位がマイナスとなる、上記(1)に記載のセリア系微粒子分散液。
(3)カチオンコロイド滴定を行った場合に、下記式(1)で表される流動電位変化量(ΔPCD)と、流動電位の微分値が最大になるときのカチオンコロイド滴定液の添加量(V)との比(ΔPCD/V)が−3000〜−100となる流動電位曲線が得られる、上記(1)または(2)に記載のセリア系微粒子分散液。
ΔPCD/V=(I−C)/V・・・式(1)
C:前記流動電位の微分値が最大になるときの流動電位(mV)
I:前記流動電位曲線の開始点における流動電位(mV)
V:前記流動電位の微分値が最大になるときの前記カチオンコロイド滴定液の添加量(ml)
(4)0.51μm以上の粗大粒子となっている前記セリア系微粒子の数が、3000百万個/cc以下である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のセリア系微粒子分散液。
(5)前記セリア系微粒子に含まれる不純物の含有割合が、次の(a)及び(b)のとおりであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のセリア系微粒子分散液。
(a)Na、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti及びZnの含有率が、それぞれ100ppm以下。
(b)U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ5ppm以下。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のセリア系微粒子分散液を含む研磨用砥粒分散液。
(7)前記研磨用砥粒分散液が、シリカ膜が形成された半導体基板の平坦化用であることを特徴とする上記(6)に記載の研磨用砥粒分散液。
(8)下記の工程1および工程2aを含むことを特徴とするセリア系微粒子分散液の製造方法。
工程1:セリウム化合物を300〜1200℃で焼成して焼成体を得る工程。
工程2a:前記焼成体にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成し、その後、解砕もしくは粉砕することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
(9)下記の工程1および工程2bを含むことを特徴とするセリア系微粒子分散液の製造方法。
工程1:セリウム化合物を300〜1200℃で焼成して焼成体を得る工程。
工程2b:前記焼成体を解砕もしくは粉砕し、得られた原料セリア微粒子分散液にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
(10)下記の工程Aおよび工程Bを含むことを特徴とするセリア系微粒子分散液の製造方法。
工程A:セリウム化合物を溶解したセリウム溶液を、温度を3〜98℃、pHを5.0〜10.0に維持した溶媒中に、連続的または断続的に添加し、コロイダルセリアを得る工程。
工程B:前記コロイダルセリアにシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
本発明のセリア系微粒子分散液の製造方法の好適態様においては、セリア系微粒子に含まれる不純物を著しく低減させ、高純度化させることも可能である。本発明のセリア系微粒子分散液の製造方法の好適態様によって得られる、高純度化されたセリア系微粒子分散液は、不純物を含まないため、半導体基板、配線基板などの半導体デバイスの表面の研磨に好ましく用いることができる。
また、本発明のセリア系微粒子分散液は、研磨用砥粒分散液として使用した場合、半導体デバイス表面の平坦化に有効であり、特にはシリカ絶縁膜が形成された基板の研磨に好適である。
本発明は、下記[1]から[4]の特徴を備える平均粒子径5〜500nmのセリア系微粒子を含む、セリア系微粒子分散液である。
[1]前記セリア系微粒子は、原料セリア微粒子と、前記原料セリア微粒子の表面上の易溶解性のシリカを含む層とを有し、前記原料セリア微粒子は結晶性のセリアを主成分とすること。
[2]前記セリア系微粒子の質量D2に対する易溶解性のシリカを含む層に含まれる易溶解性シリカの質量D1の割合D(D=D1/D2×100)が0.005〜10%であること。
[3]前記セリア系微粒子は、X線回折に供すると、セリアの結晶相のみが検出されること。
[4]前記セリア系微粒子は、X線回折に供して測定される、前記結晶性セリアの平均結晶子径が3〜300nmであること。
上記[1]から[4]の特徴を備えるセリア系微粒子を、以下では「本発明の複合微粒子」ともいう。
また、このようなセリア系微粒子分散液を、以下では「本発明の分散液」ともいう。
工程1:セリウム化合物を300〜1200℃で焼成して焼成体を得る工程。
工程2a:前記焼成体にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成し、その後、解砕もしくは粉砕することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
このような製造方法を、以下では「本発明の製造方法[α]」ともいう。
工程1:セリウム化合物を300〜1200℃で焼成して焼成体を得る工程。
工程2b:前記焼成体を解砕もしくは粉砕し、得られた原料セリア微粒子分散液にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
このような製造方法を、以下では「本発明の製造方法[β]」ともいう。
工程A:セリウム化合物を溶解したセリウム溶液を、温度を3〜98℃、pHを5.0〜10.0に維持した溶媒中に、連続的または断続的に添加し、コロイダルセリアを得る工程。
工程B:前記コロイダルセリアにシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
このような製造方法を、以下では「本発明の製造方法[X]」ともいう。
本発明の分散液について説明する。
原料セリア微粒子について説明する。
本発明の複合微粒子の平均粒子径は5〜500nmの範囲にあるので、原料セリア微粒子の平均粒子径の上限は必然的に500nmと同じか、より小さい値となる。なお、本願において原料セリア微粒子の平均粒子径は、後述する本発明の製造方法が含む工程1で使用する原料セリア微粒子分散液に含まれる原料セリア微粒子の平均粒子径とほぼ同じになると考えられる。
平均結晶子径が3〜300nmの範囲で、平均粒子径が5〜500nmの範囲である原料セリア微粒子が好適に使用される。
平均粒子径が5〜500nmの範囲にある原料セリア微粒子を原料として用いて得られる本発明の分散液を研磨剤として用いた場合、研磨に伴うスクラッチの発生が少なくなる。
原料セリア微粒子の平均粒子径が5nm未満の場合、その様な原料セリア微粒子を用いて得られた分散液を研磨剤として用いると、研磨レートが実用的な水準に達さない傾向がある。
また、原料セリア微粒子の平均粒子径が500nmを超える場合も同じく研磨レートが実用的な水準に達さない傾向があり、研磨対象の基板の面精度低下を招く傾向もある。なお、原料セリア微粒子は、単分散性を示すものがより好ましい。
STEM−EDS分析によって80万倍で観察し、各測定点におけるCeO2質量%を測定する。そして、CeO2質量%が90%超となる領域を特定することで原料セリア微粒子を特定する。次に、その原料セリア微粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とする。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DS)とする。そして、長径(DL)と短径(DS)との幾何平均値を求め、これをその原料セリア微粒子の粒子径とする。
このようにして50個の原料セリア微粒子について幾何平均粒子径を測定し、これを単純平均して得た値を平均粒子径とする。なお、易溶解性のシリカを含む層が粒子膜(粒子が積み重なって膜状となったもの)の場合であっても同様に測定することができる。
またSTEM分析などで結晶性のセリアによる格子縞やコントラストから、原料セリア微粒子の領域が明らかに特定できる場合は、これらの方法で代用しても構わない。
前記原料セリア微粒子が結晶性セリアを主成分とすることは、例えば、本発明の分散液を乾燥させた後、得られた固形物を乳鉢を用いて粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)を用いてX線分析し、得られたX線回折パターンにおいて、セリアの結晶相のみが検出されることから確認できる。このような場合に、前記原料セリア微粒子が結晶性セリアを主成分とするものとする。なお、セリアの結晶相としては、特に限定されないが、例えばCerianite等が挙げられる。
なお、原料セリア微粒子は結晶性セリア(結晶性Ce酸化物)を主成分とし、その他のもの、例えば酸化セリウム以外の成分を10質量%以下ならば含んでもよい。さらに結晶性セリアにSiやLa、Zr、Alなどが固溶していることが望ましい。また、研磨の助触媒的に含水セリウム化合物を含んでもよい。
ただし、上記のように、本発明の複合微粒子をX線回折に供するとセリアの結晶相のみが検出される。すなわち、セリア以外の結晶相を含んでいたとしても、その含有率は少ない、あるいはセリア結晶中に固溶しているため、X線回折による検出範囲外となる。
初めに、本発明の複合微粒子を、乳鉢を用いて粉砕し、例えば従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気(株)製、RINT1400)によってX線回折パターンを得る。そして、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面のピークの半値全幅を測定し、下記のScherrerの式により、平均結晶子径を求めることができる。
D=Kλ/βcosθ
D:平均結晶子径(オングストローム)
K:Scherrer定数(本発明ではK=0.94とする)
λ:X線波長(1.5419オングストローム、Cuランプ)
β:半値全幅(rad)
θ:反射角
例えば、前記原料セリア微粒子において、Na、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti及びZnの各元素(以下、「特定不純物群1」と称する場合がある)の含有率が、それぞれ100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、25ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。
また、前記原料セリア微粒子におけるU、Th、Cl、NO3、SO4及びFの各元素(以下、「特定不純物群2」と称する場合がある)の含有率は、それぞれ5ppm以下であることが好ましい。
dry量に対する含有率とは、対象物(原料セリア微粒子または本発明の複合微粒子)に含まれる固形分の質量に対する測定対象物(特定不純物群1または特定不純物群2)の重量の比の値を意味するものとする。
固形分の質量は、対象物(原料セリア微粒子または本発明の複合微粒子)に1000℃灼熱減量を施して求める。
このような原料セリア微粒子が溶媒に分散してなる原料セリア微粒子分散液の場合、イオン交換処理を行って前記特定不純物群1と前記特定不純物群2の含有率を下げることは可能であるが、その場合でも前記特定不純物群1と前記特定不純物群2が合計で数ppmから数百ppm残留する。そのため、セリウム塩を一度溶解して再結晶化させることを繰り返して純度を向上させることや、溶解後にキレート型イオン交換樹脂等で不純分を除去した後に再結晶化することも行われている。
・Na及びK:原子吸光分光分析
・Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、U及びTh:ICP−MS(誘導結合プラズマ発光分光質量分析)
・Cl:電位差滴定法
・NO3、SO4及びF:イオンクロマトグラフ
本発明の複合微粒子における易溶解性のシリカを含む層(以下では「易溶解層」ともいう)は、例えば本発明の製造方法において焼成体を得た後、または焼成体をさらに解砕もしくは粉砕した後にシリカを含む添加材(例えば酸性珪酸液など)を添加し10〜98℃に保ちながら加熱熟成することで、前記原料セリア微粒子の表面上に形成することができる。
易溶解性のシリカを含む層におけるシリカの含有率は10〜100質量%であることが好ましく、12〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることがさらに好ましい。
初めに、本発明の複合微粒子をイオン交換水にて3.0質量%に希釈し、希釈水酸化ナトリウム水溶液または硝酸でpHを9.0に調整し、15分間撹拌する。しかるのちに限外膜付きの遠心管(分画分子量5000)に投入し1820Gで30分間処理を行う。処理後に限外膜を透過した分離液を回収し、SiO2濃度の測定を行う。
このとき易溶解性のシリカを含む層を備えた本発明の複合微粒子は、本発明の複合微粒子の質量をD2とし、溶解したシリカの質量D1とした場合、D2に対するD1の割合D(D=D1/D2×100)が0.005〜10%となる。
しかし、密度が低く軟質なシリカを含む層であるため、砥粒としての本発明の複合微粒子と基板との接触面積を増加させる効果を有すると同時に、軟質であるため基板と砥粒間の付着力(凝着作用)を高める効果や、あるいは基板との凝着により砥粒の転がりを抑制する効果があると考えられる。その結果、基板と砥粒間の摩擦力が増加し、研磨速度を高める効果があると考えられる。また砥粒表面に形成された易溶解性のシリカを含む層は軟質であるため、原料セリア微粒子の矩形部による基板への局部的な応力集中を緩和させ、スクラッチを抑制する効果もある。そのため、本発明の分散液を研磨剤として用いた場合、研磨速度が高く、面精度の悪化やスクラッチの発生が少ないと考えられる。
また、易溶解性のシリカを含む層は、粒子全体を覆っていても良く、その一部が被覆されておらず、一部の原料セリア微粒子が露出していても構わない。セリア系微粒子の質量D2に対する易溶解性のシリカを含む層に含まれる易溶解性シリカの質量D1の割合D(D=D1/D2×100)が0.005〜10質量%の範囲内であれば、基板と粒子間の凝着作用がより発現し、研磨速度がより高くなるからである。
ここで、原料セリア微粒子が母粒子であって、その表面にセリア子粒子が結合した粒子表面に易溶解性のシリカを含む層が被覆されたものでもよい。
本発明の複合微粒子は、原料セリア微粒子上に易溶解性のシリカを含む層を有するものであるが、原料セリア微粒子上に易溶解性のシリカを含む層が形成されていれば、粒子膜であっても被膜であっても、粒子膜の上に被膜が形成されていても、被膜の上に粒子膜が形成されていても構わない。しかし公知の方法で製造されたシリカゾル、例えば水硝子を原料としたシリカゾルやアルコキシシランを原料としたシリカゾルを、原料セリア微粒子上に凝着させただけでは、軟質で低密度な易溶解性のシリカを含む層とはならない。粒子膜の場合は、粒子の安定性向上には効果があるが、易溶解性のシリカではないため研磨速度向上には寄与せず、むしろ研磨速度は低下する。そのため、粒子膜の場合はアルカリ処理などで粒子表面を低密度な易溶解性シリカ層とさせる処理が必要となる。
割合Dが0.005%未満の場合、本発明の複合微粒子の表面における易溶解性のシリカを含む層がごく僅かに部分的にしか被覆していないため研磨速度が向上せず、分散安定性も向上しないからである。また10%超の場合は、これ以上多く被覆しても分散安定性はそれ以上向上せず、その一方で易溶解性のシリカを含む層の厚みが厚すぎて、研磨時に原料セリア微粒子が基板と接触しなくなり、研磨速度が低下する傾向があるからである。
本発明の複合微粒子について説明する。
本発明の複合微粒子は前述の[1]〜[4]の特徴を備える。
すなわち、本発明の複合微粒子が水に分散してなる分散液に硝酸または水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9に調整し、イオン交換水を添加して3.0質量%に調整した後、15分間撹拌することで溶解する部分が易溶解性のシリカを含む層である。しかるのちに限外膜付き遠心管(分画分子量5000)に投入し、1820Gで30分処理すると、易溶解シリカ層を構成していたものは限外膜を透過すると考えられる。そこで、限外膜を透過した分離液を回収しSi濃度の測定を行い、上澄み液中に溶解したシリカの質量をD1、セリア系微粒子の質量をD2とすると、易溶解シリカ層を備えた複合微粒子の場合は、D2に対するD1の割合D(D=D1/D2×100)が0.005〜10%となるので、易溶解シリカ層を有していない原料セリア微粒子またはセリア系微粒子と区別することができる。
また、本発明の複合微粒子の断面の測定点におけるCeの元素濃度を測定し酸化物に換算した場合、CeO2質量%が90%超となる箇所が原料セリア微粒子である。
また、本発明の複合微粒子のTEM像を観察すると複合微粒子の再外層にコントラストの低い皮膜が確認される場合、この皮膜が易溶解性のシリカを含む層である。
本発明の分散液を乾燥させた後、乳鉢を用いて粉砕し、例えば、従来公知のX線回折装置(例えば、理学電気株式会社製、RINT1400)によってX線回折パターンを得ると、セリアの結晶相のみが検出されることから確認できる。このような場合に、本発明の複合微粒子が結晶性セリアを主成分とするものとする。なお、セリアの結晶相としては、特に限定されないが、例えばCerianite等が挙げられる。
また、別の方法として同様に作成した断面試料について、従来公知のTEM分析を用い、原料セリア微粒子の原子配列による格子縞の有無を観察する方法が挙げられる。結晶質であれば結晶構造に応じた格子縞が観察され、非晶質であれば格子縞は観察されない。このことから、本発明の複合微粒子が結晶性セリアを主成分とすることを確認できる。また、このような場合に、結晶性セリアが主成分とするものとする。
なお、上記のセリア(CeO2)とシリカ(SiO2)との質量比を算定する場合の対象となるシリカとセリアとは、本発明の複合微粒子に含まれる全てのシリカ(SiO2)とセリア(CeO2)を意味する。従って、原料セリア微粒子に含まれるセリアやセリアに固溶するなどして含まれるシリカ成分、原料セリア微粒子の表面に配された易溶解性のシリカを含む層に含まれるシリカやセリア成分の総量を意味する。
次に、所定量の本発明の複合微粒子に含まれるセリウム(Ce)の含有率(質量%)をICPプラズマ発光分析により求め、酸化物質量%(CeO2質量%等)に換算する。またセリウム以外の元素が含まれている場合も同様に含有率を求め、酸化物質量%に換算する。そして、本発明の複合微粒子を構成するCeO2およびその他の酸化物以外の成分はSiO2であるとして、SiO2質量%を算出することができる。
なお、本発明の製造方法においては、シリカとセリアの質量比は、本発明の分散液を調製する際に投入したシリカ源物質とセリア源物質との使用量から算定することもできる。これは、セリアやシリカが溶解し除去されるプロセスとなっていない場合に適用でき、そのような場合はセリアやシリカの使用量と分析値が良い一致を示す。
連結型であると基板との接触面積を多くとることができるため、研磨エネルギーを効率良く基板へ伝えることができる。そのため、研磨速度が高い。
ここで、画像解析法で測定された短径/長径比が0.80未満である粒子は、粒子結合型のものと考えられる。
本発明の複合微粒子の形状は、格別に制限されるものではなく、粒子連結型粒子であっても、単粒子(非連結粒子)であってもよく、通常は両者の混合物である。
[態様1]本発明の複合微粒子が、更に、画像解析法で測定された短径/長径比が0.8未満である粒子の個数割合が45%以上であることを特徴とする、本発明の分散液。
[態様2]本発明の複合微粒子が、更に、画像解析法で測定された短径/長径比が0.8以上である粒子の個数割合が40%以上であることを特徴とする、本発明の分散液。
本発明の複合微粒子では、短径/長径比が0.80未満(好ましくは0.67以下)である粒子の個数割合が45%以上であることが好ましく、51%以上であることがより好ましい。この範囲の本発明の複合微粒子は、研磨材として使用した際に、研磨速度が高くなり好ましい。
試料を純水で0.1質量%に希釈調整した後、5mlを採取し、これを従来公知の粗大粒子数測定装置に注入する。そして、0.51μm以上の粗大粒子の個数を求める。この測定を3回行い、単純平均値を求め、その値を1000倍して、0.51μm以上の粗大粒子数の値とする。
まず、乾燥させた試料(0.2g)を測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、試料の比表面積を測定する。
このようなBET比表面積測定法(窒素吸着法)は、例えば従来公知の表面積測定装置を用いて行うことができる。
本発明において比表面積は、特に断りがない限り、このような方法で測定して得た値を意味するものとする。
本発明の複合微粒子の平均粒子径は、画像解析法で測定された平均粒子径の個数平均値を意味する。
画像解析法による平均粒子径の測定方法を説明する。透過型電子顕微鏡により、本発明の複合微粒子を倍率30万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、粒子の最大径を長軸とし、その長さを測定して、その値を長径(DL)とする。また、長軸上にて長軸を2等分する点を定め、それに直交する直線が粒子の外縁と交わる2点を求め、同2点間の距離を測定し短径(DS)とする。そして、長径(DL)と短径(DS)との幾何平均値を求め、これを複合微粒子の平均粒子径とする。
このようにして50個以上の複合粒子について幾何平均粒子径を測定し、それらの個数平均値を算出する。
また、本発明の複合微粒子における前記特定不純物群2の各元素の含有率は、それぞれ5ppm以下であることが好ましい。本発明の複合微粒子における特定不純物群1及び前記特定不純物群2それぞれの元素の含有率を低減させる方法は、前述の通りである。
なお、本発明の複合微粒子における前記特定不純物群1および前記特定不純物群2の各々の元素の含有率は、前述の原料セリア微粒子に含まれる前記特定不純物群1および前記特定不純物群2を測定する場合と同じ方法によって測定することができる。
本発明の分散液について説明する。
本発明の分散液は、上記のような本発明の複合微粒子が分散溶媒に分散しているものである。
ΔPCD/V=(I−C)/V・・・式(1)
C:前記流動電位の微分値が最大になるときの流動電位(mV)
I:前記流動電位曲線の開始点における流動電位(mV)
V:前記流動電位の微分値が最大になるときの前記カチオンコロイド滴定液の添加量(ml)
そして、このグラフの流動電位曲線を滴定量(X)で微分し、得られた微分値を新たにY軸、滴定量をX軸としたグラフを得る。このグラフは、例えば後述する実施例において示す図6のようなグラフである。このグラフにおける微分値(Y軸の流動電位の微分値)が最大となる点における流動電位をC(mV)とし、その点におけるカチオンコロイド滴定液の添加量(X軸)をV(ml)とする。
流動電位曲線の開始点とは、滴定前の本発明の分散液における流動電位である。具体的にはカチオンコロイド滴定液の添加量が0である点を開始点とする。この開始点における流動電位をI(mV)とする。
逆にΔPCD/Vの値が−100よりも大きい場合は、複合微粒子表面が易溶解性のシリカを含む層で全面が厚く覆われているため、研磨時に原料セリア微粒子が十分に露出しないため、研磨速度が低くなる。一方、−3000よりも小さい場合は易溶解性のシリカを含む層の被覆が十分でないため、基板との凝着による摩擦力向上効果低くなるため研磨速度が低くなり、さらに分散安定性が保たれず凝集が生じて、ディフェクトなどの原因になると本発明者は推定している。ΔPCD/Vは、−2800〜−150であることがより好ましく、−2500〜−200であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法における原料セリア微粒子は、例えば焼成型セリア(液相で合成したセリアやコロイダルセリアを焼成したものを含む)や、液相で合成したセリア(コロイダルセリアを含む)などが挙げられる。具体的には、本発明の製造方法[α]および本発明の製造方法[β]における工程1、2では焼成型セリアを原料セリア微粒子として用いた製造プロセスである。また、本発明の製造方法[X]における工程A、Bはコロイダルセリアを原料セリア微粒子として用いた製造プロセスである。
また、易溶解性のシリカは、結晶性セリアを3〜300nmの範囲に結晶成長させた後に、形成させることができるが、具体的には、解砕工程の前や解砕工程の後に形成させることができる。液相で合成したセリアに易溶解性のシリカを形成させる製造方法は本発明の製造方法[X]であり、焼成型セリアに易溶解性のシリカを形成させる製造方法は本発明の製造方法[α]および本発明の製造方法[β]である。
以下に製造の詳細を説明する。
本発明の製造方法[α]および本発明の製造方法[β]について説明する。本発明の製造方法[α]、[β]は焼成型セリアを原料セリア微粒子として用いるものである。これらは全て工程1を備え、次の工程として工程2aまたは工程2bを備える。
なお、説明の都合上、以下では、工程2aおよび工程2bの上位概念に相当する工程2についても説明する。
以下に詳細に説明する。
工程1では、初めにセリウム化合物を用意する。
本発明の製造方法により、半導体デバイスなどの研磨に適用する本発明の分散液を調製しようとする場合は、原料としてのセリウム化合物として、Na、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti、Zn、U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が低いセリウムの金属塩が好ましい。具体的には、dry換算のNa、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti及びZnの含有率が、それぞれ100ppm以下で、さらにU、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ5ppm以下であることが望ましい。セリウムの金属塩の純度を向上させるために、セリウムの金属塩を溶解させて再結晶化させたり、キレートイオン交換などの処理を行うことが好ましい。
セリウムの金属塩の種類は限定されるものではないが、セリウムの塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属アルコキシドなどを用いることができる。具体的には、硝酸第一セリウム、炭酸セリウム、硫酸第一セリウム、塩化第一セリウムなどを挙げることができる。
これらの中でも、炭酸セリウムが好ましい。硝酸塩や硫酸塩あるいは塩酸塩などを工程1に適用した場合、SOXやNOXあるいは腐食性のガスなどの有毒性、有害性の高いガスが発生するのに対して、炭酸塩の場合は有害性の低いCO2しか発生しないからである。
セリウムの金属塩等のセリウム化合物を焼成する方法は特に限定されないが、ロータリーキルン、バッチ炉、流動焼成炉、ローラーハースキルンなどが挙げられるが、ロータリーキルンは、焼成ムラなく均一に焼成できること、設備の掃除性から、ロータリーキルンで焼成することが望ましい。
また焼成時の温度は300〜1200℃であるが、400〜950℃であることが好ましく、500〜900℃であることがより好ましい。このような温度範囲において焼成すると、セリアの結晶化が十分に進行するからである。1200℃超で焼成した場合、セリア結晶が異常成長したり、粒子どうしが融着し粗大な凝集塊が生じ、スクラッチが多発するからである。また300℃未満で焼成した場合は、セリアの結晶化が十分に進行しないため、研磨速度が著しく低くなる。このような温度範囲で30分〜10時間焼成することが望ましく、好ましくは30分〜5時間、さらに好ましくは30分〜3時間温度を保持することが望ましい。
焼成時の昇温速度は、10〜300℃/分とすることが好ましく、30〜200℃/分とすることがより好ましい。
工程2では、前記焼成体を解砕もしくは粉砕し、原料セリア微粒子分散液を得る。
ここで焼成体の解砕もしくは粉砕は、湿式または乾式にて行う。
なお、本発明において「解砕」とは、焼成体が単結晶の凝集体である場合に凝集構造を解きほぐして単結晶体に分散する操作や、焼成体が多結晶である場合に、凝集構造が解きほぐされて粒界を維持したまま元の多結晶体よりも小さな多結晶体に解されたり、粒界が破断されて一部が単結晶に解する操作をいう。また、「粉砕」とは、焼成体に含まれる単結晶を更に小さな単結晶にする操作のことをいう。
工程2では、焼成体について解砕もしくは粉砕またはそれら両方の操作を施す。
また、湿式で解砕する際の固形分濃度は、格別に制限されるものではないが、例えば、0.3〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
上記のように、工程2は、前記焼成体を解砕もしくは粉砕し、原料セリア微粒子分散液を得る工程であるが、工程2aでは、前記焼成体にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成し、その後、工程2の場合と同様に解砕もしくは粉砕を行う。そして、得られたものをセリア系微粒子分散液とする。
工程2aおよび工程2bにおいて用いるシリカを含む添加材について説明する。
添加量がこの範囲よりも少ない場合、易溶解性のシリカを含む層が十分に形成されない可能性がある。またこの範囲よりも多い場合は、易溶解性のシリカを含む層が過剰に厚膜化したり、本発明の複合微粒子に沈着しない成分が生じる場合がある。
工程2において得られた原料セリア微粒子分散液、または工程2aもしくは工程2bにおいて得られたセリア系微粒子分散液について、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去することが好ましい。
このような工程、すなわち、工程2において得られた原料セリア微粒子分散液、または工程2aもしくは工程2bにおいて得られたセリア系微粒子分散液について、相対遠心加速度300G以上にて遠心分離処理を行い、続いて沈降成分を除去する工程を、工程3とする。
相対遠心加速度が300G以上とすると、セリア系微粒子分散液中に粗大粒子が残存し難いため、セリア系微粒子分散液を用いた研磨材などの研磨用途に使用した際に、スクラッチが発生し難くなる。
ここで相対遠心加速度の上限は格別に制限されるものではないが、実用上は10,000G以下で使用される。
上記のように、工程3は、セリア系微粒子分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心処理を行い、続いて沈降成分を除去する工程であるが、工程3aは工程2に続く工程であり、工程2において得られた前記原料セリア微粒子分散液を、相対遠心加速度300G以上にて遠心処理を行い、続いて沈降成分を除去した後、シリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成して、セリア系微粒子分散液を得る。
ここで、シリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成する操作等については、前述の工程2aおよび工程2bの場合と同様であってよい。
本発明の製造方法[X]について説明する。本発明の製造方法[X]は液相で合成したセリアを原料セリア微粒子として用いるものである。本発明の製造方法[X]は工程Aを備え、次の工程として工程Bを備える。
以下に詳細に説明する。
工程Aでは、前述の工程1において説明したセリウム化合物を溶媒に添加して溶解し、セリウム溶液を得る。この際、セリウム化合物を溶解させる目的で、酸を添加しても構わない。酸の種類は特に制限はないが、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸が好ましい。
ここで、前記アルカリ水溶液、あるいは前記イオン交換水を撹拌し、温度を3〜98℃、pH範囲を5.0〜9.0、酸化還元電位を10〜500mVに維持しながら、ここへセリウム溶液を連続的又は断続的に添加することが好ましい。
セリウム溶液を添加した後は、反応を完結させることを目的として熟成することが望ましい。
このような工程により、コロイダルセリアを得る。
工程Bでは、前記コロイダルセリアにシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る。
ここで、前記コロイダルセリアにシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成する操作については、前述の工程2a、工程2bの場合と同様であってよい。
工程Bでは、前記コロイダルセリアに前記添加剤を添加し、10〜98℃で加熱熟成し、その後、解砕もしくは粉砕して前記セリア系微粒子分散液を得ることが好ましい。
ここで解砕もしくは粉砕する方法は、前述の工程2において前記焼成体を解砕もしくは粉砕する方法と同様であってよい。
本発明の分散液を含む液体は、研磨用砥粒分散液(以下では「本発明の研磨用砥粒分散液」ともいう)として好ましく用いることができる。特にはSiO2絶縁膜が形成された半導体基板の平坦化用の研磨用砥粒分散液として好適に使用することができる。また研磨性能を制御するためにケミカル成分を添加し、研磨スラリーとしても好適に用いることができる。また研磨用砥粒分散液をそのまま研磨スラリーとして好適に用いることもできる。
本発明の研磨用砥粒分散液に、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を添加することで研磨スラリーとして、使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素など及びこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
本発明の研磨用砥粒分散液の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤又は親水性化合物を添加することができる。界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤及び/又は親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
本発明の研磨用砥粒分散液については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層又は溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸又は塩基およびそれらの塩類化合物を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
研磨用砥粒分散液のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水などのリン酸塩及びホウ酸塩又は有機酸塩などを使用することができる。
初めに、実施例及び比較例における各測定方法及び試験方法の詳細について説明する。各実施例及び比較例について、以下の各測定結果及び試験結果を第1表〜第2表に記す。
[CeO2含有量およびSiO2含有量の測定]
実施例及び比較例におけるセリア系微粒子におけるCeO2含有量およびSiO2含有量の測定方法について説明する。
初めに、セリア系微粒子分散液に1000℃灼熱減量を行い、固形分の質量を求めた後、後述するAg〜Th等の場合と同様に、ICPプラズマ発光分析装置(例えば、SII製、SPS5520)を用いて標準添加法によってSi、La、Zr、Al含有率を測定してそれぞれSiO2、La2O3、ZrO2、Al2O3質量%を算出した。そして、SiO2、La2O3、ZrO2、Al2O3は、その全てが易溶解層(易溶解性のシリカを含む層)を形成しているものとした。
また、SiO2、La2O3、ZrO2、Al2O3以外の固形分の成分はCeO2であるとして、CeO2の含有量を求めた。
なお、ここでセリア系微粒子分散液の固形分濃度も求めることができる。
以下に説明する特定不純物群1および特定不純物群2の含有率の測定では、このようにして求めた固形分の質量に基づいて、dry量に対する各成分の含有率を求めた。
各元素の含有率は、以下の方法によって測定するものとする。
初めに、セリア系微粒子またはセリア系微粒子分散液からなる試料約1g(固形分20質量%に調整したもの)を白金皿に採取する。リン酸3ml、硝酸5ml、弗化水素酸10mlを加えて、サンドバス上で加熱する。乾固したら、少量の水と硝酸50mlを加えて溶解させて100mlのメスフラスコにおさめ、水を加えて100mlとする。この溶液でNa、Kは原子吸光分光分析装置(例えば日立製作所社製、Z−2310)で測定する。次に、100mlにおさめた溶液から分液10mlを20mlメスフラスコに採取する操作を5回繰り返し、分液10mlを5個得る。そして、これを用いて、Al、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、Mg、Ni、Ti、Zn、U及びThについてICPプラズマ発光分析装置(例えばSII製、SPS5520)にて標準添加法で測定を行う。ここで、同様の方法でブランクも測定して、ブランク分を差し引いて調整し、各元素における測定値とする。
そして、前述の方法で求めた固形分の質量に基づいて、dry量に対する各成分の含有率を求めた。
<Cl>
セリア系微粒子またはセリア系微粒子分散液からなる試料20g(固形分20質量%に調整したもの)にアセトンを加え100mlに調整し、この溶液に、酢酸5ml、0.001モル塩化ナトリウム溶液4mlを加えて0.002モル硝酸銀溶液で電位差滴定法(京都電子製:電位差滴定装置AT−610)で分析を行う。
別途ブランク測定として、アセトン100mlに酢酸5ml、0.001モル塩化ナトリウム溶液4mlを加えて0.002モル硝酸銀溶液で滴定を行った場合の滴定量を求めておき、試料を用いた場合の滴定量から差し引き、試料の滴定量とした。
そして、前述の方法で求めた固形分の質量に基づいて、dry量に対する各成分の含有率を求めた。
セリア系微粒子またはセリア系微粒子分散液からなる試料5g(固形分20質量%に調整したもの)を水で希釈して100mlにおさめ、遠心分離機(日立製 HIMAC CT06E)にて4000rpmで20分遠心分離して、沈降成分を除去して得た液をイオンクロマトグラフ(DIONEX製 ICS−1100)にて分析した。
そして、前述の方法で求めた固形分の質量に基づいて、dry量に対する各成分の含有率を求めた。
実施例及び比較例で得られたセリア系微粒子分散液を従来公知の乾燥機を用いて乾燥し、得られた粉体を乳鉢にて10分粉砕し、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)によってX線回折パターンを得て、結晶型を特定した。
また、前述の方法によって、得られたX線回折パターンにおける2θ=28度近傍の(111)面(2θ=28度近傍)のピークの半価全幅を測定し、前述のScherrerの式により、平均結晶子径を求めた。
実施例及び比較例で得られたセリア系微粒子分散液について、これに含まれる粒子の平均粒子径は、前述の画像解析法によって測定を行った。
研磨スラリーまたは研磨用砥粒分散液に含まれるセリア系微粒子の粗大粒子数は、Particle sizing system Inc.社製Accusizer 780APSを用いて測定を行った。また測定試料を純水で0.1質量%に希釈調整した後、測定装置に5mLを注入して、以下の条件にて測定を行い、3回測定した後、得られた測定データの0.51μm以上の粗大粒子数の値の平均値を算出した値をセリア系微粒子の粗大粒子数とした。なお測定条件は以下の通り。
<System Setup>
・Stir Speed Control / Low Speed Factor 1500 / High Speed Factor 2500
<System Menu>
・Data Collection Time 60 Sec.
・Syringe Volume 2.5ml
・Sample Line Number :Sum Mode
・Initial 2nd-Stage Dilution Factor 350
・Vessel Fast Flush Time 35 Sec.
・System Flush Time / Before Measurement 60 Sec. / After Measurement 60 Sec.
・Sample Equilibration Time 30 Sec./ Sample Flow Time 30 Sec.
<SiO2膜の研磨>
実施例及び比較例の各々において得られたセリア系微粒子分散液を含む研磨用砥粒分散液を調整した。また、一部の実施例又は比較例については研磨用砥粒分散液に添加材(硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等)を加え、研磨スラリーを調整した。ここで研磨用砥粒分散液および研磨スラリーのいずれの場合も、固形分濃度は0.6質量%とし、また、硝酸を添加してpHは5.0とした。
次に、被研磨基板として、熱酸化法により作製したSiO2絶縁膜(厚み1μm)基板を準備した。
次に、この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「IC-1000/SUBA400同心円タイプ」)を使用し、基板荷重0.5MPa、テーブル回転速度90rpmで研磨用砥粒分散液または研磨スラリーを50ml/分の速度で1分間供給して研磨を行った。
そして、研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
また、研磨基材の表面の平滑性(表面粗さRa)を原子間力顕微鏡(AFM、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。平滑性と表面粗さは概ね比例関係にあるため、第2表には表面粗さを記載した。
なお研磨傷の観察は、光学顕微鏡を用いて絶縁膜表面を観察することで行った。
実施例及び比較例の各々において得られたセリア系微粒子分散液を含む研磨用砥粒分散液を調整した。また、一部の実施例又は比較例については研磨用砥粒分散液に添加材(硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等)を加え、研磨スラリーを調整した。ここで研磨用砥粒分散液および研磨スラリーのいずれの場合も、固形分濃度は9質量%とし、また、硝酸を添加してpHは2.0に調整した。
アルミハードディスク用基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ニッタハース社製「ポリテックスφ12」)を使用し、基板負荷0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用砥粒分散液または研磨スラリーを20ml/分の速度で5分間供給して研磨を行い、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製、製品名:Maicro―Max)を使用し、Zoom15にて全面観察し、65.97cm2に相当する研磨処理された基板表面に存在するスクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計し、次の基準に従って評価した。
線状痕の個数 評価
50個未満 「非常に少ない」
50個から80個未満 「少ない」
80個以上 「多い」
少なくとも80個以上で総数をカウントできないほど多い 「※」
炭酸セリウムを710℃のマッフル炉を用いて2時間焼成を行い、粉状の焼成体を得た。次いで、粉状の焼成体100gをイオン交換水300gと共に1Lの柄付ビーカーへ入れ、撹拌しながら超音波浴槽中で10分間超音波を照射した。
次にφ0.25mmの石英ビーズ(大研化学工業株式会社製)にて湿式解砕(カンペ(株)製バッチ式卓上サンドミル)を30分行った。
そして解砕後に44メッシュの金網を通して、イオン交換水で押水をしながらビーズを分離し、さらに遠心分離装置(日立工機株式会社製、型番「CR21G」)にて、相対遠心加速度1700Gで102秒間遠心分離処理し、沈降成分を除去し、除去後の溶液をロータリーエバポレーターで1.6質量%に濃縮して原料セリア微粒子分散液を得た。
<高純度珪酸液の調製>
珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度24.06質量%、Na2O濃度7.97質量%)に純水を加えて、珪酸ナトリウム水溶液(シリカ濃度5質量%)を得た。
得られた珪酸ナトリウム水溶液18kgを、6Lの強酸性陽イオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)に、空間速度3.0h-1で通液させ、酸性珪酸液18kg(シリカ濃度4.6質量%、pH2.7)を得た。次いで、得られた酸性珪酸液18kgを6Lのキレート型イオン交換樹脂(三菱化学社製CR−11)に、空間速度3.0h-1で通液させ、高純度珪酸液18kg(シリカ濃度4.5質量%、pH2.7)を得た。
29質量%濃度のアンモニア水(関東化学社製鹿一級)をイオン交換水で希釈し、1質量%のアンモニア水を準備した。また準備工程2で得られた高純度珪酸液をイオン交換水で希釈し、0.2質量%の希釈高純度珪酸液を得た。
次に、準備工程1で得られた固形分濃度1.6質量%の原料セリア微粒子分散液にイオン交換水を加え、0.5質量%の希釈液(以下、A液ともいう)を得た。A液10,000g(dry50g)を室温で撹拌しながら、上記の0.2質量%の希釈高純度珪酸液2.5g(dry0.005g)を添加し、添加終了後も10分間撹拌を継続した。その後、1質量%のアンモニア水を添加して、pHを9.5に調整し、50℃に昇温して撹拌を続けながら24時間温度を保った。その後室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで3.0質量%に濃縮した。
次いで、得られた微粒子分散液を遠心分離装置(日立工機株式会社製、型番「CR21G」)にて、相対遠心加速度675Gで1分間遠心分離処理し、沈降成分を除去し、セリア系微粒子分散液を得た。
実施例1ではA液10,000gに0.2質量%の希釈高純度珪酸液2.5gを添加したが、実施例2ではA液10,000gに0.2質量%の希釈高純度珪酸液を25g(dry0.05g)を添加した。それ以外は、実施例1と同様に行った。
実施例2において得られたセリア系微粒子のSEM像およびTEM像を図1に示す。図1のTEM像から、セリア系微粒子の最外層に薄く易溶解性のシリカを含む層が形成されている様子が観察された。
また、セリア系微粒子のX線回折パターンを図2に示す。
実施例1ではA液10,000gに0.2質量%の希釈高純度珪酸液2.5gを添加したが、実施例2ではA液10,000gに0.2質量%の希釈高純度珪酸液を250g(dry0.5g)を添加した。それ以外は、実施例1と同様に行った。
硝酸第一セリウム六水和物(チカモチ純薬社製)にイオン交換水を添加してCeO2濃度0.2質量%の溶液70gを調整し、ついで0.2質量%の高純度珪酸液30gを添加することでCeO2とSiO2の混合液(B液)100gを得た。
そしてA液10,000g(dry50g)を室温で撹拌しながら0.2質量%のB液100g(dry0.2g)を添加して、添加終了後も10分間撹拌を継続した。その後1質量%のアンモニア水を添加して、pHを9.5に調整し、50℃に昇温して撹拌を続けながら24時間温度を保った。その後室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで3.0質量%に濃縮してセリア系微粒子分散液を得た。
和光純薬製試薬用の塩化ランタン七水和物(97%)にイオン交換水を添加して0.2質量%のLa2O3溶液70gを調整し、ついで0.2質量%の高純度珪酸液30gを添加することでLa2O3とSiO2の混合液(C液)100gを得た。
そしてA液10,000g(dry50g)を室温で撹拌しながら0.2質量%のC液100g(dry0.2g)を添加して、添加終了後も10分間撹拌を継続した。その後1質量%のアンモニア水を添加して、pHを9.5に調整し、50℃に昇温して撹拌を続けながら24時間温度を保った。その後室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで3.0質量%に濃縮してセリア系微粒子分散液を得た。
オキシ塩化ジルコニウム八水和物(太陽鉱工株式会社製工業用ZrO2 36%)にイオン交換水を添加して、0.2質量%の希釈ZrO2溶液70gを調整し、ついで0.2質量%の高純度珪酸液30gを添加することでZrO2とSiO2の混合液(D液)100gを得た。
そしてA液10,000g(dry50g)を室温で撹拌しながら0.2質量%のD液100g(dry0.2g)を添加して、添加終了後も10分間撹拌を継続した。その後1質量%のアンモニア水を添加して、pHを9.5に調整し、50℃に昇温して撹拌を続けながら24時間温度を保った。その後室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで3.0質量%に濃縮してセリア系微粒子分散液を得た。
実施例2で得られたセリア系微粒子(固形分濃度3.0質量%)に、硝酸アンモニウムとイオン交換水を添加して、固形分濃度1.0質量%で、硝酸アンモニウム濃度1000ppmの研磨スラリーを調製し、それ以外は実施例2と同様に行った。
実施例7では硝酸アンモニウムを用いたが、実施例8では酢酸アンモニウムを用いた。それ以外は実施例7と同様に行った。
準備工程1で得られた原料セリア微粒子分散液について、実施例と同様に評価を行った。
この原料セリア微粒子分散液に含まれる微粒子のSEM像およびTEM像を図3に示す。図3のTEM像において、原料セリア微粒子の最外層には図1で観察されたような易溶解性のシリカを含む層は観察されなかった。
準備工程1で得られた原料セリア微粒子の分散液に、ポリアクリル酸重合体(東亜合成社製アロンSD-10)及びイオン交換水を添加して、固形分濃度1.0質量%でポリアクリル酸濃度800ppmとなるように調整し、添加後に超音波で分散させた。得られた研磨スラリーを用いて実施例1と同様に行った。
準備工程1で得られた原料セリア微粒子の分散液156.25gを撹拌しながらイオン交換水837.58gを添加した。さらに18nmのシリカゾル(日揮触媒化成社製カタロイドSI-40 SiO2濃度40.5質量%)を6.17gをゆっくり添加し、添加終了後も30分間撹拌を継続することで、固形分濃度0.5質量%のセリア系微粒子分散液を得た。
このセリア系微粒子分散液に含まれる微粒子のSEM像を図4に示す。
[易溶解性のシリカを含む層の定量]
各実施例及び比較例で得られたセリア系微粒子にイオン交換水を添加して3.3質量%に調整した溶液を81.8g(dry2.7g)準備し、撹拌しながら0.1質量%の希釈水酸化ナトリウム水溶液または6%硝酸を用いて、pHを9.0に調整し、さらにイオン交換水を添加して合計90g(dry2.7g)とした。
15分撹拌を継続した後、限外膜付きの遠心管sartorius社製の型番VIVASPIN20(分画分子量5000)に溶液20gを投入し、遠心分離装置(KOKUSAN社製H−38F)にて1820Gで30分処理した。処理後に限外膜を透過した分離液を回収し、分離液中のSiO2濃度を測定した。易溶解層割合(複合微粒子dry当りの溶解割合)の算出は以下の計算式で求めた。
易溶解層割合(%)=SiO2濃度(ppm)÷1,000,000×87.3g÷2.7g×100
結果を第2表に示す。
実施例3、実施例5、比較例1および比較例2で得られた各セリア系微粒子分散液について、流動電位の測定及びカチオンコロイド滴定を行った。滴定装置として、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した自動滴定装置AT−510(京都電子工業製)を用いた。
まず、固形分濃度を0.005質量%に調整したセリア系微粒子分散液へ0.05%の硝酸水溶液を添加してpH6に調整した。次に、その液の固形分として0.01gに相当する量を200mlのトールビーカーに入れ、マグネチックスターラーで撹拌しながら、カチオンコロイド滴定液(0.001Nポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム溶液)を1回の注入量0.005ml、注入速度を0.005mL/秒とし、注入後の時間(間欠時間)は5秒として滴定を行った。なおピストンスピードは目盛り7でマグネッチスターラーの回転目盛り3で行った。そして、カチオンコロイド滴定液の添加量(ml)をX軸、流動電位のカチオンコロイド添加量の微分値をY軸(mV/ml)にプロットし、微分値の最大値における流動電位C(mV)およびカチオンコロイド滴定液の添加量V(ml)を求め、ΔPCD/V=(I−C)/Vを算出した。結果を第3表に示す。
また、ここで得られた流動電位曲線を図5に、その微分曲線を図6に示す。
Claims (10)
- 下記[1]から[4]の特徴を備える平均粒子径5〜500nmのセリア系微粒子を含む、セリア系微粒子分散液。
[1]前記セリア系微粒子は、原料セリア微粒子と、前記原料セリア微粒子の表面上の易溶解性のシリカを含む層とを有し、前記原料セリア微粒子は結晶性のセリアを主成分とすること。
[2]前記セリア系微粒子の質量D2に対する易溶解性のシリカを含む層に含まれる易溶解性シリカの質量D1の割合D(D=D1/D2×100)が0.005〜10%であること。
[3]前記セリア系微粒子は、X線回折に供すると、セリアの結晶相のみが検出されること。
[4]前記セリア系微粒子は、X線回折に供して測定される、前記結晶性セリアの平均結晶子径が3〜300nmであること。 - pH値を3〜8とした場合に流動電位がマイナスとなる、請求項1に記載のセリア系微粒子分散液。
- カチオンコロイド滴定を行った場合に、下記式(1)で表される流動電位変化量(ΔPCD)と、流動電位の微分値が最大になるときのカチオンコロイド滴定液の添加量(V)との比(ΔPCD/V)が−3000〜−100となる流動電位曲線が得られる、請求項1または2に記載のセリア系微粒子分散液。
ΔPCD/V=(I−C)/V・・・式(1)
C:前記流動電位の微分値が最大になるときの流動電位(mV)
I:前記流動電位曲線の開始点における流動電位(mV)
V:前記流動電位の微分値が最大になるときの前記カチオンコロイド滴定液の添加量(ml) - 0.51μm以上の粗大粒子となっている前記セリア系微粒子の数が、3000百万個/cc以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のセリア系微粒子分散液。
- 前記セリア系微粒子に含まれる不純物の含有割合が、次の(a)及び(b)のとおりであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセリア系微粒子分散液。
(a)Na、Ag、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Ni、Ti及びZnの含有率が、それぞれ100ppm以下。
(b)U、Th、Cl、NO3、SO4及びFの含有率が、それぞれ5ppm以下。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のセリア系微粒子分散液を含む研磨用砥粒分散液。
- 前記研磨用砥粒分散液が、シリカ膜が形成された半導体基板の平坦化用であることを特徴とする請求項6に記載の研磨用砥粒分散液。
- 下記の工程1および工程2aを含むことを特徴とするセリア系微粒子分散液の製造方法。
工程1:セリウム化合物を300〜1200℃で焼成して焼成体を得る工程。
工程2a:前記焼成体にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成し、その後、解砕もしくは粉砕することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。 - 下記の工程1および工程2bを含むことを特徴とするセリア系微粒子分散液の製造方法。
工程1:セリウム化合物を300〜1200℃で焼成して焼成体を得る工程。
工程2b:前記焼成体を解砕もしくは粉砕し、得られた原料セリア微粒子分散液にシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。 - 下記の工程Aおよび工程Bを含むことを特徴とするセリア系微粒子分散液の製造方法。
工程A:セリウム化合物を溶解したセリウム溶液を、温度を3〜98℃、pHを5.0〜10.0に維持した溶媒中に、連続的または断続的に添加し、コロイダルセリアを得る工程。
工程B:前記コロイダルセリアにシリカを含む添加材を添加し、10〜98℃で加熱熟成することによりセリア系微粒子分散液を得る工程。
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