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JP2017101170A - 水系インクの製造方法 - Google Patents

水系インクの製造方法 Download PDF

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JP2017101170A JP2015236529A JP2015236529A JP2017101170A JP 2017101170 A JP2017101170 A JP 2017101170A JP 2015236529 A JP2015236529 A JP 2015236529A JP 2015236529 A JP2015236529 A JP 2015236529A JP 2017101170 A JP2017101170 A JP 2017101170A
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Koji Mizuhata
浩司 水畑
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Takashi Okuno
貴 奥野
栄田 朗宏
Akihiro Sakaeda
栄田  朗宏
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Abstract

【課題】本発明は、樹脂製記録媒体に対する密着性と隠蔽性に優れる水系白色インク及びその製造方法並びに前記水系インクに好適なポリエステル樹脂粒子の水系分散液を提供することを課題とする。【解決手段】[1]下記工程1〜4を含む水系インクの製造方法、[2]白色顔料を含有し、体積中位粒径が200nm以上570nm以下である、ポリエステル樹脂粒子の水系分散液、及び[3]前記[2]の水系分散液を含む水系インク。工程1:白色顔料とポリエステル樹脂を質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)10/90以上55/45以下で溶融混練し、混練物を得る工程工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水を添加し、混合して分散液を得る工程工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程【選択図】なし

Description

本発明は、水系インクの製造方法、水系分散液、及び水系インクに関する。
白色インクは、二酸化チタン等の無機酸化物を白色顔料として含有したインクであり、種々のプラスチック製品や金属製品のような下地が白色ではない記録媒体上に文字や画像を得る記録方式に用いられる。透明の樹脂製記録媒体に画像を記録する際にはカラー画像の透過性を下げる目的で用いられることがあり、またプラスチック製品のような有色の構造物上に発色性の高いカラー画像を形成する際等にも用いられる。
一方、商品包装や広告等に用いられる商業用印刷等の分野では、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等の樹脂製記録媒体に対し、従来、溶剤系インクやUV硬化インク等によって印刷が行われてきた。これに対し、環境負荷の低減、省エネルギー、安全性等の観点から、水系インクを用いる印刷方法として、インクジェット記録方式やフレキソ印刷方式の活用が求められている。特に、インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式であり、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。そこで、前記樹脂製記録媒体に対しても、インクジェット記録方式の活用が試みられている。
特許文献1には、染料又は顔料を吸着させたポリエステルのサスペンションを含有することを特徴とする水系インクが、紙、OHPシート等の被印字物への定着性及び耐水性に優れることが記載されている。
特許文献2には、高濃度でにじみのない高品質な画質と屋外でも使用に耐える耐水性及び耐候性を備えた画像を得るために、インクジェット記録液用の水性着色粒子分散体を、親水性基及び疎水性基を併せ有し、しかも、イソフタル酸を全酸成分中50〜100モル%となる割合で使用して得られたポリエステル樹脂中に、顔料を分散させた着色樹脂が、水性媒体中に粒子状で分散されている分散体とすることが記載されている。
特許文献3には、酸化チタンを顔料とした低粘度かつ保存安定性、顔料沈降性に優れたインクジェット用水性白インキとして、少なくとも、酸化チタンと顔料分散樹脂と有機溶剤と水とを含有するインクジェット用水性白インキであって、前記顔料分散樹脂として少なくともα-オレフィンとマレイン酸及び/又は無水マレイン酸とを共重合させた樹脂を使用することを特徴とするインクジェット用水性白インキが記載されている。
特許文献4には、ヒビ割れの発生、摩耗性の低下、密着性の低下の少なくともいずれかを解決した優れた画像を記録できるインクジェット用白色系インクとして、白色系色材と、ポリエステル系樹脂からなる第1樹脂と、フルオレン系樹脂及びスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方からなる第2樹脂と、ポリオレフィン系ワックスからなる第3樹脂と、を含有する、インクジェット記録用白色系インクが記載されている。
特開平9−183932号公報 特開2002−256181号公報 特開2014−210837号公報 特開2013−177526号公報
しかし、白色顔料は他の有色色材に比べ、水系インク中へ顔料粒子を安定に高分散させ小粒径化することが難しい。また、樹脂製記録媒体に対して密着性が乏しい。そのため、従来の技術では、白色顔料を記録媒体上へ高密度で定着させることが困難であり、その結果、記録媒体或いは記録媒体を載置した物体等の下地の色が透過するなど、隠蔽性に課題があった。
本発明は、樹脂製記録媒体に対する密着性と隠蔽性に優れる白色の水系インクの製造方法、前記水系インクに好適なポリエステル樹脂粒子の水系分散液、及び当該分散液を含む水系インクを提供することを課題とする。
インクの密着性については、高分散された顔料が単独で存在することが悪化原因のひとつであると考えられるため、顔料を何らかの手段で覆うことが有効であると考えられる。また、隠蔽性に対しても顔料表面を改質し、水中への分散性を高めることで、白色顔料粒子を安定に小粒径化することができると考えられた。
検討の結果、白色顔料をポリエステル樹脂に含有させたエマルションを色材としたインクとすることで、樹脂製記録媒体に対する密着性と隠蔽性を向上させることが可能であることを見出した。特に白色顔料を含有させたエマルションについては、あらかじめ白色顔料とポリエステル樹脂を溶融混練したものを分散させることが有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[3]を提供する。
[1]下記工程1〜4を含む水系インクの製造方法。
工程1:白色顔料とポリエステル樹脂を質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)10/90以上55/45以下で溶融混練し、混練物を得る工程
工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水を添加し、混合して分散液を得る工程
工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
[2]白色顔料を含有し、体積中位粒径が200nm以上570nm以下である、ポリエステル樹脂粒子の水系分散液。
[3]前記[2]の水系分散液を含む水系インク。
本発明によれば、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性に優れる白色の水系インクの製造方法、前記水系インクに好適なポリエステル樹脂粒子の水系分散液、及び当該分散液を含む水系インクを提供することができる。
≪水系インクの製造方法≫
本発明の水系インクの製造方法は、下記工程1〜4を含む。
工程1:白色顔料とポリエステル樹脂を質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)10/90以上55/45以下で溶融混練し、混練物を得る工程
工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水を添加し、混合して分散液を得る工程
工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
本発明の水系インクの製造方法は、本発明の効果を損なわない限度において、工程1〜4以外の工程を有していてもよい。
なお、本明細書において、「水系インク」を単に「インク」と称することがある。また、「白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子」を「白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子」、単に「白色顔料含有樹脂粒子」と称することがある。
本発明の水系インクが、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性に優れる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
水系インク中に顔料を含有させる場合、顔料を界面活性剤や水不溶性樹脂を用いて水中へ分散させる方法が多くとられるが、樹脂製記録媒体上での顔料の定着性が低いため、顔料が記録媒体上で移動したり、そもそも記録媒体に定着できなかったりして印刷画像の密着性が不十分となり、さらにその影響で隠蔽性が低下し易い。
これに対し、本発明においては、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子が、白色顔料及びポリエステル樹脂を質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)10/90以上55/45以下の比率で含有し、白色顔料がポリエステル樹脂で覆われた顔料含有樹脂粒子とすることで、ポリエステル樹脂がPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の樹脂製記録媒体との親和性が高いため、媒体上での顔料の移動が抑制されるとともに、白色顔料がポリエステル樹脂で被覆されているため、PETフィルム等の樹脂製記録媒体への密着性に優れるものと考えられる。
しかし、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を製造する際、凝集し易い白色顔料を水中に分散させるために、機械力を用いた強制乳化法等を用いると、樹脂を劣化させる恐れや、白色顔料が樹脂で十分に被覆されないまま分散してしまう恐れがある。
本発明においては、白色顔料とポリエステル樹脂との混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合して混練物の有機溶媒系スラリーを得た後、水を添加することで、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を分散安定性よく製造することができる。
特に、本発明においては、白色顔料とポリエステル樹脂とを予め溶融混練し、混練物を得る。これにより、ポリエステル樹脂中に白色顔料を小粒径化し分散させることができるため、得られる白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子間に白色顔料含有量のばらつきがなく、それゆえ、本発明の水系インクによる印刷画像は隠蔽性に優れると考えられる。
なお、本発明において、水系インクとは、水を主溶媒(溶媒の全質量に対して50質量%超となる量の溶媒)として用いたインクを指す。
<工程1>
工程1では、白色顔料とポリエステル樹脂を質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)10/90以上55/45以下で溶融混練し、混練物を得る。
白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得るのに先立ち、白色顔料とポリエステル樹脂を予め溶融混練することで、白色顔料に剪断を与えて小粒径化し、ポリエステル樹脂中に分散し易くなる。
白色顔料とポリエステル樹脂との質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)は、水系分散液中の白色顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、10/90以上であり、好ましくは15/85以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、55/45以下であり、好ましくは52/48以下、より好ましくは50/50以下である。
〔白色顔料〕
本発明では着色剤として、白色顔料を用いる。
白色顔料は、無機白色顔料及び有機白色顔料のいずれであってもよい。
無機白色顔料としては、例えば、無機酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ等が挙げられる。これらの中でも、白色度が高く隠蔽性を向上させる観点から、無機酸化物が好ましく、酸化チタンがより好ましい。
酸化チタンの中では、好ましくはルチル型の酸化チタンである。また、酸化チタンとしては、シリカ処理、アルミナ処理、ジルコニア処理、シランカップリング剤処理等の表面処理がされたものを用いてもよい。酸化チタンの市販品としては、テイカ株式会社製の「JR−800」、「JR−805」、「JR−806」、「JR−301」、「JR−403」、「JR−6035」、「JR−701」、石原産業株式会社製のタイペークシリーズ「CR−50」、「CR−50−2」、「CR−57」、「CR−58」、「CR−80」、「CR−90」、「R−780」、「R−830」、「R−630」等が挙げられる。
有機白色顔料の具体例としては、中空樹脂粒子が挙げられる。
これらの白色顔料の中でも、優れた樹脂製記録媒体に対する密着性と隠蔽性を得る観点から、シリカ処理、アルミナ処理、及びシランカップリング剤処理から選ばれる少なくとも1種の表面処理がされた酸化チタンが好ましく、アルミナ処理及びシランカップリング剤処理された酸化チタンがより好ましい。
上記の白色顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
〔ポリエステル樹脂〕
ポリエステル樹脂は、少なくとも、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる重縮合物である。
[アルコール成分]
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分は、樹脂製記録媒体への密着性を向上させる観点から、芳香族ジオールを含むことが好ましい。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物であることが好ましい。
なお、本発明において、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加した構造全体を意味するものである。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、具体的には下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017101170
一般式(I)において、OR1、及びR2Oは、いずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1以上4以下のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。
x及びyは、アルキレンオキシドの付加モル数に相当する。更に、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2以上が好ましい。また、xとyの和の平均値は、同様の観点から、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
また、x個のOR1とy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、樹脂製記録媒体への密着性を向上させる観点から、同一であることが好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。このビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物がより好ましい。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分中におけるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、樹脂製記録媒体への密着性を向上させる観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であり、そして、100モル%以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分には、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外に以下のアルコール成分を含有してもよい。
具体的には、ポリエステル樹脂の原料モノマーのアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2以上4以下)オキシド付加物(平均付加モル数1以上16以下)等が挙げられる。前記アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[カルボン酸成分]
ポリエステル樹脂の製造には、原料モノマーとして、アルコール成分以外にカルボン酸成分が用いられる。
カルボン酸成分には、カルボン酸並びにそれらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が含まれる。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸が好ましく、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点、並びにアルコール成分との反応性の観点から、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、脂肪族ジカルボン酸が更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、不飽和脂肪族ジカルボン酸及び飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点、並びにアルコール成分との反応性の観点から、不飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、同様の観点から、フマル酸、及びマレイン酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、及びコハク酸(コハク酸は、アルキル基及び/又はアルケニル基で置換されていてもよい)が好ましい。
脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、及びテトラヒドロフタル酸が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、及びピロメリット酸が好ましい。
前記カルボン酸成分は、単独で又は2種以上が含まれていてもよい。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得ることが好ましい。アルコール成分及びカルボン酸成分の好適な構造及び好適な含有量は既述のとおりである。
ポリエステル樹脂中のアルコール成分のヒドロキシ基(OH基)に対するカルボン酸成分のカルボキシ基(COOH基)の当量比(COOH基/OH基)は、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.80以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、前記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、150℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、錫触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、二酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられる。ポリエステルの合成におけるエステル化反応の反応効率の観点から、錫触媒が好ましい。錫触媒としては、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)、これらの塩等が好ましく用いられ、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)がより好ましく用いられる。必要に応じて、更に、没食子酸等のエステル化助触媒を用いてもよい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下である。
また、tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン等のラジカル重合禁止剤を併用してもよい。ラジカル重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
(ポリエステル樹脂の物性)
樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂の軟化点は、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、更に好ましくは110℃以下、より更に好ましくは105℃以下である。
樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下、より更に好ましくは60℃以下である。
樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点、並びにポリエステル樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上、より好ましくは17mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは23mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、いずれも、ポリエステル樹脂の製造に用いるモノマーの種類、配合比率、重縮合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
なお、本発明において、ポリエステルには、未変性のポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開2015−124353公報等に記載の方法により、付加重合系樹脂からなるセグメントを有するポリエステルや、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル以外に、例えば、スチレン−アクリル共重合体、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂中のポリエステルの含有量は、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、樹脂中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
(混練物の製造)
工程1では、白色顔料とポリエステル樹脂を溶融混練し、混練物を得る。
混練物は、白色顔料とポリエステル樹脂以外の成分、例えば、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を含有していてもよいが、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、混練物中における白色顔料及びポリエステル樹脂の合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。混練物中における白色顔料及びポリエステル樹脂の合計含有量は、更に好ましくは100質量%である。
工程1は、白色顔料とポリエステル樹脂との溶融混練前に、白色顔料とポリエステル樹脂とを予め混合する混合工程を有していることが好ましい。
溶融混練前に、予め、白色顔料とポリエステル樹脂とを機械的に混合しておくことで、ポリエステル樹脂中への白色顔料の分散性を高めることができる。白色顔料とポリエステル樹脂との機械的な混合は、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機を用いて、公知の条件で行なうことができ、その手法は特に制限されない。例えば、混合機としてヘンシェルミキサーを用いる場合、1000rpm以上2000rpm以下の撹拌速度で白色顔料とポリエステル樹脂とを撹拌する手法が挙げられる。
混合工程では、白色顔料とポリエステル樹脂以外の成分、例えば、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を更に混合してもよい。
〔溶融混練〕
溶融混練は、例えば、混練機を用いて行う。また、白色顔料を含む着色剤の水性ペーストと樹脂を混練しフラッシングにより水を除去する方法、いわゆるフラッシング法により、白色顔料と樹脂を溶融混練し、混練物を得てもよい。
好ましくは上記混合工程の終了後、白色顔料とポリエステル樹脂との混合物を混練機に供給し溶融混練する。
溶融混練を行うための混練機としては、一軸又は二軸の押出機、ロールミルによるバッチ式混練機、オープンロール型混練機、密閉式ニーダー等の公知の混練機を用いることができ、好ましくは、二軸押出機、ロールミル型バッチ式押出機、及びオープンロール型混練機である。例えば、株式会社神戸製鋼所製KTK型2軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、有限会社ケイ・シー・ケイ応用技術研究所製2軸押出機、株式会社池貝製PCM型2軸押出機、オープンロール型連続混練機等が好適に用いられる。
溶融混練機は、溶融混練時の温度を低減し、樹脂に白色顔料を効率よく高分散させる観点から、より好ましくは二軸押出機である。
二軸押出機は、一般に2本のスクリューをバレルが覆い隠す閉鎖型の構造を有する。二軸押出機には、通常、スクリューの供給部、圧縮部、及び計量部に対応する部分のいずれか又は全部にヒーターを備えることができ、供給部、圧縮部、及び計量部に対応する部分のバレルを加熱し、バレル温度(二軸押出機内部壁面の温度)を調整することができる。バレル温度を調整することにより溶融混練温度を調整することができる。
溶融混練の条件は特に制限されないが、樹脂に白色顔料を効率よく高分散させる観点から、混練温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。二軸押出機を使用する場合、前記の混練温度は、バレル温度である。
また、二軸押出機を使用する場合、軸回転の周速は、樹脂に白色顔料を効率よく高分散させる観点から、好ましくは0.1m/sec以上、より好ましくは1m/sec以下である。
二軸押出機への混合物の供給速度は、使用する混練機の許容能力と、上記のバレル温度及び軸回転の周速に応じて適宜調整する。
混練物は、粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕することが好ましい。混練物の冷却は、例えば、溶融混練した混練物を冷却ベルト、冷却ローラー等に押し出すことにより行う。
粉砕は、粉砕機を用いて混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕する。粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。粉砕は、更に微粉砕を行って小粒径化してもよく、必要に応じて分級してもよい。
<工程2>
工程2では、工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る。
混練物を、有機溶媒及び塩基性化合物と混合し有機溶媒系スラリーとすることで、溶融混練により小粒径化してポリエステル樹脂中に分散させた白色顔料を、更に均一に分散させ、後に得られる白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子中の白色顔料の含有状態を粒子間でそろえることができる。ここで、有機溶媒系スラリーとは、分散媒の主成分(全溶媒中の含有量が50質量%超である成分)が有機溶媒であるスラリーをいう。したがって、有機溶媒系スラリーは有機溶媒よりも少ない量で、例えば水を含んでいてもよい。
工程2で用いる有機溶媒は、水溶性であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒が挙げられる。中でも、好ましくはケトン系有機溶媒であり、樹脂に白色顔料を効率よく高分散させる観点から、より好ましくはメチルエチルケトンである。
塩基性化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の1価のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、各種アミン等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアが挙げられる。
塩基性化合物は、水溶液として用いることが好ましい。塩基性化合物水溶液の塩基性化合物の濃度は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
工程2では、混練物を、有機溶媒及び塩基性化合物に加えて、各種添加剤と混合してもよいが、樹脂に白色顔料を効率よく高分散させる観点から、混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合には、界面活性剤、分散剤、及び消泡剤を用いないことが好ましい。具体的には、工程2において界面活性剤、分散剤、及び消泡剤のいずれか1種以上を使用する場合、これらの使用量の合計は、混練物100質量部に対して、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
工程2において、混練物と有機溶媒との混合比(混練物/有機溶媒)は、質量基準で、好ましくは100/200以上、より好ましくは100/170以上、更に好ましくは100/150以上であり、そして、好ましくは100/30以下、より好ましくは100/50以下である。
また、工程2において、混練物と塩基性化合物との混合比(混練物/塩基性化合物)は、質量基準で、好ましくは100/5以上、より好ましくは100/3以上であり、そして、好ましくは100/0.5以下、より好ましくは100/1以下である。
混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合方法は特に制限されないが、混練物中のポリエステル樹脂を有機溶媒中に混合した後、更に塩基性化合物水溶液を添加してから撹拌して混合することが好ましい。ポリエステル樹脂に白色顔料を効率よく高分散させる観点から、混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.4時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、好ましくは8時間以下、より好ましくは6時間以下、更に好ましくは5時間以下である。
また、塩基性化合物の添加後の混合時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.4時間以上であり、そして、好ましくは4時間以下、より好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下である。
混練物と有機溶媒との混合温度、及び、塩基性化合物添加後の混合温度は、成分を均一に混合する観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは27℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは33℃以下である。
<工程3>
工程3では、工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水を添加し、混合して分散液を得る。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加速度は、水系分散液中の白色顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部/min以上、より好ましくは2質量部/min以上、更に好ましくは3質量部/min以上、より更に好ましくは5質量部/min以上であり、そして、好ましくは20質量部/min以下、より好ましくは18質量部/min以下、更に好ましくは15質量部/min以下、より更に好ましくは13質量部/min以下、より更に好ましくは10質量部/min以下である。有機溶媒系スラリーに対する水の添加速度が、ポリエステル樹脂100質量部に対して1質量部/min以上であることで、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の生産性がより高くなり、20質量部/min以下であることで、続く工程4において有機溶媒を除去した後も、水中での分散安定性に優れる白色顔料含有樹脂粒子をより容易に得ることができる。
水の添加量は、水系分散液中の白色顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、混練物100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは150質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、そして、好ましくは1000質量部以下、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは250質量部以下である。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加は、有機溶媒系スラリーの撹拌下で行うことが好ましい。撹拌速度(翼先端の周速)は、成分を均一に混合する観点から、好ましくは0.8m/sec以上、より好ましくは1.0m/sec以上、更に好ましくは1.2m/sec以上であり、そして、好ましくは2.0m/sec以下、より好ましくは1.7m/sec以下、更に好ましくは1.5m/sec以下である。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加時の温度は、成分を均一に混合する観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは27℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは35℃以下であり、更に好ましくは33℃以下である。
<工程4>
工程4では、工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る。
工程4で得られる白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子(白色顔料含有樹脂粒子)の体積中位粒径は、水系分散液中の白色顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、好ましくは200nm以上、より好ましくは250nm以上、更に好ましくは300nm以上、より更に好ましくは350nm以上、より更に好ましくは380nm以上であり、そして、好ましくは570nm以下、より好ましくは550nm以下、更に好ましくは500nm以下である。
ここで「体積中位粒径」とは、体積分率で測定した累積体積頻度が、粒径の小さい方から累積して50%になる粒径を意味する。その測定方法は、実施例に記載のとおりである。
分散液から有機溶媒を除去する手法は特に制限されないが、分散液の加熱及び減圧の少なくとも一方により行うことが好ましく、分散液を加熱した後、減圧して有機溶媒を留去することがより好ましい。減圧は段階的に行うことが好ましい。
分散液の加熱温度は、好ましくは35℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは85℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
〔水系分散液〕
白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液中、白色顔料の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液中、ポリエステル樹脂の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液中、水の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは96質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
白色顔料とポリエステル樹脂との質量比〔白色顔料/ポリエステル樹脂〕は、既述のとおりである。
水系分散液中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
≪水系インク≫
得られた白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液は、そのまま水系インクとして使用することができる。既述の本発明の水系インクの製造方法により、白色顔料がポリエステル樹脂に内包された本発明の水系分散液が得られる。本発明の水系分散液及び水系インクに用い得る白色顔料、ポリエステル樹脂等の構成成分は、本発明の水系インクの製造方法で挙げた成分を用いることができ、好ましい態様も同様である。また、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子(白色顔料含有樹脂粒子)の形態も本発明の水系インクの製造方法で説明した形態であることが好ましい。
水系インクは、更に、必要に応じて任意成分である各種添加剤と混合して用いるのが好ましい。
任意成分である各種添加剤としては、有機溶媒、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアリールエーテル、環状カーボネート、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテルとしては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等が挙げられる。
アミドとしては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
アミンとしては、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、チオジグリコール等が挙げられる。
有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。
これらの中でも、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、及び含窒素複素環化合物から選ばれる少なくとも1種又は2種以上が好ましく、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及び2−ピロリドンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
有機溶媒の含有量は、インクの分散安定性を向上させる観点から、インク中で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のグリコールエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、ノニオン性界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アセチレングリコール、グリコールエーテル、ポリエステル変性シリコーン、及びポリエーテル変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アセチレングリコール、グリコールエーテルが更に好ましく、アセチレングリコール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種がより更に好ましい。
界面活性剤の含有量は、インクの分散安定性を向上させる観点から、インク中で、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、等が挙げられる。
防腐剤及び防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼすことなくpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができ、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
次に、任意成分と混合する場合の好適例を説明する。
先ず、イオン交換水、脱イオン水等の水と、必要に応じて任意成分である有機溶媒及び各種添加剤の少なくとも1種とを混合し、必要に応じて撹拌して、混合溶液を得る。
次いで、この混合液を、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液に混合し、必要に応じてフィルター等で濾過することにより、水系インクを好適に得ることができる。
水系インクに含まれる白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の含有量は、樹脂製記録媒体への密着性及び隠蔽性を向上させる観点から、水系インク中で、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
水系インクに含まれる水の含有量は、特に限定されず水系インクの使用態様により任意に設定できるが、本発明の水系インクをインクジェット記録用として用いる場合には、水系インクの吐出性を良好にする観点から、水系インク中で、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
≪用途≫
本発明の水系インクは、インクジェット記録用のインクとして用いることができる。本発明の水系インクをインクジェット記録方法に用いる際の好適な態様としては、本発明の水系インクをインクジェット記録方式で樹脂製記録媒体に付着させた後、該水系インクが付着した樹脂製記録媒体を40℃以上100℃以下に加熱する。
本発明の水系インクは、オフィス用印刷、並びに、カタログ、チラシ、パッケージ、ラベル等の商業及び産業用印刷のいずれにも使用することができる。商業及び産業用ラベル印刷に適している、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(NY)等の樹脂製記録媒体へ好適に用いることができることから、商業及び産業用印刷に適している。
樹脂製記録媒体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート製記録媒体に対して、本発明の水系インクを付着させ画像を形成する方法に好適に用いることができる。
記録媒体は、好ましくは樹脂製フィルムである。フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリエステルフィルムであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルムである。
これらのフィルムは、必要に応じてコロナ処理等の表面処理を行っていてもよい。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各物性は次の方法により測定した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕とした。
[樹脂の軟化点]
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
[樹脂のガラス転移温度]
示差走査熱量計「Q−20」(ティー エイ インスツルメント ジャパン社製)を用いて、試料0.01gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピーク温度を吸熱の最大ピーク温度とし、吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移温度とした。
[樹脂粒子の体積中位粒径(D50)]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。
[樹脂粒子の固形分濃度]
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
[隠蔽性の評価]
インクジェットプリンタ「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、二軸延伸PETフィルム「ルミラー75T60」(東レ株式会社製)に「光沢紙、きれい、カラーマッチングしない」の条件にて、A4ベタ画像を印刷した。
印刷物を80℃の乾燥機にて10分乾燥し、室温25℃、相対湿度50%の環境室にて1日静置して試料を調製した。その後、印刷物の下に「ブラックペーパー<黒紙>A4」(トチマン社製、116g紙)を敷いた上で、印刷物の上から画像濃度測定を行った。
画像濃度の測定には分光光度計「Spectro Eye」(グレタグマクベス社製)を用い、測定条件を、観測光源D65、観測視野2度、濃度基準をDIN16536とし、黒の色濃度成分の数値を読み取った。測定回数は、測定する場所を変え、双方向印字の往路において印字された部分から5点、復路において印字された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求めた。印刷物の下に敷いた黒紙を測定した場合の画像濃度は1.90であり、印刷物の上から測定した画像濃度が白色印刷物により隠蔽され、画像濃度が低くなるほど、印刷物の隠蔽性が高く良好である。
得られた画像濃度から下記式により、隠蔽率を求め、白色インクの隠蔽性を評価した。
隠蔽率[%]=100−((黒紙を下に敷き測定した印刷物の画像濃度)/(黒紙の画像濃度))×100
[密着性の評価]
インクジェットプリンタ「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、二軸延伸PETフィルム「ルミラー75T60」(東レ株式会社製)に「光沢紙、きれい、カラーマッチングしない」の条件にて、A4ベタ画像を印刷した。印刷物を、80℃の乾燥機にて10分乾燥し、室温25℃、相対湿度50%の環境室にて1日静置して試料を調製した。その後、試料の印刷面に長さ4cmのテープ「セロテープCT15」(登録商標)(ニチバン株式会社製)を貼りつけ、角度90°で10cm/secの速度で該テープを剥がし、試料の塗工面の残存面積を目視により次の3段階で評価した。
<評価基準>
A: 剥離なし、又は剥離があるが剥離面積10%未満
B: 剥離面積10%以上50%未満
C: 剥離面積50%以上
製造例X1
(ポリエステル樹脂Aの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3004g、フマル酸996g、tert−ブチルカテコール2g、及び酸化ジブチル錫8gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5時間かけて210℃まで昇温し、210℃で2時間保持した後、8.3kPaにて軟化点が100℃に達するまで反応を行い、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの特性を表1に示す。
製造例X2
(ポリエステル樹脂Bの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン33g、テレフタル酸672g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間保持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間保持した。その後、210℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、210℃で5時間保持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間保持して、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの特性を表1に示す。
Figure 2017101170
製造例Y1
(混練物1の製造)
ポリエステル樹脂A 2000gと、白色顔料「タイペークCR−50−2」(石原産業株式会社製、アルミナ処理及びシランカップリング剤処理された酸化チタン)2000gを、20Lヘンシェルミキサーを用いて回転数1500rpm(周速21m/sec)の撹拌回転数で3分間混合した後、2軸押出機「PCM−30」(株式会社池貝製)によりバレル温度100℃、軸回転数200rpm(軸周速0.30m/sec)、混合物供給速度10kg/hrにて溶融混練した。得られた混練物を冷却ベルトにて冷却後、ロートプレックス(東亜機械工業株式会社製)にて粗砕し、白色顔料と樹脂の混練物(混練物1)を得た。
製造例Y2
(混練物2の製造)
製造例Y1において、白色顔料「タイペークCR−50−2」(石原産業株式会社製、アルミナ処理及びシランカップリング剤処理された酸化チタン)を白色顔料「タイペークCR−80」(石原産業株式会社製、シリカ処理及びアルミナ処理された酸化チタン)に変更した以外は同様にして、白色顔料と樹脂の混練物(混練物2)を得た。
製造例Y3
(混練物3の製造)
製造例Y1において、ポリエステル樹脂A 2000gを2400gに、白色顔料「タイペークCR−50−2」(石原産業株式会社製)2000gを1600gにそれぞれ変更した以外は同様にして、白色顔料と樹脂の混練物(混練物3)を得た。
製造例Y4
(混練物4の製造)
製造例Y1において、ポリエステル樹脂A 2000gを2800gに、白色顔料「タイペークCR−50−2」(石原産業株式会社製)2000gを1200gにそれぞれ変更した以外は同様にして、白色顔料と樹脂の混練物(混練物4)を得た。
製造例Y5
(混練物5の製造)
製造例Y1において、ポリエステル樹脂Aをポリエステル樹脂Bに変更した以外は同様にして、白色顔料と樹脂の混練物(混練物5)を得た。
Figure 2017101170
製造例Z1
(白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子1の分散液の製造)
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器(「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製))及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、混練物1200gを入れ、30℃でメチルエチルケトン(MEK)200gと3時間混合し樹脂を溶解させた。次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液31.9gを添加して30分撹拌し、有機溶媒系スラリーを得た。その後、30℃、1.37m/secの撹拌下、ポリエステル樹脂100質量部に対し7.8質量部/minの速度で脱イオン水467gを滴下した。その後、60℃に昇温した後、80kPa〜30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、脱イオン水にて固形分濃度を30質量%に調整し、白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子1を含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中の白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子1の体積中位粒径を表3に示す。
製造例Z2〜Z5
(白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子2〜5の水系分散液の製造)
製造例Z1において、混練物の種類、及び5質量%水酸化ナトリウム水溶液の添加量を表3に示すものへと変更した以外は同様にして、白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子を含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中の白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子の体積中位粒径(D50)を表3に示す。
製造例Z6
(白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子6の水系分散液の製造)
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器〔「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)〕及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステル樹脂A 100gと、白色顔料「タイペークCR50−2」(石原産業株式会社製、酸化チタン)100gを入れ、30℃でメチルエチルケトン200gと混合し樹脂を溶解させた。次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液31.9gを添加して30分撹拌した後、30℃、1.37m/secの撹拌下、ポリエステル樹脂100質量部に対し7.8質量部/minの速度で脱イオン水467gを滴下した。その後、60℃に昇温した後、80kPa〜30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、脱イオン水にて固形分濃度を30質量%に調整し、白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子6を含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中の白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子6の体積中位粒径(D50)を表3に示す。
製造例Z7
(ポリエステル樹脂粒子7の水系分散液の製造)
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器〔「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)〕及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステル樹脂A 200gを入れ、30℃でメチルエチルケトン200gと混合し樹脂を溶解させた。次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液63.9gを添加して30分撹拌した後、30℃、1.37m/secの撹拌下、ポリエステル樹脂100質量部に対し7.8質量部/minの速度で脱イオン水467gを滴下した。その後、60℃に昇温した後、80kPa〜30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、脱イオン水にて固形分濃度を30質量%に調整し、ポリエステル樹脂粒子7を含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中のポリエステル樹脂粒子7の体積中位粒径(D50)を表3に示す。
Figure 2017101170
実施例1〜5及び比較例1
(水系インクの製造)
100mLスクリュー管に、プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)20.0質量部、1,2−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社製)10.0質量部、濡れ剤(製品名:「オルフィンE1010」(オルフィンは登録商標)、有効成分:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製)1.0質量部、及び脱イオン水26.6質量部を混合し、マグネチックスターラーを用い、室温(25℃)で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
次に、表4に示す白色顔料含有ポリエステル樹脂粒子を含有する水系分散液40.0質量部(白色顔料と樹脂の総量換算分12質量部(水系インク100質量部中))をスポイトで滴下しながら、マグネチックスターラーで撹拌混合した。最後に孔径1.2μmのフィルター(製品名:「ミニザルト」(登録商標)、Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過し、水系インクを得た。得られた水系インクの評価結果を表4に示す。
比較例2
(水系インク7の製造)
100mLスクリュー管に、プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製)20.0質量部、1,2−ブタンジオール(和光純薬工業株式会社製)10.0質量部、濡れ剤(製品名:「オルフィンE1010」(オルフィンは登録商標)、有効成分:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製)1.0質量部、及び脱イオン水46.6質量部を混合し、マグネチックスターラーを用い、室温(25℃)で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
次に、製造例Z7で得られたポリエステル樹脂粒子7を含有する水系分散液20.0質量部(樹脂換算分6質量部(水系インク100質量部中))をスポイトで滴下しながら、マグネチックスターラーで撹拌混合した。最後に孔径1.2μmのフィルター(製品名:「ミニザルト」(登録商標)、Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過し、水系インク7を得た。得られた水系インクの評価結果を表4に示す。
Figure 2017101170
表4の結果から、実施例1〜5の水系インクは、白色顔料とポリエステル樹脂とを予め溶融混練しなかった比較例1よりも、ポリエチレンテレフタレートフィルムへの密着性及び隠蔽性に優れることがわかる。
白色顔料を用いていない比較例2の水系インクを参考値として、当該比較例2の結果と、実施例1〜5の結果とを対比しても、本願発明により、白色顔料の添加に起因する密着性低下が抑制されており、白色顔料を含んでいても密着性に優れることがわかる。

Claims (8)

  1. 下記工程1〜4を含む水系インクの製造方法。
    工程1:白色顔料とポリエステル樹脂を質量比(白色顔料/ポリエステル樹脂)10/90以上55/45以下で溶融混練し、混練物を得る工程
    工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
    工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水を添加し、混合して分散液を得る工程
    工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、白色顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
  2. 工程3において、水を、ポリエステル樹脂100質量部に対して1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加する、請求項1に記載の水系インクの製造方法。
  3. 工程2において、混練物と有機溶媒との混合比(混練物/有機溶媒)が、質量基準で100/200以上100/30以下である、請求項1又は2に記載の水系インクの製造方法。
  4. 工程2において、混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合時間が0.2時間以上8時間以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の水系インクの製造方法。
  5. ポリエステル樹脂の酸価が15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の水系インクの製造方法。
  6. ポリエステル樹脂がアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含有するカルボン酸成分との重縮合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の水系インクの製造方法。
  7. 白色顔料を含有し体積中位粒径が200nm以上570nm以下である、ポリエステル樹脂粒子の水系分散液。
  8. 請求項7の水系分散液を含む、水系インク。
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