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JP2017180669A - 動力伝達装置 - Google Patents

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JP2017180669A
JP2017180669A JP2016068900A JP2016068900A JP2017180669A JP 2017180669 A JP2017180669 A JP 2017180669A JP 2016068900 A JP2016068900 A JP 2016068900A JP 2016068900 A JP2016068900 A JP 2016068900A JP 2017180669 A JP2017180669 A JP 2017180669A
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土橋 誠
Makoto Dobashi
誠 土橋
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】2つの変速段の間での変速段の変更を、容易に行えるとともに、迅速に完了させることができる動力伝達装置を提供する。【解決手段】第1〜第3回転要素の回転数が共線図において単一の直線上にこの順で並ぶ。第3回転要素が被駆動部に連結され、動力源に連結された第1回転要素には、第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる第1回転動力と、第1所定回転方向と逆方向の第2所定回転方向に回転させる第2回転動力が、動力源から入力される。第1切替手段が、第1回転動力の発生中に第1所定回転方向への第2回転要素の回転を阻止し、第2回転動力の発生中に第2所定回転方向への第2回転要素の回転を許容する。第2切替手段が、第2回転動力の発生中に第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることを阻止するとともに、第2回転動力が発生していないときに第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることを許容する。【選択図】図1

Description

本発明は、動力を伝達するための動力伝達装置に関する。
従来、この種の動力伝達装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この動力伝達装置は、電動車両に適用されたものであり、動力源としての回転電機の回転動力を車両の駆動輪に伝達するための変速装置を備えている。変速装置は、所定の1速段及び2速段から成る2つの変速段を有する有段式の自動変速装置であり、差動装置、ブレーキ、油圧式のクラッチ及びワンウェイクラッチを有している。差動装置は、キャリヤに回転自在に支持された2連ピニオンギヤと、2連ピニオンギヤの一方に噛み合う第1サンギヤ及びリングギヤと、2連ピニオンギヤの他方に噛み合う第2サンギヤなどで構成されており、これらの第2サンギヤ、第1サンギヤ、キャリヤ及びリングギヤの回転数は、共線図において単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係にある。
また、第2サンギヤはブレーキに連結されており、第1サンギヤは、出力軸を介して駆動輪に連結されている。キャリヤは、クラッチを介して回転電機に連結されており、リングギヤは、ワンウェイクラッチを介して回転電機に連結されている。ワンウェイクラッチは、回転電機からリングギヤへの正転方向の回転動力の伝達を接続し、リングギヤから回転電機への正転方向の回転動力の伝達を遮断する。さらに、動力伝達装置では、ブレーキ及びクラッチの動作を制御装置で次のようにして制御することにより、変速装置の変速段が1速段又は2速段に設定されるとともに、回転電機の回転動力が変速装置で変速された状態で駆動輪に伝達される。
すなわち、変速装置の変速段を1速段に設定する場合には、ブレーキで第2サンギヤを回転不能に制動し、クラッチを解放することによって、回転電機とキャリヤの間を遮断する。この場合、回転電機の回転動力は、ワンウェイクラッチを介してリングギヤに伝達され、第2サンギヤに作用するブレーキの制動力を反力として、さらに2連ピニオンギヤ及び第1サンギヤを介して、駆動輪に伝達される。その結果、回転電機の回転動力は、差動装置における各種のギヤのギヤ比で定まる1速段の変速比で減速された状態で、駆動輪に伝達される。
また、変速装置の変速段を2速段に設定する場合には、ブレーキで第2サンギヤを回転不能に制動し、クラッチを係合させることによって、回転電機とキャリヤの間を接続する。この場合、回転電機の回転動力は、クラッチを介してキャリヤに伝達され、第2サンギヤに作用するブレーキの制動力を反力として、さらに2連ピニオンギヤ及び第1サンギヤを介して、駆動輪に伝達される。その結果、回転電機の回転動力は、各種のギヤのギヤ比で定まる2速段の変速比で減速された状態で、駆動輪に伝達される。
特開平5−332408号公報
上述したように、従来の動力伝達装置では、回転電機の回転動力は、変速段が1速段のときにはリングギヤに伝達される一方、2速段のときにはキャリヤに伝達される。また、リングギヤ、キャリヤ、第1及び第2サンギヤの回転数が共線関係にあるため、駆動輪に連結された第1サンギヤの同じ回転数に対して、キャリヤの回転数は、リングギヤの回転数よりも低くなる。このため、変速段を1速段から2速段に変更するにあたり、変速ショックを抑えるには、キャリヤの回転数に回転電機の回転数を一致させるように制御し、それにより回転電機の回転数がキャリヤの回転数に一致した後に、その状態で回転電機とキャリヤの間を接続するようにクラッチを制御し、このクラッチの接続動作が完了した後に、回転電機のトルクを発生させる制御を行わなければならない。以上のように、従来の動力伝達装置では、1速段から2速段への変速段の変更に要する制御が非常に煩雑になってしまう。また、2速段への変速段の変更にあたって、回転電機の回転数がキャリヤの回転数に一致した後に、クラッチに接続動作を行わせるための制御を開始し、クラッチの接続動作が完了するのを待たなければならないので、この変速段の変更に時間がかかり、ひいては、回転電機の回転動力が駆動輪に伝達されない状態が長く継続してしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、2つの変速段の間での変速段の変更を、容易に行うことができるとともに、迅速に完了させることができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、第1回転要素(実施形態における(以下、本項において同じ)サンギヤS)、第2回転要素(キャリヤC)及び第3回転要素(リングギヤR)を有し、第1〜第3回転要素の回転数が共線図において単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係を満たすとともに、第2回転要素を固定した状態で第1及び第3回転要素を回転させたときに、第1回転要素の回転方向と、前記第3回転要素の回転方向とが互いに異なるように構成された差動装置(遊星歯車装置PS)を備える動力伝達装置1、31、41であって、第1回転要素には、第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる第1回転動力と、第1回転要素を第1所定回転方向と逆方向の第2所定回転方向に回転させる第2回転動力とを、第1回転要素に入力可能な動力源(回転電機3)が機械的に連結され、第3回転要素には、動力伝達装置1、31、41によって駆動される被駆動部(後輪WL、WR)が機械的に連結され、第2回転要素には、動力源が第1回転動力を発生したときに、第2回転要素の第1所定回転方向の回転を阻止するとともに、動力源が第2回転動力を発生したときに、第2回転要素の第2所定回転方向の回転を許容する第1切替手段(第1ワンウェイクラッチ5、32)と、動力源が第2回転動力を発生したときに、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることを阻止するとともに、動力源が第2回転動力を発生しないときに、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることを許容する第2切替手段(第2ワンウェイクラッチ6、33、42)と、が機械的に接続されていることを特徴とする。
この構成によれば、動力伝達装置の差動装置は、その第1〜第3回転要素の回転数が共線図において単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係を満たすとともに、第2回転要素を固定した状態で第1及び第3回転要素を回転させたときに、第1回転要素の回転方向と、第3回転要素の回転方向とが互いに異なるように構成されている。また、第1回転要素が、動力源に機械的に連結されるとともに、第3回転要素が、被駆動部に機械的に連結されている。動力源は、第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる第1回転動力と、第1回転要素を第1所定回転方向と逆方向の第2所定回転方向に回転させる回転動力とを第1回転要素に入力可能である。
以上の構成から、動力伝達装置における各種の構成要素の間の回転数の関係は、例えば図28及び図29のように表される。図28及び図29ならびに後述する他の共線図では、値0を示す横線から縦線上の白丸までの距離が、各回転要素の回転数に相当する。なお、これらの図28及び図29は、第2回転要素を固定した状態で第1及び第3回転要素を回転させたときに、第1回転要素の回転数の絶対値が第3回転要素の回転数の絶対値よりも大きい場合の例である。また、図28及び図29は、動力源及び被駆動部が第1及び第2回転要素にそれぞれ直接、連結されている場合の例であるが、ギヤなどを介して連結されていてもよい。
また、前述した構成によれば、第1切替手段によって、動力源が第1回転動力を発生したときに、第2回転要素の第1所定回転方向の回転が阻止されるとともに、動力源が第2回転動力を発生したときに、第2回転要素の第2所定回転方向の回転が許容される。さらに、第2切替手段によって、動力源が第2回転動力を発生したときに、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることが阻止されるとともに、動力源が第2回転動力を発生しないときに、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることが許容される。
また、図28において、Tmは動力源の出力トルクであり、Rc1は、第1切替手段の反力トルク、Roは、被駆動部の反力トルクであり、このことは図29についても同様である。図28に示すように、動力源から第1回転要素に、第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる第1回転動力を入力すると、第1所定回転方向への第2回転要素の回転が第1切替手段により自動的に阻止され、第1回転要素に入力された動力源の出力トルクTmは、第1切替手段の反力トルクRc1を反力として、第3回転要素を介して被駆動部に伝達され、それにより、被駆動部が第2所定回転方向に回転する。また、図28から明らかなように、動力源の第1回転動力は、減速された状態で被駆動部に伝達される。この場合、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることが、第2切替手段によって自動的に許容される。
さらに、図29に示すように、動力源から第1回転要素に、第1回転要素を第2所定回転方向に回転させる第2回転動力を入力すると、第2切替手段によって、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることが自動的に阻止され、それにより第1〜第3回転要素が一体に回転する。その結果、動力源の出力トルクTmは、第1〜第3回転要素を介して被駆動部に伝達され、それにより、被駆動部が第2所定回転方向に回転する。この場合、動力源の回転動力は、差動装置によっては変速されずに、被駆動部に伝達される。また、第1切替手段によって、第2回転要素の第2所定回転方向の回転が自動的に許容される。
以上のように、動力伝達装置では、差動装置、第1及び第2切替手段によって2つの変速段を有する変速装置が構成されている。ここで、2つの変速段のうち、図28に示す変速段を1速段とし、図29に示す変速段を2速段とする。1速段から2速段に変速段を変更する場合、動力源から第1回転要素に、第1回転要素を第2所定回転方向に回転させる第2回転動力を入力するとともに、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数に一致するように動力源の回転数を制御することによって、第1回転要素の回転数が第2回転要素の回転数を上回ることが自動的に阻止され、2速段への変速段の変更が完了する。
これとは逆に、2速段から1速段に変速段を変更する場合、動力源から第1回転要素に、第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる第1回転動力を入力するとともに、第2回転要素の回転数が値0になるように動力源の回転数を制御することによって、第1所定回転方向への第2回転要素の回転が第1切替手段で自動的に阻止され、1速段への変速段の変更が完了する。
以上のように、動力伝達装置では、前述した従来の動力伝達装置と異なり、動力源から第1回転要素に入力される回転動力の回転方向の変更と、上述した動力源の回転数制御を行うだけで、クラッチの係合制御を行うことなく、2つの変速段の間の変速段の変更を、容易に行うことができるとともに、迅速に完了させることができる。また、変速段の変更を迅速に完了させられるので、変速段の変更により動力源の回転動力が被駆動部に伝達されなくなる時間を、短縮することができる。
なお、図28及び図29は、第2回転要素を固定した状態で第1及び第3回転要素を回転させたときに、第1回転要素の回転数の絶対値が第3回転要素のそれよりも大きい場合の例であるが、これとは逆に、第3回転要素の回転数の絶対値が第1回転要素のそれよりも大きい場合にも、上述した効果を同様に得ることができる。なお、この場合には、動力源から第1回転要素に、第1回転要素を第2所定回転方向に回転させるような回転動力を入力したときに、動力源の回転動力は、増速した状態で被駆動部に伝達される。
本発明の第1実施形態による動力伝達装置を、これを適用した車両の一部とともに示すスケルトン図である。 図1の動力伝達装置のECUなどを示すブロック図である。 図1の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が1速段である場合について示す共線図である。 図1の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が2速段である場合について示す共線図である。 図1の動力伝達装置の動作例を示すタイミングチャートである。 図5の比較例を示すタイミングチャートである。 従来の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が1速段である場合について示す共線図である。 従来の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が2速段である場合について示す共線図である。 図7の従来の動力伝達装置のようにステップ比が比較的大きい場合における出力軸回転数と出力軸伝達トルクとの関係を示す図である。 本発明の第2実施形態による動力伝達装置を、これを適用した車両の一部とともに示すスケルトン図である。 図10の動力伝達装置のECUなどを示すブロック図である。 図10の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が1速段である場合について示す共線図である。 図10の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が2速段である場合について示す共線図である。 図10の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が後進段である場合について示す共線図である。 本発明の第3実施形態による動力伝達装置を、これを適用した車両の一部とともに示すスケルトン図である。 図15の動力伝達装置のECUなどを示すブロック図である。 図15の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が1速段であり、かつ回転電機で力行を実行している場合について示す共線図である。 図15の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が2速段であり、かつ回転電機で力行を実行している場合について示す共線図である。 図15の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が1速段であり、かつ回転電機で回生を実行している場合について示す共線図である。 図15の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が2速段であり、かつ回転電機で回生を実行している場合について示す共線図である。 図15の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が後進段である場合について示す共線図である。 本発明の第4実施形態による動力伝達装置を、これを適用した車両の一部とともに示すスケルトン図である。 図22の動力伝達装置のECUなどを示すブロック図である。 図22の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が1速段である場合について示す共線図である。 図22の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を、変速段が2速段である場合について示す共線図である。 図22の動力伝達装置の技術的観点を説明するための共線図である。 図26と比較される比較例における各種の回転要素の間の回転数の関係を示す共線図である。 本発明の動力伝達装置の動作を説明するための共線図である。 本発明の動力伝達装置の動作を説明するための別の共線図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による動力伝達装置1を、これを適用した車両の一部とともに示している。この車両は、その前部に動力源としてのエンジンが搭載された四輪車両であり、動力伝達装置1は、動力源としての回転電機3の回転動力を車両の左右の後輪WL、WRに伝達するためのものである。図1に示すように、動力伝達装置1は、遊星歯車装置PS、第1ワンウェイクラッチ5及び第2ワンウェイクラッチ6を備えている。
回転電機3は、例えばブラシレスDCモータであり、複数の鉄芯やコイルなどで構成されたステータと、複数の磁石などで構成されたロータ(いずれも図示せず)と、ロータに同軸状に一体に設けられた回転軸3aを有している。回転電機3では、ステータに電力が供給されると、供給された電力は、回転動力に変換され、ロータから回転軸3aに出力される。この場合、回転軸3aの回転方向は、後述する図3及び図4に示すように、正転方向と逆転方向に変更可能である。また、回転軸3aに回転動力が入力されると、この回転動力は、電力に変換され(発電)、ステータに出力される。
また、回転電機3のステータは、パワードライブユニット(以下「PDU」という)15を介して、充電・放電可能なバッテリ16に電気的に接続されており、バッテリ16との間で電気エネルギを授受可能である。このPDU15は、インバータなどの電気回路で構成されている。図2に示すように、PDU15には、後述するECU2が電気的に接続されている。このECU2は、PDU15を制御することによって、回転電機3に供給する電力と、回転電機3で発電する電力と、回転軸3aの回転数(以下「モータ回転数」という)を制御する。
前記遊星歯車装置PSは、一般的なシングルピニオンタイプのものであり、サンギヤSと、サンギヤSに噛み合う複数のピニオンギヤP(2つの図示)と、ピニオンギヤPを回転自在に支持する、回転自在のキャリヤCと、サンギヤSの外周に設けられ、ピニオンギヤPに噛み合うリングギヤRを有している。サンギヤSは、回転電機3の回転軸3aに同軸状に一体に設けられており、回転軸3aと一体に回転自在である。リングギヤRは、中空の回転軸やフランジを介して、出力軸7に同軸状に連結されており、出力軸7と一体に回転自在である。出力軸7には、ギヤ8が同軸状に一体に設けられており、ギヤ8は、アイドラギヤ9に噛み合っている。アイドラギヤ9は、終減速装置10のギヤに噛み合っており、終減速装置10は、それらの左右のベベルギヤが、左右の駆動軸を介して、左右の後輪WL、WRに機械的にそれぞれ連結されている。
前記第1ワンウェイクラッチ5は、一般的な機械式のものであり、キャリヤCに同軸状に一体に設けられたインナーと、車両に固定されたケースCAと一体のアウターを有している。第1ワンウェイクラッチ5は、キャリヤCを逆転方向(図3参照)に回転(逆転)させる回転動力がキャリヤCに伝達されているときに、キャリヤCとケースCAの間を接続し、それにより、キャリヤCの逆転が阻止される。また、第1ワンウェイクラッチ5は、キャリヤCを正転方向(図3参照)に回転(正転)させる回転動力がキャリヤCに伝達されているときに、キャリヤCとケースCAの間を遮断し、それにより、キャリヤCの正転が許容される。
第2ワンウェイクラッチ6は、第1ワンウェイクラッチ5と同様、一般的な機械式のものであり、回転軸3aに同軸状に一体に設けられたインナーと、キャリヤCに同軸状に一体に設けられたアウターを有している。第2ワンウェイクラッチ6は、サンギヤSをキャリヤCに対して正転方向に相対的に回転させるような回転動力がサンギヤSに入力されているときには、サンギヤSとキャリヤCの間を接続し、それにより、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRが一体に回転する。その結果、この場合には、サンギヤSの回転数がキャリヤCの回転数を上回ることが阻止される。また、第2ワンウェイクラッチ6は、サンギヤSをキャリヤCに対して逆転方向に相対的に回転させるような回転動力がサンギヤSに入力されているときには、サンギヤSとキャリヤCの間を遮断する。その結果、この場合には、サンギヤSの回転数がキャリヤCの回転数を上回ることが許容される。
また、回転電機3には、第1回転数センサ21及び電流センサ22が設けられている。図2に示すように、第1回転数センサ21は、モータ回転数NMを検出し、その検出信号をECU2に入力する。また、電流センサ22は、回転電機3のステータを流れる電流(以下「モータ電流」という)IMを検出し、その検出信号をECU2に入力する。さらに、出力軸7の回転数(以下「出力軸回転数」という)NOは、第2回転数センサ23によって検出され、その検出信号はECU2に入力される。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAM及びROMなどから成るマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、上述した各種のセンサ21〜23からの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムに従って、回転電機3を制御する。
以上の構成の動力伝達装置1では、遊星歯車装置PS、第1及び第2ワンウェイクラッチ5、6は、所定の1速段及び2速段から成る2つの変速段を有する変速装置として機能し、回転電機3の回転動力は、これらの1速段又は2速段の変速比で変速された状態で、出力軸7に伝達され、さらに、ギヤ8、アイドラギヤ9及び終減速装置10を介して、左右の後輪WL、WRに伝達される。以下、図3及び図4を参照しながら、動力伝達装置1の動作について説明する。
図3は、変速段が1速段である場合における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を示している。遊星歯車装置PSは、前述したように一般的なシングルピニオンタイプのものである。このため、図3に示すように、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRの回転数は、それらの回転数の関係を表す共線図において、単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係にある。また、周知のように、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数よりも大きいため、キャリヤCを固定した状態でサンギヤS及びリングギヤRを回転させたときに、サンギヤSの回転数の絶対値は、リングギヤRの回転数の絶対値よりも大きくなる。さらに、各種の回転要素の間の前述した連結関係から明らかなように、サンギヤSの回転数は、モータ回転数NMと等しく、リングギヤRの回転数は、出力軸7の回転数と等しい。
以上から、サンギヤS、キャリヤC、リングギヤR、回転電機3、及び出力軸7の間の回転数の関係は、例えば図3のように表される。図3及び後述する他の共線図では便宜上、回転数を表す白丸の付近に、各回転要素の回転数の符号を記載している。また、図3において、TMは、回転電機3の出力トルク(以下「モータ出力トルク」という)であり、RC1は、第1ワンウェイクラッチ5の反力トルク、ROは、後輪WL、WRから出力軸7に作用する反力トルクである。
図3に示すように、変速段が1速段である場合には、ECU2による回転電機3の制御によって、回転電機3からサンギヤSに、サンギヤSを逆転させる回転動力が入力される。この場合、キャリヤCの逆転が第1ワンウェイクラッチ5により自動的に阻止され、サンギヤSに入力されたモータ出力トルクTMは、キャリヤCに作用する第1ワンウェイクラッチ5の反力トルクRC1を反力として、ピニオンギヤP及びリングギヤRを介して、その回転方向が変更された状態で出力軸7に伝達され、さらに、終減速装置10などを介して後輪WL、WRに伝達される。その結果、出力軸7や後輪WL、WRが正転する。図3から明らかなように、回転電機3の回転動力は、減速された状態で出力軸7に伝達される。また、サンギヤSとキャリヤCの間が、第2ワンウェイクラッチ6によって遮断される。
また、図4に示すように、変速段が2速段である場合には、ECU2による回転電機3の制御によって、回転電機3からサンギヤSに、サンギヤSを正転させる回転動力が入力される。これにより、キャリヤCに対してサンギヤSを相対的に正転させるような回転動力がサンギヤSに入力されることによって、サンギヤSとキャリヤCの間が第2ワンウェイクラッチ6で自動的に接続され、それにより、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRが一体に回転する。その結果、モータ出力トルクTMは、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRを介して出力軸7に伝達され、それにより、出力軸7や後輪WL、WRが正転する。この場合、回転電機3の回転動力は、遊星歯車装置PSによっては変速されずに、出力軸7に伝達される。また、キャリヤCの正転が、第1ワンウェイクラッチ5によって許容される。
また、図5は、変速段を1速段から2速段に変更した場合における動力伝達装置1の動作例を示している。図5において、TOBJは、モータ出力トルクTMの目標値(以下「目標トルク」という)であり、TOは、出力軸7に伝達されるトルク(以下「出力軸伝達トルク」という)である。また、図5では、各種のパラメータについて、正転方向を「+」で、逆転方向を「−」で、それぞれ表している。
図5に示すように、1速段から2速段への変速段の変更が開始されると(時点t1)、ECU2による回転電機3の制御として、回転数制御が実行される。この回転数制御では、モータ回転数NMが、出力軸回転数NOに一致するように制御される。これにより、それまで逆転していた回転電機3のモータ回転数NMが低下して値0になり、正転している出力軸7の出力軸回転数NOに向かって上昇するようになる。この場合、モータ回転数NMが出力軸回転数NOに一致するまでは、目標トルクTOBJが値0に設定され、回転電機3に印加される電圧を調整することによって、モータ回転数NMが上述したように制御される。また、それまで逆転方向のトルク(−)であったモータ出力トルクTMは、この回転数制御によって、一旦、正転方向のトルク(+)になった後に急減する。さらに、1速段から2速段への変速段の変更中には、キャリヤCが正転方向に空転するため、回転電機3から出力軸7にトルクが伝達されず、その結果、出力軸伝達トルクTOは値0になる。また、出力軸7が慣性で正転方向に空転する。
そして、モータ回転数NMが出力軸回転数NOに完全に一致すると(時点t2)、それに伴い、サンギヤSとキャリヤCの間が第2ワンウェイクラッチ6で自動的に接続されることによって、2速段への変速段の変更が完了するとともに、ECU2による回転電機3の制御が、上述した回転数制御からトルク制御に切り換えられる。このトルク制御では、目標トルクTOBJが車両の走行状態に応じた正転方向のトルクに設定されるとともに、モータ出力トルクTMが目標トルクTOBJになるように、モータ電流が制御される。これにより、モータ出力トルクTM及び出力軸伝達トルクTOが、ステップ状に急増した後に一定の状態で推移するとともに、モータ回転数NM及び出力軸回転数NOが上昇する。
なお、図示しないものの、2速段から1速段に変速段を変更するときには、その変更中にECU2で実行される回転数制御では、キャリヤCの回転数が値0になるように、モータ回転数NMが制御される。この場合、モータ回転数NMの目標値が、逆転方向の回転数として設定されるとともに、リングギヤRの歯数とサンギヤSの歯数との比を出力軸回転数NOに乗算した値に設定され、この目標値になるように、モータ回転数NMが制御される。これにより、それまで正転していた回転電機3のモータ回転数NMが低下して値0になり、さらに逆転方向に上昇するようになる。
そして、キャリヤCの回転数が値0になると、それに伴い、キャリヤCの逆転が第1ワンウェイクラッチ5で自動的に阻止されることによって、1速段への変速段の変更が完了するとともに、ECU2による回転電機3の制御が、上述した回転数制御からトルク制御に切り換えられる。この1速段のトルク制御は、2速段のそれと比較して、目標トルクTOBJが逆転方向のトルクに設定されることが異なっているだけである。
また、図6は、第1実施形態の比較例を示すタイミングチャートであり、この比較例は、前述した従来の動力伝達装置(特開平5−332408号公報)において変速段を1速段から2速段に変更した場合の動作例である。図6において、NM’は回転電機のモータ回転数、NO’は出力軸の出力軸回転数、TOBJ’は、回転電機の出力トルクの目標値である目標トルク、TO’は、出力軸に伝達される出力軸伝達トルク、POは、油圧式のクラッチに供給される油圧(以下「クラッチ供給油圧」という)POであり、PO=値0でクラッチが解放されていることを表している。
図6に示すように、この比較例では、1速段から2速段への変速段の変更が開始されると(時点t1’)、回転電機の回転数制御が実行され、それにより、前述したようにモータ回転数NM’がキャリヤの回転数に一致するように制御されることによって、モータ回転数NM’が低下する。また、2速段への変速段の変更中、目標トルクTOBJ’が値0に設定され、回転電機とリングギヤの間がワンウェイクラッチで遮断されることによって、出力軸伝達トルクTO’が値0の状態で推移する。
そして、モータ回転数NM’がキャリヤの回転数に一致すると(時点t2’)、その状態が保持されるとともに、それまで解放(PO=0)されていたクラッチを係合させるために、クラッチ供給油圧POが増大制御される。そして、クラッチ供給油圧POが所定圧PREFに達することでクラッチによる回転電機とキャリヤの間の接続が開始され(時点t3’)、その後、PO=PREFの状態がある程度、継続することでクラッチの接続動作が完了すると(時点t4’)、2速段への変速段の変更が完了するとともに、回転電機の制御が、上述した回転数制御から、第1実施形態と同様のトルク制御に移行する。これにより、出力軸伝達トルクTO’が、ステップ状に急増した後に一定の状態で推移するとともに、モータ回転数NM’及び出力軸回転数NO’が上昇する。
以上のように、比較例では、1速段から2速段への変速段の変更にあたり、上述したようなクラッチの係合制御を行わなければならず、この変速段の変更に要する制御が非常に煩雑である。また、2速段への変速段の変更にあたって、回転電機の回転数がキャリヤの回転数に一致した後に、クラッチに接続動作を行わせるための制御を開始し、クラッチの接続動作が完了するのを待たなければならないので、この変速段の変更に時間がかかる。その結果、回転電機の回転動力が出力軸に伝達されない状態が長く継続してしまう。
これに対して、第1実施形態によれば、1速段と2速段の間での変速段の変更を行うにあたって、前述したように、回転電機3からサンギヤSに入力される回転動力の回転方向の変更と、前述した回転電機3の回転数制御とを行うだけで、この変速段の変更を、容易に行うことができるとともに、迅速に完了させることができる。また、変速段の変更を迅速に完了させられるので、変速段の変更により回転電機3の回転動力が後輪WL、WRに伝達されなくなる時間を、短縮することができる。
また、第1実施形態における各種の要素と、本発明における各種の要素との対応関係は、次のとおりである。すなわち、第1実施形態における回転電機3が、本発明における動力源に相当し、第1実施形態における遊星歯車装置PSが、本発明における差動装置に相当するとともに、第1実施形態におけるサンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRが、本発明における第1、第2及び第3回転要素にそれぞれ相当する。また、第1実施形態における第1及び第2ワンウェイクラッチ5、6が、本発明における第1及び第2切替手段にそれぞれ相当するとともに、第1実施形態における後輪WL、WRが 本発明における被駆動部に相当する。
以上のように、第1実施形態によれば、図3及び図4を参照して説明したように、遊星歯車装置PSは、そのサンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRの回転数が共線図において単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係を満たすとともに、キャリヤCを固定した状態でサンギヤS及びリングギヤRを回転させたときに、サンギヤSの回転方向がリングギヤRの回転方向と異なるように、構成されている。また、サンギヤSが、回転電機3に機械的に連結されるとともに、リングギヤRが、出力軸7を介して後輪WL、WRに機械的に連結されている。回転電機3は、サンギヤSを正転させる回転動力と、サンギヤSを逆転させる回転動力とをサンギヤSに入力可能であり、その動作がECU2によって制御される。
また、図3及び図4を参照して説明したように、第1実施形態による動力伝達装置1では、遊星歯車装置PS、第1及び第2ワンウェイクラッチ5、6によって、1速段及び2速段から成る2つの変速段を有する変速装置が構成されている。また、図5及び図6を参照して説明したように、前述した従来の動力伝達装置と異なり、回転電機3からサンギヤSに入力される回転動力の回転方向の変更と、回転電機3の回転数制御とを行うだけで、クラッチの係合制御を行うことなく、2つの変速段の間の変速段の変更を、容易に行うことができるとともに、迅速に完了させることができる。また、変速段の変更を迅速に完了させられるので、変速段の変更により回転電機3の回転動力が後輪WL、WRに伝達されなくなる時間を、短縮することができる。
また、従来、この種の動力伝達装置として、特開2006−112489号公報に開示されたものが知られており、この従来の動力伝達装置では、回転電機の回転動力が1速段又は2速段の変速比で変速された状態で、出力軸に伝達される。図7及び図8は、この従来の動力伝達装置における各種の回転要素の間の回転数の関係を、変速段が1速段及び2速段の場合についてそれぞれ示している。従来の動力伝達装置におけるサンギヤの歯数をZs’とし、従来の動力伝達装置におけるリングギヤの歯数をZr’とすると、この図7から明らかなように、1速段の変速比(減速比)は、(1+Zs’/Zr’)/(Zs’/Zr’)であり、値2.0よりも大きくなり、2速段の変速比は値1.0である。このように、従来の動力伝達装置では、1速段の変速比と2速段の変速比との比(以下「ステップ比」という)は、値2.0よりも大きく、比較的大きい。
図9は、上記のようにステップ比が比較的大きい場合における出力軸の出力軸回転数と出力軸に伝達される出力軸伝達トルクとの関係を示しており、同図の実線は1速段の場合について、破線は2速段の場合について、それぞれ示している。図9の楕円で囲んだ部分に示すように、ステップ比が比較的大きい場合には、1速段と2速段の間の変速段の変更時にトルクの不連続が発生することがあり、このような不具合を回避するには、回転電機の設計の自由度が低くなってしまう。
これに対して、第1実施形態による動力伝達装置1では、サンギヤSの歯数をZsとし、リングギヤRの歯数をZrとすると、1速段の変速比は、図3から明らかなように1/(Zs/Zr)であり、上述した従来の1速段の変速比よりも小さくなり、また、2速段の変速比は、図4から明らかなように値1.0である。このように、動力伝達装置1では、上述した従来の動力伝達装置と比較して、ステップ比(1速段の変速比と2速段の変速比との比)を小さくできるので、それにより、回転電機3の設計の自由度を高めることができる。
次に、図10〜図14を参照しながら、本発明の第2実施形態による動力伝達装置31について説明する。この動力伝達装置31は、第1実施形態と比較して、第1及び第2ワンウェイクラッチ32、33の構成と、後述する後進段が変速段として設定されていることが、主に異なっている。図10〜図14において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1ワンウェイクラッチ32は、係合解除機構が設けられた機械式の2つのワンウェイクラッチを、その回転阻止方向が互いに逆方向になるように組み合わせたものであり、本出願人による特願2013−120913号の図7などに記載された第1ブレーキと同様に構成されている。このため、その構成についての説明は省略するものとし、その動作についてのみ説明する。
第1ワンウェイクラッチ32は、図11に示すようにECU2に電気的に接続されており、ECU2からの第1駆動信号が入力されるとともに、第2駆動信号が入力されていないときには、キャリヤCの正転を許容するとともに、キャリヤCの逆転を阻止する機械式のワンウェイクラッチとして機能する。また、第1ワンウェイクラッチ32は、ECU2からの第2駆動信号が入力されるとともに、第1駆動信号が入力されていないときには、キャリヤCの逆転を許容するとともに、キャリヤCの正転を阻止する機械式のワンウェイクラッチとして機能する。このように、第1ワンウェイクラッチ32は、キャリヤCの正転を許容するとともに、逆転を阻止する逆転阻止動作と、キャリヤCの逆転を許容するとともに、キャリヤCの正転を阻止する正転阻止動作を実行可能である。
第2ワンウェイクラッチ33は、係合解除機構が設けられた機械式のワンウェイクラッチであり、上記の特願2013−120913号の図7などに記載された第2ブレーキと同様に構成されている。このため、その構成についての説明は省略するものとし、その動作についてのみ説明する。
第2ワンウェイクラッチ33は、図11に示すようにECU2に電気的に接続されており、ECU2からの駆動信号が入力されているときには、OWC動作を実行し、このOWC動作の実行中には、第1実施形態の第2ワンウェイクラッチ6と同様に機能する。また、第2ワンウェイクラッチ33は、ECU2からの駆動信号が入力されていないときには、解除動作を実行し、この解除動作の実行中には、サンギヤSとキャリヤCの間を常に遮断する。
次に、動力伝達装置31の動作について説明する。図12及び図13に示すように、変速段が1速段である場合、及び2速段である場合には、ECU2による制御によって、第1ワンウェイクラッチ32の逆転阻止動作が実行されるとともに、第2ワンウェイクラッチ33のOWC動作が実行される。これにより、第1及び第2ワンウェイクラッチ32、33は、第1実施形態の第1及び第2ワンウェイクラッチ5、6とそれぞれ同様に機能する。回転電機3の制御については、変速段が1速段及び2速段のいずれの場合においても、第1実施形態と同様である。なお、図12において、RC1’は、第1ワンウェイクラッチ32の反力トルクである。
図12と前述した図3との比較から明らかなように、変速段が1速段である場合には、サンギヤSに入力された回転電機3のモータ出力トルクTMは、第1ワンウェイクラッチ32の反力トルクRC1’を反力として、ピニオンギヤP及びリングギヤRを介して出力軸7に伝達される結果、出力軸7や後輪WL、WRが正転する。また、回転電機3の回転動力は、減速された状態で出力軸7に伝達され、サンギヤSとキャリヤCの間が、第2ワンウェイクラッチ33によって遮断される。
また、図13と前述した図4との比較から明らかなように、変速段が2速段である場合には、サンギヤSとキャリヤCの間が第2ワンウェイクラッチ33により自動的に接続され、それにより、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRが一体に回転する。その結果、モータ出力トルクTMは、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRを介して出力軸7に伝達され、それにより、出力軸7や後輪WL、WRが正転する。また、回転電機3の回転動力は、遊星歯車装置PSによっては変速されずに、出力軸7にそのまま伝達され、キャリヤCの正転が、第1ワンウェイクラッチ32によって許容される。
次に、図14を参照しながら、変速段が前記後進段である場合における動力伝達装置31の動作について説明する。後進段は、出力軸7及び後輪WL、WRを逆転方向に回転駆動するための変速段である。図14に示すように、変速段が後進段である場合には、ECU2による回転電機3の制御によって、回転電機3からサンギヤSに、サンギヤSを正転させる回転動力が入力される。また、ECU2による制御によって、第1ワンウェイクラッチ32の正転阻止動作が実行されるとともに、第2ワンウェイクラッチ33の解除動作が実行される。
この場合、キャリヤCの正転が第1ワンウェイクラッチ32により自動的に阻止され、サンギヤSに入力されたモータ出力トルクTMは、キャリヤCに作用する第1ワンウェイクラッチ32の反力トルクRC1’を反力として、ピニオンギヤP及びリングギヤRを介して、その回転方向が逆方向に変更された状態で出力軸7に伝達され、さらに、終減速装置10などを介して後輪WL、WRに伝達される。その結果、出力軸7や後輪WL、WRが逆転する。また、図14から明らかなように、回転電機3の回転動力は、減速された状態で出力軸7に伝達される。さらに、サンギヤSとキャリヤCの間が、第2ワンウェイクラッチ33によって遮断される。
以上のように、第2実施形態によれば、変速段が1速段である場合、及び2速段である場合のいずれにおいても、第1ワンウェイクラッチ32が逆転阻止動作を実行するように制御されるとともに、第2ワンウェイクラッチ33がOWC動作を実行するように制御される。したがって、1速段と2速段の間の変速段の変更に伴って、第1及び第2ワンウェイクラッチ32、33の制御を切り換える必要がないため、第1実施形態と同様、回転電機3からサンギヤSに入力される回転動力の回転方向の変更と、前述した回転電機3の回転数制御とを行うだけで、2つの変速段の間の変速段の変更を、容易に行うことができるとともに、迅速に完了させることができる。また、図14を参照して説明したように、出力軸7や後輪WL、WRを逆転方向に回転駆動することができる。
次に、図15〜図21を参照しながら、本発明の第3実施形態による動力伝達装置41について説明する。この動力伝達装置41は、第1及び第2実施形態と比較して、第2ワンウェイクラッチ42の構成と、慣性で回転する後輪WL、WRから出力軸7に伝達される回転動力を用いて回転電機3で発電を行うことが、主に異なっている。図15〜図21において、第1及び第2実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2ワンウェイクラッチ42は、第1ワンウェイクラッチ32と同様、係合解除機構が設けられた機械式の2つのワンウェイクラッチを、その回転阻止方向が互いに逆方向になるように組み合わせたものである。このため、その構成についての説明は省略するものとし、その動作についてのみ説明する。第2ワンウェイクラッチ42は、図16に示すようにECU2に電気的に接続されており、ECU2からの第3駆動信号が入力されるとともに、第4駆動信号が入力されていないときには、第1OWC動作を実行し、この第1OWC動作の実行中には、第1実施形態の第2ワンウェイクラッチ6と同様に機能する。
また、第2ワンウェイクラッチ42は、ECU2からの第4駆動信号が入力されるとともに、第3駆動信号が入力されていないときには、第2OWC動作を実行する。この第2OWC動作の実行中、サンギヤSをキャリヤCに対して逆転方向に相対的に回転させるような回転動力がサンギヤSに入力されているときには、第2ワンウェイクラッチ42は、サンギヤSとキャリヤCの間を接続し、それにより、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRが一体に回転する。また、第2OWC動作の実行中、サンギヤSをキャリヤCに対して正転方向に相対的に回転させるような回転動力がサンギヤSに入力されているときには、第2ワンウェイクラッチ42は、サンギヤSとキャリヤCの間を遮断する。
次に、動力伝達装置41の動作について説明する。動力伝達装置41では、変速段が1速段及び2速段のそれぞれである場合に、回転電機3から回転動力を出力する「力行」が実行されるだけでなく、回転電機3で回転動力を電力に変換する「回生」が実行される。まず、図17及び図18を参照しながら、変速段が1速段及び2速段のそれぞれであるときに回転電機3で力行を実行する場合における動力伝達装置41の動作について、それぞれ説明する。
図17及び図18に示すように、変速段が1速段及び2速段のそれぞれであるときに回転電機3で力行を実行する場合のいずれにおいても、ECU2による制御によって、第1ワンウェイクラッチ32の逆転阻止動作が実行されるとともに、第2ワンウェイクラッチ33の第1OWC動作が実行される。これにより、第1及び第2ワンウェイクラッチ32、33は、第1実施形態の第1及び第2ワンウェイクラッチ5、6とそれぞれ同様に機能する。回転電機3の制御については、変速段が1速段及び2速段のいずれの場合においても、第1実施形態と同様である。
以上により、動力伝達装置41は、変速段が1速段及び2速段のそれぞれであるときに回転電機3で力行を実行する場合のいずれにおいても、第1実施形態の場合と同様に動作する。
次に、図19を参照しながら、変速段が1速段であるときに回転電機3で回生を実行する場合における動力伝達装置41の動作について説明する。図19に示すように、この場合には、ECU2による制御によって、第1ワンウェイクラッチ32の正転阻止動作が実行されるとともに、第2ワンウェイクラッチ42の第1OWC動作が実行される。また、ECU2による回転電機3の制御により、慣性で回転する左右の後輪WL、WRの回転動力を用いて回転電機3の回生が実行される。
図19に示すように、回生に伴って発生したモータ出力トルクTMは、サンギヤSに対してその回転数を低下させる負のトルクとして作用し、キャリヤCに作用する第1ワンウェイクラッチ32の反力トルクRC1’を反力として、ピニオンギヤP及びリングギヤRを介して、出力軸7や後輪WL、WRに負のトルク(制動トルク)として伝達される。換言すれば、後輪WL、WRから出力軸7を介してリングギヤRに伝達されたトルクが、第1ワンウェイクラッチ32の反力トルクRC1’を反力として、ピニオンギヤP及びサンギヤSを介して回転電機3に伝達される。この場合、サンギヤSがキャリヤCに対して逆転しているため、前述した第1OWC動作を実行中の第2ワンウェイクラッチ42によって、サンギヤSとキャリヤCの間が遮断される。
次に、図20を参照しながら、変速段が2速段であるときに回転電機3で回生を行う場合における動力伝達装置41の動作について説明する。図20に示すように、この場合には、ECU2による制御によって、第1ワンウェイクラッチ32の逆転阻止動作が実行されるとともに、第2ワンウェイクラッチ42の第2OWC動作が実行される。また、ECU2による回転電機3の制御により、慣性で回転する左右の後輪WL、WRの回転動力を用いて回転電機3の回生が実行される。
この場合、回生に伴って発生したモータ出力トルクTMは、サンギヤSに対してその回転数を低下させる負のトルクとして作用する。以上のように、第2ワンウェイクラッチ42の前述した第2OWC動作の実行中に、キャリヤCに対してサンギヤSを相対的に逆転させるような回転動力がサンギヤSに入力されることによって、サンギヤSとキャリヤCの間が第2ワンウェイクラッチ42で自動的に接続され、それにより、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRが一体に回転する。その結果、モータ出力トルクTMは、サンギヤS、キャリヤC及びリングギヤRを介して、出力軸7や後輪WL、WRに負のトルクとして伝達される。換言すれば、後輪WL、WRから出力軸7に伝達されたトルクが、一体に回転するリングギヤR、キャリヤC及びサンギヤSを介して、回転電機3に伝達される。
なお、図19及び図20に示す回転電機3の回生動作は、主として、車両の減速走行中に実行される。
次に、図21を参照しながら、変速段が後進段である場合における動力伝達装置41の動作について説明する。図21に示すように、この場合には、ECU2による回転電機3の制御によって、回転電機3からサンギヤSに、サンギヤSを正転させる回転動力が入力される。また、ECU2による制御によって、第1ワンウェイクラッチ32の正転阻止動作が実行されるとともに、第2ワンウェイクラッチ42の第2OWC動作が実行される。
この場合、図21と前述した図14との比較から明らかなように、キャリヤCの正転が第1ワンウェイクラッチ32により自動的に阻止され、モータ出力トルクTMは、第1ワンウェイクラッチ32の反力トルクRC1’を反力として、その回転方向が逆方向に変更された状態で出力軸7に伝達される結果、出力軸7や後輪WL、WRが逆転する。また、回転電機3の回転動力は、減速された状態で出力軸7に伝達され、サンギヤSとキャリヤCの間が、第2ワンウェイクラッチ42によって遮断される。
以上のように、第3実施形態によれば、変速段が1速段である場合、及び2速段である場合のいずれにおいても、第1ワンウェイクラッチ32が逆転阻止動作を実行するように制御されるとともに、第2ワンウェイクラッチ42が第1OWC動作を実行するように制御される。したがって、1速段と2速段の間の変速段の変更に伴って、第1及び第2ワンウェイクラッチ32、42の制御を切り換える必要がなく、第1及び第2実施形態と同様、回転電機3からサンギヤSに入力される回転動力の回転方向の変更と、前述した回転電機3の回転数制御とを行うだけで、2つの変速段の間の変速段の変更を、容易に行うことができるとともに、迅速に完了させることができる。
また、図19及び図20を参照して説明したように、慣性で回転する後輪WL、WRの回転動力を用いて、回転電機3で回生を行うことができる。さらに、図21を参照して説明したように、出力軸7や後輪WL、WRを逆転方向に回転駆動することができる。
なお、本発明は、説明した第1〜第3実施形態(以下、総称して「実施形態」という)に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、サンギヤSを回転電機3に、リングギヤRを出力軸7に、それぞれ連結しているが、これとは逆に、リングギヤRを回転電機3に、サンギヤSを出力軸7に、それぞれ連結してもよい。
また、実施形態では、第2ワンウェイクラッチ6、33、42を、本発明の第1及び第2回転要素にそれぞれ相当するサンギヤSとキャリヤCの間を接続/遮断するように構成しているが、サンギヤとリングギヤの間、又は、キャリヤとリングギヤの間を接続/遮断するように構成してもよい。さらに、実施形態では、本発明における差動装置として、シングルピニオンタイプの遊星歯車装置PSを用いているが、本発明における第1〜第3回転要素を有する他の適当な差動装置、例えば、ダブルピニオンタイプの遊星歯車装置を用いてもよい。あるいは、互いに一体の第1及び第2ピニオンギヤから成る2連ピニオンギヤと、第1及び第2ピニオンギヤにそれぞれ噛み合う第1及び第2サンギヤと、2連ピニオンギヤを回転自在に支持するキャリヤを有する差動装置などを用いてもよい。
また、実施形態では、本発明における動力源として、回転電機3を用いているが、第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる回転動力と、第2所定回転方向に回転させる回転動力とを、第1回転要素に入力可能な他の適当な動力源、例えば、油圧モータなどを用いてもよい。さらに、実施形態は、本発明による動力伝達装置1、31、41を、車両に適用した例であるが、これに限らず、船舶などにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
次に、図22〜図26を参照しながら、本発明の第4実施形態による動力伝達装置51について説明する。この動力伝達装置51は、第1実施形態と比較して、遊星歯車装置PS’の構成と、第1及び第2ワンウェイクラッチ5、6に代えて第1及び第2ブレーキ53、54をそれぞれ備える点が、主に異なっている。図22において、第1実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付している。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
図22に示すように、遊星歯車装置PS’は、回転電機3の回転軸3aに同軸状に一体に設けられたサンギヤS’と、複数の2連ピニオンギヤ52(2つのみ図示)と、2連ピニオンギヤ52を回転自在に支持する回転自在のキャリヤC’と、サンギヤS’の外周に設けられた回転自在の第1リングギヤR1と、フランジなどを介して出力軸7に同軸状に連結された第2リングギヤR2を有している。各2連ピニオンギヤ52は、第1ピニオンギヤP1と第2ピニオンギヤP2を、軸線方向に互いに間隔を存した状態で一体に連結したものであり、第1ピニオンギヤP1は、サンギヤS’及び第1リングギヤR1に噛み合っており、第2ピニオンギヤP2は、第2リングギヤR2に噛み合っている。
また、第1及び第2リングギヤR1、R2の歯数をそれぞれZR1、ZR2とし、第1及び第2ピニオンギヤP1、P2の歯数をそれぞれZP1、ZP2とすると、これらのギヤの歯数の間に、ZP1/ZR1>ZP2/ZR2が成立するように、第1及び第2リングギヤR1、R2の歯数ZR1、ZR2ならびに第1及び第2ピニオンギヤP1、P2の歯数ZP1、ZP2は、設定されている。
前記第1ブレーキ53は、第1リングギヤR1を制動するためのものであり、例えば油圧式の多板クラッチで構成されている。第1ブレーキ53のインナーは、第1リングギヤR1に、アウターはケースCAに、それぞれ一体に設けられている。また、第2ブレーキ54は、キャリヤC’を制動するためのものであり、第1ブレーキ53と同様、例えば油圧式の多板クラッチで構成されており、そのインナーがキャリヤC’に、そのアウターがケースCAに、それぞれ一体に設けられている。図23に示すように、第1及び第2ブレーキ53、54は、ECU2に電気的に接続されており、第1及び第2ブレーキ53、54の動作は、ECU2によって制御される。
以上の構成の動力伝達装置51では、遊星歯車装置PS’、第1及び第2ブレーキ53、54は、所定の1速段及び2速段から成る2つの変速段を有する変速装置として機能し、回転電機3の回転動力は、これらの1速段又は2速段の変速比で変速された状態で、出力軸7に伝達され、さらに終減速装置10などを介して、左右の後輪WL、WRに伝達される。以下、図24及び図25を参照しながら、動力伝達装置51の動作について説明する。
図24は、変速段が1速段である場合における各種の回転要素の間の回転数の関係及びトルクの釣合関係を示している。遊星歯車装置PS’における前述した各種のギヤの噛み合い関係及び歯数の関係から、図24に示すように、サンギヤS’、キャリヤC’、第2及び第1リングギヤR2、R1の回転数は、それらの回転数の関係を表す共線図において、単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係にある。また、各種の回転要素の間の前述した連結関係から明らかなように、サンギヤS’の回転数は、回転電機3のモータ回転数NMと等しく、第2リングギヤR2の回転数は、出力軸7の出力軸回転数NOと等しい。
以上から、サンギヤS’、キャリヤC’、第2リングギヤR2、第1リングギヤR1、回転電機3、出力軸7の間の回転数の関係は、例えば図24のように表される。図24において、RB1は、第1ブレーキ53の反力トルクであり、その他のパラメータについては前述したとおりである。
図24に示すように、変速段が1速段である場合には、ECU2による回転電機3の制御によって、回転電機3からサンギヤS’に、サンギヤSを正転させる回転動力が入力されるとともに、ECU2による制御によって、第1ブレーキ53による第1リングギヤR1の制動が実行されるとともに、第2ブレーキ54によるキャリヤC’の制動が解除される。この場合、サンギヤSに入力されたモータ出力トルクTMは、第1リングギヤR1に作用する第1ブレーキ53の反力トルクRB1を反力として、2連ピニオンギヤ52及び第2リングギヤR2を介して出力軸7に伝達され、さらに終減速装置10などを介して、後輪WL、WRに伝達される。その結果、出力軸7や後輪WL、WRが正転する。図24から明らかなように、回転電機3の回転動力は、減速された状態で出力軸7に伝達される。
変速段が1速段である場合におけるモータ回転数NMと出力軸回転数NOとの比は、サンギヤS’の歯数をZS’とすると、ZR1/ZS’+1:1−{(ZP2・ZR1)/(ZR2・ZP1)}である。
図25に示すように、変速段が2速段である場合には、ECU2による回転電機3の制御によって、回転電機3からサンギヤS’に、サンギヤSを逆転させる回転動力が入力されるとともに、ECU2による制御によって、第1ブレーキ53による第1リングギヤR1の制動が解除されるとともに、第2ブレーキ54によるキャリヤC’の制動が実行される。図25において、RB2は、第2ブレーキ54の反力トルクである。この場合、サンギヤSに入力されたモータ出力トルクTMは、キャリヤC’に作用する第2ブレーキ54の反力トルクRB2を反力として、2連ピニオンギヤ52及び第2リングギヤR2を介して、その回転方向が逆方向に変更された状態で出力軸7に伝達され、さらに終減速装置10などを介して、後輪WL、WRに伝達される。その結果、出力軸7や後輪WL、WRが正転する。図25から明らかなように、回転電機3の回転動力は、減速された状態で出力軸7に伝達される。
変速段が2速段である場合におけるモータ回転数NMと出力軸回転数NOとの比は、ZR1/ZS’:(ZP2・ZR1)/(ZR2・ZP1)であり、2速段の変速比は、1速段の変速比よりも小さくなる。
また、従来、この種の動力伝達装置として、例えば特開2002−104001号公報に開示されたものが知られており、この従来の動力伝達装置は、回転電機と、第1及び第2サンギヤ、2連ピニオンギヤ、キャリヤ、ならびに第1及び第2リングギヤから成る遊星歯車装置と、第1及び第2クラッチを備えている。2連ピニオンギヤの第1ピニオンギヤは、第1サンギヤ及び第1リングギヤに噛み合っており、2連ピニオンギヤの第2ピニオンギヤは、第2サンギヤ及び第2リングギヤに噛み合っている。また、回転電機の回転軸と第1サンギヤの間が、第1クラッチによって接続/遮断され、回転電機の回転軸と第2サンギヤの間が、第2クラッチによって接続/遮断される。さらに、第1リングギヤが、ケースに固定されるとともに、第2リングギヤが出力軸に連結されている。
上記の遊星歯車装置の第1サンギヤ、第2サンギヤ、キャリヤ、第2リングギヤ及び第1リングギヤの回転数は、共線図において、単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係にある。また、従来の動力伝達装置では、遊星歯車装置、第1及び第2クラッチによって変速装置が構成されており、回転電機の回転動力が、この変速装置を介して、1速段又は2速段の変速比で変速された状態で出力軸に伝達される。具体的には、変速段が1速段である場合には、回転電機と第1サンギヤの間が第1クラッチによって接続されるとともに、回転電機と第2サンギヤの間が第2クラッチによって遮断され、それにより、回転電機の回転動力は、第1サンギヤ、2連ピニオンギヤ、及び第2リングギヤを介して、出力軸に伝達される。また、変速段が2速段である場合には、回転電機と第2サンギヤの間が第2クラッチによって接続されるとともに、回転電機と第1サンギヤの間が第1クラッチによって遮断され、それにより、回転電機の回転動力は、第2サンギヤ、2連ピニオンギヤ、及び第2リングギヤを介して、出力軸に伝達される。
前述した第4実施形態の動力伝達装置51では、この従来の動力伝達装置の第2サンギヤが削除されている。
また、図26は、動力伝達装置51のサンギヤS’、キャリヤC’、第2及び第1リングギヤR2、R1を、第1要素、第2要素、第3要素及び第4要素にそれぞれ上位概念化するとともに、回転電機3及び出力軸7を、入力及び出力にそれぞれ上位概念化し、これらの要素の間の回転数の関係を示した共線図である。図26において、太い実線は変速段が1速段である場合における各種の要素の間の回転数の関係を、太い一点鎖線は変速段が2速段である場合における各種の要素の間の回転数の関係を、それぞれ示している。
これに対して、図27は、比較例における各種の回転要素の間の回転数の関係を示しており、この比較例では、第4実施形態と異なり、回転数が共線関係にある第1〜第4要素のうちの第1及び第2要素を入力及び出力にそれぞれ連結するとともに、変速段が1速段である場合に第3要素が、2速段である場合に第4要素が、それぞれ固定される。図27において、太い実線は変速段が1速段である場合における各種の要素の間の回転数の関係を、太い一点鎖線は変速段が2速段である場合における各種の要素の間の回転数の関係を、それぞれ示している。
図27に示す比較例のように、入力の回転動力を、その回転方向が出力の回転方向と同じ状態で、かつ減速した状態で出力に伝達する場合には、入力及び出力にそれぞれ連結される入力要素及び出力要素以外に、共線図において、出力要素を間にして入力要素と反対側に位置する2つの固定要素(第3要素と第4要素)が必要になる。これにより、この場合には、変速段の変速比の制約や、レイアウトの制約が発生してしまう。
これに対して、第4実施形態によれば、図26に示すように、1速段と2速段の間で、入力の回転方向を互いに逆方向に設定することによって、固定要素及び出力要素の制約がなくなり、変速段の変速比の設定の自由度及びレイアウトの自由度が高くなる。
WL 後輪(被駆動部)
WR 後輪(被駆動部)
1 動力伝達装置
3 回転電機(動力源)
PS 遊星歯車装置(差動装置)
5 第1ワンウェイクラッチ(第1切替手段)
6 第2ワンウェイクラッチ(第2切替手段)
S サンギヤ(第1回転要素)
C キャリヤ(第2回転要素)
R リングギヤ(第3回転要素)
31 動力伝達装置
32 第1ワンウェイクラッチ(第1切替手段)
33 第2ワンウェイクラッチ(第2切替手段)
41 動力伝達装置
42 第2ワンウェイクラッチ(第2切替手段)

Claims (1)

  1. 第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素を有し、前記第1〜第3回転要素の回転数が共線図において単一の直線上にこの順で並ぶ共線関係を満たすとともに、前記第2回転要素を固定した状態で前記第1及び第3回転要素を回転させたときに、前記第1回転要素の回転方向と、前記第3回転要素の回転方向とが互いに異なるように構成された差動装置を備える動力伝達装置であって、
    前記第1回転要素には、該第1回転要素を第1所定回転方向に回転させる第1回転動力と、前記第1回転要素を前記第1所定回転方向と逆方向の第2所定回転方向に回転させる第2回転動力とを、前記第1回転要素に入力可能な動力源が機械的に連結され、
    前記第3回転要素には、前記動力伝達装置によって駆動される被駆動部が機械的に連結され、
    前記第2回転要素には、
    前記動力源が前記第1回転動力を発生したときに、前記第2回転要素の前記第1所定回転方向の回転を阻止するとともに、前記動力源が前記第2回転動力を発生したときに、前記第2回転要素の前記第2所定回転方向の回転を許容する第1切替手段と、
    前記動力源が前記第2回転動力を発生したときに、前記第1回転要素の回転数が前記第2回転要素の回転数を上回ることを阻止するとともに、前記動力源が前記第2回転動力を発生しないときに、前記第1回転要素の回転数が前記第2回転要素の回転数を上回ることを許容する第2切替手段と、が機械的に接続されていることを特徴とする動力伝達装置。
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