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JP2017028027A - 固体接合型光電変換素子および固体接合型光電変換素子用p型半導体層 - Google Patents

固体接合型光電変換素子および固体接合型光電変換素子用p型半導体層 Download PDF

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JP2017028027A JP2015143348A JP2015143348A JP2017028027A JP 2017028027 A JP2017028027 A JP 2017028027A JP 2015143348 A JP2015143348 A JP 2015143348A JP 2015143348 A JP2015143348 A JP 2015143348A JP 2017028027 A JP2017028027 A JP 2017028027A
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尚洋 藤沼
Naohiro Fujinuma
尚洋 藤沼
純一郎 安西
Junichiro Anzai
純一郎 安西
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】発電性能が向上した固体接合型光電変換素子、及び固体接合型光電変換素子用P型半導体層を提供する。【解決手段】[1]基材と、第一導電層と、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層7と、P型半導体層5と、第二導電層6とが、この順で設けられた固体接合型光電変換素子10であって、前記P型半導体層に、pKaが5.99未満の複素環式化合物を含む、固体接合型光電変換素子。[2]前記複素環式化合物を構成する全ての原子間の距離が1.5nm以下である、[1]に記載の固体接合型光電変換素子。[3]前記P型半導体層が有機半導体によって形成されている、[1]又は[2]に記載の固体接合型光電変換素子。[4]pKaが5.99未満の複素環式化合物が含有された、固体接合型光電変換素子用P型半導体層。【選択図】図1

Description

本発明は、固体接合型光電変換素子および固体接合型光電変換素子用P型半導体層に関する。
有機無機ハイブリッドのペロブスカイト化合物は、色素増感太陽電池の色素に替わる増感剤として注目を集めている。このペロブスカイト化合物からなる結晶層(ペロブスカイト化合物層)の表面にビフルオレン型低分子sprio-OMeTADのP型半導体層が製膜された、電解液を有しない固体太陽電池が10.9%の光電変換効率を示したことが報告されている(非特許文献1参照)。この報告を皮切りに、更なる光電変換効率の向上が相次いで報告され(非特許文献2参照)、実用化に向けた開発が盛んである。
実用化に向けて、非特許文献1,2に記載された固体接合型光電変換素子の発電性能を更に向上させることが求められている。
本発明は、発電性能が向上した固体接合型光電変換素子、及び固体接合型光電変換素子用P型半導体層を提供する。
[1] 基材と、第一導電層と、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層と、P型半導体層と、第二導電層とが、この順で設けられた固体接合型光電変換素子であって、前記P型半導体層に、pKaが5.99未満の複素環式化合物を含む、固体接合型光電変換素子。
[2] 前記複素環式化合物を構成する全ての原子間の距離が1.5nm以下である、[1]に記載の固体接合型光電変換素子。
[3] 前記P型半導体層が有機半導体によって形成されている、[1]又は[2]に記載の固体接合型光電変換素子。
[4] pKaが5.99未満の複素環式化合物が含有された、固体接合型光電変換素子用P型半導体層。
本発明の固体接合型光電変換素子は、低い内部抵抗を示し、高い光電変換効率を示す。
本発明の固体接合型光電変換素子用P型半導体層は、固体接合型光電変換素子の発電性能の向上に寄与する。
本発明の第一実施形態の固体接合型光電変換素子の断面模式図である。
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
本明細書において、「膜」と「層」は特に明記しない限り区別しない。また、固体接合型光電変換素子を「固体太陽電池」といい、有機無機ペロブスカイト化合物を単に「ペロブスカイト化合物」ということがある。さらに、特に明記しない限り、ペロブスカイト化合物の集合(バルク)は、結晶性化合物である。
《固体接合型光電変換素子》
本発明にかかる固体接合型光電変換素子は、基材と、第一導電層と、任意で設けられるブロック層と、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層と、P型半導体層と、第二導電層とが、この順で積層された固体太陽電池である。
上記の各層の相対的な順序が維持される限り、本発明の趣旨を損なわない範囲で、何れかの層間に他の層が挿入されても構わない。例えば、光吸収層とP型半導体層の間に、任意の導電性層を挿入しても構わない。また、P型半導体層と第二導電層の間に、任意の導電性層を挿入しても構わない。固体太陽電池の内部抵抗を減らし、光電変換効率を高める観点から、光吸収層の表面にP型半導体層が形成され、P型半導体層の表面に第二導電層が形成されていることが好ましい。
本発明にかかる固体太陽電池の第一実施形態として、例えば、図1に示す積層構造を有する固体太陽電池10が挙げられる。
固体太陽電池10は、基材の表面に第一導電層が形成されてなる導電性基材1と、第一導電層の表面に積層されたブロック層2と、ブロック層2の表面に積層され、ペロブスカイト化合物を含む下地層3と、アッパー層4と、P型半導体層5と、第二導電層からなる対向電極6と、が順に積層された積層構造を有する。この積層構造において、下地層3及びアッパー層4を併せて光吸収層7と呼び、導電性基材1及びブロック層2を併せて基体8と呼び、光吸収層7及び基体8を併せて光電極9と呼ぶ。
以下、各層について順に説明する。
<導電性基材1>
基体8を構成する導電性基材1の種類は特に制限されず、例えば従来の太陽電池の光電極に使用される導電性の透明基材が挙げられる。前記透明基材としては、例えばガラス又は合成樹脂からなる基板、合成樹脂製の可撓性を有するフィルム等が挙げられる。
前記透明基材の材料が合成樹脂である場合、その合成樹脂としては、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート(PET)が、薄く、軽く、かつフレキシブルな太陽電池を製造する観点から好ましい。
前記透明基材の表面には透明導電層を構成する金属酸化物がコーティングされていることが好ましい。このコーティングにより、前記透明基材の透明性を損なうことなく、その表面に導電性を付与することができる。金属酸化物としては、公知の太陽電池の透明導電層に使用される化合物が適用可能であり、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、酸化ガリウム/酸化亜鉛(GZO)等が挙げられる。前記金属酸化物からなる透明導電層の層数は、1でもよく、2以上でもよい。
導電性基材1の厚みと材料の組み合わせは特に限定されず、例えば1mm〜10mm厚のガラス基板、0.01mm〜3mm厚の樹脂フィルム等が挙げられる。
導電性基材1の表面に設けられる透明導電層の厚みは、所望の導電性が得られる厚みであれば特に限定されず、例えば1nm〜10μm程度が挙げられる。
<ブロック層2>
ブロック層2は必須の構成ではないが、ブロック層2が導電性基材1と光吸収層7の間に配置されていることが好ましい。ブロック層2が配置されていると、導電性基材1と光吸収層7のペロブスカイト化合物とが直接に接触することが防止される。これにより、起電力の損失が防止され、光電変換効率が向上する。
ブロック層2は、上記接触を確実に防ぐために、非多孔性の緻密層であることが好ましく、N型半導体によって形成された緻密層であることがより好ましい。
ブロック層2を構成するN型半導体は、特に限定されず、例えば、ZnO、TiO、SnO、IGZO、SrTiO等の電子伝導性に優れた酸化物半導体が挙げられる。これらの中でも特にTiOが電子伝導性に優れるので好ましい。
ブロック層2を構成するN型半導体の種類は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。
ブロック層2の層数は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
ブロック層2の合計の厚みは特に限定されないが、例えば1nm〜1μm程度が挙げられる。1nm以上であると上記損失を防止する効果が充分に得られ、1μm以下であると内部抵抗を低く抑えることができる。
<光吸収層7>
光吸収層7は、導電性基材1とブロック層2からなる基体8の上に積層されている。光吸収層7は、N型半導体又は絶縁体によって形成された、ペロブスカイト化合物を含む下地層3と、下地層3の表面にペロブスカイト化合物によって形成されたアッパー層4と、が積層された積層構造を有する。ここで、アッパー層4は必須の構成ではなく、ペロブスカイト化合物を含む下地層3が単独で光吸収層7を形成していてもよい。
光吸収層7に含まれるペロブスカイト化合物は、特に限定されず、公知の太陽電池に使用されるペロブスカイト化合物が適用可能であり、結晶構造を有し、典型的な化合物半導体と同様にバンドギャップ励起による光吸収を示すものが好ましい。例えば、公知のペロブスカイト化合物であるCH3NH3PbI3は、色素増感太陽電池の増感色素と比べて、単位厚さ当たりの吸光係数(cm-1)が1桁高いことが知られている。
<下地層3>
下地層3は、基体8の上に、すなわちブロック層2の表面に積層されている。なお、ブロック層2が設けられていない場合には導電性基材1の導電面に下地層3が積層される。
下地層3の内部及び表面の少なくとも一方に、ペロブスカイト化合物が担持(支持)されている。
下地層3の材料は、N型半導体及び/又は絶縁体であることが好ましい。
下地層3は、多孔質膜であってもよく、非多孔質の緻密膜であってもよく、多孔質膜であることが好ましい。下地層3の多孔質構造によって、ペロブスカイト化合物が担持されていることが好ましい。下地層3が緻密膜である場合にも、当該緻密膜にペロブスカイト化合物が含まれることが好ましい。緻密膜は、N型半導体によって形成されていることが好ましい。
前記N型半導体の種類は特に限定されず、公知のN型半導体が適用可能であり、例えば、従来の色素増感太陽電池の光電極を構成する酸化物半導体が挙げられる。具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO, SnO2)、IGZO、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等の電子伝導性に優れた酸化物半導体が例示できる。また、5価の元素がドープされたSi、Cd、ZnSなどの化合物半導体も適用できる場合がある。これらのうち、特に酸化チタンが電子伝導性に優れるので好ましい。
下地層3を形成するN型半導体は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
前記絶縁体の種類は特に制限されず、公知の絶縁体が適用可能であり、例えば、従来の半導体デバイスの絶縁層を構成する酸化物が挙げられる。具体的には、二酸化ジルコニウム、二酸化珪素、酸化アルミニウム(AlO, Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ニッケル(NiO)等が例示できる。これらのうち、特に酸化アルミニウム(III)(Al2O3)が好ましい。
下地層3を形成する絶縁体は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
下地層3に含まれるペロブスカイト化合物の量は特に限定されず、光電変換に必要な量の光を吸収できるように適宜設定される。通常、ペロブスカイト化合物の含有量が増える程、吸収可能な光の量が増加する。
下地層3の膜構造は、より多くのペロブスカイト化合物を担持することが容易な多孔質膜であることが好ましい。下地層3に含まれるペロブスカイト化合物の量が多い程、光吸収効率が高まり、光電変換効率をより向上させることができる。
下地層3を構成する多孔質膜の平均細孔径は、1nm〜100nm以上が好ましく、5nm〜80nmがより好ましく、10nm〜50nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、細孔内にペロブスカイト化合物が充分に担持される。
上記範囲の上限値以下であると多孔質膜の強度がより高められる。
平均細孔径は、公知のガス吸着試験又は水銀圧入試験によって測定することができる。
下地層3の厚さは特に限定されず、例えば、10nm〜10μmが好ましく、50nm〜1μmがより好ましく、100nm〜0.5μmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、アッパー層4を構成するペロブスカイト化合物の結晶化に適した足場になる。さらに、下地層3における光の吸収効率が高まり、より優れた光電変換効率が得られる。
上記範囲の上限値以下であると、光吸収層7で発生した光電子が下地層3を介して基体8に到達する効率が高まり、より優れた光電変換効率が得られる。
<アッパー層4>
下地層3の表面に積層されたアッパー層4は、ペロブスカイト化合物によって形成されている。下地層3の内部にペロブスカイト化合物が担持されている場合には、アッパー層4は必須の構成ではない。アッパー層4が積層されていると、光吸収層7に含まれるペロブスカイト化合物の総量が増加し、光電変換効率がより高められる。
アッパー層4の厚みは特に限定されず、例えば、1nm〜1μmが好ましく、1nm〜500nmがより好ましく、10nm〜500nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、光電変換効率をより高めることができる。
上記範囲の上限値以下であると、アッパー層4が下地層3及びP型半導体層5に対して充分に密着し、剥離することが防止される。
<P型半導体層5>
光吸収層7の表面に形成されたP型半導体層5は、P型半導体によって構成されており、pKaが5.99未満の複素環式化合物(A)が添加剤として含有されている。
ホール(正孔)を有するP型半導体層5が光吸収層7の表面に配置されていると、逆電流の発生を抑制し、光吸収によって光吸収層7で発生した正孔を対向電極6へ容易に輸送することが可能になる。さらに、対向電極6から光吸収層7へ電子が移動する効率が高められる。この結果、光電変換効率及び電圧が高められる。さらに、複素環式化合物(A)がP型半導体層5に含有されていることにより、内部抵抗が低減するとともに光電変換効率がさらに向上する。この複素環式化合物(A)については後で詳述する。
前記P型半導体の種類は特に限定されず、有機材料であってもよく、無機材料であってもよく、例えば、公知の太陽電池の正孔輸送層のP型半導体が適用できる。前記有機材料として、例えば、2,2',7,7'-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenilamine)-9,9'-spirobifluorene(略称:spiro-OMeTAD)、Poly(3-hexylthiophene)(略称:P3HT)、polytriarylamine(略称:PTAA) などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、CuI、CuSCN、CuO、CuO等の銅化合物やNiOなどのニッケル化合物などが挙げられる。
これらの材料のうち、発電性能をより向上させる観点から、複素環式化合物(A)との親和性が高い、有機半導体が好ましい。
P型半導体層5の厚みは特に限定されず、例えば、1nm〜1000nmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましく、30nm〜500nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、光吸収層7と対向電極6の接触を確実に防止してリーク電流の発生を防ぐことができる。
上記範囲の上限値以下であると、内部抵抗をより低減することができる。
(複素環式化合物(A))
固体太陽電池10において、P型半導体層5の内部にpKaが5.99未満の複素環式化合物(A)が含まれることにより、固体太陽電池10の発電性能が向上する。ここで、t−ブチルピリジンのpKaは5.99である。t−ブチルピリジンがP型半導体層5に含有されても構わないが、複素環式化合物(A)による上記効果を充分に得る観点から、t−ブチルピリジンはP型半導体層5に含有されていない方が好ましい。
本発明者らは、色素増感太陽電池の光電変換効率を向上させる取り組みの中で、電解液にt−ブチルピリジンを含有させることを過去に検討した。この検討を発展させて、固体太陽電池のP型半導体層にt−ブチルピリジンを添加したところ、求める発電性能を得るには至らなかった。しかし、pKaを指標として、t−ブチルピリジンよりも低いpKaを有する複素環式化合物(A)をP型半導体層に添加したところ、発電性能が向上することを発見した。
上記効果が奏される詳細なメカニズムは未解明であるが、複素環式化合物(A)の塩基部分がP型半導体層における原子又は分子配列を秩序立てて、P型半導体層におけるホール輸送を促進すると考えられる。この結果、固体太陽電池の内部抵抗を低減し、光電変換効率が高まる、というメカニズムが推測される。
複素環式化合物(A)は、pKaが5.99未満であり、炭素の他に、窒素、硫黄、酸素等の炭素以外の原子(ヘテロ原子)を含む環式化合物である。
複素環式化合物(A)の環構造は、特に限定されず、単環式であってもよく、多環式であってもよく、3員環〜10員環である環構造が好ましい。
複素環式化合物(A)が含むヘテロ原子は、窒素原子であることが好ましい。
複素環式化合物(A)は、複素芳香族化合物であることが好ましく、含窒素芳香族化合物であることがより好ましく、5員環又は6員環の含窒素芳香族化合物であることがさらに好ましい。
複素環式化合物(A)のpKaは、水溶液中における化合物と化合物の共役酸との平衡定数を紫外可視分光法により定めることで求められる。測定温度は25℃とする。より詳細な方法は、「"Steric Effects in Displacement Reactions. III. The Base Strengths of Pyridine,2,6-Lutidine and the Monoalkylpyridines" HERBERT C. BROWN AND XAVIER R. MIHM, J. Am. Chem. Soc. 1955, Vol.77, pp1723-1726.」に記載された方法に準ずる。
前述したt−ブチルピリジンのpKa=5.99も上記方法で求められた値である。
なお、本明細書で示すpKaは、いずれも「pKa1」である。
複素環式化合物(A)のpKaは、5.99未満であり、0.00以上5.90以下が好ましく、1.00以上5.00以下がより好ましく、1.50以上4.00以下がさらに好ましい。上記範囲であると、発電性能をより向上させることができる。
複素環式化合物(A)の分子直径は、1.5nm以下であることが好ましい。このサイズの分子であると、P型半導体層中に均一に分散し、発電性能をより向上させることができる。ここで、複素環式化合物(A)を構成する全ての原子間の距離が1.5nm以下であれば、当該複素環式化合物(A)の分子直径が1.5nm以下であるといえる。
前記原子間の距離は、当該複素環式化合物(A)のX線結晶構造解析による原子座標に基づいて、各原子の中心同士の距離を算出することによって正確に求められる。ただし、簡易的には、分子モデル解析ソフトウェアを使用して、前記距離又は分子直径の見当をつけることができる。例えば、商品名:MOPAC7(published by James J. P. Stewart)等の市販ソフトウェアが適用できる。
好適な複素環式化合物(A)として、例えば、以下が例示できる。
(以下、・化合物名:pKa:分子直径、の順に記載する。)
・3,5−ジメチルピラゾール:pKa=4.05:分子直径=1.5nm以下
・2,5−ジメチルピラジン:pKa=2.1:分子直径=1.5nm以下
・1,2,4−トリアゾール、pKa=2.39、分子直径=1.5nm以下
・ピラゾール、pKa=2.58、分子直径=1.5nm以下
・2,6−ジメチルピラジン、pKa=2.5、分子直径=1.5nm以下
・ピラジン、pKa=0.6、分子直径=1.5nm以下
P型半導体層5における複素環式化合物(A)の含有量は、成膜に使用する混合溶液の重量比がそのまま膜中に転写されると推測して、P型半導体100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、8〜30質量部がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、ホール輸送を促進し、発電性能をより向上させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、ホールの密度(キャリア密度)の低下を防止し、発電性能をより向上させることができる。
P型半導体層がモル数で規定できる有機半導体(有機化合物からなる半導体)によって形成されている場合、有機半導体/複素環式化合物(A)で表されるモル比は、1/10〜10/1が好ましく、1/5〜10/1がより好ましく、1/5〜10/3がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、ホール輸送を促進し、発電性能をより向上させることができる。
上記範囲の上限値以下であると、ホールの密度(キャリア密度)の低下を防止し、発電性能をより向上させることができる。
<対向電極6>
P型半導体層5の表面に積層された第二導電層は、対向電極6を構成する。
第二導電層の材料は特に限定されず、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、ニッケル及びクロムからなる群から選択される何れか1種以上の金属が好適である。
第二導電層からなる対向電極6の厚みは特に限定されず、例えば、10nm〜100nmが好ましい。
《固体太陽電池10の発電》
固体太陽電池10において、光吸収層7にペロブスカイト化合物が含まれている。ペロブスカイト化合物の結晶が光を吸収すると、結晶内で光電子及び正孔が発生する。光電子は下地層3又はブロック層2に受容され、導電性基材1が構成する作用極(正極)に移動する。正孔はP型半導体層5を介して第二導電層が構成する対極(負極)に移動する。
固体太陽電池10によって発電された電流は、正極及び負極に接続された引出電極を介して外部回路へ取り出される。
《固体太陽電池の製造方法》
本発明にかかる固体太陽電池の製造方法の第一実施形態は、ペロブスカイト化合物を含む光吸収層7の上に、P型半導体と、pKaが5.99未満の複素環式化合物(A)とを含む溶液を塗布し、乾燥することにより、P型半導体及び複素環式化合物(A)を含むP型半導体層5を形成する工程を有する、図1に例示した固体太陽電池10の製造方法である。
以下、各層の形成方法を順に説明する。
<導電性基材1の準備>
導電性基材1は常法により作製可能であり、市販品を使用してもよい。
<ブロック層2の形成>
ブロック層2の形成方法は特に限定されず、導電性基材1の透明導電層の表面に所望の厚みでN型半導体からなる緻密層を形成可能な公知方法が適用できる。例えば、スパッタ法、蒸着法、N型半導体の前駆体を含む分散液を塗布するゾルゲル法等が挙げられる。
N型半導体の前駆体としては、例えば、四塩化チタン(TiCl)、ペルオキソチタン酸(PTA)や、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド(TTIP)等のチタンアルコキシド、亜鉛アルコキシド、アルコキシシラン、ジルコニウムアルコキシド等の金属アルコキシドが挙げられる。
<下地層3の形成>
下地層3を形成する方法は、特に限定されず、例えば、従来の色素増感太陽電池の増感色素を担持する半導体層の形成方法が適用できる。
具体例として、例えば、N型半導体又は絶縁体からなる微粒子及びバインダーを含むペーストをドクターブレード法で基体8の表面に塗布し、乾燥し、焼成することによって、微粒子からなる多孔質の下地層3を形成できる。また、微粒子を基体8に吹き付けることによって、当該微粒子からなる多孔質又は非多孔質の下地層3を製膜することができる。
前記微粒子の吹き付け方法は、特に限定されず、公知方法が適用可能であり、例えば、エアロゾルデポジション法(AD法)、静電力により微粒子を加速する静電微粒子コーティング法(静電スプレー法)、コールドスプレー法等が挙げられる。これらの方法のうち、吹き付ける微粒子の速度の調整が容易であり、形成する下地層3の膜質や厚さの調整が容易であることから、AD法が好ましい。
AD法は、窒素等の搬送ガスによって微粒子を亜音速〜超音速程度まで加速して基材に吹き付け、基材表面に微粒子からなる膜を製膜する方法である。基材表面に接合した微粒子に対して、続けて吹き付けられた微粒子が衝突することによって、微粒子同士が接合した膜が形成される。微粒子同士の衝突においては、微粒子が溶融するような温度上昇は発生し難い。また、形成された多孔質膜は、太陽電池の電極として充分な強度及び電子伝導性を有するので、成膜後の焼成工程を必須としない。ただし、必要に応じて焼成(焼結)を行ってもよい。
AD法は常温で下地層3を形成できるので、200℃未満のガラス転移温度を有する合成樹脂製のフィルム等を基材として適用できる。したがって、高温の焼成プロセスを要する方法に比べて多種類の基材を使用できるので、広範な目的及び用途に応じた、種々の形態の固体太陽電池を製造することが可能である。
吹き付ける微粒子の速度を適宜調整することによって、製膜レートと膜の多孔度を調整することができる。通常、高速で吹き付けるほど、製膜レートは増加し、膜の多孔度が低下する傾向にある。従って、下地層3を形成する際に、微粒子の吹き付け速度を調整することにより、多孔質膜又は緻密膜の何れかの膜構造を任意に選択して、下地層3を形成することができる。
下地層3の形成材料として、1種以上のN型半導体微粒子と、1種以上の絶縁体微粒子とを併用してもよい。
前記微粒子の平均粒径rは、1nm≦r<200nmが好ましく、10nm≦r≦70nmがより好ましく、10nm≦r≦30nmがさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上において大きい程、ペロブスカイト化合物を下地層3の多孔質構造を構成する細孔内に充分に挿入することが容易である。上記範囲の上限値以下において小さい程、ペロブスカイト化合物とN型半導体微粒子との界面が増加し、光電子の取り出しが容易になるとともに、下地層3とP型半導体層5が接触して起電力の損失を防止できる。
前記微粒子の平均粒径rは、複数の微粒子を電子顕微鏡で観察して測定した粒子径の平均値として求めることができる。この場合、測定する微粒子の個数は多いほど好ましく、例えば10〜50個を測定して、その算術平均を求めればよい。或いは、レーザー回折式粒度分布測定装置の測定により得られた粒子径(体積平均径)分布のピーク値として決定することもできる。同じ微粒子の測定試料を上記2種類の方法によって測定し、その測定値が互いに異なった場合、電子顕微鏡で観察して得られた値に基づいて上記平均粒径の範囲に含まれるか否かを判定する。
下地層3の内部にペロブスカイト化合物を含有させる方法は、特に限定されず、例えば、形成した下地層3にペロブスカイト化合物又はその前駆体を含む溶液を含浸させる方法、予めペロブスカイト化合物が付着した材料を使用して下地層3を形成する方法、等が挙げられる。上記2つの方法を併用してもよい。
AD法等の吹き付け法で下地層3を形成する場合、ペロブスカイト化合物が付着した、N型半導体又は絶縁体の微粒子を基体8の表面に吹き付けることにより、ペロブスカイト化合物を内部に含んだ下地層3を形成することができる。
前記微粒子にペロブスカイト化合物を付着させる方法としては、ペロブスカイト化合物又はペロブスカイト化合物の前駆体を溶解した原料溶液に、前記微粒子を浸漬し、さらに溶媒を乾燥することによって、結晶化したペロブスカイト化合物が付着した原料粒子を得る方法が挙げられる。
<光吸収層7の形成>
下地層3を形成する際に、予めペロブスカイト化合物が付着した材料を使用すると、ペロブスカイト化合物が含まれた下地層3からなる光吸収層7が得られる。この下地層3の内部又は表面に、ペロブスカイト化合物をさらに挿入又は積層することにより、より多くのペロブスカイト化合物が含まれた光吸収層7が得られる。
一方、ペロブスカイト化合物を含まない下地層3を形成した場合、この下地層3の内部及び表面にペロブスカイト化合物を挿入又は積層することにより、充分な量のペロブスカイト化合物が含まれた光吸収層7が得られる。
下地層3の内部にペロブスカイト化合物を挿入するとともに、下地層3の表面にペロブスカイト化合物からなるアッパー層4を形成する方法は、特に限定されず、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、ペロブスカイト化合物又はペロブスカイト化合物の前駆体を溶解した原料溶液を下地層3の表面に塗布し、内部に含浸させるとともに、表面に所望の厚みの溶液からなる溶液層がある状態で、溶媒を乾燥する方法である。
下地層3に塗布した前記原料溶液の少なくとも一部は下地層3の多孔質膜内に浸透し、溶媒の乾燥とともに結晶化が進行し、多孔質膜内にペロブスカイト化合物が付着及び堆積する。また、充分量の前記原料溶液を塗布することにより、多孔質膜内に浸透しなかった前記原料溶液は、溶媒の乾燥とともに下地層3の表面にペロブスカイト化合物からなるアッパー層4を形成する。アッパー層4を構成するペロブスカイト化合物と下地層3内部のペロブスカイト化合物は、一体的に形成されており、光吸収層7を一体的に構成する。
前記前駆体からペロブスカイト化合物を生成する反応は、常温で起き得るが、この反応を促進するために加熱してもよい。また、光電変換効率を高める観点から、ペロブスカイト化合物を40〜150℃程度でアニーリングしてもよい。さらに、必要に応じて150℃を超える温度で加熱又は焼結しても構わない。
本実施形態で使用するペロブスカイト化合物は、光吸収により起電力を発生させ得るものであれば特に限定されず、公知のペロブスカイト化合物が適用可能である。なかでも、ペロブスカイト型の結晶を形成可能であり、単一の化合物内に有機成分及び無機成分を有する下記組成式(1):
ABX ・・・(1)
で表されるペロブスカイト化合物が好ましい。
組成式(1)において、Aは有機カチオンを表し、Bは金属カチオンを表し、Xはハロゲンイオンを表す。ペロブスカイト結晶構造において、Bサイトは、Xサイトに対して八面体配位をとり得る。Bサイトの金属カチオンと、Xサイトのハロゲンイオンの原子軌道とが混成し、光電変換に関わる価電子帯と伝導帯が形成される、と考えられる。
組成式(1)のBで表される金属カチオンを構成する金属は特に限定されず、例えばCu、Ni、Mn、Fe、Co、Pd、Ge、Sn、Pb、Euが挙げられる。なかでも、Xサイトのハロゲンイオンの原子軌道との混成により伝導性の高いバンドを容易に形成することが可能な、Pb及びSnが好ましい。
Bサイトを構成する金属カチオンは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
組成式(1)のXで表されるハロゲンイオンを構成するハロゲンは特に限定されず、例えばF、Cl、Br、Iが挙げられる。なかでも、Bサイトの金属カチオンとの混成軌道により伝導性の高いバンドを容易に形成することが可能な、Cl、Br及びIが好ましい。
Xサイトを構成するハロゲンイオンは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
組成式(1)のAで表される有機カチオンを構成する有機基は特に限定されず、例えばアルキルアンモニウム誘導体、ホルムアミジニウム誘導体が挙げられる。
Aサイトを構成する有機カチオンは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記アルキルアンモニウム誘導体がなす有機カチオンとして、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、tert-ブチルアンモニウム、ペンチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、フェニルアンモニウム等の、炭素数1〜6のアルキル基を有する1級又は2級のアンモニウムが挙げられる。なかでも、ペロブスカイト結晶が容易に得られる、メチルアンモニウムが好ましい。
前記ホルムアミジニウム誘導体がなす有機カチオンとして、例えば、ホルムアミジニウム、メチルホルムアミジニウム、ジメチルホルムアミジニウム、トリメチルホルムアミジニウム、テトラメチルホルムアミジニウムが挙げられる。なかでも、ペロブスカイト結晶が容易に得られる、ホルムアミジニウムが好ましい。
組成式(1)で表される好適なペロブスカイト化合物として、例えば、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbI3-hClh(hは0〜3を表す。)、CH3NH3PbI3-jBrj(jは0〜3を表す。)等の下記組成式(2):
RNH3PbX3 ・・・(2)
で表されるアルキルアミノ鉛ハロゲン化物が挙げられる。組成式(2)において、Rはアルキル基を表し、Xはハロゲンイオンを表す。この組成式を有するペロブスカイト化合物は、その吸収波長域が広く、太陽光の広い波長範囲を吸収できるので、優れた光電変換効率が得られる。
組成式(2)のRで表されるアルキル基は、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状の飽和又は不飽和アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖状飽和アルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基又はn−プロピル基であることがさらに好ましい。これらの好適なアルキル基であると、ペロブスカイト結晶が容易に得られる。
光吸収層7の形成において、前記原料溶液に含まれる前記前駆体としては、例えば、前述したBサイトの金属イオン及びXサイトのハロゲンイオンが含有されたハロゲン化物(BX)、前述したAサイトの有機カチオン及びXサイトのハロゲンイオンが含有されたハロゲン化物(AX)、が挙げられる。
ハロゲン化物(AX)及びハロゲン化物(BX)が含まれた単一の原料溶液を下地層3に塗布してもよいし、各ハロゲン化物が個別に含まれた2つの原料溶液を順に下地層3に塗布してもよい。
前記原料溶液の溶媒は、原料を溶解し、下地層3を損なわない溶媒であれば特に限定されず、例えば、エステル、ケトン、エーテル、アルコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、カーボネート、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、スルホン、スルホキシド、ホルムアミド等の化合物が挙げられる。
一例として、ハロゲン化アルキルアミンとハロゲン化鉛を、γ-ブチロラクトン(GBL)及びジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒に溶かし、その溶液を下地層3に塗布して乾かすことによって、前記組成式(2)で表されるペロブスカイト化合物からなるペロブスカイト結晶が得られる。さらに、非特許文献2に記載されているように、ペロブスカイト結晶の上に、当該結晶を溶解せず、GBLやDMSOと混和する溶媒、例えばトルエン、クロロホルムなどを塗布した後、100℃程度でアニーリングする処理を加えてもよい。この追加処理によって、結晶の安定性が向上し、光電変換効率が高まる場合がある。
前記原料溶液中の原料の濃度は特に限定されず、充分に溶解され、多孔質膜内に当該原料溶液が浸透可能な程度の粘度を呈する濃度であることが好ましい。
下地層3に塗布する前記原料溶液の塗布量は特に限定されず、例えば、多孔質膜内の全体又は少なくとも一部に浸透するとともに、多孔質膜の表面に厚さ1nm〜1μm程度のアッパー層4が形成される程度の塗布量が好ましい。
下地層3に対する前記原料溶液の塗布方法は特に限定されず、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法、ダイコート法等の公知方法を適用できる。
下地層3に対する前記原料溶液の塗布は、1回で終えてもよいし、乾燥後に2回目以降の塗布を繰り返してもよい。2回目以降の塗布量は、1回目の塗布量と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
下地層3に塗布した前記原料溶液を乾燥する方法は特に限定されず、自然乾燥、減圧乾燥、温風乾燥等の公知方法を適用できる。
下地層3に塗布した前記原料溶液の乾燥温度は、ペロブスカイト化合物の結晶化が充分に進行する温度であればよく、例えば40〜150℃の範囲が挙げられる。
<P型半導体層5の形成>
P型半導体層5の形成方法は特に限定されず、例えば、光吸収層7を構成するペロブスカイト化合物を溶解しにくい溶媒に、P型半導体及び複素環式化合物(A)を溶解又は分散した溶液を調製し、この溶液を光吸収層7の表面に塗布し、乾かすことにより、P型半導体層5を得る方法が挙げられる。
前記溶液中のP型半導体及び複素環式化合物(A)の濃度は特に限定されず、形成するP型半導体層5におけるP型半導体と複素環式化合物(A)の含有比などに応じて適宜調整すればよい。
前記溶液を光吸収層7に塗布する量は特に限定されず、形成するP型半導体層5の厚みに応じて、塗布量を適宜調整すればよい。
前記溶液を光吸収層7に塗布する方法、及び乾燥する方法は特に限定されず、例えば、下地層3にペロブスカイト化合物の原料溶液を塗布して乾燥する方法と同様の方法が挙げられる。
<対向電極6の形成>
P型半導体層5の表面に、第二導電層からなる対向電極6を形成する方法は特に限定されず、例えば、従来の太陽電池の対向電極を形成する、スパッタ法、蒸着法等の公知の製膜方法が適用できる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[実施例1]
ガラス基板の表面にフッ素ドープされたSnO2からなるFTO膜が成膜された導電性ガラス基板を使用した。チタンジイソプロポキシドビス(アセチルアセトナート)をイソプロパノールに溶解した溶液(シグマ-アルドリッチ社製)を公知の噴霧熱分解法によりFTO膜の表面に吹き付けて、チタニアからなる厚さ30nmのブロック層を形成した。
0.9M濃度のヨウ化鉛(PbI2)及び0.4M濃度のヨウ化メチルアンモニウム(CH3NH3I)を含むN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の原料溶液を調製した。この原料溶液中に、平均粒径が約15nmのアナターゼ型TiO粒子(日本エアロジル社製;商品名:P15)を浸漬し、15分穏やかに撹拌した後、取り出して乾かすことにより、組成式(CH3NH3PbI3)で表されるペロブスカイト化合物からなる有機無機ハイブリッドのペロブスカイト結晶が、表面に付着した原料微粒子を得た。
エアロゾルデポジション法(AD法)によって、上記の原料微粒子をブロック層の表面に吹き付けて、ペロブスカイト結晶が表面に付着したチタニア微粒子からなる厚さ300nmの多孔質の光吸収層を1分で形成した。
有機半導体としての6.9wt%(100質量部)のspiro-OMeTAD及び添加剤としての0.71wt%(10.2質量部)の3,5−ジメチルピラゾール(3,5-DMPzo)が含まれた、クロロベンゼン溶液をスピンコート法により、上記の光吸収層の表面に塗布し、spiro-OMeTAD及び3,5-DMPzoからなる厚さ200nmのP型半導体層を形成した。
公知の蒸着法により、P型半導体層の表面に金(Au)からなる厚さ50nmの対向電極を成膜した。
上記方法によって、導電性基板1/ブロック層2/下地層3からなる光吸収層7/P型半導体層5/対向電極6、が順に積層した図1に示す構造(ただしアッパー層4を除く。)を備えた、固体太陽電池10を得た。
[実施例2〜9、比較例1〜4]
添加剤の種類、濃度及びP型半導体の種類を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様に固体太陽電池を製造した。
Figure 2017028027
表に記載した添加剤の化合物名と構造式は、以下の通りである。
3,5-DMPzo:3,5−ジメチルピラゾール
2,5-DMPzi:2,5−ジメチルピラジン
tBP:t−ブチルピリジン
1,2,4-Taz:1,2,4−トリアゾール
Figure 2017028027
作製した太陽電池の電流-電圧特性を評価するために、ソーラーシュミレーター(AM1.5)を使用して、内部抵抗、光電変換効率を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2017028027
以上の結果から、pKaが5.99未満の添加剤を含むP型半導体層を備えた実施例の太陽電池は、tBP(pKa=5.99)を添加した比較例と比べて、いずれも内部抵抗が低減し、光電変換効率が向上したことが明らかである。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
1…導電性基材、2…ブロック層、3…下地層、4…アッパー層、5…P型半導体層、6…対向電極(第二導電層)、7…光吸収層、8…基体、9…光電極、10…固体接合型光電変換素子(固体太陽電池)

Claims (4)

  1. 基材と、第一導電層と、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光吸収層と、P型半導体層と、第二導電層とが、この順で設けられた固体接合型光電変換素子であって、
    前記P型半導体層に、pKaが5.99未満の複素環式化合物を含む、固体接合型光電変換素子。
  2. 前記複素環式化合物を構成する全ての原子間の距離が1.5nm以下である、請求項1に記載の固体接合型光電変換素子。
  3. 前記P型半導体層が有機半導体によって形成されている、請求項1又は2に記載の固体接合型光電変換素子。
  4. pKaが5.99未満の複素環式化合物が含有された、固体接合型光電変換素子用P型半導体層。
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