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JP2017048163A - 乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ヘパリン類似物質を含んでいながらも、優れた乳化安定性を備える乳化組成物を提供することである。【解決手段】(A)ヘパリン類似物質と共に、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及び/又はそれらの塩を配合して乳化組成物にすることによって、優れた乳化安定性を備え得る。【選択図】なし

Description

本発明は、ヘパリン類似物質を含有する乳化組成物に関する。より詳細には、本発明は、ヘパリン類似物質を含んでいながらも、優れた乳化安定性を備える乳化組成物に関する。
乳化組成物は、水性成分と油性成分を含有させることができるので、外用剤の分野において広く使用されている。外用剤として使用される乳化組成物には、クリーム剤やローション剤等があるが、水中油型の乳化系ローション剤(乳液)は特に使用感が良好であり、消費者に広く受け入れられている。
乳化組成物では、極性が異なる水性成分と油性成分を含むため、配合する成分の種類によっては、乳化状態を安定に維持できないことがある。特に、水中油型の乳化系ローション剤は、クリーム剤のように水相が固化した状態にならず、高い流動性を備えているため、乳化状態を安定に維持させることがとりわけ困難な製剤形態である。従来、水中油型の乳化系ローション剤の乳化安定性を向上させる製剤技術として、カルボキシビニルポリマーやヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性高分子によって水相の粘度を高める手法が一般的に知られている。
一方、ヘパリン類似物質は、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖であり、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等が知られており、しかも副作用が少ないことから、外用組成物の有効成分として用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ヘパリン類似物質には、乳化組成物の乳化安定性を損ない易いという特質が知られている。また、ヘパリン類似物質には、水溶性高分子の増粘効果を阻害する作用があるため、水溶性高分子の配合による従来の乳化系ローション剤の製剤技術でも、優れた乳化安定性を備えさせることができないという欠点がある。
従来、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物の製剤化技術について検討されている。例えば、特許文献2には、還元ラノリンを配合することによって、ヘパリン類似物質を含む水中油型乳化性ローション剤に優れた乳化安定性を備えさせ得ることが報告されている。しかしながら、特許文献2の製剤技術では、還元ラノリンの配合という制約があり、近年の多様化する外用剤の処方に対応できないケースがある。このような従来技術を背景として、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物において、優れた乳化安定性を備えさせる新たな製剤化技術の開発が望まれている。
特公昭62−4362号公報 特開平11−180821号公報
本発明の目的は、ヘパリン類似物質を含んでいながらも、優れた乳化安定性を備える乳化組成物を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、(A)ヘパリン類似物質と共に、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及び/又はそれらの塩を配合して乳化組成物にすることによって、優れた乳化安定性を備え得ることを見出した。また、前記組成の乳化組成物は、水中油型乳化性ローション剤として調製しても、優れた乳化安定性を備え得ることをも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)ヘパリン類似物質、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、乳化組成物。
項2. 前記(A)成分の含有量が0.1〜0.5重量%である、項1に記載の乳化組成物。
項3. 前記(C)成分の含有量が0.1〜2重量%である、項1又は2に記載の乳化組成物。
項4. 前記(B)成分1重量部当たり、前記(C)成分が1〜10重量部の比率で含まれる、項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
項5. 前記(B)成分が水素添加レシチンである、項1〜4のいずれかに記載の乳化組成物。
項6. 前記(C)成分が、グリチルリチン酸二カリウムである、項1〜5のいずれかに記載の乳化組成物。
項7. 水中油型の乳化系ローション剤である、項1〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
項8. 乳化組成物中に、(A)ヘパリン類似物質と共に、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物の乳化安定化方法。
本発明によれば、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物に優れた乳化安定性を備えさせることができるので、ヘパリン類似物質を様々な乳化系外用剤として提供することが可能になる。特に、本発明によれば、従来技術では、乳化安定性を備えさせることが困難な製剤形態として知られている水中油型乳化性ローション剤(乳液)、特に水中油型乳化性マイクロエマルジョン製剤であっても、ヘパリン類似物質を含有させつつ、乳化状態を安定に維持させることができるので、優れた使用感を有する水中油型乳化性ローション剤にヘパリン類似物質による有用機能を付加させることも可能になる。
1.乳化組成物
本発明の乳化組成物は、ヘパリン類似物質(単に(A)成分と表記することもある)、リン酸系界面活性剤(単に(B)成分と表記することもある)、並びにグリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種(単に(C)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の乳化組成物について、詳述する。
(A)ヘパリン類似物質
本発明の乳化組成物は、有効成分としてヘパリン類似物質を含む。ヘパリン類似物質は、水溶性であり、本発明の乳化組成物における水相中に含まれる。ヘパリン類似物質とは、コンドロイチン多硫酸等の多硫酸化ムコ多糖であり、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
本発明で使用されるヘパリン類似物質の由来については、特に制限されないが、例えば、ムコ多糖類を多硫酸化することにより得られたもの、食用獣の組織(例えば、ウシやブタ等の気管軟骨を含む肺臓)から抽出したもの等が挙げられる。本発明の乳化組成物では、ヘパリン類似物質として、日本薬局方外医薬品規格に収戴されているヘパリン類似物質が好適に使用される。
本発明の乳化組成物における(A)成分の含有量については、付与すべき保湿作用の程度等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜0.8重量%が挙げられる。特に、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、本発明の乳化組成物における(A)成分の含有量として、好ましくは0.1〜0.5重量%、更に好ましくは0.1〜0.3重量%が挙げられる。
(B)リン酸系界面活性剤
本発明の乳化組成物は、リン酸系界面活性剤を含有する。リン酸系界面活性剤は、後述する(C)成分との相互作用によって、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物において、乳化状態を安定に維持させ、優れた乳化安定性を備えさせる役割を果たす。
リン酸系界面活性剤とは、リン酸残基を含む界面活性剤である。本発明で使用されるリン酸系界面活性剤の種類については、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、レシチン、水素添加レシチン、リゾレシチン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、アルキルリン酸エステル及びその塩等が挙げられる。
レシチンとは、脂肪酸鎖として不飽和脂肪酸鎖を含むリン脂質の一種である。レシチンは、不飽和二重結合を多く含んでおり、ヨウ素価は通常20以上である。本発明で使用される天然レシチンのヨウ素価については、特に制限されないが、例えば20〜120、好ましくは25〜100、更に好ましくは30〜95が挙げられる。
レシチンに含まれるリン脂質の種類については、特に制限されず、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸等が挙げられる。本発明で使用されるレシチンは、これらのリン脂質の内の1種単独で構成されていてもよく、また2種以上の組み合わせによって構成されていてもよい。本発明で使用されるレシチンとして、ホスファチジルコリン含量が、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である天然レシチンが挙げられる。ホスファチジルコリン含量の上限としては、特に制限されないが、95重量%以下が挙げられる。
本発明で使用されるレシチンの由来については、特に制限されず、動物由来又は植物由来のいずれであってもよい。動物由来のレシチンとしては、具体的には、卵黄レシチン、魚介類由来のレシチン等が挙げられる。また、植物由来のレシチンとしては、具体的には、大豆レシチン、ゴマレシチン、とうもろこしレシチン、アマニレシチン、オリーブレシチン、米レシチン、なたねレシチン、ひまわりレシチン、サフラワーレシチン、綿実レシチン、キリレシチン、グレープレシチン、アボガドレシチン、ヤシレシチン、パームレシチン等が挙げられる。これらのレシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
レシチンは商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手可能なレシチンを使用することができる。商業的に入手可能なレシチンとしては、例えば、大豆レシチンとして、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−20(SPC))、Lipoid社(商品名:LIPOID P100)等が挙げられ、卵黄レシチンとして、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−50(EPC))、Lipoid社(商品名:LIPOID E PC S)、キユーピー株式会社(商品名:卵黄レシチンPL−30S)等が挙げられる。
水素添加レシチンとは、レシチンに対して水素添加処理することにより、不飽和二重結合の少なくとも一部が飽和結合に変換されたレシチンである。水素添加レシチンは、不飽和二重結合が減じられており、ヨウ素価は通常10以下である。本発明で使用される水素添加レシチンのヨウ素価については、特に制限されないが、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下が挙げられる。
水素添加レシチンに含まれるリン脂質の種類については、特に制限されず、前記レシチンで例示したリン脂質が水素添加されたものであればよい。また、本発明で使用される水素添加レシチンは、1種のリン脂質で構成されていてもよく、また2種以上のリン脂質組み合わせによって構成されていてもよい。本発明で使用される水素添加レシチンとして、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、ホスファチジルコリン含量が、10重量%以上、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以である水素添加レシチンが挙げられる。ホスファチジルコリン含量の上限としては、特に制限されないが、99重量%以下が挙げられる。
本発明で使用される水素添加レシチンの由来については、特に制限されず、前記天然レシチンで例示した動物又は植物由来のレシチンが水素添加されたものであればよい。本発明のリポソームにおいて、水素添加レシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明において、水素添加レシチンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用される水素添加レシチンとして、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、好ましくは、水素添加大豆リン脂質(水素添加大豆レシチン)が挙げられる。
水素添加レシチンは商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手可能な天然レシチンを使用することができる。商業的に入手可能な水素添加レシチンとしては、例えば、水素添加大豆リン脂質として、日光ケミカルズ株式会社(NIKKOL レシノール S−10、NIKKOL レシノール S−10E、NIKKOL レシノール S−10EX)、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−21)等が挙げられ、水素添加卵黄レシチンとして、キユーピー株式会社(商品名:卵黄レシチンPL−100P)、日油株式会社(商品名:COATSOME NC−11)等が挙げられる。
リゾレシチンとは、レシチンのアシル基の1つが加水分解されて水酸基となっている化合物である。リゾレシチンの由来となるレシチンについては、特に制限されないが、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトールアミン、カルジオリピン、及びこれらの混合物等が挙げられる。本発明で使用されるリゾレシチンとして、好ましくは、大豆レシチン由来のリゾレシチン、又は大豆由来のリゾレシチンと他のリゾレシチンとの混合物が挙げられる。なお、本発明で使用されるリゾレシチンには、未分解のレシチンを含んでいてもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルとは、脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物とリン酸とのエステルである。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを構成するオキシアルキレンの炭素数については、特に制限されず、例えば2〜4程度であればよいが、好ましくは2又は3(即ち、オキシエチレン又はオキシプロピレン)、更に好ましくは2(即ち、オキシエチレン)が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを構成するオキシアルキレンの付加モル数については、特に制限されないが、例えば、2〜30、好ましくは2〜20が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを構成するアルキル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば、2〜30、好ましくは2〜20が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルにおいて、リン酸残基に結合しているポリオキシアルキレンアルキルエーテルの数については、特に制限されないが、通常1又は2(即ち、モノ(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)リン酸エステル又はジ(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)リン酸エステル)、好ましくは1(即ち、モノ(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)リン酸エステル)が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルとして、より具体的には、モノポリオキシエチレン(付加モル数4〜10)アルキル(炭素数12〜15)エーテルリン酸エステル、モノポリオキシエチレン(付加モル数10)ラウリルエーテルリン酸エステル、モノポリオキシエチレン(付加モル数8)オレイルエーテルリン酸エステル、モノポリオキシエチレン(付加モル数5)セチルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
これらのポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルの塩としては、前述するポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルの薬学的又は香粧学的に許容される塩であればよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩については、商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手可能な天然レシチンを使用することができる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルとして、日光ケミカルズ株式会社(NIKKOL DOP−8NV、NIKKOL TCP−5、NIKKOL DDP−8、NIKKOL TDP−8)等が挙げられる。
アルキルリン酸エステルとは、脂肪族アルコールとリン酸とのエステルである。
アルキルリン酸エステルを構成するアルキル基の炭素数については、特に制限されないが、例えば、2〜30、好ましくは2〜20が挙げられる。
また、アルキルリン酸エステルにおいて、リン酸残基に結合しているアルキルの数については、特に制限されないが、通常1〜3(即ち、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル、又はトリアルキルリン酸エステル)、好ましくは3(即ち、トリアルキルリン酸エステル)が挙げられる。
アルキルリン酸エステルとして、より具体的には、モノステアリルリン酸エステル、モノオレイルリン酸エステル等のモノアルキルリン酸エステル;ジステアリルリン酸エステル、ジオレイルリン酸エステル等のジアルキルリン酸エステル;トリステアリルリン酸エステル、トリオレイルリン酸エステル等のトリアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
これらのアルキルリン酸エステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、アルキルリン酸エステルの塩としては、前述するアルキルリン酸エステルの薬学的又は香粧学的に許容される塩であればよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
アルキルリン酸エステル及びその塩については、商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手可能な天然レシチンを使用することができる。商業的に入手可能なものとしては、例えば、トリアルキルリン酸エステルとして、日光ケミカルズ株式会社(NIKKOL TOP−0V)等が挙げられる。
これらのリン酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのリン酸系界面活性剤の中でも、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、好ましくは水素添加レシチン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、アルキルリン酸エステル及びその塩;更に好ましくは水素添加レシチン、モノ(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)リン酸エステル及びその塩、トリアルキルリン酸エステル及びその塩;より好ましくは水素添加レシチン;特に好ましくは水素添加大豆リン脂質(水素添加大豆レシチン)が挙げられる。
本発明の乳化組成物における(B)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.02〜1.0重量%が挙げられる。特に、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、本発明の乳化組成物における(B)成分の含有量として、好ましくは0.05〜0.8重量%、更に好ましくは0.1〜0.5重量%が挙げられる。
また、本発明の乳化組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、(A)成分及び(B)成分の含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分1重量部当たり、(B)成分が1〜7重量部が挙げられる。特に、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、(A)成分に対する(B)成分の比率として、(A)成分1重量部当たり、(B)成分が、好ましくは1〜5重量部、更に好ましくは1〜3重量部が挙げられる。
(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及び/又はそれらの塩
本発明の乳化組成物は、(C)成分として、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及び/又はそれらの塩を含有する。本発明の乳化組成物において、(C)成分は、(B)成分との相互作用により、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物において優れた乳化安定性を備えさせる役割を果たす。
グリチルリチン酸は、抗炎症作用や抗アレルギー作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
グリチルリチン酸の誘導体としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、具体的には、グリチルリチン酸メチル、グリチルリチン酸ステアリル等が挙げられる。これらのグリチルリチン酸の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリチルレチン酸は、抗炎症作用や抗アレルギー作用等を有することが知られている公知の薬剤である。
グリチルレチン酸の誘導体としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、具体的には、グリチルレチン酸ピリドキシン、グリチルレチン酸ステアリル、グリチルレチン酸グリセリル、グリチルレチン酸モノグルクロニド等が挙げられる。これらのグリチルレチン酸の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
グリチルリチン酸、グリチルレチン酸及び/又はその誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容されるものである限り特に制限されないが、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらの体の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物において、(C)成分として、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩、グリチルリチン酸の誘導体、グリチルリチン酸の誘導体の塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸の塩、グリチルレチン酸の誘導体、及びグリチルレチン酸の誘導体の塩の中から、1種を選択して使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの(C)成分の中でも、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、好ましくはグリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩、グリチルリチン酸の誘導体、グリチルリチン酸の誘導体の塩;更に好ましくはグリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩;特に好ましくはグリチルリチン酸の塩;より一層好ましくはグリチルリチン酸二カリウムが挙げられる。
本発明の乳化組成物における(C)成分の含有量については、特に制限されないが、例えば、0.1〜3重量%が挙げられる。特に、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、本発明の乳化組成物における(C)成分の含有量として、好ましくは0.1〜2重量%、更に好ましくは0.1〜0.8重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%が挙げられる。
また、本発明の乳化組成物において、(B)成分に対する(C)成分の比率については、(B)成分及び(C)成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(B)成分1重量部当たり、(C)成分が0.1〜10重量部が挙げられる。特に、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、(B)成分に対する(C)成分の比率として、(B)成分1重量部当たり、(B)成分が、好ましくは0.5〜7重量部、更に好ましくは1〜4重量部が挙げられる。
(D)水
本発明の乳化組成物は、乳化状態において水相を形成するために、水(以下、(D)成分と表記することもある)を含有する。
本発明の乳化組成物における(D)成分の含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば15〜90重量%、好ましくは30〜90重量%が挙げられる。
また、従来の水中油型の乳化組成物において水の含有量が多くなる程、水相の流動性が高まり、ヘパリン類似物質を含有する場合には、その乳化安定性がより一層顕著に低下する傾向が認められるが、本発明では、水中油型の乳化系ローション剤(特に、水中油型のマイクロエマルジョン製剤)のように水の含有量が多い場合であっても、優れた乳化安定性を備えさせることが可能になる。このような本発明の効果を鑑みれば、本発明の乳化組成物の好適な一態様として、水の含有量が比較的多い乳化組成物が挙げられる。より具体的には、本発明の乳化組成物における水の含有量として、好ましくは60重量%以上、より好ましくは60〜90重量%、更に好ましくは70〜90重量%、特に好ましくは75〜90重量%が挙げられる。
(E)油分
本発明の皮膚外用組成物は、乳化状態において油相を形成するために、油分を含有する。
本発明で使用される油分については、薬学的又は香粧学的に許容されるものであることを限度として特に制限されないが、例えば、植物油、動物油、鉱物油、コレステロール、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸、高級アルコール、シリコーンオイル等が挙げられる。
植物油としては、具体的には、オリーブ油、小麦胚芽油、こめ油、サフラワー油、大豆油、つばき油、とうもろこし油、なたね油、ごま油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、落花生油、ホホバ油、硬化油、アボガド油、ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油、ユーカリ油、レモン油、オレンジ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、木ロウ、ライスワックス、等が挙げられる。これらの植物油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
動物油としては、具体的には、ラード、魚油、スクワラン、蜜蝋等が挙げられる。これらの動物油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
鉱物油としては、具体的には、パラフィン、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。これらの炭化水素は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数4〜30の脂肪酸と炭素数1〜34のアルコールのエステルが挙げられ、具体的には、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジエチル、オレイン酸エチル等が挙げられる。これらの脂肪酸アルキルエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
脂肪酸としては、例えば、炭素数4〜30の脂肪酸が挙げられ、具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、セバシン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。これらの脂肪酸は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
高級アルコールとしては、例えば、炭素数6〜34の1価アルコールが挙げられ、具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリコーンオイルとしては、具体的には、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アクリルシリコーン、フェニル変性シリコーン等が挙げられる。これらのシリコーンオイルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの油脂性基剤の中でも、より一層効果的に抗炎症作用を向上させるという観点から、好ましくは動物油、鉱物油、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸、高級アルコールが挙げられる。
これらの油分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物における(D)成分の含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%が挙げられる。
他の界面活性剤
本発明の乳化組成物には、必要に応じて、リン酸系界面活性剤以外の界面活性剤が含まれていてもよい。このような界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤の中でも、乳化安定性をより一層向上させるという観点から、好ましくはノニオン性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油;ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);グリセリンアルキルエーテル;ステアレス−2;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等);ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、Pポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート等);ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2−オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレン・POP−セチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン−2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等);ステアレス−21等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤の中でも、好ましくはポリオキシエチレン硬化ひまし油が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物において、リン酸系界面活性剤以外の界面活性剤を含有させる場合、その含有量については、使用する界面活性剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%が挙げられる
多価アルコール
本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、(A)成分による保湿作用の増強等を目的として、必要に応じて、多価アルコールが含まれていてもよい。
多価アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化組成物において、多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、使用する多価アルコールの種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%が挙げられる
増粘剤
本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、粘性の調節等のために、必要に応じて、増粘剤が含まれていてもよい。
増粘剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン等が挙げられる。これらの増粘剤の中でも、好ましくはキサンタンガムが挙げられる。これらの増粘剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の乳化組成物において、増粘剤を含有させる場合、その含有量については、使用する増粘剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、外用剤に通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、キレート剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、キレート剤、香料、着色料等が挙げられる。
更に、本発明の乳化組成物は、前述する成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、必要に応じて、含まれていてもよい。このような薬効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピパカイン、メピパカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の乳化組成物において、これらの薬効成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
製剤形態・用途
本発明の乳化組成物は、水中油型の乳化形態に製剤化される。本発明の乳化組成物の製剤形態については特に制限されず、例えば、乳液状(乳化系ローション剤)、クリーム状等が挙げられる。
水中油型の乳液状の乳化組成物(水中油型乳化系ローション剤)は、水中油型のクリーム状の場合に比して、水相の量が多く、水相が流動性を有しており、乳化安定性を備え難い製剤形態として知られているが、本発明によれば、水中油型の乳液状の乳化組成物であっても、優れた乳化安定性を備えることが可能になっている。このような本発明の効果を鑑みれば、本発明の乳化組成物の好適な製剤形態として、水中油型乳液状(水中油型の乳化系ローション剤)が挙げられる。
また、水中油型の乳液状の乳化組成物(水中油型乳化系ローション剤)の内、油相が1〜100nm程度の粒子状で存在しているマイクロエマルジョン製剤は、通常の乳液製剤(油相が1〜100μm程度の粒子状で存在)に比して、水含有量が多く、乳化安定性をより一層備え難い製剤形態であるが、本発明では、このような水中油型乳化系マイクロエマルジョン製剤であっても、優れた乳化安定性を備えることができる。このような本発明の格別な効果を鑑みれば、本発明の乳化組成物の好適な一態様として、水中油型乳化系マイクロエマルジョン製剤が挙げられる。
本発明の乳化組成物は、経皮適用される外用剤として好適に使用される。本発明の乳化組成物として、具体的には、外用医薬品、化粧料、皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの製剤形態の中でも、好ましくは外用医薬品が挙げられる。
本発明の乳化組成物は、含有する(A)成分に基づいて、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用等を発揮でき、更に含有する(C)成分によって(A)成分の抗炎症作用を増強できるので、保湿、乾燥性皮膚疾患の予防又は治療、炎症性皮膚疾患の予防又は治療等の目的で好適に使用される。
製造方法
本発明の乳化組成物は、公知の乳化組成物の製造方法に従って製造することができる。本発明の乳化組成物の製造方法として、例えば、以下に示す方法が挙げられる。先ず、(A)成分、(C)成分、水、及び必要に応じて添加される他の水溶性成分を混合して水相用組成物を調製する。別途、(B)成分、油分、及び必要に応じて添加される他の水溶性成分を混合して油相用組成物を調製する。なお、(B)成分の一部は、前記水相中に配合してもよい。また、リン酸系界面活性剤以外の界面活性剤を含有させる場合には、当該界面活性剤は、水相用組成物又は油相用組成物のいずれか一方又は双方に添加して混合すればよいが、油相用組成物に添加することが好ましい。次いで、得られた水相用組成物と油相用組成物を混合し、ホモジナイザー等の乳化手法によって乳化させることにより、本発明の乳化組成物が製造される。また、水相用組成物は2以上に分けて調製し、段階的に油相用組成物と混合して乳化させてもよい。
なお、クリーム状の水中油型乳化組成物、乳液状の水中油型乳化組成物(乳化系ローション剤)、水中油型乳化系マイクロエマルジョン製剤等の製造方法についても、既に知られており、本発明の乳化組成物は、目的の製剤形態に応じた公知の製造方法に従って調製することができる。
2.乳化安定化方法
本発明は、更に、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物の乳化安定化方法であって、乳化組成物中に、(A)ヘパリン類似物質と共に、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、乳化安定化方法を提供する。
本発明の乳化安定化方法において、使用する(A)〜(C)の種類や含有量、配合される他の成分の種類や含有量、乳化によって製される乳化組成物の製剤形態等については、前記「1.乳化組成物」の場合と同様である。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の試験例及び処方例で使用した主な成分の入手元等については、以下の通りである。
水素添加大豆リン脂質:商品名「NIKKOL レシノール S−10」(日光ケミカルズ株式会社製)
モノ(ポリオキシエチレンセチルエーテル)リン酸エステルナトリウム:商品名「NIKKOL TCP−5」(日光ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンの付加モル数5
トリオレイルリン酸エステル:商品名「NIKKOL TOP−0V」(日光ケミカルズ株式会社製)
ポリオキシエチレン硬化ひまし油:商品名「NIKKOL HCO−20」(日光ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンの付加モル数20
キサンタンガム:商品名「エコーガムT」(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)
オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン:商品名「NIKKOL TO−106V」(日光ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンの付加モル数6
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン:商品名「NIKKOL GO−430NV」(日光ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンの付加モル数30
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル:商品名「NIKKOL PBC−33」(日光ケミカルズ株式会社製)、ポリオキシエチレンの付加モル数10、ポリオキシプロピレの付加モル数4
試験例1:乳化安定性の評価
表1及び2に示す組成の水中油型乳化組成物を製造し、乳化安定性について評価した。具体的な試験方法は、以下の通りである。
まず、表1及び2中の(I)に示す成分を75℃の温度条件下で混合して溶解させ、油相用組成物Iを形成した。また、別途、表1及び2中の(II)に示す成分を75℃の温度条件下で混合して溶解させて水相用組成物II、表1及び2中の(III)に示す成分を混合して溶解させて水相用組成物III、並びに表1及び2中の(IV)に示す成分を混合して溶解させて水相用組成物IVをそれぞれ形成した。次いで、油相用組成物I及び水相用組成物IIをそれぞれ75℃に加熱した状態で混合し、100rpmで5分間程度撹拌することにより、第1混合液を調製した。次いで、室温の水相用組成物IIIを50rpmで撹拌しながら、得られた第1混合液を徐々に添加し、第1混合液の添加終了から50rpmで5分間程度撹拌を継続して行い、第2混合液を調製した。その後、得られた第2混合液に、室温の水相用組成物IVを添加し、50rpmで20分間程度撹拌することによって、乳化組成物を製造した。実施例1〜12の乳化組成物は、いずれも水中油型乳化系ローション剤(マイクロエマルジョン製剤)であった。
得られた乳化組成物について、製造直後と、製造後50℃で10日間遮光条件で保存した後に、外観性状を観察し、下記判定基準に従って、乳化状態を評価した。
<乳化状態の判定基準>
◎:均一な半透明であり、極めて良好な乳化状態になっている。
○:全体として半透明であり、良好な乳化状態であるが、僅かに乳白色を呈している。
△:相分離は認められないが、乳白色を呈しており、乳化状態がやや悪い。
×:相分離が認められ、乳化状態になっていない。
得られた結果を表1及び2に示す。ヘパリン類似物質及びリン酸系界面活性剤を含み、グリチルリチン酸塩を含まない場合(比較例1及び3)には、保存後の乳化状態は著しく悪くなっていた。また、ヘパリン類似物質と共に、リン酸系界面活性剤以外の界面活性剤とグリチルリチン酸塩を含む場合(比較例5〜7)では、調製直後及び保存後の乳化状態が著しく悪くなっていた。
これに対して、ヘパリン類似物質と共に、リン酸系界面活性剤及びグリチルリチン酸塩を含む場合(実施例1〜12)では、調製直後の乳化状態が良好であり、保存後でも、良好な乳化状態を維持できていた。特に、実施例3〜7の結果から、リン酸系界面活性剤1重量部当たり、グリチルリチン酸塩が1〜7重量部(特に、1〜4重量部)の比率を充足する場合に、調製直後及び保存後の乳化状態が良好になる傾向が認められた。
Figure 2017048163
Figure 2017048163
処方例
表3〜4に示す組成の水中油型乳化組成物(水中油型乳化系ローション剤(マイクロエマルジョン製剤))を前記試験例1と同様の方法で製造した。得られた乳化組成物は、いずれも、比較例1〜8の組成物に比して、調製直後及び保存後(遮光条件で50℃で10日間)の乳化状態は良好であった。
Figure 2017048163
Figure 2017048163

Claims (8)

  1. (A)ヘパリン類似物質、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、乳化組成物。
  2. 前記(A)成分の含有量が0.1〜0.5重量%である、請求項1に記載の乳化組成物。
  3. 前記(C)成分の含有量が0.1〜2重量%である、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
  4. 前記(B)成分1重量部当たり、前記(C)成分が1〜10重量部の比率で含まれる、請求項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
  5. 前記(B)成分が水素添加レシチンである、請求項1〜4のいずれかに記載の乳化組成物。
  6. 前記(C)成分が、グリチルリチン酸二カリウムである、請求項1〜5のいずれかに記載の乳化組成物。
  7. 水中油型の乳化系ローション剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
  8. 乳化組成物中に、(A)ヘパリン類似物質と共に、(B)リン酸系界面活性剤、並びに(C)グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、それらの誘導体、及びそれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、ヘパリン類似物質を含む乳化組成物の乳化安定化方法。
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