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JP2016210313A - 駆動装置 - Google Patents

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JP2016210313A JP2015096387A JP2015096387A JP2016210313A JP 2016210313 A JP2016210313 A JP 2016210313A JP 2015096387 A JP2015096387 A JP 2015096387A JP 2015096387 A JP2015096387 A JP 2015096387A JP 2016210313 A JP2016210313 A JP 2016210313A
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林 陽介
Yosuke Hayashi
陽介 林
田中 博幸
Hiroyuki Tanaka
博幸 田中
榎本 隆
Takashi Enomoto
隆 榎本
山下 真吾
Shingo Yamashita
真吾 山下
鈴木 博之
Hiroyuki Suzuki
博之 鈴木
慶大 片桐
Keita Katagiri
慶大 片桐
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Toyota Industries Corp
Aisin AI Co Ltd
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Abstract

【課題】モータ容量の大きな駆動用モータを採用しつつ装置全体の小型化を図ることができる駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】駆動装置1は、入力軸11と、駆動軸12と、出力軸14と、増速機構20と、二重ロータ型モータ30とを備える。増速機構20は、入力軸11から入力される駆動力を増速し、且つ入力軸11と同方向に駆動軸12が回転するように当該増速された駆動力を駆動軸12に出力する。二重ロータ型モータ30は、固定子31と、出力軸14との間で駆動力を伝達可能に当該出力軸14に連結された第一回転子32と、駆動軸12と一体的に回転するように当該駆動軸12に連結された第二回転子33とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両に用いられる駆動装置に関する。
駆動用モータおよびエンジンを駆動源とするハイブリッド車両の駆動装置として、例えば特許文献1,2に示されるものがある。特許文献1,2のハイブリッド車両は、主として駆動用モータが出力する駆動力により走行し、走行状態に応じてエンジンが出力する駆動力によりアシストを行う方式を採用している。また、特許文献1,2のハイブリッド車両においては、例えば車載バッテリーの充電状態に応じてエンジンが駆動され、発電用モータによる発電が行われる。
特許3183062号公報 特許4958126号公報
上記のような駆動装置において、ハイブリッド車両により大きな駆動力の出力が求められる場合に、モータ容量を大きくするために駆動用モータを大型化する必要がある。しかしながら、特許文献1では、駆動用モータが配置された軸方向範囲に発電用モータが配置されているため、駆動用モータの大型化が制約される。また、特許文献2では、駆動用モータの大型化が許容されるが、駆動用モータに対して発電用モータが軸方向に並設されているため、装置全体として軸長が長いレイアウトとなっている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、モータ容量の大きな駆動用モータを採用しつつ装置全体の小型化を図ることができる駆動装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、エンジンが出力する駆動力を入力する入力軸と、前記入力軸と平行または同軸上に配置された駆動軸と、車両の駆動輪に連結された出力軸と、前記入力軸から入力される駆動力を増速し、且つ前記入力軸と同方向に前記駆動軸が回転するように当該増速された駆動力を前記駆動軸に出力する増速機構と、二重ロータ型モータとを備える。二重ロータ型モータは、固定子と、前記固定子との間に径方向に所定の間隔を空けて配置され且つ前記出力軸との間で駆動力を伝達可能に当該出力軸に連結された第一回転子と、前記第一回転子との間に径方向に所定の間隔を空けて配置され且つ前記駆動軸と一体的に回転するように当該駆動軸に連結された第二回転子と、を有する二重ロータ型モータと、を備える。
請求項1に係る発明によると、二重ロータ型モータは、モータ容量を増大する際に外側に位置する回転子の大型化を許容される。そのため、必要に応じて回転子の外径を適宜設定することができる。また、二重ロータ型モータは、一方の回転子の内側に他方の回転子を収容する構成である。そのため、駆動装置の軸方向の寸法を拡大することなく、独立して動作可能な回転子を配置できるので、装置全体としての小型化を図ることができる。
ここで、二重ロータ型モータを備える駆動装置において、例えばエンジンが駆動力を出力している状態では、第一回転子と第二回転子の差回転によりある程度の動力損失が発生することが懸念される。これに対して、第二回転子は、入力軸と同方向に駆動軸が回転するように駆動力を増速する増速機構によって、エンジンの回転方向と同方向に回転する。よって、第二回転子の回転方向は、出力軸とは逆回転している第一回転子の回転方向と同方向となる。従って、第一回転子と第二回転子の差回転が小さくなるので、二重ロータ型モータを備える駆動装置において、動力損失の発生を抑制できる。
第一実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。 車両の走行状態と駆動装置の動作状態の関係を示す図である。 第二実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。 第三実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。 第四実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。 第五実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。 第六実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。 第七実施形態における駆動装置の全体構造を示すスケルトン図である。
以下、本発明の駆動装置について図面を参照して説明する。実施形態において、駆動装置は、内燃機関により駆動力を出力するエンジンと、当該駆動装置が備える二重ロータ型モータとを駆動源とするハイブリッド車両に用いられる。ハイブリッド車両は、運転操作や車両状態などに応じて、ハイブリッド走行やモータ走行などの走行状態を適宜切り替える。
<第一実施形態>
(1.駆動装置1の全体構成)
第一実施形態における駆動装置1は、図1に示すように、入力軸11と、第一駆動軸12と、第二駆動軸13と、出力軸14と、増速機構20と、二重ロータ型モータ30と、電力供給装置40と、ドグクラッチ機構50と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。入力軸11は、ハウジングHに回転可能に支持され、エンジン81が出力する駆動力を駆動装置1に入力する。
第一駆動軸12(本発明の「駆動軸」に相当する)は、ハウジングHに回転可能に支持され、入力軸11と平行に配置される。第二駆動軸13は、円筒状に形成され、第一駆動軸12と同軸上に配置される。第二駆動軸13は、第一駆動軸12に対して相対回転可能に支持される。第二駆動軸13は、後述する二重ロータ型モータ30に連結され、二重ロータ型モータ30のアウタロータ32と一体的に回転する。出力軸14は、ハイブリッド車両の駆動輪92L,92Rに、最終減速ギヤ17および差動機構91を介して連結される。最終減速ギヤ17は、差動機構91のデフリングギヤ91aに常時噛合している。
上記の入力軸11および出力軸14には、エンジン出力用ギヤ対15が設けられている。本実施形態において、エンジン出力用ギヤ対15は、駆動ギヤ15a(本発明の「第一ギヤ」に相当する)および従動ギヤ15b(本発明の「第二ギヤ」に相当する)により構成される歯車機構である。エンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aは、入力軸11に対して相対回転可能に設けられる。
エンジン出力用ギヤ対15の従動ギヤ15bは、出力軸14に固定され、且つ駆動ギヤ15aと噛合する。本実施形態において、従動ギヤ15bは、出力軸14において最終減速ギヤ17が配置された軸方向位置よりも二重ロータ型モータ30側に配置される。エンジン出力用ギヤ対15は、後述するドグクラッチ機構50により駆動ギヤ15aが入力軸11に選択的に連結されることによって、入力軸11と出力軸14との間で駆動力を伝達する。
また、第二駆動軸13および出力軸14には、モータ出力用ギヤ対16が設けられている。本実施形態において、モータ出力用ギヤ対16は、駆動ギヤ16aおよび従動ギヤ16bにより構成される歯車機構である。モータ出力用ギヤ対16の駆動ギヤ16aは、第二駆動軸13に固定される。
モータ出力用ギヤ対16の従動ギヤ16bは、出力軸14に固定され、且つ駆動ギヤ16aと噛合する。本実施形態において、従動ギヤ16bは、出力軸14においてエンジン出力用ギヤ対15の従動ギヤ15bが配置された軸方向位置よりも二重ロータ型モータ30側に配置される。モータ出力用ギヤ対16は、第二駆動軸13と出力軸14との間で駆動力を伝達する。
(1−1.増速機構20)
増速機構20は、入力軸11から入力される駆動力を増速する機構である。また、増速機構20は、入力軸11と同方向に第一駆動軸12が回転するように当該増速された駆動力を駆動軸に出力する。つまり、第一駆動軸12は、第一駆動軸12の軸方向(図1の左右方向)から駆動装置1を見た場合に、入力軸11が時計回りに回転すると、入力軸11とは異なる回転数で時計回りに回転する。また、第一駆動軸12から入力軸11に駆動力が伝達される場合には、増速機構20により駆動力が減速されて伝達される。
本実施形態において、増速機構20は、2組のギヤ対により入力軸11と同方向の回転を第一駆動軸12に出力する二段増速機構としている。具体的には、増速機構20は、副軸21と、第一ギヤ対22(本発明の「第一伝達機構」に相当する)と、第二ギヤ対23(本発明の「第二伝達機構」に相当する)とを有する。副軸21は、ハウジングHに回転可能に支持され、入力軸11と平行に配置される。
本実施形態において、第一ギヤ対22は、駆動ギヤ22aおよび従動ギヤ22bにより構成される歯車機構である。第一ギヤ対22の駆動ギヤ22aは、入力軸11に固定される。第一ギヤ対22の従動ギヤ22bは、副軸21に固定され、且つ駆動ギヤ22aと噛合する。このような構成により、副軸21は、入力軸11の回転方向とは逆方向に回転する。
本実施形態において、第二ギヤ対23は、駆動ギヤ23aおよび従動ギヤ23bにより構成される歯車機構である。第二ギヤ対23の駆動ギヤ23aは、副軸21において第一ギヤ対22の従動ギヤ22bが配置された軸方向位置よりもエンジン側(図1の右側)に配置され、副軸21に固定される。第二ギヤ対23の従動ギヤ23bは、第一駆動軸12に固定され、且つ駆動ギヤ23aと噛合する。
このような構成により、第一駆動軸12は、副軸21の回転方向とは逆方向に回転する。よって、増速機構20は、入力軸11と第一駆動軸12が同方向に回転するように、両軸間の駆動力の伝達を可能とする。また、増速機構20は、要求される増速比を全体として満たせばよい。つまり、第一ギヤ対22および第二ギヤ対23により併せて所定の増速比を満たしてもよいし、一方のギヤ対が等速で駆動力を伝達し且つ他方のギヤ対が所定の増速比で駆動力を伝達することにより当該所定の増速比を満たしてもよい。
(1−2.二重ロータ型モータ30)
二重ロータ型モータ30は、ステータ31(本発明の「固定子」に相当する)と、アウタロータ32(本発明の「第一回転子」に相当する)と、インナロータ33(本発明の「第二回転子」に相当する)とを有する。ステータ31は、全体形状としては円筒状に形成され、ハウジングHに固定される。ステータ31は、例えば電磁鋼板が積層されて形成されたコア部と、当該コア部の周方向に沿って導体が巻回されて形成された巻線部とにより構成される。ステータ31の巻線部は、交流電力が供給されると磁界を形成する。
アウタロータ32は、ステータ31との間に径方向に所定の間隔を空けて配置される。また、アウタロータ32は、上述したように第二駆動軸13に一体的に連結される。これにより、アウタロータ32は、第二駆動軸13およびモータ出力用ギヤ対16を介して、出力軸14との間で駆動力を伝達可能に出力軸14に連結される。アウタロータ32は、全体形状としては円筒状に形成され、ハウジングHに対して相対回転可能に支持される。アウタロータ32は、例えば電磁鋼板が積層されて形成されたコア部と、当該コア部にN極とS極が周方向に交互に配置された永久磁石部とにより構成される。
インナロータ33は、アウタロータ32との間に径方向に所定の間隔を空けて配置される。また、インナロータ33は、第一駆動軸12と一体的に回転するように当該第一駆動軸12に連結される。インナロータ33は、全体形状としては円筒状に形成され、ハウジングHに対して相対回転可能に支持される。インナロータ33は、例えば電磁鋼板が積層されて形成されたコア部と、当該コア部の周方向に沿って導体が巻回されて形成された巻線部とにより構成される。インナロータ33の巻線部は、相対回転する磁界と鎖交すると交流電力を出力する。
また、インナロータ33が固定される第一駆動軸12には、第一駆動軸12の外周面を周回する環状のスリップリングが交流の各相に対応して複数配置される。複数のスリップリングは、インナロータ33の巻線部の各相端子に対応して電気的に接続される。また、ハウジングHには、各相のスリップリングに対応したブラシが複数配置される。ブラシは、第一駆動軸12と一体的に回転するスリップリングの外周面を摺動して、スリップリングとの間の導通状態を維持する。
このような構成からなる二重ロータ型モータ30において、ステータ31の巻線部に交流電流が供給されると、ステータ31の巻線部が磁界を形成する。そうすると、電磁相互作用によりステータ31とアウタロータ32の永久磁石部との間に駆動力が発生する。一方で、アウタロータ32が第二駆動軸13から駆動力を伝達されて回転駆動すると、ステータ31の巻線部には、電磁誘導作用により交流電圧が誘起されてステータ31から出力される。つまり、ステータ31およびアウタロータ32は、電動機および発電機として機能する。
また、二重ロータ型モータ30において、インナロータ33の巻線部に交流電流が供給されると、インナロータ33の巻線部が磁界を形成する。そうすると、電磁相互作用によりインナロータ33とアウタロータ32の永久磁石部との間に駆動力が発生する。二重ロータ型モータ30は、当該駆動力により、インナロータ33を固定子としてアウタロータ32に駆動力を伝達可能であり、またインナロータ33がアウタロータ32と一体的に回転するようにカップリングとして機能させることも可能である。
一方で、インナロータ33が第一駆動軸12から駆動力を伝達された回転駆動して、アウタロータ32に対して相対回転すると、インナロータ33の巻線部には、電磁誘導作用により交流電圧が誘起される。これにより、第一駆動軸12に配置されたスリップリングを介してブラシ26に交流電力が出力される。このように、アウタロータ32およびインナロータ33は、駆動力を伝達する機構を構成するとともに、発電する機能を有する。
ここで、例えばステータ31または第一駆動軸12より駆動力を受けてアウタロータ32が回転駆動されインナロータ33に対して相対回転すると、インナロータ33の巻線部に鎖交するアウタロータ32の永久磁石部の磁束が変化し、電磁相互作用により駆動力が発生する。そのため、インナロータ33は、アウタロータ32との間で発生する駆動力を受ける。これに対して、二重ロータ型モータ30は、インナロータ33の巻線部に上記の駆動力に応じた交流電力を供給することで、インナロータ33が受ける駆動力を相殺する駆動力を発生させる0トルク制御を行うことが可能である。
(1−3.電力供給装置40)
電力供給装置40は、二重ロータ型モータ30におけるステータ31およびインナロータ33に交流電力を供給する装置である。また、電力供給装置40は、二重ロータ型モータ30のステータ31およびインナロータ33において発電された交流電力を直流電力に変換して、バッテリー43に供給して蓄電する機能を有する。その他、電力供給装置40は、インナロータ33から出力された交流電流の一部をステータ31に供給可能に構成される。
この電力供給装置40は、第一インバータ41と、第二インバータ42と、バッテリー43とを有する。第一インバータ41および第二インバータ42は、直流電力を交流電力に変換する装置である。第一インバータ41は、ステータ31の巻線部、およびバッテリー43に電気的に接続される。第二インバータ42は、インナロータ33の巻線部、およびバッテリー43に電気的に接続される。
このような構成により、電力供給装置40は、バッテリー43が放電する直流電力を変換した交流電力を、またはインナロータ33の巻線部において発電された交流電力をステータ31に供給して、アウタロータ32を回転駆動させる。また、電力供給装置40は、車両の駆動輪92L,92Rから差動機構91、モータ出力用ギヤ対16、および第二駆動軸13を介してアウタロータ32に伝達された駆動力により交流電力を発電し、バッテリー43を充電する回生制御を行うことが可能である。
また、電力供給装置40は、バッテリー43が放電する直流電力を交流電力に変換し、インナロータ33に供給する。これにより、インナロータ33は、供給される電力量、およびアウタロータ32との差回転に応じて、アウタロータ32に駆動力を発生させたり、アウタロータ32と一体的に回転駆動したりするようになる。また、電力供給装置40は、エンジン81からエンジン出力用ギヤ対15、増速機構20、および第一駆動軸12を介して伝達された駆動力により交流電力を発電する制御を行うことが可能である。
(1−4.ドグクラッチ機構50)
ドグクラッチ機構50は、入力軸11に対して相対回転可能に設けられたエンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aを、入力軸11に対して選択的に連結する断接機構である。ドグクラッチ機構50が駆動ギヤ15aを入力軸11に対して連結した接続状態では、入力軸11および出力軸14は、エンジン出力用ギヤ対15により機械的に連結された状態となり、駆動ギヤ15aおよび従動ギヤ15bにより構成されるギヤ比に基づいて、相互に駆動力を伝達可能な状態となる。
これに対して、ドグクラッチ機構50が駆動ギヤ15aを入力軸11に対して連結しない切断状態では、入力軸11および出力軸14は、機械的に連結されていない状態となり、互いに独立して回転可能となる。よって、ドグクラッチ機構50の切断状態では、入力軸11と出力軸14との間では、直接的に駆動力が伝達されない。
本実施形態において、ドグクラッチ機構50は、連結対象の部材間の差回転を同期させるシンクロ機構を有しないタイプの断接機構である。このドグクラッチ機構50は、クラッチハブ51と、スリーブ52と、クラッチリング53とを有する。クラッチハブ51は、入力軸11においてエンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aに対して、二重ロータ型モータ30側の軸方向位置に配置される。クラッチハブ51は、駆動ギヤ15aが設けられた支持軸である入力軸11に固定され、入力軸11と一体的に回転する。クラッチハブ51の外周面には、入力軸11の軸方向に延在する外歯スプラインが形成されている。
スリーブ52の内周面には、クラッチハブ51の外歯スプラインと摺動可能に係合する内歯スプラインが形成されている。これにより、スリーブ52は、クラッチハブ51に対して相対回転不能に且つ入力軸11(駆動ギヤ15aが設けられた支持軸)の軸方向に相対移動可能にクラッチハブ51に嵌合される。クラッチリング53は、本実施形態において、エンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aに一体的に固定される。クラッチリング53は、スリーブ52の軸方向位置に応じてスリーブ52と係脱可能に噛合する。
より詳細には、クラッチリング53のクラッチハブ51側の端面には、スリーブ52の内歯スプラインと係合可能なドグクラッチ部が形成される。これにより、スリーブ52の内歯スプラインとクラッチリング53のドグクラッチ部とが係合可能な軸方向位置にスリーブ52が移動されると、クラッチリング53は、スリーブ52およびクラッチハブ51を介して入力軸11に連結された状態となる。これにより、クラッチリング53が固定された駆動ギヤ15aは、ドグクラッチ機構50の接続状態において、入力軸11と一体的に回転する。
一方で、スリーブ52の内歯スプラインとクラッチリング53のドグクラッチ部とが離間した軸方向位置にスリーブ52が移動されると、クラッチリング53は、入力軸11に対して相対回転可能な状態となる。これにより、クラッチリング53が固定された駆動ギヤ15aは、ドグクラッチ機構50の切断状態において、入力軸11に対して相対回転可能な状態となる。このように、ドグクラッチ機構50は、スリーブ52の軸方向の移動制御によってエンジン出力用ギヤ対15を介して、入力軸11と出力軸14との間で駆動力を伝達可能とする。
(1−5.駆動軸ロック機構61)
駆動軸ロック機構61は、第一駆動軸12の回転を規制する機構である。これにより、駆動軸ロック機構61は、第一駆動軸12に連結された二重ロータ型モータ30におけるインナロータ33の回転を規制して、インナロータ33の停止状態を保持する。より詳細には、駆動軸ロック機構61は、例えば複数のブレーキディスクと、当該ブレーキディスクを押圧する押圧部材とを有する。
複数のブレーキディスクは、第一駆動軸12に相対回転不能に支持されるものと、ハウジングH側に相対回転不能に支持されるものとが、第一駆動軸12の軸方向に交互に配置される。押圧部材がブレーキディスクを押圧すると、ブレーキディスク同士が接触して第一駆動軸12の回転が規制される。また、押圧部材がブレーキディスクの押圧を解除すると、ブレーキディスク同士が離間して第一駆動軸12の回転が許容される。
また、駆動軸ロック機構61は、入力軸11の軸方向において増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに配置される。具体的には、増速機構20における第一ギヤ対22の駆動ギヤ22aおよび従動ギヤ22bが配置された軸方向位置において、駆動軸ロック機構61のブレーキディスクが第一駆動軸12およびハウジングH側に固定される。
(1−6.パーキングロック機構65)
パーキングロック機構65は、車両が停止した際に出力軸14の回転を規制する機構である。これにより、パーキングロック機構65は、出力軸14に差動機構91を介して連結された車両の駆動輪92L,92Rの回転を規制して、車両の停止状態を保持する。より詳細には、パーキングロック機構65は、例えば出力軸14に固定されたパーキングギヤと、ハウジングHに対して回転可能に支持されたパーキングポールとを有する。
パーキングギヤの外周面には、複数の外歯が形成される。パーキングポールは、パーキングギヤの外歯に係止可能な爪部が形成される。パーキングポールが回転軸周りに回転すると、パーキングポールの爪部がパーキングギヤの外歯に係止する。これにより、パーキングギヤは、回転を規制される。また、パーキングポールの爪部がパーキングギヤから離脱すると、パーキングギヤは、回転を許容される。
また、パーキングロック機構65は、入力軸11の軸方向において増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに配置される。具体的には、増速機構20における第二ギヤ対23の駆動ギヤ23aおよび従動ギヤ23bが配置された軸方向位置において、パーキングロック機構65のパーキングギヤが出力軸14に固定される。
(1−7.制御装置70)
制御装置70は、ECUや各種メモリにより構成され、種々の車両情報に基づいて駆動装置1の動作を制御する。この制御装置70は、エンジン制御部71およびモータ制御部72を有する。エンジン制御部71は、例えばエンジン81のトルク特性を含む動作特性や現在のエンジン81の回転数などに基づいて、エンジン81の動作を制御する。
モータ制御部72は、二重ロータ型モータ30および電力供給装置40の動作を制御する。モータ制御部72は、運転操作や車両状態に基づいて、第一インバータ41および第二インバータ42による交流電力の供給量などを調整する。また、制御装置70は、エンジン81および二重ロータ型モータ30の制御に加えて、ドグクラッチ機構50、駆動軸ロック機構61、およびパーキングロック機構65の動作を車両の走行状態に応じて制御する。
(2.駆動装置の動作)
車両状態に応じて制御される駆動装置1の動作について図2を参照して説明する。車両の走行状態には、主として、EV(Electric Vehicle)走行、HV(Hybrid Vehicle)走行、ENG(engine)走行が含まれる。図2では、上記の車両の走行状態に加えて、車両の停止状態を併せて表記している。
(2−1.EV走行)
EV走行は、二重ロータ型モータ30が出力する駆動力のみを出力軸14を介して差動機構91に伝達する。このEV走行には、シングルモータ式とツインモータ式が含まれる。シングルモータ式は、ステータ31のみがアウタロータ32に駆動力を発生させる方式である。ツインモータ式は、ステータ31に加えてインナロータ33がアウタロータ32に駆動力を発生させる方式である。
(2−1−1.シングルモータ式のEV走行)
シングルモータ式のEV走行では、モータ制御部72は、第一インバータ41によりステータ31に所定の交流電力を供給して、アウタロータ32に駆動力を発生させる。これにより、アウタロータ32、第二駆動軸13、およびモータ出力用ギヤ対16の駆動ギヤ16aが一体的に回転して、出力軸14を介して差動機構91に駆動力が伝達される。
また、シングルモータ式のEV走行において、インナロータ33を用いた発電を要しない場合には、エンジン81は休止状態にされる。このとき、モータ制御部72は、アウタロータ32に対する相対回転によりインナロータ33に駆動力が発生するので、当該駆動力を相殺するために第二インバータ42によりインナロータ33に所定の交流電力を供給する0トルク制御を行う。
一方で、シングルモータ式のEV走行において、インナロータ33を用いた発電を要する場合には、エンジン制御部71によりエンジン81が所定の回転数で回転される。エンジン81から出力された駆動力は、増速機構20により増速されて第一駆動軸12に伝達される。これにより、第一駆動軸12に一体的に固定されたインナロータ33が回転する。そうすると、インナロータ33がアウタロータ32に対して相対回転して、インナロータ33の巻線部に交流電圧が誘起される。
インナロータ33で発電された交流電力は、モータ制御部72によって第二インバータ42を介してバッテリー43に充電される。また、インナロータ33で発電された交流電力は、第二インバータ42および第一インバータ41を介してステータ31に供給されるようにしてもよい。このようなシングルモータ式のEV走行においては、エンジン81は、発電効率の観点から回転数を適宜設定される。つまり、エンジン81の駆動力は、直接的に出力軸14に伝達されず、インナロータ33による発電に用いられる。
(2−1−2.ツインモータ式のEV走行)
ツインモータ式のEV走行では、モータ制御部72は、第一インバータ41および第二インバータ42によりステータ31およびインナロータ33に所定の交流電力を供給して、アウタロータ32に駆動力を発生させる。つまり、二重ロータ型モータ30は、インナロータ33を固定子としてアウタロータ32に駆動力を発生させる。このとき、インナロータ33は、アウタロータ32から反作用としての駆動力を受ける。
そこで、本実施形態の駆動装置1において、制御装置70は、駆動軸ロック機構61を動作させて、第一駆動軸12の回転を規制する。これにより、インナロータ33がアウタロータ32より受ける駆動力を吸収する。よって、制御装置70は、インナロータ33をアウタロータ32に対する固定子として好適に作用させることが可能となる。
(2−2.HV走行)
HV走行は、二重ロータ型モータ30が出力する駆動力、およびエンジン81が出力する駆動力を差動機構91に伝達する。このHV走行には、モータパス方式と直達パス方式が含まれる。モータパス方式は、エンジン81が出力する駆動力を、二重ロータ型モータ30を経由して差動機構91に伝達する方式である。直達パス方式は、エンジン81が出力する駆動力を、ドグクラッチ機構50の作動により二重ロータ型モータ30を経由することなく直接的に差動機構91に伝達する方式である。
(2−2−1.モータパス方式のHV走行)
モータパス方式のHV走行では、モータ制御部72は、第一インバータ41によりステータ31に所定の交流電力を供給して、アウタロータ32に駆動力を発生させる。さらに、モータ制御部72は、第二インバータ42によりインナロータ33に所定の交流電力を供給して、インナロータ33がアウタロータ32と一体的に回転するカップリング状態とする。
一方で、エンジン制御部71は、所定の回転数でエンジン81が回転するように制御する。エンジン81から出力された駆動力は、増速機構20により増速されて第一駆動軸12に伝達される。第一駆動軸12に伝達された駆動力は、カップリング状態にあるインナロータ33からアウタロータ32へと伝達され、二重ロータ型モータ30が出力する駆動力と合成される。アウタロータ32において合成された駆動力は、第二駆動軸13、モータ出力用ギヤ対16、および出力軸14を介して差動機構91に伝達される。
(2−2−2.直達パス方式のHV走行)
直達パス方式のHV走行では、制御装置70は、ドグクラッチ機構50を接続状態として、入力軸11と出力軸14が機械的に連結された状態とする。また、エンジン制御部71は、エンジン81が所定の回転数で回転するように制御する。エンジン81が出力する駆動力は、ドグクラッチ機構50および出力軸14を介して差動機構91に伝達される。
また、モータ制御部72は、第一インバータ41によりステータ31に所定の交流電力を供給して、アウタロータ32に駆動力を発生させる。二重ロータ型モータ30が出力する駆動力は、第二駆動軸13およびモータ出力用ギヤ対16を介して出力軸14に伝達される。これにより、エンジン81および二重ロータ型モータ30が出力するそれぞれの駆動力は、出力軸14で合成されて差動機構91に伝達される。
このような直達パス方式のHV走行において、二重ロータ型モータ30のインナロータ33は、エンジン81の駆動力を増速機構20および第一駆動軸12を介して伝達される。そのため、インナロータ33は、アウタロータ32に対して相対回転する。ここで、増速機構20は、入力軸11と同方向に第一駆動軸12が回転するように、増速させたエンジン81の駆動力を第一駆動軸12に出力する。
そのため、インナロータ33の回転方向がアウタロータ32と同方向となり、インナロータ33とアウタロータ32の差回転が比較的小さくなる。このように、本実施形態の駆動装置1においては、入力と出力が同方向となる増速機構20を採用することにより、アウタロータ32に対するインナロータ33の差回転の低減が図られている。
なお、直達パス方式のHV走行において、インナロータ33とアウタロータ32の差回転が比較的小さくとも発生している。ここで、インナロータ33を用いた発電を要しない場合には、本実施形態においては、インナロータ33がアウタロータ32に対する相対回転により受ける駆動力を相殺する駆動力を発生させるように、モータ制御部72は、第二インバータ42によりインナロータ33に所定の交流電力を供給する0トルク制御を行う。
一方で、直達パス方式のHV走行において、インナロータ33を用いた発電を要する場合には、インナロータ33およびアウタロータ32の差回転によって、インナロータ33の巻線部に交流電圧が誘起される。インナロータ33で発電された交流電力は、モータ制御部72によって第二インバータ42を介してバッテリー43に充電される。また、インナロータ33で発電された交流電力は、第二インバータ42および第一インバータ41を介してステータ31に供給されるようにしてもよい。
(2−3.ENG走行)
ENG走行は、エンジン81が出力する駆動力のみを差動機構91に伝達する。このENG走行には、モータパス方式と直達パス方式が含まれる。ENG走行におけるモータパス方式および直達パス方式は、HV走行におけるモータパス方式および直達パス方式と実質的に同一である。
(2−3−1.モータパス方式のENG走行)
モータパス方式のENG走行では、モータ制御部72は、第二インバータ42によりインナロータ33に所定の交流電力を供給して、インナロータ33がアウタロータ32と一体的に回転するカップリング状態とする。エンジン制御部71は、所定の回転数でエンジン81が回転するように制御する。
エンジン81から出力された駆動力は、増速機構20により増速されて第一駆動軸12に伝達される。第一駆動軸12に伝達された駆動力は、カップリング状態にあるインナロータ33からアウタロータ32へと伝達される。アウタロータ32に伝達された駆動力は、第二駆動軸13、モータ出力用ギヤ対16、および出力軸14を介して差動機構91に伝達される。
なお、モータパス方式のENG走行において、カップリング状態にあるインナロータ33およびアウタロータ32が回転すると、ステータ31に対して相対回転することになる。そのため、ステータ31は、アウタロータ32から反作用としての駆動力を受ける。そこで、本実施形態において、この駆動力を相殺する駆動力を発生させるように、モータ制御部72は、第一インバータ41によりステータ31に所定の交流電力を供給する0トルク制御を行う。
(2−3−2.直達パス方式のENG走行)
直達パス方式のENG走行では、制御装置70は、ドグクラッチ機構50を接続状態として、入力軸11と出力軸14が機械的に連結された状態とする。また、エンジン制御部71は、所定の回転数でエンジン81が回転するように制御する。エンジン81が出力する駆動力は、ドグクラッチ機構50および出力軸14を介して差動機構91に伝達される。
なお、直達パス方式のENG走行において、アウタロータ32は、出力軸14の回転によりモータ出力用ギヤ対16を介して駆動力を伝達される第二駆動軸13とともに回転する。そのため、ステータ31は、アウタロータ32から反作用としての駆動力を受ける。そこで、本実施形態において、この駆動力を相殺する駆動力を発生させるように、モータ制御部72は、第一インバータ41によりステータ31に所定の交流電力を供給する0トルク制御を行う。
また、インナロータ33は、増速機構20を介して駆動力を伝達される第一駆動軸12とともに回転する。そのため、直達パス方式のENG走行では、アウタロータ32とインナロータ33の差回転が発生する。但し、上記のように、増速機構20の採用によりアウタロータ32に対するインナロータ33の差回転の低減が図られており、直達パス方式のHV走行と同様に、上記の差回転による影響が抑制されている。
ここで、インナロータ33を用いた発電を要しない場合には、本実施形態においては、インナロータ33がアウタロータ32に対する相対回転により受ける駆動力を相殺する駆動力を発生させるように、モータ制御部72は、第二インバータ42によりインナロータ33に所定の交流電力を供給する0トルク制御を行う。
一方で、直達パス方式のENG走行において、インナロータ33を用いた発電を要する場合には、インナロータ33およびアウタロータ32の差回転によって、インナロータ33の巻線部に交流電圧が誘起される。インナロータ33で発電された交流電力は、モータ制御部72によって第二インバータ42を介してバッテリー43に充電される。また、インナロータ33で発電された交流電力は、第二インバータ42および第一インバータ41を介してステータ31に供給されるようにしてもよい。
(2−4.停止状態)
車両の停止状態は、出力軸14には駆動力が伝達されず、車速が0の状態である。制御装置70は、パーキングロック機構65を動作させて、出力軸14の回転を規制する。これにより、出力軸14に機械的に連結された駆動輪92L,92Rの回転が規制されて、車両の停止状態が保持される。
(3.同期制御)
上述した車両の走行状態において、車両がEV走行からエンジン81によるアシストを加える直達パス方式のHV走行に移行する場合には、ドグクラッチ機構50を切断状態から接続状態に移行させる必要がある。しかしながら、ドグクラッチ機構50は、シンクロ機構を有しないタイプの断接機構であるため、車両の走行中に接続状態への移行が容易でなく、移行できたとしても大きな衝撃力が加えられるおそれがある。
そこで、駆動装置1は、入力軸11の回転数と、車速に応じて回転するエンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aの回転数とを同期する制御を行う。これにより、入力軸11に固定されたクラッチハブ51と、駆動ギヤ15aに一体的に固定されたクラッチリング53との差回転が小さくなり、駆動装置1は、ドグクラッチ機構50を接続状態に移行可能となる。
また、上記の同期制御は、入力軸11が所定の回転数となるように入力軸11に駆動力を伝達することで行われる。本実施形態において、モータ制御部72は、ドグクラッチ機構50が接続状態にされる場合に、二重ロータ型モータ30のインナロータ33の回転数を制御することによって、増速機構20を介して入力軸11(駆動ギヤ15aが設けられた支持軸)に駆動力を伝達する。これにより、モータ制御部72は、入力軸11の回転数とエンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aの回転数とを同期させる。
このような同期制御によると、エンジン81により入力軸11に駆動力を伝達して行う同期制御と比較すると、エンジン制御よりもモータ制御の方が所定の回転数に正確に且つ迅速に制御可能であることから、ドグクラッチ機構50の接続状態への移行に要する時間の短縮を図ることができる。また、同期制御を高精度にできることから、ドグクラッチ機構50を接続状態に移行した際の衝撃力が低減される。
(4.回生制御)
上述した車両の走行状態において、二重ロータ型モータ30のアウタロータ32は、車速に応じた回転数で回転する。そのため、何れの走行状態(EV走行、HV走行、ENG走行)において、駆動装置1は、運転操作に応じて、アウタロータ32による駆動力の出力または0トルク制御に替えて、アウタロータ32に伝達された駆動力により交流電力を発電する回生制御を行うことが可能である。
(5.第一実施形態の構成による効果)
上述した駆動装置1は、駆動用モータおよび発電用モータとして、二重ロータ型モータ30を備える。そのため、例えば、アウタロータ32は、要求されるモータ容量に応じて外径を適宜設定される。また、二重ロータ型モータ30は、アウタロータ32の内側にインナロータ33を収容する構成である。そのため、駆動装置1の軸方向の寸法を拡大することなく、独立して動作可能なアウタロータ32およびインナロータ33を配置できるので、装置全体としての小型化を図ることができる。
ここで、車両が直達パス方式のHV走行およびENG走行の状態では、アウタロータ32とインナロータ33との間に差回転が発生する。これに対して、駆動装置1は、入力軸11と同方向に第一駆動軸12が回転するように増速された駆動力を第一駆動軸12に出力する増速機構20を備える。これにより、インナロータ33は、増速機構20によって入力軸11の回転方向と同方向に回転する。
つまり、インナロータ33の回転方向は、出力軸14とは逆回転しているアウタロータ32の回転方向と同方向となる。従って、例えば一組のギヤ対により増速を行う一段増速機構を採用した場合と比較して、インナロータ33とアウタロータ32の差回転が小さくなる。これにより、駆動装置1において、二重ロータ型モータ30における動力損失の発生が抑制される。
また、増速機構20は、2組のギヤ対(第一ギヤ対22および第二ギヤ対23)を有する二段増速機構を採用する。これにより、増速機構20は、入力軸11と同方向に第一駆動軸12が回転するように、増速された駆動力を第一駆動軸12に出力できる。また、二段階で要求される増速比を得る構成とすることができるので、増速機構20の設計自由度が向上する。
また、駆動装置1は、駆動ギヤ15aを入力軸11に対して選択的に連結して、入力軸11と出力軸14との間で駆動力を伝達可能とするドグクラッチ機構50を備える。これにより、駆動装置1は、ドグクラッチ機構50の作動によりエンジン81が出力する駆動力を、増速機構20、第一駆動軸12、および二重ロータ型モータ30を介さずに、差動機構91に伝達することが可能となる。これにより、動力損失を低減し、エンジン81が出力する駆動力を効率的に伝達できる。
また、駆動装置1は、断接機構としてシンクロ機構を有しないタイプのドグクラッチ機構50を採用する。さらに、駆動装置1は、ドグクラッチ機構50が接続状態にされる場合に、インナロータ33の回転数を制御することによって、入力軸11に駆動力を伝達して、入力軸11(駆動ギヤ15aが設けられた支持軸)の回転数と駆動ギヤ15aの回転数とを同期させる制御を行うモータ制御部72をさらに備える。
ドグクラッチ機構50は、他種の断接機構と比較すると部品点数が少なく、引き摺りトルクなどが発生しない点で有利である。しかし、ドグクラッチ機構50は、シンクロ機構を有しないタイプであることから、接続状態への移行の際の衝撃を低減するためには、ある程度の同期制御を要する。そこで、本実施形態の駆動装置1は、モータ制御部72がインナロータ33を所定の回転数で回転させて、増速機構20を介して入力軸11の回転数を制御する。これにより、入力軸11の回転数と、エンジン出力用ギヤ対15の駆動ギヤ15aの回転数とが同期される。このように、モータ駆動力により同期制御することにより、エンジン駆動力により同期制御する場合と比較して、同期制御の精度を向上できる。よって、ドグクラッチ機構50を採用した駆動装置1において、接続時の衝撃力の発生を抑制できる。
また、駆動軸ロック機構61は、入力軸11の軸方向において増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに配置される。
インナロータ33は、例えば車両がツインモータ式のEV走行の状態では、アウタロータ32に対しては固定子として作用する。これに対して、駆動装置1は、ツインモータ式のEV走行においては、駆動軸ロック機構61により第一駆動軸12を介してインナロータ33の回転を規制する。これにより、インナロータ33をアウタロータ32に対する固定子として好適に作用させることができる。また、増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに駆動軸ロック機構61が配置されるので、装置内のスペースを有効利用して装置全体としての小型化を図ることができる。
また、パーキングロック機構65は、入力軸11の軸方向において増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに配置される。
このような構成により、駆動装置1は、パーキングロック機構65により出力軸14の回転を規制し、車両の駆動輪92L,92Rの回転を規制する。これにより、駆動装置1を備える車両は、停止状態においてパーキングロック機構65の作動により車両の前後移動を確実に抑制できる。また、増速機構20が配置された軸方向範囲Rsにパーキングロック機構65が配置されるので、装置内のスペースを有効利用して装置全体としての小型化を図ることができる。
<第二実施形態>
(1.駆動装置101の全体構成)
第二実施形態における駆動装置101は、図3に示すように、入力軸11と、第一駆動軸112と、第二駆動軸13と、出力軸114と、増速機構120と、二重ロータ型モータ30と、ドグクラッチ機構150と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。ここで、第一実施形態と実質的に同一の構成については、図3において同一の符号を付して表記し、詳細な説明を省略する。
第一駆動軸112(本発明の「駆動軸」に相当する)は、ハウジングHに回転可能に支持され、入力軸11と同軸上に配置される。出力軸114は、ハイブリッド車両の駆動輪92L,92Rに、最終減速ギヤ17および差動機構91を介して連結される。また、入力軸11および出力軸114には、エンジン出力用ギヤ対115が設けられている。本実施形態において、エンジン出力用ギヤ対115は、駆動ギヤ115a(本発明の「第二ギヤ」に相当する)および従動ギヤ115b(本発明の「第一ギヤ」に相当する)により構成される歯車機構である。
エンジン出力用ギヤ対115の駆動ギヤ115aは、入力軸11に固定される。エンジン出力用ギヤ対115の従動ギヤ115bは、出力軸114に対して相対回転可能に設けられ、且つ駆動ギヤ115aと噛合する。本実施形態において、エンジン出力用ギヤ対115は、後述するドグクラッチ機構150により従動ギヤ115bが出力軸114に選択的に連結されることによって、入力軸11と出力軸114との間で駆動力を伝達する。上記のように、出力軸114は、エンジン出力用ギヤ対115の従動ギヤ115bが設けられる支持軸である。
(1−1.増速機構120)
増速機構120は、本実施形態において、2組のギヤ対により入力軸11と同方向の回転を第一駆動軸112に出力する二段増速機構としている。具体的には、増速機構120は、副軸21と、第一ギヤ対122(本発明の「第一伝達機構」に相当する)と、第二ギヤ対23(本発明の「第二伝達機構」に相当する)とを有する。第一ギヤ対122は、駆動ギヤ122aおよび従動ギヤ122bにより構成される歯車機構である。
第一ギヤ対122の駆動ギヤ122aは、入力軸11に固定される。本実施形態において、駆動ギヤ122aは、エンジン出力用ギヤ対115の駆動ギヤ115aと同一部材である。つまり、エンジン出力用ギヤ対115の駆動ギヤ115aは、増速機構120に駆動力を入力する伝達要素として兼用される。第一ギヤ対122の従動ギヤ122bは、副軸21に固定され、且つ駆動ギヤ122aと噛合する。このような構成により、増速機構120は、入力軸11と第一駆動軸112が同方向に回転するように、両軸間の駆動力の伝達を可能とする。
(1−2.ドグクラッチ機構150)
ドグクラッチ機構150は、出力軸114に対して相対回転可能に設けられたエンジン出力用ギヤ対115の従動ギヤ115b(122a)を、出力軸114に対して選択的に連結する断接機構である。ドグクラッチ機構150が従動ギヤ115bを出力軸114に対して連結した接続状態では、入力軸11および出力軸14は、エンジン出力用ギヤ対115により機械的に連結された状態となり、駆動ギヤ115aおよび従動ギヤ115bにより構成されるギヤ比に基づいて、相互に駆動力を伝達可能な状態となる。
これに対して、ドグクラッチ機構150が従動ギヤ115bを出力軸114に対して連結しない切断状態では、入力軸11および出力軸14は、機械的に連結されていない状態となり、互いに独立して回転可能となる。よって、ドグクラッチ機構150の切断状態では、入力軸11と出力軸14との間では、直接的に駆動力が伝達されない。
ドグクラッチ機構150は、クラッチハブ151と、スリーブ152と、クラッチリング153とを有する。クラッチハブ151は、従動ギヤ115bが設けられた支持軸である出力軸114に固定され、出力軸114と一体的に回転する。クラッチハブ151の外周面には、出力軸114の軸方向に延在する外歯スプラインが形成されている。
スリーブ152の内周面には、クラッチハブ151の外歯スプラインと摺動可能に係合する内歯スプラインが形成されている。これにより、スリーブ152は、クラッチハブ151に対して相対回転不能に且つ出力軸114(従動ギヤ115bが設けられた支持軸)の軸方向に相対移動可能にクラッチハブ151に嵌合される。
クラッチリング153は、本実施形態において、エンジン出力用ギヤ対115の従動ギヤ115bに一体的に固定される。クラッチリング153は、スリーブ152の軸方向位置に応じてスリーブ152と係脱可能に噛合する。このような構成により、ドグクラッチ機構150は、スリーブ152の軸方向の移動制御によってエンジン出力用ギヤ対115を介して、入力軸11と出力軸114との間で駆動力を伝達可能とする。
(2.駆動装置の動作、同期制御、回生制御)
駆動装置101の動作、同期制御、および回生制御については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。ここで、第二実施形態の駆動装置101は、エンジン出力用ギヤ対115のうち支持軸に対して相対回転可能な従動ギヤ115bが出力軸114に設けられる。そのため、上述したように、断接機構であるドグクラッチ機構150は、出力軸114側に設けられる。
このような構成においても、第一実施形態と同様に、同期制御を行うことが可能である。より詳細には、同期制御は、従動ギヤ115bが所定の回転数となるように従動ギヤ115bに駆動力を伝達することで行われる。本実施形態において、モータ制御部72は、ドグクラッチ機構150が接続状態にされる場合に、二重ロータ型モータ30のインナロータ33の回転数を制御することによって、増速機構20および駆動ギヤ115a(112a)を介して従動ギヤ115bに駆動力を伝達する。これにより、モータ制御部72は、出力軸114(従動ギヤ115bが設けられた支持軸)の回転数とエンジン出力用ギヤ対115の従動ギヤ115bの回転数とを同期させる。
(3.第二実施形態の構成による効果)
上述した駆動装置101は、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、第二実施形態の駆動装置101において、第一駆動軸112は、入力軸11と同軸上に配置される。これにより、駆動装置101における入力軸11の径方向の体格が小さくなる。よって、第一駆動軸112を入力軸11と平行に配置した構成と比較して、車両における低い位置に駆動装置101を搭載することができる。従って、車両の低重心化が図られ、車両の走行性を向上できる。
また、エンジン出力用ギヤ対115の駆動ギヤ115aは、入力軸11に固定され、且つ増速機構120に駆動力を入力する伝達要素(駆動ギヤ122a)として兼用される。これにより、駆動装置101における部品点数を低減できる。さらに、駆動装置101における入力軸11の軸方向の体格が小さくなり、装置全体としての小型化を図ることができる。
<第三実施形態>
(1.駆動装置201の全体構成)
第三実施形態における駆動装置201は、図4に示すように、入力軸211と、第一駆動軸12と、第二駆動軸13と、出力軸14と、増速機構220と、二重ロータ型モータ30と、ドグクラッチ機構50と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。ここで、第一実施形態と実質的に同一の構成については、図4において同一の符号を付して表記し、詳細な説明を省略する。
(1−1.増速機構220)
ここで、第一実施形態において、駆動装置1の増速機構20は、2組のギヤ対を有する二段増速機構である。これに対して、第三実施形態の増速機構220は、遊星歯車機構を採用する。具体的には、駆動装置201は、図4に示すように、遊星歯車機構である増速機構220を備える。増速機構220は、サンギヤ221と、複数のプラネタリギヤ222と、リングギヤ223と、キャリア224とを有する。
サンギヤ221は、第一駆動軸12に固定され、第一駆動軸12と一体的に回転する。複数のプラネタリギヤ222は、サンギヤ221の外周側に配置され、サンギヤ221と噛合する。リングギヤ223は、ハウジングHに回転不能に固定され、内周側に位置する複数のプラネタリギヤ222と噛合する。キャリア224は、複数のプラネタリギヤ222を回転可能に支持する。キャリア224は、入力軸211に固定され、入力軸211と一体的に回転する。
(2.駆動装置の動作、同期制御、回生制御)
このような構成からなる増速機構220は、入力軸211を介してエンジン81が出力する駆動力を入力すると、先ずキャリア224がエンジン81と同方向に回転する。そうすると、複数のプラネタリギヤ222は、サンギヤ221の回転軸線周りに且つ入力軸211と同一方向に公転する。このとき、プラネタリギヤ222は、ハウジングHに固定されたリングギヤ223と噛合するため、プラネタリギヤ222の回転軸線周りに且つ入力軸211と逆方向に自転する。
複数のプラネタリギヤ222に噛合するサンギヤ221は、プラネタリギヤ222とは逆方向に回転する。即ち、サンギヤ221は、入力軸211と同一方向に回転する。これにより、各要素により構成されるギヤ比に応じて増速された駆動力が第一駆動軸12に出力される。その他、駆動装置101の動作、同期制御、および回生制御については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。
(3.第三実施形態の構成による効果)
上述した駆動装置201は、遊星歯車機構である増速機構220を備え、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、駆動装置201は、第二実施形態の駆動装置101と同様に、入力軸211と第一駆動軸12とが同軸上に配置される。これにより、第三実施形態の駆動装置201は、第二実施形態の駆動装置201の当該構成による効果と同様の効果を奏する。
<第四実施形態>
(1.駆動装置301の全体構成)
第四実施形態における駆動装置301は、図5に示すように、入力軸11と、第一駆動軸312と、第二駆動軸13と、出力軸14と、増速機構20と、二重ロータ型モータ30と、ドグクラッチ機構350と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。ここで、第一実施形態と実質的に同一の構成については、図5において同一の符号を付して表記し、詳細な説明を省略する。
ここで、第一、第二、および第三実施形態において、駆動装置1,101,201は、入力軸11,211と出力軸14,114との間で駆動力を伝達可能とするエンジン出力用ギヤ対15,115を備える。これに対して、第四実施形態の駆動装置301は、モータ出力用ギヤ対316およびドグクラッチ機構350を用いて、第一駆動軸312と出力軸14との間で駆動力を伝達可能とすることによって、増速機構20により増速されたエンジン81の駆動力を出力軸14に出力可能する構成を採用する。
(1−1.モータ出力用ギヤ対316)
第一駆動軸312(本発明の「駆動軸」に相当する)は、ハウジングHに回転可能に支持され、入力軸11と平行に配置される。第二駆動軸13は、第一駆動軸312と同軸上に配置される。第二駆動軸13は、第一駆動軸312に対して相対回転可能に支持される。また、第二駆動軸13および出力軸14には、モータ出力用ギヤ対316が設けられている。本実施形態において、モータ出力用ギヤ対316は、駆動ギヤ316aおよび従動ギヤ316bにより構成される歯車機構である。モータ出力用ギヤ対316の駆動ギヤ316aは、第二駆動軸13に固定される。
モータ出力用ギヤ対316の従動ギヤ316bは、出力軸14に固定され、且つ駆動ギヤ316aと噛合する。モータ出力用ギヤ対16は、第二駆動軸13と出力軸14との間で駆動力を伝達する。また、本実施形態において、モータ出力用ギヤ対316は、後述するドグクラッチ機構350により駆動ギヤ316aが第一駆動軸312に選択的に連結されることによって、第一駆動軸312と出力軸14との間で駆動力を伝達する。つまり、モータ出力用ギヤ対316は、増速機構20により増速されたエンジン81の駆動力を第一駆動軸312から出力軸14へと伝達する機能を有する。
ここで、第二駆動軸13は、第一駆動軸312に対して相対回転可能に設けられる。よって、第二駆動軸13に固定されたモータ出力用ギヤ対316の駆動ギヤ316aは、第一駆動軸112に対して相対回転可能に設けられており、本発明の「第一ギヤ」に相当する。また、モータ出力用ギヤ対316の従動ギヤ316bは、出力軸14に固定され、且つ駆動ギヤ316aと噛合するように設けられており、本発明の「第二ギヤ」に相当する。
(1−2.ドグクラッチ機構350)
ドグクラッチ機構350は、第一駆動軸112に対して相対回転可能に設けられたモータ出力用ギヤ対316の駆動ギヤ316aを、第一駆動軸112に対して選択的に連結する断接機構である。ドグクラッチ機構350が駆動ギヤ316aを第一駆動軸112に対して連結した接続状態では、第一駆動軸112および出力軸14は、モータ出力用ギヤ対316により機械的に連結された状態となり、駆動ギヤ316aおよび従動ギヤ316bにより構成されるギヤ比に基づいて、相互に駆動力を伝達可能な状態となる。
これに対して、ドグクラッチ機構350が駆動ギヤ316aを第一駆動軸112に対して連結しない切断状態では、第一駆動軸112および出力軸14は、機械的に連結されていない状態となり、互いに独立して回転可能となる。よって、ドグクラッチ機構350の切断状態では、第一駆動軸112と出力軸14との間では、直接的に駆動力が伝達されない。
ドグクラッチ機構350は、クラッチハブ351と、スリーブ352と、クラッチリング353とを有する。クラッチハブ351は、駆動ギヤ316aを相対回転可能に支持する支持軸である第一駆動軸112に固定され、第一駆動軸112と一体的に回転する。クラッチハブ351の外周面には、第一駆動軸112の軸方向に延在する外歯スプラインが形成されている。
スリーブ352の内周面には、クラッチハブ351の外歯スプラインと摺動可能に係合する内歯スプラインが形成されている。これにより、スリーブ352は、クラッチハブ351に対して相対回転不能に且つ第一駆動軸112の軸方向に相対移動可能にクラッチハブ351に嵌合される。
クラッチリング353は、本実施形態において、モータ出力用ギヤ対316の駆動ギヤ316aに一体的に固定される。クラッチリング353は、スリーブ352の軸方向位置に応じてスリーブ352と係脱可能に噛合する。このような構成により、ドグクラッチ機構350は、スリーブ352の軸方向の移動制御によってモータ出力用ギヤ対316を介して、第一駆動軸112と出力軸14との間で駆動力を伝達可能とする。
(2.駆動装置の動作、同期制御、回生制御)
駆動装置301の動作、同期制御、および回生制御については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。ここで、第四実施形態の駆動装置301において、モータ出力用ギヤ対316は、二重ロータ型モータ30の駆動力を出力軸14に伝達するとともに、ドグクラッチ機構350の作動によりエンジン81の駆動力を出力軸14に伝達可能とする。
(3.第四実施形態の構成による効果)
上述した駆動装置301は、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、駆動装置301は、上述したように、モータ出力用ギヤ対316がエンジン81の駆動力を出力軸14に伝達可能とする。よって、第四実施形態の駆動装置301は、モータ出力用ギヤ対316と別にエンジン出力用ギヤ対を設けた構成と比較して部品点数を低減できる。
また、駆動装置301の構成によると、ドグクラッチ機構350の接続状態により、インナロータ33がアウタロータ32と機械的に連結され、二重ロータ型モータ30は、両部材が一体的に回転するカップリング状態となる。これにより、車両の走行状態に応じた駆動装置301の動作において、二重ロータ型モータ30をカップリング状態とする必要がある場合の消費電力を低減できる。
<第五実施形態>
(1.駆動装置401の全体構成)
第五実施形態における駆動装置401は、図6に示すように、入力軸11と、第一駆動軸12と、第二駆動軸13と、出力軸14と、エンジン出力用ギヤユニット415と、増速機構20と、二重ロータ型モータ30と、電力供給装置40と、ドグクラッチ機構50と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。ここで、第一実施形態と実質的に同一の構成については、図6において同一の符号を付して表記し、詳細な説明を省略する。
(1−1.エンジン出力用ギヤユニット415)
エンジン出力用ギヤユニット415は、中間軸415aと、第一駆動ギヤ415b(本発明の「第一ギヤ」に相当する)と、従動ギヤ415c(本発明の「第二ギヤ」に相当する)と、第二駆動ギヤ415d(本発明の「第三ギヤ」に相当する)とを有する。
中間軸415aは、ハウジングHに回転可能に支持され、入力軸11と平行に配置される。第一駆動ギヤ415bは、本実施形態において、入力軸11に対して相対回転可能に設けられる。従動ギヤ415cは、中間軸415aに固定され、且つ第一駆動ギヤ415bと噛合する。第二駆動ギヤ415dは、中間軸415aに固定される。第二駆動ギヤ415d、出力軸14と駆動輪92L,92Rとの間に介在する差動機構91のデフリングギヤ91aと、最終減速ギヤ17が当該デフリングギヤ91aと噛合する位相とは別の位相で噛合する。
エンジン出力用ギヤユニット415は、ドグクラッチ機構50により第一駆動ギヤ415bが入力軸11に選択的に連結されることによって、入力軸11と差動機構91との間で駆動力を伝達する。このような構成により、中間軸415aは、ドグクラッチ機構50が接続状態にある場合に、入力軸11の回転方向とは逆方向に回転する。よって、例えば入力軸11が時計回りに回転している場合には、第一駆動軸12、第二駆動軸13、および差動機構91のデフリングギヤ91aは、入力軸11と同方向である時計回りにそれぞれ回転する。
(2.駆動装置の動作、同期制御、回生制御)
駆動装置401の動作、同期制御、および回生制御については、第一実施形態と実質的に同一であるため、詳細な説明を省略する。ここで、第五実施形態の駆動装置401において、エンジン出力用ギヤユニット415は、エンジン81の駆動力を直接的に差動機構91に入力可能に構成される。つまり、エンジン81の駆動力による走行状態(ENG走行、HV走行)において、エンジン81の駆動力は、出力軸14を経由することなく差動機構91に伝達される。
(3.第五実施形態の構成による効果)
上述した駆動装置401は、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、駆動装置401は、上述したように、エンジン出力用ギヤユニット415がエンジン81の駆動力を差動機構91へと直接的に伝達可能とする。よって、出力軸14をエンジン81の駆動力が経由する構成と比較して、より効率的に駆動力を伝達することができる。
<第六実施形態>
第六実施形態における駆動装置501は、図7に示すように、入力軸11と、第一駆動軸512と、第二駆動軸513と、出力軸14と、増速機構20と、二重ロータ型モータ530と、電力供給装置40と、ドグクラッチ機構50と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。ここで、第一実施形態と実質的に同一の構成については、図7において同一の符号を付して表記し、詳細な説明を省略する。
ここで、第一実施形態において、二重ロータ型モータ30は、外周側から順にステータ31(固定子)、アウタロータ32(第一回転子)、およびインナロータ33(第二回転子)を配置して構成される。これに対して、二重ロータ型モータは、内周側から順に固定子、第一回転子、および第二回転子を配置して構成されてもよい。具体的には、駆動装置501の二重ロータ型モータ530は、図7に示すように、各部材が第一実施形態とは逆順に配置される。
二重ロータ型モータ530は、ステータ531(本発明の「固定子」に相当する)と、インナロータ532(本発明の「第一回転子」に相当する)と、アウタロータ533(本発明の「第二回転子」に相当する)とを有する。インナロータ532は、第二駆動軸513に一体的に連結される。アウタロータ533は、第一駆動軸512に一体的に連結される。なお、本実施形態において、第一回転子(インナロータ532)が第二回転子(アウタロータ533)の内周側に配置されることから、第二駆動軸513は、図7に示すように、第一駆動軸512の内周側に相対回転可能に配置される。このような構成からなる本実施形態の駆動装置601は、第一実施形態と同様の効果を奏する。
<第七実施形態>
第七実施形態における駆動装置601は、図8に示すように、入力軸11と、第一駆動軸12と、第二駆動軸13と、出力軸14と、増速機構20と、二重ロータ型モータ30と、電力供給装置40と、ドグクラッチ機構50と、駆動軸ロック機構61と、パーキングロック機構65と、制御装置70とを備えて構成される。ここで、第一実施形態と実質的に同一の構成については、図8において同一の符号を付して表記し、詳細な説明を省略する。
ここで、第一実施形態において、駆動装置1は、エンジン出力用ギヤ対15およびモータ出力用ギヤ対16を備える。これに対して、エンジン出力用ギヤ対15の従動ギヤ15bとモータ出力用ギヤ対16の従動ギヤ16bとを兼用とする構成としてもよい。具体的には、駆動装置601は、図8に示すように、従動ギヤ615b、616bが兼用されたエンジン出力用ギヤ対615およびモータ出力用ギヤ対616を備える。
エンジン出力用ギヤ対615は、駆動ギヤ615a(本発明の「第一ギヤ」に相当する)および従動ギヤ615b(本発明の「第二ギヤ」に相当する)により構成される歯車機構である。エンジン出力用ギヤ対615の駆動ギヤ615aは、入力軸11に対して相対回転可能に設けられる。エンジン出力用ギヤ対615の従動ギヤ615bは、出力軸14に固定され、且つ駆動ギヤ615aと噛合する。エンジン出力用ギヤ対615は、ドグクラッチ機構50により駆動ギヤ615aが入力軸11に選択的に連結されることによって、入力軸11と出力軸14との間で駆動力を伝達する。
モータ出力用ギヤ対616は、駆動ギヤ616aおよび従動ギヤ616bにより構成される歯車機構である。モータ出力用ギヤ対616の駆動ギヤ616aは、第二駆動軸13に固定される。モータ出力用ギヤ対616の従動ギヤ616bは、出力軸14に固定され、且つ駆動ギヤ616aと噛合する。本実施形態において、従動ギヤ616bは、エンジン出力用ギヤ対615の従動ギヤ615bと同一部材である。つまり、エンジン出力用ギヤ対615の駆動ギヤ615aは、モータ出力用ギヤ対616に兼用される。
このような構成からなる駆動装置601によると、エンジン出力用ギヤ対615およびモータ出力用ギヤ対616が異なる軸方向位置に配置される場合と比較して、部品点数を低減できるとともに、駆動装置601の軸方向の体格を小さくできる。これにより、装置全体としての小型化を図ることができる。
<実施形態の変形態様>
第一、第二、第四〜第七実施形態において、二段増速機構である増速機構20,120は、第一伝達機構および第二伝達機構として、第一ギヤ対22,122および第二ギヤ対23,123を有する。これに対して、第一伝達機構および第二伝達機構は、駆動力をそれぞれ反転しながら伝達可能な構成であれば、歯車機構の他に種々の態様を採用できる。例えば、増速機構は、第一伝達機構および第二伝達機構として、スプロケットとチェーン、プーリと無端ベルトなどの組み合わせにより駆動力を二段階で増速しながら伝達してもよい。
また、駆動装置1〜601は、断接機構としてドグクラッチ機構50,150,350を採用する。これに対して、駆動装置1〜601は、シンクロ機構を有する断接機構や、湿式多板クラッチ機構を適用してもよい。このような構成においても、実施形態と同様に、入力軸11と出力軸14,114との間で駆動力を選択的に伝達可能とすることができる。但し、部品点数などの観点からは、実施形態に例示したように、ドグクラッチ機構50,150,350の採用が好適である。
また、第一、第三、第六、実施形態において、断接機構(ドグクラッチ機構50)は、入力軸11および出力軸14のうち第一ギヤ(駆動ギヤ15a)が設けられた支持軸である入力軸11側に設けられる。これに対して、断接機構は、第二実施形態のドグクラッチ機構150のように、出力軸14側に設けられる構成としてもよい。このような構成において、エンジン出力用ギヤ対は、出力軸14に対して相対回転可能に設けられる第一ギヤと、入力軸11に固定され且つ第一ギヤと噛合する第二ギヤとを有する。そして、断接機構は、上記の第一ギヤを出力軸14に対して選択的に連結する。
同様に、第四実施形態において、断接機構(ドグクラッチ機構350)は、出力軸14側に設けられる構成としてもよい。このような構成では、モータ出力用ギヤ対316とは別に第一駆動軸312および出力軸14にエンジン出力用ギヤ対が設けられ、且つエンジン出力用ギヤ対の従動ギヤ(本発明の「第一ギヤ」に相当する)が出力軸14に対して相対回転可能に設けられる構成となる。
さらに、第五実施形態においても、断接機構(ドグクラッチ機構50)は、中間軸415a側に設けられる構成としてもよい。このような構成では、エンジン出力用ギヤユニット415は、第一駆動ギヤ(本発明の「第二ギヤ」に相当する)が入力軸11に固定され、従動ギヤ(本発明の「第一ギヤ」に相当する)が中間軸415aに対して相対回転可能に設けられる。
上記のように、断接機構(ドグクラッチ機構50,150,350)が差動機構91側の支持軸に設けられる構成は、例えばエンジン81が休止された走行状態(EV走行)において、インナロータ33を用いた発電を要しない場合に、出力軸14の回転に伴うエンジン出力用ギヤ対の回転が抑制される点で有利である。一方で、実施形態において例示したように、断接機構(ドグクラッチ機構50,150,350)がエンジン81側の支持軸に設けられている構成は、例えば車両の停止状態において、インナロータ33を用いた発電を要する場合に、入力軸11の回転に伴うエンジン出力用ギヤ対の回転が抑制される点で有利である。
<付記>
(第一〜第七実施形態に対応する構成)
駆動装置1,101,201,301,401,501,601は、エンジン81が出力する駆動力を入力する入力軸11,211と、入力軸11,211と平行または同軸上に配置された駆動軸(第一駆動軸12,112,212,312,512)と、車両の駆動輪92L,92Rに連結された出力軸14,114と、入力軸11,211から入力される駆動力を増速し、且つ入力軸11,211と同方向に駆動軸(第一駆動軸12,112,212,312,512)が回転するように当該増速された駆動力を駆動軸(第一駆動軸12,112,212,312,512)に出力する増速機構20,120,220と、二重ロータ型モータ30,530と、を備える。
二重ロータ型モータ30,530は、固定子(ステータ31,530)と、固定子(ステータ31,530)との間に径方向に所定の間隔を空けて配置され且つ出力軸14,114との間で駆動力を伝達可能に当該出力軸14,114に連結された第一回転子(アウタロータ32、インナロータ532)と、第一回転子(アウタロータ32、インナロータ532)との間に径方向に所定の間隔を空けて配置され且つ駆動軸(第一駆動軸12,112,212,312,512)と一体的に回転するように当該駆動軸(第一駆動軸12,112,212,312,512)に連結された第二回転子(インナロータ33、アウタロータ533)と、を有する。
このような構成によると、駆動装置1,101,201,301,401,501,601の軸方向の寸法を拡大することなく、独立して動作可能なアウタロータ32,533およびインナロータ33,532を配置できるので、装置全体としての小型化を図ることができる。また、駆動装置1,101,201,301,401,501,601において、インナロータ33とアウタロータ32の差回転が小さくできるので、二重ロータ型モータ30,530における動力損失の発生が抑制される。
また、第二実施形態の駆動装置101において、第一駆動軸112は、入力軸11と同軸上に配置される。様に、第三実施形態の駆動装置201は、入力軸211と第一駆動軸12とが同軸上に配置される。これにより、駆動装置101,201における入力軸11,211の径方向の体格が小さくなる。よって、第一駆動軸を入力軸と平行に配置した構成と比較して、車両における低い位置に駆動装置101,201を搭載することができる。従って、車両の低重心化が図られ、車両の走行性を向上できる。
(第一、第二、第四〜第七実施形態に対応する構成)
請求項1の駆動装置1,101,201,301,401,501,601において、増速機構20,120は、入力軸11と平行に配置された副軸21と、入力軸11と副軸21との間で駆動力を伝達する第一伝達機構(第一ギヤ対22,122)と、副軸21と駆動軸(第一駆動軸12,112,312,512)との間で駆動力を伝達するとともに、第一伝達機構(第一ギヤ対22,122)とは副軸21における異なる軸方向位置に配置された第二伝達機構(第二ギヤ対23)と、を有する。
このような構成によると、増速機構20,120は、2組のギヤ対(第一ギヤ対22,122および第二ギヤ対23)を有する二段増速機構を採用する。これにより、増速機構20,120は、入力軸11と同方向に第一駆動軸12,112,312,512が回転するように、増速された駆動力を第一駆動軸12,112,312,512に出力できる。また、二段階で要求される増速比を得る構成とすることができるので、増速機構20,120の設計自由度が向上する。
(第一〜第三、第六、第七実施形態に対応する構成)
駆動装置1,101,201,501,601は、入力軸11,211および出力軸14,114の一方に対して相対回転可能に設けられた第一ギヤ(駆動ギヤ15a,615a、従動ギヤ115b)と、入力軸11,211および出力軸14,114の他方に固定され、且つ第一ギヤ(駆動ギヤ15a,615a、従動ギヤ115b)と噛合する第二ギヤ(従動ギヤ15b,615b、駆動ギヤ115a)と、第一ギヤ(駆動ギヤ15a,615a、従動ギヤ115b)を入力軸11,211および出力軸14,114の一方に対して選択的に連結して、入力軸11,211と出力軸14,114との間で駆動力を伝達可能とする断接機構(ドグクラッチ機構50,150)と、をさらに備える。
このような構成によると、駆動装置1,101,201,501,601は、ドグクラッチ機構50,150の作動によりエンジン81が出力する駆動力を、増速機構20,120,220、第一駆動軸12,112,212,512、および二重ロータ型モータ30,530を介さずに、差動機構91に伝達することが可能となる。これにより、動力損失を低減し、エンジン81が出力する駆動力を効率的に伝達できる。
(第二実施形態に対応する構成)
駆動装置101において、駆動軸(第一駆動軸112)は、入力軸11と同軸上に配置される。第一ギヤ(従動ギヤ115b)は、出力軸114に対して相対回転可能に設けられる。第二ギヤ(駆動ギヤ115a)は、入力軸11に固定され、且つ増速機構120に駆動力を入力する伝達要素として兼用される。
このような構成によると、駆動装置101における部品点数を低減できる。さらに、駆動装置101における入力軸11の軸方向の体格が小さくなり、装置全体としての小型化を図ることができる。
(第四実施形態に対応する構成)
駆動装置301は、駆動軸(第一駆動軸312)および出力軸14の一方に対して相対回転可能に設けられた第一ギヤ(駆動ギヤ316a)と、駆動軸(第一駆動軸312)および出力軸14の他方に固定され、且つ第一ギヤ(駆動ギヤ316a)と噛合する第二ギヤ(従動ギヤ316b)と、第一ギヤ(駆動ギヤ316a)を駆動軸(第一駆動軸312)および出力軸14の一方に対して選択的に連結して、駆動軸(第一駆動軸312)と出力軸14との間で駆動力を伝達可能とする断接機構(ドグクラッチ機構350)と、をさらに備える。
このような構成によると、駆動装置301は、上述したように、モータ出力用ギヤ対316がエンジン81の駆動力を出力軸14に伝達可能とする。よって、駆動装置301は、モータ出力用ギヤ対316と別にエンジン出力用ギヤ対を設けた構成と比較して部品点数を低減できる。また、駆動装置301の構成によると、ドグクラッチ機構350の接続状態により、インナロータ33がアウタロータ32と機械的に連結され、二重ロータ型モータ30は、両部材が一体的に回転するカップリング状態となる。これにより、車両の走行状態に応じた駆動装置301の動作において、二重ロータ型モータ30をカップリング状態とする必要がある場合の消費電力を低減できる。
(第五実施形態に対応する構成)
駆動装置401は、入力軸11と平行に配置された中間軸415aと、入力軸11および中間軸415aの一方に対して相対回転可能に設けられた第一ギヤ(第一駆動ギヤ415b)と、入力軸11および中間軸415aの他方に固定され、且つ第一ギヤ(第一駆動ギヤ415b)と噛合する第二ギヤ(従動ギヤ415c)と、中間軸415aに固定され、出力軸14と駆動輪92L,92Rとの間に介在する差動機構91のリングギヤ91aと噛合する第三ギヤ(第二駆動ギヤ415d)と、第一ギヤ(第一駆動ギヤ415b)を入力軸11および中間軸415aの一方に対して選択的に連結して、入力軸11と差動機構91との間で駆動力を伝達可能とする断接機構(ドグクラッチ機構50)と、をさらに備える。
このような構成によると、駆動装置401は、エンジン出力用ギヤユニット415がエンジン81の駆動力を差動機構91へと直接的に伝達可能とする。よって、出力軸14をエンジン81の駆動力が経由する構成と比較して、より効率的に駆動力を伝達することができる。
(第一〜第七実施形態に対応する構成)
駆動装置1,101,201,301,401,501,601において、断接機構(ドグクラッチ機構50,150,350)は、第一ギヤ(駆動ギヤ15a,316a,615a、従動ギヤ115b、第一駆動ギヤ415b)が設けられた支持軸(入力軸11,211、出力軸114、第一駆動軸312)に固定されたクラッチハブ51,151,351と、クラッチハブ51,151,351に対して相対回転不能に且つ支持軸(入力軸11,211、出力軸114、第一駆動軸312)の軸方向に相対移動可能にクラッチハブ51,151,351に嵌合されたスリーブ52,152,352と、第一ギヤ(駆動ギヤ15a,316a,615a、従動ギヤ115b、第一駆動ギヤ415b)に固定されスリーブ52,152,352の軸方向位置に応じてスリーブ52,152,352と係脱可能に噛合するクラッチリング53,153,353と、を有するドグクラッチ機構50,150,350である。
駆動装置1,101,201,301,401,501,601は、ドグクラッチ機構50,150,350が接続状態にされる場合に、第二回転子(インナロータ33、アウタロータ533)の回転数を制御することによって、支持軸(入力軸11,211、出力軸114、第一駆動軸312)の回転数と第一ギヤ(駆動ギヤ15a,316a,615a、従動ギヤ115b、第一駆動ギヤ415b)の回転数とを同期させるモータ制御部72をさらに備える。
このような構成によると、モータ駆動力により同期制御することにより、エンジン駆動力により同期制御する場合と比較して、同期制御の精度を向上できる。よって、ドグクラッチ機構50,150,350を採用した駆動装置1,101,201,301,401,501,601において、接続時の衝撃力の発生を抑制できる。
(第一、第四〜第七実施形態に対応する構成)
駆動装置1,301,401,501,601は、入力軸11の軸方向において増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに配置され、駆動軸(第一駆動軸12,312,512)の回転を規制する駆動軸ロック機構61をさらに備える。
このような構成によると、駆動軸ロック機構61の作動により、インナロータ33(またはアウタロータ533)をアウタロータ32(またはインナロータ532)に対する固定子として好適に作用させることができる。また、増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに駆動軸ロック機構61が配置されるので、装置内のスペースを有効利用して装置全体としての小型化を図ることができる。
(第一、第四〜第七実施形態に対応する構成)
駆動装置1,301,401,501,601は、入力軸11の軸方向において増速機構20が配置された軸方向範囲Rsに配置され、出力軸14の回転を規制するパーキングロック機構65をさらに備える。
このような構成によると、駆動装置1,301,401,501,601を備える車両は、停止状態においてパーキングロック機構65の作動により車両の前後移動を確実に抑制できる。また、増速機構20が配置された軸方向範囲Rsにパーキングロック機構65が配置されるので、装置内のスペースを有効利用して装置全体としての小型化を図ることができる。
1,101,201,301,401,501,601:駆動装置
11,211:入力軸(支持軸)
12,112,212,512:第一駆動軸(駆動軸)
312:第一駆動軸(駆動軸、支持軸)
13,213,513:第二駆動軸、 14:出力軸、 114:出力軸(支持軸)
15,115,615:エンジン出力用ギヤ対
15a,615a:駆動ギヤ(第一ギヤ)
15b,615b:従動ギヤ(第二ギヤ)
115a:駆動ギヤ(第二ギヤ)、 115b:従動ギヤ(第一ギヤ)
415:エンジン出力用ギヤユニット
415a:中間軸、 415b:第一駆動ギヤ(第一ギヤ)
415c:従動ギヤ(第二ギヤ)、 415d:第二駆動ギヤ(第三ギヤ)
16,316,616:モータ出力用ギヤ対
16a,616a:駆動ギヤ、 16b、616b:従動ギヤ
316a:駆動ギヤ(第一ギヤ)、 316b:従動ギヤ(第二ギヤ)
17:最終減速ギヤ
20,120,220:増速機構
21:副軸
22,122:第一ギヤ対(第一伝達機構)
22a,122a:駆動ギヤ、 22b,122b:従動ギヤ
23:第二ギヤ対(第二伝達機構)、 23a:駆動ギヤ、 23b:従動ギヤ
221:サンギヤ、 222:プラネタリギヤ、 223:リングギヤ
224:キャリア
30,530:二重ロータ型モータ
31,531:ステータ(固定子)
32:アウタロータ(第一回転子)、 33:インナロータ(第二回転子)
532:インナロータ(第一回転子)、 533:アウタロータ(第二回転子)
40:電力供給装置
41:第一インバータ、 42:第二インバータ、 43:バッテリー
50,150,350:ドグクラッチ機構(断接機構)
51,151,351:クラッチハブ
52,152,352:スリーブ
53,153,353:クラッチリング
61:駆動軸ロック機構、 65:パーキングロック機構
70:制御装置
71:エンジン制御部、 72:モータ制御部
81:エンジン
91:差動機構、 91a:デフリングギヤ(リングギヤ)
92L,92R:駆動輪
Rs:(増速機構が配置された)軸方向範囲
H:ハウジング

Claims (9)

  1. エンジンが出力する駆動力を入力する入力軸と、
    前記入力軸と平行または同軸上に配置された駆動軸と、
    車両の駆動輪に連結された出力軸と、
    前記入力軸から入力される駆動力を増速し、且つ前記入力軸と同方向に前記駆動軸が回転するように当該増速された駆動力を前記駆動軸に出力する増速機構と、
    固定子と、前記固定子との間に径方向に所定の間隔を空けて配置され且つ前記出力軸との間で駆動力を伝達可能に当該出力軸に連結された第一回転子と、前記第一回転子との間に径方向に所定の間隔を空けて配置され且つ前記駆動軸と一体的に回転するように当該駆動軸に連結された第二回転子と、を有する二重ロータ型モータと、
    を備える駆動装置。
  2. 前記増速機構は、
    前記入力軸と平行に配置された副軸と、
    前記入力軸と前記副軸との間で駆動力を伝達する第一伝達機構と、
    前記副軸と前記駆動軸との間で駆動力を伝達するとともに、前記第一伝達機構とは前記副軸における異なる軸方向位置に配置された第二伝達機構と、
    を有する、請求項1の駆動装置。
  3. 前記入力軸および前記出力軸の一方に対して相対回転可能に設けられた第一ギヤと、
    前記入力軸および前記出力軸の他方に固定され、且つ前記第一ギヤと噛合する第二ギヤと、
    前記第一ギヤを前記入力軸および前記出力軸の一方に対して選択的に連結して、前記入力軸と前記出力軸との間で駆動力を伝達可能とする断接機構と、
    をさらに備える請求項1または2の駆動装置。
  4. 前記駆動軸は、前記入力軸と同軸上に配置され、
    前記第一ギヤは、前記出力軸に対して相対回転可能に設けられ、
    前記第二ギヤは、前記入力軸に固定され、且つ前記増速機構に駆動力を入力する伝達要素として兼用される、請求項3の駆動装置。
  5. 前記駆動軸および前記出力軸の一方に対して相対回転可能に設けられた第一ギヤと、
    前記駆動軸および前記出力軸の他方に固定され、且つ前記第一ギヤと噛合する第二ギヤと、
    前記第一ギヤを前記駆動軸および前記出力軸の一方に対して選択的に連結して、前記駆動軸と前記出力軸との間で駆動力を伝達可能とする断接機構と、
    をさらに備える請求項1または2の駆動装置。
  6. 前記入力軸と平行に配置された中間軸と、
    前記入力軸および前記中間軸の一方に対して相対回転可能に設けられた第一ギヤと、
    前記入力軸および前記中間軸の他方に固定され、且つ前記第一ギヤと噛合する第二ギヤと、
    前記中間軸に固定され、前記出力軸と前記駆動輪との間に介在する差動機構のリングギヤと噛合する第三ギヤと、
    前記第一ギヤを前記入力軸および前記中間軸の一方に対して選択的に連結して、前記入力軸と前記差動機構との間で駆動力を伝達可能とする断接機構と、
    をさらに備える請求項1または2の駆動装置。
  7. 前記断接機構は、
    前記第一ギヤが設けられた支持軸に固定されたクラッチハブと、
    前記クラッチハブに対して相対回転不能に且つ前記支持軸の軸方向に相対移動可能に前記クラッチハブに嵌合されたスリーブと、
    前記第一ギヤに固定され前記スリーブの軸方向位置に応じて前記スリーブと係脱可能に噛合するクラッチリングと、を有するドグクラッチ機構であり、
    前記駆動装置は、
    前記ドグクラッチ機構が接続状態にされる場合に、前記第二回転子の回転数を制御することによって、前記支持軸の回転数と前記第一ギヤの回転数とを同期させるモータ制御部をさらに備える、請求項3〜6の何れか一項の駆動装置。
  8. 前記入力軸の軸方向において前記増速機構が配置された軸方向範囲に配置され、前記駆動軸の回転を規制する駆動軸ロック機構をさらに備える、請求項1〜7の何れか一項の駆動装置。
  9. 前記入力軸の軸方向において前記増速機構が配置された軸方向範囲に配置され、前記出力軸の回転を規制するパーキングロック機構をさらに備える、請求項1〜8の何れか一項の駆動装置。
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WO2018123393A1 (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 アイシン・エーアイ株式会社 動力伝達制御装置
CN108284738A (zh) * 2017-10-24 2018-07-17 广西玉柴机器股份有限公司 一种带跛行回家模块的混合动力系统

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